Day 1 Blog Archive

Posted in Event Coverage on June 17, 2006

By Wizards of the Coast

TABLE OF CONTENTS

  • Blog - 6:33 p.m.: Round 7 : Double SHU desu(日本) vs. Slumpbusters(アメリカ)
    by Keita Mori and Craig Gibson
  • Blog - 4:57 p.m.: Round 5 : Double SHU desu(日本) vs. Big Timing With Big Oots(アメリカ)
    by Keita Mori and Craig Gibson
  • Blog - 3:02 p.m.: Photo Essay: Welcome to Charleston
    by Keita Mori and Craig Gibson
  • Blog - 2:35 p.m.: Round 1 : I''s(日本) vs. Vanilla Ice(日本)
    by Keita Mori
  • Blog - 1:33 p.m.: Return of the Legends
    by Keita Mori

BLOG

 

英語版記事に目を通している皆さんはおそらく"HoF"という単語をよく見かけているのではないだろうか。"Hall of Fame"、すなわち、各種スポーツの世界ではおなじみの「殿堂」というヤツである。

いかなる功績を残したプレイヤーがいかなるプロセスを経てマジック:ザ・ギャザリングのプロツアー殿堂入りを果たすかというと、以下の通り。

まず、生涯獲得プロポイントが100点以上のプレイヤーで、はじめてプロツアーに参加してから10年以上が経過したものが候補者となる。その候補者たちについて殿堂選定委員会なる有識者関係者組織とプレイヤー委員会とが投票を行い、その結果を受けて年末の世界選手権で(その年の)殿堂入りプレイヤーたちが発表、表彰される運びとなる。

昨年度贈られた「殿堂リング

殿堂入りを果たしたプレイヤーたちは文字通りに歴史にその名を刻み込むという栄誉とともに、生涯にわたる「プロプレイヤークラブ:レベル3」資格を与えられることになる。平たく言うならば、いつでもプロツアーに来てくださいね、というわけだ。

さらに、チーム戦のプロツアーでは特例として「殿堂入りプレイヤーたちは好きなチームメイト二人を連れてきても良い」ということになった。

そんな背景もあって、伝説的なチーム、伝説的なプレイヤーが帰ってきているチャールストンなのである。代表的なチームをいくつかご紹介しよう。

Antarctica

Antarctica、左からスティーヴOMS、フィンケル、ダンOMS

Player A: Daniel O'Mahoney-Schwartz
Player B: Jon Finkel
Player C: Steven O'Mahoney-Schwartz

文句なしの得票数第一位で第一期殿堂入りを果たした"Jonny Magic"(Jon Finkel)が久々のチーム戦で相棒に選んだのはO'Mahoney-Schwartz(オマーホニィ=シュワルツ/以下OMS)兄弟だった。彼らは初めてチーム戦で行われたプロツアー・ワシントンDC('99-'00シーズン)でベスト4にも輝いたことがあり、グランプリ・セントルイスでの優勝経験もある。Antarcticaというチームは、まさしく「強きアメリカ」時代の象徴ともいえる存在だ。

ちなみに、OMS兄弟はフランスのRuel兄弟が台頭するまで「世界最強の兄弟デュエリスト」と呼ばれていたコンビ。Stevenはプロツアー王者にも輝いたことがある往年の名リミテッダーで、弟のDanielも昨年のグランプリ・ボストン(大礒 正嗣 が初戴冠したエクステンデッド戦)で久しぶりに顔を見せたかと思えば悠々とベストエイト入賞を果たしてしまうという活躍ぶりを見せている。

YMG Hump-Free

Team YMG Hump-Free、左からドハティ、キャッスル、ゲイリー

Player A: Justin Gary
Player B: Darwin Kastle
Player C: Rob Dougherty

「静かなるヒルジャイアント」Darwin Kastleが声をかけたのも、彼の偉大なキャリアのバックボーンとなったチームの友人たちであった。ショップYour Move Games(以下YMG)のオーナーでもあるDougherty(ドハティ)総帥、名門マサチューセッツ工科大学で博士号を取得したHumpherys(ハンフリーズ)博士と結成したトリオで、Kastleは初代チーム・プロツアー王者に輝いているのである。

