フランスの強豪 Benjamin はGP での活躍が目立つ選手。前回の Pro Tour Venice でも 20 位に入賞している。対する大礒。もう日本のファンにはお馴染みだと思うが、Hato Beam の天然核弾頭。今年度の Rookie of the Year レースを現在首位で走っている。もっとも、二位につけている Craig も初日 6-1 、Round 8 も勝利と追走を続けるだけに、Rookie を獲得する為には一戦一戦が負けられない試合である。
Game 1
長い長いデッキチェッキの後に勝負が始まる。大礒のデッキは赤白、対する Benjamin は赤緑。先行を取り、まず《戦場の衛生兵/Battlefield Medic》を召還した大礒だが、3 ターン目に土地がとまってしまう。逆に Benjamin は《エルフの戦士/Elvish Warrior》から変異と好調な滑り出し。
だが、1 ターン遅れの土地に出会えた大礒は変異を召還しなんとかキャッチアップ。だが、Benjamin はその隙を見逃さず、すかさず高速展開を行う。《幸運を祈る者/Wellwisher》に続けて《樺の知識のレインジャー/Birchlore Rangers》《エルフの騎手/Elven Riders》と召還し、この時点で既に場に四体のエルフが。未だ攻撃手段を持たない大礒。二体目となる《戦場の衛生兵/Battlefield Medic》を召還し、とりあえずライフを減らせないが減らさない体勢を作ろうと努力する。
そうはさせない。ここで、Benjamin は《幸運を祈る者/Wellwisher》を除く全軍を攻撃に送る。だが、大礒は落ち着いてこれを裁きにかかる。《樺の知識のレインジャー/Birchlore Rangers》が殴ってきている以上相手の変異に何か仕掛けがあるか、手札に何かがあるはずだ。まずはあの変異から確認しよう。
二体の変異で Benjamin の変異をブロックする。これが予想通りに《野生の守護人/Patron of the Wild》。《戦場の衛生兵/Battlefield Medic》がいるおかげで、Benjamin にしてはあまり嬉しくない 一対一交換となる。しかし、この攻撃で六点のダメージが通り、増え続ける Benjamin とは対照的に大礒は追いつめられていく。
飛行生物か壁を出さない事には、《エルフの騎手/Elven Riders》が止まらない。既に大礒のライフは6 まで減ってしまっている。残るターンは僅かである。
残りライフ3。手札には《プラズマの連鎖/Chain of Plasma》。だが相手は手札にカードを抱えており。これを《エルフの騎手/Elven Riders》に使ってしまうとコピー火力によって自分のライフが...。大礒はあがく。相手の《幸運を祈る者/Wellwisher》を《脅しつけ/Threaten》によって僅かのコントロール件を得ると、四点のライフを得、自分のライフを火力圏外へ持ち込む事に成功する。
ここからは逆に Benjamin が我慢の時だ。序盤の攻勢が嘘のようにただただ土地を引き続ける。《幸運を祈る者/Wellwisher》のおかげでライフこそ未だ 40 以上と余裕があるものの、場を完全に制圧され、ライフを減らす一方だ。あげくに、《猛士の襲撃/Commando Raid》によって《幸運を祈る者/Wellwisher》の命運も尽きてしまう。
こうなると力強いのが大礒を守る二体の《戦場の衛生兵/Battlefield Medic》。この医療チームの活躍が、Benjamin の動きを縛りに縛る。何しろいくらブロックしようとも、瞬時の治療が行われ、大礒の陣営が減らないのである。《ワイアウッドの伝令/Wirewood Herald》から《鉤爪の統率者/Caller of the Claw》を取得し、ただひたすら時を待つ。
そして、エルフ達はついに主君を迎える。《森林の声/Voice of the Woods》! 場に並ぶ五体のエルフ。祈りの声が巨大な虫を呼び寄せる。
