Day 2 Blog Archive

Posted in Event Coverage on September 18, 2008

By Wizards of the Coast

EVENT COVERAGE

  • by Daisuke Kawasaki
    Round 14: 森 勝洋(大阪) vs. 金子 真実(埼玉)
  • by Daisuke Kawasaki
    Round 13: 斎藤 友晴(東京) vs. 大礒 正嗣(長野)
  • by Atsushi Ito
    Round 13: 小室 修(東京) vs. 千葉 晶生(北海道)
  • by Yukio Kozakai
    Round 12: 森 勝洋(大阪) vs. 齋藤 友晴(東京)
  • by Daisuke Kawasaki
    Round 11: 三原 槙仁(千葉) vs. 仙波 恒太郎(千葉)
  • by Atsushi Ito
    Round 11: 斎藤 友晴(東京) vs. 金 民守(神奈川)
  • by Yukio Kozakai
    Standard Metagame Breakdown
  • by Keita Mori
    Undefeated Drafters: 仙波 恒太郎(千葉)と三原 槙仁(千葉)
  • by Yukio Kozakai
    Round 10: 栗原 伸豪(東京) vs. 三原 槙仁(千葉)
  • by Daisuke Kawasaki
    Round 9: 三原 槙仁(千葉) vs. 高橋 優太(東京)
  • by Keita Mori
    2nd Draft Pod#1 Side-B: ドラフトという名のミステリ
  • by Keita Mori
    2nd Draft Pod#1 Side-A: 激戦区
  • by Atsushi Ito
    Round 8: 中野 圭貴(大阪) vs. 高橋 優太(東京)
  • by Event Coverage Staff
    Info: Day 1 Blog Archive

Round 8 : 中野 圭貴(大阪) vs. 高橋 優太(東京)

by Atsushi Ito

世界選手権ベスト8プレイヤー、中野 圭貴いきなり余談であるが、今回の日本選手権二日目のPod1は極めて豪華なメンツである。7回戦終了時のスタンディングを上から8人見れば、それが誇張でないことが窺えるだろう。

強敵揃いの中でそれぞれの才能がどのような立ち回りを見せるのか、後ほどこのPod1のピックの模様をフィーチャーした記事も掲載される予定だが、ここではその中でも注目の、中野 対 高橋の戦いの模様をお伝えしよう。

中野のデッキは赤黒タッチ青。赤青、青黒といったシンボルの濃いハイブリッドのクリーチャーで何とか戦線をやりくりする構成に本人も「弱いですね」と意気消沈気味なのに対し、高橋のデッキは何と白単。かなりの成功ドラフトだったようで、「すごい強いです」と自信満々に語る。白単というと除去が少ない印象があるが、高橋はしっかり《損ない/Unmake》を2枚ピックしており、安定感抜群の仕上がりである。

Game 1

先攻は高橋。淡々とキープを宣言する高橋に対し、中野はマリガン。高橋は2ターン目に《純視のメロウ/Puresight Merrow》を召喚する。中野が《川の殺し屋、シグ/Sygg, River Cutthroat》をプレイするとこれには即座に《損ない/Unmake》をプレイし、《バレントンの岩山踏み/Barrenton Cragtreads》を召喚。これを中野が《炎の投げ槍/Flame Javelin》すると、高橋は返しで《幽体の行列/Spectral Procession》をプレイ。攻撃の手を緩めない。

中野の《汚れ背の匪賊/Scuzzback Marauders》は《至福の休息/Recumbent Bliss》で対処し、中野のライフは11まで落ち込む。《砂利エラの斧鮫/Gravelgill Axeshark》を召喚するが、高橋は既に2枚《純視のメロウ》の能力でリムーブしており、有効牌を引き続ける。

高橋が《光り輝く導師/Resplendent Mentor》を召喚すると、ここで中野が《炎の突き/Flame Jab》で《幽体の行列》トークンを2体処理しつつ、《カミソリひれの廃術士/Razorfin Abolisher》を召喚。高橋のアップキープ、《光り輝く導師》の能力でメロウをタップしてライブラリを2枚掘り進め、トークン1体でアタック。中野のライフは5、手札もわずか1枚。

さらに高橋は《砂利エラの斧鮫》に《鎖の呪い/Curse of Chains》をつけて、地上の膠着を許さない。中野は《泥騒ぎの略奪者/Mudbrawler Raiders》を召喚するのみ。高橋は《メロウ》+《光り輝く導師》のコンボでライブラリを掘り進め、2枚目の《損ない/Unmake》を引き当てて中野のライフを削りきった。

中野 圭貴 0-1 高橋 優太

Game 2

静岡、神戸、と国内グランプリを連覇した高橋 優太今度は中野が意地を見せる。《戦門のミミック/Battlegate Mimic》をプレイし、次ターンにはミミックのアタック後《川の殺し屋、シグ/Sygg, River Cutthroat》と《炎の突き/Flame Jab》本体1点でドローを進めるいい回り。高橋はミミックに《鎖の呪い/Curse of Chains》をつけてこれ以上ドローさせまいとするが、中野は《煤歩き/Sootwalkers》を召喚して攻め手を緩めない。

なんとか《シグ》のドローを止めたい高橋だがここで召喚するのは《バレントンの岩山踏み/Barrenton Cragtreads》・・・白単だからしょうがないとはいえ、白い生物ではブロッカーにならない。中野はさらに《閉じ顎の噛みつき/Lockjaw Snapper》を召喚する。

しかし高橋はここで起死回生の《神格の鋼/Steel of the Godhead》でダメージレース勝ちを目論む。ブロッカーに《薬の走り手/Medicine Runner》を召喚してターンエンド。中野は返しのターンに少考すると、《燃えさしの突風/Ember Gale》をプレイして6点アタックを叩き込み、《シグ》で更なるドローを求める。だが返しの高橋の「絆魂」アタックで5点ゲインされ、根本的な解決にならない。

高橋が《枝角のスカルキン/Antler Skulkin》を召喚すると、中野は《荒廃の鎌/Blight Sickle》を《閉じ顎の噛みつき》に装備させ、《煤歩き》との2体アタック。これを高橋がスルーして、返しの高橋のアタックで中野のライフは2まで落ち込む。さらに高橋が《スプリングジャック飼い/Springjack Shepherd》で4体の《ヤギ》トークンを生産する。

あわやエンチャント(オーラ)でイージーウィンというところで、中野はようやく《炎の投げ槍/Flame Javelin》+《炎の突き》回顧で《神格の鋼》つき《バレントンの岩山踏み》を対処し、ここで《川の殺し屋、シグ/Sygg, River Cutthroat》がその真価を発揮する。

中野はまず《ノッグルの山賊/Noggle Bandit》をプレイ、高橋の《光り輝く導師/Resplendent Mentor》を一旦放置して、2体目の《煤歩き》を戦線に追加。《シグ》が、展開を加速させる。

高橋は《純視のメロウ/Puresight Merrow》を召喚して、《導師》とのコンボでドローを有効牌に絞ろうと試みるが、中野は《炎の突き/Flame Jab》の回顧を連打して《導師》を除去し、《墨深みの浸透者/Inkfathom Infiltrator》を召喚。《シグ》の毎ターン2ドローと《炎の突き》が噛み合って、中野のドローは常に確実なリソースとなる。

