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Posted in Event Coverage on September 2, 2005

By Wizards of the Coast

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ただ一人の「十年選手」藤田 憲一

マジック生誕から12年の月日が流れ、日本選手権もついに10大会目を迎えることとなった。そして、ひしめきあうヒトゴミの中に、ただ一人だけ、すべての選手権大会を踏みしめてきたという鉄人の姿がある。たった一人の生き残りだ。

その男の名は藤田 憲一(東京)。

彼こそ、古きよき黎明の時代から日本が世界の最先端を行く現在までを知る、まさしく日本マジック史の生き証人である。藤田は、日本ではじめて開催されたグランプリで優勝したことで知られる人物で、長きに渡るマジック・コミュニティのリーダーの一人であり、このジャンルを代表するライターでもある。そして、あの頃は凄腕の大学生だった巨漢も、今年で31歳を迎えた。

「10年も前のことだから記憶は曖昧だけど、たしかに出場したのは覚えてるね。予選会がシールドで、それこそDCIというシステムが浸透する前だから、持ち込みをしていた不逞の輩なんかが多かったのも印象に残ってるよ。それこそ、《チャネル/Channel》+《火の玉/Fireball》がアチコチで頻発してたんだぜ? 無法地帯だったな。」

10年前の黎明の時代を、藤田はそんな風に回顧した。

「今年のスタンダードのデッキは、第9版のリストを見たときから心に決めてたよ。もちろん、アレを使うさ。」

藤田は1999年の日本代表選手である

多くの人が知るように、藤田は名うての黒使いだ。つまり、彼のスタンダードデッキはそういうことなのだろう。日本代表メンバーに輝いた1999年日本選手権も、彼は黒い《繰り返す悪夢/Recurring Nightmare》デッキだった。それに、いつだって彼のコラムでは手札破壊魔法の魅力について言及されてきた。

とかく、大礒 正嗣(広島)や津村 健志(広島)といった新星たちの活躍がまばゆい昨今であるだけに、今大会、皆さんにもっとも注目してほしいプレイヤーが藤田 憲一である。

野球というジャンルに疎い私でも、鉄人衣笠の偉業のことは知っているし、敬意を払っている。まさしく藤田は、日本のマジックにおける衣笠のような存在へとなりおおせるのではないだろうか。

今年の日本代表チームに藤田 憲一の姿があったとしたら、それは本当に素晴らしいことなのだ。


Friday, September 2: 10:45 am - Player Profile - 津村 健志

by Keita Mori

ジグザグフォーマットで争われるこの日本選手権、緒戦から黒田 正城(大阪)と小室 修(東京)によるプロツアーチャンピオン対決がフューチャーマッチとして実現するなど、いきなりのアクセル全開といった様相である。

津村 'International Boy' 健志

そんな中、津村 健志(広島)はわずか10分足らずで最初の白星をあげた。今大会では相棒の大礒 正嗣(広島)が森 勝洋(東京)のデッキをプレイする中、津村がこの選手権でセレクトしたのは藤田 剛史(大阪)によるデッキである。

ところで、先ほどのBlogのエントリーで古豪・藤田 憲一をご紹介した折に、新世代の代表として津村の名前を挙げた。せっかくだから、ここ一年でまさしく大出世をなしとげている津村についてもご紹介したい。

広島在住、19歳。

津村 健志は、昨年度の日本選手権の直前予選に勝利して「滑り込み」で権利を獲得し、そのまま準優勝を果たしてシンデレラボーイとなったプレイヤーである。そう、それこそ一年前までは、まさしく無名のPTQプレイヤーであったわけだ。しかし、ひとたびプロツアーという舞台への足がかりを得た津村は、誰もが驚くような情熱をゲームに注ぎ、世界各地のイベントをサーキットしはじめた。

そして、彼はなんとプロツアーで2大会連続の決勝ラウンド進出という快挙を成し遂げてしまい、プロツアー・フィラデルフィアでは堂々の準優勝。先週もソルトレイクシティで行われたグランプリに遠征しており、当たり前のようにベスト4入賞を果たしている。

いまや、19歳の彼は世界最高峰の実力をもつプレイヤーの一人と考えられており、相棒の大礒 正嗣(広島)との組み合わせは世界でもっとも恐れられるべきコンビと言えるかもしれない。

「先週はソルトレイクシティでしたし、正直なところスタンダードはオンライン以外での調整がほとんどできていません。イソ(=大礒)さんはモリカツスペシャルですけど、今回はオレはローリーさん(=藤田 剛史)にお世話になることにしました」

