団体戦決勝: 諸藤 拓馬(福岡) vs. Antonino De Rosa(アメリカ)

Posted in Event Coverage on December 4, 2005

By Daisuke Kawasaki

個人戦、団体戦ともにパフォーマンスで日本を牽引した諸藤

天才は忘れた頃にやってくる。

まさに忘れて頃にやってきた天才である諸藤は、その天才的な能力をいかんなく発揮して、日本チームプレーオフ出場への原動力となった。

諸藤においてその天才性とは、多くのプレイヤーには「豪腕」だと思われているが、諸藤の試合を数多く間近で見てきた筆者は、その「空気を作る能力」にこそ天才性が発揮されていると考えている。

例えば、日本チーム全体にとって「奇跡の大金星」とまで言われるRound 21のアメリカチーム戦。諸藤はアメリカチャンピオンであるDe Rosaとのデュエルにおいて、De Rosaと意気投合し、まさに友達同士のデュエルであるかのような騒がしいデュエルを展開した。そこで言葉は違えどともに盛り上がったDe Rosaからの"Do you have 《Ray of Command》(《緊急徴兵/Flash Conscription》の事)?"との質問に陽気に、そして素直に「いえーす!」と答えた諸藤に観戦していたギャラリーは失笑を禁じえなかった。

禁じえなかったが、だが、しかしそれは諸藤の戦略であったのだ。その会話から、De Rosaの脳裏には《緊急徴兵/Flash Conscription》のイメージがしっかりと刻まれた。そして、それを最大限に活かすべく、諸藤は続くデュエルで《緊急徴兵/Flash Conscription》を意識させるようなブラフを連続させる。そのせいで思うように動けなくなったDe Rosaは、デックの相性差をひっくりかえされた敗北を喫する事になる。そう、De Rosaは完全に諸藤のペースに巻き込まれてしまったのだ。

思えば、日本チームのプレーオフを決定付けたスロバキア戦における勝利にも諸藤の天才性が発揮されていた。あたかも「《叫び回るバンシー/Keening Banshee》の飛行に気がつかなかった」かのように相手の《ゴルガリの茶鱗/Golgari Brownscale》への《感電の弧炎/Galvanic Arc》からのアタックによって、相手に「飛行で殴りつつ発掘で地上を凌ぎきれば勝てる」という誤ったヴィジョンを与え、発掘させ続ける事に成功する。これもまた「相手に発掘させ強力カードを墓地に落とさせなければ価値筋は無い」という諸藤の判断からのプランであり、結果としてゲームを決めかねなかった2枚の《ゴルガリの腐れワーム/Golgari Rotwurm》のうちの1枚を墓地に落とさせ、最終的にライブラリーアウトによる勝利を収めたのである。これもまた諸藤の空気に飲まれてしまった結果、といってもいいだろう。

そんな諸藤の対戦相手は、Antonino De Rosa。前述のようにスイスラウンドにおいて「かなり楽しい」デュエルを繰り広げた2人ではあるが、諸藤はDe Rosaとのそのデュエルがとても楽しかったようで、今回のデュエルでも「話しながらデュエルしてもいいのか?」とジャッジへ確認したくらいである。

なお、諸藤の団体戦における戦績は3勝1分けの負けなしである。この試合に勝てば「団体戦無敗」となるのだが、これはこれでかなりの記録ではないかと思うのだが。

Game 1

先攻は諸藤。

2ターン目まで、順に《山/Mountain》《平地/Plains》と仲良くセット。諸藤は《売剣の粗暴者/Sell-Sword Brute》、De Rosaは《セレズニアの印鑑/Selesnya Signet》。続くターンに《古参兵の武具師/Veteran Armorer》を出した諸藤は《ボロスの駐屯地/Boros Garrison》をセット。

と、ここまで順調に進んでいる諸藤だが、この辺りからのドローが全て土地と言う「諸藤らしからぬ」異常事態に遭遇する。

結果、順調にクリーチャーを並べてくるDe Rosaにたいして、手札の5枚の土地をさらけ出す事となった。

De Rosa 1-0 諸藤

ここに来て、ジャッジからGame2のスタートを待って欲しいと要請される。どうやら、現在カメラマッチとして行なわれている大礒戦が終わったあとに、こちらのチャンピオン対決をカメラマッチとするようだ。諸藤は心配そうに大礒の姿を見つめる。

だが、いかんせん大礒戦が長い。

「ジャパニーズサイズ」である椅子に窮屈さを感じていたDe Rosaが我慢できずに、しばらく席から立つことに許可を求めてしまったくらいだ。

ところで、スイスラウンドでの対決を楽しんでいたのは諸藤だけではなかったようで、De Rosaもまた、諸藤のことを非常に気に入ったようだ。そして、諸藤に声をかける。

De Rosa 「PTホノルルにはくるのか?」
諸藤 「いや、行かないだろうと思う」

De Rosa 「なんでだ? 来いよ」
諸藤 「いや、いつも権利もってても行かないんだ。国内の大会しか出ないんだよ」

De Rosa 「なんでだい?」
諸藤 「忙しいからね」

De Rosa 「仕事かい?」
諸藤 「仕事と……彼女だね」

そして、De Rosaがヒートアップ。

De Rosa "Really? Hot?"
Morofuji "Ye~s!!"
De Rosa "oh!very very Hot!!!"