ようやく高橋が《シグ》を《損ない/Unmake》した頃には、中野の7点クロックが、高橋の一時は35もあったライフを9まで削っていた。中野のライフは依然2のままなので高橋は《節くれの彫像/Gnarled Effigy》で何とか隙間をこじあけようとするが、中野は次々とクリーチャーを展開してライフ2を削らせない。

高橋が《煤歩き》を《枝角のスカルキン》で、《墨深みの浸透者》を《節くれの彫像》で処理するも、《ノッグルの山賊》のアタックで高橋のライフが6になると、中野は《裏切り者の咆哮/Traitor’s Roar》を共謀でプレイし、《炎の突き》回顧と併せて高橋のライフはついに0になった。

中野 圭貴 1-1 高橋 優太

Game 3

Glamer Spinners
高橋が先攻、お互いマリガンなし。両者とも3ターン目までクリーチャーを召喚せず、高橋の《レイヴンの地の竜騎兵/Raven’s Run Dragoon》召喚でゲームが動き始める。

返しで中野は《泥騒ぎの略奪者/Mudbrawler Raiders》。これを高橋が《至福の休息/Recumbent Bliss》して3点クロックを作る。中野の《閉じ顎の噛みつき/Lockjaw Snapper》も《損ない/Unmake》し、《安寧砦の精鋭/Safehold Elite》を追加してこのままビートダウンしきる構え。

中野は《ワンダーブラインの根切り/Wanderbrine Rootcutters》《戦門のミミック/Battlegate Mimic》で防御を固めようとするが《レイヴンの地の竜騎兵》が止まらない。さらに高橋は《収穫のグウィリオン/Harvest Gwyllion》を盤面に追加する。

中野が《荒廃の鎌/Blight Sickle》を《戦門のミミック/Battlegate Mimic》に装備すると、今度は《収穫のグウィリオン》がアタックにいく。これをブロックしてしまうと《レイヴンの地の竜騎兵》を止める見込みがなくなるため、中野はスルーせざるをえない。

ここで中野がブロッカーとして《汚れ背の匪賊/Scuzzback Marauders》を召喚し、《荒廃の鎌》を《ワンダーブラインの根切り》に移し変え、ばっちり守りを固めてターンエンドのはず・・・が、エンド前に高橋が予想外の《魔法を回す者/Glamer Spinners》を召喚して《至福の休息/Recumbent Bliss》を移し変え、返しのアタックで中野にブロック強制をはかる。

中野のライフは3まで落ち込み、《魔法を回す者》はなんとか《炎の投げ槍/Flame Javelin》したものの、高橋が《バレントンの岩山踏み/Barrenton Cragtreads》を召喚すると、赤いクリーチャーばかりでブロッカーがいない中野はカードを片付けた。

中野 圭貴 1-2 高橋 優太

Final Results: 高橋 優太の勝利!

2nd Draft Pod#1 Side-AB

by Yukio Kozakai

中村 修平の第1パックどこを切ってもネームバリューばかり。取材する側からすると素材が素晴らしすぎて何をどうピックすればいいのかわからなくなるくらいテーマに満ち溢れていた第1ポッド。その中から、現在年間最優秀プレイヤーレース、いわゆるPoYレースで独走態勢を築きつつある中村 修平(大阪)と、昨年度新人王の渡辺 雄也(神奈川)が隣り合ったことから、この2人にスポットライトを当てつつ、ピックを中心に話を進めて行きたいと思う。

いわゆる上家が渡辺、下家が中村という図式だ。

中村 修平

Pack 1
《魔法を回す者/Glamer Spinners
《痕跡焼き/Burn Trail
《ボガートの放火魔/Boggart Arsonists
《泥騒ぎの群勢/Mudbrawler Cohort
《バレントンの岩山踏み/Barrenton Cragtreads
《虹跡のメロウ/Prismwake Merrow
《錆び剃刀の解体者/Rustrazor Butcher
《威嚇者の信徒/Intimidator Initiate

Pack 2
《悲嘆の暴君/Grief Tyrant
《ぼろ布食いの二人組/Tattermunge Duo
《怒りの反射/Rage Reflection
《暗黒のマントル/Umbral Mantle
《泥騒ぎの略奪者/Mudbrawler Raiders
《魅了縛りのカカシ/Lurebound Scarecrow
《燃えさしの突風/Ember Gale
《煤の焚きつけ屋/Sootstoke Kindler

Pack 3
《穿刺破/Puncture Blast
《炉火のホブゴブリン/Hearthfire Hobgoblin
《穿刺破/Puncture Blast
《燃えがらの紅蓮術士/Cinder Pyromancer
《戦門のミミック/Battlegate Mimic
《心臓鞭の燃えがら/Heartlash Cinder
《裏返し/Inside Out
《不本意な徴募/Unwilling Recruit

渡辺 雄也

豪華な卓Pack 1
《小走り犬/Scuttlemutt
《憂鬱の槍/Gloomlance
《夢への委託/Consign to Dream
《腐食する導師/Corrosive Mentor
《ぼろ布食いの二人組/Tattermunge Duo
《墨深みの魔女/Inkfathom Witch
《殴りハエの蔓延/Blowfly Infestation
《腐食する導師/Corrosive Mentor

Pack 2
《墨深みの魔女/Inkfathom Witch
《萎れ葉のしもべ/Wilt-Leaf Liege
《墨深みの魔女/Inkfathom Witch
《川の掌握/River’s Grasp
《フェアリーの忌み者/Faerie Macabre
《遅鈍の塵/Torpor Dust
《バレントンの衛生兵/Barrenton Medic
《恐君主の兜/Helm of the Ghastlord

Pack 3
《蛇変化/Snakeform
《腐敗する渇き/Cankerous Thirst
《魂の刈り取り/Soul Reap
《裂き爪のトロウ/Rendclaw Trow
《忍び寄るハッグ/Stalker Hag
《羽軸トゲ/Quillspike
《タララの苦悩/Talara’s Bane
《ウーナの寵愛/Oona’s Grace

Puncture Blast

ご覧の通り、綺麗に棲み分けが出来ている。渡辺が黒タッチ青で、中村が赤単というドラフティング。双方に話を聞いてみると、どちらもイマイチという感想だ。互いに協調はしたのだが、どうしてこのような結果になったのか。まずは中村に話を聞いてみた。

―――パッと見た感じ、強めな赤単という印象を受けるが。特にイーブンタイドで《穿刺破/Puncture Blast》2枚を押さえられたのは大きいのでは

中村 「あれだけわかりやすいサインを出しまくってたので、《穿刺破》に関してはわかってもらえてたかなと......ただ、白行けば良かったかな。ナベ(渡辺)がやってると思ったから手出さなかったんだけど」

中村 「2パック目で喧嘩しとけば良かったですね。最終的にデッキが1枚足りないんですよ。なので、デッキとしてはまあまあって線に落ち着いちゃってます」

単色にまとめた方が安定も増すし、上の渡辺からは赤いカードはほぼ確約で流れてくる。渡辺が白いと考え、2パック目で思い切った攻めに転じきれなかった点に悔いが残ると、中村の談。一方の渡辺は、実は卓上の黒いカードを独占していたのだが......

