Day 1 Blog Archive

Posted in Event Coverage on September 18, 2008

By Wizards of the Coast

EVENT COVERAGE

  • by Atsushi Ito
    Drafting with 高橋 純也(神奈川)
  • by Yukio Kozakai
    Round 7
    中村 修平(大阪) vs. 中野 圭貴(大阪)
  • by Daisuke Kawasaki
    Round 7
    渡辺 雄也(神奈川) vs. 長岡 崇之(京都)
  • by Daisuke Kawasaki
    Round 6
    彌永 淳也(東京) vs. 鶴本 直也(千葉)
  • by Takeshi Miyasaka
    Round 5
    齋藤 友晴(東京) vs. 三原 槙仁(千葉)
  • by Keita Mori
    Photo Essay: 日本選手権初日の風景
  • by Atsushi Ito
    Round 4
    高橋 純也(神奈川) vs. 山本 昇平(広島)
  • by Daisuke Kawasaki
    Drafting with Champion
    :彌永 淳也(東京)
  • by Takeshi Miyasaka
    Round 3
    安藤 玲二(東京) vs. 坂口 尚記(愛知)
  • by Yukio Kozakai
    Round 3
    植田 勝也(愛知) vs. 鍛冶 友浩(東京)
  • by Atsushi Ito
    Round 2
    高橋 優太(東京) vs. 若山 史郎(東京)
  • by Daisuke Kawasaki
    Round 2
    北山 雅也(神奈川) vs. 辻 受仁(東京)
  • by Daisuke Kawasaki
    Round 1
    中村 修平(大阪) vs. 津村 健志(広島)
  • by Yukio Kozakai
    Round 1
    菅谷 裕信(千葉) vs. 小室 修(東京)
  • by Event Coverage Staff
    Last Chance Qualifier Winning Decklists
  • Info: Fact Sheet
    by Event Coverage Staff

Round 1 : 菅谷 裕信(千葉) vs. 小室 修(東京)

by Yukio Kozakai

グランプリマニラ2008王者、菅谷 裕信は Play the Game See the World コンセプトの体現者でもある 社会人なら「夏休みはちょっと海外で過ごしてみようかな」と思うこともある。

ましてや、そこでグランプリが開かれているならなおさらだ。普段は仕事仕事と追われて、やっと取れた長い休み。そこで観光をしつつ、大好きなマジックが出来るなら言うことないじゃないか。そんな思いで海を渡ったアマチュアプレイヤーが、大変な快挙を果たして日本へ帰ってきた。

先日、フィリピンで行われたGPマニラで王者となった菅谷 裕信(千葉)。アマチュアの日本人プレイヤーが海外のグランプリを制すのも初めてのことで、彼が16人以上のトーナメントで優勝したのも、実はこれが初めてのことだった。

新星と思いきや、実はマジックのキャリアは10年を超えるベテランプレイヤーである。彼の属する「千葉コミュニティ」に初めてのタイトルをもたらした菅谷の活躍が決してフロックではないことは、今年のコミュニティメンバーの活躍が物語っている。GP静岡では増野 良輔(茨城)がベスト4、GP神戸では高木 隆之(千葉)が準優勝と結果を残し、確実に階段を上がっていった。そして、マニラでの菅谷の戴冠である。

菅谷を含めた3名とも、ベテランではあるが全国的には無名のアマチュアプレイヤーだった。そして普段は忙しく働く社会人である。マニラでの菅谷の優勝に価値があるのはまさにここで、言い方は悪いがストレートに表現すると、菅谷は「おっさんプレイヤーの希望の星」となったのだ。

菅谷は言った。

「これまでは月に2回もマジックが出来なかったけど、今年は遊びながらでも月4回マジックが出来た。これだけ出来れば全然違う」

と。平日に多忙を極めていても、時には休日すら働くことがあっても「普通の社会人プレイヤー」だって海外グランプリを勝てるんだと、言葉だけではなく行動で証明して見せたのだ。今年になって、ほぼ毎週開催されるようになった千葉のトーナメント「LMC」。その存在が大きかったと菅谷は語る。楽しく遊びながら毎週マジックしてたらグランプリを獲っていたのだから、何というサクセスストーリーだろう。

菅谷はこの優勝でプロポイントが10となり、この日本選手権の結果次第ではルーキーの可能性もにわかに現実味を帯びてくる。

「一生に一度しかないチャンスだし、獲ってみたいよね。ルーキー」

29歳のオールドルーキーが、日本中の戦う社会人に勇気を与えるべく再び立ち上がる。その武器を、キスキンからマーフォークへと持ち替えて。

一方、「華麗なる天才」でおなじみの小室 修(東京)は、「練習時間1時間、一人回し1回、対人練習0回、初めて見るカードも結構あるんですよね」と、昨年に引き続き練習時間の確保が難しかった様子だ。しかし、それでも昨年は準々決勝までコマを進めた古豪。地力でもって、今回も天才である所以を見せ付けるのか、注目だ。

デッキは青白赤ヒバリ。マーフォークが若干有利かと思われるが、渡るべき《島/ Island 》が純正青白のヒバリよりも少ない。また《炎渦竜巻/ Firespout 》が大変よく効くという点もあり、ボードを廻った駆け引きに注目しよう。

Game 1

《石ころ川の旗騎士/ Stonybrook Banneret 》から《アトランティスの王/ Lord of Atlantis 》とつないで快調な出足を見せる、先攻の菅谷。小室の方はというと、マリガン後もマナソースと2枚の《影武者/ Body Double 》という苦しいハンドをキープした結果、何もアクションらしいアクションを起こせないまま、菅谷に2枚目の《アトランティスの王》が並ぶのを見届けるのみ。

全体除去が小室の手札にないと読みきった菅谷は、フルタップして《変わり谷/ Mutavault 》を含めた全軍で攻撃し、小室を一気に追い詰める。一応《造物の学者、ヴェンセール/ Venser, Shaper Savant 》で抵抗を試みてはみるものの、その物量差をひっくり返すだけの方策は無く、まずは菅谷が快勝した。

菅谷 -1 小室 -0

Game 2

練習時間の確保が難しいという (華麗なる天才) 小室 修今度は《冷鉄の心臓/Coldsteel Heart》から《熟考漂い/ Mulldrifter 》想起と順調な立ち上がりを見せた小室。今回は菅谷の展開が今ひとつで、2ターン目に何もプレイできず、初動が《メロウの騎兵/ Merrow Reejerey 》。これを《誘惑蒔き/ Sower of Temptation 》されるとお返しに《誘惑蒔き》を張り返すが、これに小室の《残忍なレッドキャップ/ Murderous Redcap 》が待ち構えていた。

一気の攻勢に出る小室。しかし、菅谷も《造物の学者、ヴェンセール》で《誘惑蒔き》を追いやって反撃に転じようと動き、対する小室は《残忍なレッドキャップ》を対象とした《一瞬の瞬き/ Momentary Blink 》で《メロウの騎兵》を生かして帰さない。

菅谷は、これで小室のマナが無くなったのを確認すると2枚目の《誘惑蒔き》に手を伸ばして《残忍なレッドキャップ》を強奪。反撃を開始するが、盤面が有利になり過ぎると今度は《炎渦竜巻》が降り注ぐ。それでも2枚の《変わり谷》のバックアップの下、《銀エラの達人/ Silvergill Adept 》で戦力と手札を整えて攻撃を休めず、小室は2枚目の《残忍なレッドキャップ》で菅谷の攻撃力を次々と焼き魚に仕上げていく。

ならばサイズ勝負と、再び小室がマナを使い切ったタイミングで、温存していた《メロウの騎兵》《アトランティスの王》を連打し、4/4となった《変わり谷》で攻めに転じる。

ここで、小室は菅谷のライフを確認する。

先のターンで待機していた《大いなるガルガドン》と、場に残った《残忍なレッドキャップ》の存在に目をやり、2枚目の《炎渦竜巻》で菅谷のブロッカーを排除。菅谷のライフが9になったことを確認すると、自陣のパーマネントを全て食らい尽くして姿を現した赤い悪魔がゲームカウントをタイへと引き戻した。

菅谷 -1 小室 -1

Game 3

《銀エラの達人》《メロウの騎兵》と快調な立ち上がりの菅谷。小室は3本目にして初めて2ターン目に《冷鉄の心臓》を置くことが出来ず、さらに《石ころ川の旗騎士》《アトランティスの王》と続け、《島/ Island 》を置いてしまっていた小室は早くもサンドバック状態に。

ライフが2まで落ち込んでしまった小室は何とかしようと、菅谷のエンドに《造物の学者、ヴェンセール》を呼び出して菅谷の土地を返してマナを拘束し、返すターンで《炎渦竜巻》。菅谷はもちろん《賢人の消火/ Sage’s Dousing 》で応じるが《ルーンのほつれ/Rune Snag》で弾き返し、何とか平穏を手に入れた。

......かに見えたが、菅谷が笑顔で繰り出した最後の一手は《川の案内者、シグ/ Sygg, River Guide 》だった。

菅谷 -2 小室 -1

Result:菅谷の勝利!

Round 1 : 中村 修平(大阪) vs. 津村 健志(広島)

by Daisuke Kawasaki

2008シーズンの「日本の顔」中村 修平物語を紡ぐ事とデュエルをする事は同じだ。

人と人との意志のぶつかり合いが物語を紡ぐとすれば、デュエルをする事も物語を紡ぐ事と同意といっても大げさではないだろう。

すべてのテーブルに物語があるといっても過言ではない、すべてのプレイヤーが自分自身の物語を背景にデュエルを行っている。

しかし、こと、マジックというゲームに魅せられ、物語を紡いできた人間として、この二人以上の人間は近年ではいないだろう。

中村 修平(大阪)は、先週末に行われたグランプリ・リミニで準優勝し、追加のプロポイントを大量獲得することで、Player of the Year(年間最優秀選手)レースで圧倒的な独走態勢にはいった。

現時点で、世界中のプロプレイヤーを見回してみても、中村よりも多くのグランプリに参加する可能性のあるプレイヤーが、斎藤 友晴(東京)ぐらいしかいない現状、中村は事実上他のプレイヤーに「自力優勝の可能性を無くした」状態にしたといってもいい。確定はしていないが、しかし、8割方手中にしているといってもいいだろう。

中村といえば、世界中を巡り、そして、世界でも屈指の知名度を誇りながらも、昨年度のインヴィテーショナル(オールスター戦)に自力では進出できなかったり、と不遇な時代の長かった。しかし、今シーズンの躍進はめざましく、もうすっかり日本コミュニティの顔となった。

今シーズン最初のグランプリであるシュタットガルドで優勝したときには、苦笑気味に「今年こそPoYとりたいですねこうなったら」と半ばあきらめ気味の中村節で語っていた中村ではあったが、ここにきて俄然真実みを帯びてきた。

そんな中村の使用するデックは、黒緑エル...ノードランである。スタンダードで行われたグランプリ・マニラでトップ8に入賞し、ほぼそのまま今回の日本選手権に持ち込んだ形となる。《傲慢な完全者/ Imperious Perfect 》というエルフの代名詞とも言えるカードを抜き、かわりに《台所の嫌がらせ屋/ Kitchen Finks 》《残忍なレッドキャップ/ Murderous Redcap 》の頑強2巨頭をはじめとした単体でのカードパワーを重視したデックである。

対する津村 健志(広島)の使用するデックは、青白《目覚ましヒバリ/ Reveillark 》デック。日本でのヒバリといえば、《大いなるガルガドン/ Greater Gargadon 》のために赤をタッチした、いわゆる三原 槙仁(千葉)、マッキーヒバリと呼ばれるタイプが主流ではあるが、「ミスター《思案/ Ponder 》」こと渡辺 雄也(神奈川)に代表されるように、青白タイプを選択するプレイヤーも存在する。

今回津村が選択したのは、「ナシフヒバリ」と呼ばれるGabriel Nassif(フランス)が調整し、イスラエル選手権では昨年度世界王者であるUri Pelegが使用していたタイプのデックを調整したものだ。

今年から各国選手権でもプロポイントを獲得できることになり、俄然PoYレースにも影響することとなった。

はたして、中村の快進撃を津村はとめることができるのか。

Game 1

先手は津村。津村は、土地と《熟考漂い/ Mulldrifter 》と《目覚ましヒバリ》で構成された手札をみて、軽く頷き、キープを宣言。

一方で中村も初手をキープ。1ターン目に《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》から、2ターン目に《思考囲い/ Thoughtseize 》。

ここでの津村の手札は、先述したように、2枚の《熟考漂い》に2枚の《目覚ましヒバリ》。そこに、追加で引いてきた《造物の学者、ヴェンセール/ Venser, Shaper Savant 》である。

中村は、そこから《造物の学者、ヴェンセール》をディスカードさせ、《タルモゴイフ/ Tarmogoyf 》を場に送り出し、《護民官の道探し/Civic Wayfinder》を続くターンに場に送り出す。

