準々決勝:ポーランド vs. フィリピン

Posted in Event Coverage on August 17, 2012

By Blake Rasmussen

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 これぞワールド・マジック・カップ。地球の反対側にある2チームがさらに別の一角へと飛び、注目を集めるトップ8準々決勝の試合で、賞金と、名誉と、栄光と、そして――これらと同じ価値のある――プロツアー招待権を賭けて、対峙する。

 ポーランド代表か、あるいはフィリピン代表のどちらが勝っても、これまでに行われたマジックの世界大会で最高の結果であり、今週末は両チームともこの結果にふさわしい戦いをしてきた。

 フィリピン側のヒーローは、時おりプロツアーに現れ、国の代表は5回目となるジェラルド・カマンゴン/Gerald Camangonだ。カマンゴンはモダンでドランを操り、チームをトップ8に導く助けとなった。アンドリュー・カンティリャーナ/Andrew Cantillanはスタンダードで《 秘密を掘り下げる者 》デッキを支持し、ザックス・オザキ/Zax Ozakiは他の者と同じようにジャンドでイニストラード・ブロック構築に臨むだろう。

ワールド・マジック・カップ準々決勝で戦うのはチーム・ポーランドとチーム・フィリピン。
最も距離のある2チームはこれまでの国際的なチーム・トーナメントを勝ち進んできた。
 

 ポーランドのペース・メーカーは、名手トメク・ペドラコウスキー/Tomek Pedrakowskiだ。彼はブロック構築でジャンドを使うことになるだろう。アダム・ビューバックズ/Adam Bubaczはスタンダードでゾンビ・デッキを、そしてマテウス・コペック/Mateusz Kopec――国の代表となるのは2回目だ――はモダンで青赤緑《 秘密を掘り下げる者 》デッキを操るだろう。ポーランド・チームはチーム構築戦予選3回戦を全勝で抜け、この場でも圧倒的なパフォーマンスを見せようとしている。

 騒然とした場から離れて、他のふたつより進んでいるモダンに注目することにしよう。シードの優位でポーランド・チームが先手を選ぶと、両チームともこれまでそうしてきたように、チームメイトと手を合わせ、拳を合わせた。

ゲーム1

 ポーランド・チームの先手。コペックはテンポ・ベースの青赤緑《 秘密を掘り下げる者 》デッキを、望み通りの場所に置いた。

 望み通りにならなかったは6枚の手札だ。だがそれでも彼は1ターン目にそのデッキ名となったものを着地させ、2ターン目に《 マナ漏出 》で裏返す動きを止めなかった。

 カマンゴンは《 貴族の教主 》で危険な1マナ域を置き返し、強烈な2ターン目を加える。《 コジレックの審問 》が《 マナ漏出 》、《 呪文貫き 》、《 稲妻 》、《 ヴェンディリオン三人衆 》を公開し、そして、3枚目の土地と赤マナが無い、という情報を得たカマンゴンは《 マナ漏出 》を抜き、続けて《 スレイベンの守護者、サリア 》でコペックの序盤の展開を妨害した。

 コペックができるのは《 昆虫の逸脱者 》で攻撃するだけで、それを尻目にカマンゴンは《 聖遺の騎士 》と《 タルモゴイフ 》2体で盤面を一気に強化した。それでもなお、いくつかターンが過ぎると3/2飛行持ちの攻撃手によって、カマンゴンのライフは4まで減った。

 しかし、及ばず。コペックは致命傷となるカマンゴンの攻撃に《 ヴェンディリオン三人衆 》でブロックしようとするが、三人衆が見せたのはフィリピン側がずっと隠し持っていた《 殺戮の契約 》と、《 大渦の脈動 》だった。どちらの除去呪文も、第一ゲームを取るダメージを通すには十分なものだ。

130704
大渦の脈動
どっちがいい?