本当はHumpherys博士を迎えてのオリジナルメンバーで出場したかったとのことだが、どうやら博士は某オンラインゲームに大忙し(情報提供BDM)とのこと。ここでKastleとDoughertyはプロツアーとアメリカ選手権を制したことのある初期メンバー、Justin Garyを加えた陣容でチャールストンへとやって来たのだった。

Vanilla Ice

ラストエンペラーふたたび

Player A: 浅原 晃
Player B: 岡本 尋
Player C: 池田 剛

昨年度の世界選手権でベスト4に輝いた浅原 晃は、自分の名前が冠された「浅原連合」というコミュニティを持っている。しかしながら、チーム戦においては「傭兵系キャラ」を自認しているのだという。

たしかに、これまでも桧垣 貴生の抜けたTeam Hato Beam(桧垣 貴生・上野 一樹・大礒 正嗣)にゲスト参加してTeam AA Beam(浅原・上野・大礒)を結成したりしているのが浅原である。そんなわけで、今回もごく自然に浅原は「チャールストンでは組もうよ」という池田 剛からのオファーを受け容れ、三人目のメンバーを探すことになったそうだ。

そんなわけで、このVanilla Iceは昔からの名門チームというわけではないのだが、チーム戦ならではの「レジェンドふたたび」チームとしてご紹介することにした次第である。

そう、"The Last Emperor"岡本 尋が友人たちの誘いを受けてふたたびプロツアーの舞台へと帰ってきたのだ!

浅原 「尊敬する尋さんとは、一度は組んでみたいなと思っていましたから」

池田と岡本は長年にわたるチームメイトであり、司令塔に石田 格を迎えたShop-Fireball.com/2としてチーム・プロツアーで準優勝の経験もある。さらに池田にはプロツアー横浜でベスト4入賞、岡本には世界選手権ベルリン大会での準優勝の経験もある。まさしく歴戦のコンビと言えよう。

もちろん、岡本が第一線を離れているということもあって、彼らも今大会の目標戦績については控えめに語る。しかしながら、競技世界の最高峰ともいえる舞台で「仲間たちとマジックを楽しもうという」スタイルを選んだ彼らは、やはり魅力的だ。


Friday, June 16: 2:35 p.m. - Round 1 : I''s(日本) vs. Vanilla Ice(日本)

by Keita Mori

Vanilla Ice、左から池田、岡本、浅原

I''s
Player A: 森田 雅彦(4cGファッティ)
Player B: 津村 健志(UGRシミック/イゼット)
Player C: 森 勝洋(RWBラクドス/ボロス)

Vanilla Ice
Player A: 浅原 晃(4cGファッティ)
Player B: 岡本 尋(URBカウンターバーン)
Player C: 池田 剛(UGBクロックパーミッション)

175チーム525名という大所帯で開催されることになったプロツアー・チャールストン。その第1回戦のFeature Match(注目の対戦)に選ばれたのは、日本を代表する二つのチームであった。

一方のVanilla Iceは先ほどの記事でご紹介した「尋さん、おかえりなさい!」チーム。もちろん勝負に挑むスタンスは真剣そのものだが、デッキ構築秘話からして微笑ましいトリオである。

岡本 「…オレと池田さんで好きなカードを使わしてもらったんだよね(笑) とりあえず、強そうなカードで好きなやつから順番に」

池田 「《差し戻し/Remand》とかショックランドとか《シミックの空呑み/Simic Sky Swallower》とか、そういう一流のスタンダード級カードをTier 1、ちょっと劣るのをTier 2みたいに分類して、みんなでなるべくTier 1クラスのカードをいっぱい使おうよっていうのがコンセプト」