渡辺 「見ての通りですね。どうしましょうか、これ?」

―――うまく黒のカードが流れてきてはいたが

渡辺 「2パック目の流れがすごく良くて、黒いカードがいっぱい手に入ったんですけど、正直3枚も《墨深みの魔女/Inkfathom Witch》いらないですよ。2枚目まではうれしかったんですけど」

―――スペルは強いですね

渡辺 「そうですね。それでどれだけクリーチャーの線の細さをカバーできるかどうかですね。《忍び寄るハッグ/Stalker Hag》とかが最大サイズですから」

―――1パック目の5手目で《ぼろ布食いの二人組/Tattermunge Duo》をピックしていたが、緑という意識はあったか

渡辺 「ありました。青黒をやりたいなって思っていて、1パック目の3手目で《夢への委託/Consign to Dream》に行ったのが結果的にミスピックでした。こだわり過ぎたかも知れません。緑やってれば良かったですね」

―――勝ちパターンは見えるデッキである

渡辺 「細いですけど、いくつかパターンはありますよね。《恐君主の兜/Helm of the Ghastlord》とか《燃えがらもやの卑劣漢/Cinderhaze Wretch》で手札破壊し尽くすとかですけどね。あとは、2パック目で上に白を流しすぎたんでそれが怖いですかね」

渡辺が白を流し過ぎたといい、中村は渡辺が白をやっていると考えていた。お互いが協調し過ぎたがゆえに起こってしまった行き違いと、パックの出で黒が極端に薄いという要素と2パック目で白の出が良かったことも相まって、なかなか起こりにくいことだが2人のさらに上の小山 健太(大阪)に白が集まる結果となった。(別項の記事で紹介されているが、2人の下家である三原 槙仁(千葉)は緑をかき集めることに成功している)

渡辺 「デッキとしては40点。もうこれは1勝出来ればいいですよ。2勝したら泣いて喜びます」

小山 健太

Mistmeadow Witch

Pack 1
《ミストメドウの魔女/Mistmeadow Witch
《純視のメロウ/Puresight Merrow
《神格の鋼/Steel of the Godhead
《献身のドルイド/Devoted Druid
《シスルダウンの二人組/Thistledown Duo
《審問官の罠/Inquisitor’s Snare
《ゴンドの存在/Presence of Gond
《屑鉄カゴ/Scrapbasket

Pack 2
《禁固刑/Prison Term
《畏敬の神格/Godhead of Awe
《バリーノックのわな師/Ballynock Trapper
《バレントンの岩山踏み/Barrenton Cragtreads
《今わの際/Last Breath
《幽体の行列/Spectral Procession
《キスキンの盾挑み/Kithkin Shielddare
《キスキンの扇動者/Kithkin Rabble

Pack 3
《二度裂き/Double Cleave
《至福の休息/Recumbent Bliss
《炉火のホブゴブリン/Hearthfire Hobgoblin
《戦門のミミック/Battlegate Mimic
《キスキンの呪文塵撒き/Kithkin Spellduster
《キスキンの盲信者/Kithkin Zealot
《収穫のグウィリオン/Harvest Gwyllion
《ちらつき鬼火/Flickerwisp

ラウンド8が終わる頃、渡辺に呼び止められた。

渡辺 「やりましたよ! 1勝しましたよ!!」

結果、渡辺は「泣いて喜ぶ」2勝1敗。プレーオフ進出へ、大きく弾みをつけた。そして中村はまさかの3連敗で上位戦線の圏外へと大きく後退することとなってしまった。

島の半分という流れで追記すると、小山が1勝2敗、栗原 伸豪(東京)(青白+赤)が2勝1敗だった。

2nd Draft Pod#1 Side-B

by Daisuke Kawasaki

二人の世界王者を含む強豪ぞろい、白熱の第1ポッド日本選手権初日のトピックとして、何を置いても、取り上げるべきは、やはり上位層のメンバーの濃さであろう。

個人的には、スタンダード9点、ドラフト9点で9位という昨年末の世界選手権を思い出させるような「神」こと金子 真実(埼玉)の奇蹟の再来にも興味はある。

だがしかし、やはり、同じ昨年末の世界選手権でトップ8に入った「帝王」森 勝洋(大阪)と、「スカージ」中野 圭貴(大阪)が同じポッドの、さらに上下に並んで座ると聞いてしまっては、これは嬉しくて飛び出していかないわけにはいかない。

この初日上位8人で構成された第1ポッドは、森・中野の両名の他にも、昨年度ルーキーの渡辺 雄也(神奈川)と中村 修平(大阪)のサンディエゴツーヘッドコンビや、国内グランプリ2連覇の高橋 優太(東京)プロツアージュネーブトップ8の栗原 伸豪(東京)の”Wrath of God of KJ”コンビ、そして、2006年世界王者の三原 槙仁(千葉)とタレント揃いとなっている。したがって、このポッドのピックを追いかけ、全体として何が起こっていたかをフーチャーしようと相成ったわけだ。

昨年のニューヨークで、森・中野両名のプレイに魅せられた身としては、是非にとこのふたりのピックをフィーチャーさせていただくことにした。

さらに、「帝王」モリカツの上は「魔王」三原と、世界チャンピオンが並んでいるというのも見逃せないだけに、この3人のピックを併せて追いかけさせていただきたいと思う。

ひとりの人間のピックを追いかけるだけでは見えてこないような謎や驚きも、全体を見渡すことで見えてくることも多い。是非、このドラフトという名のミステリを読み解いていこう。

■1st Pack(シャドウムーア)

1st Pack Makihito Mihara Katsuhiro Mori Yoshitaka Nakano
1 Heartmender Deus of Calamity Flame Javelin
2 Puncture Bolt Flame Javelin Mudbrawler Raiders
3 Hungry Spriggan Witherscale Wurm Sootwalkers
4 Medicine Runner Farhaven Elf Sootwalkers
5 Raven's Run Dragoon Elemental Mastery Inkfathom Infiltrator
6 Juvenile Gloomwidow Woodfall Primus Ember Gale
7 Safewright Quest Gleeful Sabotage Oona's Gatewarden
8 Devoted Druid Dramatic Entrance Gravelgill Axeshark

白熱するドラフトさて、まずは運命のファーストパック。

ここで注目したいのは、森が赤の強力火力である《炎の投げ槍/Flame Javelin》を中野に流しつつ、赤緑混成の強力レア《災難の大神/Deus of Calamity》をピックしていることである。

中野のファーストピックが《炎の投げ槍》であったこともあり、ここで喜んで《炎の投げ槍》をキャッチした中野ではあったが、コレが森の罠。森がこのまま緑メイン、もしくは緑単色まで突っ走ってくれれば中野としては申し分の無かった所なのだが、森はきっちり2手目で《刺す稲妻/Puncture Bolt》をピックし、むしろ赤よりのドラフトをはじめてしまう。

しかし、ここで森が緑にいけなかったのも当たり前の話で、三原は初手《心臓癒し/Heartmender》、2手目《大霊の盾/Shield of the Oversoul》と、白緑混成をピックしている。