一見順調に攻勢を整えているように見える中村だが、しかし、津村が《熟考漂い》の想起によって引き当ててきた《台所の嫌がらせ屋》を前に長考する。

そう、あの八十岡 翔太(神奈川)が「黒緑エルフは終わっている」という原動力となった《台所の嫌がらせ屋》だ。

いかにノードランの中村とはいえ、この地上制圧力は容易には無視できない。しかし、長引いてしまえば、《台所の嫌がらせ屋》とともに待機された《祖先の幻視/ Ancestral Vision 》がゲームを決めてしまってもおかしくないのだ。

結果的に中村は、《タルモゴイフ》《護民官の道探し》そして、《変わり谷/ Mutavault 》によるフルアタックを選択する。

津村は《タルモゴイフ》のサイズが2/3(ソーサリー・クリーチャー)であることを確認するものの、中村は黒マナをふくむ2マナを残しているため、そのサイズは真実のサイズとはとうてい言えない。

結果、津村は《台所の嫌がらせ屋》で《タルモゴイフ》をブロックするが、ここに予想通りの《名も無き転置/ Nameless Inversion 》。このカードは反則的に2つのカードタイプを持っている。

これによって、《タルモゴイフ》のサイズが一気にふくれあがる。津村は、2匹目の《台所の嫌がらせ屋》によって、戦線を膠着しようともくろむが、中村は《不敬の命令/ Profane Command 》をX=2でキャスト。津村へのライフルーズと畏怖を自身の2体のクリーチャーに与え、一気にライフをけずりにかかる。

なんとか《熟考漂い》を場に送り出し、手札を整えようとする津村に対して中村が提示したスペルは、2枚目の《不敬の命令/ Profane Command 》であった。

中村 1-0 津村

今シーズン、中村は斎藤とふたりで世界を回っている。

もちろん、その時々に応じて、様々なプレイヤーがふたりの旅に同行することになるのだが、そのことについて解説するのは、この記事は適切ではないだろう。

さて、それでは昨年の中村の旅はどうだったかというと、そこには、津村と八十岡の姿があった。

津村は、2005年に日本人としてはじめてPoYを獲得して以来、日本を、そして世界のマジックを代表するプレイヤーとして認識され、多くのファンに活躍を期待された。

しかし、今年、津村は今後の進路を考え、マジックから距離を置くことを選択した。マジックを引退するわけではないが、マジックにべったりの生活をやめようと考えたのだ。

中村と斎藤が依然として、今年も世界を回ることを選択したのに対して、津村と八十岡は日常の価値を大きくマジック以外のことにスライドさせたのである。

では、マジックに対する情熱において、津村はすでに中村に劣っているのだろうか? そうとは断言できないだろう。距離を置くことで見えてくるものもあるはずだ。だからこそできる楽しみ方もあるはずである。

久しぶりに関東に来て、楽しそうにマジックをする津村の姿をみると、そう信じさせられる。

Game 2

20082005シーズン年間最優秀選手、津村 健志

続いて先行は津村。お互いマリガンは無し。

津村は、《秘教の門/ Mystic Gate 》セットからの、2ターン目に2枚の《祖先の幻視》待機というロケットスタート。

対する中村も、《ラノワールのエルフ》キャストから《台所の嫌がらせ屋》と、一歩も引かない構えをみせる。

津村は続く3ターン目に《台所の嫌がらせ屋》を場に送り出し、中村の《台所の嫌がらせ屋》に対抗しようとするが、ここに突き刺さるのが《残忍なレッドキャップ》。このクリーチャーは、本当に強い。

中村の《台所の嫌がらせ屋》を、-1/-1カウンターの載った《台所の嫌がらせ屋》でブロックし、ライフを守る津村。しかし、厳しい。中村の《思考囲い》を《謎めいた命令/ Cryptic Command 》でカウンターするものの、残るモード選択を、王者のドローではなく、貧困のオールクリーチャータップで選択してしまうくらいだ。

そして、ここで津村の土地が止まってしまう。たったの1ターンではあるが、しかし、ここで5枚めの土地をセットして《目覚ましヒバリ》に続けたかった津村としてはなかなか厳しい展開である。仕方なく津村は《ルーンのほつれ》を握りながら《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》を待機する。この《目覚ましヒバリ》に中村の《思考囲い》が間に合ってしまう。

続くターンの《祖先の幻視》による3枚×2のドローで無事《神の怒り/Wrath of God》を入手し、即キャスト。これによって、中村の軍勢は、頑強で戻ってきた1/1の《残忍なレッドキャップ》のみとなってしまう。

そこから中村は《残忍なレッドキャップ》《護民官の道探し》とクロックを追加していくが、しかし、決め手に欠ける軍勢であることには間違いがない。さらに追加した《叫び大口/ Shriekmaw 》は待機のあけた《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》によって手札に戻される。

しかし、決め手に欠けていたのは中村だけではない。津村も、6枚のドローのほとんどが土地であったため、長期戦を見るならともかく、現状目の前の軍勢を何とかするには心許ない。

津村が、待機のあけた「3枚目の」《祖先の幻視》でドローしたカードには値千金の《目覚ましヒバリ》が。手札に《造物の学者、ヴェンセール》を構えたままこの《目覚ましヒバリ》を場に送り出す。

そして、この《目覚ましヒバリ》がゲームの決め手となった。

中村は、津村のターン終了時に《雲打ち/ Cloudthresher 》をキャストする。津村はこれに対して、少考ののちに、《造物の学者、ヴェンセール》でバウンスする。

フルタップしてしまったものの、これでなんとかライフを守り切れるハズだった。

中村の手札に《不敬の命令》さえ無ければ。

中村 2-0 津村

ゲームの結果は中村の勝利に終わったが、まだ日本選手権は始まったばかりである。

これからの壮大な物語を感じさせるには十分なオープニングだったのではないだろうか。

Round 2 : 北山 雅也(神奈川) vs. 辻 受仁(東京)

by Daisuke Kawasaki

昨年度日本王者、北山 雅也日本選手権とは、ひとつの壮大な物語である。

過去に多くのプレイヤーが積み重ねてきたマジックのすべてがこの日本選手権に集約されているといっても過言ではないだろう。

日本代表、そして日本チャンピオンという肩書きを求めて、多くのプレイヤーが研鑽を積んだ集大成なのだから。

その歴史のバトンを昨年度受け取ったのが、北山 雅也(神奈川)だ。

北山が所属していた「浅原連合」というチームは、間違いなく日本の歴史の一画をなしてきた。少なくとも、2005年から2006年にかけての、日本人が世界で活躍を重ね、そして多くのプロツアーチャンピオンを輩出した時期に中心となって活躍していたメンバーなのだ。

そして、その中でも、タイトルに縁遠く、なかなか報われなかった北山が、ついに手中におさめたのが、日本チャンピオンという肩書きであった、というのが、昨年の日本選手権のクライマックスの筋書きであった。

対する辻 受仁(東京)は、激戦区である東京2次予選を突破し、今回日本選手権への参加権を獲得したプレイヤーである。

使用するデックは、北山が津村 健志(広島)からシェアされた青白ヒバリ、辻が、純粋な黒緑エルフである。

はたして、北山が日本チャンピオンとしての意地を見せつけるのか、それとも、辻が新たな時代の始まりを告げるのか。

このマッチだけですべてが決まるわけではないが、しかし、このマッチも壮大な物語の一部である。期待して注目したい。

Game 1

先手は辻。

後手の北山はマリガンを選択しつつ「今日はマジックしちゃいけない日だったなぁ」と早くも北山らしさの片鱗をみせる。

辻は《ペンデルヘイヴン/ Pendelhaven 》から《ラノワールのエルフ/ Llanowar Elves 》、そして《狼骨のシャーマン/ Wolf-Skull Shaman 》《傲慢な完全者/ Imperious Perfect 》という流れるような展開。

もはや、短気だったら投了したいレベルの展開である。

対する日本チャンピオン北山は、《虹色のレンズ/ Prismatic Lens 》をキャストしマナを伸ばしたものの、4ターン目の自分の手札を見て一言「投了」と。

ここから導き出される結論は、北山は短気だということである。

辻 1-0 北山

Game 2

激戦区東京予選を勝ちあがってきた辻 受仁先攻の北山は、《台所の嫌がらせ屋/ Kitchen Finks 》2枚に《裂け目翼の雲間を泳ぐもの/ Riftwing Cloudskate 》という序盤からの展開が期待できるものの、土地が2枚の手札をため息をつきながらキープ。

対する辻は、マリガンを選択する。

2ターン目に《霊魂放逐/Remove Soul》をドローし、《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》待機ではなく、カウンターを構えることを選択した北山に対して、辻は、《ラノワールのエルフ》から《思考囲い/ Thoughtseize 》という絶好の展開。

当然、ここで《霊魂放逐》をディスカードさせられ、《狼骨のシャーマン》が場に追加される。

だが、北山のここでのドローが2枚目の《霊魂放逐》!と、一見ラッキーであるかのように書いてみたものの、実は土地が一番引きたかった北山としては、かなり厳しいドロー。《レンの地の克服者/ Wren’s Run Vanquisher 》を《霊魂放逐》という絶好の動きにもかかわらず、ため息をつく北山。もはや負けが決まったかのような表情。

そんな北山のため息に呼応してか、北山のライブラリートップは《島/ Island 》。

ここで、ついに《台所の嫌がらせ屋》が。

北山の《台所の嫌がらせ屋》にたいして、辻は狼トークン1匹でアタックし《台所の嫌がらせ屋》と相打つ。そして《護民官の道探し/Civic Wayfinder》でマナを充実させる。

北山は2枚目の《台所の嫌がらせ屋》を場に追加し、なんとかライフを保つが、しかしどうしても土地がひけない。手札には《隆盛なる勇士クロウヴァクス/ Crovax, Ascendant Hero 》《神の怒り/Wrath of God》と対処できるカードはいくらでもあるにもかかわらず、だ。

そんな北山に対して、辻は容赦なく攻め立てる。だが、ついに北山は土地をひきはじめる。ここからが北山のターン。

《虹色のレンズ》を含め、やっとマナソースが5枚揃ったところで、北山の手札は《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》《神の怒り》《隆盛なる勇士クロウヴァクス》《目覚ましヒバリ》という手札から、《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》をキャストし《狼骨のシャーマン》を手札に戻す。

しかし、ここで辻がキャストしたのが《思考囲い》。

北山 「あーあ、ラス(《神の怒り》)キャストしておけばよかったなー」

仕方なく、続くターンに、《目覚ましヒバリ》を盤面に追加するが、墓地のクリーチャーは《台所の嫌がらせ屋》2体と、中々に心細い。

そんな北山に一気に攻勢を仕掛けるべく、辻は《護民官の道探し》だけでなく、《フェアリーの忌み者》を場に追加する。

が、北山の日本チャンピオンの肩書きは伊達ではない。ここで北山が引き当てたのが、なんと《神の怒り》。当然、2枚目の《フェアリーの忌み者》を場を持っている辻によって、《目覚ましヒバリ》で《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》を戻すことはかなわなかったが、しかし、辻が一気攻勢を仕掛けてきた最高のタイミングでの《神の怒り》だ。文句なしの《神の怒り》だ。

だが、北山は浮かぬ顔。そんな北山にバチをあてるかのごとく、辻は、《傲慢な完全者》を引き当て、そして、《レンの地の克服者》を盤面に追加する。

北山も《隆盛なる勇士クロウヴァクス》《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》と場に追加し、着々と防御戦を固め始める。

そして、《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》が果敢にアタックすることで、序盤からダメージランドを使い続けていた辻のライフは削りきられてしまったのだった。

辻 1-1 北山

Game 3

先手の辻は顔をしかめながらも、初手をキープ。対して北山もキープ。

辻のファーストアクションは《思考囲い》。北山の《熟考漂い》2枚《謎めいた命令》2枚に《糾弾》と土地2枚という手札から、《謎めいた命令》をディスカードさせる。

北山は、2ターン目に《祖先の幻視/ Ancestral Vision 》を待機させるものの、土地が2枚でストップ。ちなみに、土地がストップしたターンのドローはまたも《霊魂放逐》。

この《霊魂放逐》で、辻の《ラノワールのエルフ》をカウンターする。なにせ、辻も、《思考囲い》のあとのファーストアクションが3ターン目の《傲慢な完全者》というスロースタートだったからだ。

なんとか、3枚目の土地から《台所の嫌がらせ屋》をキャストし、地上を膠着させることに成功した北山。辻も、《護民官の道探し》、そして、2枚目の《思考囲い》(指定は《謎めいた命令》)と追撃するが、しかし、遅い展開になってしまえば、勝負の利は青白のヒバリにある。

辻のトークン大量攻勢というプランを《造物の学者、ヴェンセール》で《傲慢な完全者》をバウンスさせることで崩壊させ、そして、2体連続でキャストされる《傲慢な完全者》を《霊魂放逐》する。そして《熟考漂い》2連打で一気に手札を充実させる。

