A:Marco Blume vs Justin Schneider
B:Kai Budde vs Michael Krzywicki
C:Dirk Baberowski vs Mike Long
Pro Tour、Masters を通して尋常じゃない成績を残している Phoenix Foundation。皇帝 Kai Budde を筆頭に、個人でもリミテッド Pro Tour を優勝している Dirk Baberowski、そして先日 GP を勝利したばかりの巨漢 Marco Blume からなる世界最強チームである。
対する (3x1)-1+1 は、Mike Long とSchneider と懐かしい顔ぶれが並ぶチーム。元々は White Widow という名前のチームだったが、何故か今回謎の名前で登場している。Mike Long はミラージュブロック構築が行われた Pro Tour Paris でプロス・ブルームと呼ばれたコンボデッキを使用し優勝したのを始め幾多もの輝かしい成績を残した古豪で、近年はカードショップの経営に力を入れている。もう一人の Justin Schneider だが、古いプレイヤーならシュナイダー・ポックスというデッキ名を覚えているのではないだろうか。古き時代に活躍したデッキビルダーの一人だ。
B:Kai Budde vs Krzywicki
Game 1
黒対決。先手の Kai は《萎縮した卑劣漢/Withered Wretch》からの好調な滑り出し。手札には《ゾンビの殺し屋/Zombie Cutthroat》《墓生まれの詩神/Graveborn Muse》《死体の収穫者/Corpse Harvester》が待機する万全の構え。
しかし、それも4マナ以上が揃えばの話。しばしの間互いの土地は三枚で止まり、変異と変異がぶつかりあっては墓地を肥やしていく。
先に四枚目を引き当てたのは Kai だった。同時にこれは《墓生まれの詩神/Graveborn Muse》の登場を意味する。事故気味の両者にとって一枚と二枚の差はとてつもなく大きい。この差はすぐに場にも現れた。追加のドローは Kai の熱望していた土地をもたらし、《死体の収穫者/Corpse Harvester》までもが場に登場してしまう。
Kai の場には二体の変異、《墓生まれの詩神/Graveborn Muse》、《死体の収穫者/Corpse Harvester》。
krzywicki の場には変異が二体。
Kai は相手に猶予を与えず、全軍での攻撃を開始した。
しかし、Krzywicki に秘策有り。
《死体の収穫者/Corpse Harvester》を防御した変異に三つの黒マナが注がれると、この場面で最高の正体を明かす。
《魂の収集家/Soul Collector》!
《死体の収穫者/Corpse Harvester》を殺害するどころか、一気に自らの陣営に寝返らせる最高の場面を演出する。これで Kai の予定表にも大きな修正が必要となった。
Kai の場にも《金切り声のノスリ/Screeching Buzzard》が登場するが、飛行を持った《魂の収集家/Soul Collector》の前には攻撃に行けず、手札にある《戦慄の葬送歌/Dirge of Dread》もほぼ黒単色の Krzywicki には効果が乏しい。ようやく引き当てた平地と共に《エイヴンの救い手/Aven Redeemer》を出すが戦況は混沌。
Krzywicki は《長引く死/Lingering Death》を《墓生まれの詩神/Graveborn Muse》に装着。《魂の収集家/Soul Collector》でこれをブロックする選択肢もあったが、序盤のダメージでライフが乏しい Krzywicki がそれを選ぶと即死。変異でブロックするにとどめ、退場頂く。
先に打開手段を引くのはどちらか。
Kai だった。
《残酷な蘇生/Cruel Revival》を引き当てると、《魂の収集家/Soul Collector》を殺害すると共に墓地で眠っていた《煙吐く発動者/Smokespew Invoker》を呼び起こし、そのまま戦場に送る。今かと時を待っていた二体の飛行で攻撃を行い、地では発動者が待ち構える万全の布陣だ。
土地事故もあってまだまだ手札が豊富な Krzywicki だが、ここまでされては無理。
Kai Budde -1, Krzywicki -0
Game 2
最後素晴らしい引きをみせた Kai はその好調さをこのゲームでもキープしていた。
《鞭草の絡め手/Whipgrass Entangler》から《墓生まれの詩神/Graveborn Muse》と二体の強力なシステムを立て続けに召還する。一方の Krzywicki は再び変異二体から。この片方が先ほど同様に《魂の収集家/Soul Collector》ならば...
だが、Kai はそれを気にする様子も無く《金切り声のノスリ/Screeching Buzzard》を召還するとレッドゾーンに送る。それもそのはず、手札には《残酷な蘇生/Cruel Revival》がその登場を待ち構えている。ライフがふんだんに残った段階での《墓生まれの詩神/Graveborn Muse》は余りにも一方的な流れを産んでしまう。
富む者は更に富み、持たない者は対応に追われ貧乏暇無し。
Kai は増強に増強を重ね、手札には二枚目の《残酷な蘇生/Cruel Revival》が。
為す術無し。
Kai Budde -2, Krzywicki -0
Phoenix Foundation -1, (3x3)-1+1 -0
この時点で A シートの Marco と Schneider は 1-1、C シートの Baberowski と Long は 0-1。
A:Marco Blume vs Schneider
Game 3
大量のクリーチャーを並べに並べた Schneider だが、Marco が擁するたった一枚のエンチャントの前に苦悶の表情を浮かべていた。
《ケンタウルスの庭園/Centaur Garden》
エンチャント対策を何種も用意できる赤緑デッキにとって、情報が公開されているロチェスターにおけるエンチャントはそう怖い存在では無い。相手が取るなら、対策カードを入れればいいからだ。
だが、入れたのと引けるの間には果てしなく高い壁が存在する。そして Schneider はその壁を取り払う事が出来なかった。既に Marco の場には、緑マナ4つを含む八枚の土地がずらりと並び、Schneider がどれだけクリーチャーを呼ぼうと倍する勢いでトークンが産まれ続ける。
その様子を、Long に敗北したばかりの Baberowski が有り難がるかのように見守る。そう、マッチの勝敗は、このゲームによって決まる事となったのだ。
Schneider が固まる。何か解決策が無いか。何か抜け道は無いのか。解けないパズルに繰り返し繰り返し挑み続ける。
Marco「まだ?」
Schneider 「まだ30分も残ってるんだから、考えさせろよ」
Marco はのんびりと頷くと、動きを待った。Schneider は意を決した。何一つ残さずに全軍をもって攻撃を敢行する。
するが...ごく普通にブロックが行われ本体に届く攻撃が無い。仕方無く《突進する石背獣/Charging Slateback》に《活力の魔除け/Vitality Charm》を使ってみるが、Marco はじゃぁと《森林守りのエルフ/Timberwatch Elf》でこれに対応する。
この攻防によって盤面は一瞬だけ空虚となるが、すぐにケンタウルスの群れは補充される。
Schneider は寂しそうに片づけを始めた。
Marco Blume -2, Justin Schneider -1
Phoenix Foundation -2, (3x3)-1+1 -1