Day 2 Blog Archive

Posted in Event Coverage on March 13, 2005

By Wizards of the Coast

EVENT COVERAGE

  • Blog - 9:55 pm: Round 11: 伝説の三分間
    by Keita Mori
  • Blog - 8:13 pm: Round 10: One Spin vs. LES BALTRINGUES DE LUDIPI
    by Keita Mori
  • Blog - 4:21 pm: 読み解く鍵は「石田 格」!?
    by Keita Mori
  • Blog - 2:30 pm: Round 8: Gatas Brilhantes vs. Roel hou je smoel
    by Keita Mori
  • Blog - 12:52 pm: Photo Coverage
    by Keita Mori
  • Blog - 11:51 am: 初日でポン(日本) vs. von Dutch(オランダ)
    by Keita Mori
  • Blog - 10:25 am: 「One Spin」のロチェスター・ストラテジー
    by Keita Mori

Saturday, March 12: 10:25 am - 「One Spin」のロチェスター・ストラテジー

by Keita Mori

二日目に生き残った3チームの日本人たちが続々と会場に戻ってきた。そんな中で、日本のプロプレイヤーの次代を担う人材たちと期待されている「One Spin」に私はロチェスター戦略を尋ねてみることにした。金曜日の戦いで、Kai Budde(ドイツ)、Murray Evans(カナダ)、Antonio De Rosa(アメリカ)、Eugene Harvey(アメリカ)といったビッグネームたちと彼らは戦って、そして勝ち抜いてきているのだ。

One Spin、左から鍛冶 友浩、津村 健志、斉藤 友晴

残念ながら津村 健志(広島)はまだ会場に来ていなかったが、その津村が北米遠征しているあいだに日本で神河ブロックを研究していたという埼玉勢コンビ――斉藤 友晴鍛冶 友浩――から貴重な話を聞かせてもらった。はたして、神河謀叛がはいったチーム・フォーマットを彼らはどのように料理するのだろうか。

・基本的な色の配置

「ある意味で理想形は決めうちなのかもしれません」と、鍛冶 友浩は言う。彼らが構想しているドラフト・プランは概要として、

プレイヤー 担当 備考
A: 鍛冶 友浩 緑系 ※二色目は赤か黒。場合により3cG
B: 津村 健志 青白  
C: 斉藤 友晴 赤黒  

といった配置での展開だそうだ。

「基本的に、BとCは勝ちに行くためのデッキをしっかりと組んで、この二人で友好色の組み合わせで綺麗に4色をつかいたいんです」と斉藤 友晴は鍛冶の言葉を補う。

その理由は?

「この環境のパックのCソートを研究した結果、対抗色のパワーカードが入っていることが多いので、それを取りこぼさないようにするため」と斉藤。

それを踏まえて、緑系という担当をA卓に座る鍛冶は「局面によってはカットを担当する位置で、テーブル全体のバランスを取る」という重要な役目を果たすことになるはずだそうだ。たしかに、神河物語での《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》や《木霊の手の内/Kodama's Reach》を軸としての多色化というストラテジーが許されるのがこのブロックの緑の特徴だ。

ちなみに、彼らにイニシアチブがある場合には「出来れば後手をとらせてもらったほうがやりやすいですね」と鍛冶は考えている。しかし、斉藤に言わせると「あくまでこういったプランがあるだけで、実際のパックから出現するカードによっては変わることも当然ある」から、これは大した問題にはならないのかもしれない。

・ピックのポイント

Matsu-Tribe Sniper

それでは、基本的に彼らの望むような上記どおりの色配分でドラフティングが進んでいくとして、注意すべき点はどこにあるだろうか? 