対する辻も、《不敬の命令》で《熟考漂い》を除去しつつ《傲慢な完全者》を場に戻す。

これに対して、北山は《目覚ましヒバリ》をキャストし、なんとか盤面を膠着させるのだが、なかなかに決定打を引き当てられない。そうこうしている間に、辻は2体目の《傲慢な完全者》を追加し、北山は圧倒的に有利かと思われた盤面から、一挙不利に追い込まれてしまう。《目覚ましヒバリ》で墓地の2枚の《熟考漂い》を釣り上げたいのだが、しかし、辻が残し続けている手札から感じられる《フェアリーの忌み者》の匂いを払拭できない。

だが、ついに辻の場にはライフが20を超える北山を《不敬の命令》1枚で倒せるだけの数のトークンが並んでしまう。《祖先の幻視》の待機があけても手札に対抗策を持たない北山は、仕方なく、《目覚ましヒバリ》で攻撃し、自身の《目覚ましヒバリ》に《糾弾》を打ち込む。

そして、祈るような気持ちで、墓地の2枚の《熟考漂い》を指定する。

Wrath of God

辻からのアクションは無し。思わず「やったー」と小さく発し、北山は4枚のドロー。ここに《神の怒り》さえあれば容易に勝利が手に入るのだ。

しかし、残念ながら、そのドローの中身はほぼすべてが土地。なんとか《謎めいた命令》で時間を稼げるものの、未来が見えない。

北山は、辻の攻撃を《謎めいた命令》でかわし、さらにドローをすすめるが、そこにも土地が。デッキのほとんどの土地を引ききったといっていい状態の北山だが、続くターンにも、《目覚ましヒバリ》を想起しなければどうにもならない所まで追い詰められてしまう。

ここで、《熟考漂い》をふたたび場に戻し、カードを祈るように4枚ドロー。

《神の怒り》はドラマティックに4枚目。

辻 1-2 北山

Round 2 : 高橋 優太(東京) vs. 若山 史郎(東京)

by Atsushi Ito

妖精の王、高橋 優太国内イベント2連覇という偉業を達成した高橋だが、3連覇に向けた意気込みを聞くと「集中するだけです」とクールに返す。そんな高橋が相棒として選択したのは、やりというかフェアリー。今回は彌永 淳也にもシェアしている自信作だという。しかし「フェアリーは赤単に2:8」とは本人の弁、現にひと月ほど前には「赤単には何をやっても勝てない」とぼやいていたはずだが...

高橋 「赤単は克服しました」

そんな簡単に。それができないからフェアリーは赤単によって環境から駆逐されたというのが、イーブンタイド参入後のスタンダードのメタゲームだったはずだ。だがもしそれが本当なら、フェアリーは青白《目覚ましヒバリ/ Reveillark 》デッキ以上にオールラウンドなデッキとして生まれ変わったことになるが、果たして。

一方の若山は東京二次予選を勝ち上がってきたという十年来の古参プレイヤー。ドイツ選手権でトップ8に残った緑単ストンピィを自分なりに改良したデッキで初戦を勝利している。ビートダウンの構造上、フェアリーとの相性もすこぶるいいのだが、その調整には高橋も付き合っており、デッキ内容がサイドボードまで事前に知られているというのが懸念材料か。

Game 1

先手は高橋。《樹上の村/Treetop Village》を置く若山に対し、《祖先の幻視/ Ancestral Vision 》も《苦花/ Bitterblossom 》もない高橋はしかし、《茨森の模範/ Bramblewood Paragon 》をエンド前に《名も無き転置/ Nameless Inversion 》で、3ターン目の《イラクサの歩哨/Nettle Sentinel》も《呪文づまりのスプライト/ Spellstutter Sprite 》で対処。

その《呪文づまり》を種にして4ターン目のアップキープに《霧縛りの徒党/ Mistbind Clique 》の覇権を成功させ、さらに次ターンのアップキープに《やっかい児/ Pestermite 》で行動を縛る。土地が3枚で止まっている若山は2枚目の《霧縛りの徒党》を出されると何も出来ないままカードを片付けた。

高橋 優太 1-0 若山 史郎

Game 2

予選から勝ちあがってきた十年選手、若山 史郎

1ゲーム目では若山のデッキ内容を知っている高橋が、《祖先の幻視》《苦花》がなくても《霧縛りの徒党》が確実に覇権できるハンドをキープして、それが功を奏した形となったようだ。

だが2ゲーム目、先手は若山。《ペンデルヘイヴン/ Pendelhaven 》から《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》というロケットスタートに対し、高橋は《地底の大河/Underground River》から《祖先の幻視/ Ancestral Vision 》を待機。若山は土地を置けないが、《ラノワールのエルフ》《双刃の斬鬼/Twinblade Slasher》と展開。他方で高橋は《苦花/ Bitterblossom 》をセット、後手ながらぶん回りの様相を見せる。若山はまたしても土地が置けないながらも、2体の《ラノワールのエルフ》からマナを出して《レンの地の克服者/ Wren’s Run Vanquisher 》と2体目の《双刃の斬鬼》を追加し、若山の盤面にはクリーチャーが5体。

ここで高橋は冷静に、若山の唯一の土地である《ペンデルヘイヴン》を対消滅させた後、《名も無き転置/ Nameless Inversion 》で《ラノワールのエルフ》1体を除去し、若山のパーマネントは《レンの地の克服者》と1/1が3体、土地はなしという寂しいものになってしまう。これ以上の展開が見込めない以上、黙っていては《苦花/ Bitterblossom 》トークンの展開力で負けてしまう若山はそれでも果敢にアタックにいく。一方高橋、盤面はほぼ制圧しつつあるが、黒マナがすべて《地底の大河/Underground River》から出ており、若山が土地を引き込めれば依然予断を許さないライフ状況。

しかし《祖先の幻視》の待機が明け、ようやく《沈んだ廃墟/Sunken Ruins》を引き込んだ高橋は、《叫び大口/ Shriekmaw 》の想起を挟んで《ロクソドンの戦槌/Loxodon Warhammer》をプレイ。若山もようやく引いた《森/ Forest 》から《イラクサの歩哨/Nettle Sentinel》を出して逆転の目を探すが、《霧縛りの徒党/ Mistbind Clique 》が出て《戦槌》を装備すると、ドローを確認して投了した。

高橋 優太 2-0 若山 史郎

Final Results: 高橋 優太の勝利!

Round 3 : 植田 勝也(愛知) vs. 鍛冶 友浩(東京)

by Yukio Kozakai

「世界のKJ」鍛冶 友浩

昨年のThe Limits2007ベスト8、夏のグランプリ神戸ベスト8とリミテッドでも構築戦でもその実力を発揮しているユーティリティプレイヤーである植田 勝也(愛知)は、レーティング招待での参戦となっている。

その相手となるのが、プロツアーシーンからの引退を昨シーズン限りで表明し、今は悠々自適のマジックライフをエンジョイする、かつて「世界の」と冠名のつけられた鍛冶 友浩(東京)である。「鍛冶といえば埼玉」だったのだが最近居を移し、今では東京都民となったのだが、マジックを楽しむにあたって困った問題が発生したそうだ。

「マジックオンライン(以下、MO)が出来ないんですよ」

どうやら、インターネット環境の相性が悪いのか、MOにログインできずマジックが出来ない状態だという。もうリアルカードは持っておらず、ヴァーチャルカードで練習してこの日本選手権にカードを借りて出場している鍛冶は、「MO出来ないならもうマジック出来ないから完全引退ですよー」と、完全に諦めムードを漂わせる。

だが、デッキの仕上がりと構築理論はさすがの一言。一線を退いたとはいえ、構築戦巧者の腕はまだまだ錆び付いてはいない。久々となったフィーチャーマッチで健在ぶりを見せ付けるか。

Game 1

1ターン目のアクションで、ほぼ植田のデッキの全容が明らかになった。

植田が見せたカードは、《背骨岩の小山/ Spinerock Knoll 》《睡蓮の花/ Lotus Bloom 》。ストームだ。一方、オリジナルチューンのフェアリーを操る鍛冶は、《思考囲い/ Thoughtseize 》で《ぶどう弾/ Grapeshot 》を叩き落したものの、土地が1枚でストップ。苦しくなるが、《睡蓮の花/ Lotus Bloom 》の待機が明ける前に2枚目の土地にたどり着き、《呪文づまりのスプライト/ Spellstutter Sprite 》でカウンター。

すると植田の動きも止まり、3枚目の土地を置けた鍛冶が《ヴェンディリオン三人衆/ Vendilion Clique 》で植田のハンドから2枚目の《ぶどう弾》を取り除き、ビートダウンを開始。《紅蓮術士の刈り痕/ Pyromancer’s Swath 》2枚等、危険な手札を確認した鍛冶は素早く殴りきりたいが、植田も着々と《菌類の到達地/ Fungal Reaches 》にカウンターを貯め続けている。

もう次の攻撃を浴びたらライフの無い植田は、2枚目の《睡蓮の花》が待機を明けたのを号令に勝負をかける。

大量のマナのバックアップを受け、《魔力変/ Manamorphose 》《ショック/Shock》(《ヴェンディリオン三人衆》へ)《炎の儀式/Rite of Flame》と重ね、《巣穴からの総出/ Empty the Warrens 》。《呪文づまりのスプライト》とのチキンレースに持ち込む構えを見せるが、鍛冶がハンドから《ヴェンディリオン三人衆》をプレイするのを見ると、トークンを出すこともなく場を畳み始めた。

植田 勝也 0-1 鍛冶 友浩

Game 2

リミッツ2007、グランプリ神戸2008と結果を残し続けている植田 勝也

お互いに、《裂け目の稲妻/ Rift Bolt 》と《祖先の幻視/ Ancestral Vision 》を待機し合う立ち上がり。鍛冶が《思考囲い》すると、植田の手には暴力を演出する《巣穴からの総出/ Empty the Warrens 》が。

これを落として安全確認する鍛冶だったが、返しのターンに植田が繰り出したのは《巣穴からの総出》。間に《ショック》も挟んだストーム2のうち1つをカウンターするが、4体のトークンが鍛冶に襲い掛かる。

サポートする火力も《欠片の飛来/ Shard Volley 》《ぶどう弾》と強力で、鍛冶は《変わり谷/ Mutavault 》や《影魔道士の浸透者/ Shadowmage Infiltrator 》でトークンに応戦しつつ火力をカウンターする体勢を作り、植田の侵攻を食い止める。次第に状況は変わり、トークンを捌き切った鍛冶は守りで使っていた戦力で反攻を開始。ダメージレースが完全に入れ替わった。

植田も《菌類の到達地》《溶鉄の金屑場/ Molten Slagheap 》に確実にチャージを施し、再逆転のタイミングをうかがうが、殴りながら手札を拡充していく鍛冶を前に盤面も手数でも上回れなくなったのを確認すると、チャージランドからサイコロを片付け、投了を宣言した。

植田 勝也 0-2 鍛冶 友浩

Final Results: 鍛冶 友浩の勝利!

