準々決勝:中野 圭貴(大阪) vs Patrick Chapin(アメリカ)

Posted in Event Coverage on December 31, 1969

By Daisuke Kawasaki

森 勝洋

森:黒緑エルフ
Peleg:黒緑白《包囲の搭、ドラン/Doran, the Siege Tower

斎藤 「結局、今はマジックよりやりたいことがないんですよね」

Player of the Yearを決めた直後、斎藤 友晴(東京)はこう語った。だから、来年も世界をまわって、来年はダントツでのPoYを目指すのだと。

斎藤のPoYへの最初のきっかけとなったPT横浜。当然、三田村 和弥(千葉)のファイナリストが最大のトピックであったのだが、その裏で、同じくらいに日本中の関心を集めるトピックがあった。

「帝王」森 勝洋(大阪)のDQP。そして、半年間のサスペンド。

理由は「細かい警告の累積」ということだったが、森はこの裁定に猛烈に抗議。だが、一度出された裁定が覆る事はなかった。森は不満の色を隠せないまま横浜を去り、そして東京を去った。

このとき、多くのプロプレイヤーが心配した。

「モリカツは、もうマジックをやらないのではないか」

Game 1

先手の森は、3ターン目に《トロールの苦行者/Troll Ascetic》キャストで、先に攻勢をしかけようともくろむ。しかし、《極楽鳥/Birds of Paradise》に《名も無き転置/Nameless Inversion》をうっていたことで、3/4というサイズで《タルモゴイフ/Tarmogoyf》が登場。3点ずつのダメージレースというイーブンな状態に。

そして、Pelgeの場には、まず《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》、そして《リリアナ・ヴェス/Liliana Vess》と2体のプレインズウォーカーが降臨し、均衡が崩れる。

この2人が生み出すアドバンテージを前に、森は防戦を余儀なくされる。

結局、不利なブロックを続けた森に逆転の手は残っていなかった。

Peleg 1-0 森

Game 2

そのPT横浜で戴冠したGuillaume Wafo-tapa(フランス)は、「あなたにとってマジックとは?」という質問に対して、しばらく考えた末に、一言だけ答えた。

Wafo-tapa ”Great Game”

同じように、Gabriel Nassifも答える。

Nassif 「勉強であり楽しみであり人生を変えたゲームだね。(自分自身の)環境は変わっていくけど、なかなか離れられない」

自ら環境を変えた森も、結局マジックからは離れられなかった。Magic Onlineで毎日のようにスタンダードを繰り返し、そして、会心の作である《紅蓮術士の刈り痕/Pyromancer’s Swath》ストームを作り上げる。

 「せっかく強いデッキ作れたのに、日本選手権にでられなかったのは、やっぱり悔しいよ」

日本選手権開催前に森はこう語った。そして、森はせめてデックだけでもと、津村 健志(広島)をはじめ、何人ものプレイヤーにデックをシェアした。その森のデックは、見事に準優勝という成績を収めた。

森にとってマジックとはどのようなゲームかはわからない。だが、日本のマジックというゲームにとって森は欠かせないひとりなのだ。

先手は森。

森は、2ターンにわたって《レンの地の克服者/Wren’s Run Vanquisher》をキャスト。序盤は森が優勢な展開。

だが、Pelegも、《思考囲い/Thoughtseize》で《不敬の命令/Profane Command》をディスカードさせ森の決定打を奪った上で、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》《オーランのバイパー/Ohran Viper》とキャストし一歩も引かない。

《オーランのバイパー》と《レンの地の克服者》の交換が終わったところで、森は《仮面の称賛者/Masked Admirers》でアドバンテージを稼ぐ。しかし、ハンドアドバンテージをいかに稼いでも、ボードに影響するカードを引かなければ結局はゲームに勝利できない。Pelegが《叫び大口/Shriekmaw》で《レンの地の克服者》を除去すると、わずかにPelegに有利な場に。

森は、《野生語りのガラク》をキャスト。トークンを生み出し続け、ボードのアドバンテージを稼ごうと画策する。だが、Pelegがさらに《叫び大口》をキャストしたことで、さらに場は不利に。

そして、Pelegは2体の《叫び大口》で森のライフを削り始める。

しかし、序盤の優位のおかげでライフはまだ森に利がある。森も負けじとフルアタックでPelegのライフを削り、勝利への道筋を残す。これで互いに大幅にリソースを失ったが、《叫び大口》にライフをすべて削られる前に有効打を手に入れれば、まだ勝利の可能性が残るプランだ。

森は《仮面の称賛者》を活用し、ドローを進める。

しかし、《仮面の称賛者》は、《傲慢な完全者/Imperious Perfect》である森を賞賛することはなかったのだった。

Peleg 2-0 森

Game 3

Uri Peleg

Hall of Fameセレモニーの為に、久方ぶりにトーナメント会場に姿をあらわした元祖「帝王」Kai Budde(ドイツ)は、こう語った。

Buude 「今はマジックファンだよ、ただのね」

トーナメントから離れ、仕事も忙しくなった森には、ファンとしてマジックを楽しむ選択肢も残っていたはずだ。

だが、森はGP北九州でトーナメントシーンに戻ってきた。そして、この世界選手権のために渡米。3度目のトップ8という快挙を成し遂げた。完全復活と言っても差し支えないだろう。

 「マジックはセンスだから」

いつも、練習の少なさを語る森。だが、森と親しい人間ならば、知っている。森がどれだけ練習をしているか、練習自体を楽しんでいるかを。

何が森をそうさせるのか。

最後のゲームからの逆転に勝負をかける森。モリカツといえば、劇的な逆転がその代名詞なのだ。

だが、そんな森の前で繰り広げられたのは一方的な惨殺劇だった。

1ターン目の《極楽鳥》から、2ターン目の《包囲の搭、ドラン》。3ターン目の《野生語りのガラク》で土地をアンタップ。想起の《叫び大口》で森の《レンの地の克服者》を除去。そして、《野生語りのガラク》がその身を犠牲に《踏み荒らし/Overrun》。

森には、逆転劇を演じるだけの時間も与えられなかった。

Peleg 3-0 森

森に、来シーズンの予定を尋ねてみた。

 「まだ、わからないね」

結局、森にとってマジックとはなんなのか。
その質問の答えは来シーズンの楽しみにとっておこうと思う。

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