「《松族の狙撃手/Matsu-Tribe Sniper》が謀叛から登場したので、津村の対戦相手にこれとティム系がまとまってしまうとつらいですね。逆に、A(鍛冶)とC(斉藤)でその《狙撃手》とか《霜投げ/Frostwielder》とかをしっかり狙って生きたいと思います」と、鍛冶。

「青白(津村 健志)の場合だったら、そいつら(上記の《狙撃手》やティム系)を意識して、タフネス1の飛行(神河物語の空民系)よりも先に安定感のある白いカードからピックしていく感じのイメージがいいと思いますね。逆に相手にそういったタフネス1のカードが多ければ、対策もたてやすいはず。あとは、赤相手に山渡りの《霜剣山の暴れ者/Sokenzan Bruiser》を入れるとか、そこらへんの基本ですね」と斉藤。

 

※「ティム」というのは昔から基本セットに収録されている《放蕩魔術師/Prodigal Sorcerer》のことで、これに類する「直接系ダメージを(基本的には1点)与えることができるクリーチャー」に総称だ。「ピンガー」というのも同じことだ。

・海外勢の印象

また、ドラフティング戦略からは離れるが、初日を戦い抜いての感想を尋ねてみた。

「なんというか、有名人+そのお友達みたいな感じの、仲良しチームが多い気がします。勝ちに来ているというよりは楽しみに来ていると言う風な」と鍛冶。

 

「グランプリ大阪でベスト4にはいったチームで今回も表彰台を二つくらいとろうって冗談をいってたんですが、コムシューたち(Gatas Brilhantes)も二日目に残ったし、モリカツたち(Shonichide PON)も半分「P.S.2」みたいなもんですしね」と斉藤。

はたして、彼らの研究の成果はどのようなかたちで報われるだろうか。
One Spin」の動向には是非とも注目していきたい。

Saturday, March 12: 11:51 am -初日でポン(日本) vs. von Dutch(オランダ)

by Keita Mori

ディフェンディング・チームプロツアーチャンプであるオランダ最強軍「von Dutch」と日本を代表するチームである「初日でポン」が二日目の最初のマッチでぶつかりあうことになった。ともに4勝2敗というラインでのことであり、あわせて11回戦しかない中でのベスト4入りを狙うわけだから、双方これ以上黒星を増やしたくないところだ。

・初日でポン(日本) vs. von Dutch(オランダ)

Team Shonichide Pon vs. von Dutch
Player A 大礒 正嗣 vs. Jeroen Remie
Player B 森 勝洋 vs. Jelger Wiegersma
Player C 森田 雅彦 vs. Kamiel Cornelissen

ドラフティングを観戦していたプロツアー・コロンバス準優勝者の中村 修平にマッチアップについて意見を求めてみた。中村いわく、

A卓:
「黒緑のミラーマッチで、大礒の側に《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》、《素拳の岩守/Iwamori of the Open Fist》といったカードがあるのを評価したいところ。特に《素拳の岩守》はナイスピック! Remieを相手に《死者の嘆き、崩老卑/Horobi, Death's Wail》を大礒が入れるのかどうかが個人的に気になります」

B卓:
「モリカツとWiegersmaの対決ですが、正直どっちがどれだけ有利かはなんとも言えないです。微妙です」

C卓:
「ゴージャス・レアデッキ対決です。二人とも《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》を持っていて、青白のCornelissenには《沈黙の預見者、ウヨウ/Uyo, Silent Prophet》もいます。森田には《義理に縛られし者、長雄/Nagao, Bound by Honor》もいますし…その、《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》もあるんですよね。あと、森田が白黒という手前スピリットによっているんで、Kamielの《薄青幕の侍/Samurai of the Pale Curtain》が結構キーになったりするかもしれませんよ。個人的にはチームの勝敗はここ次第だと思います」

とのことだった。

Player C Match: 森田 雅彦(白黒) vs. Kamiel Cornelissen(白青)

初日でポン、手前から森田 雅彦、森勝洋、大礒 正嗣

中村 修平のアドバイスに従って、C卓のゴージャス対決に着目してみよう。

試合の当事者の森田いわくでは「こっちのデッキがスピリットに偏っているんで、相手の《密の反抗/Hisoka's Defiance》が気になります。あとは、《祝福の息吹/Blessed Breath》がちょっと嫌ですね」とのこと。

すると、間髪いれずに「森田君なら勝てるから! なに弱気になってんの!」とチームメイトの森 勝洋から大きな声があがる。

「ほんと、まかせたから!」

Game 1

しかし、森の期待とは裏腹に、ゲームの機先を制したのはダイスロールで先手を掴み取ったKC(Kamiel Corelissen)だった。

・T1:《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda
・T2:《薄青幕の侍/Samurai of the Pale Curtain
・T3:《狐の刃遣い/Kitsune Blademaster