Round 3 :安藤 玲二(東京) vs. 坂口 尚記(愛知)

by Takeshi Miyasaka

ベテランの安藤 玲二このラウンドのフィーチャーマッチに選ばれた、安藤玲二 vs 坂口尚記。
両者ともスタンダード前半の全勝を賭けて、このテーブルにやってきた。

安藤玲二。中学生の頃にトーナメントマジックの世界に飛び込んでから、10 年近いキャリアを持つベテランプレイヤーだ。

ほっぺたを叩いて気合いを入れる仕草に懐かしさを覚える読者諸氏もいることだろう。若かりしころにはアジア選手権でベスト 8 入賞したり、石田 格が率いた Panzer Hunters のチームメイトとして参戦したマスターズ東京では、当時敗北を知らなかった時の帝王 Kai Budde の Phoenix Foundation にチームロチェスターで初めて土をつけたチームとして名を馳せたりもした。

輝かしい戦績を持つ安藤だが、家庭の事情を理由に今年の日本選手権を最後に引退を表明している。同時に、最後は勝って終わりたい、という勝利宣言もしていた。果たして、有終の美を飾ることができるだろうか。

対する坂口 尚記。地元愛知県で開催された東海予選を抜けて、日本選手権へのキップを手に入れた。これからの活躍に期待がかかる若手プレイヤー。

最優秀プロプレイヤーに輝き、Kai Budde のあとを継ぐ男として名が挙がることもある津村健志(広島)のヴィクトリーロードは、いま思えば日本選手権の前日予選から始まったのだった。そう、坂口にも津村のような未来が待っているのかもしれない。その舞台は、この日本選手権から始まる。

全勝を賭けた、戦いのゆくえは、いかに。

Game 1

ダイスロールの結果、先攻を獲ったのは坂口。両者ともマリガンはなく、好スタートを期待できそうな展開だ。

先攻の坂口は、《ワンダーワインの分岐点/ Wanderwine Hub 》をタップインする立ち上がり。対する安藤のファーストアクションは、《沼/ Swamp 》プレイから《トゲだらけのボガート/ Prickly Boggart 》。坂口 2 ターン目の行動も《ワンダーワインの分岐点》だが、《メロウの騎兵/ Merrow Reejerey 》を見せてこれをアンタップでプレイしてターンを返した。

《ペンデルヘイヴン/ Pendelhaven 》をセットした安藤は、《トゲだらけのボガート》でアタックして 1 点を与えるにとどめ、戦闘終了後に《ウーナの黒近衛/ Oona’s Blackguard 》を戦線へ追加する。

みたび《ワンダーワインの分岐点》をプレイする坂口は、見せた《メロウの騎兵》をプレイせずに 3 マナをたててターンを返す。動かないのか、動けないのか。坂口から受ける印象は、静だ。

坂口が静なら、安藤は、動。相手が動かぬならば、殴るまで。
《トゲだらけのボガート》と《ウーナの黒近衛》でアタックし、少しずつ、だが確実に坂口のライフを削っていく。

戦闘終了後にプレイした 2 体目の《トゲだらけのボガート》は《賢人の消火/ Sage’s Dousing 》でカウンターされたものの、さらにやっかいな《臭汁飲みの山賊/ Stinkdrinker Bandit 》を徘徊でプレイ、《ウーナの黒近衛》によって +1/+1 カウンターを載せた近衛兵として登場する。小さなならず者に過ぎなかったクリーチャーたちが、突如として大きな脅威となった。

プレッシャーをかけられている坂口が《メロウの騎兵》をプレイしてターンを返すと、安藤は《叫び大口/ Shriekmaw 》を想起でプレイして《メロウの騎兵》除去、ブロッカーのいない戦場へすべてのならず者を送り込んだ。《ペンデルヘイヴン》に加えて、ブロックされなかったならず者たちは《臭汁飲みの山賊》によって強化され、与えるダメージは一挙に 12 点! 坂口の残ライフは 5 となり、さらに《ウーナの黒近衛》の効果で手札を一枚捨てさせられるのだった。踏んだり蹴ったりの坂口は、《ブレンタンの炉の世話人/ Burrenton Forge-Tender 》を捨てた。

このままでは終われない坂口は、ようやく反撃ののろしを上げる。
《島/ Island 》をセットして待望の 4 マナに到達した坂口は、《誘惑蒔き/ Sower of Temptation 》をプレイして、ガンである《臭汁飲みの山賊》を安藤から奪い取り、追い込まれた状況に待ったをかける。

だがしかし、安藤の攻め手は止まらない。残された 2 体のならず者で攻撃を敢行し、坂口のライフを 2 まで追い詰める。

なにも行動せず 4 マナを立ててターンを返した坂口のアクションは、安藤の攻撃宣言に対して《謎めいた命令/ Cryptic Command 》をプレイ、すべてのクリーチャーと《ウーナの黒近衛》をバウンスして急場をしのぐのだが......坂口の手には、解決策は見あたらない。
つづく安藤の攻撃で、ブロック宣言前に《突然の死/ Sudden Death 》が《誘惑蒔き》へとプレイされ、ブロッカーのいない戦場をならず者たちが駆け抜けるのだった。

安藤 玲二 1-0 坂口 尚記

新鋭、坂口 尚記Game 2

らしい動きがほとんど取れなかった坂口。ふたたび先攻で始まるこのゲームに期待したい。
ファーストアクションは、安藤の《トゲだらけのボガート》から。《島》《変わり谷/ Mutavault 》とプレイしてターンを返す坂口に、安藤は畏怖持ちのならず者で攻撃し、《臭汁飲みの山賊》を徘徊でプレイしてプレッシャーをかける。

しかし、今度はあっさりとはやられない。坂口は《島》セットから《銀エラの達人/ Silvergill Adept 》をプレイ、《アトランティスの王/ Lord of Atlantis 》を公開して、あらたなカードに期待をかける。プレイされた《銀エラの達人》は、《臭汁飲みの山賊》への回答でもある。生き残ることができれば、だが。

当然のように安藤はこの《銀エラの達人》を《叫び大》想起で排除して、2 体のならず者で攻撃して 7 点のダメージを与える。坂口のライフはあっというまに 12 となった。《トゲだらけのボガート》を戦線へ追加してターンを返す安藤。攻める手は、休めない。止まらない。
《秘教の門/ Mystic Gate 》をセットして4マナをえた坂口は、《誘惑蒔き》で《臭汁飲みの山賊》を安藤から奪う。Game 1 のように、ガンとなっているクリーチャーを、自らのコントロール下へ置いて、ターンを返す。

《沼》をセットして同じく 4 マナに到達した安藤、まずは《トゲだらけのボガート》 2 体で攻撃して、坂口のライフを 10 へ。次いでフルタップで《墓穴までの契約/ Grave Pact 》をプレイしてターンを返す。

Grave Pact

《変わり谷》をプレイした坂口は、役目を終えた《誘惑蒔き》で攻撃し、安藤に初めてのダメージを与える。戦闘終了後に《アトランティスの王》をプレイして、ターンを返す。

坂口の場には、3 マナ残されていて、アンタップ状態のクリーチャーは 2 体、うち 1 体が安藤から奪った《臭汁飲みの山賊》というボード。安藤は《沼》をプレイしてから、《叫び大口》を想起でプレイした。当然ここに飛んでくる坂口の《賢人の消火》だが、これをケアしていた安藤は残った 3 マナを支払い、《叫び大口》を場に出すことに成功した。

《叫び大口》が場に出た効果で《誘惑蒔き》を排除して、《臭汁飲みの山賊》を取り戻した安藤は、さらに《叫び大口》が想起で場から墓地に置かれたことによって、《墓穴までの契約》との合わせ技で《アトランティスの王》をも屠ることを成功させた。

こうしてクリーチャーがきれいさっぱりいなくなってしまった坂口へ襲いかかる《トゲだらけのボガート》が 2 体。坂口のライフは 10 から 4 へ。

あとがない坂口、《島》をセットして《銀エラの達人》をプレイ(《メロウの騎兵》を公開)、4 マナを残してターンを返した。

安藤のターン。まずは《ペンデルヘイヴン》をセットし、《ボトルのノーム/ Bottle Gnomes 》をプレイしてから、攻撃宣言。坂口は《謎めいた命令》をプレイし、クリーチャーをタップして、《臭汁飲みの山賊》をバウンスする。

だが、安藤の場には《変わり谷》がある。

《変わり谷》をクリーチャー化して攻撃し、《ボトルのノーム/ Bottle Gnomes 》を生け贄に捧げて坂口の《銀エラの達人》を排除し、《変わり谷》の 2 点を通して、坂口へ最後通牒を突きつける。

坂口に残されたライフはわずかに 2。
《メロウの騎兵》をプレイしてターンを返すが、安藤の場には2体のかわいい 1/1 クリーチャー《トゲだらけのボガート》と、《ペンデルヘイヴン》があるのだった。

安藤玲二 2-0 坂口尚記

Final Results: 安藤玲二の勝利!

Drafting with Champion: 彌永 淳也(東京)

by Daisuke Kawasaki

日本選手権初日も、折り返し地点とも言えるファーストドラフトを迎えた。

今大会のドラフトは、変則的に初日は、ローウィン×2+モーニングタイド×1、そして、二日目にはシャドウムーア×2+イーブンタイド×1が行われることとなる。

すでに、シャドウムーアブロックによる、混成そして単色中心というピックになれてしまったプレイヤーも多いのではないかと思われるが、ここでいったん半年前の部族ピックへと頭を切り換えることが求められる。

さて、ローウィンブロックでのリミテッドといえば、この男を除いて他に注目するべきプレイヤーもいないだろう。

グランプリ・北九州チャンピオンの彌永 淳也(東京)である。

彌永 「(モーニングタイド導入後の)プロツアー・クアラルンプールでは1勝3敗だったんですけど、いいんですかね?」

と、ドラフト開始前に語る彌永ではあるが、日本選手権直前の関東近辺の若手プレイヤーで行われたローウィンドラフト練習会では「ローウィンブロックのドラフト苦手なんだよねー」といいながら、3勝2連続で、《変わり谷/ Mutavault 》を2枚持ち帰ったと言うのだから侮れない。

まさに全盛期の彌永伝説とでもいえる「一番苦手なフォーマットはローウィンドラフト」宣言である。

というわけで、ドラフト開始前に、行いたいピックの方向性について聞いてみた。

まずは、開口一番に「赤はやりません」とひと言。

環境トップレベルのアンコモンである《雷雲のシャーマン/ Thundercloud Shaman 》からのスタートですらモーニングタイドでの取るカードの少なさから敬遠されるこの環境の赤という色。

シャドウムーアドラフトでは赤単がメジャーなアーキタイプとなっているため、うっかり忘れがちだが、確かにローウィンドラフトでの赤はいわゆるルーザーカラーであった。

続いて彌永は、一般的なドラフト理論とは反する理論を提唱する。

彌永 「できれば、重いカードをできるだけ取りたいですね」

近年のリミテッドでは、いわゆる「テンポ」、つまりマナコストの軽いカードで序盤から動くことが重視され、マナコストが大きい、つまり重いカードは敬遠される傾向がある。

彌永 「確かに3勝するようなデッキは、もう序盤の4ターンとか5ターンでゲームが決まるような感じなんですけど、そこまでうまく作られたデッキ以外との対決は、むしろ終盤までグダグダになってもつれるんで、重いカードのカードパワーがゲームを決めるんです。」

グランプリ・北九州でも、《天上のヒゲエラ/ Ethereal Whiskergill 》を早々にピックし、対面の平林 和哉をメタるという戦略でみごとに勝利を納めた彌永。

はたして、この彌永の戦略は果たしてどのように決まるのか?

■1st Pack

Oblivion Ring

1手目:《忘却の輪/ Oblivion Ring
他候補:《眼腐りの終焉/ Eyeblight’s Ending

さて、運命のといっては大げさだが、しかし、その後のピックを大きく左右するファーストピック。

ここで彌永が出会ったのは《忘却の輪》と《眼腐りの終焉》という、環境を代表する2大除去。彌永は至極悩んだ末に、《忘却の輪》をピックする。

彌永 「この2枚はかなり悩むんですけど、黒はデッキの軸にならないので...一応白緑青が軸でデッキを組みたいですね」

すでに、赤を切っている彌永だが、黒もできればメインカラーとして採用したくないという思いから、《忘却の輪》をピックしたという。

2手目:《やっかい児/ Pestermite
他候補:《首のへし折り/ Neck Snap 》《銛撃ちの狙撃者/ Harpoon Sniper
3手目:《群れの召喚/ Summon the School
他候補:《エレンドラ谷の衛兵/ Sentinels of Glen Elendra
4手目:《やっかい児/ Pestermite
他候補:《首のへし折り/ Neck Snap
5手目:《打ち砕く希望/ Dash Hopes

続いて、《やっかい児》を2枚ピックしつつ、念願の「後半で強いカード」の代表格とも言える《群れの召喚》をピックする。とりあえずは、青白のフェアリー・マーフォークを目指す形となった。

6手目:《巣穴のこそ泥/ Warren Pilferers

彌永 「この遅い順目で《巣穴のこそ泥》がピックできたことと、《水流を読む者/ Judge of Currents 》が流れてこなかったことから、青白はあきらめて、青黒にいくことにしましたね」

序盤は青を軸に展開していただけに、この順目から初手を見切って、青黒でのピックを決めたという。

7手目:《妖精の計略/ Faerie Trickery
8手目:《自我の消去/ Ego Erasure
9手目:《呪文づまりのスプライト/ Spellstutter Sprite
10手目:《ボガートの妖精追い/ Boggart Sprite-Chaser
11手目:《ツキノテブクロの選別者/ Moonglove Winnower
12手目:《顔投げ/ Facevaulter

9手目で《呪文づまりのスプライト》がピックできたのはなかなかにラッキーとはいえ、後半に目立ったカードがピックできなかったのが人気色である、青と黒を使用しているときのつらいところ。

ちなみに、この時点で彌永の上は《傲慢な完全者/ Imperious Perfect 》から緑に入っているが、下が《霊気撃ち/AEthersnipe》から青白一直線という展開。

暗雲立ちこめる2パック目に突入する。

■2nd Pack

彌永 「2パック目が厳しかったですね」

ピック終了後、開口一番彌永はこう語った。

ふたり下の小室 修(東京)にいたるまで青がかぶっていたのだから仕方ないと言えば仕方なかったのかもしれないが、しかし、不運を嘆かざるを得ない気分であろう。

1手目:《眼腐りの終焉/ Eyeblight’s Ending
他候補:《ゴールドメドウの侵略者/ Goldmeadow Harrier

Eyeblight's Ending

ここで、まずは、初手で取り逃した《眼腐りの終焉》を再び引き当て、回収する。

2手目:《コショウ煙/ Peppersmoke
3手目:《夢棄ての魔女/ Dreamspoiler Witches

続いて《コショウ煙》しかとるものが無いという2手目としてはかなり寒いパックだったが、3手目ではなんとかゲームを支配できるカードである《夢棄ての魔女》を手にいれる。