三原 「できれば青白でいきたかったんですけどねぇ」

と、序盤は、これらのカードの「白い」サイドを見てピックしていた三原ではあったが、3手目での《飢えたスプリガン/Hungry Spriggan》のピックから一気に緑に寄せていく。

結果、森は満足な緑のカードを中盤以降手にいれることができずに、《精霊術の熟達/Elemental Mastery》などのこぼれてきた赤のカードをピックしていくこととなった。

中野は、2枚の《煤歩き/Sootwalkers》という基本的なビートクリーチャーを確保し、メインカラーとしての赤は固めつつあるものの、5手目ですでにピックするカードが無く、しかたなく《墨深みの浸透者/Inkfathom Infiltrator》をピックすることで、赤黒、もしくは赤青への渡りをつけることとなる。

■2nd Pack(シャドウムーア)

さて、環境でも屈指の制圧力を持つ《大霊の盾》をピックしたこともあり、このシャドウムーアで緑白系のカードをかき集めておきたい三原。

三原 「できあがったデッキですか...ちょっとクリーチャーが少ないですねぇ。《野リンゴの群勢/Crabapple Cohort》や《安寧砦の精鋭/Safehold Elite》がもう少しとれていれば...」

さぁ、答えがわかっているミステリーほど退屈なものはない。三原がこの言葉を発さなければならなかった原因を2パック目のピックから探ろうじゃないか。

1 Howl of the Night Pack Murderous Redcap Scuzzback Marauders
2 Shield of the Oversoul Tatterkite Sygg, River Cutthroat
3 Curse of Chains Safehold Elite Ashenmoor Gouger
4 Watchwing Scarecrow Rhys the Redeemed Scuzzback Marauders
5 Barkshell Blessing Lurebound Scarecrow Mudbrawler Raiders
6 Rune-Cervin Rider Safehold Elite Blight Sickle
7 Gleeful Sabotage Crabapple Cohort Lockjaw Snapper
8 Gloomwidow's Feast Devoted Druid Whimwader

ごらんの通り、1パック目で緑のカードを確保できなかった森が、ここで一気に三原のほしい緑のカードを確保している。これでは、三原が十分な緑のカードを確保できなかったのも当然の話だ。ミステリーもクソもない。

とはいえ、初手の《夜の群れの雄叫び/Howl of the Night Pack》と2手目の2枚目となる《大霊の盾》はゲームを決定づけるカードであるし、タッチ白で使用可能な飛行クリーチャー《ルーン鹿乗り/Rune-Cervin Rider》もピックできている。特に、この手の白系のカードは森・中野ともに触れることができないため、単色気味でタッチ色を選ぶ猶予のある三原としてはおいしい所だっただろう。

では、ここで一番上となり、なんとか挽回したい中野はどうかというと...《川の殺し屋、シグ/Sygg, River Cutthroat》や《アッシェンムーアの抉り出し/Ashenmoor Gouger》のような部分的なパワーカードは手にいれているものの、全体的にここのパックでの赤の出が悪かったのか、どうしてもデックを支えるレベルのカードを手にいれられなかった印象がある。

この中野の不運のミステリーは、実はほぼ対面の中村がカギを握っていたりするのだが、それはまたこれと別の話。両サイドのピック譜がほぼ公開される形になるので、読者の皆様にこの謎は解いていただきたい。

なんにしろ、赤緑の森を中心として、中野が赤、三原が緑をかぶる形になり、それがしかもちょうど森が上になるタイミングでカードの流れが来るというシャドウムーアの流れとなった。

はたして、この展開が対抗色の世界イーブンタイドでどのような影響となってでてくるのだろうか。

■3rd Pack(イーブンタイド)

1 Recumbent Bliss Shorecrasher Mimic Flame Jab
2 Snakeform Fire at Will Noggle Bandit
3 Woodlurker Mimic Duergar Mine-Captain Razorfin Abolisher
4 Rendclaw Trow Flame Jab Battlegate Mimic
5 Aerie Ouphes Bloom Tender Battlegate Mimic
6 Bloom Tender Chaotic Backlash Dream Thief
7 Woodlurker Mimic Duergar Cave-Guard Riverfall Mimic
8 Swirling Spriggan Shell Skulkin Cache Raiders

ここで各人デックを完成形へとまとめていかなければならないのだが、しかし、この森を中心とした団子状態からはなかなか各人抜け出せない。

また、森はこの時点で、シャドウムーア3つはともかく、イーブンタイド後のドラフトでの経験が非常に乏しかったという。

 「カード読むのが追いつかなかったよ」

直前にイーブンタイドのハンドブックで一夜漬けする「帝王」モリカツ現に、初手で《岸砕きのミミック/Shorecrasher Mimic》をピックしているものの、実はここには森がすでにピックしている《献身のドルイド/Devoted Druid》と無限コンボを成立させ、数多く持つ頑強軍団ともシナジーを形成する《羽軸トゲ/Quillspike》があったのだが、そのカードパワーに気がつかず、スルーしてしまっている。

せめて《羽軸トゲ》に気がついていれば、中盤を支えるカードに欠ける森のデックを大幅に強化できたことを考えると、「マジックはセンス」という帝王名言録が思い出されてしまう。

ただ、パックの流れに恵まれたこともあり、森はなんとか赤緑のデックをまとめ挙げることに成功した。

一方で、中野は、この時点でデッキをほぼ赤青に絞ってなんとか青系のカードを集めようと考えていたが、しかし、まったくカードに恵まれなかった。

中野 「ミミックですか?大嫌いですよ」

というほどに嫌いなミミックを。、4手目5手目という比較的早い順目で連続してピックしなければならないほどカードの流れに恵まれなかった中野は、結果、赤青黒の3色デックを構築することとなる。

なお、中野のデックで黒単色のカードはまったく存在せず、青黒混成と赤黒混成のカードのマナバランスを調整するためだけに《沼》が入れられている。

シャドウムーア環境のドラフトで2色デックを作った場合に、3色目でマナバランスを調整するというテクニックは覚えておいても損は無いだろう。

最後に三原だが、このイーブンタイドの時点で、三原・森のダブルブロックによって、卓内に緑のカードが行き渡らなかった関係もあって、結果ここのふたりだけが緑を使用していたこともあり、かなり遅い順目まで強力なカードをピックすることに成功している。

特に、対抗色フィーチャーのイーブンタイドで緑と対をなすことになる黒が、環境全体で不人気であることも踏まえると、かなりの優良ポジションに位置取ることができたといえるだろう。もちろん、2nd Packでの森のピックしたカードがあれば...と思わないでもないが、それでも3勝をねらえる緑単タッチ白のデックが完成した。

さて、ここまで3人のピックの流れを見てきて、わかることがひとつある。

三原が緑単。

森が赤緑。

中野が赤青(黒)。

おや、ひとつ色が足らないではないか。

そう、彼らの下のプレイヤーは、真っ白なのである。

  1st Pack 2nd Pack 3rd Pack
1 Spectral Procession Puresight Merrow Recumbent Bliss
2 Barrenton Cragtreads Safehold Elite Snakeform
3 Curse of Chains Glamer Spinners Unmake
4 Puresight Merrow Steel of the Godhead Nightsky Mimic
5 Turn to Mist Gnarled Effigy Restless Apparition
6 Medicine Runner Barrenton Medic Unmake
7 Raven's Run Dragoon Sootwalkers Edge of the Divinity
8 Chainbreaker Witherscale Wurm Springjack Pasture
9 Kithkin Shielddare Roughshod Mentor Soul Reap
10 Pale Wayfarer Safewright Quest Harvest Gwyllion
11 Kithkin Shielddare Viridescent Wisps Antler Skulkin
12 Last Breath Nurturer Initiate Favor of the Overbeing
13 Smash to Smithereens Smolder Initiate Favor of the Overbeing
14 Mana Reflection Poison the Well Raven's Crime
15 Drowner Initiate Ashenmoor Cohort Tilling Treefolk