お手本のようなビートダウンを見せ付けられてしまった森田の初動は、3ターン目の《狐の刃遣い/Kitsune Blademaster》召喚。しかし、この段階でライフが14点まで削り落とされてしまっていると言うのは特筆しておくべきだろう。

ともあれ、森田が展開した先制攻撃もちの侍によってKCの《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》と《薄青幕の侍/Samurai of the Pale Curtain》は沈黙し、4ターン目のKCは《狐の刃遣い/Kitsune Blademaster》でしかアタックできなかった。そこへ森田は《希望の盗人/Thief of Hope》、《灰色肌のずべら/Ashen-Skin Zubera》を展開して地上戦線を固めていく。

そこで、膠着を嫌ったKCは《密の反抗/Hisoka's Defiance》のマナをたてたまま戦況を見守ることをよしとせず、フルタップで6ターン目に《嵐の種父/Sire of the Storm》を召喚した。しかし、実は森田は初手の7枚以降のドローでほとんど土地しか引けていなかったため、この《嵐の種父/Sire of the Storm》というカードに対して何も対抗策を打ち出せない。

皮肉にも、手遅れになってから《骨鬣の獏/Skullmane Baku》を引き当てた森田だったが、Conelissenはそれを《密の反抗/Hisoka's Defiance》で撃退し、航空戦で緒戦を飾ることになった。

Kamiel Cornelissen 1-0 森田 雅彦

Game 2

そして、絶好調のKCは2戦目も第2ターン目に《薄青幕の侍/Samurai of the Pale Curtain》召喚という絶好の立ち上がりからゲームをスタートさせた。3ターン目にも2/1フライヤーの《空民の雨刻み/Soratami Rainshaper》を追加して、攻勢をゆるめない。

一方の森田 雅彦のファーストアクションは4ターン目に《兜蛾/Kabuto Moth》を召喚したことなのだが、これが即座にKCの《秘教の抑制/Mystic Restraints》によって封じ込められてしまう。さらに、森田が続けて5ターン目に出した2/3フライヤーの《百爪の神/Hundred-Talon Kami》も、ご丁寧に「白バク」こと《蝋鬣の獏/Waxmane Baku》を召喚した上での《消耗の渦/Consuming Vortex》によってバウンスされてしまう。確実にダメージクロックをかけながら、相手のアクションを文字通りにテンポよくさばいていくCornelissenの力強さばかりが目立つ展開だ。この展開で《蝋鬣の獏/Waxmane Baku》の上に載っていく気カウンターは、本当に強力だ。

どうしたものかと森田の手札をのぞいて見たら、そこにはバウンスされたぶんとあわせて2枚の《百爪の神/Hundred-Talon Kami》と「黒バク」こと《骨鬣の獏/Skullmane Baku》といった5マナ圏のカードばかりだ。

チーム名のもとになったブランドのTシャツに身を包むKamiel Cornelissen

そして、対するKamiel Cornelissenはご丁寧に《密の反抗/Hisoka's Defiance》というカウンター呪文まで握っていて、マナをしっかりと残しながら盤面に《古の法の神/Kami of Ancient Law》を呼び出してくる始末だ。

《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》いりの綺麗にまとまったデッキが売り物であったはずの森田だが、緒戦を土地ばかりというドローで、二戦目は状況に噛み合わない重いスペルばかりというドローによって…敗北してしまうことになったのだった。

Kamiel Cornelissen 2-0 森田 雅彦

しかし、森田としてはさんざんなマッチになってしまったわけだったが、これは疫病神を一人で背負い込む役割だったということかもしれない。

大礒 正嗣森 勝洋が鮮やかな勝利を飾ったため、「初日でポン」はチームとしてはディフェンディング・プロツアーチャンプを打ち負かすことになった。

Saturday, March 12: 12:52 pm - Photo Coverage

by Keita Mori

今回のイベント会場となった、ジョージア州アトランタのガレリア・センター
名古屋から実施されているプロツアーラウンジ・サービス。今回も軽食や飲み物、高速回線に接続されたインターネット環境、大きなソファといった設備が整った特設エリアとしてプレイヤーたちを迎えている。
今大会のラウンジにはビリヤード台が新設されていて、これがなかなか好評のようだ。
プレイヤーたちを一番喜ばせたのが、今回からケータリングサービスに暖かいピザを提供されるようになったことだ。間違いなく、ラウンドの合間に気軽にラウンジに立ち寄るプレイヤーたちは名古屋よりも増えたようだ。
観客にもイベントの進行状況が一目瞭然。ここで掲載したスコアボードは初日が終了した時点のものだ。

