Day 2 Blog Archive

Posted in Event Coverage on May 7, 2006

By Wizards of the Coast

EVENT COVERAGE

Saturday, May 6: 12:14 p.m. - Round 8 : 黒田 正城(大阪) vs. 大礒 正嗣 (広島)

by Keita Mori
プロツアー神戸王者、黒田 正城

偶然ながら、この第8回戦のFeature Match(注目の対戦)で顔をあわせる二人は今回の遠征で同宿の相部屋である。気心の知れた二人だけに、試合前のひとときは至って和やかなもので――夜の街の治安が物騒だの、ダイスロールで20面体だけは絶対にやめたほうがいいだの、と――とりとめのない話が弾む。

しかしながら、ひとたび電光掲示板のタイマーが動きはじめると、彼らは驚くほど自然に勝負師の表情になった。強い気持ちを感じさせる凛とした視線が交錯し、たたずまいも毅然としたものとなる。

かたや、プロツアー・サンデーを二回経験している世界屈指のリミテッダー 。今一人も、日本人としてはじめてプロツアー王者に輝いた名手なのである。

黒田
大礒

Game 1

緑黒白(黒田)と青白赤(大礒)の対決。ラヴニカブロックのリミテッド戦では一般的なことだが、彼らはともに三色のマナベースで戦っている。そして、これもまたよくあることなのだが、色マナをきちんと揃えることが出来るかどうか、というのがこの緒戦の大きなポイントとなった。

先手をとった黒田 正城は2ターン目に《水辺の蜘蛛/Aquastrand Spider》召喚、3ターン目に《破滅の印章/Seal of Doom》設置、5ターン目に《仮面の工作員/Agent of Masks》という具合に綺麗にのマナを確保。

対する大礒 正嗣も2ターン目に《検分するスプライト/Surveilling Sprite》、3ターン目に《魂誓いの陪審/Soulsworn Jury》、5ターン目に《ボロスのギルド魔道士/Boros Guildmage》という具合にクリーチャーこそ展開できたのだが……マナベースはの2色しか供給してくれない。

大礒は上空からのダメージレースを仕掛け、ならば、と、黒田も《印章》で1/4《陪審》を除去して殴り返しにかかるという展開となり、お互いが6ターン目に3/3飛行の《議事会の乗馬兵/Conclave Equenaut》を召喚しあった。

クリーチャーをある程度ならべることはできてはいるものの、依然として欠如したままの。大礒の動きは本調子とは言い難い状態。そこに黒田はゴルガリ=ギルドの誇る《禿鷹ゾンビ/Vulturous Zombie》を召喚し、手札から《屈辱/Mortify》、《すがりつく闇/Clinging Darkness》と除去スペルを連打してこれをみるみるうちに巨大化させる。

かくて、巨大なモンスターの召喚と敵陣のクリーチャーの除去という緑黒系デッキの王道パターンを完成させ、プロツアー神戸チャンピオンが貴重な白星を先行させた。

黒田 1-0 大礒

Game 2

大礒 正嗣

青白赤。とにかくデッキのマナカーブを低く抑えることと、飛行クリーチャーを満載することを旨としたのが大礒のデッキだ。バウンスラウンドや印鑑を言い訳にしたかのような「マナベース度外視パワーカードピック」に対する警鐘とも取れるようなデッキタイプである。

大礒は2ターン目の《哀悼のスラル/Mourning Thrull》、3ターン目の《自由風の乗馬兵/Freewind Equenaut》、4ターン目と5ターン目の《小柄な竜装者/Wee Dragonauts》という具合に航空戦力を快調に展開。ダメージレースで先行した。

しかし、対する黒田も《破滅の印章》設置、《鐘楼のスピリット/Belfry Spirit》と《セレズニアの鋭射手/Selesnya Sagittars》の召喚といった動きで徐々に対空防御を展開していき、ライフ損失を最小限に食い止める。厄介なシステムクリーチャーである《幽霊の管理人》も即座に《すがりつく闇》で除去し、さらに3/1飛行の《短剣爪のインプ/Daggerclaw Imp》を場に加えた。

かくて、飛行軍団での攻勢に待ったをかけられてしまった大礒だが、先程と違って黒田の側に「ライフアドバンテージマシン」たる《仮面の工作員/Agent of Masks》が登場していないのが幸いだった。自陣に《急使の鷹/Courier Hawk》と《ボロスのギルド魔道士》を展開し、再度の攻撃を試みることになった。