すでに《やっかい児》を2枚ピックしているだけに、かなりの活躍を期待できるカードだ。

4手目:《足の底の饗宴/ Footbottom Feast
5手目:《思案/ Ponder
6手目:《ベンティコア/ Benthicore

しかし、早くも4手目・5手目と決して早い順目でとりたくはないようなカードをピックさせられる。とにかく取るカードが無いのだ。赤や緑のカードをうらやましげに見送る彌永。

7手目:《思考の糸のうねり/ Surge of Thoughtweft
8手目:《ルーン刻みの鍾乳石/ Runed Stalactite
9手目:《ちらつき粉のうたた寝/ Glimmerdust Nap
10手目:《キンズベイルの風船使い/ Kinsbaile Balloonist
11手目:《ごたごた/ Hurly-Burly
12手目:《踏み潰し/ Crush Underfoot

その流れは決して変わることなく、結果、2パック目の目立った戦果は初手の《眼腐りの終焉》と《夢棄ての魔女》のみとなった。

彌永 「うーん...1パック目でそんなに青いカード流したわけじゃないんだけどなぁ...小室さんは下からかぶせてくるっていうウワサは本当でしたね...」

■3rd Pack

1手目:《群れの侮蔑/ Pack’s Disdain
他候補:《ツキノテブクロの変わり身/ Moonglove Changeling

Pack's Disdain

逆順になれば、今度は上2人がまったく青に触っていないだけに流れに期待したいところ。まずは、初手でデックに足りない除去を《群れの侮蔑》で補う。

2手目:《剣士団/ Fencer Clique
3手目:《思考の泉/ Mind Spring
他候補:《剣士団/ Fencer Clique

ここで、なんとか中盤・後半を支えるパワーカードを続けてピックする。特に《思考の泉》のアドバンテージは圧倒的な決定打となるだけに、この順目でピックできたのは嬉しいところだ。

4手目:《掛け鍵のフェアリー/ Latchkey Faerie
他候補:《運命支配のシャーマン/ Weirding Shaman

そして、さらに《掛け鍵のフェアリー》をピックする彌永。ここまではかなり順調と言える。しかし、デック全体のマナコストが少々高い方に偏っているのが気になるところだが...

5手目:《ウーナの黒近衛/ Oona’s Blackguard
他候補:《蛙投げの旗騎士/ Frogtosser Banneret

なんとか、値千金とも言える2マナ域のクリーチャーとして《ウーナの黒近衛》をピックする彌永。しかし、ここで流してしまった《蛙投げの旗騎士》もできればデックに1枚はほしいところ。早い順目にとられるカードでもないため、この先でピックできることに期待する。

6手目:《トゲだらけのボガート/ Prickly Boggart
7手目:《ツキノテブクロの変わり身/ Moonglove Changeling
8手目:《トゲだらけのボガート/ Prickly Boggart

現実は無情であった。

8手目のピック時など、流れてきたカードを眺めて呆然としていたくらいだ。

彌永 「あの瞬間は厳しかったですね...デッキの中の2マナのクリーチャーが《呪文づまりのスプライト》と《ウーナの黒近衛》だけなのが確定してしまったわけですから...」

9手目:《鱗粉の変わり身/ Mothdust Changeling
10手目:《屑嗅ぎ鼻/ Offalsnout
11手目:《否認/ Negate
12手目:《運命支配のシャーマン/ Weirding Shaman

しかし、捨てる神あれば拾う神あり。

ここでまさかの《運命支配のシャーマン》が12手目という奇蹟のような順目でピックできる。ここでは彌永も思わず大喜びでカードをたたきつけるようにピック。

彌永 「《運命支配のシャーマン》は本当に嬉しかったですね」

以上、かなり厳しいドラフトとなってしまった彌永だったが、自身のドラフトを総括して貰った。

彌永 「重いカード取りたいって気持ちが出過ぎましたね」

ここで言う「出過ぎた」というのは、おそらく、思いが届きすぎて、パックから重いカードが「出過ぎた」という解釈でいいだろう。とにかく、全体的に序盤を支えるカードをピックする機会に恵まれなかった感はある。

彌永 「相手が事故ったりして、長いゲームになれば、強いカードとカウンターが有効に動く展開になるんですけどね...あとは《ウーナの黒近衛》が2ターン目、3ターン目に《やっかい児》っていう展開でもさすがに勝てるんじゃないかとは思います」

と、きっちりなんとか勝ちパターンを期待できるデックに仕上げているのはさすがはチャンピオンというべきか。

彌永 「なんとか3-1したいですね...限りなく2-2にちかい3-1ですね」

と自身なさげな彌永だが、しかし、スタンダードを2-1という成績で折り返しているだけに、ぜひとも好成績で初日を折り返してもらいたいものだ。

Round 4: 高橋 純也(神奈川) vs. 山本 昇平(広島)

by Atsushi Ito

Jun’ya Takahashi高橋は青黒の部族なし重戦車デッキである。ピックの内容は、後ほどドラフトレポートとして別の記事でもご紹介する予定だ。このドラフトでは3勝1敗が目標ということだが、強豪ひしめく日本選手権では一瞬たりとも気が抜けない。

対して、一昨年の日本代表である山本は高橋の下家で、超強力な赤単エレメンタルを作り上げていた。山本自身をして「これは出来すぎ」と言わしめる会心のデッキが、高橋に牙を剥く。

Game 1

先手は高橋。《島/ Island 》3枚に《霊気撃ち/AEthersnipe》《狡知/ Guile 》《病み土のドルイド/ Blightsoil Druid 》《剣士団/ Fencer Clique 》というハンドをアグレッシブにマリガンすると、土地が1枚でダブルマリガンを強いられてしまう。だがその手札が《島/ Island 》《島/ Island 》《沼/ Swamp 》《ヴェンディリオン三人衆/ Vendilion Clique 》《叫び大口/ Shriekmaw 》というもので、高橋はこれをキープ。一方の山本もマリガンにお付き合い。6枚でスタート。

山本が2ターン目に《煙束ね/ Smokebraider 》を召喚してゲームがスタートする。高橋は山本の3ターン目のドローフェイズには何もせず。《煙束ね》から《内炎の見習い/ Inner-Flame Acolyte 》が出てくると、そのプレイにスタックして《ヴェンディリオン三人衆》をプレイ。

だが山本の手札が《憤怒の鍛冶工/ Rage Forger 》《内炎の点火者/ Inner-Flame Igniter 》《消えざる焼け刃/ Ceaseless Searblades 》《魂光りの炎族/ Soulbright Flamekin 》という強力なものだったからたまらない。《魂光りの炎族》、《内炎の点火者》、《消えざる焼け刃》が場に揃えば、エレメンタルの起動型能力の相乗効果で高橋のライフはあっという間に0になるだろうが、かといって《憤怒の鍛冶工》も無視できない。

明暗を分ける場面だが、ここで高橋は《内炎の点火者/ Inner-Flame Igniter 》をチョイス。先制攻撃を与える《点火者》をボトムに送り、残りをブロックで相打ちに持ち込んで対処するプランのようだ。山本は速攻を得た《内炎の見習い》で攻撃せず、余った2マナで《魂光りの炎族》を召喚してターンエンド。

高橋は返しで《天上のヒゲエラ/ Ethereal Whiskergill 》を召喚し、《憤怒の鍛冶工》のプレイに備える。山本の場には3体のシャーマンがいるが、ここで山本は《消えざる焼け刃》と《火腹の変わり身/ Fire-Belly Changeling 》を盤面に追加し、《憤怒の鍛冶工》の力を最大限高めようとする。高橋は5枚目の土地を置けず、《川床の水大工/ Streambed Aquitects 》を召喚してターンエンド。

果たして5ターン目、驚異の『エレメンタル算』がスタートする。4枚の《山/ Mountain 》と《煙束ね》から出た6マナで《魂光りの炎族》の能力を3回起動し、8マナから2体目の《内炎の見習い》と、満を持して《憤怒の鍛冶工》をプレイ。《消えざる焼け刃》は《煙束ね》と《火腹の変わり身》の能力起動と併せて8/4まで成長し、他の生物には全て+1/+1カウンターが乗る。

5体でのフルアタック時に《憤怒の鍛冶工》の能力で4点が入り、加えて23点の殴り値と、そのほとんどにトランプルがついて、どうブロックしてもライフが0になるため高橋は投了を余儀なくされた。

山本 昇平 1-0 高橋 純也

Game 2

Shohei Yamamoto気を取り直して2ゲーム目。先手の高橋はなかなかの好ハンドをキープ。2ターン目の《輪跳び/ Ringskipper 》でスタート。対して山本は再び《煙束ね/ Smokebraider 》。高橋は《輪跳び》アタックの後、《熟考漂い/ Mulldrifter 》を想起せずにマナを起こしたままターンを終える。

山本は《内炎の見習い/ Inner-Flame Acolyte 》アタック+《炎族の火吐き/ Flamekin Spitfire 》召喚とかなりいい回り。高橋は《スズメバチ騒がせ/ Hornet Harasser 》で地上を止めると、山本は何もせず6マナ立たせてエンド。この隙に、と高橋は《熟考漂い》を素でプレイ。高橋のアタック時に《輪跳び/ Ringskipper 》は《炎族の火吐き》に撃ち殺され、激突に敗れたフェアリーは還ることなくそのまま墓地に置かれる。

山本は5ターン目に《がなりたてるボガート/ Caterwauling Boggart 》をプレイすると、《欠片の飛来/ Shard Volley 》で《熟考漂い/ Mulldrifter 》を除去してフルアタック。高橋のライフは12まで落ち込む。高橋は《天上のヒゲエラ/ Ethereal Whiskergill 》を召喚し、2マナ立たせて《ヴェリズ・ヴェルの翼/ Wings of Velis Vel 》を構える。ここで山本は少考の後、《消えざる焼け刃/ Ceaseless Searblades 》を召喚して、攻撃せずにターンエンド。

高橋は7枚目の土地を置いてエンドを宣言するだけ。返しの《戦釘の変わり身/ War-Spike Changeling 》を《砕けた野望/ Broken Ambitions 》し、激突でめくれた3枚目の《島/ Island 》をトップに残す。そしてついに『重戦車』《狡知/ Guile 》が降臨する。

Incandescent Soulstoke

しかし山本は《白熱の魂炊き/ Incandescent Soulstoke 》を召喚し、盤面は依然として山本のペース。《がなりたてるボガート》の効果で2体ブロックするしかない《消えざる焼け刃》と《内炎の見習い》でアタック。これに対し高橋は《見習い》を《狡知》と《スズメバチ騒がせ》でダブルブロックし、《煙束ね》《炎族の火吐き》《白熱の魂炊き》の恩恵をそれぞれ受けて5/5の《焼け刃》が高橋のライフを一気に削りにいく。《スズメバチ》が死んでの-2/-2が役目を終えた《炎族の火吐き》を除去。

いまだ山本優位だが、ここで高橋のトップデッキが《叫び大口/ Shriekmaw 》!《がなりたてるボガート》を屠り、《狡知》が一気に攻勢に転じる。だが高橋のライフはわずか6。返しの《消えざる焼け刃》アタックを、《叫び大口》《天上のヒゲエラ》のダブルブロック+ダメージスタック後の《ヴェリズ・ヴェルの翼/ Wings of Velis Vel 》でなんとか討ち取る。生き残った《叫び大口》は《破壊的なかがり火/ Consuming Bonfire 》されるが、高橋は《狡知》でのアタック後にブロッカーとして《ボガートの丸太運び/ Boggart Loggers 》を召喚。

ライフは山本7対高橋6、場には山本の場には《白熱の魂炊き/ Incandescent Soulstoke 》《煙束ね/ Smokebraider 》、高橋の場には《ボガートの丸太運び》とタップ状態の《狡知/ Guile 》。終幕は近い・・・天秤はどちらに傾くのか。

山本は《白熱の魂炊き》を立たせたままでの《煙束ね》単体でアタック、これは《丸太運び》と相打ちになる。戦闘後に山本は手札を使いきって《火腹の変わり身/ Fire-Belly Changeling 》と2体目の《煙束ね》を追加。高橋はトップデッキした《剣士団/ Fencer Clique 》をブロッカーに召喚し、ターンエンド。山本が何も引かなければこのまま《狡知》が蹂躙する・・・

だが果たして山本のトップは《新星追い/ Nova Chaser 》。《白熱の魂炊き/ Incandescent Soulstoke 》から速攻で出てきた11/3トランプルにより、高橋のライフは一瞬で0を割った。

山本 昇平 2-0 高橋 純也

Final Results: 山本 昇平の勝利!