Saturday, March 12: 2:30 pm - Round 8: Gatas Brilhantes vs. Roel hou je smoel

by Keita Mori

二日目に勝ち残った三つの日本チームは揃って第7回戦を白星で飾ることになった。

Gatas Brilhantesの小室 修

本日の最初のBlogで「One Spin」を、先ほどの第7回戦では「初日でポン」を取り上げたので、この第8回戦では残る「Gatas Brilhantes」を紹介しよう。

彼らはチームとしてグランプリ大阪でベスト4に入賞しているチームで、メンバー全員が浅原連合というチームに所属している。このチームのエースである小室 修はプロツアー名古屋で優勝を飾っているため、今の段階では国際的には「小室のチーム」という見方をされている。「Phoenix Foundation」が「Buddeのチームと呼ばれた」のと同じことだろう。

しかし、志村 一郎には昨シーズンのプロツアー・シアトルで「S.A.I」(志村 一郎、射場本 正巳、有田 隆一)の一員としてのベスト4に入賞しているという実績があるし、笹川 知秀もプロツアー東京の予選スイスラウンド最終戦で藤田 剛史と伝説のマッチ――勝者が日本ではじめてのプロツアー決勝ラウンドを踏みしめることになる――を戦ったプレイヤーだ。

・Gatas Brilhantes vs. Roel hou je smoel

Team Gata Brilhantes vs. Roel hou je smoel
Player A 笹川 知秀 vs. Gas Knapen
Player B 小室 修 vs. Roel Heeswijk
Player C 志村 一郎 vs. Jasper Blaas

Player B: 小室 修(青赤) vs. Roel Heeswijk(黒緑)

Game 1

先手をとった小室 修の《粗暴な詐欺師/Brutal Deceiver》はHeeswijkの《霊魂の奪取/Rend Spirit》で葬られてしまうが、後続の《深き刻の忍者/Ninja of the Deep Hours》に《幻影の翼/Phantom Wings》がエンチャントされ、これと《浪人の犬師/Ronin Houndmaster》がHeeswijkを攻めに攻める展開となった。

相手サイドに《よだれ舌のずべら/Dripping-Tongue Zubera》と《欠け月の神/Kami of the Waning Moon》しか出てこないというのも幸いして、空飛ぶドローエンジンを作り出してしまった小室 修は一方的にアドバンテージを稼ぎ続けた。

そして、後続の《這い回る不浄/Crawling Filth》を《消耗の渦/Consuming Vortex》で手札に返し、再召喚されたところで《邪魔/Hinder》を見舞ってやるだけで、Roel Heeswijkは投了においこまれたのだ。

小室 修 1-0 Roel Heeswijk

Game 2

Heartless Hidetsugu

第2ゲームでも小室 修は2ターン目に召喚した《空民の雲乗り/Soratami Cloudskater》のアタックからの「忍術」起動で《深き刻の忍者/Ninja of the Deep Hours》を展開するという軽快な立ち上がりを見せ、要所で《樫族の肉裂き/Kashi-Tribe Reaver》に《邪魔/Hinder》を炸裂させ、ゲームを有利なペースで進めていった。

それでも、中盤の《風見の本殿/Honden of Seeing Winds》を即座に《摩滅/Wear Away》したうえで《猫手/Neko-Te》と《鱗の大男/Scaled Hulk》を展開し、Heeswijkも必死の抵抗をみせた。

しかし、小室は《無情の碑出告/Heartless Hidetsugu》を召喚し、対戦相手のターンエンドと自ターンのメインステップにこの「各プレイヤーに、そのプレイヤーのライフの点数の半分(端数切捨て)に等しいダメージを与える」能力を連続して起動した。

あとは、《空民の雲乗り/Soratami Cloudskater》が上空から1点のダメージを与え、そこに《山伏の炎/Yamabushi's Flame》を叩き込んでゲームを終わらせるだけだった。