 カマンゴンのチームメイトも第一ゲームを手早く決め、彼の勝利に加わった。オザキは、ここぞという時に《 忌むべき者のかがり火 》をX=4で奇跡し、ジャンド同型戦を勝ち取った。スタンダードでは、ポーランドのビューバックズが、プレッシャーを与える《 戦墓のグール 》が1枚だけの遅めのハンドをキープして、それは《 睡眠 》が《 秘密を掘り下げる者 》デッキの《 修復の天使 》とのライフ・レースに終止符を打つ際、響いてしまった。

 あっという間に、フィリピン側が勝ち越した。

チーム・フィリピンは3試合とも早い段階で1ゲームリードした。
 

ゲーム2

 カマンゴンは6枚の手札でじっと考え、2枚の《 貴族の教主 》と2枚の《 盲信的迫害 》、という中途半端な初手で始めることを決めた。《 秘密を掘り下げる者 》が群れを成して来るなら、良いハンドだ。

 しかしながら、この手札は《 昆虫の逸脱者 》に対しては良いものではない。コペックが再び2ターン目に(《 謎めいた命令 》を公開して)変身させると、《 貴族の教主 》を1体《 稲妻 》で落とされ、もう1体も《 瞬唱の魔道士 》プラス《 稲妻 》で完璧に処理された。

 カマンゴンは《 タルモゴイフ 》を盤面に補充するものの、先ほどのゲームのように、飛行を持つ青い虫から《 稲妻 》に相当するダメージを毎ターン受け、さらにドローも《 盲信的迫害 》を撃つための土地以外引かない。《 地平線の梢 》を割っても助けは来ず、モダンは3ゲーム目に移る……

 ……その前に、両チームが、今にもゲームが決まりそうで張りつめた空気のスタンダードの試合に集まった。

 さて、コペックがカマンゴンを打ちのめしている頃、ペドラコウスキーはダブルマリガンを強いられ、《 忌むべき者のかがり火 》2枚――ひとつは奇跡、もうひとつは通常の――でゲームを作るものの、結果的に、最初に失ったアドバンテージ差で負けた。フィリピンを準決勝に向けて一歩進める勝利だ。

 それがスタンダードの試合にさらなるプレッシャーをかけた。フィリピン側が1ゲームリードしているが、この試合は早いターンにビューバックズのゾンビから強大なプレッシャーを受けていた。カンティリャーナは《 ギデオン・ジュラ 》でなんとか盤面を保つが、わずかライフ1で耐えている状態だった。

 その後のシナリオはこうだ。《 秘密を掘り下げる者 》デッキはライフ1で、盤面には《 修復の天使 》、《 刃の接合者 》とゴーレム。ゾンビ使いは2体の《 ファイレクシアの変形者 》を繰り出して、「天使」の能力を使い、2体のゴーレムを加えて盤面をしっかりと固定している。

 しかし、カンティリャーナが《 瞬唱の魔道士 》をトップすると、彼は支配から開放され、《 蒸気の絡みつき 》で唯一の飛行ブロッカーである天使(コピー)を排除し、ゾンビ使いのライフを4まで減らした。《 蒸気の絡みつき 》のフラッシュバックと、あと一度の攻撃で致死ダメージだ。

 ゾンビは火力呪文を願った。見えたのは《 虚無の呪文爆弾 》だったが、《 秘密を掘り下げる者 》使いに《 瞬唱の魔道士 》→《 蒸気の絡みつき 》プランを一手早く使わせることができる。ライフは4点で、ビューバックズには《 ファイレクシアの変形者 》を再び唱えるのは厳しかった。それでも彼はそれを使う道を選んだ。

 ポーランド側全員の脳が彼の帰還を信じ、ビューバックズは《 ファイレクシアの変形者 》を唱えて――これでライフは1――《 瞬唱の魔道士 》をコピーして、《 破滅の刃 》をフラッシュバックし、致命的なダメージを与えてくる《 修復の天使 》を除去した。

 そしてゾンビが《 吸血鬼の夜鷲 》を引き込み、ただ1体の飛行持ちがカンティリャーナの地面に取り残された軍勢と向かい合った。行動を余儀なくされ、カンティリャーナは2体のゴーレムで攻撃した。だがゲームを終わらせることはできなかった。《 吸血鬼の夜鷲 》に対する解決策はなく、試合は1−1のイーブンになった。