ともかく、遠征につぐ遠征で大忙しの津村 健志。今後の予定を聞いてみると、まさに驚きの答えが返ってくる。

「世界選手権の前に、グランプリ北京、グランプリ北九州、グランプリ・リラには遠征する予定です。あと9点のプロポイントで、プレイヤーレベル6(=最高峰)に到達ですからね。とくに、フランスのリラは楽しみです。友人のOlivier Ruel(オリヴィエ・ルエル/フランス)の実家から30分くらいのところだというので、実家に泊めてもらって楽しくすごしてきたいと思っています。ただ、フォーマットがレガシーなので、大礒さんとオレの二人分のカードを集めるところで苦労していますよ…」

とのこと。

わずか一年ほどの間に世界のトップへと駆け上がり、世界を旅するプロプレイヤーとして活躍を続けるようになった津村 健志。その一方で、先ほどご紹介した藤田 憲一のような古き良き時代の生き証人も、同じフォーマットで戦っている。

果たして、今年の選手権はどのようストーリーを見せてくれるだろうか。


Friday, September 2: 12:07 pm - スタンダード全勝者について

by Keita Mori

スタンダード三回戦を終えて、無傷の3連勝を果たしたのは22名。ここで、その22名が使用していたデッキタイプについて大まかにご紹介しよう。

Name Deck
Boku Takashi 黒単色ネズミ
Iyanaga Jun'ya 赤単色スライ
Nakada Masahiro 青単ウルザトロン
Kashiwa Tatsuya 緑単ウルザトロン
Ebisawa Yu 赤単色スライ
Nobushita Jun 青単ウルザトロン
Higashida Keita 青単ウルザトロン
Aizawa Keiji 青単ウルザトロン
Honda Atsuo ヴィリジアン=ラッツ
Oiso Masashi 青単ウルザトロン
Nose Kouji 赤単色スライ
Yamasaki Yuuki ヴィリジアン=ラッツ
Michiwaki Teruyoshi ヴィリジアン=ラッツ
Morofuji Takuma 緑青タッチ白ウルザトロン
Nakano Yoshitaka 白単色ウィニー
Imai Ryota 白タッチ青ウィニー
Suzuki Tomohiro 白単色ウィニー
Taniguchi Hiroaki ヴィリジアン=ラッツ
Ando Reiji ヴィリジアン=ラッツ
Kaji Tomohiro 赤単色スライ
Morita Masahiko 青単色コントロール
Yamaguchi Satoshi ヴィリジアン=ラッツ

Friday, September 2: 12:55 pm - 第1ドラフト4番卓の考察、その壱

by Keita Mori
第1ドラフトの4番卓より

今大会の金曜日でのドラフトについては、このBlogでは4番卓(=Pod)に焦点をあててお伝えする。ドラフトというのは8人のプレイヤーが揃ってこそのものであり、出来るだけ読者の皆さんにその詳細が伝わるように努力してみよう。

まずは、この第4番卓を構成したプレイヤーたちをご紹介しよう。

■Pod 4 Player List

Seat 1: 射場本 正巳 (プロツアーベスト4入賞経験者)
Seat 2: 阪上 靖久
Seat 3: 浅原 晃 (The Finals連覇、グランプリ2勝)
Seat 4: 有田 隆一 (プロツアー決勝ラウンドに2度進出)
Seat 5: 高木 仁
Seat 6: 斉藤 友晴 (プロツアーベスト4入賞経験者)
Seat 7: 真木 孝一郎 (プロツアー出場多数)
Seat 8: 小沢 隆一郎

ただでさえ強豪ぞろいの日本選手権であるわけだが、特に密度の濃い卓となったのがこのテーブルだ。全員2勝1敗というスコアでスタンダードを勝ち上がってきており、ここで4連勝をおさめようものなら、ベスト8入賞への視界は実に良好なものとなってくるポジションだ。

■ピックの概況

4人の担当ライターが2人ずつのプレイヤーを担当して、4番卓のドラフトの行方を追いかけた。それぞれの分析は次以降のエントリーにてお届けすることにして、まずはここで8人のピックの概況をお届けしたい。