大礒は《断固たる立場/Steeling Stance》を「予見」して1/2の《鷹》を+1/+1し、2体の1/3《小柄な竜装者》とともに、あわせて3体でアタック宣言。ここで黒田はブロック宣言の前に《破滅の印章/Seal of Doom》を《ギルド魔道士》に使用。その上で、黒田の2/4《セレズニアの鋭射手/Selesnya Sagittars》はその特殊な防御能力をフルに活用して1/3《竜装者》2体のブロックに参加し、黒田はさらに1/1飛行《鐘楼のスピリット》とそのトークンをそれぞれ《竜装者》1体ずつのブロックにあてた。わかりにくい表現だが、《竜装者》Aを1/1《鐘楼のスピリット》と2/4《鋭射手》が、《竜装者》Bを1/1トークンと2/4《鋭射手》がブロックしているわけである。

もちろん、大礒はコンバットトリックを持っているわけで、ここで《一同集結!/To Arms!》をプレイ。一気に2体の《小柄な竜装者》を+2/+0しようというわけだが、これを受けて黒田も手札の《屈辱》を使用して《小柄な竜装者》B――1/1トークンと2/4にブロックされている方――を除去。黒田の防壁はさすがに高い。

そうこうするうちに「狂喜」もちクリーチャーを引き当てた黒田は3/1《インプ》でのアタックを通し、戦闘後に5/6という巨大なサイズの《ゴーア族の野人/Ghor-Clan Savage》を召喚。さらに《護民官の道探し/Civic Wayfinder》を加えて陣容に厚みを加えた。敵陣の飛行軍団への備えを万全とした今、今度は黒田のファッティが反転攻勢に打って出ようというところ。

しかし、ここで大礒が驚異的な粘りと素晴らしいプレイを見せた。アップキープに《平和の羽毛/Plumes of Peace》と《断固たる立場/Steeling Stance》の2枚を「予見」し、2/4《鋭射手》をタップさせて攻撃を通す。ビートダウンをリスタートしつつ、2/2となった《スラル》によって2点のライフ的猶予を獲得。

黒田は2体の飛行トークンのブロックによって1/2《鷹》を破壊することに成功し、3/1《インプ》と5/6《野人》で強烈に張り返す。

Vulturous Zombie

大礒は2/2《自由風の乗馬兵》と2/2《哀悼のスラル》によってアタックを継続し、地上に2/3《赦免のスラル/Absolver Thrull》を配備。さらに2/4《鋭射手》に《平和の羽毛》をエンチャントした。もはやアンタップせず。

これにて、とうとう黒田の対空防御策も尽きてしまい、タイトなダメージレースを大礒が制したのだった。二人の名手による見ごたえある攻防だった。

大礒 1-1 黒田

Game 3

残念ながら、名勝負は2本目まで。後手の大礒が質(色)的にも量的にもマナの供給で遅れをとってしまい、そこへ黒田が4ターン目に《赦免のスラル》、5ターン目に《禿鷹ゾンビ》と軍勢を展開する。

大礒も1/1飛行《哀悼のスラル》と2/3《赦免のスラル》をプレイするにはいたるのだが、黒田は盤面に「ライフアドバンテージマシン」《仮面の工作員》を追加し、《禿鷹ゾンビ》でのビートダウンを継続。大礒の後続の《自由風の乗馬兵》を《破滅の印章》が即座になぎ払い、空飛ぶ屍鬼は巨大化しはじめる。

1戦目に続くマナトラブルに苦しむ大礒は最後の望みをかけて《平和の羽毛/Plumes of Peace》をプレイした。頼む、アンタップしてくれるな。

しかし、非情にも黒田はここで《屈辱/Mortify》を唱え、これにて大礒は投了となった。

黒田 2-1 大礒

Masashiro Kuroda

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Masashi Oiso

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Saturday, May 6: 12:42 p.m. - Play the Game, See the World !!

by Keita Mori

ヨーロッパ文化の合流点、中欧に築かれた街には1200年の歴史が深く刻まれている。それぞれの時代を表す美しく建造物が数多く残っており、プラハ自体が世界遺産に登録されている。

ヴルタヴァ(モルダウ)河畔に広がる景観。市街地からわずか10数分の散歩に繰り出すだけで、そこにはかくも美しい情景が広がっている。スラブ民族によって、プラハのヴルタヴァ河畔に最初の集落が出来たのは6世紀後半のことだ。

石畳の街並みを抜け、小高い丘の上に宮殿がそびえる。そのたたずまいからも歴史の深みを感じさせてくれる衛兵だ。

「百塔の街」「建築博物館の街」といったさまざまな二つ名を持っているのがプラハだ。荘厳なる教会での一枚。

プロツアー予選に勝利したすべてのプレイヤーが、美しい中欧の都市へのバケーションのための旅費を提供されている。

プロツアーはあなたをお待ちしています。Play the Game , See the World !

