準決勝: 浅原 晃(神奈川) vs. Frank Karsten(オランダ)

Posted in Event Coverage on December 4, 2005

By Daisuke Kawasaki

準決勝を戦った浅原 晃

さて、ここ数回のプレミアイベントにおいて浅原が自分のデックに冠しているG.o.D.。もはや言うまでもないだろうがデックの神、God of the Deckの頭文字をとったダブルミーニングである。

日本で「神」という場合、それは九十九(つくも)ならぬ八百万(やおよろず)の神をさすことが多い。が、この場合の神は神河で言うところの「Kami」である。「God」という場合、それは唯一絶対の存在としての神をさす。常に唯一無二なデックを選択してきた浅原のデック名としてこれほど相応しい言葉は無い。

浅原は馬鹿みたいに強力な、強力だけど癖のあるスペルや、癖のあるコンボが大好きなプレイヤーである。

いわば、浅原はスパイクではなく、ティミーでありジョニーなのである。

今回の世界選手権に浅原が持ち込んだ二つの構築デック、二つのG.o.D.はどちらも《不朽の理想/Enduring Ideal》《平等化/Balancing Act》という強力だが、デック全体でバックアップしなければいけない、そんなソーサリーをフィーチャーしたデックだ。

また、浅原はドラフトでさえ、《光り輝く炎/Brightflame》という強力ソーサリーをフィーチャーしたデックを構築しているのである。そういえば、GP横浜で2枚の《奈落の君、苦弄/Kuro, Pitlord》をフィーチャーしたドラフトデックを構築したこともある。ドラフトにおいてこれだけ「魅せる」デックを構築できるプレイヤーを筆者は他に知らない。

そして浅原はプレイヤーとしても魅せてくれる。

試合開始前、いつものように豆乳を飲む浅原にKarstenが一言。

Karsten 「それはなんだい?」

浅原 「ディスイズラッキーアイテム」

神が神に祈る。

Game 1

対戦相手のKarstenのデックは《けちな贈り物/Gifts Ungiven》に《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》と《よりよい品物/Greater Good》によるロックを取り入れたデック。このデックがKarstenにとって《けちな品物》となるか、それとも《よりよい贈り物》を運び込んでくれるか。

相性は正直よくは無い。

もちろん初戦の相手である青黒《呪師の弟子/Jushi Apprentice》コントロールに比べれば、その勝率は雲泥の差ではあるのだが、それこそ《ズアーの運命支配/Zur's Weirding》でお互いの手札が公開された瞬間に、マッチの勝敗が決する、それこそ「持っているか持っていないか」の勝負になる可能性が強い。

勝負の行方は、浅原がKarstenの基本ターンである6マナ域までに動き始められるか、そして《けちな贈り物/Gifts Ungiven》を封じる《象牙の仮面/Ivory Mask》をサイド後に場に出せるかの2点にかかっている。

コインフリップに勝利したKarstenは、先攻を浅原に譲る。浅原は「グッドチョイス」。

4枚の土地と2枚の《不朽の理想/Enduring Ideal》、そして《時間の把握/Telling Time》というサイド前の手札としては文句のない手札を当然キープ。前述のように、相手が6マナに達する前に7マナのソーサリーである《不朽の理想/Enduring Ideal》をキャストしなければいけない以上、理想をいえば初手からマナアーティファクトが欲しかったのだが、贅沢を言っても仕方ない。ドロー操作もあり、一応は勝利へのヴィジョンを組み立てられる手札である。

浅原は《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》をセットしてターンを返す。

そして、Karstenのファーストターン。ドローをすると、《森/Forest》をセット…せずに"Discard OK?"

"I have no land."と言いながらKarstenがニヤニヤして捨てたカードは《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》。Karstenのデックにとって墓地に《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》を落とすことが勝利へのストラテジーの1つであることを考えても、また、Karstenの表情からも、どう考えても嘘なのだが、だが、そこでの1マナ分のアドバンテージは浅原にとっても大きい。

そのアドバンテージを活かすために《時間の把握/Telling Time》をキャストしてマナアーティファクトを探す浅原だったが、そこにはマナアーティファクトの姿は無い。仕方なく《時間の把握/Telling Time》を手札に加え、続くターンにキャスト。だが、マナアーティファクトは手にはいらない。

一方のKarstenだが、《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》でドローを操作しつつ、《木霊の手の内/Kodama's Reach》によって、1ターン目のマナ差を取り戻す。

浅原の6ターン目。浅原の場には6枚のマナソースがあるが、それは全て土地である。この時点でマナアーティファクトによって7マナに届いて《不朽の理想/Enduring Ideal》と行きたかった、もっと欲を言えばその前のターンにキャストしておきたかった浅原だったが、それは適わなかった。かくも「歴史と伝統」とは重々しく、容易なものではないのだ。

仕方なく《信仰の足枷/Faith's Fetters》を相手の《沼/Swamp》にエンチャントしてライフをゲインする。

Gifts Ungiven

そしてそのターンのエンド、ついにKarstenが動き出す。《けちな贈り物/Gifts Ungiven》のキャスト。ここでKarstenの選んだカードは《喚起/Recollect》《回収/Reclaim》《木霊の手の内/Kodama's Reach》《御霊の足跡/Footsteps of the Goryo》。

