
Top 8 に必要なラインは 36 点。ここに登場する二人の点数は共に 33 点。勝者は 3 点と明日への権利を獲得し、敗者はただ無念の涙を飲む。もっとも、36 点ゾーンに並んだ人数次第では、オポーネントマッチ%による勝負となるが、とにもかくにも勝たねば全て始まらない。
2003 PT New Orleans の最終戦で、志岐は鍛冶とのマッチが組まれた。志岐にとってそれは今回と同じく Top 8 を賭けた一戦だった。だが、志岐は鍛冶に破れ Top 8 入りを逃している。
森田については今更多くを語る必要は無いだろう。福岡・札幌・静岡、三度のグランプリトップ 8 を始め数多くの成績を残しているトッププレイヤーの一人である。
共に決して譲れない一戦。勝利の女神はどちらに微笑むのだろうか。
Game 1
先手を取った志岐は、《大焼炉/Great Furnace》から《電結の働き手/Arcbound Worker》を。森田は《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》を。
ここで、いきなり志岐から悲鳴に近い声が。二枚目の土地が無いのだ。仕方なくもう一体の《電結の働き手/Arcbound Worker》を出すが、芳しい状況では無い。
森田は静かに土地を置き終了。
志岐は、ここでも土地を引けず。だが、代わりに《頭蓋骨絞め/Skullclamp》をセットする。これが残るようならば《電結の働き手/Arcbound Worker》は簡単に土地を含むドローへと変わるだろう。二体の電結生物が攻撃。これに《チス=ゴリアの歯/Tooth of Chiss-Goria》が力を加え、森田のライフが 16 へ。
森田は土地を置くだけで、再び動かず。森田の場には三枚の土地が並んでいる。
志岐はようやく土地をセットすると《頭蓋骨絞め/Skullclamp》を設置。電結ブラザーズの片割れへの装着を宣言する。森田がここで動いた。装着対象に対し《とげの稲妻/Barbed Lightning》を放つ。だが、これは志岐も予想していた。冷静に残された兄弟にカウンターを移し攻撃を敢行する。森田 13。
またもや土地を置くだけの森田。デッキ的な動きで言えば、ここで《弧炎撒き/Arc-Slogger》に繋がる《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》を召喚したいところだが、引きがぴりっとしない。
対照的に順調に展開を続ける志岐。《チス=ゴリアの鱗/Scale of Chiss-Goria》を設置すると《マイアの処罰者/Myr Enforcer》へと繋げる。
《頭蓋骨絞め/Skullclamp》を 2/2 に育った《電結の働き手/Arcbound Worker》に装着。一度レスポンスを考えた森田だが、ここは何もせず。この《電結の働き手/Arcbound Worker》と《マイアの処罰者/Myr Enforcer》がレッドゾーンに侵攻する。
森田は《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》にマナを注ぎ空飛ぶ生物に変形させると、《電結の働き手/Arcbound Worker》へのブロックに向かわせた。《電結の働き手/Arcbound Worker》は《頭蓋骨絞め/Skullclamp》が装着しているため 3/1 だが、志岐の場には《チス=ゴリアの鱗/Scale of Chiss-Goria》がある以上これは相打ちを狙ったものではない。ダメージスタック前に志岐が《マイアの処罰者/Myr Enforcer》に《チス=ゴリアの歯/Tooth of Chiss-Goria》の使用を宣言すると、ブロックしていた《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》をコストに《爆片破/Shrapnel Blast》を《マイアの処罰者/Myr Enforcer》に。
志岐は更に《エイトグ/Atog》を追加する。既に致死量に十分なアーティファクトが並んでいる。赤いデッキではアーティファクトへの対抗手段はあれど、赤くサイズの大きいクリーチャーに対する手段はほぼ無い。
なんとかこのターン、ダメージをくらわずに終えた森田だったが、代償に五枚目へと繋がる土地を失ってしまった。森田は次のターンに《弧炎撒き/Arc-Slogger》を引く。仕方なく再び四枚目の土地を置くとターンを終了する。
志岐は二枚目の《頭蓋骨絞め/Skullclamp》を 2/2 の《電結の働き手/Arcbound Worker》に装着。生け贄の代償に四枚のカードを引く。一枚一枚確認すると明確な意志と共に行動に移った。
手札から、赤マナを含め 2 マナを残せる範囲で展開を行うと《エイトグ/Atog》での攻撃を宣言。森田のライフは 13 だが、《チス=ゴリアの歯/Tooth of Chiss-Goria》を含め三つのアーティファクトを貪りパワーを 8 へとあげる。
「ダメージをスタックしていいですか。」
志岐は確認した。森田に何か対応する手段があるわけもなく、彼はただ頷いた。森田のライフが 5 へと減る。残るは予定通り《爆片破/Shrapnel Blast》でぴたり。
森田 0 - 志岐 1
Game 2
森田が少し時間をかけてキープしたのとは対照的に、志岐は初手を見るやコンマ何秒という早さでマリガンを宣言。
最初に動いたのは志岐。2 ターン目に《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》からスタートするが、これにはすぐさま森田が《残響する破滅/Echoing Ruin》を。

志岐は直ぐさま《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》《頭蓋骨絞め/Skullclamp》を並べる。
そして惨殺が始まった。森田がキープした初手には、親和への対抗策である二枚の《減衰のマトリックス/Damping Matrix》が含まれていた。だが、その二枚は最後まで手札に残ったままだった。三枚目の土地を求めて森田が引いた最後のカード、それは…
三枚目の《減衰のマトリックス/Damping Matrix》。
仕方ないなと、志岐の勝利を讃えるため森田はそっと手を差し出した。Top 8 への優先権は志岐の手に渡った。志岐はこれから他のゲームの解決を待つ時間を味わう事となる。解決後どうなるか、それは最終発表で確認して欲しい。
森田 0 - 志岐 2