小室 修 2-0 Roel Heeswijk

そして、志村が敗北してしまったものの、笹川が勝利をおさめたために、「Gatas Brilhantes」はチームとして白星を飾ることになった。

Final Results: Gatas Brilhantes WIN

ちなみに、二日目の開幕二回戦を終えて、日本勢は3チームとも連勝スタートをきれたようだ。あわせて5回戦しかないチーム・ロチェスターであるわけだから、これは大いに期待できそうな雰囲気である。

Saturday, March 12: 4:21 pm - 読み解く鍵は「石田 格」!?

by Keita Mori

今大会で活躍を果たしている三つの日本のチームについて、当事者たちを含む色々なプレイヤーたちから話を聞いてみるにつけ、私は一つの共通した事実に気がつかされた。

Gata Brilhantes One Spin Shonichide Pon
笹川(山梨) 鍛冶(埼玉) 大礒(広島)
小室(東京) 津村(広島) 森(東京)
志村(茨城) 斉藤(埼玉) 森田(大阪)

日本のプロプレイヤーの多くが「日本ではトップ。世界でもこのチーム・フォーマットでは有数のはず」と認めるのが石田 格。彼は東京在住で、最近ではマジックのプレイテストの多くを、浅原 晃率いる浅原連合にゲスト参加するかたちで行っている。ちなみに、マジック・インビテーショナルの投票でも「チーム・フォーマットに精通している男」として「Resident Genius(その分野の天才)」枠でノミネートされたほどで、この分野では国際的に第一人者として認められているのだ。

そして、上の表に青字でリストアップされているプレイヤーたちは、その浅原連合を中心とした(イベント直前の)練習の輪に加わっていた者たちなのだ。そう、大阪在住の森田 雅彦以外の全員である。

「直接口で『これはこうでしょ』って教えたりはしませんけど、一緒に練習をしているわけだから、なにかしら掴んでくれているとは思いますよ。たとえば、(斉藤)友晴と鍛冶君の二人がむこうがわのチーム三人分のデッキをピックして、反対側では自分ひとりで三人分のピックを管理する、みたいな練習もしたりしましたね。もちろん、こっち側でも横に一人座るだけ座ってもらったりはしたんですけどね」とは石田 格の言葉だ。

もちろん、それだけの大人数が毎回同じテーブルについていたというわけではなく、数箇所に分かれての練習会というのが多かったようだ。たとえば、PTQ会場に集まって、ツアー参戦権を持ったものたちが集まって練習はじめるとか、場合によっては誰かの自宅に集合することもあったようだ。また、石田は仕事の関係で週末にしか参加できない場合がほとんどだったという。

石田 格

「でも、うちのチーム(「Stardust Boys」浅原 晃大澤 拓也八十岡 翔太)なんかは権利取ったのも遅かったし、格さんにはかなり教えてもらった感じがしますよ。いつもこのメンバーでっていうのはなかったですけど、今は関東に(トーナメント・マジックに対する)やる気が多いのが集まってますから、チーム戦なんて練習できる環境があるだけでも恵まれてるとは思いますけどね。格さんとかがいてくれるんで、ホント底上げされてきた感じですね」と八十岡 翔太

「今回は謀叛がはいってガラっとかわったじゃないですか。でも、ダミーパックを用意して何度も何度もチーム・シールドやロチェスターを練習しましたから、それはデカかったんじゃないですかね。友晴と鍛冶君なんかは、それこそ謀叛と物語のブースターを1boxぶん、スターター(トーナメントパック)も1boxぶんくらいダミーパック用意してましたしね」とは大澤 拓也の言葉だ。

「ダミーパック」というのは、たとえばブースターの場合なら、その中味の15枚すべての内容を記録しておいて「後で未開封の状態を再現できるようにしておく」ことだ。この面倒な作業をしておけば、本来は一度きりしか使えないドラフトやシールドの練習を何度も何度も行えるというメリットがあり、パックを購入するときのコストを気にせずに延々と練習できるのだ。

ともあれ、ここまでの話を総合してわかることは、彼らは質の高い練習を行う機会を東京で持てていたということだ。そして、そのコミュニティには世界を代表する第一人者である石田 格が加わっていて、彼の遺伝子ともいうべきものが少しずつ伝わっていっているのだ。もちろん、石田自身が彼らとの練習によって得てきたものも計り知れない。それがコミュニティというものだ。