そのプレイヤーが「不屈のストイシズム」高橋 優太である。

高橋のピック全リストを是非見て貰いたい。

まず、布石として、高橋は1st Packで初手に《幽体の行列/Spectral Procession》をピックすることで、白にねらいを定め、その後の白の流れで白単を確信し、下に白が行かないように、白いカードを精力的にカットしている。

結果として、序盤に高橋がうち漏らした白いカードを手にいれた直下以外に白が卓内に存在しないという状況を確立することに成功している。1パック目の12手目にある《今わの際/Last Breath》がその証左である。

そして、なによりその結果があらわれているのがイーブンタイドだ。

なんと、万能除去であり、環境最強除去である《損ない/Unmake》が6手目でピックできているのだ。

この白黒混成3マナのスペルは、タッチで白を使っている三原にも、マナ調整で黒を使っている中野にもなかなかピックできるようなカードではない。

とはいえ、このカードと一緒に高橋の元へは、《永久モズ/Evershrike》《ちらつき鬼火/Flickerwisp》といった白のパワーカードが流れてきて思わず目移りしてしまうほどのパックだったというのだ。

じゃあ、果たして、このパックから各人が何をピックしていたかを逆算することで、この記事の〆としたい。

三原:《森潜みのミミック》

森:《炎の突き》

中野:《戦門のミミック》

なんたるミステリー。

Feature Match: Round 9

by Daisuke Kawasaki

「魔王」三原 槙仁、ただいま無敗日本で初めてのプロツアーであるプロツアー東京。

その予選ラウンド14戦を、14連勝でフィニッシュした伝説の男がいる。

それが、ライアン・フューラー(カナダ)である。

14連続で勝利というのも、驚きのエピソードではあるが、しかし、もっとも驚くべき部分は、「14戦すべてを戦った」という事実である。通常、勝ち数によって、早い段階でトップ8進出の得点が確定し、ID(同意の上での引き分け)などが発生したりするのが常なのだが、フューラーは、そのような行動を潔しとせず伝説へと挑戦したのである。

そんなフューラーの伝説にあこがれてか、いつしか予選ラウンド全勝というのはある種の「幻のステータス」とされ、全勝中のプレイヤーは「ライアンチャンス」中と呼ばれたりするようになった。

例えば、斎藤 友晴(東京)もライアンチャンスに挑戦したことがあるし、今大会で「歴史と伝統の男」浅原 晃(神奈川)も「またライアンチャンス失敗しましたわ...」とがっくりしていたのが印象深い。

そして、今大会でなおも「ライアンチャンス」を継続している男がいる。

それが「魔王」三原 槙仁(千葉)だ。

初日全勝単独ポールポジションを決めた上で、この二日目のドラフトでもみごと初戦を制している。

そんな三原のライアンチャンスを押しとどめるべく刺客として送り込まれたのが、「不屈のストイシズム」高橋 優太(東京)である。

三原が最近根城としている千葉近辺のコミュニティが「魔界」と呼ばれているとすれば、高橋はそのグランプリでの成績から「魔界ハンター」とも呼ばれている。

まさに、三原のライアンチャンスを終了させるにはピッタリの人選であろう。

果たして、三原は「魔界ハンター」の妨害をものともせずに、ライアンチャンスを継続できるのだろうか?

三原のデックは緑単タッチ白、高橋のデックは白単である。

なお、このふたりのデックについては、別途詳しくピックが解説された記事もあるので、そちらを参考にしていただきたい。

Game 1

先手は高橋。

お互いにほとんど単色といえるデックだけに、土地さえあればと、両名ともにキープを選択。

高橋が2ターン目に《薬の走り手/Medicine Runner》をキャストし、クロックを用意すると、三原は《花を手入れする者/Bloom Tender》をキャストし、マナを加速する。

そして、この加速されたマナから三原がキャストしたのが、やはりというか、一回り大きい《レイヴンの地の竜騎兵/Raven’s Run Dragoon》。そして、これに即《大霊の盾/Shield of the Oversoul》がエンチャントされ、5/5飛行破壊されないという無双生物が誕生してしまう。

高橋は4ターン目に《節くれの彫像/Gnarled Effigy》をキャストしていたため、「破壊できない」に最終的には対処ができると言えばできるのだが、しかし、この屈強なクロックを前に、毎ターン4マナを使いながら5ターン粘りきることは不可能に近い。したがって、何らかの解決策が他に必要である。

三原は意気揚々と、《レイヴンの地の竜騎兵/Raven’s Run Dragoon》と《森潜みのミミック/Woodlurker Mimic》でアタックする。

そこで高橋がキャストしたのが、《魔法を回す者》。この能力によって《大霊の盾》をフェイタルな《レイヴンの地の竜騎兵》から比較的無害な《花を手入れする者》へと付け替えることに成功する。三原は《渦巻くスプリガン/Swirling Spriggan》をコントロールしているため、いつでも白緑の両方の特性を獲得できるものの、《レイヴンの地の竜騎兵》にエンチャントされているよりはいくらかマシな上に貴重なターンも稼げている。

これで、一安心...と思いきや、魔王が使役したのは2枚目の《大霊の盾》。またもフェイタルな無双生物が登場する。だが、高橋も魔界ハンターとして知られる男。この《レイヴンの地の竜騎兵》を《霧への変化/Turn to Mist》でゲームからリムーブし、エンチャントされていた《大霊の盾》を墓地にたたき込む。

しかし、結局高橋が対処しているのは、個々のカードにすぎない。三原の脇のクリーチャーである《森潜みのミミック》や《渦巻くスプリガン》は着々とダメージを重ね続けている。

《バレントンの衛生兵/Barrenton Medic》がブロックした《渦巻くスプリガン》に《樹皮殻の祝福/Barkshell Blessing》が打ち込まれると、高橋は続くゲームに向けて気持ちを切り替えた。

三原 1-0 高橋

Game 2

「不屈のストイシズム」高橋 優太先手高橋は、2ターン目《純視のメロウ/Puresight Merrow》をキャストというまずまずのスタート。対する三原のアクションは...2ターン目にディスカード。

そう、三原は、土地1枚の初手をキープし、そのまま土地を引かなかったのだ。

三原が2枚・3枚とディスカードを続ける間に、高橋は《安寧砦の精鋭/Safehold Elite》《スプリングジャック飼い/Springjack Shepherd》と続ける。

なんとか、2枚目の《森》をドローし、《花を手入れする者》をキャストする三原だが、その《花を手入れする者》には当然のごとく《損ない/Unmake》が打ち込まれたのだった。