再び天秤は傾くかに思えたが、ここで大礒が大事に隠しておいた変異が爆発する。《開戦のラッパ吹き/Warbreak Trumpeter》が合図を鳴らすと、次々とゴブリンが集結し、《ゴブリンのそり乗り/Goblin Sledder》の支持の元、一目散に虫トークンによってブロックされた《ダールの槍騎兵/Daru Lancer》に力を授けて去っていく。
これが決めてとなった。エルフを失うわけにいかぬ Benjamin は全てのブロックを虫一体に任せた。全てはそれが次のターンも支えてくれるというプランの元だ。
しかし、虫墜ちる。同時に Benjamin のライフも 6 まで減少し、次のターンには各エルフがチャンプブロックを強制されてしまう。
また一つの森がゴブリンによって終焉を。
Oiso 1 – Benjamin 0
Game 2
あまりに白熱した Game 1 のおかげで、残り時間は僅か 12 分。
《エルフの戦士/Elvish Warrior》、《戦場の衛生兵/Battlefield Medic》と再び順調にゲームが進むかと思ったが、Benjamin が変異を召還した返しで大礒は土地を置くのみ。並んだ土地は平地平地平地。
ん、ひょっとして。
真っ赤だなー真っ赤だなー大礒の手札が真っ赤だなー
死亡。
Oiso 1 – Benjamin 1
Game 3
大礒の場に並ぶは山山。そのどっちかに寄せる癖はどうにかならないものでしょうか。なりませんか。そうですか。
そう、今回は逆の山事故が大礒を襲う。だが、平地と山は大きく違う。何故かって? だって山があれば《火花鍛冶/Sparksmith》は召還出来るんだぜ!
召還出来るだけで、火力で死ぬんだけどな!
一方の Benjamin は《幸運を祈る者/Wellwisher》から変異、でこの変異が表返って大礒の変異を殺す。そう《スカークの匪賊/Skirk Marauder》だ。とても《森林の声/Voice of the Woods》とは思えない立ち上がり。
だが、大礒もようやく平地を。《炎波の発動者/Flamewave Invoker》《ゴブリンの乱伐者/Goblin Clearcutter》《戦場の衛生兵/Battlefield Medic》から《共同の功績/Shared Triumph》(ゴブリン)と並べる。
Benjamin 側にも、二体の《クローサのむさぼり獣/Krosan Vorine》、《エルフの騎手/Elven Riders》と並ぶ。
膠着すると生きるのが《幸運を祈る者/Wellwisher》だ。こつこつ増える Benjamin のライフは 23 。《エルフの騎手/Elven Riders》こそ《プラズマの連鎖/Chain of Plasma》で倒したが、すぐに次のエルフが到着してしまう。
ここでタイムアップ。だが、デッキチェックによる追加時間が 11 分ある。引き分けをするにはまだ早すぎる。決着をつけたい両者だが...
ここでちょっとした、意思疎通ミスが。大礒に Benjamin が手札の枚数を訪ねるが、大礒はターン終了かと思いライブラリーに手をやってしまう。だが、Benjamin はすぐにそれを阻止。Benjamin も誤解だと解っているので、思わずぷっと笑う。だがミスはミスということで、ジャッジが一応 Benjamin に次のドローを確認させる。
ここはマジック最高レベルの大会、Pro Tour だ。ゲームはジャッジの元、厳密公正に行われる。
Benjamin のフルアタック、大礒は二体の《クローサのむさぼり獣/Krosan Vorine》にブロックを強制され、少し歪なブロックを行う。そして、レスポンスを怖がったのか、ダメージがスタックに乗った後に、エルフを《ショック/Shock》で除去する。これで大礒のライフが 7 に。
大礒は表で《ダールの槍騎兵/Daru Lancer》を召還する。ハンドに握り締めていた。
しかし、時はそこで止まった。Benjamin は残った一枚の手札を大礒に向かって放つ。《焼けつく肉体/Searing Flesh》、七点。大礒のライフも七点。
ぴたり賞。マジックにもしは無い。無いのだが、もし仮にさっきの《ショック/Shock》がダメージスタック前に使われていれば... もし Game 2 で事故ってさえいなければ...
Rookie of the Year レースの行方は混沌としてきたようだ。
Oiso 1 – Benjamin 2