岡本 「まあ、基本的に浅原君がいるからこその作戦だけどね」

池田 「そうだね。あまりものを全部おしつけただけでも、それでも浅原先生なら何とかしてくれるよね! という感じで」

浅原 「…というわけで、せめてチーム名だけはつけさせてもらいました」

かくして、FireともBallともつかない名前のチームで池田&岡本のコンビがプロツアーに挑むことになったそうである。

ちなみに、浜松で浅原が自らのチームにつけた名前はStardust Crusaders。わかる人なら一発でわかってしまうであろう漫画ネタを絶賛継続中のようだ。

対するI''s。こちらも出版社から掲載誌まで同じ系統の漫画ネタからの命名ということだが、何はともあれ世界中が注目する「レベル17」チームだ。森 勝洋(レベル6)+津村 健志(レベル6)+森田 雅彦(レベル5)=累計レベル17。世界王者+Player of the Year(昨年度MVP)+チーム戦のスペシャリストという、目が眩んでしまいそうな豪華なトリオである。

森田 「…ごめんなさい。愛蔵版が出たので名前使わせてもらいました」

…と、なぜか対戦エリアでいきなり森田に謝られてしまうというハプニングにたじろいでしまった筆者だが、とにもかくにもプロツアー・チャールストンはこの一戦から幕を開けるのであった。

■池田(UGBクロックパーミッション) vs. 森(RWBラクドス/ボロス)

左から森田、津村、森

開始3分ほどだっただろうか。
早くも最初のゲームが終了した。

池田 「そもそも相性が悪いマッチで…ダブルマリガンじゃなあ…」

先手を取った森は2ターン目の《闇の腹心/Dark Confidant》から3ターン目に《空騎士の軍団兵/Skyknight Legionnaire》召喚というロケットスタートで、手札にあふれかえる火力――《黒焦げ/Char》や《稲妻のらせん/Lightning Helix》――によって瞬殺劇を演じてみせたのだ。

 「デッキ相性だけじゃなくてキャラ相性ってあるよね(笑) オレも浅原さんとあたると絶対こっちが事故ってボコボコにされるし。ほんっと、浅原さんとあたらなくて良かった!! 池田さん、オレ苦手でしょ!?」

池田 「相当やりにくいね(苦笑)」

デッキ相性、キャラ相性ともに有利だと語る森は二戦目にも有言実行。《巨大ヒヨケムシ/Giant Solifuge》のビートダウンから火力の乱射で圧勝してしまった。

森や池田の言うように、チーム構築フォーマットの試合ではデッキの相性による「座り運」という要素にも大きく左右されるものなのである。

極端な話、仮に2つのチームがまったく同じ3つのデッキを持ってきて対戦することになったとしても、どれとどれがマッチアップされるかの配置によって潜在的な有利不利が生じてしまう。これはもう純粋にジャンケンのようなもので、この部分に関して運ゲーと言わざるをえない部分もあるかもしれない。

しかしながら、このフォーマットに精通したプレイヤーの中には「真ん中の席は両脇にアドバイスする役目の司令塔系キャラが座ることが多くて、そこにはコントロールデッキが配置されやすいハズだ! だからそれをメタって……(以下省略)」という風に、対戦チームのデッキ配置傾向まで想定して策を練るタイプもいるようである。

往々にして、策士策に……というパターンをよく聞くが、ときたまズバリとあたる者がいるところも面白い分野の話である。

森 勝洋 2-0 池田 剛

チームスコア:I''s 1-0 Vanilla Ice

■浅原(4cGファッティ) vs. 森田(4cGファッティ)

C席でチームメイトの池田が苦杯を舐めさせられたその頃、A席でもVanilla Iceのプレイヤーがダブルマリガンからの一方的な展開ゆえに投了を余儀なくされていた。

ここA席で繰り広げられているのは4cGファッティ・デッキのミラーマッチ(同系対決)で、これは印鑑などのマナ加速を展開してからパワークリチャーたちを連打していくという豪快なアーキタイプである。