三原 1-1 高橋

Game 3

先手の三原は、《薬の走り手/Medicine Runner》《森潜みのミミック》と順調に2マナ域のクロックを展開するが、またも土地が2枚でストップする。

高橋は、3ターン目にキャストした《純視のメロウ》で《森潜みのミミック》を討ち取ると、《レイヴンの地の竜騎兵》をキャスト。コレによって、三原の攻勢は一時停止してしまう。

だが、2ターン遅れて3枚目の土地を引き当てた三原は、運良く生き残っていた《薬の走り手》に《大霊の盾》をエンチャント。ライアンチャンスに王手をかける。

しかし、高橋もだてに魔界ハンターではない。

《薬の走り手》には《鎖の呪い/Curse of Chains》がエンチャントされ、《心臓癒し/Heartmender》には《損ない》と完全に対処されてしまう。さらに《バレントンの衛生兵》まで場に追加する。

三原も負けじと《高層のアウフ/Aerie Ouphes》《エルフの集団/Drove of Elves》《裂き爪のトロウ/Rendclaw Trow》と盤面を固めにかかる。

高橋は《レイヴンの地の竜騎兵》に《御身の刃》をエンチャントしてさらにダメージを重ねるが、ここで三原は必殺といえる共謀での《上機嫌の破壊/Gleeful Sabotage》で、《御身の刃》《鎖の呪い》と破壊し、カードカウントでもボードでもアドバンテージを獲得する。

だが、破壊されない《薬の走り手》は《損ない》で対処され、なおも三原に《レイヴンの地の竜騎兵》がダメージを重ねる。

ついに三原のライフは2。

しかし、ここで三原は《夜の群れの雄叫び/Howl of the Night Pack》でトークンを4体生みだす。まさに一挙逆転の一打。

三原は、2枚目の《大霊の盾》を《裂き爪のトロウ》にエンチャントし、さらに場に貴重な航空戦線である《ルーン鹿乗り/Rune-Cervin Rider》を追加する。

これで、ほぼ詰みとなった高橋。三原は、その詰み将棋を間違えないように、きちりとダメージを積み重ね、残りターン数を計算する。

高橋 「ひけば勝てるカードが1枚だけある」

そのカードは《神格の鋼》。だが、ドローは無情にも別のカード。少考の後に高橋は手札を残したままターンを返す。

三原は、最後のターンに、様々な状況を考えた上で、最終的に「しらねぇ」とすべてのクリーチャーでのアタックを敢行する。

高橋 「ファイナルアンサー?...おっし、逆転があるかもしれない」

高橋の手札は《平地》。

当然逆転は無く、得意の負け惜しみであった。

三原 2-1 高橋

魔界ハンター高橋をもってしてもとめられい三原のライアンチャンス。

はたして、この快進撃をとめるのは誰か。

Round 10 : 栗原 伸豪(東京) vs. 三原 槙仁(千葉)

by Yukio Kozakai

ただひとり全勝街道をつきすすむ三原ここまでただ1人の全勝である三原 槙仁(千葉)。彼が日本選手権で大型連勝を遂げるのは、これが初めてのことではない。三原は2005年の日本選手権、開幕のスタンダードで3連敗を喫し、もう1敗も出来ないという状況で残りのラウンドに11連勝し、見事3日目進出を果たしたというエピソードの持ち主である。その勝ちっぷりに、筆者は三原を「ブルドーザー」と表現したのを鮮明に記憶している。

さらに、日本選手権での三原の勝負強さは3度のプレーオフ進出という実績が証明している通り。まさに日本選手権男なのだ。今年のマジックを語る上で外せないキーワードとなった「千葉コミュニティ」に、さらにタイトルを持ち帰る気満々である。

――「このまま14連勝すると豪語してたらしいじゃないですか」

三原 「え? 17連勝の間違いじゃないですか?」

まったくもって、やりかねない勢いである。

栗原 伸豪(東京)もまた、GPマニラのベスト8から好調を維持している。社会人となって練習時間の確保が難しいと言いながらも、今シーズンも参加するイベントでは着実に結果を残してきた。

スタンディングを見ると上位陣に社会人プレイヤーの活躍が目立つ。そういう流れが出来てきたのだろうか。

Game 1

《森潜みのミミック/Woodlurker Mimic》《飢えたスプリガン/Hungry Spriggan》《レイヴンの地の竜騎兵/Raven’s Run Dragoon》とテンポ良く展開して前のめりにゲームを進める三原。栗原も《エレンドラ谷の大魔導師/Glen Elendra Archmage》《砂利エラの斧鮫/Gravelgill Axeshark》と頑強持ちで応戦し、《茨苺の群勢/Briarberry Cohort》《夢の盗人/Dream Thief》の飛行持ちで攻め上がる。

さらに《神格の鋼/Steel of the Godhead》を《砂利エラの斧鮫》にエンチャントした栗原は完全に制空権を取り、三原に先勝した。

栗原 伸豪 1-0 三原 槙仁

Game 2

栗原「そんなカードを突きつけるように出さんでも」

栗原が苦笑したのは、《守美者の探索/Safewright Quest》。三原は第1ゲームで真っ白なハンドをマナベースが真緑だったがゆえに生かせず、ほぼ一方的に敗れていたからだ。

しかし、今回は違う。《平地/Plains》を手に入れて《花を手入れする者/Bloom Tender》から《渦巻くスプリガン/Swirling Spriggan》《心臓癒し/Heartmender》とつなげてテンポを奪い、栗原は《ぬめるボーグル/Slippery Bogle》に《火の力/Power of Fire》をエンチャントして砲台を作って応戦し、《花を手入れする者》を排除。続けて《渦巻くスプリガン》には《禁固刑/Prison Term》と三原の足を止める。

だが今度は三原が制空権を取るべく、《心臓癒し》に《大霊の盾/Shield of the Oversoul》をエンチャントし、《高層のアウフ/Aerie Ouphes》を追加。一気の展開に栗原は対応しきれず、三原が星を取り戻した。

ここまで、わずか11分。

栗原 伸豪 1-1 三原 槙仁

Game 3

栗原 伸豪またも《花を手入れする者》《渦巻くスプリガン》から立ち上がる三原。栗原は4ターン目まで何も展開せず《引き霊気/AEthertow》を打ち込んで三原の足を止める。《渦巻くスプリガン》の効果で5色となり、《花を手入れする者》が都合3マナのブーストを果たす脅威のマナクリーチャーとなるのだ。

さらに《高層のアウフ》をプレイする三原に対し、栗原は同じく頑強持ちの《砂利エラの斧鮫》で合わせる。ならばと《裂き爪のトロウ/Rendclaw Trow》《薬の走り手/Medicine Runner》と数で押す三原。

栗原はこのアクションで三原がタップアウトしたのを見逃さず、《水浸し/Inundate》で三原の5体ものクリーチャーを一気にバウンスする。さらに《火の力》を《砂利エラの斧鮫》にまとわせて《花を手入れする者》を焼き払い、《上機嫌の破壊/Gleeful Sabotage》で割られれば2枚目を貼り直して《飢えたスプリガン》も焼殺。

しかし、ここから栗原はマナフラッド。三原は延々クリーチャーを引き続け、再び物量差がつき始めるともう栗原にひっくり返すことは出来なかった。

三原、お見事10連勝!!

