2nd Draft Report : 三田村 和弥(千葉)

Posted in Event Coverage on February 28, 2009

By Yukio Kozakai

初日のイベントレポートでも紹介されているように、日本選手権ではおなじみではあるが、プロツアーとしては初の試みである「ジグザグフォーマット」の採用により、今日2日目は”アラーラの断片”“コンフラックス”のブースタードラフトからスタートする。

今回紹介するのは、”アラーラの断片”のリミテッドで行われた、グランプリ岡山準優勝である三田村 和弥(千葉)。通称「魔界の番人」として有名(?)な三田村は、前出の岡山においても、多色環境であるアラーラで白緑2色のドラフトを、しかも決勝テーブルで演じて見せるなど、実力、パフォーマンス共に特A級のプレイヤーだ。

では、常日頃「日本一ドラフトが上手い」と豪語する三田村のドラフティングを、まずはご覧あれ。

■Pack 1 / Shards of Alara

1st Pick:《槍折りのビヒモス/Spearbreaker Behemoth

これといって目立ったカードの無いパックから、素直にレアをピック。

2nd Pick:《圧倒する雷/Resounding Thunder

他には《長毛のソクター/Woolly Thoctar》《処刑人の薬包/Executioner’s Capsule》など、1パック目とはうって変わって強力なカード群が立ち並ぶ。その中から敢然と《圧倒する雷/Resounding Thunder》をピックした。

三田村 「俺、《圧倒する雷/Resounding Thunder》好きですから」

Spearbreaker Behemoth
......基本、こういう受け答えなのが三田村らしいのだが、このままだと記事にならないのでもう少し掘り下げて聞いてみた。

三田村 「初手で緑が軸になって、次に取るべきなのは『隣の色』なんですよ。赤か白。今回だと、赤を取ればジャンドにもナヤにも行けますけど、《処刑人の薬包/Executioner’s Capsule》取ったらジャンドに決め打ちになっちゃいますよね。《長毛のソクター/Woolly Thoctar》は必要な色が多いですし。点数が同じくらいのカードだったら、より近い色で色マナの数が少ないほうがいいと。単純な理由です」

3rd:《骸骨のカターリ/Skeletal Kathari
4th:《崩れゆく死滅都市/Crumbling Necropolis
5th:《藻のガリアル/Algae Gharial
6th:《ジャンドの全景/Jund Panorama
7th:《切り裂き隊の壊し屋/Rip-Clan Crasher
8th:《アクラサの従者/Akrasan Squire
9th:《鋤引きの耕し獣/Yoked Plowbeast
10th:《宮廷の射手/Court Archers

しかし、その後はジャンドっぽく立ち回ってはみたものの、特別目立ったカードは流れてこなかった。それもそのはず、上がナヤに向かっており、下はグリクシス。返しの2パック目で緑のカードに関しては期待が出来るかもしれないが、いわゆる「ハマった」状態に陥ってしまっている。早くもピンチに立たされ、選択肢が絞られる中、筆者は三田村とドラフト前にかわした談話を思い出した。

―――「岡山の時の白緑みたいに、今回のドラフトでやりたいアーキタイプとか、傾向とかはありますか?」

三田村 「俺は全てを受け入れますよ」

この後、三田村の言葉が現実味を帯び、そして結実する。

■2nd Pack / Shards of Alara

Battlegrace Angel
1st Pick:《戦誉の天使/Battlegrace Angel

ジャンドというにはあまりにも厳しい1パック目のドラフト。ここで、初手に現れた「出たら勝ち」級のカードに対して一切ためらいは無かった。

2nd Pick:《ロウクスの戦修道士/Rhox War Monk
3rd Pick:《苦悶のねじれ/Agony Warp
4th Pick:《火炎地のオーガ/Fire-Field Ogre