Round 5: 齋藤 友晴(東京) vs. 三原 槙仁(千葉)

by Takeshi Miyasaka

齋藤 友晴スタンダード、ブースタードラフトそれぞれ 7 ラウンドずつ、二日間で計 14 ラウンドというたいへん長丁場となる日本選手権。ことなる二つのフォーマットは、もはや恒例ともいえるジグザグフォーマットで進行する。各フォーマットそれぞれ 7 ラウンドずつ。2 回のドラフトで計 7 ラウンド戦うリミテッドでは、最初のポッドは 4 回戦わねばならない。

今年は、ローウィン・モーニングタイド、シャドウムーア・イーブンタイドという異なる二つのブロックがそれぞれリミテッドで採用され、ローウィンブロックのドラフトが 4 ラウンド使われるカードセットとなった。どちらかといえば勝つために重要となるかもしれないカードセットが、発売からもうすぐ一年を迎えるカードセットとは、皮肉なものかもしれない。

あなたはどれだけ覚えているだろうか、ローウィンブロックのドラフトを。あなたは久しぶりのカードでドラフトしたデッキで、4 連勝を目指せるだろうか。日本代表を目指す道のりは、いまだ、果てしなく遠い。

現在全勝中のプレイヤーたちが、フィーチャーエリアへ呼び出された。今回はそのなかからフィーチャーポッドでドラフトした二人にスポットを当てようと思う。

齋藤友晴。昨シーズンの最優秀プレイヤーにして、今年も 2 年連続のタイトル獲得を目指して精力的にグランプリサーキットをこなしているプロプレイヤー。親しみあるプレイスタイルに共感を抱くプレイヤーも多く、草の根大会でファンに囲まれている姿も珍しくない。

対するは三原槙仁。2006 年の世界王者も、いまではいち社会人社会人プレイヤーして、毎週末地元の大会に参戦し、できる範囲でプロツアーに参戦し、好成績を残し続けている。いまだトッププレイヤーとして名を馳せる男だ。

2007 年最優秀プレイヤー vs 2006 年世界チャンピオン。
二人の肩書きに不足はない。すばらしいセメントマッチを期待しようではないか。

Game 1

先攻の三原はマリガンスタートながら、順調に土地を伸ばしていく立ち上がり。対する齋藤も《山/ Mountain 》《森/ Forest 》《肥沃な大地/ Fertile Ground 》と、マナを伸ばすのに余念がない。
齋藤が《選別者の巡回兵/ Winnower Patrol 》をプレイすれば、三原は《大使の樫/ Ambassador Oak 》をプレイしてターンを返す。互いに中量級クリーチャーを展開し、殴り合いながらキャスティングボートを握ろうと腹の探り合いが行われていた。

齋藤が《棘噛みの杖/ Thornbite Staff 》をプレイすれば、三原は《棘噛みの杖》を装備したクリーチャーを《スミレの棺/ Violet Pall 》で除去し、齋藤が《敵愾/ Hostility 》をプレイすれば、三原は《堕ちたる者の蘇生/ Revive the Fallen 》で《大使の樫》を再利用し、エルフ・トークンを追加する。

しかし、エルフ・トークンはしょせん 1/1 である。アンタップする”ティム”の前には無力極まりない。トークンは出る端から一掃されていく。

数で押せないなら、質で勝負するしかない。齋藤が追加のクリーチャーを展開した返しに、三原は《増え続ける成長/ Incremental Growth 》をプレイ。+1/+1 カウンターをフェアリー・トークンに 3 個、《エルフの枝曲げ/ Elvish Branchbender 》に 2 個、《大使の樫》に 1 個載せ、3 体の 4/4 クリーチャーを作り上げる。そして、飛行を持つフェアリー・トークンで齋藤へ殴りかかった。戦況は、ふたたび動きはじめた。

ボードの支配から、ダメージレースへと状況が変わったのを見て取った齋藤は、”ティム”化した《光り葉の予見者/ Gilt-Leaf Seer 》を残して、《敵愾》《葉光らせ/ Leaf Gilder 》《泥デコの松明走り/ Mudbutton Torchrunner 》をレッドゾーンへ送り込む。三原は、《葉光らせ》を《エルフの枝曲げ》(4/4)で、《敵愾》を《大使の樫》(4/4)でそれぞれブロック。《泥デコの松明走り》はスルーした。

戦闘が終了して、《葉光らせ》と《大使の樫》が墓地に落ちたことで、《棘噛みの杖》が 2 度誘発し、これを使ってダメージが残っている《エルフの枝曲げ》を打ち落とす齋藤。三原の場が、フェアリー・トークンを残してまっさらとなった。

ただ 1 体残されたフェアリーで、しかし確実にクロックを稼ぐ三原。まだ、均衡は、破られていない。なぜなら、彼の手には《堕ちたる者の蘇生》で回収した《大使の樫》があり、《大使の樫》はエルフをお供に連れてくるのだから。

次のアタックをいなす算段は、三原の手の内にはある。焼け石に水ではあるが、それでも齋藤のマナを縛ることはできるし、そうすれば、続くであろう驚異となるクリーチャーのプレイを阻害することができる、かもしれない。

《敵愾》と《泥デコの松明走り》で攻撃に対して《草陰の待ち伏せ/ Waiting in the Weeds 》をプレイする三原。2 体の 1/1 エルフ戦士が場に出るが、これは当然のようにティムで除去される。《敵愾》は《大使の樫》でブロックし、《泥デコの松明走り》は本体へとスルーした三原。三原のライフは、あと 4 点となった。

帰ってきたターン、三原はふたたびフェアリーで攻撃し、《堕ちたる者の蘇生》で《大使の樫》を回収・プレイしてて《敵愾》への備えとした、のだが。

もはや、三原には攻撃とティム砲台に耐えきるライフは残されてはいなかった。一度かたむいた天秤は、元には戻らなかった。

齋藤 友晴 1-0 三原 槙仁

Game 2

三原 槙仁ふたたび三原の先攻で始まった Game 2。三原は《狼骨のシャーマン/ Wolf-Skull Shaman 》を、齋藤は《太陽弾けのシャーマン/ Sunflare Shaman 》をプレイする立ち上がり。

しかし、同じ 2 マナのクリーチャーでも、三原のクリーチャーは族系がヒットするというおまけつきだった。3 つ目の《森》と《キスキンの短刀挑み/ Kithkin Daggerdare 》をプレイしてターンを返した。

齋藤は《太陽弾けのシャーマン》で攻撃し、産まれたばかりの狼と相打ちになった。齋藤も遅まきながらトークン生成機とすべく《傲慢な完全者/ Imperious Perfect 》をプレイ。

三原の《狼骨のシャーマン》はまたも狼を産み出す。その《狼骨のシャーマン》はレッドゾーンへと送り込み、《大使の樫》とエルフ・トークンを戦線へ追加してターンを返す。齋藤も負けじと《大使の樫》とエルフ・トークンで防御戦を展開する。

同じクリーチャーをお互いに出し合えば、先に攻撃できるのは先手側である。しかも、攻撃側の手に《大地力/ Earthbrawn 》が握られているとなれば、戦線の崩壊は確定的であった。たとえ、三原の土地が緑マナしか生み出せなかったとしても。

最後まで守勢に回らざるをえなかった齋藤のライフは、早々に 0 となった。

齋藤 友晴 1-1 三原 槙仁

Game 3

このマッチで初めて先攻となった齋藤は、マリガンスタートながら 2 ターン目に《肥沃な大地》で 3 マナを用意できる好スタート。対する三原は、スタンダードさながらに《レンの地の克服者/ Wren’s Run Vanquisher 》を。

齋藤が《内炎の見習い/ Inner-Flame Acolyte 》を 4/2 速攻にして殴りかかれば、三原は《レンの地の克服者》で殴り返して、《エルフの枝曲げ》を追加して譲らない。

齋藤はふたたび《内炎の見習い》をレッドゾーンに送り込み、《葉冠の古老/ Leaf-Crowned Elder 》をプレイして返せば、三原はブロックされてもいい《レンの地の克服者》で攻撃して、ダメージレースをイーブンに戻す。両者のライフはともに 14 となった。

齋藤のアップキープに《葉冠の古老》の族系により《永遠樹のシャーマン/ Everbark Shaman 》が齋藤の場にもたらされたことで、天秤は大きく齋藤の側に傾き始める。十分に仕事を果たした《葉冠の古老》は《内炎の見習い》と共に牙を剥いて三原へと襲いかかる。

三原は強大な攻撃陣をいなす仕事を《草陰の待ち伏せ》で呼び出すエルフ・トークンに賭けることにした。激突に勝って接死を与えられればワンチャンス。それでなくても《エルフの枝曲げ》がある。

結果、接死を得られなかったエルフたちは、《森》を一つ《エルフの枝曲げ》で 4/4 にするのに役立ち、この《森》とエルフ・トークンで《葉冠の古老》を屠ることに成功した。《内炎の見習い》は本体へ通って、三原のライフは 12 へ。戦闘終了後、《破壊的なかがり火/ Consuming Bonfire 》で《レンの地の克服者》を除去してターンを終了する。

すれ違い続ける両者のクリーチャーたち。ダメージレースは止まらない。残された《エルフの枝曲げ》で攻撃してライフをイーブンへ戻した三原は《大使の樫》をプレイしてターンを終えた。

クリーチャーの数で劣勢の齋藤だが、劣勢を跳ね返す武器がもたらされる。《棘噛みの杖》をプレイし、これを《永遠樹のシャーマン》へ装備してターンを返す。

ティム砲台はよろしくないと思ったか、三原は《大使の樫》と《エルフの枝曲げ》をレッドゾーンへと送り込み、攻撃の手をゆるめない。《エルフの枝曲げ》は《内炎の見習い》と相打ちとなり、齋藤のライフは 9 となった。

戦闘終了時に、《永遠樹のシャーマン》の能力を起動して《森》をサーチする齋藤。《棘噛みの杖》でアンタップするのに対応して、三原は《永遠樹のシャーマン》を《スミレの棺》で除去して後顧の憂いを断っておく。

天秤は、大きく三原の側に傾いた、かに見えた。
かたむいた天秤は、戻ろうとする。

9 マナに到達した齋藤がプレイした最後の手札は、《樫瘤の戦士/ Oakgnarl Warrior 》。5/7 警戒・トランプルという、でっかいクリーチャー。

目の前に鎮座する馬鹿デカいクリーチャーを前にして、「マジで? うへえ」と困る三原。しばし考え、まるでやけっぱちになったかのようにフルアタックを敢行した。エルフ・トークンが 2 体に、《大使の樫》、そして飛行を持ったフェアリー。

「あ、忘れてた」とぽつりと漏らす三原。
続けて「手札ゼロだよね?」と確認を取った。

三原の手札からこぼれ出たのは、《大地力》と《茨角/ Briarhorn 》。

どうブロックしてもぴったりライフがゼロになる齋藤は、おとなしく場を片付けるのだった。

齋藤友晴 1-2 三原槙仁

Final Results: 三原槙仁の勝利!

Round 6: 彌永 淳也(東京) vs. 鶴本 直也(千葉)

by Daisuke Kawasaki

グランプリ北九州でローウィンのドラフトを制した彌永 淳也今回の日本選手権は、トーナメントプレイヤーにはお馴染みの横浜という土地で行われている。

1999年の世界選手権をはじめ、数多くのプレミアイベントが行われてきたこの横浜という土地だが、しかし、今回の日本選手権が行われているのは、お馴染みのパシフィコ横浜ではなく、大さん橋ホールである。

あいにくの悪天候のせいで、ウリである絶景(オーシャンビュー)は楽しめないものの、浅原 晃(神奈川)の言葉を借りれば「非常にスタイリッシュな」会場なので、ぜひ一度足を運んでいただきたいと思う。特に日曜日の決勝ラウンドの頃には、天候も回復していると予想されるので、オススメである。

さて、たいして、なかなかに悪天候なドラフトであった北九州チャンピオン彌永 淳也(東京)はスイスラウンドで天候回復したのだろうか?