栗原 伸豪 1-2 三原 槙仁

Final Results: 三原 槙仁の勝利!

Undefeated Drafters:

by Keita Mori

ドラフト7戦全勝、仙波 恒太郎(右)と三原 槙仁二つの異なるブロックによる7回戦という熾烈なブースタードラフト。全勝をおさめたプレイヤーは、会場内でも仙波 恒太郎(千葉)と三原 槙仁(千葉)の二人だけだった。同じ千葉勢、ともに柏市近辺に在住する「ご近所さん」でもあるという彼らの話に耳を傾けてみよう。

――ドラフト全勝おめでとうございます。ちょうどお二人はこの11回戦に直接対決をされたところで、ここで仙波さんが三原さんの全勝街道にまったをかけて、揃って10勝1敗での首位タイという戦績になりましたね。

三原 「ライアン(プロツアーで予選ラウンド全勝を記録したカナダのスーパースターRyan Fullerのこと)目指してたんですけどね(笑)」

仙波 「木曜の直前予選から勝ち上がってきたので、なんかちょっと出来すぎで怖いですね」

――それでは、お二方のそれぞれの全勝デッキについて、コメントをいただきたいと思います。日本選手権でドラフト戦勝をかざったリミテッダーについて、全国のデュエリストが注目していますから。

三原 「まいったなぁ(笑)」

仙波 「正直、そんなにたいしたものでもないんですけれどね」

Koutaro Senba

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Runed Stalactite

――まずは仙波さんのローウィン+モーニングタイドでの4-0デッキです。

仙波 「見ての通り、ド三色になっちゃっているんですよね。ただ、スペルがほとんど除去になっていますし、単体でのカードパワーという意味では悪くない感じだと思います」

――4回戦という長丁場(通常ドラフトは3回戦)を見越して、シナジーよりも単体でのカードクオリティを優先したという戦略なのでしょうか?

仙波 「多層になる装備品、《ルーン刻みの鍾乳石/Runed Stalactite》あたりを安くピックして、それで部族関連シナジーをつなげてみたりという工夫はしましたけどね。あと、《寓話の賢人/Sage of Fables》と《噛み付く突風、ウィドウェン/Wydwen, the Biting Gale》のコンボで、場に出ては自分で戻る、という具合にドローを進めたりもできますし」

――なるほど、とにかく部族シナジーを、という固定観念にとらわれなかったのが勝因といったところでしょうか?

仙波 「まあ、そうはいってもデッキがよくまわってくれたのが勝因でしょうね。見ての通り、何と言ってもランドが7、7、4ですし、部族も散っていますしね。でも、部族にこだわりすぎてカードの質が悪くなりすぎてしまうのも本末転倒でしょうね」

Makihito Mihara

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Wolf-skull Shaman

――続いて三原さんのデッキです。これはストレートな・・・

三原 「そうです。エルフの部族デッキですね。白青緑のどれか、部族で言うならキスキンかマーフォークかフェアリーかエルフかツリーフォークがやりたかったので、周囲からまわってくるカードをみて、素直にチャンスがあったエルフに進みました」

――このデッキで活躍したカードはどのあたりでしょうか?

三原 「構築でも良く見かける2マナ軍団、《レンの地の克服者/Wren’s Run Vanquisher》と《狼骨のシャーマン/Wolf-Skull Shaman》が強かったですね。ただただ強かった。これが2ターン目に出たら、かなり勝率はあがりますね」

――先ほどの、ドラフトしたかった部族、という件ですが、理由を教えていただけますか?

三原 「単純に、個人的な好き嫌いも含めてですね。強いクリーチャーと強い除去呪文だったら、クリーチャーのほうが好きだからです。除去って、結局カードの1枚対1枚の交換でしょう?っていう」

――具体的なピック例なんかもあげていただけたらありがたいです。

三原 「そうですね。ソートで良く同居しているのを見かける《タール火/Tarfire》と《雲冠の樫/Cloudcrown Oak》だったら、私は3/4(後者)をピックしますね。そんな感じでドラフトしていました」

Koutaro Senba

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――続いて仙波さんのシャドウムーア+イーブンタイドのドラフトです。

仙波 「(苦笑しながら)正直、あまり強いデッキとは言えないでしょうね。はっきり言って緑にサイズで迫られるとかなりキツイんですが、うまいこと《憤慨のシャーマン/Outrage Shaman》や《瓜二つ/Spitting Image》を引けたんですよね。たぶん、そういう幸運も重なったからっていうデッキですね」

Makihito Mihara

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Swirling Spriggan

――最後に、三原さんのシャドウムーア+イーブンタイドのドラフトです。

三原 「こっちも普段3連勝を望めるような強いデッキじゃないですね。なんせプロツアー決勝よりも濃いと言えそうな卓(POD 1)だったので、白か青か緑であいている色をなんとか突き進んだだけっていう感じですね」

――これが実際のマッチアップで活躍した! といったエピソードはありませんか?

三原 「そうですね。《花を手入れする者/Bloom Tender》と《渦巻くスプリガン/Swirling Spriggan》がかみあってマナがたくさんでたり、2枚の《大霊の盾/Shield of the Oversoul》が普通に強かったり。そんなところですね」

――ありがとうございました! 最後に、お二人とも社会人ということで、どのような環境で練習なさっていたのか、世の社会人デュエリストを代表して質問させてください。

仙波 「構築はプレイしないけどリミテッドなら、という社会人の仲間が地元にいまして、楽しく遊びながら練習させてもらっています。試合もそうですけど、終わったあとの感想戦とか、ピックの順番とか内容の検討とか、そういう機会があるのはありがたいですね」

三原 「私の場合、構築の練習はLMC(千葉のトーナメント)に出たりするのが中心ですけど、ドラフトはセクロブでっていう感じですね」

――セクロブ? ですか。

三原 「ああ、トモハル(齋藤 友晴)を中心としたマジック・チーム、『セクシーロブスター』の面子と、ですね。自分のピックにそれほど自信があるタイプでもないので、トモハル邸での練習でピックの順番とか方法とか、参考にさせてもらいました」

――お忙しい中、ありがとうございました。

Standard Metagame Breakdown

by Yukio Kozakai

35 ヒバリ/Reveillark
22 フェアリー/Faerie
21 赤単ビートダウン/Mono Red Beatdown
14 マーフォーク/Merfolk
12 エルフ/Elf
10 白単ビートダウン/Mono White Beatdown
8 スワンアサルト/Swan Assault
5 トースト系/Quik’n Toast
5 黒赤トークン/Black Red Token
4 緑単ビートダウン/Mono Green Beatdown
4 ブリンク/Momentary Blink
4 ストーム/Storm
3 黒緑ビッグマナ/Black Green Mana Ramp
3 黒緑手札破壊/Black Green Hand Destruction
2 青白コントロール/Blue White Control
1 黒青コントロール/Black Blue Control
1 黒緑ビートダウン/Black Green Beatdown
1 黒単ビートダウン/Mono Black Beatdown
1 赤白ランデス/Red White Land Destruction