三田村 「特に《苦悶のねじれ/Agony Warp》がキレてますよね」

と豪語する通り、《ロウクスの戦修道士/Rhox War Monk》で4色目、《苦悶のねじれ/Agony Warp》で5色が決まった。第1パック時の「近い色」談話の直後ではあるが、緊急時には素早い思考の切り替えが必要だ。リアルタイムで進行していくブースタードラフト。選択肢の多いアラーラ環境下では、「いくつ引き出しを持っているか」が特に重要になってくる。

三田村は、3色でまとめる基本戦術をとりながらも、厳しいと見るや受けを広げてドラフトを進めていく。

5th:《宮廷の射手/Court Archers
6th:《腐肉団/Carrion Thrash
7th:《天望の騎士/Knight of the Skyward Eye
8th:《シーリアのエルフ/Cylian Elf
9th:《ジャンドの全景/Jund Panorama
10th:《荒廃稲妻/Blightning

こうなると、後はマナベースの確保と、流れてくるカードの中から、テンポを踏まえた上で点数の高いカードをピックしていく作業になる。

■3rd Pack / Conflux

Fiery Fall
1st Pick:《焦熱の落下/Fiery Fall

足りなかった除去と、基本土地サイクリングを兼ねる。今の三田村にとってベストに近い1枚だ。

2nd Pick:《アミーシャの模範/Paragon of the Amesha

同じパックに《竜魂の騎士/Dragonsoul Knight》がいたが、ここまで《戦誉の天使/Battlegrace Angel》など白マナを重視したマナ配分になると見越してこちらをピック。三田村曰く、「この2枚はソートなので、結構な確率で同居している」とのこと。基本性能も高いのだが、5色でこそ発揮出来る能力はゲームエンド級だ。

3rd Pick:《断ち割る尖塔/Rupture Spire
4th Pick:《断片の収斂/Shard Convergence
5th Pick:《断ち割る尖塔/Rupture Spire

迷い無く、強固なマナベースの確保に走った。これで、三田村のドラフトしたカードが完全に生きる形になった。

6th Pick:《融合の精霊/Fusion Elemental
7th Pick:《竜魂の騎士/Dragonsoul Knight

さらに追い風は続く。5色になった三田村に次々とカラフルな強カードが回ってきて、2手目に2択を迫られた《竜魂の騎士/Dragonsoul Knight》の回収にも成功した。

三田村 「あそこ(2手目)で《竜魂の騎士/Dragonsoul Knight》も《アミーシャの模範/Paragon of the Amesha》も両方欲しかったんで、これはツイてましたね」

8th Pick:《断片の収斂/Shard Convergence
9th Pick:《シーリアの陽歌い/Cylian Sunsinger
10th Pick:《さまようゴブリン/Wandering Goblins

三田村 「......21......22......23!(枚数) 何とかデッキになりましたね。いやー、厳しい!」

そう言いつつも、ドラフトしたカード群を見る限りには、カードパワーに満ち溢れている。特に、後押しするマナベースがしっかり安定したことで、それはほぼ100%生かされる格好になった。

三田村 「普通の3色デッキよりもマナがしっかりしてるから、色絞ったデッキよりも強いですよ」

そして、全国の三田村ファンと、千葉で待つ(今日は代々木でLMCが開催されているが)「魔界」の仲間達に向けて、実に三田村らしい表現でメッセージを発してくれた。

三田村 「デッキ『つよわい』んで3-0しますよ!」

1パック目でほぼ絶望的な状況に追い込まれていた事実を思い出して欲しい。集中力を切らさず、我慢強く抜け道を見出し、切り抜けた結果が以下のデッキリストなのだ。2パック目からでもリカバーは効く。残念な1パック目を過ごしても、諦めなければ道はあるのだ。

ドラフトの基本的な技術を押さえ、かつ本番で必要とされる発展系の戦術を存分に見せつけた上で、三田村は「全てを受け入れる」「3-0する」の2つを、見事に有言実行して見せた!

Mitamura Kazuya

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