Saturday, May 6: 2:03 p.m. - Draft Report : 第4ドラフト―大澤 拓也

by Keita Mori

グランプリでのベストエイト入賞回数が4回、そのうち二つを海外で獲得――という、素晴らしいプロフィールを誇っているのが大澤 拓也(神奈川)だ。

二日目に生き残った日本勢の中では唯一8勝1敗というラインに踏みとどまって第4ドラフトを迎えることになった彼のドラフティングをご紹介し、現在のRGD環境のリミテッドについての考えも披瀝してもらおう。

■ラヴニカ:ギルドの都

最終的にデッキに入ったカード:8枚
・1《現実からの剥離/Peel from Reality》 初手
・1《空想の飛行/Flight of Fancy
・2《屋根伝いのワイト/Roofstalker Wight
・2《売剣の粗暴者/Sell-Sword Brute
・1《ディミーアのギルド魔道士/Dimir Guildmage
・1《年季奉公の鈍愚/Indentured Oaf

――ラヴニカでは2マナ域のクリーチャーがしっかりと5体も確保できていますね。

大澤 「そうですね。いまのRGDドラフトで心がけていることは、とにかく軽く軽くビートできるデッキにしようというのと、なるべく単色のカードからとって行こうというのが第一にありますからね」

――青赤黒というのはアーキタイプとして大澤さんの好みにあうものですか?

大澤 「基本的にはしっかりと殴れる赤緑系が好きなんですけど、あけたパックからまったく出てきませんでしたからね。青い《現実からの剥離》をファーストピックしたんですけど、赤黒系というのも(周囲の評価が比較的)安くて殴れるパーツを集められる感じなので悪くないなと」

――青いスタートでしたけど、途中で緑に手を出すというか、青赤緑のようなアーキタイプは意識しませんでしたか?

大澤 「ディセンションでシミック(青緑)をやらせてもらえる気がまったくしないんですよね。とにかく人気が高くて。その点、しっかりと殴れるパーツがラクドス(赤黒)の方が取りやすいと思っていますから」

――なるほど。ともあれ、結果的にデッキに入るカードの三分の一にあたる8枚をラヴニカでしっかりと取れたという意味では出だし好調?

大澤 「《ディミーアのギルド魔道士》を2手目でとったときのことなんですけれど、2枚目の《現実からの剥離》をピックしておくべきだったかなと、今では思っていますね」

■ギルドパクト

最終的にデッキに入ったカード:8枚
・1《火想者ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, the Firemind》 初手
・2《蒸気核の奇魔/Steamcore Weird
・1《血鱗のうろつく者/Bloodscale Prowler
・1《オーガの学者/Ogre Savant
・1《撤廃/Repeal
・1《グルールの芝地/Gruul Turf
・1《イゼットの煮沸場/Izzet Boilerworks

――ギルドパクトでも綺麗に青と赤のカードがとれていますよね。バウンスランド2枚を含め、デッキに投入できるクオリティのカードがまたしても8枚。

大澤 「《ニヴ=ミゼット》出てきちゃいましたね(笑) レアを引けた以外では、普通にデッキに入って活躍するパーツが揃ったっていう感じのギルドパクトでしたね」

■ディセンション

最終的にデッキに入ったカード:9枚

1《ヘリウム噴射獣/Helium Squirter》 初手
1《血の魔女リゾルダ/Lyzolda, the Blood Witch
2《粘液絡みの鼠/Gobhobbler Rats
1《苦悶の結合/Bond of Agony
1《悪魔の道化師/Demon's Jester
1《死の円舞曲/Macabre Waltz
1《鼠狩り/Ratcatcher
1《不和の化身/Avatar of Discord

――ディセンションですが、しっかりと赤黒のカードが低めのマナで取れていますね。

大澤 「2枚の《粘液絡みの鼠》もちゃんと取れていますし、隣から《血の魔女リゾルダ》が流れてきたのも嬉しかったですね」

――これだけ2マナ域が充実していれば、2ターン目にパワー2クリーチャーを召喚するというスタートが安定して望めそうですね。

大澤 「そういう意味ではよくできている方だと思います。ただ、マナが少し心配ですね。青マナがちゃんと出るかどうかという感じで」

――たしかに青いマナソースは4枚だけですね。ところで、大澤さんはこのディセンションでも9枚のカードをデッキに入れられたわけですが、8-8-9と、バランスよく各エキスパンションからピックできている計算になりますよね。