次の表は、8人のプレイヤーがそれぞれのエクスパンションでどのようにして初手から5手目までのカードをドラフトしていったかを示したものだ。

神河物語/CHK 1st 2nd 3rd 4th 5th
射場本 正巳 Teller of Tales Sakura-Tribe Elder Frostwielder Scuttling Death Vine Kami
阪上 靖久 Hideous Laughter Rend Spirit Mothrider Samurai Blood Speaker Rend Spirit
浅原 晃 Keiga, the Tide Star Befoul Cruel Deceiver Wicked Akuba Floating-Dream Zubera
有田 隆一 Soratami Savant Kitsune Diviner Kitsune Riftwalker Kami of Twisted Reflection Indomitable Will
高木 仁 Rend Flesh He Who Hungers Kami of Fire's Roar Wicked Akuba Kodama's Reach
斉藤 友晴 Teller of Tales Mystic Restraints Mystic Restraints Consuming Vortex Hisoka's Defiance
真木 孝一郎 Teller of Tales Kabuto Moth Floating-Dream Zubera Frostwielder Reach Through Mists
小沢 隆一郎 Nezumi Cutthroat Hideous Laughter Thief of Hope Feral Deceiver Gale Force
 
神河謀叛/BOK 1st 2nd 3rd 4th 5th
射場本 正巳 Torrent of Stone Torrent of Stone Blademane Baku Cunning Bandit Tendo Ice Bridge
阪上 靖久 Ogre Marauder Indebted Samurai Waxmane Baku Moonlit Strider Hundred-Talon Strike
浅原 晃 Takenuma Bleeder Mistblade Shinobi Callow Jushi Shirei, Shizo's Caretaker Floodbringer
有田 隆一 Ink-Eyes, Servant of Oni Takenuma Bleeder Skullmane Baku Hired Muscle Phantom Wings
高木 仁 Torrent of Stone Sakura-Tribe Springcaller Horobi's Whisper Scourge of Numai Lifespinner
斉藤 友晴 Shimmering Glasskite Budoka Pupil Torrent of Stone Frostling Goblin Cohort
真木 孝一郎 Ninja of the Deep Hours Ninja of the Deep Hours Shimmering Glasskite Shimmering Glasskite Kami of False Hope
小沢 隆一郎 Ronin Warclub Okiba-Gang Shinobi Forked-Branch Garami Matsu-Tribe Sniper Gnarled Mass
 
神河救済/SOK 1st 2nd 3rd 4th 5th
射場本 正巳 Sokenzan Spellblade Hail of Arrows Sokenzan Spellblade Kemuri-Onna Kami of the Tended Garden
阪上 靖久 Moonwing Moth Shinen of Stars' Light Deathmask Nezumi Moonwing Moth Raving Oni-Slave
浅原 晃 Sink into Takenuma Death Denied Descendant of Soramaro Freed from the Real Kami of Empty Graves
有田 隆一 Sink into Takenuma Hand of Honor Skull Collector Plow Through Reito Akki Underling
高木 仁 Bounteous Kirin Kuro's Taken Spiraling Embers Arashi, the Sky Asunder Elder Pine of Jukai
斉藤 友晴 Moonbow Illusionist Moonbow Illusionist Cloudhoof Kirin Minamo Scrollkeeper Oni of Wild Places
真木 孝一郎 Moonbow Illusionist Akki Underling Shinen of Fury's Fire Spiraling Embers Soratami Cloud Chariot
小沢 隆一郎 Nightsoil Kami Hand of Cruelty Molting Skin Shinen of Life's Roar Nightsoil Kami

やはり印象的なのは、奇しくも全員が青か黒のカードを神河物語でファーストピックしていることだろう。

浅原が《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》、有田が《空民の学者/Soratami Savant》、そして斉藤&真木&射場本が《伝承の語り部/Teller of Tales》というスタートで、いわゆる有名人5人が揃って真っ青なスタートという非常事態になっている。中でも、射場本と真木は黒い除去を下に流し、それぞれ下のプレイヤー(しかも、揃ってファーストピックも黒かったという偶然の一致もある)がそれを2手目で捕まえて黒く染まって行くという似通った序盤の動きだ。

ドラフト全体をプレイヤー自身のインタビューを交えて解説する記事、プレイヤーたちのデッキリストといったデータは後述の予定だ。


Friday, September 2: 2:19 pm - Photo Gallery

by Keita Mori
日本初のプロツアー・チャンピオンである黒田 正城を支えているのは、愛する家族たちだ。 横浜在住の真貝 さら。彼女は見事に前日直前予選を勝ち抜き、赤単色デッキで日本選手権に出場した。今大会出場選手における紅一点。今大会のヘッドジャッジをつとめる宮坂 健(レベル3)。プレミアイベントの主催として関東の、日本のマジックを支えてきた功労者だ。販売ブースでは伝説の「ブルーハリケーン」や「β版のブースターパック」、さらには「パワーナイン」たちが陳列されている。すべて売り物!記念すべき第10回日本選手権。参加者総数は184名。

