準々決勝: 志村 一郎 vs. 信下 淳

Posted in Event Coverage on September 2, 2005

By Yusuke Yoshikawa

信下 淳

あの虎が再び。
「これで、決勝戦までは連れてってあげるよ」
その言葉とともに、岡本 尋に手渡されたという虎のTシャツが、今は信下の胸にある。

2001年、最後のアジア太平洋選手権で準優勝したときも、岡本とともに使ったデッキを「チョイスした」ことが注目され、その力は認められつつも日陰の存在であったことは否定できない。

だが今大会は違った。序盤からトーナメントを引っ張り、早々とベスト8入賞を決めてしまった。その意味で、今大会の彼はまさに主役であり、「表に出てきた実力者」であると言えるだろう。

対して志村は「やる気の塊」とまで称されるファイター型で、どちらかというと「プレイすること」に中心に活躍してきた。人当たりの良さとさわやかな人柄で知られる彼だが、内に秘めた闘志は並大抵のものではない。

今大会では、それを象徴するような赤単デッキと、信念を持ったドラフティングで勝ち上がってきた。永遠の挑戦者とも言える彼は風格を身につけ、2004年グランプリ仙台以来のビッグタイトルを狙う。

「青トロンメタの赤単」対「赤単メタの青トロン」。信下はこう表現してくれた。色こそ違えど、明確な意志を持った単色デッキ同士が火花を散らす。

Game 1

ダイスロールにて信下先攻が決まる。

《島/Island》《ウルザの塔/Urza's Tower》から《呪師の弟子/Jushi Apprentice》という好調な滑り出しの信下に対し、志村も《尖塔の源獣/Genju of the Spires》《かまどの神/Hearth Kami》と対抗してゲームの幕が開いた。

slith firewalker

《ウルザの魔力炉/Urza's Power Plant》で待ち受ける信下に対し、《尖塔の源獣/Genju of the Spires》クリーチャー化から最初の突撃。《呪師の弟子/Jushi Apprentice》と《尖塔の源獣/Genju of the Spires》が相打ちになり、《金属モックス/Chrome Mox》(刻印:《炎歩スリス/Slith Firewalker》)から再び《尖塔の源獣/Genju of the Spires》が舞い戻る。

信下は3枚目のトロン…だが《ウルザの塔/Urza's Tower》をプレイから《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》と《呪師の弟子/Jushi Apprentice》2枚目を配備した。

志村は《かまどの神/Hearth Kami》だけアタック、《溶鉄の雨/Molten Rain》で《ウルザの魔力炉/Urza's Power Plant》を破壊して自由にさせない。

と、ここで信下がはあっ、とため息をつく。プレイグラウンドに置いた土地は…《ウルザの鉱山/Urza's Mine》。間に合わなかった。逆に志村は間に合ったのだ。

志村は再び《かまどの神/Hearth Kami》だけで攻撃し、また《ウルザの鉱山/Urza's Mine》を破壊しようとする。信下は《卑下/Condescend》を撃とうとして3マナを出しつつも、いったん《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》起動を経由した。

信下は揃わないながらに《ウルザの塔/Urza's Tower》3枚目から《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》をプレイ。これが生き残れば光明が見える。

しかしこれに対し志村は、刻印なしの《金属モックス/Chrome Mox》から《爆片破/Shrapnel Blast》で除去。《かまどの神/Hearth Kami》と《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》が傷をつける。

信下は待ち、志村は2枚目の《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》プレイから《かまどの神/Hearth Kami》《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》《尖塔の源獣/Genju of the Spires》で攻撃、信下は《知識の渇望/Thirst for Knowledge》で整えてから《尖塔の源獣/Genju of the Spires》を《呪師の弟子/Jushi Apprentice》で相打ちにとる。

耐え抜いてきた信下は、ついに6マナで《トリスケリオン/Triskelion》。志村は《溶鉄の雨/Molten Rain》を再び《ウルザの鉱山/Urza's Mine》に、信下のライフは4と射程圏外に。
しかしそれにも怯むことなく、信下は思い切ってフルタップから《精神隷属器/Mindslaver》。