ラウンド4では敗北したものの、ラウンド5では辛勝した彌永の今後の天候を占う意味でも、このラウンド6のマッチをフィーチャーしよう。

対するは、千葉予選を勝ち上がってきた鶴本 直也(千葉)。ドラフトでは彌永の上家に座し、2パック連続での《傲慢な完全者/ Imperious Perfect 》ピックという強力な白緑デックを構築している。

特に、彌永のデックのメインの除去が《傲慢な完全者》を除去できない《眼腐りの終焉/ Eyeblight’s Ending 》であるだけに、このクリーチャーをめぐる攻防がこの先のふたりの天候を決めることになると思われるが、そんなことを頭に入れたり入れないでゲームを見ていくことにしよう。

Game 1

ダイスロールで先攻は鶴本。

そして、後手の彌永はマリガン。続く手札も土地が1枚しかなく、長考の末にマリガンという厳しいスタートとなる。

三度土地が1枚のハンドだったが、これ以上のマリガンは無理と、キープを宣言する。

そして、無事ファーストドローで《島/ Island 》を引き当て《思案/ Ponder 》をうち、なんとかこの先十分に土地を確保できることを確認できた彌永。

しかし、ここで鶴本は、《メドウグレインの騎士/ Knight of Meadowgrain 》から《葉光らせ/ Leaf Gilder 》という素早いスタートとなる。

彌永は鶴本のターン終了時に《呪文づまりのスプライト/ Spellstutter Sprite 》をキャストし《葉光らせ》に《コショウ煙/ Peppersmoke 》。序盤のマリガン分を取り戻したとまではいえないものの、なんとか有利にゲームをすすめ始める。

そして、そんな彌永を後押しするかのように、4ターン目に脅威を続けられない鶴本。彌永はその隙に《ツキノテブクロの選別者/ Moonglove Winnower 》を場に追加。コレによって、地上を膠着させることに成功する。

現状を打破する方法を見つけなければ、ゲームにならない鶴本は、《ナースの精鋭/ Nath’s Elite 》《傲慢な完全者》と続けて送り込むが、《ナースの精鋭》の激突では敗北し、《傲慢な完全者》は《打ち砕く希望/ Dash Hopes 》で打ち消されてしまう。

《ツキノテブクロの選別者》こそ《ナースの精鋭》と相打ったものの、彌永の場に追加されるのは、《巣穴のこそ泥/ Warren Pilferers 》。そして、回収されるのはもちろん《ツキノテブクロの選別者》。

《ゴールドメドウの侵略者/ Goldmeadow Harrier 》でなんとか状況をひっくり返したい鶴本だったが、《夢棄ての魔女/ Dreamspoiler Witches 》からの《やっかい児/ Pestermite 》そして《屑嗅ぎ鼻/ Offalsnout 》の前には、沈黙するしか無かった。

彌永 1-0 鶴本

非常に静かに行われているこちらのマッチに比べて、金子 真実(埼玉)と三原 槙仁(千葉)で行われている隣のフィーチャリングテーブルは非常に賑やかである。当然、余談であるが。天候の話で言えば、ふたりのテーブルは、常に天気雨といったところだろうか。

千葉予選から勝ち上がった鶴本 直也Game 2

続いて、先攻は鶴本。

1ターン目2ターン目と土地をセットするのみの鶴本に対して、彌永は1ターン目から《鱗粉の変わり身/ Mothdust Changeling 》をキャストする。

3ターン目には《キスキンの西風乗り/ Kithkin Zephyrnaut 》をキャストし、なんとか攻勢を整える鶴本だが、彌永は《ツキノテブクロの変わり身》を場に追加し、猛烈にビートダウンを続ける。

しかし、鶴本は、《傲慢な完全者》を追加。これにより、一気に天秤は鶴本の有利に傾く。やはり、このクリーチャーはゲームを決めかねない。

この優位のまま一気に攻め立てたい鶴本は、さらに《エルフの戦士》を場に追加するが、しかし、彌永も《やっかい児》で土地をアンタップしながらの《呪文づまりのスプライト》によって、クロックを増加しつつ、鶴本のクロックが増加することを許さない。

鶴本の《傲慢な完全者》によるトークンが完全に場を制してしまう前にゲームを決めてしまうプランだ。

ここで鶴本が2体目の《傲慢な完全者》を場に追加したことで、彌永に残された時間は一気に縮められてしまうが、しかし、その2体目の《傲慢な完全者》がトークンを生みだしはじめる頃には、鶴本のライフは無くなってしまっていたのだった。

彌永 2-0 鶴本

ここでなんとかリミテッドでの2勝目を手にいれ、目標である3勝へと王手をかけた彌永。

はたして、日曜日の天気は快晴だろうか。

Round 7: 渡辺 雄也(神奈川) vs. 長岡 崇之(京都)

by Daisuke Kawasaki

京都の長岡 崇之さて、初日最終戦であるこのラウンド7は通常であれば、初日全勝をかけた全勝同士の戦いをフィーチャーするところなのであるが、しかし、今大会では、ドラフトが4回戦で行われることによって、なんと、全勝同士の対決が存在しないという事態となった。

したがって、全勝を賭けた渡辺 雄也(神奈川)と、2敗の長岡 崇之(京都)が最終戦を戦うという形となった。

そして、この日本選手権ゆえのジグザグフォーマットの妙か、このふたり、本日のスタンダードラウンドの最終戦である、ラウンド3でも対決している。

このときは、黒緑エルフの長岡を青白ヒバリの渡辺が制した結果となったが、果たして、この全勝がかかった渡辺を長岡は食い止めることができるのだろうか。

長岡 「なんとかリベンジしたいところです」

Game 1

先手の渡辺が、2ターン目に《バリラシュの旗騎士/ Ballyrush Banneret 》をキャストすれば、長岡も《ウーナの黒近衛/ Oona’s Blackguard 》からスタートという、互いに譲らない序盤戦。

しかし《バリラシュの旗騎士》のいわゆるメダリオン効果はすさまじく、渡辺は3ターン目に《キスキンの西風乗り/ Kithkin Zephyrnaut 》《古参兵の武装/ Veteran’s Armaments 》と一気に展開し、一歩リード。

リベンジに燃える長岡も、決して突き放されない。負けじと《蛙投げの旗騎士/ Frogtosser Banneret 》をキャストし《ウーナの黒近衛》の能力で+1/+1カウンターを載せる。

渡辺は《キスキンの西風乗り》の族系を成功させ、一気に8点のダメージで、長岡のライフを10まで削りきり、さらに《主の戦術家/ Cenn’s Tactician 》を追加する。

このままでは続く族系が成功するだけで、ゲームにならなくなってしまう長岡は、この《キスキンの西風乗り》に対して、《群れの侮蔑/ Pack’s Disdain 》をキャストする。

ここにねらい澄ましたように突き刺さるのが《ヴェリズ・ヴェルの翼/ Wings of Velis Vel 》。このちょっとした《巨大化/ Giant Growth 》によって、完全にプランを崩された形になった長岡だが、ここから粘りを見せる。

《ウーナの黒近衛》のアタックから《掛け鍵のフェアリー》を場に追加し、これで《キスキンの西風乗り》を相打つ。

《ブレンタンの盾持ち/ Burrenton Shield-Bearers 》を《砕けた野望/ Broken Ambitions 》で打ち消し、さらに《霊気撃ち/AEthersnipe》で渡辺の攻勢を削ぐ。そして《熟考漂い/ Mulldrifter 》でドローをすすめる。

渡辺が場に追加した《キスキンの西風乗り》が《鳥の変わり身/ Avian Changeling 》で族系に成功しても、《熟考漂い》でチャンプブロックし、さらなる攻撃を《スミレの棺/ Violet Pall 》で討ち取ることに成功する。

《臭汁飲みの山賊/ Stinkdrinker Bandit 》を徘徊し、一気にクロックを増大する。

長岡の最後の2ライフが、なかなかに遠い。

そして、その長岡の2点のライフは、《足の底の饗宴/ Footbottom Feast 》によって《霊気撃ち》がライブラリートップに積まれてしまったことで、永遠に届かないものとなってしまった。

長岡 1-0 渡辺

渡辺 雄也Game 2

またも、2ターン目に《ウーナの黒近衛》からスタートし、さらに《泥棒スプライト/ Thieving Sprite 》と加勢する長岡。

対する渡辺も、3ターン目の《キスキンの西風乗り》が4ターン目に族系の成功し、ダメージレースではひけをとらない。さらに《鳥の変わり身》を追加することで、長岡の航空戦線を楽にはさせない。

しかし、長岡は臆さず《泥棒スプライト》でアタック。これを渡辺はブロックせず、《島/ Island 》をディスカードする。徹底的にダメージレースで対抗する構えだ。続くターンに渡辺も族系していない《キスキンの西風乗り》と《鳥の変わり身》でアタックし、《思考の糸のうねり/ Surge of Thoughtweft 》でダイナミックにライフを削り、《主の後継ぎ》を追加する。

完全に意地と意地の張り合いだ。

そして、この意地の張り合いを制したのはリベンジに燃える長岡だった。

3体のクリーチャーで5点のダメージを与えると、徘徊なしでの《悪名高き群れ/ Notorious Throng 》キャスト!

《ウーナの黒近衛》により、5体の2/2飛行が場に追加されるのをみると、渡辺には土地を片付ける以外の選択肢は残されていなかった。

長岡、リベンジ完了。

長岡 2-0 渡辺

渡辺 「2本目はもう、どうしようもないマッチでしたけど...ただ、1本目はミスを少なくとも3回はしてましたね...アレさえなければ...」

マッチ終了後、自身のプレイをふりかえり、暗い顔をする渡辺。

今期の成績がふるわず、この選手権では是が非でもプロポイントをもらって帰りたいと語る渡辺だけに、できれば全勝で初日を折り返したかったことだろう。

だが、敗北から学ぶプレイヤーは強くなる。

きっと明日の渡辺は今日よりも強い。

Round 7: 中村 修平(大阪) vs. 中野 圭貴(大阪)

by Yukio Kozakai

今シーズン絶好調の中村 修平好調な今シーズンを象徴するかのように、ここまで全勝で再びフィーチャーテーブルへやってきた中村 修平(大阪)。初日を全勝で折り返すのと星を落とすのでは雲泥の差がある。

さて、ここでこの日本選手権というイベントの特殊性というべきか、トーナメントの流れを簡単におさらいしよう。

初日最終戦である第7ラウンドは、全勝同士がマッチアップされることはない。8人ドラフトで4回戦を行い、ジグザグかつ奇数ラウンドで行われる2Daysトーナメントという特性上、全勝者は15点、ないし12点のプレイヤーとのマッチアップが成立する。その為、ここまで全勝で残っている中村、渡辺 雄也(神奈川)、三原 槙仁(千葉)の3名とも全勝で折り返す可能性もあれば、全勝者無しで波乱の2日目を迎える可能性だってある。それが日本選手権なのだ。

中村がこのまま初日全勝を果たせば3日目にグッと近づき、それは年間最優秀プレイヤー(以下、PoY)のタイトルをほぼ手中に収めることを意味する。その中村に立ちはだかるのは、スカージこと中野 圭貴(大阪)。この日本選手権と、PoYをかき回すキーになるかも知れない。

そんなテーマが込められたのが、この最終ラウンドだ。

Game 1

互いに《島/ Island 》を置き合い、中村の《深海踏みのメロウ/ Deeptread Merrow 》が島を介して中野へ攻めかかる。双方、デッキはマーフォークがベース。《石ころ川の釣り師/ Stonybrook Angler 》《川床の水大工/ Streambed Aquitects 》《露滴のスパイ/ Dewdrop Spy 》と中野が並べ返せば、中村も《寓話の賢人/ Sage of Fables 》《天上のヒゲエラ/ Ethereal Whiskergill 》と続けて、戦線は緊張状態を保っている。

《天上のヒゲエラ》は、《川床の水大工》の攻撃と《石ころ川の釣り師》のコンビネーションで相打つが、中村は《剣士団/ Fencer Clique 》を追加。4マナで止まっている中野は手札こそ潤沢だが、抑止力となっているのが《石ころ川の釣り師》《ゴールドメドウの侵略者/ Goldmeadow Harrier 》といったタッパーなので、動くに動けない。

しかし中村のハンドは既にカラになっており、マナが伸び始めた中野は《変わり身の歩哨/ Changeling Sentinel 》《やっかい児/ Pestermite 》と続けて反撃。攻めながらタッパー起動のマナを得て磐石となった中野を前に、中村は逆転の手が無いと見るとカードのシャッフルを始めた。

中村 修平 0-1 中野 圭貴

Game 2

スカージこと中野 圭貴青白デッキ同士の対戦である以上、ほとんどのクリーチャーには何らかの回避能力があり、膠着は起こりづらい。そんな会話を両者がしていたが、第2ゲームは一方的な展開で始まった。

中野の《深海踏みのメロウ》を中村が《砕けた野望/ Broken Ambitions 》すると、激突に敗れ、ハンドにもう土地が残っていない中野のライブラリーから3枚もの土地が流れ落ちた。このスキに中村は《メロウの騎兵/ Merrow Reejerey 》《剣士団》と畳み掛けるが、中野は《渦巻沈め/ Whirlpool Whelm 》で時間を稼ぎ、何とか3枚目の土地へアクセス。

さらに2枚の《露滴のスパイ》を並べて対抗するが、中村に早いクロックを刻まれてライフレースでは完全に不利を背負った上、中村からダメ押しの《石ころ川の旗騎士/ Stonybrook Banneret 》。

中村 修平 1-1 中野 圭貴

Game 3

《風立ての高地/ Windbrisk Heights 》から、《ゴールドメドウの侵略者》《露滴のスパイ》と立ち上がった中野。中村は《露滴のスパイ》をカウンターし、《深海踏みのメロウ》《寓話の賢人》と追加。中野も《川床の水大工》《変わり身の歩哨》で応える。

中村は攻め手を休めず、《寓話の賢人》の加護の下、《アメーバの変わり身/ Amoeboid Changeling 》《休賢者/ Fallowsage 》と続け、対する中野は《大水追い/ Floodchaser 》プレイでサイズ勝負に持ち込もうとする。

手札の補充が効く状態を得ている中村は、アドバンテージをハンドからテンポへと切り替え、《無し生み/ Nevermaker 》想起でライブラリートップへ《大水追い》を押しやると、《休賢者》で攻撃。さらなるドローで物量でも優位を得た中村は、《剣士団》《天上のヒゲエラ》と一気に展開し、《殻船着の島/ Shelldock Isle 》の条件を満たした中村が《メロウの騎兵》を呼び出すと、強化された《深海踏みのメロウ》が素潜りを再開。

しかし、前のターンに《大水追い》のアタックを通してライフが5まで落ち込んでた中村に、中野は2枚目の《露滴のスパイ》で奇襲をかけると、中村は必死の防戦。こうなってくると、《露滴のスパイ》の飛行も《大水追い》のサイズも無視できない。さらに中野は《やっかい児/ Pestermite 》プレイで《天上のヒゲエラ》の無力化に成功すると、中村は完全に追い込まれた。

最後はフルアタックから、通った《夜明けヒラメ/ Dawnfluke 》に全力の《膨らむ勇気/ Swell of Courage 》補強。中村の快進撃がここで止まった。隣のテーブルでは渡辺がすでに敗れていた。天候も相まって、日本選手権は嵐の予感漂う2日目へと向かう。

中村 修平 1-2 中野 圭貴

Final Results: 中野 圭貴の勝利!