国別対抗戦のプレーオフとは思えないはしゃぎっぷりだ。

だが、この時点でDe Rosaはまだ気がついていない。

諸藤の空気にのまれている事を。

Antonino De Rosa

Game 2

かなりの長時間の休憩をはさんだゲーム2、先攻は諸藤。

カメラが入った瞬間に諸藤は復活する。諸藤はその「華」もまた天才的である。

2ターン目の《売剣の粗暴者/Sell-Sword Brute》から3ターン目の《古参兵の武具師/Veteran Armorer》へと繋げた諸藤だったが、土地を引くことができずにセットランドできないままターンを終了する。だがしかし、このチャンスを生かさなければならないDe Rosaもまた、土地を2枚でストップさせる。現状クロックでは諸藤が優位ではあるが、実質先に土地をひいた方が勝利する、といっても過言では無いだろう。

そして、この日米土地ドロー対決を制したのは……当然のように諸藤だった。そう、まさに諸藤を見てきた人間としては当然としか形容ができないくらいに当然のように《山/Mountain》を引き当てる。

尚も土地をひけないDe Rosaを尻目に、更なる《平地/Plains》をライブラリーのトップから引き当てた諸藤に対してDe Rosaは投了を宣言する。

De Rosa 1-1 諸藤

Game 3

さて、諸藤のデュエルを見たことのある人ならご存知だと思われるが、諸藤はデュエル中常にニコニコと陽気にしているし、またよくしゃべる。

そんな姿が外国人ジャッジの間で愛されているようで、諸藤戦の周りには通常のマッチよりも明らかに多いジャッジが集まってきた。

もちろん、これがチャンピオン対決であり、また国別対抗戦の勝敗を大きく左右するデュエルであるという事は無関係ではない。

いつもの様に《売剣の粗暴者/Sell-Sword Brute》《ゴブリンの洞窟探検家/Goblin Spelunkers》と順当にクリーチャーを展開する諸藤。そして果敢にアタックを続けていく。今回の団体戦で5戦ともボロスカラーのデックを使用していた諸藤であるが、そのプレイングは非常に攻撃的であり、また、その攻撃性が勝利を導いた事も一度や二度ではない。

だが、De Rosaもだてにアメリカ選手権で優勝はしていない。

《砂蒔き/Sandsower》によって《ゴブリンの洞窟探検家/Goblin Spelunkers》を封じ込め、盤面をコントロールしにかかる。諸藤も《ヴィーアシーノの牙尾/Viashino Fangtail》を召喚し、De Rosaに楽はさせない。

楽はさせてないのだが、楽もできていない。

そんな膠着気味な状況を打破したのは、ライブラリーのトップから降臨した2枚目の《ヴィーアシーノの牙尾/Viashino Fangtail》、志村のデックを強化する為に、諸藤が主張した《炎の一斉攻撃/Flame Fusillade》を、大礒が頭を下げて説得し、ピックした《ヴィーアシーノの牙尾/Viashino Fangtail》であった。

《ヴィーアシーノの牙尾/Viashino Fangtail》を2体並べた諸藤は、アタック宣言でDe Rosaに《ゴブリンの洞窟探検家/Goblin Spelunkers》をタップさせると、そのまま手札に温存していた《正義の再興/Rally the Righteous》で最高の栄冠を手に入れた。

日本代表が念願の優勝を果たした!

De Rosa 1-2 諸藤

日本が世界へのレベルへと到達している事を、しかも、個人ではなく「国として」世界へのレベルへと到達している事を証明するかの様な団体戦優勝。

そして、日本チャンピオンの名に恥じず、最大功労者として常に代表チームのスコアリーダーであり続け、「団体戦無敗」を貫いた諸藤 琢磨。

諸藤とチームメイトたちの活躍に惜しみない拍手を送りたい。

日本、団体戦優勝!

Antionino De Rosa

Download Arena Decklist

Takuma Morofuji

Download Arena Decklist

Latest Event Coverage Articles

December 19, 2019

Grand Prix Oklahoma City 2019 Final Standings by, Wizards of the Coast

Rank Player Points Prize Money 1 Carlson, Matt [US] 37 $6,000 2 Foreman, Matt [US] 37 $3,000 3 Cole, Conor [US] 36 $1,500 4 Majlaton, Alex [...

Learn More

December 11, 2019

Grand Prix Brisbane 2019 Final Standings by, Wizards of the Coast

Rank Player Points Prize Money 1 Gibson, Kyle [AU] 36 $6,000 2 Yeh, Chih-Cheng [TW] 37 $3,000 3 Thompson, Chris [AU] 37 $1,500 4 Lee, Anthon...

Learn More

Articles

Articles

Event Coverage Archive

Consult the archives for more articles!

See All