Friday, September 2: 3:30 pm - 第1ドラフト4番卓の考察、その参

by Keita Mori

私がピックを担当させていただいた4番卓の射場本と阪上のドラフティングについて、簡単に言及しておきたい。

Yasuhisa Sakajou

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とりあえず、射場本からの「黒をどうぞ」というシグナルを受け、さらに、自分自身が初手で《忌まわしい笑い/Hideous Laughter》ピックからスタートしていたこともあり、阪上は流れに逆らうことなく黒白という居場所を見つけた。

そして、一度道を見出してからは迷うことなく突き進む阪上。たとえば、救済の初手で《空を引き裂くもの、閼螺示/Arashi, the Sky Asunder》を見つけても、静かに《月翼の蛾/Moonwing Moth》ピックして、進路は揺らがない。ヘイト的要素の感じられる挙動は皆無。

そんなこんな。淡々としたドラフトに終始した阪上は、この激戦卓を2勝2敗という成績で綺麗にまとめることに成功したのだった。

神河物語/CHK 1st 2nd 3rd 4th 5th
射場本 正巳 Teller of Tales Sakura-Tribe Elder Frostwielder Scuttling Death Vine Kami
阪上 靖久 Hideous Laughter Rend Spirit Mothrider Samurai Blood Speaker Rend Spirit
 
神河謀叛/BOK 1st 2nd 3rd 4th 5th
射場本 正巳 Torrent of Stone Torrent of Stone Blademane Baku Cunning Bandit Tendo Ice Bridge
阪上 靖久 Ogre Marauder Indebted Samurai Waxmane Baku Moonlit Strider Hundred-Talon Strike
 
神河救済/SOK 1st 2nd 3rd 4th 5th
射場本 正巳 Sokenzan Spellblade Hail of Arrows Sokenzan Spellblade Yuki-Onna Kami of the Tended Garden
阪上 靖久 Moonwing Moth Shinen of Stars' Light Deathmask Nezumi Moonwing Moth Raving Oni-Slave

射場本からの「黒をどうぞシグナル」というのは、阪上の視点から言うと、神河物語の2手目と5手目で《霊魂の奪取/Rend Spirit》をピック出来たあたりである。

ところで、初手《伝承の語り部/Teller of Tales》→2手目《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》→3手目《霜投げ/Frostwielder》と取っていた射場本が、4手目の《小走りの死神/Scuttling Death》に手をだしている。しかし、これは射場本的に言うとヘイトでも偏向でもなんでもないそうだ。

第1ドラフトの4番卓より射場本 正巳(左)と阪上 靖久

「緑系なら4色くらいは想定内だし、タッチで死神つよいしね」

というわけで、最初の4枚で4つの色を網羅するドラフトとなった射場本である。

このあたり、付き合いの長い真木などに言わせると「しゃばだしな」となる。
そうか。そういうものか。

以下、射場本は

5手目:《蔦の神/Vine Kami
6手目:《浮き夢のずべら/Floating-Dream Zubera
7手目:《洞察力の花弁/Petals of Insight
8手目:《狂気の神/Kami of Lunacy
9手目:《思考の鈍化/Dampen Thought

と物語のピックを進めていった。

そして、神河謀叛のパックでは、隣の席の阪上が惜しみなく赤い火力をパスしてくれたので、射場本は青赤という路線に腰を落ち着けることになる。ただ、謀叛の10手目で《桜族の春呼び/Sakura-Tribe Springcaller》をピックできたときは、

「最初の神河物語で、《伝承の語り部/Teller of Tales》じゃなく《木霊の手の内/Kodama's Reach》のスタートしてたら緑ウハウハだったかもなぁ」

と考えたそうだ。

「真木に浅原君に友晴…でしょ。浅原君なんかは青黒忍者大好きそうだし、卓の『青好き度』を見誤ったかなあ」

実際、8人のうちの5人もが青いカードからスタートしていたわけなのである。

その後、神河救済で11手目に《精神の檻、迷心/Meishin, the Mind Cage》をピックできるという嬉しいハプニングに見舞われつつも、射場本は「まぁ、2-2できたらいいんじゃないかな」という妥当なデッキを作り上げることとなった。

そして、有言実行の、あるいは予定通りの2勝2敗。
通算4勝3敗にて土曜日を迎えることになった。

Masami Ibamoto

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Friday, September 2: 4:53 pm -第1ドラフト4番卓の考察、その四

by Daisuke Kawasaki
第1ドラフトの4番卓より高木(左)と斉藤

■高木 仁編

(浅原との対決を終了した所で話を聞いてみた)

――お疲れ様でした。今回のドラフトデックの出来はいかがですか?