Drafting with 高橋 純也(神奈川)

by Atsushi Ito

ローウィンといえば部族、となればそのドラフトも当然部族中心のピックになる。《傲慢な完全者/ Imperious Perfect 》や《メロウの騎兵/ Merrow Reejerey 》といった、それぞれの部族のロードが入ったパックを剥けば、そこからエルフ単やマーフォーク単にひた走って3-0デッキ誕生というパターンも珍しくない。

だが、部族中心の環境ゆえに『あえて』部族を避けるというのも戦略として成り立ちうる。ここでは『変態デッキビルダー』『ラッシュ』こと高橋 純也のピックを追ってみた。

高橋 純也のピック譜 (カッコ内は他のピック候補)
第1パック:ローウィン

1-1《叫び大口/ Shriekmaw(《つっかかり/ Lash Out 》、《巣穴のこそ泥/ Warren Pilferers 》、《鳥の変わり身/ Avian Changeling 》)
1-2《霊気撃ち/ Aethersnipe(《タール火/ Tarfire 》、《銀エラの達人/ Silvergill Adept 》)
1-3《ツキノテブクロのエキス/ Moonglove Extract(《メドウグレインの騎士/ Knight of Meadowgrain 》、《石ころ川の釣り師/ Stonybrook Angler 》)
1-4《スズメバチ騒がせ/ Hornet Harasser(《雲冠の樫/ Cloudcrown Oak 》、《鮮烈な湿地/ Vivid Marsh 》、《鮮烈な岩山/ Vivid Crag 》)
1-5《天上のヒゲエラ/ Ethereal Whiskergill(《泥デコの松明走り/ Mudbutton Torchrunner 》)
1-6《水流を読む者/ Judge of Currents(《炎族の火吐き/ Flamekin Spitfire 》、《墨深みの潜り手/ Inkfathom Divers 》)
1-7《チューパイくすね/ Squeaking Pie Sneak
1-8《煙束ね/ Smokebraider(《内炎の見習い/ Inner-Flame Acolyte 》、《がなりたてるボガート/ Caterwauling Boggart 》)
1-9《嘆きウェルク/ Mournwhelk 》(《新星追い/ Nova Chaser 》)
1-10《砕けた野望/ Broken Ambitions
1-11《ボガートの誕生の儀式/ Boggart Birth Rite
1-12《放浪者の小枝/ Wanderer’s Twig
1-13《潮刻みの神秘家/ Tideshaper Mystic
1-14略
1-15略

上家の大礒 正嗣が初手《エルフの先触れ/ Elvish Harbinger 》から緑に突っ走り、下家の山本 昇平は高橋が流した《タール火/ Tarfire 》《つっかかり/ Lash Out 》から赤単気味にピックしているため、青と黒で押さえ込まれている形。このカラーコンビネーションでは2マナ域が肝心だが・・・

高橋 純也のピック譜 (カッコ内は他のピック候補)
第2パック:ローウィン

Guile

2-1《熟考漂い/ Mulldrifter
2-2《川床の水大工/ Streambed Aquitects(《茨歯の魔女/ Thorntooth Witch 》、《皺だらけの主/ Wizened Cenn 》、《リス・アラナの狩りの達人/ Lys Alana Huntmaster 》、《アメーバの変わり身/ Amoeboid Changeling 》)
2-3《有象無象の発射/ Fodder Launch(《ゴールドメドウの侵略者/ Goldmeadow Harrier 》、《バネ葉の太鼓/ Springleaf Drum 》)
2-4《狡知/ Guile(《エレンドラ谷の衛兵/ Sentinels of Glen Elendra 》《骸骨の変わり身/ Skeletal Changeling 》)
2-5《霊気撃ち/ Aethersnipe(《やっかい児/ Pestermite 》、《コショウ煙/ Peppersmoke 》)
2-6《紙ひれの悪党/ Paperfin Rascal(《コショウ煙/ Peppersmoke 》)
2-7《砕けた野望/ Broken Ambitions
2-8《ヴェリズ・ヴェルの翼/ Wings of Velis Vel
2-9《蜘蛛カツラのボガート/ Spiderwig Boggart
2-10《ボガートの丸太運び/ Boggart Loggers
2-11《輪跳び/ Ringskipper
2-12《思案/ Ponder
2-13《水流を読む者/ Judge of Currents
2-14略
2-15略

2-5で《やっかい児/ Pestermite 》ではなく2枚目の《霊気撃ち/ Aethersnipe 》? 既に1枚目のそれと《狡知/ Guile 》で6マナ域はいっぱいいっぱいのはずだが。少しでも低マナを補充したいはずなのに、高橋はおかしくなってしまったのだろうか?

高橋 純也のピック譜 (カッコ内は他のピック候補)
第3パック:モーニングタイド

Mind Shatter

3-1《思考の粉砕/ Mind Shatter(《剣士団/ Fencer Clique 》、《鱗粉の変わり身/ Mothdust Changeling 》、《憤怒の鍛冶工/ Rage Forger 》)
3-2《病み土のドルイド/ Blightsoil Druid(《露滴のスパイ/ Dewdrop Spy 》)
3-3《蛙投げの旗騎士/ Frogtosser Banneret
3-4《ヴェンディリオン三人衆/ Vendilion Clique
3-5《病み土のドルイド/ Blightsoil Druid
3-6《剣士団/ Fencer Clique
3-7《分散/ Disperse
3-8《堕ちたる者の蘇生/ Revive the Fallen
3-9《古参兵の武装/ Veteran’s Armaments
3-10《墨溶かし/ Ink Dissolver
3-11《石ころ川の旗騎士/ Stonybrook Banneret
3-12略
3-13《無意識の流れ/ Stream of Unconsciousness
3-14略
3-15略

――これはどういうアーキタイプを意識したピックでしたか?

高橋:4,5,6マナ域の強いカードで固めて、3パック目の《病み土のドルイド/ Blightsoil Druid 》でブーストしてっていう部族なしのアーキタイプ。

――なるほど。そんなアーキタイプがあったとは知りませんでした。ピックを追っていた限りでは、途中までてっきり《煙束ね/ Smokebraider 》から《叫び大口/ Shriekmaw 》《熟考漂い/ Mulldrifter 》《霊気撃ち/ Aethersnipe 》を出してうっはうっはって感じにしたいのかなー、と。重エレメンタルみたいな。

高橋:赤をやる選択肢もなくはなかったけど、1パック目で《つっかかり/ Lash Out 》、《タール火/ Tarfire 》と流してるから、下家か下下家が赤やってる可能性が高かったんだよね。それと2枚目の《霊気撃ち/ Aethersnipe 》が取れたから、腹を括った。このアーキタイプをやる、ってね。

――デッキは100点満点で何点くらい?

高橋:このアーキタイプの完成度としては80点くらいあるけど、取ってるカードが弱いしレアに頼ってる感じはあるから、総合的には50~60点かな。

――ドラフト4回戦の目標は?

高橋:3-1だね。

Jun’ya Takahashi‘s LOR-MOR Draft Deck

Download Arena Decklist

その後、ドラフト4回戦を終えた高橋 純也に、デッキの感想を聞いてみた。

――当然あれ(4回戦目のフィーチャー)から3-0して3-1で結果オーライだったんですよね?

高橋:0-3した。

――え?

高橋:0-2からByeさんに勝利して、最後黒田さん(黒田正城)に負けた。さすがにこれはひどい。

対戦後、黒田とデッキについて語り合う高橋――・・・詳しく聞かせてもらいましょう。

高橋:5回戦目は相手ゲームロスの後ダブマリ(ダブルマリガン)して2本目を落として、3本目はワンマリから《思考の粉砕/ Mind Shatter 》で相手の除去2枚と《霊気撃ち/ Aethersnipe 》落としてハンド空にしたら返しで《妖精の先触れ/ Faerie Harbinger 》トップされて除去持ってこられて負けた。

――それはツイてない。

高橋:6回戦目でByeさんを気持ちよくぼこぼこにした後、7回戦目で黒田さん相手に1本目勝利してからマナフラッド→ワンマリ土地2ストップではいしゅーりょー。

――もはやかわいそうとまで思えてきますね。もうちょっと他にやりようはなかったんでしょうか。

高橋:デュエルはともかくとして、ピックでも相当きつかったからね。逃げ場がなかった感じ。

――確かに、上家の大礒さん(大礒 正嗣)が緑突っ走って、下家の山本さん(山本 昇平)が赤祭り状態で、残るは青か黒か白だけど、白はそもそもろくにカード出てなかったですしね。2-3の《有象無象の発射/ Fodder Launch 》とか、結局デッキからは抜けてますけど、ここらへんはどうなんでしょう。

高橋:《スズメバチ騒がせ/ Hornet Harasser 》をピックしてあったのと、3パック目の《ツキノテブクロの変わり身/ Moonglove Changeling 》を期待してのピックだったね。結局取れなかったけど。あとは直接除去が少なすぎて、相手のクリーチャーへの対処が一手遅れがちなのがよくなかった。

――《スミレの棺/ Violet Pall 》とか欲しかったですよね。

高橋:まぁ欲を言えばそうだね。でも3パック目で流れてこなかった時点で上上家がピックしてるのがソートでわかって、あー終わったーって。

――でもデッキのコンセプトはすごいはっきりしてますよね。《病み土のドルイド/ Blightsoil Druid 》《砕けた野望/ Broken Ambitions 》《霊気撃ち/ Aethersnipe 》がそれぞれ2枚ずつ入ってて綺麗だし。

高橋:そういう意味ではこれは全然いいデッキだったと思うよ。ていうか組んだ時点で強いと思ってたし。結果は0-3だけど。何か俺ヤソ(八十岡翔太)みたいなキャラになってきてない?

――ま、まぁ明日もありますから。シャドウムーアのドラフトはどんな感じですか?

高橋:シャドウムーアは自信あるよ。

――明日も頑張ってください。

残念ながら3-4で初日を折り返すこととなった高橋。だがまだまだ戦いは続く。頑張れ高橋 純也!ラッシュだ高橋 純也!

Blog - Last Chance Qualifier Winning Decklists

by Event Coverage Staff

Senba Koutaro

Download Arena Decklist

Tabe Keita

Download Arena Decklist

Ito Motoaki

Download Arena Decklist

Takenaka Yuhi

Download Arena Decklist

Chijimi Keiichi

Download Arena Decklist

Sato Masayoshi

Download Arena Decklist

Ohara Takashi

Download Arena Decklist

Kitagawa Tomoaki

Download Arena Decklist

Latest Event Coverage Articles

December 19, 2019

Grand Prix Oklahoma City 2019 Final Standings by, Wizards of the Coast

Rank Player Points Prize Money 1 Carlson, Matt [US] 37 $6,000 2 Foreman, Matt [US] 37 $3,000 3 Cole, Conor [US] 36 $1,500 4 Majlaton, Alex [...

Learn More

December 11, 2019

Grand Prix Brisbane 2019 Final Standings by, Wizards of the Coast

Rank Player Points Prize Money 1 Gibson, Kyle [AU] 36 $6,000 2 Yeh, Chih-Cheng [TW] 37 $3,000 3 Thompson, Chris [AU] 37 $1,500 4 Lee, Anthon...

Learn More

Articles

Articles

Event Coverage Archive

Consult the archives for more articles!

See All