この手のデッキに入っているクリーチャーは《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》、《絶望の天使/Angel of Despair》、《骸骨の吸血鬼/Skeletal Vampire》といったお歴々がメインで、おまけにが《シミックの空呑み/Simic Sky Swallower》のためだけにタッチされているといった風情の怪獣大行進ぶり。純粋に緑白黒の三色で構成されたバージョンも少なくないようで、暫定的に「4cGファッティ」と適当な呼び方をさせてもらったが、実のところ「変則ロクソドン・ヒエラルキー」といったところだろう。どのあたりが「変則」かと言えば、こちらは現代によみがえる大艦巨砲主義である。

Moonlight Bargain

さて、緒戦を不本意なダブルマリガンで落としてしまった浅原だったが、続く2戦目は2ターン目に《ゴルガリの印鑑/Golgari Signet》、3ターン目に《護民官の道探し/Civic Wayfinder》という順調なマナ加速から…相手のターンエンドステップに《月光の取り引き/Moonlight Bargain》を詠唱。ここで一気に8点のライフを支払って4枚のカードを手に入れたのだった。

このサイドボードカードによって手札を拡充した浅原は、《酷評/Castigate》で森田のハンドから《罪+罰/Crime/Punishment》を捨てさせつつ《アウグスティン四世大判事/Grand Arbiter Augustin IV》を召喚。この《大判事》のプレイ妨害能力によって森田もサイドボードから手に入れていた《月光の取り引き》を実質的に無効化することに成功した。

浅原は続くターンに《絶望の天使/Angel of Despair》を呼び出して森田のマナベースに一撃を加え、力強くクロックを設置。駄目押しとばかりに《悪夢の虚空/Nightmare Void》を唱え、森田を投了に追い込んだ。

かくて、ダブルマリガン、ブンまわりという両極端な浅原のパフォーマンスを経て、第3ゲーム。ここで両者が展開したのは熾烈な手札破壊合戦だった。両者淡々と土地や印鑑をならべながら、《酷評/Castigate》を連発。両者あわせて都合5発が飛び交う展開の中、とにかく両者のマナばかりが伸びていく。

そんなわけで、試合の行方はめくりあいのトップデッキ勝負となり、
……勝者、浅原 晃。

浅原は《絶望の天使》、《骸骨の吸血鬼》×2とかたまっていた「フィニッシャーゾーン」を見事に引き当て、土地地獄に陥っていた森田を一蹴した。

浅原 晃 2-1 森田 雅彦

チームスコア:Vanilla Ice 1-1 I''s

森田(手前)と浅原の熱戦、最後はトップデッキ勝負であった。

■岡本(URBカウンターバーン) vs. 津村(シミック/イゼット)

かくて、かえってきたラストエンペラーと昨年度最優秀プロプレイヤーによるコントロール対決が勝負を決めることになった。おあつらえむきにここまで1勝1敗である。

池田 「オレがおるとモリカツとの相性差でこっちが事故っちゃうような気がするから、オレ退席するわ。頑張って」

池田が立ち去ると、

 「森田君、ここは余計なこと言わずに津村にまかせたほうがいいかも…」

と、森と森田も退席。

浅原が岡本を見守り、一方で津村が孤軍奮闘するという第3ゲームがはじまった。

ここで先手マリガンというハンディキャップを背負ってゲームをスタートする津村。コントロール対決ということを考えると、手札一枚のロスがいつにもまして厳しい。そして、津村にとってはさらに悪いことに、ここぞと岡本は的確に手札破壊を連打してくるのだった。

最初の《屍賢者の助言/Consult the Necrosages》に対して津村はバウンスランドの「お釣り」で戻ってきた土地2枚をディスカードするも…、2発目にはたまらず《交錯の混乱/Muddle the Mixture》を使用してカウンター。

なんとかマナこそ伸びてはいるものの、ハンドの枚数で大きく水をあけられてしまったしまった津村に対して、岡本はさらに手札破壊を継続。《Hymn to Tourach》よろしく《隆盛+下落/Rise/Fall》を詠唱した。