高木:まあまあ、と言いたい所ですが、ちょっと重過ぎると思いますね。序盤耐え切れればなんとか…って感じでしょうか。

――初手の《肉体の奪取/Rend Flesh》はほとんどノータイムでピックしてらっしゃいましたが…

高木:そうですね。アレで一色は早い段階で決まりましたが、今思うとアレがミスだったかなと。

――といいますと?

高木:黒のカードの流れが悪かったじゃないですか。《秘教の抑制/Mystic Restraints》をとって青にしてサインを送っておいた方がよかったかなって。

余談だが、神河物語のファーストピックでは、8人中5人のプレイヤーが青を選択している。ちなみに残りの3人(高木含む)のファーストピックはなんと黒なのである。そういう意味では高木はまだ空いているほうに行けた、とも考えられる。

――一方で二色目は相当揺らいでいたようですが。

高木:そうですね。赤と緑をフォローしていたものの、結局決められなくて…。決定打になったのは結局救済の《寛大な麒麟/Bounteous Kirin》でしたね。緑は最終的に結構いい選択でしたね。《空を引き裂くもの、閼螺示/Arashi, the Sky Asunder》も流れてきたし…

――そういえば、閼螺示をピックした時に《生命の咆哮の思念/Shinen of Life's Roar》とで悩んでいたように見えたのですけど、何かお考えでも?

高木:いや、どう考えても《空を引き裂くもの、閼螺示/Arashi, the Sky Asunder》ですよ。ただ、さっきも言ったようにデックが重いのが気になりまして…

――なるほど。

高木:いや、ほんとに閼螺示取る以外選択肢は無いんですけどね。いい機会だからちょっとデックの中身を思い出してた、みたいな感じです。

――ちなみに、結果の予想は?

高木:いや、ほんと相当きついと思います。

 ちなみに、この次の5回戦の後、高木に声をかけてみた所《剃刀顎の鬼/Razorjaw Oni》にボコボコにされたとの事。そのカードも自分の前を通っていった事を考えると、悔しさもまた倍増といえるだろうか。

Hitoshi Takagi

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■斉藤 友晴編

(デック構築直後の斉藤に声をかけてみた)

――ピック全体を総括した感想はいかがですか?

斉藤:んー、下(真木 孝一郎)が青被ってるのが確定で、下手したら赤まで被ってるじゃないですか。結構きついですね。初手で《兜蛾/Kabuto Moth》を流したから下が白やってくれると思っていたので、謀叛で《野の源獣/Genju of the Fields》が流れてきた時には…

――相当いい顔してましたよね。

斉藤:もう、苦笑いするしかなかったですよ。

斉藤の下でピックをしていた真木 孝一郎(東京)は、斉藤の予想通り青赤のデックとなっていた。詳しくは、真木の項に譲るが、確かに兜蛾をピックした真木は青白の道も考慮していたようだ。その作戦を狂わせたのは、純粋にパックの内容の偏りだった。技術だけではどうにもならない事がマジックには数多く存在するのである。

だが、その中で勝てるデックをつくるのも、また、技術である。

――序盤5枚青連続でピックした後、二色目はかなり迷っていましたね。

斉藤:そうですね。

ここで、斉藤の物語の6~10ピック目までと謀叛の5ピック目までをおさらいしてみよう

神河物語

6:《粗暴な詐欺師/Brutal Deceiver
7:《よだれ舌のずべら/Dripping-Tongue Zubera
8:《溶岩の魂/Soul of Magma
9:《水まといの洞窟/Waterveil Cavern
10:《ねじれた鏡映の神/Kami of Twisted Reflection

神河謀叛

1:《ゆらめく玻璃凧/Shimmering Glasskite
2:《武道家の学徒/Budoka Pupil
3:《岩石流/Torrent of Stone
4:《凍らし/Frostling
5:《ゴブリンの群勢/Goblin Cohort

物語では詐欺師とずべらで赤と緑への可能性を残しつつ、謀叛でも赤と緑の両方の強力カードをピックしている。最終的には赤を選択した斉藤だが、その決定打はどのへんにあったのだろうか。

斉藤:最終的に赤に決めたのは、《岩石流/Torrent of Stone》をピックした時なんですけど、決定打になったのは、《粗暴な詐欺師/Brutal Deceiver》ですね。信頼度高いですよこいつは。

 一枚の強力カードでは無く、それまでにピックしたカードの総合的な評価で色を決める、これもまた技術だ。ましてや、このテーブルのようにパックの内容が歪んでいた場合、より重要な技術となる。

――ドラフト全体で特に気になったことはありましたか?

