第5回戦:いつも手元に「薬瓶」を
Jon Finkel(アメリカ) vs. 八十岡翔太(日本)

Posted in Event Coverage on August 31, 2012

By Wizards of the Coast

ジョン・フィンケル/Jon Finkel(青白アグロ) vs. 八十岡翔太(青赤緑コントロール)

 私たちの多くがジョン・フィンケルは常勝であると信じているほどには、この世界中ですでに知られているトップ・プレイヤーのひとりが、実はこのプレイヤー選手権の戦場にいるプレイヤー相手には負け越しを記録しているなんてことは、到底信じられない。彼の長く輝かしいキャリアを通して見ると、かの《影魔道士の浸透者》はプレイヤー選手権に参加している他の15人に対して、生涯成績5勝11敗なのである。

 しかし、彼のこれまでの多大な成功は、第5回戦の対戦相手八十岡翔太の犠牲の上に立っていた。フィンケルはこの2006年のプレイヤー・オブ・ザ・イヤーを相手に、生涯成績では2−0で勝ち越した状態で、プレイヤー選手権を迎えている。

 記録の話といえば(いいかいみんな、これが話題逸らしと呼ばれるものだ)、両プレイヤーともフィーチャー・マッチエリアで相見えるほどに良い成績を出している。フィンケルはキューブ・ドラフトの1回戦目を落としてしまったものの、その後は迷いなく3−1し、アレクサンダー・ヘイン/Alexander Hayneに続いて2位タイの位置にいる……八十岡はちょうど先ほどの試合で、今日初めてマッチを落としたところだ。

 3勝でチャンピオンになるわけではないが、3連敗を喫するよりはマシだ。

ジョン・フィンケルは、ほとんどの本選手権参加者に対し勝率は50%を超えていなかった。ただ、日本のスーパースター八十岡翔太とでは別だ。

 さらにこの試合にもう少し華を添えるなら、おそらく八十岡が今大会最もユニークなモダンのデッキを披露するだろう。彼の青赤緑の組み合わせは、《瞬唱の魔道士》や《稲妻》、《差し戻し》に《タルモゴイフ》と、通常のパーツを見せてくれる。そのうえで、彼は《霊気の薬瓶》ひと揃いと、実に見事な《知識の渇望》をフィーチャーしているのだ。Zooとジャンドと青白で埋まったこの空間で、八十岡は確かに異彩を放っていた。

ゲーム1

 1ターン目、八十岡がこのデッキの特徴となる《霊気の薬瓶》を初手として繰り出すと、たちまち彼のテンポを整えた。さらに《知識の渇望》で――薬瓶で戦場に出す《タルモゴイフ》を含む――良いカードの束を掘り起こすと、ゲームの序盤は八十岡が楽々と先を行っているように見えた。

 一方、フィンケルは何枚かミシュラ・ランドを置いて、《聖トラフトの霊》で序盤から積極的に攻撃する手段を得た……《霊気の薬瓶》が連れてくる様々なサプライズに対抗するなら、こうだろう。手札のカードと薬瓶のカウンター、それはおそらく負けに直結する問題だ。

 サプライズのひとつは次のターンに飛び出した。《瞬唱の魔道士》が《知識の渇望》で捨てた《差し戻し》を再利用し、フィンケルの《台所の嫌がらせ屋》を一度止めたのだ。

 さらに追撃として、薬瓶の中の《ヴェンディリオン三人衆》がフィンケルの手札を土地3枚、《台所の嫌がらせ屋》、追加の《聖トラフトの霊》でキープさせ、八十岡は勝利を確実なものにしたようだった。誰かが君たちの手札を見て「ああ、全部このままで」なんて言われたときには、心配になるだろう。

「ああ、全部このままで」は《ヴェンディリオン三人衆》を通したプレイヤーから一番聞きたくない言葉だ。

 フィンケルは通らなかった《台所の嫌がらせ屋》をようやく通し、さらにしっかりと防御を固めた。しかし、《タルモゴイフ》と《ヴェンディリオン三人衆》が暴れまわり、まだ危機のさなかであった。

