準決勝: 彌永 淳也 vs. 志村 一郎

Posted in Event Coverage on September 2, 2005

By Yusuke Yoshikawa

彌永 淳也

赤単対決である。
赤単対決は決して簡単ではない。一つ一つの動きを間違えば、即取り返しのつかない失点につながってしまう。そしてこの場は、日本王者という栄光への挑戦権を賭けた大切な戦いなのである。

その厳しい状況下にあっても、彼らなら良い戦いを見せてくれるという期待がある。
18歳の彌永は言うに及ばず、23歳の志村も若さを感じさせるキャラクターだ。そんなフレッシュさとともに、彼らの中には動じないものがあって、そこからにじみ出る雰囲気が見ている我々にそう感じさせるのではないかと思う。

燃え盛る抜き身の刃を携え、栄光の階段の前で勇壮な戦士が今、戦う。

Game 1

注目のダイスロールは志村が勝って先攻。
《山/Mountain》の鏡打ちから、彌永だけ《凍らし/Frostling》発進。志村は少し考えて《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》《金属モックス/Chrome Mox》から《罰する者、ゾーズー/Zo-Zu the Punisher》。プラスとマイナスどちらにも働くカードだが、ここは仕方がない。

彌永も《金属モックス/Chrome Mox》で加速して《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》。こちらはメインデッキに搭載されているカードだ。
志村は《罰する者、ゾーズー/Zo-Zu the Punisher》と《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》で攻撃。《罰する者、ゾーズー/Zo-Zu the Punisher》が《凍らし/Frostling》と相打ちになる。

彌永は《尖塔の源獣/Genju of the Spires》プレイから即起動、攻撃を目論むが、一度は《マグマの噴流/Magma Jet》に阻まれる。
志村はここで見えた《溶鉄の雨/Molten Rain》で彌永の《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》を破壊するが、どうしても攻めが細い。土地を引きすぎている印象だ。
戦前にも志村は厳しいと漏らしていた。志向性の違いから、赤デッキでは対処しにくい《煮えたぎる歌/Seething Song》+《弧炎撒き/Arc-Slogger》を内包した彌永に対し、あくまでトロンに勝つことを考えた志村のデッキは構成が軽めなのだ。

しかしここで《凶運の首輪/Jinxed Choker》の登場である。

arc-slogger

志村はもはやクリーチャーでの攻撃路線をあきらめ、《尖塔の源獣/Genju of the Spires》に《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》で備え、積極的にカウンターを増やしていく戦術を取った。
徐々に呪いの首輪が両者を蝕んでいく。

だがついに、土地を5枚並べた彌永の場に、今の志村では対処不可能な《弧炎撒き/Arc-Slogger》が現れた。残されたターンは後1つしかない。

ライフ9の彌永に対し、カウンター6個の《凶運の首輪/Jinxed Choker》。自らの土地は《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》1枚を含む7枚。
《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》で殴って、これで彌永ライフ8。そして手札の《山/Mountain》をプレイ、全力でカウンターを2つ増やし、終了フェイズにさらに1つ増やし、彌永に渡す。これでカウンターが9個。

土地が5枚しかなかった彌永は、カウンターを2個取り除くことができなかったのだった。

彌永 –0 志村 –1

志村のサイドボード:
Out:4《尖塔の源獣/Genju of the Spires》、4《溶鉄の雨/Molten Rain》、4《凶運の首輪/Jinxed Choker》、3《罰する者、ゾーズー/Zo-Zu the Punisher
In:4《ヴァルショクの魔術師/Vulshok Sorcerer》、4《粉砕/Shatter》、3《花崗岩の破片/Granite Shard》、2《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》、2《光と影の剣/Sword of Light and Shadow

彌永のサイドボード:
Out:4《罰する者、ゾーズー/Zo-Zu the Punisher》、1《尖塔の源獣/Genju of the Spires》、2《爆片破/Shrapnel Blast
In:3《静電気の稲妻/Electrostatic Bolt》、3《粉砕/Shatter》、1《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice

