◆明日のスターたち
15歳以下限定で行われているジュニア日本選手権。この大会は、レーティングで招待と店舗予選を勝ち抜いてきた総勢74名が火花を散らす、ジュニアの枠を大きく超えたハイレベルなトーナメントである。個人的な感想としては、上位卓の実力は、となりで行われていたアマチュア選手権を凌駕していると思う。それくらいレベルの高いトーナメントなのだ。
74名のプレイヤーを集めたジュニア選手権使われているデッキの中で人気なのが、UGマッドネスとWake。UGマッドネスが15人、Wakeが10人と、合わせて全体の1/3を占めている。このあたり、さきの世界選手権の結果を色濃く反映していると言えるだろう。当然といえば当然の割合である。
ところがこの大会の注目選手が選んだのはこれらのデッキではなかった。その選手とは、「ジュニアの世界選手権」ことジュニア・スーパー・シリーズ(以下JSS)出場経験者の宮森正栄。JSSではあまり振るわなかったものの、大人顔負けの高いスキルを持つ驚異の14歳だ。
その彼が今回選んだデッキは赤黒のゴブリン召集デッキだった。GPバンコクで藤田剛史が使い優勝したことにより、一気に日本全国に広がった強烈なビートダウンデッキだ。UGマッドネスをスピードで押し切り、Wakeの《神の怒り/Wrath of God》に対しては、《総帥の召集/Patriarch's Bidding》で対応できる。弱点である《仕組まれた疫病/Engineered Plague》を使うデッキも少なく、まさにベストチョイスと言えるだろう。
十分な実力と、正しい選択のデッキ。この二つを持っているプレイヤーはそうそう簡単に負けることはない。このデッキを使う彼は当然のように勝ち星を積み重ねていく。インテンショナルドローができる5回戦、6回戦も当然のようにプレイを選択し、あっさりと6連勝。実力をいかんなく発揮し、首位で予選ラウンドの突破を決めた。
しかしながら、優勝確実かと言われると必ずしもそうとは言い切れない。一番の問題点は、全体数としては少なかったはずの「《仕組まれた疫病/Engineered Plague》疫病入りのデッキ」がそれなりに残っていることだろう。《仕組まれた疫病/Engineered Plague》はこのデッキにとって《赤の防御円/Circle of Protection: Red》と並ぶ致命的なカードである。
また、彼のデッキは同キャラ対決にも一抹の不安を残す。他のゴブリン召集を使うほとんどのプレイヤーが同キャラ用のサイドボードを取っているのに対し、彼は全く取っていないのだ。そのあたりをどう乗り越えるか。なかなかに見ものである。
とはいえ宮森が大本命なのは間違いなく、明日(24日)の一番のポイントは誰が宮森を止めるのかというところになってくるだろう。GP横浜に勝るとも劣らない、未来のスーパースターたちの競演が注目される。