斉藤:やっぱり、初手ですかね。クチ(《伝承の語り部/Teller of Tales》)と兜蛾、どっちとってもいいとは思うんですけどね。ただ、個人的にはクチと兜蛾があった場合には、個人的に口をとるって決めてるからクチを取ったんですよ。こういう大きな大会の場合、フォームを崩さない事が一番重要だと思ってますから。

 さて、フォームを崩さない事が重要と言っていた斉藤はその後3連勝することになる。
 3連勝目にあたる6回戦目はフィーチャリングマッチであり、その席で斉藤と少し話をする機会があった。

斉藤:今日はプレイングもデックものってていい感じだったんですけどねー。いや、結果として勝ったんですけど…ありえないプレイングミスしまくっちゃいましたよ…。殺せないクリーチャー殺そうとしたり、勝てる可能性があるのに投了しちゃったり…。完全にしゃばさん(射場本 正巳(東京))の空気にのまれちゃってましたね…

 なるほど、フォームというのは重要なようだ。

Tomoharu Saitou

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Friday, September 2: 5:40 pm - 第1ドラフト4番卓の考察、その伍

by Yusuke Yoshikawa
第1ドラフトの4番卓より真木(左)と小沢

一連のドラフト考察記事の続き。

■真木 孝一郎(東京)の場合

「日本選手権では来たものを取る」

というのが、真木の基本戦略だという。それにのっとり、我慢のドラフトを続けてきた印象だったが、結局流れが向かなかった。あえて表現するなら、直線に向けて足を溜めていたのが、溜め続けて終わってしまった感じなのだ。

豊富に材料が出た色の組み合わせだけあって、それなりの水準にはまとまっているが、ひとたび窮地に陥れば逆転は苦しいだろう。

「(2手目の)《兜蛾/Kabuto Moth》から白青に行きたかったけど、白がびた止まり」

こう聞くとすぐ上に白がいたように感じるのだが、実際はそうではない。ただ不幸にも、あまりに白いカードが出なかった、というだけなのだ。結果的に神河物語で豊富だった赤に流れざるを得なくなり、最終的には上の斉藤とまったく同じ色構成となってしまっている。それを謙虚に受け止めつつも、もちろん負けるつもりはないだろう。

「全ては《深き刻の忍者/Ninja of the Deep Hours》にかかってるね。こいつらが殴れなければ即負け(笑)」

目標スコアは? と問うと、

「2-2だねぇ。3-1とはこのデッキでは言いづらいでしょ」

そして実際の結果も2-2。「予想通り」とおどけて見せた。

Kouichirou Maki

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■小沢 隆一郎(愛知)の場合

「上手い人がドラフトをすると、協調優先で使っていない色をバンバン流すとは聞いてましたけど、これほどとは思いませんでした」

話をうかがうと、開口一番小沢はこう言った。事実、すぐ上の真木の協調路線に助けられ、神河救済では7手目に2枚目の《生命の咆哮の思念/Shinen of Life's Roar》を手にしている。

「基本的には緑が好き」だという小沢は、黒いカードの発進から《残忍な詐欺師/Feral Deceiver》で緑の流れに乗ることに成功したと言える。普段このような「流れに乗る」ドラフトを経験することは少なかったようだが、それをこの場で成し遂げたことは隠れた実力の表出だろう。

デッキも締まって勝ち手段もあり、楽しみが持てる仕上がりだ。ただ、予想以上に重いカードが取れすぎてしまったらしく、構築には反省点もあったそうだ。

「ちょっと重くしすぎてしまったので、サイドボードで調整をしながらやっています」

1勝1敗で折り返した第5ラウンド終了時にインタビューを行ったのだが、彼はこの後のラウンドについてこんな目標を話してくれた。

「やっぱり緊張するとミスもしてしまうので、あまり硬くならずに頑張っていきたいと思います」

そして結果は、第7ラウンドでここまでドラフト全勝の斉藤を破る殊勲の星を含んだ3-1。

なすべきことを確実にこなした、素晴らしい結果だ。

Ryuuichirou Kozawa

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Friday, September 2: 6:53 pm -第1ドラフト4番卓の考察、その六

by Yukio Kozakai
第1ドラフトの4番卓より浅原(左)と有田

第1ドラフトの4番ポッドは、いわゆる「会場全体でもっとも濃い」という理由でフィーチャーが決まった。その中で、3番4番に指定された浅原 晃(神奈川)と有田 隆一(千葉)のピックと、今回は新たな試みとして、ドラフトしたその後も追いかけたドキュメント形式でお届けしよう。

デッキ構築があらかた済んだ頃、ドラフト終了後の手応えやターニングポイントなどを両人に伺ってみた。

ドラフトを終えて ~浅原~

―――ドラフトお疲れ様でした。物語の初手で《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》をピックしてからというもの、ほぼ一直線のドラフトを展開出来たという印象ですが、この辺はいかがでしょうか?

