プロツアー・アトランタ・プレビュー

Posted in Event Coverage on March 10, 2005

By Keita Mori

プロツアー・アトランタ:イベント案内

古のアメリカの強豪、(左から)Preston Poulter、Mark Justice、Scott Johnsトーナメントプレイヤーの多くがエクステンデッドのメタゲーム(PTQフィラデルフィア)と格闘している中で、いよいよ今週末には2005シーズンで三大会目となるプロツアーが米国ジョージア州アトランタで開催されることになった。使用されるフォーマットはチーム・リミテッド形式。具体的には金曜日にチーム・シールドが、土曜日と日曜日はチーム・ロチェスターが行われる。そう、グランプリ大阪で適用されたのと同じフォーマットだ。

今回のプロツアーのホストタウンであるジョージア州アトランタというのはアメリカ南部にある自然の豊かな街で、おそらく、1996年に夏季オリンピックが開催された場所という印象が我々日本人には強いだろう。ここは世界中でお馴染みのコカ・コーラCNNが本拠を構えている土地であり、日本との時差は14時間(東部標準時)だ。

この街がマジック:ザ・ギャザリングのプロツアーをホストするのは1996年の「第4回プロツアー」以来となるもので、当時の最新セットはミラージュだった。ミラージュというのは「拡張セットとしてはじめて日本語訳された」記念すべきエキスパンションで、当時は現在のプレリリース・トーナメント的な役割をプロツアーが兼ねていた。そして、9年の歳月を経て、神河謀叛というエキスパンションのプロツアーお披露目式がアトランタに帰ってきたのだ。

海外の動向

さて、この久々のアトランタでのプロツアーはチーム戦フォーマットで行われるわけだから、本稿では注目すべきいくつかの有力チームについて皆さんに予習していただこうと思う。ただ、一番に取り上げさせていただくトピックは「とある強豪チームが解散してしまった」というニュースになってしまった。

在りし日のPhoenix Foundation、(左から)Baberowski、Blume、Budde・Phoenix Foundation(ドイツ)…トリオ解消
Kai Budde
Dirk Baberowski
Marco Blume

「鳳凰財団」こと「Phoenix Foundation」はチーム戦プロツアーに2大会連続で優勝しているチームで、マスターズでも優勝を飾っているという第一人者たちだ。そして、このチームの隆盛は、プロツアー通算7勝という実績を誇るスーパースターであるKai Budde(獲得賞金総額3600万円強)の栄光の軌跡そのものとも言えるだろう。エイプリル・フールにウィザーズ社は「我々は『鳳凰財団』に買収され、新組織のCEOにKai Budde氏が就任した」というジョークを公式ページに載せたこともあったほどで、誰もが認める王者が彼らだったということだ。

しかし、海外事情通の記者であるBDMことBrian David-Marshall(アメリカ)の話によると、このチームの「第三の男」的ポジションにいたMarco Blumeが海外のイベントに参戦することが難しい事情を抱えてしまった。そして、世界を代表するプレミアム・チームが惜しまれつつも解散ということになってしまったのだ。

そうなると、「仕方なくBuddeとBaberowskiは気心の知れた同国人、たとえばPatrick Mello(※プロツアー・バルセロナでベスト4に入賞したこともあるBuddeのルームメイト)あたりを候補に三人目を探すことになったのだろうか?」と邪推したくなるのは私だけではないだろう。

しかし、往年の帝王Kai Buddeが今回のイベントのパートナーに迎えたのは、プロツアー横浜で大礒 正嗣を決勝戦で退けて優勝したMattias Jorstedt(スウェーデン)と現在売り出し中のBernardo De Costa Cabral(ベルギー)だった。ちなみに、Cabralというのはグランプリ大阪にも遠征してきていたという精力的なプレイヤーで、「Olivier Ruelと加藤 一貴とトリオを組んでいた人物」と言えばわかる方もいるだろうか。

それでは、Buddeと離れることになったDirk Baberowskiは?

 

前出のBDMいわくでは、「どうも、プロツアー・コロンバスで『セプター・チャント』を披露したNick West(イングランド)あたりと組むとか組まないとかで…詳細は不明」とのこと。プロツアー自体を見送る公算も否定しきれないという。

BuddeとJorstedtが組んだ新チームが注目の存在であることは間違いないが、「あの『Phoenix Foundation』がとうとう解散してしまった」ということ自体が、ちょっと昔を知っているファンにとってはビッグニュースと言えるだろう。

はたして、今大会のBuddeはかつての神通力を失わずにいてくれるのだろうか?

