決勝戦: Patrick Chapin(アメリカ) vs. Uri Peleg(イスラエル)

Posted in Event Coverage on December 6, 2007

By By Daisuke Kawasaki

Chapin:赤単ドラゴンストーム
Peleg:白緑黒《包囲の搭、ドラン/Doran, the Siege Tower

9年ぶりのプロツアートップ8を果たし、決勝まで駒を進めたPatrick Chapin(アメリカ)。

アメリカはマジックの中心だった。そして、スーパースターはいつもアメリカ人だった。Chapinもまた、その一人だったのである。

久しくアメリカ人のプロツアーチャンピオンが輩出されなかったことで、アメリカの黄金時代はすでに終わったものとされていた。だが、今シーズン、PTジュネーブでMike Hron(アメリカ)が戴冠したことで、アメリカの再興が叫ばれるようになった。

そして、世界王者のタイトルをアメリカが取り返すまで後一歩の所まできているのだ。場所はニューヨーク。アメリカが再起するには最高の舞台ではないか。

アメリカ再興への最後の関門として立ちはだかるのは、Uri Peleg(イスラエル)である。

Game 1

先手のChapinが1ターン目から《背骨岩の小山/Spinerock Knoll》をセット。この4枚の内容は思わしくなく、《火葬/Incinerate》をリムーブする。手札の内容と相談し、2ターン目に《睡蓮の花/Lotus Bloom》を待機する。

Pelegは、1ターン目に《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》から、2ターン目に《オーランのバイパー/Ohran Viper》キャスト。さらに3ターン目には《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》をキャストし、最高に近い展開だ。

相手が普通のデックであれば、の話だが。

手札にゲームを決めるカードを持たないChapinは、淡々とマナを蓄えてターンを終了する。Pelegはアタックを繰り返しつつ、場に《極楽鳥》《ラノワールのエルフ》を追加。次のターンには、《野生語りのガラク》の《踏み荒らし/Overrun》能力でゲームを決められる体勢を整える。

相手が何も持っていなければ、の話だが。

Pelegが《野生語りのガラク》の能力を起動するのに対応してChapinは《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》をキャスト。《オーランのバイパー》と2体の《ラノワールのエルフ》を除去する。

Pelegは、《ラノワールのエルフ》が残したマナでX=5の《不敬の命令/Profane Command》をキャスト。《ボガーダンのヘルカイト》を除去しつつ、Chapinのライフを削る。

だが、ここでのChapinのドローが《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》。待機のあけた《睡蓮の花》がストームを稼ぎ、2体の《ボガーダンのヘルカイト》が場に降臨する。

《背骨岩の小山》からあらわれた《火葬》で《野生語りのガラク》を除去され、反撃の芽を摘まれたPelegは、Chapinに手を差し出した。

Chapin 1-0 Peleg

Game 2

ここまで、Pelegは森 勝洋(大阪)・大塚 高太郎(神奈川)と日本勢を打ち倒してきた。3年連続での日本の世界王者への夢を打ち破ったPelegが、アメリカの夢を打ち破るのか。

今では、世界有数の強豪国として認識されている日本だが、はじめからそうだったわけではなかった。いや、むしろ後進国だったといってもいいだろう。日本人にとって、プロツアーのトップ8は長い間決して開くことのない重い扉であった。

しかし、殿堂入りを果たした藤田 剛史(大阪)がその扉を開き、そして黒田 正城(大阪)が優勝することで、待ちかねていたかのように日本勢の快進撃が始まった。

ヘッドジャッジにサイドボーディングの方法についていくつか質問したのちに、Chapinは手札破壊対策の《十二足獣/Dodecapod》をメインボードに入れた後に、すべて抜いた。すでにサイドボードの内容はPelegに知られている。Pelegが手札破壊を残すか残さないか。Chapinは虚構のサイドボーディングを行うことでPelegを混乱させる作戦なのだ。ローウィンの時代によみがえった老練の技。

だが、最後の最後で、1枚だけ《十二足獣/Dodecapod》をライブラリーに戻す。

Chapinの初手には、《十二足獣/Dodecapod》。

だが、Pelegは手札破壊をうってこない。《極楽鳥/Birds of Paradise》から《包囲の搭、ドラン》をキャスト。《ロクソドンの戦槌/Loxodon Warhammer》を装備させ、Chapinのライフを削りつつ、《ドラゴンの嵐》圏外へとライフを引き上げる。

次のアタックでライフを削りきられてしまうものの、《ボガーダンのヘルカイト》までは1マナ足りないChapin。しかたなく《十二足獣/Dodecapod》をマナを支払って場に送り出す。

これによって獲得した貴重な1ターンでドローしたスペルは《炎の儀式》。

貯蓄ランドも駆使すれば、8マナに達するが、ストームを稼げるこちらならばと、《ショック》《ぶどう弾》で《包囲の搭、ドラン》を除去し、ストーム3の《巣穴からの総出/Empty the Warrens》。8体のゴブリントークンがChapinの場に並ぶ。