ここで志村のドローに注目が集まるところだが…《マグマの噴流/Magma Jet》。《トリスケリオン/Triskelion》が威張っている以上、ここで4点のライフを削りきることはできなかった。《かまどの神/Hearth Kami》が攻撃し、これが撃墜されるところまでを実行した。

meloku the clouded mirror

信下は《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》を置きなおして《精神隷属器/Mindslaver》を起動。ターンエンド宣言にあわせて志村は《マグマの噴流/Magma Jet》を打ち込み、信下のライフは2になる。
占術で見えたのは《凍らし/Frostling》2枚で、これを志村はライブラリの底に送ることに。
コントロールを奪われたターンのドローは《山/Mountain》だったが、2枚の《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》と《尖塔の源獣/Genju of the Spires》がクリーチャー化さてて、信下はこれらを《トリスケリオン/Triskelion》のブロックとダメージにより一掃。《尖塔の源獣/Genju of the Spires》を「回収しない」ことで禍根を断った。

2枚目の《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》が登場し、場を制圧し始める。
そしてついに信下はトロンを揃えた。

「やる?」

と信下は手札を見せる。《マナ漏出/Mana Leak》、《卑下/Condescend》、《精神隷属器/Mindslaver》、《メムナーク/Memnarch》。

「いや、最後までやります」

志村は毅然として答える。信下がそう提示し、ギャラリーもまた感じているように、既に勝負の帰趨は見えている。だが、これが彼のスタンスである。

それに応えて信下は、4体のイリュージョン・トークンを出してから、自らのターンで10マナから《精神隷属器/Mindslaver》即起動。

隙を与えず、信下が第1ゲームをものにした。

志村 –0 信下 –1

志村のサイドボード:

Out:4《凍らし/Frostling》、2《マグマの噴流/Magma Jet
In:4《粉砕/Shatter》、2《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice

信下のサイドボード:

Out:4《呪師の弟子/Jushi Apprentice》、2《無効/Annul》、2《メムナーク/Memnarch》、1《精神隷属器/Mindslaver
In:4《消し去りの水神/Kaijin of the Vanishing Touch》、4《太陽のしずく/Sun Droplet》、1《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror

Game 2

戦前、志村はこう語ってくれた。

「《金属モックス/Chrome Mox》がキーです」

序盤で勝負を決めたい志村は言うに及ばず、その速度に対応するために信下もついていきたいところである。

Minamo, School at Water's Edge

《炎歩スリス/Slith Firewalker》、《かまどの神/Hearth Kami》、《消し去りの水神/Kaijin of the Vanishing Touch》、《マナ漏出/Mana Leak》…結局のところ、双方は2マナのスペルに依存しているのだ。

その志村だが、ダブルマリガンの憂き目にあってしまう。しかし信下もこれに1度お付き合い。5枚対6枚でゲームが始まる。

《尖塔の源獣/Genju of the Spires》からスタートする志村に対し、信下は《水辺の学舎、水面院/Minamo, School at Water's Edge》《金属モックス/Chrome Mox》(刻印:《血清の幻視/Serum Visions》)から《消し去りの水神/Kaijin of the Vanishing Touch》を配備してゲームを始める。

ここまでは志村の言う「モックスゲー」に信下が勝利した形だが、志村は《かまどの神/Hearth Kami》から《金属モックス/Chrome Mox》を即破壊。だが信下も《ウルザの魔力炉/Urza's Power Plant》を引き当てて《消し去りの水神/Kaijin of the Vanishing Touch》2枚目を出す。

《マグマの噴流/Magma Jet》を引き当てた志村は、突破はできないもののとりあえず《炎歩スリス/Slith Firewalker》を出しておく。さらに続くターン、動きのない信下の陣営に、《卑下/Condescend》かわしの《金属モックス/Chrome Mox》(刻印:《爆片破/Shrapnel Blast》)から《消し去りの水神/Kaijin of the Vanishing Touch》の1枚を《炎歩スリス/Slith Firewalker》攻撃+《マグマの噴流/Magma Jet》で葬る。

信下も《金属モックス/Chrome Mox》に《残響する真実/Echoing Truth》で、「モックスゲー」で譲らない。

志村は残る1枚の《消し去りの水神/Kaijin of the Vanishing Touch》を《尖塔の源獣/Genju of the Spires》で相打ち(エンチャントがはがれてしまうため)を取る。