Giant Solifuge

この《下落/Fall》にレスポンスして津村が《研究+開発/Research/Development》の《開発/Development》を使用して来たのだが、冷静にここまでの試合運びを見守っていたチームメイトから的確な助言がもたらされる。

浅原 「尋さん、大丈夫です。ここは2体3/1トークンを出させて、1枚引かせてやりましょう」

津村はこの《下落/Rise》で《火想者の発動/Invoke the Firemind》と《詩神の器/Muse Vessel》を失い、せっかくのダメージクロックとなった3/1トークンもかわるがわるの《悪魔火/Demonfire》によって葬られてしまった。

こうして津村の手札がズタズタとなったところを狙い済ませて、岡本のデッキに投入された唯一のクリーチャーが駆け抜ける。

《巨大ヒヨケムシ/Giant Solifuge》で三発。とどめは《黒焦げ/Char》だった。

岡本 尋 2-1 津村 健志

チームスコア:Vanilla Ice 2-1 I''s

皆さんも思い出してほしい。
「ミル・ストーリー」でアジアを制し、《ミラーリの目覚め/Mirari's Wake》で世界選手権準優勝を果たした一流のコントロール使いが日本にいたことを。


Friday, June 16: 3:02 p.m. - Photo Essay: Welcome to Charleston

by Keita Mori

1860年12月、サウスカロライナは議会の投票によってアメリカ合衆国からの脱退を表明した最初の州となった。そして、翌1861年1月。チャールストン要塞の士官が合衆国の船に向けて砲撃をしかけ、南北戦争の火蓋が切られた。


かつては南部の中心的な都市であったチャールストン。古き良きアメリカの面影を街並みに残している。


歴史的建造物も数多く存在しており、現在のチャールストンは観光地としても有名な街のひとつ。


…と、せっかく歴史薫るチャールストンまで旅行してきているものの、ヨーロッパ勢を中心としたプレイヤーたちの関心事はとにかくFIFAワールドカップ。

ラウンドの合間にプロプレイヤー・ラウンジからは大きな歓声があがることもしばしば!


愛する母国代表チームのユニフォームを纏ってくるものも多数、中には国旗を模したフェイスペイントを施して会場にやってくるものも。 

「サッカー見せてくれなきゃ、国に帰る!」


Friday, June 16: 4:57 p.m. - Round 5 : Double SHU desu(日本) vs. Big Timing With Big Oots(アメリカ)

by Keita Mori

ダブル修です。左から志村、小室、中村

Double SHU desu
Player A: 志村 一郎(RBラクドスビートダウン)
Player B: 小室 修(UGWrイタルスペシャル)
Player C: 中村 修平(4cGファッティ)

Big Timing With Big Oots
Player A: Chris McDaniel(GWBファッティ)
Player B: Gadiel Szleifer(URGイゼット/シミック)
Player C: John Pelcak(RWボロスデックウィンズ)

「…残念ながら、チームメイトがこの天才についてこられなかったようでしたね」

先日のグランプリ浜松でもっとも記憶に残っているこの強烈なるセリフ、もちろん華麗な美技を誇るプロツアー名古屋王者、小室 修のものである。

彼らのチームは残念ながら初日落ちという憂き目にあってしまったわけだが、そんな中で小室だけはただ一人個人戦績全勝という素晴らしいパフォーマンスをおさめていたのだった。

中村 「実際、今回のプロツアーもうちのチームは小室さん次第です。ホンマのところ」

志村 「小室さんに気持ちよくやってもらうっていうのが前提で、僕ら二人の出るデッキは小室さんのデッキ選択によって可変なんです」

とは、前日調整におけるチームメイトたちの偽らざる声である。

そして、本日ここまで小室は絶好調だ。チーム「ダブル修です。」はこのプロツアー・チャールストンで無傷の四連勝。もちろん、チームを牽引しているのは小室の華麗なる全勝パフォーマンスだ。

