1st Rochester Analysis:Pod1

Posted in Event Coverage on August 7, 2003

By Koichiro Maki

 初日、激闘のスタンダードを勝ち上がり一番ポッドの席を射止めたのは以下のメンバー。
 
 一番席 Remie Jeroen [NLD] 初日順位二位
 二番席 Pilipick Matija [HRV] 初日順位八位
 三番席 Djinn Okamoto [JPN] 初日順位五位
 四番席 Zajdner Mark [CAN] 初日順位七位
 五番席 Lauriol Sylvain [FRA] 初日順位一位
 六番席 Barrardo Carlos [ESP] 初日順位六位
 七番席 Kotiranta Tuomas [FIN] 初日順位七位
 八番席 Nieminen Tuomo [FIN]  初日順位三位

 ここでは、岡本を中心に見ながら卓全体のドラフト内容を追いかけてみたい。現時点で世界王者に最も近い男達の美技を期待しよう。

■ オンスロート

 ロチェスタードラフトで最も重要となるポジション決定を行うのがオンスロートだ。このオンスロート・レギオン・スカージを使用した環境でポイントとなるのは、最弱と評価される「緑」を誰がピックするのか、通常兵士2・クレリック1の割合で使用される人気色「白」の位置である。また三人によってドラフトさえる色の場合は、八人が座る卓上でその三角形がどんな角度を描くかというのも大事な注目どころだ。

 1st Pack

 まずは取り終わった後の色配置に注目して欲しい。

 #1 Remie 白青
 #2 Pilepick 緑
 #3 Okamoto 青
 #4 Zajdner 赤
 #5 Lauriol 青黒
 #6 Barrardo 緑
 #7 Kotiranta 白青
 #8 Nieminen 黒

 まず開始となる Remie が人気高い白からのスタート。続けてPilipick はそれを受けて白と最も被る可能性の低い緑を。前日聞いたときには「白やりたい」と言っていた岡本だが特にカードが無く《部族のゴーレム/Tribal Golem》を選択。ただこれは微妙にシグナルが弱い。青なのか黒なのか白なのか伝わり難いのが問題だ。まぁ緑で無い事だけは明確に伝わっているのだが。
 Zajdner は赤でまとめこれまた兵隊色が解りづらい。岡本の選択に対応できる形を取ったのだろうか。それに比べるとLauriol はより自分の意志を全面に押しだし青と黒のカードを。その後ろの Barrardo が緑を、白の位置がはっきりしないのが気になるがだからこそ自分の意志を明確にしておこうとKotiranta が白青を、二人の白に挟まれた Nieminen が黒を選択する。

 互いのシグナルを受けて色の棲み分けが行われている。初日ベスト 8 の彼等にはまだ冒険が必要の無い位置であり、このままドラフトは落ち着きを持って流れていくかに思えたのだが...

 2nd Pack

 ここでいきなり爆弾が炸裂する。開封したパックには

《樹皮革のやっかいもの/Barkhide Mauler
《陽光の突風/Solar Blast

 が有り、#1 の Remie がおそらく白青である事からも #2 の Pilepick は《陽光の突風/Solar Blast》を選択し赤緑に向かうんだろうな。おそらく卓上の誰もがそう思っていた事だろう。しかし、 Pilepick だけは違った。彼が選んだのは...

 《圧倒する防衛者/Daunting Defender》!  しかも上は白! あげくさっきは緑!

 なんで白緑なんだよ! おそらくこの時卓上の彼以外は皆心で突っ込んだ事だろう。ここから一気にドラフトは混迷の一途をたどっていく。岡本は何故か流れてきた《陽光の突風/Solar Blast》をとりあえずピックするも心には???の乱舞。その後ろでは同じく驚きの表情を隠さない Zajdner が《樹皮革のやっかいもの/Barkhide Mauler》を。

 #1 Remie 白青
 #2 Pilepick 緑白
 #3 Okamoto 青赤
 #4 Zajdner 赤緑
 #5 Lauriol 青黒
 #6 Barrardo 緑赤
 #7 Kotiranta 白青
 #8 Nieminen 黒赤

 3rd Pack

 歪な《陽光の突風/Solar Blast》により上から赤を被せられる形になったのが Zajdner 。出来る事ならここで岡本が赤以外の強力カードを開封し色の修正をしてくれないだろうかといった所だが、岡本が開けたパックにあったのは。

 《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》 一択。

 さすがに《陽光の突風/Solar Blast》がある以上ここでこの爆弾カードを流す道理は無く、岡本は昨日もあちこちで大活躍を見せたゴブリンをピックする。既に緑を濃く取っている Zajdner は《疾風衣の侵略者/Gustcloak Harrier》に手を出すわけにもいかず、《締めつける綱/Choking Tethers》を。って青緑かい。