ちなみに、今現在で「世界最高の構築プレイヤー」と言われているGabriel Nassif(フランス)がどのようなチームを組んでいるかも不明。「世界最高峰のリミテッダー」の一人と評されるAnton Jonsson(スウェーデン)も、同じく「世界最高峰」と言われているNicolai Herzog(ノルウェー)とのチームを解消し、地元の友人たちとトリオを結成したとか。そんな情勢であるだけに、今大会は海外勢トップどころのチーム編成そのものにも注目していただきたいところだ。

Von Dutchの(左から)Wiegersma、Remie、Cornelissen・Von Dutch(オランダ)
Kamiel Cornelissen
Jelger Wiegersma
Jeroen Remie

ここからは今大会でも健在であるチームの紹介だ。

カミール・コーネリッセン、イェルガー・ヴィーガーズマ、イェローン・レミー。我々日本人にとっては舌を噛んでしまいそうな名前が連なるオランダ人トリオは、チーム戦フォーマットのディフェンディング・プロツアーチャンピオンだ。チーム名はオランダを代表する強豪三人組という自負と、元ネタとなった有名ファッションブランド名の語呂の良さとで決まったという。

そんな、このチームでもっとも注目したいのはKamiel Cornelissenだ。彼はプロツアー・シアトルでの優勝以降も好調を維持し、2004年世界選手権でベスト8に進出した。最近でも、2005年2月のグランプリ・アイントホーヘンでも《手甲/Shuko》入りの「セファリッド=ライフ」デッキを仕上げ、見事に決勝ラウンドに駒を進めている。

日本を代表するチームたち

残念ながら、国内各地のプロツアー予選を突破したチームの参戦状況は把握できていないが、強豪たちのラインナップについて小室 修から情報を提供してもらうことが出来た。もちろん、プロツアー名古屋で優勝を飾った小室もプロツアー・アトランタに参戦するそうだ。

www.shopfireball-pros.comの(左から)石田、池田、岡本www.shop-fireball-pros.com
石田 格(東京)
岡本 尋(愛知)
池田 剛(福岡)

先日のBDMのインタビュー記事にて、各位から口々にチームフォーマットにおける非凡さを絶賛された石田 格(東京)が采配をふるう強豪チームだ。石田は百瀬 和之(東京)と安藤 玲二(東京)を率いた「Panzer Hunter」でマスターズ二大会連続準優勝を成し遂げ、その後、岡本 尋(愛知)と池田 剛(福岡)をパートナーとしてこの「www.shop-fireball.com2」(グランプリ大阪で現在のものに改名)を結成し、2004年のプロツアー・シアトルで準優勝を果たした。彼らは2005年の開幕戦となったグランプリ大阪でも準優勝を飾っており、今や常勝集団の風格さえ漂わせる存在となった。

彼らと国内で双璧をなすライバルチームの「P.S.2」が黒田 正城の仕事の都合で参戦できない以上、「Fireball」は事実上の日本勢大本命チームと言っていいだろう。石田の非凡さばかりが強調されるが、ともに個人戦プロツアーで決勝ラウンドを経験している両翼の力強さを決して忘れてはならない。

GatosBrilhantes(左から)の志村、小室、笹川・Gatos Brilhantes
笹川 知秀(山梨)
小室 修(東京)
志村 一郎(茨城)

「Gatos Brilhantes」は、もはや国際的な注目を集めるチームの一つだ。

彼らはチームとしてグランプリ大阪でベスト4に入賞しただけではなく、小室 修がプロツアー名古屋で戴冠したことによって大きくクロースアップされることになった。しかし、志村 一郎には昨シーズンのプロツアー・シアトルで「S.A.I」(志村、射場本 正巳、有田 隆一)の一員としてのベスト4入賞という実績があり、笹川も国内では知る人ぞ知る強豪だ。

今の段階では国際的には「小室のチーム」という見方をされていることだろう。しかし、小室と志村はこのチームのことを「笹川のためのチーム」と断言しており、笹川 知秀がそんな仲間たちの期待に応えることが出来れば、このチームはさらに一段上の高みへとのぼれるはずだ。

Hanatakkadakaの(左から)東野、藤田(剛史)、藤田(修)・Hanatakkadaka
藤田 剛史(大阪)
藤田 修(大阪)
東野 将幸(大阪)

関西の大御所三人組といった感の古豪トリオがこの「Hanatakkadaka」だ。

このチームを精神的支柱として牽引するのが藤田 剛史。彼は日本人として初めてプロツアーの決勝に勝ちあがった「開拓者」であり、国際的にも名デッキビルダーとして広く知られた存在だ。黒田 正城(大阪)をプロツアー神戸で優勝させた「Big Red」や中村 修平(大阪)をプロツアー・コロンバスで準優勝に導いた「R.D.W.」、さらには藤田自身をつい先週のグランプリ・シアトルでベスト8に導いた《ドラゴンの暴君/Dragon Tyrant》+《猛火の群れ/Blazing Shoal》入り《騙し討ち/Sneak Attack》デッキなど、ここ一年間だけでも恐ろしいほどの実績を残しており、自身も2004年度日本王者に輝いている。