続くターンにも休みを与えまいと《金属モックス/Chrome Mox》(刻印:《爆片破/Shrapnel Blast》)から《罰する者、ゾーズー/Zo-Zu the Punisher》を試みるが、これは《卑下/Condescend》に阻まれることになった。

だが、堅い信下の守りも無限に続くわけではない。まず《凶運の首輪/Jinxed Choker》が通り、《罰する者、ゾーズー/Zo-Zu the Punisher》2枚目も成就する。これで志村がリードしたか。

トロンを揃えた信下も、《知識の渇望/Thirst for Knowledge》から《太陽のしずく/Sun Droplet》で生き延びんとするが、ここで青マナ源のない信下に対し《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》が通り、致命的な6点が突き抜けていく。

大量のマナを利して《凶運の首輪/Jinxed Choker》を緩和してライフ1で生き延び、《知識の渇望/Thirst for Knowledge》で探す信下だったが、やはりこれ以上の打開策はなく、ゲームスコアはタイに戻った。

信下がポツリと、
「3枚目のランドの勝負だったな…」

志村 –1 信下 -1

志村のサイドボード:
Out:2《溶鉄の雨/Molten Rain
In:2《マグマの噴流/Magma Jet

信下のサイドボード:
Out:2《精神隷属器/Mindslaver》、1《マナ漏出/Mana Leak
In:3《無効/Annul》、

Game 3

jinxed choker

両者マリガンなしから、《血清の幻視/Serum Visions》からの信下、《山/Mountain》《尖塔の源獣/Genju of the Spires》発進の志村と順調な滑り出し。
信下は続いて《ウルザの鉱山/Urza's Mine》《太陽のしずく/Sun Droplet》、《ウルザの塔/Urza's Tower》《消し去りの水神/Kaijin of the Vanishing Touch》とがっちり守る姿勢だ。

対して志村は《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》《かまどの神/Hearth Kami》が攻めをうかがいつつ、ジャッジに少しルールの相談した後《凶運の首輪/Jinxed Choker》を早くも設置する。

万全の展開に見えた信下はメイン《知識の渇望/Thirst for Knowledge》で土地を探すがない。少しだけ苦しげに、ふぅっと息をつく。

志村は《かまどの神/Hearth Kami》攻撃→そのダメージと《マグマの噴流/Magma Jet》で《消し去りの水神/Kaijin of the Vanishing Touch》を破壊しつつ、《太陽のしずく/Sun Droplet》も破壊して守りをはがしていく。
この《マグマの噴流/Magma Jet》で見えたのは《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》《かまどの神/Hearth Kami》。あまり期待できないカード群にきつそうな表情を見せつつも、これを両方下へ送った。

信下はここで《ウルザの魔力炉/Urza's Power Plant》。揃えば実に強力なウルザトロンだが、青では30枚引いても揃わないこともある。そこで、「そろった…」と実感をこめたつぶやきを。
俄然勢いを取り戻した信下は、《太陽のしずく/Sun Droplet》と《トリスケリオン/Triskelion》を展開して、ターンを返した。

ターンと《凶運の首輪/Jinxed Choker》が帰ってきて、志村はこれをコストに《爆片破/Shrapnel Blast》でこの《トリスケリオン/Triskelion》を破壊。《尖塔の源獣/Genju of the Spires》に望みをつなぐ。
だが、勢いを増した信下は《知識の渇望/Thirst for Knowledge》で更なる戦力を集め2枚目の《トリスケリオン/Triskelion》をプレイグラウンドへ。

志村は苦しい。だが、《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》を出し、《罰する者、ゾーズー/Zo-Zu the Punisher》にカウンターを2個使わせる。今は雌伏のときだが、必ずチャンスはやってくる、と。
信下も《消し去りの水神/Kaijin of the Vanishing Touch》と、場に2枚目、都合3枚目の《太陽のしずく/Sun Droplet》を出して身を守る。

一度《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》に《トリスケリオン/Triskelion》の最後のカウンターを使わせて(もちろん自分の身は自分の能力で守る)、ついに《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》が《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》をまとって動き出した。
このままでは信下の《太陽のしずく/Sun Droplet》を突破できないが、追加ドローがあれば当然トップデッキも増える。《粉砕/Shatter》を引いてきた志村は、信下のアップキープにカウンターを満載したこれを破壊。