 4th Pack

 完全に岡本と赤が被ってしまった Zajdner 。そもそも赤が強いのはオンスロートだけであり、この配置になった以上赤に旨味があるわけも無くとっとと色換えを行いところ。かといって先ほど確保した《締めつける綱/Choking Tethers》から青緑に向かうのも厳しめ。となると今度は逆に自分から下の黒に被せていくのではないだろうか。幸いな事にまだ黒のシグナルを発しているのは二人のみであり、例え並んだとしても色的には十分許容範囲だ。

 その Zajdner が開けたパック。

 《残酷な蘇生/Cruel Revival
 《クローサの大牙獣/Krosan Tusker

 勿論、《クローサの大牙獣/Krosan Tusker》は緑を選択している Zajdner にとって大安定なピックだが、《残酷な蘇生/Cruel Revival》も色変更を行うに十分値するカード。ここまで赤でも青でもそれほど対したカードが取れているわけでも無いし。

 しかし、 Zajdner は《クローサの大牙獣/Krosan Tusker》を選択。内心で冷や冷やしていた Lauriol が《残酷な蘇生/Cruel Revival》を。岡本は《切り刻まれた軍勢/Severed Legion》を入手し赤黒への可能性も残している。

 5th Pack

 ここで卓上には更なる動きが。これまで白鬼被りで戦ってきた #1 Remie と #2 Pilepick だが、より緑のポジション適正の高かった位置に座っていた Remie がついに白を諦め緑へと待避した。 逆に《陰謀団の執政官/Cabal Archon》を得た Pilepick はクレリックを中心とした白黒の道を爆進していく。

 #1 Remie 白青→青緑
 #2 Pilepick 緑→白黒
 #3 Okamoto 青赤→赤(?)
 #4 Zajdner 赤緑→緑青
 #5 Lauriol 青黒
 #6 Barrardo 緑赤
 #7 Kotiranta 白青
 #8 Nieminen 黒赤

 もう少し説明を加えておこう。ここで書いた緑のポジション適正とは左側に空いた緑の人数の事である。スカージが無いも同然の緑にとって重要なのは「どれだけ《森林守りのエルフ/Timberwatch Elf》を取りやすい位置に座ったか」ただ一点である。既に緑の位置が確定しているのは #4 と #6 。レギオンの回りでたった一人しか緑が空かない Pilepick よりも、二人空く事になる Remie の方が緑として有利になるわけだ。

 もし Pilepick が最初からこの状況を予想したのであれば見事という他無い。自分よりも Remie が緑をやるべき位置にいる、自分の場所では緑をやっても勝ち目が薄くならばポジションの修正は必須であると。

 同時に、それを理解した上で白に固執せず緑へとスライドした Remie もさすがだ。世界選手権一番ポッドの名に恥じないハイレベルなドラフトテクニックだ。

 意図したのならば。

 6th Pack

 その Pilepick だがここでのピックが微妙。《暴食するゾンビ/Gluttonous Zombie》では無く《憑依された死者/Haunted Cadaver》を選択している。共にテーマとしたクレリックで無い以上単純なカードパワーで選択する方が有利である。おかげでこの《暴食するゾンビ/Gluttonous Zombie》は岡本まで届く結果となり、岡本は下の Zajdner が青に逃げた事を踏まえた上で赤黒への道を歩み出す。

 #1 Remie 白青→青緑
 #2 Pilepick 緑→白黒
 #3 Okamoto 青赤→赤(?)→赤黒
 #4 Zajdner 赤緑→緑青
 #5 Lauriol 青黒
 #6 Barrardo 緑赤
 #7 Kotiranta 白青
 #8 Nieminen 黒赤

 7th Pack

 さてここで気になるのが白の人数だ。Remie が抜け出した結果、現在卓上の白は #2 の Pilepick と #7 の Kotiranta 二人のみ。配置的にいえば #4 か #5 が白をやるべき位置にあるが、緑が濃い #4 Zajdner は緑青から動く気配が無い。となると上から青を被せられた #5 の Lauriol こそが白をやるべき位置にいる事になる。しかし、こちらも特に動きを見せず青黒のままだ。
 
さて一人白青を邁進していた Kotiranta のパックだが、そこには《悪辣な精霊シルヴォス/Silvos, Rogue Elemental》、《火花鍛冶/Sparksmith》といった白青以外の強力カードが目白押し。逆に白青のカードんは見るべきものが無く、《ダールの騎兵/Daru Cavalier》があるぐらい。既にオンスロートも終幕寸前であり、二枚目を取れない騎兵には全く魅力が無い。
 赤は既に上下に挟まれていて《火花鍛冶/Sparksmith》を無理に取るのは全く得策とは言えない。これから赤の衰退期が始まる事を考えてもあり得ないピックだ。となると、選択肢として直接横に並ばない緑の邪魔をする事も可能だが...