浅原「そうですね。だいぶ手なりでドラフトしましたけど、まぁそこそこ出来たんじゃないかと思います」

―――ですね。最初から色を決め打ちとかされてらっしゃったんでしょうか?

浅原「いや、何も決めてないです。本当に手なりで。ただ、途中どこかで緑か赤に食い付いてもいいタイミングがあったと思います。特に緑は《木霊の手の内/Kodama's Reach》《木霊の力/Kodama's Might》がかなり遅い順目に流れてきてたので、上は誰も緑やってないんじゃないかと。謀反の『《節くれ塊/Gnarled Mass》いっぱい』状態も、本当にどうしようかって感じでしたけど」

―――確かに《木霊の力/Kodama's Might》はかなり遅かったですね(浅原の6ピック目に流れてきていた。結局、下の有田がカットする形になった)。じゃあ、やるとしたらメインカラーは黒? 青?

浅原「黒ですね。やっぱり除去のある色で、青はタッチって感じで。黒緑でかなり強いデッキが出来たんじゃないかなと、今考えるとそう思いますね」

―――なるほど。それでは、最後にズバリ。このデッキで何勝出来るとお考えですか?

浅原「3-1か……2-2かな。2-2が妥当なラインだと思いますけどね」

Akira Asahara

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ドラフトを終えて ~有田~

―――えーと、大変お伺いしづらいのですが……。

有田「えー、もう俺はええやんー」

こう答える有田。それもそのはず、上家の浅原と物語の段階で青が被ってしまい、結局黒白に落ち着いたものの黒も浅原が選択しているカラーなのだ。ドラフト終了直後に、もの凄くいい顔をしてくれたのが印象的である。

―――まず、最初に。決め打ちでした?

有田「青白決め打ちやった。最初に《飢えたるもの、卑堕硫/He Who Hungers》取ってそのまま赤黒に進んでたらめっちゃ強いデッキ出来てたで、ホンマにー」

―――確かに。苦しいドラフトだなというのは見て取れましたが、それでも謀反では初手の《鬼の下僕、墨目/Ink-Eyes, Servant of Oni》を中心に《竹沼の嫌われ者/Takenuma Bleeder》2枚など、黒に恵まれてデッキがややまとまった感じがありますが

有田「まぁ確かに。救済で《大薙刀/O-Naginata》取っておけば良かったかな? と思ったけど、実はあんまパワー3以上がおらんかった」

―――序盤からしっかりクリーチャーが展開出来て、墨目までつながれば……。何とかなりそうな気配は、ある、かも、知れないですね。ちなみに、これまたお聞きするのが大変心苦しいのですが。このデッキでどのぐらい行けそうでしょう?

有田「1勝! 1勝!! とりあえず1勝したいー!!!」

Ryuuichi Arita

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戦い終わって ~浅原~

―――最終成績は3-1でした。最初のお話の通り、想定の範囲内だったと。

浅原「そうですね。4-0したかったですけど、シャバさん(射場本 正巳)の《三日月の神/Kami of the Crescent Moon》にやられました。やられたって言っても、三日月に殴られて死んだとかそういう意味じゃないですけど、除去が薄いデッキ(《汚れ/Befoul》しかない)だったんで、ハンデスがうまく刺さらないと負けますし」

―――そういえば、シャバさんは初手からかなり広いピックをしていたようですが。

浅原「あれだけですかね。後は相手が事故ったりで勝って」

―――ともあれ、これで初日5-2。明日は6-1すればトップ8が見えてきますね。

浅原「そうですね、頑張ります」

戦い終わって ~有田~

―――お疲れ様です。

有田「やっぱデッキ弱過ぎやー、さっきなんか《鬼の下僕、墨目/Ink-Eyes, Servant of Oni》出して《輝く群れ/Shining Shoal》撃って負けたもん。《夜泥の神/Nightsoil Kami》がどうにもならんかったー」