浅原はこの4枚を見て長考する。これらがどのような相互作用をするか、相手の手札の推測も含めて多くのパターンを考えなければならない。あまりに長く考えすぎて、ヘッドジャッジからゲームの進行をスムーズにするように要請されてしまったくらいだ。

結局、浅原は《喚起/Recollect》と《木霊の手の内/Kodama's Reach》にたいして墓地行きの捌きを下す。

運命のKarstenのターン。ドロー前に長考をしたKarstenは結局そのままドローする事を選択する。そして、Karstenがキャストしたのはデックの冠となっている《よりよい品物/Greater Good》。続く《御霊の足跡/Footsteps of the Goryo》によって1ターン目から墓地に眠り続けていた《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》が息を吹き返す。《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》はKarstenに5点のダメージと2枚のカード、そして浅原のアンタップというグッドなギフトをくれた。それをみて浅原はどんな気分か。

《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》からの贈り物の中には続く《陽星》が。

Karsten 1-0 浅原

浅原 晃

Game 2

先攻を選択する浅原にたいして、Karstenは"Sure?"と一言。

浅原はただ笑いながら初手の7枚を取るが、見るや否や即決でマリガン。続いてきた手札にはデックの中の《ドラゴン変化/Form of the Dragon》が全て集合してしまった。仕方なくマリガンした手札は、土地2枚に《時間の把握/Telling Time》とダブルマリガンの手札として考えればなかなかではあったものの、にっこり微笑む《世界の源獣/Genju of the Realm》があまりにもキュートだ。

ティミーカードを愛し、ティミーカードに愛されている浅原ではあるが、応援するならばできればライブラリーの中からにしてもらいたいものだ。思えば、エクステンデッドでも、手札に2枚の《怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath》と《ダークスティールの巨像/Darksteel Colossus》が来てしまって落としたマッチもあった。

しかし、ここで、Karstenもダブルマリガンからのスタート。

条件は五分になったものの、やはり浅原はマナアーティファクトをひくことができない。そして、ついには土地のドローまでも止まってしまうのである。

一方のKarstenだが、3ターン目に《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》を引き当て、順当に土地を伸ばすことに成功する。

なんとか4マナになった浅原が《けちな贈り物/Gifts Ungiven》を封じるためにキャストした《象牙の仮面/Ivory Mask》にスタックしての《けちな贈り物/Gifts Ungiven》。選ばれたカードは《木霊の手の内/Kodama's Reach》《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》《奪取する蔦/Rending Vines》《花の神/Hana Kami》。サイドボードから投入された純正けちコントロールパーツと対策カードたちだ。ここで、浅原は本日2回目の裁きを下す。

墓地行きを命じられたのは《奪取する蔦/Rending Vines》と《花の神/Hana Kami》。

シャッフル後《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》を起動したKarstenは、自分のターンに《木霊の手の内/Kodama's Reach》によって再度ライブラリーをシャッフルし、手札の充実を図る。

そして《魂無き蘇生/Soulless Revival》を《木霊の手の内/Kodama's Reach》に連携して《花の神/Hana Kami》が回収され、悪魔のシステムが完成する。浅原に残された時間はもうほとんど無い。

自分のマナと相手のマナを見比べ、次のターンに相手がどのように動いてくるかを綿密にシミュレートする浅原。手札には《不朽の理想/Enduring Ideal》と初手から居座る《世界の源獣/Genju of the Realm》が。結果、《友なる石/Fellwar Stone》キャストから、5色のマナを確保し《世界の源獣/Genju of the Realm》キャスト。緑マナをひかないことだけを祈る。

だが、《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》のバックアップでドローを充実させてきたKarstenは、当然の様に《森/Forest》をセット。《花の神/Hana Kami》キャストから能力を起動し、《奪取する蔦/Rending Vines》を回収。《奪取する蔦/Rending Vines》はその連携された《魂無き蘇生/Soulless Revival》によって《花の神/Hana Kami》を回収しつつ、浅原の最後の砦である《世界の源獣/Genju of the Realm》を破壊した。

そのターンに手札が溢れかえったKarstenがディスカードしたカードは

《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star

Karsten 2-0 浅原

Frank Karsten

Game 3

浅原は、ゲームが始まる前に「ラッキーアイテム」豆乳に口をつける。

1ターン目の《島/Island》から《手練/Sleight of Hand》と繋げた浅原は、手札に2枚目の《手練/Sleight of Hand》があるにも関わらず、2ターン目何もしないでエンド。その理由はKarstenの3ターン目にあかされる。

《木霊の手の内/Kodama's Reach》に《マナ漏出/Mana Leak

どちらがさきに基本ターンにたどり着けるかの勝負でもあるこのデュエルにおいて、相手の基本ターンを1ターン早める力を持ったこのスペルをカウンターした浅原は、続く第4ターンに《友なる石/Fellwar Stone》《ボロスの印鑑/Boros Signet》と連続キャストし、今度は自分の基本ターンを2ターン早める。《手練/Sleight of Hand》によって《不朽の理想/Enduring Ideal》を手に入れ満を持してのキャスト。浅原の伝説のスタートに待ったをかけるかのように、Karstenは《けちな贈り物/Gifts Ungiven》を。