藤田 修は、昨年度のプロツアー・アムステルダムで準優勝に輝いている人物で、その長いキャリアと安定した実績とで日本を代表する強豪の一人。最近のファンからすれば「第三の男」的存在に見えてしまっているかもしれない東野 将幸も、かつての日本王者であり、リミテッドフォーマットのグランプリを二回制覇しているという実力派だ。

アトランタでこのチームが大きな成果を挙げたとしても、それが「波乱」と呼ばれることは決して無いだろう。

One Spinの(左から)斉藤、津村、鍛冶・One Spin
鍛冶 友浩(埼玉)
斉藤 友晴(東京)
津村 健志(広島)

国際レベルで表現すると「現在売り出し中」のトリオという表現が適切そうな「One Spin」。彼らは先日のグランプリ大阪でベスト4に入賞し、個々人でもこの一年間で相応の成果を勝ち取ってきているプレイヤーだ。

鍛冶 友浩と斉藤 友晴は長い時間をともにして信頼関係を培ってきたパートナー同士で、そこに、グレイヴィ・トレインを捕まえたばかりという広島の18歳、昨年度日本選手権準優勝の津村 健志が加わって結成されたチームだ。

・名称未定チーム1
大礒 正嗣(広島)
森田 雅彦(大阪)
森 勝洋(東京)

日本人として北米のグランプリを初制覇した大礒 正嗣が「P.S.2」の若手二人と組んだドリームチームが参戦する。ちなみに、「P.S.2」そのものでの出場がかなわなかったのは、黒田 正城が仕事の都合で参戦できないため。森田&森のコンビのこのフォーマットにおける実力は、国内のチームグランプリ連覇、マスターズ・ベニス優勝といったパフォーマンスで実証済みだ。

もちろん、大礒 正嗣のシングルプレイヤーとしての経歴は日本人としては最高レベルのもので、プロツアー決勝ラウンドに4度進出というのは国際的な「殿堂入り」基準となっている「5回のプロツアー・サンデー」まで王手をかけている。森田もグランプリで13回のベスト8進出というパフォーマンスが国際的に評価されはじめたこともあり、世界からの注目度を集めている。森 勝洋に関しても、「グランプリ大阪で個人として無敗のままチームを優勝に導いた」という大記録がまぶしい。

おそらく、今週末のLive Coverageで何度と無く英語版記事のTopicをもにぎわすであろうスターチームだ。

・名称未定チーム2
中村 修平(大阪)
射場本 正巳(東京)
有田 隆一(東京)

これまた、プロプレイヤーならではの「お見合い婚」が成立したトリオだ。一方でチームメンバーから一人欠員が出てしまっていたチームがあり、他方でプロポイントを稼ぎ出すためにアトランタへ遠征するためのチームそのものを探している強豪がいて、彼らは幸運にも共通の利害を見出せたのだ。

プロツアー・シアトルでベスト4入賞を飾ったときのメンバーである志村 一郎がプロツアー王者でもある小室 修と組むことになったため、射場本と有田は三人目のプレイヤーを誰にするか思案のしどころだった。そして、プロツアー・コロンバスで準優勝と言う成果をあげている中村 修平という実力者を彼らは迎えいれることが出来た。

新時代へ

ここまで注目のチームをいくつかピックアップして紹介してきたが、もちろん、「鳳凰財団」ですら解散してしまうような時代なのだから、何が起こってもおかしくないと言えるだろう。おそらく、9年前の第一回プロツアー・アトランタではアメリカ勢が不振に陥り、欧州の後塵を拝することになろうとは……誰も予想だにできなかったはずだ。

昨シーズンのプロツアー・シアトルの段階では「チーム戦は日本人には勝ち目が無い」というのが一般論で、わずか5チームしか遠征してきていなかった。それが、小室 修からの情報によると、『「S.A.I」と「Fireball」の活躍もあって、今回は10チーム30名近い規模での日本勢がアトランタに遠征してくるだろう』ということだ。情勢は大きく変わろうとしている。

はたして、一年前の「S.A.I」のように、国際的にノーマークだった日本のチームが大きく飛躍することは出来るだろうか? ポスト「Phoenix Foundation」時代を迎えるプロツアー・アトランタにご注目あれ!

Latest Event Coverage Articles

December 4, 2021

Innistrad Championship Top 8 Decklists by, Adam Styborski

The Innistrad Championship has its Top 8 players! Congratulations to Christian Hauck, Toru Saito, Yuuki Ichikawa, Zachary Kiihne, Simon Görtzen, Yuta Takahashi, Riku Kumagai, and Yo Akaik...

Learn More

November 29, 2021

Historic at the Innistrad Championship by, Mani Davoudi

Throughout the last competitive season, we watched as Standard and Historic took the spotlight, being featured throughout the League Weekends and Championships. The formats evolved with e...

Learn More

Articles

Articles

Event Coverage Archive

Consult the archives for more articles!

See All