大澤 「ラヴニカでのピックが無駄になっちゃうというケースはこのRGD環境ではよくあるんですよね。そういう意味では、ラヴニカでマルチカラーではなく単色の、しかもダブルシンボルのないカードを意識的に取ったからじゃないかなと、思っています」

――RGD環境でのドラフトにおける貴重な意見をありがとうございました。是非このまま好調をキープしてください。

大澤 「悪くないデッキなので、頑張りたいです!」

Takuya Osawa

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Saturday, May 6: 4:10 p.m. - かなりコンボ!

by Keita Mori

ディセンションのお披露目戦、巨大な賞金をかけたプロツアー・プラハ。そのFeature Match(注目の対戦)の舞台で、世にも珍しいビートダウン・ショーが繰り広げられたのだった。

第10回戦、Neil Reeves(ニール・リーヴス/アメリカ)は青白赤のコントロール風デッキをプレイしており、Ben Goodman(ベン・グッドマン/アメリカ)と対戦していた。Neilはすでに一本目を先取していて、二本目で先手をとったBenがダブルマリガンスタートだった。

コントロールデッキのNeilはとにかく壁という壁をならべた。《尊い祖霊/Benevolent Ancestor》から《ごみ引きずり/Junktroller》から、とにかく壁だ。そんなゲーム展開の中、Benはとあるクリーチャーを呼び出してきた。《乱打するワーム/Battering Wurm》だ。

壁を並べてダメージクロックを進めているNeilを前にして、単体ではそれほどの意味をなさないように思われる一体だった。

しかし、続くBenのドローが状況を変えた。彼はぬめぬめの蛇に……《ワーム編みのとぐろ/Wurmweaver Coil》をエンチャントしたのだ。アタック10点!

Neilは手札に抱えたタッパー――壁をならべるために手札に温存することになった《妨害の公使/Minister of Impediments》――を恨めしそうに見つめながら投了することになった。

Benはこの爽快なコンボを決めた勢いのままに2-1の逆転勝利で掴み取り、通算成績を7勝3敗とした。

Saturday, May 6: 6:48 p.m. - Draft Report : 第5ドラフト―樽 元気

by Keita Mori

第12回戦を終え、そろそろスイスラウンドも終わりが見えてきた。これから最終ドラフトを迎えるにあたって順位表をざっと眺めてみると、以下のようなデータが出てくる。

11勝1敗 1人 Rasmus Sibast
10勝2敗 6人 Terry Soh、大澤 拓也、中村 修平
9勝2敗1分 3人 Olivier Ruel、David Brucker
9勝3敗 15人 Richard Hoaen、Geoffrey Siron、樽 元気
Canali(仏)、 Karsten(蘭)という世界レベルの強豪の下家に座った樽 元気(右)

そう。これまでに今回のイベント取材でご紹介できなかった日本人のプレイヤーが1人、3敗ラインに踏みとどまって奮闘しているのである。

もっとも注目すべきは第1番卓だが、このドラフトポッドについては8名全員のピック譜がジャッジスタッフたちの協力の下で再現されることになったので、ここでは大澤と中村ではなく、第2番卓の樽 元気(神奈川)の予選最終ドラフトに迫ってみよう。

暫定12位の樽は神奈川在住のプレイヤーで、年齢は26歳。彼が高校生のときに発売された第四版(※はじめて日本語訳された基本セット)からマジックをはじめたというのだから、間もなく10年選手という長いキャリアのプレイヤーである。このプロツアー・プラハは彼にとって5回目となる国際舞台で、彼はこのRGD環境において一貫したストラテジーを貫くことで成功しているようだ。

――樽さんのここまでの戦績を教えてください。

樽 「第1ドラフトが赤黒白3-0。以降の3回のドラフトはすべて赤黒緑をドラフトして2-1という感じです」

――非常に安定したパフォーマンスですが、やはりキーポイントとなるのは、赤黒を必ずドラフトしている点ですか?

樽 「そうですね。ディセンションでラクドスというのは前から考えていたんですが、赤黒白で実際に最初のドラフトを全勝できたので、それ以降一貫して赤黒系を絶対にやろうと決めていました。それからはずっと赤黒緑に落ち着いている感じです」

――たとえば赤黒緑というアーキタイプを成立させるにあたって、どのようなカードをおさえることが重要なんでしょうか?

