決勝:

Posted in Event Coverage on January 25, 2004

By 森 慶太

非常に魅力的かつ強力なベスト8が勝ち上がったことも印象的なグランプリ岡山。そんな中を勝ち上がってきたのが、若き志岐和政と老練なる石田格だった。実はこの両名はスイス式予選ラウンドの最終戦でマッチアップされており、石田はそのマッチに投了することで志岐に塩を送っている。

それにしても石田のスイスラウンドでの強さは実に圧倒的なもので、まさにポール・トゥ・ウィンそのものといえる12連勝によって決勝ラウンド一番乗りを果たしているのだった。そんな石田の快進撃の原動力となったのは彼自身がデザインした黒青の《再活性/Reanimate》デッキで、石田は《金属モックス/Chrome Mox》を経由して第1ターンに《幻影のニショーバ/Phantom Nishoba》や《怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath》を当たり前のように《再活性/Reanimate》していたものだ。

そして、ここで石田がマッチアップされた志岐和政のデッキはいわゆる Goblin Biddingで、一般的なマッチアップの相性としては石田が有利といえたであろう。決勝ラウンド進出者のデッキリストがすでに配布されており、戦前に石田は「メインではかなり有利に運べると思います」と語っていた。サイド後にも石田は《吸血の教示者/Vampiric Tutor》から《エネルギー・フィールド/Energy Field》という藤田修との(二日目の緒戦に行われた)初日全勝同士の対決を飾った必勝パターンを備えており、《火薬樽/Powder Keg》も3枚ある。むこうが《陰謀団式療法/Cabal Therapy》や《終止/Terminate》をフル投入してきたと仮定しても・・・

石田「・・・いけると思いますよ。たぶん」

歴戦の勇者は力強い言葉を残して、人垣にかこまれたテーブルへとむかった。

Game 1

志岐がダイスロールに勝利して先攻を。

いくら禁止カードが濫発されたあとの環境とはいえ、ビートダウン対コンボというマッチアップとしては是が非でもほしい先攻。そして、後手の石田が凡庸なハンドをテイクマリガンしていたのも志岐にとってはささやかながら吉報だった。

相性面での劣勢を承知でこのマッチに望んでいる志岐。どこか思いつめたような表情からゲームをスタートし、セット《山/Mountain》から《モグの狂信者/Mogg Fanatic》召喚。

対する石田格は開幕ターンに《入念な研究/Careful Study》から《戦慄をなす者ヴィザラ/Visara the Dreadful》と《幻影のニショーバ/Phantom Nishoba》をディスカードというたちあがりで、はやくも観客からため息と歓声があがる。

mogg fanatic

石田いわく「久々に負けてしまったダイスロール」とのことで、さらにマリガンスタートというちょっとした不運が重なっている。とはいえ、やはり予選ラウンドを独走してきた石田の圧倒的なパフォーマンスは健在ということだろうか。

志岐は《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》をセットし、《山/Mountain》をフェッチしてから祈るようにシャッフルして、アタック。《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》を召喚してターンを返す。

石田は当然のごとくセット《沼/Swamp》から《再活性/Reanimate》。第2ターンにして《幻影のニショーバ/Phantom Nishoba》が光臨し、石田のライフはライフ12となった。

ここで志岐は《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》を召喚して3体のゴブリンでアタックし、石田は当然《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》を除去すべく《幻影のニショーバ/Phantom Nishoba》でブロック。石田のライフは18になり、《幻影のニショーバ/Phantom Nishoba》は少しおとなしいサイズとなった。

石田は返すターンに《ニショーバ》でアタックし、ライフはあっという間に石田が24、志岐が13と逆転しまう。さらに石田はここで《強迫/Duress》をプレイし、スペルを叩き落せないものの《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》、《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》、《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》という志岐のハンドを確認。その上で《陰謀団式療法/Cabal Therapy》によって《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》を叩き落し、まさしく志岐は追い詰められてしまうのだった。