そんな中、この第5回戦で小室の前に着席したのがプロツアー・フィラデルフィア王者のGadiel Szleifer(ゲイディエル・シュライファー)。つまり、まごうことなきプロツアーチャンプ対決がB席で実現することとなったのだった。

小室 「相手に不足はないところですね」

Game 1

C席で変則ロクソドン・ヒエラルキー的な4cGファッティを操る中村が《木彫りの女人像/Carven Caryatid》から《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》につなげるという磐石の体制で敵軍ボロス・デック・ウィンズの序盤攻勢を凌ぎ、マナ域をファッティ勝負へと持ち込んで幸先良く先勝した。

しかしながら、A席では敵軍の3cGファッティを前に志村(ラクドス・ビートダウン)が事故気味の展開となってしまい、チームとしてのスコアはあっという間にタイに戻されてしまった。そうなると、やはりチームは主役の小室次第ということになる。

かくて、注目のB席の対決をクローズアップしよう。

神河ブロック構築でプロツアー王者に輝いた雄敵、Gadiel Szleiferのデッキは青緑赤のコントロール。ドロー加速呪文、マナ加速呪文、打ち消し呪文、火力、フィニッシャーの《シミックの空呑み/Simic Sky Swallower》といった要素が内包された安定感あるデッキである。いわゆる「ターボ空呑み」だとか、「カウンターバーン空呑み」と呼ばれているイゼット+シミック系のアーキタイプだ。

対する小室が手にしているデッキは4cG「イタルスペシャル」。先日のグランプリ浜松で「オウリング・マイン」、「アネックス・ワイルドファイア」、「マグニボア」といったさまざまなデッキの要素をハイブリッドした青赤デッキを仕上げてチームをベスト4進出に導いた名伯楽、石田 格のデザインである。その仕上がり、完成度の高さを小室に表現させると…

小室 「やっぱブランドものでしょ」

となる。

ハイブリッドデッキであるということは、様々な要素が絶妙なバランスで配合されているということになる。つまり、「イタルスペシャル」は使い手を選ぶアーキタイプということだ。

もちろん、世界の頂点を掴み取った名手の技量に疑う余地などかけらほどもない。小室は序盤のマナ加速合戦で効果的に《差し戻し/Remand》をプレイし、Szleiferが一瞬のもたつきを見せたところに《護民官の道探し/Civic Wayfinder》、《宮廷の軽騎兵/Court Hussar》といったアドバンテージ系CIPクリーチャーを並べていく。

「イタルスペシャル」で採用されているクリーチャーのラインナップは実に印象的で、そのほとんどが複数の用途と効用をもったアドバンテージカードでかためられている。たとえばライバルのSzleiferはおなじみの《強迫的な研究/Compulsive Research》などをプレイしながら手札を肥やしていくわけだが、ここで小室は《宮廷の軽騎兵/Court Hussar》という1/3のダメージクロックを場に展開しながら手札を充実させていっているのだ。

2体ずつの《軽騎兵》と《護民官》が並んだところで、たまらずSzleiferは《大竜巻/Savage Twister》を詠唱。小室はここで《虚空粘/Voidslime》を使うのだが、執念の《交錯の混乱/Muddle the Mixture》によってSzleiferは一斉除去を成就する。

しかしながら、小室の陣営からは次なる《護民官の道探し/Civic Wayfinder》がすぐさま呼び出され、確実に時計の針が進められていくという展開。

とどめとばかりに小室は《アウグスティン四世大判事/Grand Arbiter Augustin IV》を召喚し、2枚の《差し戻し/Remand》によってSzleiferの対抗手段を封じ込めての勝利を飾った。

志村 0-1
小室 1-0
中村 1-0

Game 2

Big Timing With Big Oots

二戦目も、やはり小室は完璧だった。

開幕ターンの《楽園の拡散/Utopia Sprawl》によるマナ加速から、3ターン目にして早くも《アウグスティン四世大判事》を召喚。敵陣のマナを拘束しつつのさらなるマナブーストを果たした。