最後に信下のライフ11を確認した後、《尖塔の源獣/Genju of the Spires》クリーチャー化からこれに《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》、《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》とあわせて(6+2)+1+2=11点で信下のライフを一気に削り取った。
信下は悔やんだ。
「1回これ(《太陽のしずく/Sun Droplet》)のライフゲイン忘れが効いたな」

志村 –2 信下 -1

両者サイドボードなし。

Game 4

kaijin of the vanishing touch

志村がマリガンのスタート。《血清の幻視/Serum Visions》からの信下に対し、第1ターンから志村は考慮に沈む。《山/Mountain》1枚に《金属モックス/Chrome Mox》。だが《炎歩スリス/Slith Firewalker》も《かまどの神/Hearth Kami》もない。《尖塔の源獣/Genju of the Spires》はあるが…。

答えは《マグマの噴流/Magma Jet》を刻印しつつターンを返し、もう1枚の《マグマの噴流/Magma Jet》で土地を探しに行くことだった。だが、見つからない。

その間に信下は着々とランドを伸ばし、《消し去りの水神/Kaijin of the Vanishing Touch》を配備し《知識の渇望/Thirst for Knowledge》で手札を整える。

そしてあっさり第5ターンにトロンを揃えると、《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》が現れ、《精神隷属器/Mindslaver》《トリスケリオン/Triskelion》の後続で圧勝を飾った。

勝負は運命の第5ゲームへ。

志村 –2 信下 -2

志村のサイドボード:
Out:2 《マグマの噴流/Magma Jet
In:2《溶鉄の雨/Molten Rain

Game 5

志村は表情を変えないが、明らかに闘志の色が見て取れる。時折軽口を叩いていた信下の眼光も、にわかに鋭くなってきた。

《山/Mountain》と《島/Island》のお見合いから、志村第2ターンの《金属モックス/Chrome Mox》は《無効/Annul》に阻まれる。2枚目の土地が《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》である志村は、なんとかして《溶鉄の雨/Molten Rain》で先攻したいのだが…。ここは《かまどの神/Hearth Kami》を続けて終了。

信下は《ウルザの塔/Urza's Tower》から《太陽のしずく/Sun Droplet》で守りを。

さて第3ターン、志村が引き当てたのは待望の《山/Mountain》。勇躍これを場に送るが、そこで考え込む。それも、このマッチで一番長いほどに。

求めるものは引いてきた。だが、今は本当に《溶鉄の雨/Molten Rain》なのか。
志村が選んだのは《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》だった。

土地を壊さなかったことで注目される信下の3枚目の土地は…2枚目の《ウルザの塔/Urza's Tower》。そのままターンを終了してくる。

志村は一息ついて考える。ここで《溶鉄の雨/Molten Rain》か。
だが、ここでも《溶鉄の雨/Molten Rain》は使わず、2マナ払って《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》の上に《かまどの神/Hearth Kami》を叩きつけた。

使えばなくなってしまう1枚の呪文カードだから慎重になるのも確かだが、これもまた、勇気のいることである。《残響する真実/Echoing Truth》があればテンポを大幅に失いかねないし、ともするとトロンを揃えられて一気に敗勢になってしまうかもしれないのだ。

志村 一郎

だが、通った。
突如スーパー生物になった《かまどの神/Hearth Kami》が、信下に襲い掛かる。4点、2点。
信下は、わずかな舌打ちを。

プロテクション(青)がついてしまった以上、《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》も《消し去りの水神/Kaijin of the Vanishing Touch》も回答にならない。かといって、デッキにわずかの《残響する真実/Echoing Truth》を引けるのか。

《かまどの神/Hearth Kami》に《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》がついてしまってから、敗北にリーチがかかってしまうまでの長くて短い間、信下は苦闘した。

そしてデッキを拳でひとつ叩く。
それはトップデッキへの祈りだけでなく、悔しさへの表れか。

志村は確実に、《凶運の首輪/Jinxed Choker》で幕を引く。
自ら立役者となって今年の日本選手権を盛り上げた信下は、ここで舞台を降りることとなった。

志村 –3 信下 -2

志村 一郎、準決勝進出!

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