ラウンド 16: 岡本尋 vs. Daniel Zink

Posted in Event Coverage on August 8, 2003

By Keita Mori

"This Time Japanese Deck is Number 1"
-Gary Wise

デッキ分析記事は他稿に譲るにせよ、ともかく今回の日本勢の赤単色が会場中の注目を集めている存在であることは間違いない。その新時代のゴブリンデッキを携え、岡本尋は本日怒涛の3連勝というパフォーマンスをここまで見せてくれている。そして、とうとう岡本のマッチポイントは37点という高みにまでのぼりつめたのだ。

推定当確ラインは40点。
そう、この試合は岡本尋にとってのまぎれもない決勝戦となった。

Game 1

先攻は開幕ターンに《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》を召喚という立ち上がりで、対するドイツのZinkは「自分に」《陰謀団式療法/Cabal Therapy》をプレイするという第一手だった。

指定されたカードは《新緑の魔力/Verdant Force》で、公開された残りのハンドの内容は《沼/Swamp》、《再活性/Reanimate》、《死体発掘/Exhume》、《納墓/Entomb》というラインナップ。

ちなみにZinkのデッキはいわゆるドイツ式、すなわち単色ではなく青い《渦巻く知識/Brainstorm》や《入念な研究/Careful Study》の投入されたヴァージョンである。ともあれ、どんな色のリアニメイターであれ、2ターン目にファッティを降臨させられたら上々の展開といえるだろう。

しかし、Zinkが上々と呼べるなら、岡本の展開は極上だった。

第2ターン、《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》のアタックから誘発能力によって《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》を場に出し、さらにそのメダリオン能力にモノをいわせて《ゴブリン徴募兵/Goblin Recruiter》と《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》とを岡本は召喚したのである。かくて、土地を1枚しか置いていない段階でZinkの目の前には4体ものクリーチャーが並べられることになった。

もちろん、ここでプレイされた《ゴブリン徴募兵/Goblin Recruiter》というのが今回のゴブリンデッキの重要なキーカードであることは言うまでもないだろう。岡本がライブラリーにつみこんだのは以下の通りだ。

《ゴブリンの女看守/Goblin Matron
《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander
《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》×2
《火花鍛冶/Sparksmith
《宝石の手の焼却者/Gempalm Incinerator
《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader

呆気にとられたような、そして苦虫を噛み潰したような表情のZinkは第2ターンに《死体発掘/Exhume》をプレイしてターン終了。おそらく、彼の知っているスライのほとんどをこのパターンでハメ殺せるはずであろう。しかし、岡本のデッキはそうもいかないのだ。

そして、続く第3ターンの岡本のドローはさきほど積み込んだ《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》。これと手札にあった《スカークの探鉱者/Skirk Prospector》&《モグの狂信者/Mogg Fanatic》を召喚し、《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》のヘイストの恩恵にあやかって全軍突撃を敢行。豪快に7体のゴブリンがレッドゾーンに送り込まれた。

そして、岡本尋は攻撃クリーチャー指定後ブロック宣言前のタイミングでレッドゾーンにいる《モグの狂信者/Mogg Fanatic》を生贄にささげ、Zinkの側の苗木トークンを丁寧に除去。これは2体の《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》の戦闘時に誘発される特殊能力を最大限活用しつつ、チャンプブロックを許さないという精確なプレイだ。これによって、Zinkの虎の子の《新緑の魔力/Verdant Force》も《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》の片方と相打ちをとらざるをえない状況となるという具合である。

かくて、Daniel Zinkは3枚目の土地をプレイする機会を得る前に投了せざるを得なかった。

岡本-1 Zink-0

Game 2

一戦目の悪夢の再現だけはなんとしても阻止したいZinkは、開幕ターンにプレイした《陰謀団式療法/Cabal Therapy》でノータイム《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》を指定。結果としてこれは外れで、岡本のハンドにあるスペルは《ゴブリンの暗殺者/Goblin Assassin》、《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》、《モグの狂信者/Mogg Fanatic》という内容であることが明らかになった。