惜しくも石田 格本人は初日のチーム・シールドの予選で敗退してしまっているが、彼の教え子であり仲間であるプレイヤーたちがロチェスターで奮闘している。

Saturday, March 12: 8:13 pm - Round 10: One Spin vs. LES BALTRINGUES DE LUDIPI

by Keita Mori

り、順位表では第2位。最終ラウンドを前にして、いわゆる「勝てばベスト4進出確定」という2チームがマッチアップされたのだ。

LES BALTRINGUES DE LUDIPI

ちなみに、「LES BALTRINGUES DE LUDIPI」はここまでを8勝1分であるため、すでに「引き分けても決勝ラウンド進出」という状態である。当然「One Spin」にIntentional Drawを申し込んできたのだが、日本勢は固い意思でこれを断った。

「出来ればここで気持ちよく勝って、最終戦で『Gatas Brilhantes』とあたったら、そこにトスしてあげたい気持ちですから」とのことだ。

・One Spin vs. LES BALTRINGUES DE LUDIPI

Team LES BALTRINGUES DE LUDIPI vs. One Spin
Player A Benjamin Caumes vs. 鍛冶 友浩
Player B Nicolas Bornarel vs. 津村 健志
Player C Camille Fenet vs. 斉藤 友晴

Player B: 津村 健志(青白) vs. Nicolas Bornarel(青赤黒)

Game 1

先手を取った津村 健志が4ターン目に召喚した3/1飛行の《空民の鏡守り/Soratami Mirror-Guard》がファーストアクションとなり、後手Nicolasは2/3飛行の《ゆらめく玻璃凧/Shimmering Glasskite》を展開。続く津村のアタックをこれで相打ちに取った。

ここで津村は戦闘後に2体目の《空民の鏡守り/Soratami Mirror-Guard》を召喚すると、後手Nicolasも2体目の《ゆらめく玻璃凧/Shimmering Glasskite》で応戦し、ニヤリと笑う。ここまではほとんど互角の展開であるかのように見えるが、実は津村 健志のマナベースがという有様で、手札は真っ白である。

そして、2体の飛行クリーチャーがにらみ合っていたのだが、白マナがいっこうにやってこない津村 健志はとうとうディスカードステップに《狐の裂け目歩き/Kitsune Riftwalker》を捨てなくてはならない有様。

そこへNicolasは《灰燼の大怪物/Ashen Monstrosity》を召喚してのビートダウンを試みるが、津村は《水面院の翻弄/Minamo's Meddling》でこれをカウンターし、相手の手札を確認する。そこには《未達の目/Eye of Nowhere》、《時間停止/Time Stop》、《霊魂の奪取/Rend Spirit》、《深遠の覗き見/Peer Through Depths》といったカードが含まれていた。

Nicolasはそこから《深遠の覗き見/Peer Through Depths》→《深遠の覗き見/Peer Through Depths》→《不気味な行列/Eerie Procession》→《氷河の光線/Glacial Ray》という具合にサーチ・リレーを行った。もちろん、津村 健志がメインデッキに先ほどの《水面院の翻弄/Minamo's Meddling》という特殊なカウンター呪文を搭載していたのは、対戦相手が「秘儀・連携」デッキであるということを承知してのことだ。

結局、津村は《日夜の苦役/Toils of Night and Day》に連携された《氷河の光線/Glacial Ray》によって唯一展開できていたクリーチャーである《空民の鏡守り/Soratami Mirror-Guard》を除去されてしまい、そこへNicolasは4/4飛行の《飛び回る玻璃凧/Jetting Glasskite》を追加してゲームを終わらせにかかった。

Nicolas Bornarel 1-0 津村 健志

Nicolas Bornarel 1-0 津村 健志

Game 2

Nicolas Bornarelが後手ダブルマリガンでワンランドのハンドをキープ。そしてマナ事故を起こしてしまう。

津村 健志は《手甲/Shuko》つき《空民の雨刻み/Soratami Rainshaper》と《空民の鏡守り/Soratami Mirror-Guard》によるビートダウンで、そこにつけこむことに成功した。