―――やっぱりダメでしたか……。

有田「仕事忙しすぎて、直前にぜんぜん練習出来んかったから、もう決め打ちするしかなかったし。俺が赤やっとったら、多分やけど後ろがスッキリ行ったと思うけど、結果論やしなぁ」

―――練習不足が響いたと。

有田「スタンダードもやね。デッキはヴィリジアンラッツやけど、トロンとか練習する時間無かったし、青トロン相手にキツイのわかっててもコレしか無かったからね」


Friday, September 2: 7:09 pm - 第1ドラフト4番卓の考察 – 総括

by Yusuke Yoshikawa

荒れたドラフトだった。

この卓のドラフトを簡潔に表現するなら、こうなってしまうだろう。

しかしそれは決してプレイヤーのレベルが低いからなどというわけではなく、神河物語の初手ピックについて5人が青(しかも3人は《伝承の語り部/Teller of Tales》)、3人が黒に固まるなど、パックの内容に大きな偏りがあったことを考えて、その結果プレイヤーたちが非常に困難な状況にさらされ難解なドラフトになった、と説明するほうが妥当だろう。
その意味で、同一ポッドで4回対戦するという特殊な状況下で、4-0のスコアを残すことが誰もできなかったのは必然かもしれない。一方、0-4を記録したことプレイヤーがいたことは、残念ではあるがこちらも考えられることではあったと思う。誰かが貧乏くじを引かなければならなかったのだし、それは誰も責められない。

さて、その厳しい状況の中で3勝1敗という成績を残した3人――浅原、斉藤、小沢について、成功理由を探ってみたい。

この中で、荒れた流れに最も影響されずにドラフトを進めることができたのは、(失礼ながら)意外にも日本選手権初参加となる小沢だった。

上下が青で始まったということもあるが、黒スタートから4手目で《残忍な詐欺師/Feral Deceiver》で緑に渡りをつけ、「遅い順目で《木霊の力/Kodama's Might》が流れてきたこと(注:このときは別のカードを取っている)」を目安に黒緑に滑り込んだ。その結果、神河救済では4・7手目に《生命の咆哮の思念/Shinen of Life's Roar》を入手するなど、非常に粒ぞろいのデッキを仕上げることができた。

Arashi, the Sky Asunder

人がやっていない色を見つけ、そこに滑り込むというのはドラフトの王道だろう。
これは「2色」を決めてドラフトした成功例であるといえる。

かといって、「勝ち組」の色を見つければそれで勝てるかというとそうでもなく、実際、小沢と同じ緑=今回の人気薄を選択した高木は、同じように4手目《空を引き裂くもの、閼螺示/Arashi, the Sky Asunder》などに恵まれながらも、緑の軽いカードが少なく、デッキが重くなってしまったことで、結果を残せなかった。

色を上手く選択してそれを取り続ければ全て上手くいくというわけでもなく、コストの高低でバランスの取れたカード選択になるよう、時には冒険もしていかなければならないのかもしれない。

一方、ドラフトはそう上手くいくばかりでもない。特に、今回のように荒れたドラフトの中で、強豪たちはどのように手をまとめたのか。

斉藤は上2人青が空いていたこともあり、一貫して青のカードを取りながら、時折赤い火力を取るという形でデッキを作っていったことが読み取れる。青いカードが豊富だったことが逆に災いして、下の真木と色が完全に被ってしまうことになったが、それでもひとつの色(この場合は青)を序盤で重点的に取っておいたことで、カードを分け合う余裕が生まれ、両立をある程度実現できたと考えられる。当然ながら、同色でも上に座っていた優位性は見逃せない。

こちらは、「1色」を決めてドラフトをした例と言えるだろう。

同様に浅原も、上の坂上のおこぼれを拾う形で黒になり、結果的に被ってしまったのだが、同じ黒でも白黒と青黒というデッキタイプの差からくるカードの優先順位の違いによって、ある程度のカードの入手に成功している。これは、環境で考えられるデッキタイプを理解できているからなせる業なのだろう。

また、これは少し限定的な話になるが、ここまで煮詰まった環境になると、「誰々はどのデッキが好き」という個人的な好みも見逃せない要素にはなってくる。それが全てというわけではないが、そんな要素を思考に織り込むのもまた、面白いはずだ。

「2色」のドラフトか「1色」か。被っても突き進むか、色替えのタイミングを計るか。方法はそれぞれだが、自らのスタンスを決めておくことは、3セットが揃った、不確定要素の多いドラフトでは必要になってくると感じる。

彼らのこの後の活躍を期待するとともに、「神河後」も含めた今後の教訓とされたい。

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