しかし、若き志岐和政がプレイした《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》はまさしく反撃の狼煙を思わせる内容だった。《モグの狂信者/Mogg Fanatic》、《火花鍛冶/Sparksmith》、《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》という・・・まるで在りし日の《ゴブリン徴募兵/Goblin Recruiter》を思わせるような勢いで3枚のカードを手に入れる。ここでの2体のアタックによって石田のライフは20に。

そんな若き挑戦者をあざ笑うように、石田は《吸血の教示者/Vampiric Tutor》をアップキープにキャスト。思わず志岐からは「・・・ぁあ」とため息が漏れる。石田は《ニショーバ》をレッドゾーンへと送り出し、チャンプブロッカーとなった《首謀者》をまさに蹂躙して志岐のライフを10点にまで削り落とした。

ここで石田格は《再活性/Reanimate》によってさきほどの《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》を墓地から奪い取る。そして、生み出された3体のトークンのひとつをコストとして《陰謀団式療法/Cabal Therapy》をフラッシュバック。ここで石田は志岐のハンドから《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》ではなく《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》をディスカードさせることを選択した。

志岐、祈るようにドロー。

そしてセット《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》。ここで《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》をプレイグラウンドに送り込み、現在4/4というサイズの《幻影のニショーバ/Phantom Nishoba》を対処するための十分なブロッカーをそろえる事が出来たのだった。これによって石田の攻勢は水をさされてしまうことになり、その静寂を狙いすまして若き挑戦者は《火花鍛冶/Sparksmith》、《モグの狂信者/Mogg Fanatic》を戦線に追加する。

Phantom Nishoba

志岐の残りライフはわずか6点というところまで削り落とされていたのだが、石田は《朽ちゆくインプ/Putrid Imp》を追加することくらいしか出来ない。そのため、ここにきてイニシアティヴが若き挑戦者の手に渡ってしまう。

ここで志岐は《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》で《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》と《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》を導き出し、《司令官》の特殊能力によって航空戦力でもある石田の《インプ》が撃ち落される。そして《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》は《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》を徴募した。

そして、レッドゾーンを占領した蛮族たちは、戦前に絶対的な優位をささやかれていた古豪を一瞬にして葬り去ってしまったのである。

志岐-1 , 石田-0

石田「・・・つぇえなあ。2ターン目につったのに」
志岐「…でしたねえ」

石田「ダイスロールにまけたのが悪かったか。2ターン目につったのになぁ」
志岐「・・・なんとか土地を引けたので」

ジャッジ「ところで(スイス式の最終2戦を石田が投了しているうちの)どっちであたったんだっけ?」
石田「・・・最終戦でトスしました(笑)」

Game 2

なんとかイーブンに戻したい先手石田。《沼/Swamp》から《朽ちゆくインプ/Putrid Imp》というお決まりのスタート。

対する志岐はセット《沼/Swamp》から長考。そう、《陰謀団式療法/Cabal Therapy》で指定するカードを悩んでいたのだ。そして、志岐の導き出した答えは《吸血の教示者/Vampiric Tutor》だった。

石田は静かにハンドを公開し、そこには2体の《ニショーバ》、さらに2体の《インプ》、そして《再活性》というカードが隠されていた。そんなわけで、石田は再び第2ターンに《幻影のニショーバ/Phantom Nishoba》をプレイグラウンドへと登場させることになった。ただ、同じ2ターン目でも今回の石田は先手である。石田はさらに2体目の《インプ》を展開してその強烈な第2ターンを終える。

志岐も《金属モックス/Chrome Mox》を出して《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》召喚という動きを見せてはいるのだが、石田は《モックス》を《火薬樽/Powder Keg》で即座になぎ払う。それでも志岐は《吸血の教示者/Vampiric Tutor》から《終止/Terminate》を調達してこのモンスターをなんとか処分するのだが、石田は2枚目の《再活性》によって志岐に安息を与えなかった。