 そしてそれは、非常にタイトな試合で負けて総崩れになる可能性から一転、3ゲーム目で勝負を決する試合がふたつになった、ということだ。

チーム・ポーランドがふたつの試合を第3ゲームまで押し戻す。
 

ゲーム3

 初手《 コジレックの審問 》が見せたのは《 呪文嵌め 》と《 血清の幻視 》と《 稲妻 》だった。カマンゴンはその中から《 呪文嵌め 》を抜いた。

 コペックの第一ドローは、当然のように《 秘密を掘り下げる者 》。

「わかってくれるよね。こいつを引くつもりがないなら使わないよ」コペックが肩をすくめて言った。

 ダメージを伴うマナ・ベースによってカマンゴンのライフはすでに15になっているので、《 秘密を掘り下げる者 》が早いターンで裏返ると危険だ。彼は2枚目の《 コジレックの審問 》で《 血清の幻視 》を抜き、《 秘密を掘り下げる者 》が1回目のチャンスで裏返るのに失敗するのを見守った。

 だが2回目はそうはいかない。

 《 スレイベンの守護者、サリア 》を処理するのに《 稲妻 》を使うと、コペックは望み通りの盤面に戻った。カマンゴン側を片付け、3/2飛行が被害を受けず攻撃する。

 しかし、カマンゴンも《 台所の嫌がらせ屋 》で3/2を用意し、ライフ・レースは次の攻撃でライフが10まで減ったあとも肉薄していた。だが、コペックは《 謎めいた命令 》の《 放逐 》モードで《 聖遺の騎士 》を弾き、支配を保っていた。2枚目の騎士が《 マナ漏出 》で落とされ序盤のリードを奪われると、フィリピン側が厳しい状況になり始めた。スタンダードの方も不利な状況だった。

 そこからは、《 稲妻 》ともう1体の《 昆虫の逸脱者 》の攻撃を受け、試合を落とした。

 その瞬間、全員の意識がスタンダードに向いた。いまや両チームの大会は3ゲーム目の接戦にかかっていた。

血の芸術家

 ゾンビ側は墓地から戻る《 墓所這い 》と2枚の《 ゲラルフの伝書使 》で今一度序盤のリードを奪っていたが、《 機を見た援軍 》に加えて《 天界の粛清 》2枚がカンティリャーナをゲームへとなんとか戻した。

 それでも、《 血の芸術家 》1枚と《 ファイレクシアの変形者 》によるコピーで計算を狂わせ、カンティリャーナはライフ5点あたりから慎重に立ち回らなくてはならなくなった。

 両チームとも複雑な戦闘ステップに入念に策略を巡らせた。お互いに少なくとも4体のクリーチャーが戦場にあり、ライフ総量は12-5でゾンビ有利だった。ミスはもう許されない。ゾンビの攻撃でカンティリャーナのライフを4としたが、彼は《 神への捧げ物 》をトップし――《 血の芸術家 》のコピーを対象にして――好機を得た。ビューバックズ(本当の意味で、今ではポーランド・チームの全てだ)は《 煙霧吐き 》を生け贄に捧げ、フィリピン側がライフを得るのを(それは本当にフィリピン・チームが考えうる全てだった)防ぐため自ら《 血の芸術家 》を除去し、そして《 秘密を掘り下げる者 》デッキはあまりにも心許ない2点までライフを落とされた。

この複雑な決戦において、両者がひとつひとつの決断に没頭した。
 

 盤面を睨みながら、フィリピン側はできる限りライフ総量を保ちつつ、ダメージが最大化されるよう慎重にアタックを計画した。

 そしてビューバックズはゆっくりとカードをめくると、チームメイトの目が大きく開き、拳を握りしめるやいなや、このゲームを詰みとした。

 見つめる彼らを見返すは《 迫撃鞘 》。その2度の起動が、ポーランドを準決勝へと送った。

「本当に接戦だった」フィリピン選手の手を握り、コペックが言った。

「ああ、全ゲームとも接戦だったよ」カマンゴンが返した。

 

(Tr. Tetsuya Yabuki)

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