もちろん、小室は小さくビートを刻みながら《護民官の道探し》、《宮廷の軽騎兵》といったアドバンテージクリーチャーを召喚してさらなるプレッシャーをかけ続け、その上で環境最大級の脅威である《シミックの空呑み/Simic Sky Swallower》を大空に解き放った。その流れるようなゲームプランは…本当に美しい。

対するSzleiferも《喧騒の貧霊/Rumbling Slum》を呼び出してから《大竜巻/Savage Twister》で小物を一掃してみせるのだが、すでにダメージレースで先行している小室は地上に2体の《宮廷の軽騎兵》を呼び出し、チャンプブロッカー候補を展開しながらの手札補充に成功。勝利へのカウントダウン体制にはいった。

…すると、小室の試合運びに勇気づけられたか、「ダブル修です。」の仲間たちも素晴らしい活躍を見せたのだった。

4cGファッティの中村 修平がC席で圧倒的な航空戦力――《絶望の天使/Angel of Despair》と2体の《骸骨の吸血鬼/Skeletal Vampire》――を展開してビートダウンを果たしたかと思えば、志村 一郎も驚異的なスピードで第2、第3ゲームを取り返しての逆転勝利を飾ってみせたのだ!

もちろん、チームの勝利が決まってからも小室の華麗な手さばきは変わらず、見事にプロツアー王者を仕留めての五連勝を達成した。

中村 修平 2-0
小室 修 2-0
志村 一郎 2-1

チームスコア:Double DHU desu 3-0 Big Timing With Big Oots


Friday, June 16: 6:33 p.m. - Round 7 : Double SHU desu(日本) vs. Slumpbusters(アメリカ)

by Keita Mori

ダブル修です。

Double SHU desu
Player A: 志村 一郎(RBラクドスビートダウン)
Player B: 小室 修(UGWrイタルスペシャル)
Player C: 中村 修平(4cGファッティ)

Slumpbusters
Player A: Bright Kendall(BWオルゾフビートダウン)
Player B: Adam Yurchick(URGイゼット/シミック)
Player C: Jon Swearingen(RWボロスデックウィンズ)

「…とりあえずここはオレ絶対勝つから、二人のどっちかが頑張ってね」

先日のグランプリ浜松から数えて、「華麗なる天才」小室 修は(団体戦ながらも)個人戦績12連勝と絶好調で舌好調。実際のところ、この試合に勝ってしまえば初日全勝の快挙達成となってしまうのである。

■志村(RBラクドス) vs. Bright(WBオルゾフ)

同じアメリカ勢ゆえか、第5回戦で戦ったBig Timing With Big Ootsと非常に似通った(B席、C席がほとんど同じ)配置のSlumpbusters。そんな彼らの陣容の中で印象的なのは、A席に純正2色のオルゾフ・ビートダウンが配置されていること。正直なところ、今大会ではあまり見かけなかったアーキタイプである。

先手をとったラクドスの志村が《炎の印章/Seal of Fire》で《オルゾフのギルド魔道士/Orzhov Guildmage》を焼き、逆に敵軍の《屈辱/Mortify》が志村の《ラクドスの穴開け魔道士/Rakdos Augermage》を除去。ならば、と志村も敵軍の《闇の腹心/Dark Confidant》を《悪魔火/Demonfire》で焼き殺して抵抗したのだが、残念なことに志村のまともなドローはここまでとなってしまう。

Brightは《鐘楼のスピリット/Belfry Spirit》と《オルゾフのギルド魔道士/Orzhov Guildmage》2体を後続として展開し、ビートダウンをスタート。

ここにきてドローが澱んでしまった志村を尻目に、Brightは《オルゾフの司教/Orzhov Pontiff》を呼び出して自軍強化。鮮やかにダメージレースを制した。