 「とにかく除去スペルを取るということです。そのためのラクドスですから」

――では、決勝ラウンド進出に望みを託した第5ドラフトでも?

 「もちろん狙っていきます」

■ラヴニカ:ギルドの都

最終的にデッキに入ったカード:9枚
1《霊廟の牢番/Mausoleum Turnkey
2《死足虫/Mortipede
1《不死の断片/Strands of Undeath
1《戦松明のゴブリン/War-Torch Goblin
1《かき集める勇気/Gather Courage
1《殴打蔦の葛/Vinelasher Kudzu》 初手
1《大いなる苔犬/Greater Mossdog
1《種のばら撒き/Scatter the Seeds

上家に昨年度世界選手権準優勝のFrank Karsten(オランダ/Frank Karsten)、そのまた上にプロツアー・コロンバス王者の"Mister Affinity" Pierre Canali(ピエール・カナーリ/フランス)といった強豪に続くという配置で樽の第5ドラフトははじまった。

樽のファーストピックとなる開封ブースターには除去スペルの姿がなく、《番狼/Watchwolf》か《殴打蔦の葛/Vinelasher Kudzu》かといった選択の末に後者をピックしたのだった。ちなみに、卓をグルリと一周してこの《番狼》が戻ってきたというエピソードがあり、思わず樽も眉をしかめる一幕に。セレズニア(白緑)はそれほどまでに不人気なのだろうか。

以後も、宣言どおりに黒赤緑の三色にしぼってカードを集めていく樽だが、いわゆる除去スペルが1枚も流れてくることはなかったラヴニカだった。

■ギルドパクト

最終的にデッキに入ったカード:9枚
1《グルールの芝地/Gruul Turf
1《踏み鳴らされる地/Stomping Ground
1《薄暗がりへの消失/Douse in Gloom》 初手
1《オルゾフの安死術士/Orzhov Euthanist
1《煙馬の乗り手/Smogsteed Rider
2《血鱗のうろつく者/Bloodscale Prowler
1《グルールの潰し屋/Gruul Scrapper
1《野生の寸法/Wildsize

逆周り、《薄暗がりへの消失/Douse in Gloom》からスタートした樽はひとたび決めた道をまっすぐに突き進むドラフティングに終始した。

《電解/Electrolyze》や数々の《イゼットの時術師/Izzet Chronarch》など、驚くほどにイゼット=ギルドのカードが流れてくるという展開であり、逆にグルール=ギルドの強力なカードはほとんどまわってこないというギルドパクトであった。

 「青にいけるチャンスはいろいろとあったと思うんですけれど、いったほうが良かったのかどうか、今になると考えてしまいますね…」

■ディセンション

最終的にデッキに入ったカード:9枚
1《ラクドスの儀式刀/Rakdos Riteknife
1《ぼろ娘/Ragamuffyn
1《ラクドスの痰吐き/Rakdos Ickspitter
1《オーガの門壊し/Ogre Gatecrasher
2《炎の印章/Seal of Fire》 うち一枚が初手
1《細胞卵のシャンブラー/Cytospawn Shambler
1《胞子背のトロール/Sporeback Troll
1《ラクドスの肉犠場/Rakdos Carnarium

「とにかく除去呪文をしっかり取る」ということをアーキタイプ完遂のキーとして挙げていた樽にとってはラクドス=ギルドのカードに期待がかかるディセンション。

ただ、実は上家のKarstenが赤黒白となってしまっているということもあり、ラクドス=ギルドのカードはKarstenの検閲済みのものしか回ってこないという展開となってしまっていた。もっとも、それでも2枚の《炎の印章》に《ラクドスの痰吐き》といった強力なカードをとれている。

Seal of Fire

樽 「ただ。ディセンションのカードのまわりっぷりを見ると、青をやっていればよかったのかなとは思いますよね……」

――《ヴィグの水植物/Vigean Hydropon》がガンガンまわっていましたからね。誰もシミックをやっていないのかというくらい。11手目に見たときは他に取るものがなくてカットしているくらいですからね。

樽 「青緑は人気色だと思っていたんですけれどね。本当にシミック=ギルドのカードはかなり遅い段階まで残っていましたよね」

――正直なところ、デッキの出来栄えはどうですか?