 八十岡から繰り出されたもう1体の《瞬唱の魔道士》が彼に《血清の幻視》を与え、《タルモゴイフ》を追加してライフ11の相手に強い圧力をかけた。フィンケルはめったに見られないほどのマジック脳だが、この状況は本当の天才にとっても厳しい。

 当然の成り行きとして、フィンケルが攻撃するしかない時だ。

 1体目の《聖トラフトの霊》を八十岡の《タルモゴイフ》に自ら飛び込ませたが、天使トークンと《台所の嫌がらせ屋》がライフ15の八十岡に7点のダメージを与えた。フィンケルは2体目の《聖トラフトの霊》を補充してターンを返した。

 だが、その攻撃は小さく、遅すぎた。《蒸気の絡みつき》がブロック前に《変わり谷》を退かし、結果として目の前にある大群は、フィンケルが捌き切るにはあまりにも多すぎた。

フィンケル 0-1 八十岡

ゲーム2

 次のゲーム、次の《霊気の薬瓶》。お互いに手札は6枚しかないが、八十岡はアドバンテージを取れるのだろうか?

 フィンケルは時間を与えるつもりはないようだ。攻撃的に《変わり谷》からスタートして2ターン目に殴ると、八十岡の3ターン目に《ヴェンディリオン三人衆》を試みた。

 試みた、と言ったのは、八十岡が《マナ漏出》を構えていたからだ。彼はさらに、瞬速さながらに即座に出せるクリーチャーを多彩にする、2枚目の《霊気の薬瓶》を持っていた。

 最初の薬瓶で《タルモゴイフ》を出し、すぐさま攻撃を始め、同時に《差し戻し》用のマナを残して《修復の天使》を抑えるのに使った。

 フィンケルは《ヴェンディリオン三人衆》が通るチャンスに、八十岡の薬瓶→《瞬唱の魔道士》→《マナ漏出》の流れを《呪文嵌め》で押し通した。

フィンケルは八十岡の《霊気の薬瓶》や《瞬唱の魔道士》のトリッキーなアクションを受けながらもクリーチャーを押し通す。

 自身を対象に取ることを一時考えた後、フィンケルは対戦相手の手札を見ることにした。八十岡の手札に見えたのは土地と《差し戻し》。《差し戻し》を選択するが、八十岡が三人衆のドローで《永遠の証人》を引き込み、薬瓶で戦場に出してもう一度《差し戻し》を回収すると、フィンケルは首を振るばかりだった。

 《永遠の証人》は返しのターンでフィンケルの《ヴェンディリオン三人衆》と交換を取ったが、土地4つとライフ9のフィンケルは八十岡を抑える手を使い果たしてしまった。《霊気の薬瓶》は、日本のプレイヤーにフィンケルには真似できない明確なマナ・アドバンテージを与えていた。

 それでも、フィンケルは2体の《瞬唱の魔道士》を瞬速で出し《タルモゴイフ》と交換を取った。必ずしも有利な交換ではないが、選択肢はもう無く、時間が欲しかった。次のターン、《瞬唱の魔道士》との交換に《変わり谷》まで使った。これら一連のブロックは高くついたが、八十岡は《蒸気の絡みつき》を切らしていて、フィンケルのライフが脅かされることはなかった。

 そこへ《血清の幻視》が宣言される。

 《血清の幻視》で八十岡はライブラリの調整をし、《瞬唱の魔道士》を得た。《霊気の薬瓶》から、当然のことながら、もう一度《血清の幻視》が撃てる。対して、フィンケルは《修復の天使》を送り出すチャンスを狙ってみるが、《差し戻し》され、最後には《焼却》で除去された。

 八十岡の次のターン、《霊気の薬瓶》が《高原の狩りの達人》を戦場に置いたそのとき、薬瓶が壁にさえ感じられた。実際には《霊気の薬瓶》が八十岡も意図していなかった、ターンを返すなり狼を変身させる、という仕事を成し遂げたのだ。

 フィンケルはドロー後、盤面を見渡し、そして静かに投了した。

フィンケル 0-2 八十岡


(Tr. Tetsuya Yabuki)

Jon Finkel

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八十岡 翔太

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