 Kotiranta は手を叩き付けるように《ダールの騎兵/Daru Cavalier》をピック。白が美味しい配置になっている以上、要らない波風を立てる必要無しとの判断だろう。Nieminen が《火花鍛冶/Sparksmith》を取り、《悪辣な精霊シルヴォス/Silvos, Rogue Elemental》は緑から白に転向したばかりの Remie へ届く。しかし、これは卓上で二人の青緑が決定した事をも意味する。

■ レギオン

 1st Pack

 Nieminenが開けたパックは白が濃いものだった。自身は《煙吐く発動者/Smokespew Invoker》をピックしたものの、次の Kotiranta には二つの選択肢が残されていた。

 《エイヴンの救い手/Aven Redeemer
 《宝石の手の報復者/Gempalm Avenger

 単純なパワーで言えば《エイヴンの救い手/Aven Redeemer》の方が上だろう。未だ兵士中心のピックがパック内容的に出来ていないからだ。しかし Kotiranta はあえて《宝石の手の報復者/Gempalm Avenger》をピック。デッキの最終形を考えれば兵士デッキ以外にはならないはずという強い意志が感じられる。
 しかし、このピックは Lauriol の行動を簡単なものにした。ここまで青黒で進んできた彼にとって、《宝石の手の報復者/Gempalm Avenger》はシナジーが少なく敷居が高いカードであるが、単体で単純に強力な《エイヴンの救い手/Aven Redeemer》は色を変えるにはもってこいのカードだからだ。彼はここで青を諦め卓上三人目の白メイジへと。

 #1 Remie 白青→青緑
 #2 Pilepick 緑→白黒
 #3 Okamoto 青赤→赤(?)→赤黒
 #4 Zajdner 赤緑→緑青
 #5 Lauriol 青黒→黒白
 #6 Barrardo 緑赤
 #7 Kotiranta 白青
 #8 Nieminen 黒赤

 2nd Pack

 更なる爆弾登場。さきほど《悪辣な精霊シルヴォス/Silvos, Rogue Elemental》をかなり無駄に引き当てて悔し涙を流した Kontiranta であるが、パックを開けるとそこには《生命を破滅させるもの/Bane of the Living》の姿が...

 だから俺は白青なんだってばさ!

 そんな彼の落胆が聞こえてきそうだ。しかし、Kontiranta もへこたれない男だ。嘆きの表情を浮かべながらもその横にあった白いカードをピックする。するとこのカードが次なるうねりをもたらした。
 これまで赤緑でまとめていた Barrardo だが、見なかった事にするには余りにカードが強力すぎた。デッキが大雑把なものになる事が多い緑系デッキにとって、全体除去カードは何よりも貴重なものだ。特に《生命を破滅させるもの/Bane of the Living》のように除去サイズを選べるカードはサイズだけなら自信有りの緑にとってプラチナカード。Barrardo の三色化計画が始まる。

 #1 Remie 白青→青緑
 #2 Pilepick 緑→白黒
 #3 Okamoto 青赤→赤(?)→赤黒
 #4 Zajdner 赤緑→緑青
 #5 Lauriol 青黒→黒白
 #6 Barrardo 緑赤→緑赤黒
 #7 Kotiranta 白青
 #8 Nieminen 黒赤

 そして、Barrardo は次なる自身のパックで《大荒れの悪魔/Havoc Demon》を見出し、黒の採用を本格的なものにしていく。

■ 総評

 ファーストポッドは世界選手権の最高位卓という名に恥じない素晴らしく難しい卓だった。卓上では高度なシグナルと色変更が嵐のように吹き荒れていた。ロチェスタードラフトにありがちな、色が決まれば後は宝くじというようなぬるい展開はどこにも無い。そこには、勝つんだ必ず強いデッキを作り上げるんだという強い意志が感じられた。その事は、最初に選択した色のまま追われたプレイヤーが僅か二人しかいなかった事でも十分に解って頂ける事と思う。

 最後にこのドラフトがどれほど高度で難しいものであったのか、ラストエンペラーの言葉を借りてこの原稿を締めてみたい。

岡本尋「もうパニック」

Latest Event Coverage Articles

December 4, 2021

Innistrad Championship Top 8 Decklists by, Adam Styborski

The Innistrad Championship has its Top 8 players! Congratulations to Christian Hauck, Toru Saito, Yuuki Ichikawa, Zachary Kiihne, Simon Görtzen, Yuta Takahashi, Riku Kumagai, and Yo Akaik...

Learn More

November 29, 2021

Historic at the Innistrad Championship by, Mani Davoudi

Throughout the last competitive season, we watched as Standard and Historic took the spotlight, being featured throughout the League Weekends and Championships. The formats evolved with e...

Learn More

Articles

Articles

Event Coverage Archive

Consult the archives for more articles!

See All