津村 健志 1-1 Nicolas Bornarel

片方は色の事故、片方はマナの絶対量の不足というトラブルで1勝1敗となり、3本目を迎える。

Game 3

One Spin

ここでNicolasが後手を選んできたため、津村は3本連続しての先攻スタートとなった。そして、2ターン目と3ターン目に《浮き夢のずべら/Floating-Dream Zubera》を、4ターン目には《空民の鏡守り/Soratami Mirror-Guard》を召喚するというスタートを迎えた。

対して、後手のNicolas Bornarelのファーストアクションは4ターン目に《ゆらめく玻璃凧/Shimmering Glasskite》展開。続く5ターン目に津村 健志は全軍での攻撃を選択し、ここではNicolasは青い《ずべら》のうちの1体をブロックすることを選択した。これによって津村は1枚カードをドロー。このアタックでNicolasのライフは残り14点まで削られてしまい、さらに戦闘後に津村が2/1の《狐の裂け目歩き/Kitsune Riftwalker》を召喚したのだった。「秘儀・連携」デッキのNicolasには決定打といってもいい一枚で、まごうことなき2点クロックというやつである。

ここで、続くの5ターン目もNicolasは土地を置いただけで終了したため、津村は全軍でアタック宣言。2/3《瑠璃凧》がたまらず3/1《鏡守り》を相打ちするためにブロックし、3点のダメージが与えられて残り11点。この戦闘後には特に津村 健志は行動をおこさずにターンエンドとし、Nicolasは6マナフルタップで《飛び回る玻璃凧/Jetting Glasskite》を召喚。そこを津村は冷静に《邪魔/Hinder》で撃退だ。

それでも、サーチスペルからの《忌まわしい笑い/Hideous Laughter》で一発逆転を狙うNicolas。ともかく《狐の裂け目歩き/Kitsune Riftwalker》をなんとか除去したい。

しかし、津村 健志は素晴らしい勝負強さで《密の反抗/Hisoka's Defiance》を引き当ててこれを退け、そのままゲームを制してしまうのだった。

津村 健志 2-1 Nicolas Bornarel

津村 健志の勝負強さをしっかりと見せつけてもらったマッチアップだったが、斉藤と鍛冶が敗れてしまったために、「One Spin」は最終戦に望みを託すことになった。

Saturday, March 12: 9:55 pm - Round 11: 伝説の三分間

by Keita Mori

第11回戦を迎えて、日本勢の2チームが勝てばベスト4というラインに生き残っていた。しかし、「Gatas Brilhantes」が昨シーズンの年間最優秀プレイヤーであるGabriel Nassif 率いる「Nova」に敗れてしまい、「One Spin」も絶体絶命の状態に追い込まれてしまった。

・One Spin vs. Roel hou je smoel

Team Roel hou je smoel vs. One Spin
Player A Bas Knapen vs. 鍛冶 友浩
Player B Roel Heeswijk vs. 津村 健志
Player C Jasper Blaas vs. 斉藤 友晴

Player B: 津村 健志(青白) vs. Roel Heeswijk(黒白)

「One Spin」の津村 健志(左)はチームの運命をかけた戦いに挑む。

A席の鍛冶 友浩が敗れ、C席の斉藤 友晴が勝利し、このB席はここまで1勝1敗。

まさにこれからはじまる第3ゲームの勝者が決勝ラウンドへと駒を進めることになるのだが、しかしながら、何よりも津村 健志が意識しなければならないのは「タイムリミット」だった。

実は、すでにラウンドの進行を管理する大時計はとまってしまっている。その上で、二人のプレイヤーがデッキをシャッフルしている段階で…残された時間はジャッジの裁定に伴う延長時間の4分だけ。まさに、引き分けて当たり前という、時間との戦いなのだ。

はたして、実質3分で試合を終わらせられるものだろうか?