岡本は素直に手筋に従って《モグの狂信者/Mogg Fanatic》、《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》とハンドのゴブリンたちを展開していくしかなく、Daniel Zinkはようやっと猶予時間をもらえることになった。そこで、《納墓/Entomb》で《新緑の魔力/Verdant Force》を埋め込み、《吸血の教示者/Vampiric Tutor》で《死体発掘/Exhume》を調達という次第。

しかし、第4ターンに《新緑の魔力/Verdant Force》でアタックを開始しつつトークンをエサに《陰謀団式療法/Cabal Therapy》をフラッシュバックしたZinkは...岡本に反撃の糸口が育まれつつあることを確認することになった。そう、指定した《ゴブリンの暗殺者/Goblin Assassin》を捨てさせたものの、すでに岡本は《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》と《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》というエンジンのキーへとアクセスしていたのである。ちなみに、岡本はすでに1枚《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》を展開しており、2体目までもが降臨することになると、さらなるメダリオン効果の恩恵を受けて大変なことになってしまうだろう。

こうなると、岡本が第4ターンに目論んでいることが2体目の《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》展開からの《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》召喚であることは明白。ここで、Zinkはこの《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》2体目召喚にスタックして《血の復讐/Vendetta》を1体目にプレイ。メダリオン効果をあてにしていた岡本のテンポをサイドボードカードの一撃で狂わせた。

そんなわけで、岡本が肝心の《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》をプレイできたのは5ターン目となってしまった。2発のファッティ・アタックによってすでに岡本尋のライフは6点しか残っていないわけだが、ここでめくれたライブラリーから《モグの狂信者/Mogg Fanatic》、《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》、《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》と出現したことは幸いだった。とくに《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》は《新緑の魔力/Verdant Force》の大きな副次能力であるブロッカー量産というシステムを完全に封じ込めてしまうわけで、これがプレイできれば戦況はだいぶちがったものになるだろう。

しかし、この試合引き分けでもよかったZink(すでに39点を獲得している)はここで執念を見せた。《汚染された三角州/Polluted Delta》を使用して《島/Island》を調達し、《入念な研究/Careful Study》。墓地に《のたうつウンパス/Thrashing Wumpus》と《戦慄をなす者ヴィザラ/Visara the Dreadful》を送り込み...ハンドには待望の《陰謀団式療法/Cabal Therapy》を引き込んだのだ! 

かくて、《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》がプレイグランドにインパクトを与えることはかなわなくなり、《のたうつウンパス/Thrashing Wumpus》によって場を完全にコントロールされてしまう青写真も明らかとなった。

岡本投了。

Zink-1 岡本-1

Game 3

両者気迫を全面に押し出して一挙手一投足にともかくオーラを感じるような勝負となった。

残り時間も少ないこともあり、最悪なんとか引き分けに持ち込みたいのがZink。そして、ここ2ラウンドのFeature Matchでだいぶデッキがネタバレしてしまったために...なんとか勝てる試合を勝っておきたいのが岡本だった。

開幕ターンの《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》を《血の復讐/Vendetta》し、2ターン目に《ゴブリン徴募兵/Goblin Recruiter》を出されてしまったものの...ハンドに腐っていた《共生のワーム/Symbiotic Wurm》を《陰謀団式療法/Cabal Therapy》で自ら墓地へと送り込むことが出来たZink。ちなみにここで公開したハンドは《吸血の教示者/Vampiric Tutor》、《死体発掘/Exhume》、《島/Island》という内容だった。

先手の岡本は《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》を展開して《ゴブリン徴募兵/Goblin Recruiter》と2体でアタックをしかけてきたものの、大事に至る前に《死体発掘/Exhume》で《共生のワーム/Symbiotic Wurm》をプレイし、これをコストにフラッシュバックの《陰謀団式療法/Cabal Therapy》で岡本のハンドに干渉することができた。さて、ここで何を指定しよう?