本日3度目の浅原の裁き、裁きを受けるのは《花の神/Hana Kami》《木霊の手の内/Kodama's Reach》《死の否定/Death Denied》、そして《草むした墓/Overgrown Tomb》。緑マナが不足するKarstenに《草むした墓/Overgrown Tomb》と《木霊の手の内/Kodama's Reach》を渡すわけに行かない。

そして、浅原の伝説の第一歩目は《低木林地/Brushland》の《押収/Confiscate》。

続くターンに緑マナをひけず《平地/Plains》をセットすることしかできなかったKarstenは小さな抵抗として、2つのゲームを決めてきた《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》をキャストするが、それは本当に小さな抵抗でしかなかった。

浅原の《ズアーの運命支配/Zur's Weirding》はKarstenの運命を文字通り支配し、緑マナをひかせることは二度と無かった。

浅原は豆乳をまた一口。

Karsten 2-1浅原

Game 4

最初のゲームは後攻を選択したKarstenだが、ここにきて気まずそうにしながらも先攻を選択。

1ターン目に《手練/Sleight of Hand》から2ターン目に《ボロスの印鑑/Boros Signet》をキャストして3ターン目に一歩早く4マナ域に達した浅原は《けちな贈り物/Gifts Ungiven》封じの《象牙の仮面/Ivory Mask》をキャスト。

続く5ターン目に《不朽の理想/Enduring Ideal》をドローした浅原が2枚目のマナアーティファクト経由で6ターン目に伝説のはじまりを宣言。

その歩みを防ぐためにKarstenができることは、浅原に手を差し出すことだけだった。

神(G.o.D.)の名に恥じない神速のゲーム。

Karsten 2-2 浅原

Enduring Ideal

Game 5

序盤不調だった浅原が脅威の追い上げを見せる。いや魅せる。その魅力は会場の歓声の大きさが証明している。

そして泣いても笑っても最後のデュエル。

Karstenは1ターン目に《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》、浅原もマリガンをはさんだものの《手練/Sleight of Hand》からの2ターン目《友なる石/Fellwar Stone》とお互い最後のデュエルに相応しくまずまず順当な立ち上がり。

浅原は《時間の把握/Telling Time》、Karstenは《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》とお互いのデックの地盤を固めるカードが飛び交ってマナ基盤も手札も充実しきった浅原の5ターン目。

浅原は自分の手札とお互いの場を見て考え込む。

浅原の手札には《不朽の理想/Enduring Ideal》と《マナ漏出/Mana Leak》とマナアーティファクト。場には7マナあるが、《象牙の仮面/Ivory Mask》がないので対応して《けちな贈り物/Gifts Ungiven》を打たれてしまえば、《ズアーの運命支配/Zur's Weirding》をキャストしても対応できなくなってしまう。できれば次のターンに手札の《マナ漏出/Mana Leak》を構えて《不朽の理想/Enduring Ideal》を撃てる9マナに伸ばしてから安全に行きたいのだが、しかし、Karstenの場にも6マナがあり、《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》がいるので《けちな贈り物/Gifts Ungiven》の4マナを払っても《マナ漏出/Mana Leak》の為に3マナを残せてしまう。

ならば《不朽の理想/Enduring Ideal》をあげるしかない。

当然の様にレスポンスされる《けちな贈り物/Gifts Ungiven》。

ここで選ばれたのは《花の神/Hana Kami》《喚起/Recollect》《奪取する蔦/Rending Vines》《魂無き蘇生/Soulless Revival》。長時間に悩んだ末にここで浅原が裁いたのは《奪取する蔦/Rending Vines》と《喚起/Recollect》。そして、今度は浅原の自身のライブラリーの中からの選択で悩む番だ。

浅原は、なんども《象牙の仮面/Ivory Mask》と《ドラゴン変化/Form of the Dragon》で悩みぬいた結果、相手の手札に《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》を墓地に落とす手段、具体的には《けちな贈り物/Gifts Ungiven》は無いと判断。《ドラゴン変化/Form of the Dragon》を場に出して自らの姿を龍へと変化させる。

浅原 晃

そして祈るように迎えたKarstenのターン。

Karstenの手札からは《回収/Reclaim》がキャストされ、墓地からライブラリーに移動した《けちな贈り物/Gifts Ungiven》は《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》によってKarstenの手札へと。キャストされた《けちな贈り物/Gifts Ungiven》はKarstenの手札へは何も送ってくれない、本当に《けちな贈り物/Gifts Ungiven》ではあったが、浅原の裁きによって《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》と《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》という2匹の「Kami」を墓地へと送り込む。

そして、《ズアーの運命支配/Zur's Weirding》によって明かされた手札には、当然のように《御霊の足跡/Footsteps of the Goryo》が。

G.o.D.がKamiと相打ちをした。

Karsten 3-2 浅原

Akira Asahara

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Frank Karsten

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