Phoenix Foundation
A:Marco Blume
B:Dirk Baberowski
C:Kai Budde
Panzer Hunter
A:石田格
B:百瀬和之
C:安藤玲二
7+3+2=12。
つまり、通算でツアー12勝という偉業を成し遂げているのがこの不死鳥財団である。もちろん、このマスターズ・ヴェニスでも絶対的な本命チームといえるだろう。
ここヴェニスの準決勝ドラフトでも彼らは絶好調そのもので、二枚だけ出現した《溶岩使いの技/Lavamancer's Skill》が綺麗に彼らの側にだけまわってくる...など、カード出現のパターンまでもが総じて彼らに都合よいものだった。そして、一方のPanzer Hunterはカードプール的にかなり苦しいやりくりを強いられることになる。
顔面蒼白の石田格が「明日があるさ」を口ずさんでいたのも印象的な中、マスターズ大阪決勝戦のリベンジマッチがはじまった。
◆Table B
デッキ相性的にも、そしてカードパワー的にも、ここB卓はPanzer Hunterにとって絶対防衛ラインそのものといえた。白黒という配色のBaberowskiを、そのサイズによって圧倒するしかない。
Game 1
そして、まさしく必勝を課せられた百瀬がここで完璧なビートダウン・ショーを見せ付けてくれることとなった。
まず、先攻Baberowskiの《変異/Morph》を《プラズマの連鎖/Chain of Plasma》で焼き払い、続く《クローサのむさぼり獣/Krosan Vorine》の挑発能力が《星明かりの発動者/Starlight Invoker》を除去。そこに《樹皮革のやっかいもの/Barkhide Mauler》と《暴れまわるマーロドント/Berserk Murlodont》を連続召喚し、百瀬のビースト兵団は完璧な陣容を整えた。
...さすがのBaberowskiも苦笑いを浮かべながらカードを片付けはじめたのだった。
百瀬1-0 Baberowski
Game 2
そして、続く二戦目は百瀬の素晴らしいドローだけでなく、Baberowskiの土地事故という要素もあってワンサイドゲーム化に拍車がかかることとなってしまった。
開幕ターンにあらわれた百瀬の《ゴブリンのそり乗り/Goblin Sledder》を《腐敗を導く者/Shepherd of Rot》で相打ちにとることだけはできたものの、三枚目の土地がニターンにわたってプレイできないBabrowski。
願いを込めてプレイした《希望の壁/Wall of Hope》も《プラズマの連鎖/Chain of Plasma》によって焼き払われてしまい、《スカークの匪賊/Skirk Marauder》、《スカークの先導/Skirk Outrider》、《枝折りロリアン/Branchsnap Lorian》、《ナントゥーコ自警団/Nantuko Vigilante》と間断なく戦力を投入してきた百瀬の前に、まさかの敗北を喫してしまうこととなった。
まさに圧殺。
百瀬 2-0 Baberowski
◆Table A
石田格を最後の最後まで悩ませたのが、デッキ構築時のコンセプトだった。
《溶岩使いの技》2枚を含んだ青赤ウィザードデッキのお手本とも言うべき仕上がりのBlumeに対抗するにあたって、石田は純粋な青黒をプレイするか、あるいは2枚の《熱病の魔除け/Fever Charm》と《稲妻の裂け目/Lightning Rift》をタッチした3色デッキとするか(もちろん、強引にサイクリングカードを満載することになる)...である。つまり、明らかにデッキ・パワーで潜在的に劣ってしまっている以上、それ自体でゲームを決めてしまう可能性を秘めた一枚に賭けてみるべきかどうか。
...結局、悩みに悩んだ結果の石田が出した結論は純正二色だった。
Game 3
一戦目は運良く《溶岩使いの技》をまったく引かれることなく《流水の長魚/Slipstream Eel》でビートダウンしてみせた石田だったが、続く二戦目は壮絶なマナ事故によってBlumeに瞬殺されてしまっていた。もちろん、石田がこのマッチに勝利すれば...準決勝進出確定である。
後手Blumeが開幕ターンに《ゴブリンの監督官/Goblin Taskmaster》召喚、という素晴らしいたちあがりを見せるが、先手石田もこれを3ターン目に展開した《変異/Morph》によって相打ちにしとめると、今度は《慧眼のエイヴン/Keeneye Aven》を召喚。にわかに攻守逆転。
Blumeもすぐさま《霧衣のウミツバメ/Mistform Seaswift》によって対抗しようとしたのだが、石田はこれを第5ターンに即座に《疑惑の冠/Crown of Suspicion》で除去し、《慧眼》による空中戦をスタートし、地上に《変異/Morph》クリーチャーを加えた。
渋い顔のMarco Blumeだったが、5ターン目のドローを確認するや...パっと顔が明るくなる。現金なもので、それは《エイヴンの賢人/Sage Aven》だった。もちろん...積み込まれるのはデッキに二枚投入されている《溶岩使いの技/Lavamancer's Skill》であろうことは想像に難くない。石田も覚悟を決めて、小さくうなずく。
ここからが正念場。
肝心の第6ターンの石田のドローは...土地。
石田は覚悟を決めて《霧衣の突然変異/Mistform Mutant》をプレイしてターンを終えた。
フルタップの石田、すなわち《残酷な蘇生/Cruel Revival》の可能性がないことを確認したBlumeは、悠々とライブラリートップから《溶岩使いの技》を《エイヴンの賢人》にまとわせた。満面の笑顔を浮かべながら石田の《変異/Morph》クリーチャーをあっさりとPingし、地上にも《尾根の頂の猛禽/Ridgetop Raptor》を展開。明らかに、Blumeは盤面上の支配を確立しようとしはじめているわけで、Mark Ziegner、Christoph Lippart、David Bruckerといったドイツ勢のギャラリーは安心しきったかのように談笑しはじめたほどだった。
しかし、勝負はまだ終わっていない。まだ間に合うのだ。
石田は祈るようにして数秒間目を瞑った。
第7ターン。
ドロー...《残酷な蘇生/Cruel Revival》!
そう、絶妙のタイミングで「これしかない」スペルを引き当てたのだ。石田はここでBlumeの砲台を破壊し、墓地からは《憑依された死者/Haunted Cadaver》を回収した。攻守再逆転である。
Marco Blumeも必死で防衛線を張ろうと試みるのだが、石田は淡々と1対1でのカード交換(相打ち)を繰り返していく。そして、盤面が奇妙な静寂を作り出した第10ターン。石田格は《流水の長魚/Slipstream Eel》を召喚し、激闘に終止符を打った。
ミラーマッチ以外ではただのサイクリング専用カード扱いのこのクリーチャーだが、とくにサイズ面でのインパクトに欠ける赤青には痛恨の一撃ともなりかねないのだ。
かくて、エースが要所を締め、Panzer Hunterは大きな大きな白星を記録することとなった。
石田格 2-1 Marco Blume
Final Result:Panzer Hunter 2-0 Phoenix Foundation