 「気持ちとしては3連勝するしかないわけですし、そのつもりではあるんですが、冷静にデッキの出来を評価しろと言われた場合に3-0デッキとはいいにくいですね……」

果たして、古豪・樽 元気はプラハで大輪の花を咲かせることが出来るだろうか。
是非とも彼のラストスパートに期待したい。

Genki Taru

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Saturday, May 6: 7:34 p.m. - Round 14 : 中村 修平(大阪) vs. Terry Soh(マレーシア)

by Keita Mori
ベストエイト入賞を視界にとらえた中村 修平

素晴らしいデッキをドラフトすることに成功した「レベル6魔法使い」中村 修平(大阪)
が昨年度インビテーショナル優勝者のTerry Soh(テリー・ソー/マレーシア)と戦うべくレッドゾーン・プレイマットのもとへと帰ってきた。アジアを代表するトッププレイヤーによる一騎打ちは10勝3敗というラインのことであり、まさしく必勝の一戦。

さあ、中村は正念場だ。

Game 1

先行をとったSohが猛攻をしかける滑り出しとなった。印鑑、バウンスランドを経由して4ターン目に6/4の《通り砕きのワーム/Streetbreaker Wurm》を召喚し、5ターン目にも《ヘリウム噴射獣/Helium Squirter》と続けた。

一方の中村は4ターン目に2/2飛行《盲目の狩人/Blind Hunter》を呼び出して「2点ドレイン」効果でライフアドバンテージを獲得し、5ターン目に《亡霊の首領/Revenant Patriarch》を呼び出してSohの次なるターンのアタックを封じ込めた。

しかしながらSohのスタートダッシュの勢いは衰える気配を見せず、まずは《ヘリウム噴射獣》に《遮蔽する粘体/Shielding Plax》をエンチャントしてキャントリップ。そこで引き当てた3/3飛行《突撃ゼッペリド/Assault Zeppelid》を上空に配備した。いまや大人気のアーキタイプである赤青緑の真骨頂ともいうべきブンまわりである。

中村もここで4/3の《首領》で殴り返し、一歩も引かない毅然とした姿勢を見せる。さらに戦闘後に5/5飛行の《紺碧のスフィンクス/Cerulean Sphinx》を呼び出し、ブロックによって6/4《ワーム》を除去してみせた。

Sohはここで《突撃ゼッペリド/Assault Zeppelid》の2体目と《土を形作る者/Terraformer》を召喚。

これを受けて中村は4/3《首領》で突撃し、《ゼッペリド》のうち1体との相討ちをSohに選ばせ、戦闘後にもう一匹へと《不眠の晒し台/Pillory of the Sleepless》を纏わせた。その上でタッパーの《木戸番スラル/Ostiary Thrull》を呼び出した。つまり中村は見事にSohの猛攻をさばききったのだ。

ここからは中村の反撃の時間だ。《不眠の晒し台》によるライフ喪失がコツコツとSohを蝕み、上空には2/5《鐘塔のスフィンクス/Belltower Sphinx》を追加。

ここからSohも《火想者の発動/Invoke the Firemind》によって4枚のカードを引いての挽回を狙ったが、中村に追いすがることはかなわなかった。

ところで、いまやTerry Sohといえば世界有数のブラフ使いとして知られている若武者だ。実際にSohの後ろからプレイを見ているとよくわかることだが、細かいところから大きな部分にいたるまで、対戦相手に心理的な揺さぶりをかけようと躍起になっている。

しかし、そんなものは中村には決して通用しない。

皆さんは中村 修平というプレイヤーがはじめて世に出てきたとき、大阪の仲間たちが彼のことをなんと呼んでいたかご存知だろうか?

三味線の修平。シャミシュー。

「坊や、年季が違うんだよ」 ――中村の視線が雄弁に語る。

中村 1-0 Soh

Game 2

マレーシア

第2ゲームをなんとか獲得したいSohは初手ワンランド+印鑑という手札を強気でキープ。そしてこれがあだとなって手札を淡々とディスカードし続けるという最序盤となる。

実は中村もダブルマリガンからのスタートなのだが、5ターン目に2/5《鐘塔のスフィンクス》、6ターン目に5/5《紺碧のスフィンクス》といった具合に快調に航空戦力でのビートダウンをスタート。

数枚のディスカードの後になんとかゲームを始動したSohだったが、中村は《魂誓いの陪審/Soulsworn Jury》でクリーチャー・カウンター体制を築き、間もなく《不眠の晒し台》によって趨勢を決定的にした。

中村 2-0 Soh

Shuhei Nakamura

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一方その頃、11勝2敗ラインの大澤 拓也はこのラウンドにおけるIDを選択し、11勝2敗1分けとすることを選んだ。おそらく、大澤にとってキャリア初となるプロツアーサンデーが決まるであろうという雰囲気だ。