Bright 1-0 志村

緒戦の星を落としてしまった志村はなんとか逆転のキッカケを作ろうともがくのだが、《血の魔女リゾルダ/Lyzolda, the Blood Witch》には《最後の喘ぎ/Last Gasp》が、《ラクドスの穴開け魔道士》にも《屈辱/Mortify》が即座に飛来する。

それならば、と敵陣の《オルゾフの御曹子、テイサ/Teysa, Orzhov Scion》に《黒焦げ/Char》を打ち込み、そこから《巨大ヒヨケムシ/Giant Solifuge》を走らせる志村。その上で2体目の《血の魔女リゾルダ》をプレイして大きく攻勢に出た。

…が、しかし。

そこにグサリと突き刺さるのがBrightの《オルゾフの司教/Orzhov Pontiff》だった。あわれ、2体のタフネス1アタッカーたちは全滅の憂き目に。

それでも、本体に《悪魔火/Demonfire》を打ち込むなどして追いすがる志村だったが、ここで登場する《オルゾヴァの幽霊議員/Ghost Council of Orzhova》にしてやられてしまうのだった。

Bright 2-0 志村

チームスコア:Double SHU desu 0-1 Slumpbusters

■小室(UGWrイタルスペシャル) vs. Adam Yurchick(URGイゼット/シミック)

Slumpbusters

志村が苦杯をなめさせられてしまった一方で、小室の好調ぶりはいよいよホンモノだった。コントロール相手に非常に有利なマッチとなる、というところに惹かれて小室は「イタルスペシャル」を選んだのだそうだが、それにしたって横綱相撲なのである。

特に印象的だったのは第2ゲームで、ここで小室は《繁殖池/Breeding Pool》からの《楽園の拡散/Utopia Sprawl》という素晴らしいスタートを披露し、2ターン目に《宮廷の軽騎兵/Court Hussar》プレイという展開。一度はAdamに《差し戻し/Remand》されてしまったものの、続く第3ターンにはこれを成就させたのだった。

すぐさま《軽騎兵》はクロックとしてダメージレースをスタートしはじめ、そこには《都市の樹、ヴィトゥ=ガジー/Vitu-Ghazi, the City-Tree》のトークンが加わる。しばらくして《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》までもがラインナップされ、盤面は一方的になっていった。

もちろん、黙ってやられるわけにはいかないAdamはフルタップでの《シミックの空呑み/Simic Sky Swallower》を召喚……したのだが、これこそ小室の《差し戻し/Remand》にとって最高のターゲットであった。アンタップを迎えるや、小室は《セレズニアのギルド魔道士/Selesnya Guildmage》を召喚し、即座にパンプアップ能力の起動を宣言してとどめをさした。

小室 2-0 Adam

チームスコア:Double SHU desu 1-1 Slumpbusters

中村(4cGファッティ) vs. Jon Swearingen(RWボロスデックウィンズ)

かくして、栄光の初日全勝をかけた戦いが中村 修平の第3ゲームに託された。そして、つい先日に行われたプロツアー・プラハでもベスト4入賞に輝いている稀代の名手は、ここで周囲の期待に見事にこたえた。

中村は序盤攻勢をかけてきた《北風乗り/Mistral Charger》と《古参兵の武具師/Veteran Armorer》をX=2の《罪+罰/Crime/Punishment》で流し、《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》をプレイしてライフを安全圏へと引き上げた。ボロス・デック・ウィンズの必殺パターンを見事に回避してみせたのだ。

Jonも《教主》に《黒焦げ/Char》を使って抵抗を試みたが、ここで中村は《夜明けの集会/Congregation at Dawn》を詠唱して勝負を決めにかかった。《絶望の天使/Angel of Despair》の二連打から《骸骨の吸血鬼/Skeletal Vampire》! これぞ、という圧勝パターンのフィニッシュだった。

かくて、175チームがひしめきあったプロツアー・チャールストンにおける唯一の初日全勝チームにDouble SHU desuが輝いたのだ。

中村 2-1 Jon

チームスコア:Double SHU desu 2-1 Slumpbusters

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