Game 2

相性差を乗り越えて第1ゲームを勝ち取った志村だが、ここでダブルマリガンに陥ってしまう。
一方彌永は表情を変えずに淡々とプレイ。《凍らし/Frostling》《ヴァルショクの魔術師/Vulshok Sorcerer》さらに《ヴァルショクの魔術師/Vulshok Sorcerer》、《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》と同系対策カードを引き当てていく。
もともとカードが少ないうえに土地ばかりの志村に反撃らしい反撃をさせることなく、静かに押し切った。

彌永 –1 志村 -1

Game 3

vulshok sorcerer

今回も志村は初手を見てため息をつく。マナソースが多すぎる上にクリーチャーもいないのでは、マリガンを選択せざるを得ない。1枚1枚のカード枚数差が大きく響くこのマッチアップでは苦しい戦況だ。
《凍らし/Frostling》《かまどの神/Hearth Kami》と発進を決める志村だが、残る手札が《山/Mountain》とプレイすらできない《爆片破/Shrapnel Blast》では厳しいと言わざるを得ないだろう。

それでも、志村はまっすぐな目でプレイを続ける。だが、彌永の《かまどの神/Hearth Kami》に加え《ヴァルショクの魔術師/Vulshok Sorcerer》で、戦線は一掃されてしまった。

《ヴァルショクの魔術師/Vulshok Sorcerer》こそ先ほどの《凍らし/Frostling》で、《弧炎撒き/Arc-Slogger》は引き当てた《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》コストの《爆片破/Shrapnel Blast》で処理はするものの、2枚目の《弧炎撒き/Arc-Slogger》が出てくるのではどうしようもない。

志村はすぐに投了せず、自らを焼く《弧炎撒き/Arc-Slogger》起動のコストとして公開された彌永のカードを見てから、敗北を宣言した。

彌永 –2 志村 -1

Game 4

志村にとっては崖っぷちである。対して彌永は、ほとんど表情を変えない。
《山/Mountain》《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》から《かまどの神/Hearth Kami》スタートの志村だが、彌永は静かに《山/Mountain》《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》から《金属モックス/Chrome Mox》を提示する。

刻印前に《かまどの神/Hearth Kami》で壊す選択肢もあったが志村が少考ののちこれを受け入れる。すると、彌永は続けて《煮えたぎる歌/Seething Song》をプレイ、そして…第2ターンにして《弧炎撒き/Arc-Slogger》の登場だ。
ギャラリーが息を呑む、声にならぬ声が聞こえる。

ほんの一瞬だけ、志村が目を伏せる。
第3ターンには《かまどの神/Hearth Kami》を吹き飛ばして突進してくる《弧炎撒き/Arc-Slogger》。《金属モックス/Chrome Mox》を何とか巻き込むが、彌永は涼しい顔で《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》を設置してくる。
だが志村の目にはまだ光が宿っている。刻印なしの《金属モックス/Chrome Mox》を設置して、《爆片破/Shrapnel Blast》を構える。あるいは。

しかしこのゲームの彌永は、実に完璧だった。
《金属モックス/Chrome Mox》の2枚目を出して4マナが出る状況にしてから、プレイ《炎歩スリス/Slith Firewalker》。そしてそれに《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》の装備能力をプレイし、志村に選択を迫る。
あくまで静かなのが、彼のスタイル。

志村は考えたが、本当に仕方なくといった様子で、《炎歩スリス/Slith Firewalker》に《爆片破/Shrapnel Blast》を打ち込む。《弧炎撒き/Arc-Slogger》が襲い掛かり、彼に残された時間はもうない。
返すターン、志村は引いたカードにじっと目を落とす。
あくまであきらめないのが、彼のスタイル。

しかし今回ばかりは、静かな微笑みとともに右手を差し出すしかなかった。

彌永 –3 志村 -1

志村 一郎

双方のプレイヤーに、勝負を見守っていた仲間たちが駆け寄る。ずっとポーカーフェイスを崩さなかった彌永も、表情が緩む。厳しいマッチアップを戦い抜いた志村も、どこか安堵の表情を見せている。

すぐさま、このマッチについて話し合う声が聞こえる。ともに考え、ともに高めあい、ともに笑いあう仲間たちがいたからこそ、彼らは強くなれたのだろう。

そして彌永は、最年少戴冠という伝説に挑む。

彌永 淳也、決勝進出!

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