Takuya Osawa

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Saturday, May 6: 8:18 p.m. - Round 15 : 中村 修平(大阪) vs. Olivier Ruel(フランス)

by Keita Mori

Terry Soh(マレーシア)との血戦を制して15回戦のIDを予定していたはずの中村 修平(大阪)。しかしながら、ここでPairing(対戦組み合わせ)は非常な宣告を下した。

Vs. Olivier Ruel(オリヴィエ・ルーエル/フランス)。

そう。中村は悠々とIDするどころか……いま現在、世界でもっとも強い男であると言われているフランスの"Road Warrior"とのマッチアップを余儀なくされたのだ。

双方にとってまさしく必勝の、プロツアーサンデーをかけた一戦がふたたびはじまる。

Game 1

先行をとったOlivierが後手中村の印鑑を《撤廃/Repeal》でバウンスするというのがゲームのファーストアクション。Olivierはそのキャントリップで引き当てたタッパー、《妨害の公使/Minister of Impediments》を呼び出した。この凶悪なるシステムクリーチャーに対する打開策を見出せなかった中村は、第1ゲームを文字通りにこの一枚に完封されてしまうことになる。

中村も《ヘリウム噴射獣/Helium Squirter》、《紺碧のスフィンクス/Cerulean Sphinx》といった優良クリーチャーを展開していくのだが、どれもこれもタッパーに制御されてしまう類のものである。

Olivierは4マナの「移植」クリーチャー《細胞質の根の血族/Cytoplast Root-Kin》を呼び出してから、《ヴィダルケンの策謀者/Vedalken Plotter》を2/2に、《土を形作る者/Terraformer》を3/3に、《謎の幻霊/Enigma Eidolon》を3/3に、と「移植」全快でクリーチャー軍団を続々と配備。

中村も一縷の望みを託してタッパーの《木戸番スラル/Ostiary Thrull》を召喚したのだが、そこにグサリと突き刺さる《薄暗がりへの消失/Douse in Gloom》。GG。

Olivier 1-0 中村

Game 2

先行を掴み取った中村が、3ターン目に3/1《ケンタウルスの護衛兵/Centaur Safeguard》、4ターン目に0/4《尊い祖霊/Benevolent Ancestor》、5ターン目に《ヘリウム噴射獣/Helium Squirter》召喚と快調にスタートをきる。中村劇場開演。

Hour of Reckoning

中村のテンポ良いスタートに応じるべく、Olivierも《シラナの星撃ち/Silhana Starfletcher》、《シミックのぼろ布蟲/Simic Ragworm》、《土を形作る者/Terraformer》、《よろめく殻/Shambling Shell》、《虚無魔道士の番人/Nullmage Shepherd》といったクリーチャーたちを全力で戦場へ送り込む。ありていにいうなら、手札から脅威を惜しみなく展開していったというわけだ。

そして、3/3《ぼろ布蟲》で3/1《護衛兵》を相討ちに、《ヘリウム噴射獣》にむけて《撤廃/Repeal》を詠唱――とOlivierが盤面を本気で制圧にかかったところで、中村は懐に隠し持っていた得物を取り出した。

不意をつく一閃。中村が本当に狙っていたのは――少しでも多くのクリーチャーを《報いの時/Hour of Reckoning》で葬り去ることなのだ。

たった1枚のソーサリー呪文を被弾したことによって5体のクリーチャー失い、思わず悲鳴をあげるOlivier。一方で「かかったね」とばかりにニヤリと笑うのが中村だ。

かくも大掛かりな演出に成功した中村は、ここで満を持して大空に5/5フライヤーの《紺碧のスフィンクス/Cerulean Sphinx》を展開。ダメ押しとばかりに地上にタッパー《木戸番スラル/Ostiary Thrull》を置いてゲームを終わらせた。

中村 1-1 Olivier

Game 3

中村の術中にハマってしまったか、ここに来てOlivier Ruelは3ターン目に土地をプレイできないという立ち上がりをむかえてしまうこととなる。間違いなく、先ほどの《報いの時/Hour of Reckoning》というビッグプレイがゲームの流れを変えたのだ。

栄光のプロツアーサンデーを掴み取った中村 修平と大澤 拓也

一方の中村は印鑑を置いてから2/2飛行《自由風の乗馬兵/Freewind Equenaut》、3/3《ヘリウム噴射獣/Helium Squirter》、1/4《魂誓いの陪審/Soulsworn Jury》といった陣立てを用意する。快調だ。