志岐「・・・《再活性》って言っておけばよかった。よし! 次は《再活性》にしよう。絶対そうしよう」

石田「次は《死体発掘/Exhume》かもよ(笑)」
志岐「いやでも、2ターン目に土地が引けないかもしれないし1ターン目には決められないから。」

石田「それはそうだね。でも、そんなら今回も《吸血の教示者/Vampiric Tutor》である必要はあったの?」
志岐「・・・ぁあ、たしかにそういわれてみれば。」

志岐投了。

石田-1, 志岐 -1

Game 3

Vampiric Tutor

再度志岐に先攻がうつっての最終戦。泣いても笑ってもグランプリ岡山はこのデュエルで終幕となる。そして石田格はここでも後手マリガン。卓上には重苦しい沈黙が続き、石田は6枚になったハンドをキープすることになった。

初タイトルに賭ける志岐和政はセット《山/Mountain》から《スカークの探鉱者/Skirk Prospector》という立ち上がりで、一方の石田は《汚染された三角州/Polluted Delta》セットしてターンエンド。

志岐は《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》から《沼/Swamp》をフェッチしてからアタック宣言。戦闘後に《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》をプレイしてターンエンドを宣言し、石田の反応をうかがう。

もちろん、石田はこのエンドステップに《島/Island》をフェッチし、願いをこめて《渦巻く知識/Brainstorm》をプレイする。そこでめくられたのは《渦巻く知識》、《金属モックス》、《汚染された三角州》という内容で、石田は《モックス》が下になるように《三角州》と《モックス》をライブラリーの上においた。

《渦巻く知識/Brainstorm》とライブラリーシャッフル能力とのコンビネーションはエクステンデッドはごくごく一般的なシナジーで、つまりそれだけ強力なものだ。石田は自ターンに《汚染された三角州/Polluted Delta》2枚目をセットし、《沼》をフェッチしてライブラリーをよくきりなおし、《渦巻く知識》。

ここで石田は《再活性/Reanimate》を入手したのだが・・・実は石田のもともとのハンドにはクリーチャーも、それをディスカードするためのスペルもない。覿面のサイドカードも、《吸血の教示者/Vampiric Tutor》もない。そして、石田はパーマネントらしいパーマネントを展開できずに・・・志岐和政に3ターン目の突入を許してしまうこととなった。

この石田のターンエンド宣言を聞いた志岐は色めき立った。あきらかに、石田のハンドには紙の束のにおいがする。すかさず志岐は勢いよく2体でアタック。2体目の《スカークの探鉱者/Skirk Prospector》を展開してターンを返し、石田の一挙手一投足を見守る。

アンタップ、アップキープ、一瞬の間、そしてドロー。石田は・・・ここで《火薬樽/Powder Keg》を場に設置しただけでターンを返してきたのだった。

志岐和政はまさに武者ぶるいしているかのようだった。そして、深呼吸の後にいきおいよく《スカーク》の一体をサクリファイスしてから《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》を召喚し、その《戦長》を加えた全軍での突撃。

なんとも神妙は面持ちの石田格は、このゲームで3枚目となる《渦巻く知識/Brainstorm》をプレイした。そして、石田は2枚のカードをライブラリーへと戻す前に・・・その右手をゆっくりと差し出すのだった。

Final Results:志岐 -2 , 石田 -1

 一面のギャラリーが拍手を送る中で、おそらく志岐はプロツアー・ニューオリンズのことを思い出していたのではないかと私は思う。

数ヶ月前のことだが、彼は「志岐が勝てば決勝ラウンド進出確実」というスイス最終戦を鍛冶友浩と戦うことになり、そして敗れてしまっているという経験をしてきた。ちなみに、志岐和政も鍛冶友浩も新人王(Rookie of the Year)有資格者なのである。

 「・・・ぁあ、悔しい。こうなったら絶対ルーキーとってやりたいな。やりますよ。絶対ですよ。」

 今や、あのときの言葉がすこしばかり現実味を帯びてきたのではないだろうか。

Kazumasa Shiki

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Itaru Ishida

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