ラウンド 11: 信下 淳 vs. 安藤 玲二

Posted in Event Coverage on September 2, 2005

By Daisuke Kawasaki

信下 淳

「何年前の日本選手権だよって話だね」

試合開始前の二人の会話が印象的だ。

日本選手権が今年で10年目になるということは、多くの記事で触れてきた。それだけに、古豪たちの復活と活躍というトピックがある事も忘れるわけにいかない。

津村 健志(広島)や大礒 正嗣(広島)の様な新世代のデュエリスト達が台頭し、今回もきっちりと成績を残している。そんな中で、この信下や安藤、また懐かしい所では三津家 和彦などが初日6-1の末にセカンドドラフトを2-1で折り返し、好位置につけていたりする。

昔のほど頻繁にはマジックをプレイしなくなったデュエリストが日本選手権にでようという場合、そのデュエリストは大会に向かってどのような準備をするのだろうか?

例えば、三津家の場合、マジックオンラインを中心に調整を続けているとか。

安藤 玲二が自分の黒へのこだわりを中心にデックを選択し日本選手権に臨んだことも以前の記事で紹介したと思う。

対する信下は、コントロール好きとして知られている。やはり信下も自分の好きなアーキタイプのデック、自分の好きな色(青)のデックを選択してきたのだろうか。信下のデックは青トロンである。少なくとも、筆者は対戦前には安易にそう考えていた。

Game 1

先手は安藤。マリガンはお互いに無い。

1ターン目、安藤は《霊気の薬瓶/AEther Vial》、信下は《血清の幻視/Serum Visions》とお互いの1ターン目の行動としては順当な立ち上がり。

だが、その後の動きは違った。なんと安藤は3ターン目になっても一切パーマネントを展開できなかったのだ。これは、3マナ以下のクリーチャーで手札破壊をしつつクロックをかけてプレッシャーを与えていくことをメインの戦略にすえたVirigian Ratsというデックタイプにとってこれは非常に好ましくない事態だ。安藤もそれは当然熟知しており、4ターン目になんとかクリーチャーを展開する。そのクリーチャーとは対象のいない《ネクラタル/Nekrataal》だった。

そんな、かなり困った状況の安藤を尻目に、信下は4ターン目に《ウルザの塔/Urza's Tower》をセットし、最速でウルザトロン+青マナのセットを完成させる。

そして、その4ターン目に撃った《血清の幻視/Serum Visions》の占術でめくられたカードが…《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》と《精神隷属器/Mindslaver》。当然この2枚をそのままにして、カウンター用の青マナを確保する為に《金属モックス/Chrome Mox》をセットする。

安藤は、なんとか自分の《霊気の薬瓶/AEther Vial》以外の対象が出来たと喜び勇んで《金属モックス/Chrome Mox》を対象に《ヴィリジアンのシャーマン/Viridian Shaman》。なんとか十分にプレッシャーを与えられそうなクロックを用意する。もっとも、信下の場に揃ったウルザトロンとライブラリートップの2枚のカードさえ見なければ。

《ヴィリジアンのシャーマン/Viridian Shaman》を戻しつつ、《鬼の下僕、墨目/Ink-Eyes, Servant of Oni》登場で安藤のクロックはより強化されるが、なんといっても次のターンに信下がキャストするスペルは《精神隷属器/Mindslaver》に決まっている。ちょっと位のクロックは焼け石に水である。

安藤:ねぇ、なんとか起動前にシャーマンでそれ(《精神隷属器/Mindslaver》)壊せないの?

信下:ぜったいに無理だよ

そんなやり取りをはさみつつ、《精神隷属器/Mindslaver》で信下が安藤のターンを奪ってみると…安藤の手札にはもう1体の《鬼の下僕、墨目/Ink-Eyes, Servant of Oni》が。墨目は普通にキャストされ、レジェンドルールによって退場する事になる。

そして、《血清の幻視/Serum Visions》の贈り物の第二段、《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》が信下の場にあらわれる。安藤も意地でマナリーク用の3マナを残しつつ《ネクラタル/Nekrataal》をキャストし、《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》を墓地に置くことには成功したのだが、《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》が全ての土地と引き換えに生み出した8体のスピリットトークンには手も足も出せなかった。

信下 1-0 安藤

Game 2

先手の安藤がマリガン。

一方の信下の手札は、《ウルザの塔/Urza's Tower》が1枚に《金属モックス/Chrome Mox》が1枚。マナソースはそれだけだ。一応《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》はあるものの、マナが信条である青トロンでこの手札はちょっと厳しそうだ。

だが、信下はノータイムでキープ。

1ターン目に動きの無い安藤を尻目に、ファーストドローで《呪師の弟子/Jushi Apprentice》を引き当て、《金属モックス/Chrome Mox》からキャスト。続くターンで安藤が《困窮/Distress》をキャスト。心の中で《強迫/Duress》の方がいいなぁと安藤が思っていたかいなかったかはわからないが、とにかく信下の要である《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》を引き抜いた。

だが、信下も負けてられない。がっつり《島/Island》を引き当て、《呪師の弟子/Jushi Apprentice》を起動できる体制を作り上げる…が、《惑乱の死霊/Hypnotic Specter》を《マナ漏出/Mana Leak》したターンをはさみつつ、一回こっきりの起動で《肉体の奪取/Rend Flesh》されてしまう。

…しかし、安藤も後続が続かない。そんな中で、地道にドロースペルをキャストし続けた信下がついにウルザトロンをそろえ、《トリスケリオン/Triskelion》を場に出す。

そして、次のターンに4マナ余らせて場に出た《精神隷属器/Mindslaver》を見て安藤は投了を宣言した。
 
かくて、信下がベスト8をほとんど当確とする10勝1敗という成績になった。

信下 2-0 安藤

デュエルが終了した信下に、何気なく質問をしてみた。

――なんで青トロンをえらんだんですか? やっぱり青が好きだから?

信下:いや、単純に一番強いからですよ。

――あー、なるほど。デックの中身はスタンダードな感じですか?

信下:全然違うよ!

そして、信下は、自分のデックのシークレットテックを教えてくれた

・《モックス》を増やして速度をあげたこと。
・《弟子》が《ネズミ》に対して有効であること。
・《ネズミ》を考えれば《連絡/Tidings》が強いが、赤いデッきへの耐性を考えて採用していない事。
 etc…

 そして、そんな中で、なぜ2戦目にマリガンをしなかったかも説明してくれた。

信下:ネズミデックって、手札を全部使い切ってやっと優位を築くデックじゃない。だから、ネズミがマリガンした場合、マリガンして相手のマリガンを帳消しにしちゃわない方が勝てる可能性が高いのよ。

安藤 玲二

なるほど。その言葉は確かなプレイテストの裏づけを感じさせるものだった。

――相当プレイテストをされたのですか?

信下:んー、モリカツ(森 勝洋)が夏休みずっと名古屋にきてたから、練習しまくってたね。一週間に80時間くらいかな。ほら、あいつプレイ早いからアイツと80時間やったら160時間やった位の効果はあるね。しかも、プレイングも確かだし。

この信下の発言はこういっているように聞こえた。
 
練習に必要なのは量でもない、質でもない。両方なんだよ。
 
マジックから離れていて、大会に出ようとした時にどうすればいいか。答えは、その隙間を補えるだけの練習量を積むこと。

そんなあまりにも当たり前の答えを信下は身をもって示した。

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