だが、《叫び大口/Shriekmaw》が場に呼び出され、Chapinのライフを削りきったのだった。

Chapin 1-1 Peleg

Game 3

2002年にCarlos Eduardo Romao(ブラジル)が世界王者になったとき、世界中のマジックプレイヤーが驚いた。なぜならそれまで、ブラジルを含めた南米はマジック後進国として認識されており、まさか、そこから世界王者が生まれるなんて誰も考えなかったのだ。

だが、Romaoが巻いた種は、時を経て結実し、現在ではWilly Edel(ブラジル)をはじめ、南米勢でのレベル6プレイヤーまで生まれるに至ったのである。

2枚の土地に、《睡蓮の花》《裂け目の稲妻》《ぶどう弾》、《火葬》が2枚という手札をChapinはキープ。そして、《背骨岩の小山》をセットすると、そこには《ドラゴンの嵐》が。Chapinはいさんで《睡蓮の花》を待機する。

この《睡蓮の花》の待機があければ、世界王者に王手をかけられるのだ。

だが、Pelegは《裂け目掃き/Riftsweeper》をキャスト。この《睡蓮の花》をライブラリーへと送り返す。そして、《野生語りのガラク》を追加し、忠誠カウンターを乗せて着々と勝利への準備を続ける。

もはや残されたターンが少ないChapin。《ぶどう弾》をドローしたことで、意を決して《裂け目の稲妻》を待機。だが、再び突き刺さる《裂け目掃き》。

《火葬》で忠誠カウンターを減らし時間を稼ぐChapin。だが、それならばとPelegはプランを変更し、《野生語りのガラク》の役割は《踏み荒らし》から《獣群の呼び声/Call of the Herd》へと。

そして、2枚目の《野生語りのガラク》がキャストされ、忠誠カウンターが乗せられると、Chapinは、自分が逆に王手をかけられたことを悟った。

Chapin 1-2 Peleg

Game 4

Pelegがトップ8に入るまで、誰がイスラエルのマジックに興味を示していただろうか? 誰が中東でマジックが興ると想像しただろうか。Pelegも、世界選手権ならではの「世界各国の代表」のひとりだとしか思われていなかった。

だが、Pelegは世界選手権でトップ8に入り、イスラエルの、そして中東の高い壁を乗り越えたのだ。

《極楽鳥》から《オーランのバイパー》へとつなげるPeleg。一方のChapinは《睡蓮の花》を待機。

だが、ここに三度突き刺さる《裂け目掃き》。

Chapinは《オーランのバイパー》を《裂け目の稲妻》で除去するが、場に追加されたのは《包囲の搭、ドラン》。一気にクロックがふくれあがる。Chapinのライフがみるみる削られていく。

だが、ついにChapinの生み出せるマナが8マナに達する。Chapinの《包囲の搭、ドラン》《裂け目掃き》《極楽鳥》というアタックに対応して《ボガーダンのヘルカイト》をキャスト。《包囲の搭、ドラン》を除去し、《裂け目掃き》をブロックする。

Pelegの場には2体目の《包囲の搭、ドラン》があらわれるが、Chapinは《ボガーダンのヘルカイト》のアタックからの《裂け目の稲妻》で秘匿の条件をクリア。2枚の《背骨岩の小山》に埋められた《火葬》と《ぶどう弾》で《極楽鳥》もろとも《包囲の搭、ドラン》を除去する。

Chapinが勢いに任せてゲームを勝利するかに思われたが...Pelegは、まず《野生語りのガラク》を、そしてその能力で《雲打ち/Cloudthresher》を場に送り出す。

この《雲打ち》は《硫黄破/Sulfurous Blast》との合わせ技で除去できたものの、代償として《ボガーダンのヘルカイト》を失ってしまう。そして、Chapinが攻め手を失った隙に、《樹上の村/Treetop Village》がChapinのライフを削っていく。

Chapinの手札には、《ボガーダンのヘルカイト》。だが、最後の1マナが足りないまま、続くターンのアタックでライフがなくなるところまで追い詰められてしまう。

祈るようにドローしたカードは、待望の《炎の儀式》。これによってマナを確保したChapinは、《ボガーダンのヘルカイト》をキャストし、その能力でPelegのライフを5にする。次のターンのアタックで、逆転王手だ。

だが、Pelegは、ブロッカーとなる《惑乱の死霊/Hypnotic Specter》をトップデック。追加のクロックも場に展開し、Chapinに対応を迫る。つ

次のターンに火力を引けばChapinの勝ち、火力以外ならPelegの勝ち。Nassifとのサイコロ合戦を制したChapinは、こんどはライブラリートップ合戦を。

準決勝のGame 4でのNassifよろしくライブラリーのトップをたたきつける。

そのカードは、《冠雪の山/Snow-Covered Mountain》。

Chapin 1-3 Peleg

ニューヨークでの、劇的なアメリカ復活というストーリーは、会場にいる多くのアメリカ人達の心の中だけの物語となった。

だが、このUri Pelegの優勝が、マジックの新しい物語の始まりとなるだろう。

中東に栄光をもたらしたUri Peleg。おめでとう、13人目の世界チャンピオン。

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