まあ、岡本が第2ターンに《ゴブリン徴募兵/Goblin Recruiter》で積み込んだカード(もちろんZinkはメモしてある)には《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》がなかったため、岡本のハンドには憎きあのカードが潜んでいるだろう(Zink脳内を予想)。そんなわけで、ここで指定するのはもちろん《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》ということに決まったのだった。

だがしかし! 岡本の公開したハンドは《宝石の手の焼却者/Gempalm Incinerator》、《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》、《スカークの探鉱者/Skirk Prospector》という内容だった。マジマジと2ターン目に岡本が積み込んだカードのメモを確認するZink。

...《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey
《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief
《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader
《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》×2
《ゴブリンの女看守/Goblin Matron

そう、岡本は《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》を積み込んでいないし、ハンドにも抱えていなかった。なぜなら《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》で必要になったときにチューター出来るからだ。

ともあれ、そんなこんなのうちに60分を過ぎてタイムアップのアナウンス。

リアニメイターとゴブリンが3本目を終わっていないということで、いかにひとつひとつのプレイが慎重かつ丁寧に行われていたかおわかりいただけるだろう。ご存知の方も多いかもしれないが、岡本のプレイスタイルは迅速を尊ぶというよりは熟考型なのである。そして、対峙するZinkもそのカテゴリーのプレイヤーであるようだった。

・延長1ターン目(岡本)

岡本はハンドから《スカークの探鉱者/Skirk Prospector》を展開し、不要となった《ゴブリン徴募兵/Goblin Recruiter》を生贄に捧げて、2枚の土地とあわせて《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》を召喚。

ここで《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》、2体の《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》、《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》をハンドに積み込んだ。

そう、次なるターンの演目は狂騒のゴブリンダンスだ。

・延長1ターン目、エンドステップ

Daniel Zinkは《吸血の教示者/Vampiric Tutor》をプレイした。
...したのだが、果たして何を積み込んだものか実に悩んでいた。そして、彼が出した結論は《汚染/Contamination》だった。

痛恨のミスプレイである。

・延長2ターン目(Zink)

Daniel Zinkに必要なのはたった1点のマッチポイントだった。

なぜなら、決勝ラウンド進出に必要なのは40点(限りなく事実に近い推測だが)で、すでに彼は13勝をあげて39点に達していたからだ。そして、延長5ターン目で決着がつかなければまさしく彼の望みどおりの「引き分け」という結果が望めたわけで...つまるところDaniel Zinkが積み込むべきは《仕組まれた疫病/Engineered Plague》だったのだ。

岡本の《山/Mountain》はたしかに赤マナをうみだせない。しかし、岡本はゴブリンの生き血を赤マナに変えることのできるエンジンを完成させているというのに、Zinkは《汚染/Contamination》をプレイしてターンを終えたのだ。

Zinkはしばらく《スカークの探鉱者/Skirk Prospector》にうなされるかもしれない。

・延長3ターン目(岡本)

さあ、手品の時間だ。

岡本は《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》を赤マナに変換し、《山/Mountain》から出した黒マナとあわせて《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》を召喚。もちろんここでライブラリーからアクセスするのは...《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》。

《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》を赤マナ変換し、《山/Mountain》からの黒マナとあわえてすぐさま《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》を召喚。《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》が存在するため、このPingerはただちにZing陣営の1/1トークン(ワームのなれの果て)を端から撃ち殺していった。

その《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》もZink本体に1点の最後っ屁を叩き込んでから...新たな赤マナのためにサクリファイスされた。もちろん、《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》一号機を登場させるためである。さらに《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》もマナ変換して《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》二号機も降臨。

そして...あたりを取り囲む日本勢が歓声をあげ、Mark Rosewaterがスコアボードの数字を変えた。そう、それは岡本尋が日本勢初となる世界選手権ベスト8進出を決めた瞬間だった。

尋さん、おめでとう!

Final Results:岡本-2 Zink-1
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