それでも、なんとか印鑑から《シラナの星撃ち/Silhana Starfletcher》へとつないだOlivier Ruelは大空に4/4飛行の《モロイ/Moroii》を展開。しかし、これこそ中村の《不眠の晒し台/Pillory of the Sleepless》にとっては最高のターゲットだった。Olivierは毎ターンのアップキープに2点ずつのライフを喪失するという、とてつもない足枷をはめられてしまう。

ここで中村は勝負を決めにかかった。地上には4/3の《亡霊の首領/Revenant Patriarch》を、上空には5/5飛行の《紺碧のスフィンクス/Cerulean Sphinx》を召喚。さすがのOlivier Ruelも、もはや抵抗のすべをもたなかった。

かくして雄敵を堂々と討ち果たし、中村 修平はプロツアー・プラハの決勝ラウンドへと駒を進める。

Saturday, May 6: 9:02 p.m. - 様々な活路

by Keita Mori

5回のドラフトと15回戦にわたる試合を経て、それぞれのプレイヤーがそれぞれのやり方を見つけたようだ。

まずは八十岡 翔太(神奈川)のデッキリストをご覧頂きたい。

Shota Yasooka

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予選二日目の見事な追い上げによって最終順位を19位にまでもってきた若き鬼才のデッキリストで注目してもらいたいのは、そのマナベースだ。すべての色を供給可能という脅威の土地ラインナップであり、それをバックボーンに彼は4枚の、4種類のギルド魔道士をデッキに搭載しているのである。

実際に八十岡のマルチカラーストラテジーは大成功をおさめており、彼が意図したデッキ(上記のようなもの)を組み上げた場合はすべからく3連勝を飾っている。

間違いなく言えることは、様々な色のパワーカードをふんだんに使うというストラテジーが「アリ」だということだ。

しかし、八十岡のデッキを理解した上で、是非とも同時に注目していただきたいデッキリストがこれである。

Katsuhiro Mori

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われらが世界王者、森 勝洋(東京)は《森/Forest》9枚《山/Mountain》7枚というシンプルなマナベースによって最終ドラフトを2勝1敗でまとめている。

森は今回のプロツアー・プラハでは色マナトラブルにとにかく泣かされたということで、若干カードのクオリティが落ちてしまう可能性があるとしても、しっかりとしたマナカーブを描く純正2色デッキにアプローチするという方法論を見出したのだそうだ。

実際にサンプルであげたデッキは3連勝ではなく2勝1敗というパフォーマンスだが、森が赤緑純正2色デッキに挑戦した2回のドラフトをあわせると、通算5勝1敗という堂々の成績なのである。

 「自分が決めた2色以外のカードは、どんなゴッドレアが出ても、とにかく流すんですよ。そうすれば、自然と自分のやっている2色のカードは逆周りで流れてくるから」

と、世界チャンピオンはあえて基本に立ち返った協調理論、シグナル論を提唱する。

バウンスランドや印鑑といったマナ補正装置がコモンスロットから頻出するがゆえに、ともすると現在のRGD環境は混迷しがちである。さきほどの八十岡のデッキにしても、彼ほどの名手だからこそ強力なビックリ箱デッキへと仕上げているわけだが、ちょっとさじ加減を間違えると「紙の束」間違いなしという危うい内容である。また、どんなに上出来だったとしても色マナ事故のリスクは否定しがたく、初手のマリガンについても判断が難しい環境となっている。

Scab-Clan Mauler

森がプラハで実行した「赤緑純正2色作戦」に関していえば、実際にギルドパクトで「狂喜」というシステムを活かすためには第1パックの頃から仕込み――たとえば、3/3として《瘡蓋族のやっかい者/Scab-Clan Mauler》を機能させるために1マナの優良アタッカーをしっかり確保するとか――をしておく必要があり、自分自身が赤緑のカードをしっかりとおさえておけば、逆サイドから十分なカードが流れてくるという計算が見込める。

もっとも、八十岡のやり方がどうとか、森の方法論がどうとか言いたいのではない。なぜなら、彼らは彼らのやり方でともに成功しているからだ。

「色マナ事故で負けるのだけはもう我慢ならん」というモリカツの主張に賛同するプレイヤーも少なくないだろうし、「出来るだけ強いカードを使えるような努力をすべき」というヤソ流も魅力的である。

ただ、様々なストラテジーが許されるという豊かな環境が広がっているということだけは間違いない。

あなたにはあなたのソリューションが、おそらくあるだろう。

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