Game 3

チームメイトや観衆が固唾をのんで見守る中、先手の津村 健志は紙でメモを殴り書きすることさえ難しいような…凄まじい早さでゲームを開始した。

《平地/Plains》セットとほとんど同時に《灯籠の神/Lantern Kami》を場に展開。それこそ、2枚のパーマネントを同時に出してから片方だけをタップしたような感じである。そして、後手Heeswijkが《沼/Swamp》をおいて「ターンしゅうりょ…」と言いかけたくらいの段階で、津村はすでに二枚目の白マナを置いていた。手札から素早く《狐の易者/Kitsune Diviner》を召喚し、先ほどの《灯籠の神》を横向きにするや否や、「ダン(Done)」とターンを渡す。

津村が対戦相手のライフ推移(1点)をメモしはじめたのはRoel Heeswijkのターンに入ってからで、つまり、まるでパントマイム演者であるかのような素早い手つきで物事が進められていたのだった。以後、このマッチにおける津村の挙動がこういった信じがたい速度で行われていることを意識しつつ、記事の続きを読んでいただきたい。

さて、後手のHeeswijkも2ターン目に2/1《残酷な詐欺師/Cruel Deceiver》を召喚するという悪くない立ち上がりを見せる。ターンを渡された津村はすばやく上空から1点のダメージを与えてターンを返し、Heeswijkのアップキープありで《易者》によって《残酷な詐欺師》をタップした。

盤面に次なるインパクトがもたらされたのは津村の第4ターン目で、彼が召喚したのは2/2飛行の《空民の学者/Soratami Savant》だった。そう、《マナ漏出/Mana Leak》的な能力で恐れられる強力なアンコモン・クリーチャーだ。しかしながら、Heeswijkはフルタップの津村の前に《蛾乗りの侍/Mothrider Samurai》を展開し、津村の上空ビートダウン作戦に待ったをかけた。

続くターンの津村は特にアクションらしいアクションも起こさず、土地だけを置いてターン終了。Heewijkは《呪われた浪人/Cursed Ronin》を召喚するが、これを津村は《学者》の能力を起動して即座にカウンター。その後、津村が神河謀叛の1マナ1/1である《偽りの希望の神/Kami of False Hope》を召喚し、Heeswijkは《血塗られた悪姥/Wicked Akuba》を2マナでプレイした。

7ターン目を迎えた先手津村は《手の檻/Cage of Hands》を《蛾乗りの侍/Mothrider Samurai》にはりつけて、1/1《灯籠の神》と2/2《空民の学者》という航空部隊で3点アタック。これに対してHeeswijkは《精神の槍/Psychic Spear》で津村のハンドを攻撃したが、そこで公開されたのは《空民の鏡守り/Soratami Mirror-Guard》などの「管轄外」スペルばかりでディスカードはなし。その後、2匹目の《血塗られた悪姥/Wicked Akuba》を召喚してHeeswijkはターンエンドを宣言した。

8ターン目を迎えた津村は《学者》だけでアタックして2点のダメージを与え、戦闘後に3/1飛行クリーチャーである《空民の鏡守り/Soratami Mirror-Guard》を場に展開した。これを受けて、2/2の《血塗られた悪姥/Wicked Akuba》2体をコントロールしているHeeswijkが攻撃宣言。津村は《狐の易者/Kitsune Diviner》で片方をすばやくタップし、残る《悪姥》一体と2/1《残酷な詐欺師/Cruel Deceiver》とが攻撃に参加。すると、津村はノータイムで2体の1/1クリチャー――《灯籠の神/Lantern Kami》と《偽りの希望の神/Kami of False Hope》――での《悪姥》ブロック宣言した。結局、ブロック成立後に津村が《偽りの希望の神》の軽減能力を起動し、戦闘ダメージなし。

戦闘後、《鏡守り》を出した津村が2マナしか残っていないため、Roel Heeswijkは《食い込む疫病/Swallowing Plague》によって《空民の学者/Soratami Savant》を除去し、なおかつライフを安全水準へと近づけようとした。

Hisoka's Defiance

しかし、そこで津村は残された2マナを勢いよくタップする。

…《密の反抗/Hisoka's Defiance》!?

観衆はどよめき、見守るチームメイトから決定的な一枚に思わず声が出る。
「よし!」

そう、先ほどの手札破壊での「安全確認」のときには存在していなかったスペルを、津村はジャストタイミングでライブラリーの最上段から引き当てていたのだ。

そして、伝説がうまれた。

津村 健志 2-1 Roel Heewijk

津村 健志は本当に、たった三分間で最終戦を終わらせることに成功してしまったのだ。

Final Results: One Spin 決勝ラウンド進出!

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