Tier 1 : ヒバリ/Reveillark

Reveillark

安定性、デッキパワー共に環境トップクラスのアーキタイプだったが、フェアリーに対しての不利が叫ばれていた。ところが、そのフェアリーがイーブンタイド導入後に隆盛してきた赤単に対抗するシフトを敷き始めたことも追い風となり、今大会では最大勢力となった。

一口にヒバリと言ってもその中身は多種多様。マナベースの安定を重視した純正青白ヒバリを始め、《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》を加えて、《熟考漂い/Mulldrifter》《残忍なレッドキャップ/Murderous Redcap》などを《影武者/Body Double》《目覚ましヒバリ/Reveillark》でループする無限コンボを内蔵した形もある。ちなみに、多かったのはこちらの無限コンボ型の方で、19名のプレイヤーが採用している。

また、マナブーストの部分に《冷鉄の心臓/Coldsteel Heart》《精神石/Mind Stone》ではなく「ブロックできるマナベース」として《根の壁/Wall of Roots》を採用しているバージョンもある。安定の青白を取るか、トップデッキで勝てる可能性のある無限型を取るか。プレイヤー間での議論は尽きない。

Tier 1 : フェアリー/Faerie

先月行われたグランプリ神戸で優勝を果たした高橋 優太(東京)が使用していたのがフェアリーだったのは記憶に新しい。スタンダードでも、その構成パーツの根幹はブロック構築のそれと大差ない。それに、ローウィン・シャドームーアブロック以外のカードを組み込めるわけだから、間違いなく強さは保証されている。

とにかくデッキが軽く作られており、相手のターンに動くことの出来るカードばかりで構成されているのが一般的で、そのスキは限りなく少ない。序盤に《苦花/Bitterblossom》を置ければ、あとは《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》がほぼ確定カウンターと化し、《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》が攻防一体の仕事を果たす。

赤単に対しての相性の悪さが指摘されるが、先ほど名前の挙がった高橋は、環境に合わせて常にフェアリーを進化させてきており、赤単を克服したフェアリーの構築に成功したと宣言している。そうなるとほぼ全てのデッキに対して戦えるデッキになる可能性もある。

赤単ビートダウン/Mono Red Beatdown

序盤から《運命の大立者/Figure of Destiny》《血騎士/Blood Knight》などの優秀なクリーチャーで攻め立て、火力でサポートする古くからあるアーキタイプだ。赤単自体はシャドームーア発売当初から《復讐の亜神/Demigod of Revenge》をフィーチャーしたデッキが存在し、そこそこの成績を残していたのだが、イーブンタイドで《運命の大立者》を得たことでその地位を確立した。

火力も《冠雪の山/Snow-Covered Mountain》を介して抜群の除去性能を誇る《雪崩し/Skred》が採用され、《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》《カメレオンの巨像/Chameleon Colossus》《剃刀毛のマスティコア/Razormane Masticore》など、赤単にとって厄介な存在をわずか1マナで焼き払える高性能さが魅力だ。

赤ゆえに対策された時の脆さは持ち合わせるが、今の赤はその上から叩き潰せるだけのパワーがあり、キーカードがほとんどローウィン・シャドームーアブロックのカードだけに、フェアリーと同じくアラーラの断片後の環境でも活躍が期待できそうだ。

マーフォーク/Merfolk

Merrow Reejerey

環境の2大巨頭、ヒバリとフェアリーが《島/Island》を置くデッキであることに目をつけ、《アトランティスの王/Lord of Atlantis》《メロウの騎兵/Merrow Reejerey》などでマーフォーク軍団を強化しつつ島を渡り、あとはカウンターで守るというクロックパーミッションがこのマーフォークデッキだ。

赤には滅法弱いけれども爆発力が物凄いのが特長で、殴り合いに持ち込むとエルフを食うことも珍しくはない。《メロウの騎兵》を使ったタップアンタップのトリックと、《石ころ川の旗騎士/Stonybrook Banneret》によって《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant》《誘惑蒔き/Sower of Temptation》《賢人の消火/Sage’s Dousing》のコストまで軽減される柔軟な展開が出来る上、ただ殴る、除去する、だけの動きではないビートダウンであることで、玄人好みされるデッキでもある。

エルフ/Elf

黒緑エルフ。現環境のビートダウンの代名詞だったが、最近はメタゲームのスミに追いやられているイメージが強かった。

デッキパワーと爆発力はかなりのレベルなのだが、流行のヒバリを始め、モーニングタイド後には、相性が良いと言われたフェアリーにも勝ち負けがおぼつかなくなり、次第にその数は少なくなっていった。

ところが、最近はメインボードの《思考囲い/Thoughtseize》から崩して一気にクロックを刻むタイプや、《カメレオンの巨像/Chameleon Colossus》を投入して《苦花/Bitterblossom》のトークン群を駆け抜けたりと、姿形を少しずつ変えて生き残ってきた。安定性がある上に赤にも対抗しやすいデッキなので、評価は少し改める必要がありそうだ。

白単ビートダウン/Mono White Beatdown

Breakdownの流れを追っていくと、いかにローウィン・シャドームーアブロック構築の影響が大きいかがわかる。

白単では大きく分けて2種類のタイプが存在したが、そのうちの1つが、限定構築でも活躍しているキスキンである。1ターン目からロケットスタートが可能なアーキタイプであり、さらに白単色でありながら《損ない/Unmake》というデメリットのないインスタントの確定除去を得たのは大きい。

また、大阪勢は藤田 剛史(大阪)がデザインした白単を採用しており、《サルタリーの僧侶/Soltari Priest》《聖なる後光の騎士/Knight of the Holy Nimbus》といった、時のらせん時代のエースが久々に戦場を駆け巡っている。

スワンアサルト/Swan Assault

《ブリン・アーゴルの白鳥/Swans of Bryn Argoll》を使用したコンボデッキということで、ひとくくりにさせて頂いた。《ブリン・アーゴルの白鳥》に向けて《突撃の地鳴り/Seismic Assault》で土地を投げてドローし続け、手札があふれ返った頃合で今度は対戦相手にその火種を向けるというシンプルな作りだ。ここから《突撃の地鳴り》を抜いた赤青バーンの形を取ったタイプもある。

日本での人気は一息だった印象だが、各国の国別選手権でスワンアサルトは結果を残し、再び日本のメタゲームに食い込んできた。

トースト系/Quik’n Toast

多色グッドスタッフと言えばわかりやすいだろうか。

《熟考漂い/Mulldrifter》《滅び/Damnation》《謎めいた命令/Cryptic Command》などのアドバンテージ呪文と、《雲打ち/Cloudthresher》《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》などのフィニッシャーで勝負を決める、系統で言うとビッグマナに近いデッキである。

カードパワーの高いカードを詰め込んでいるので、きちんと機能すると強いのだが動きが大振りなので、マナの色がかみあわなかったりマナ加速がおぼつかないと何も出来ないまま負けてしまうこともままある。ブロック構築ではトーストならではという動きで存在感を示したが、スタンダードではヒバリデッキで代替が利くケースが多いことと、デッキ自体の安定感の差が、そのまま人気に現れてしまっている。

ただ、構成パーツに時のらせんブロックのカードが少ないので、今後に期待だ。

黒赤トークン/Black Red Token

Torrent of Souls

《苦花/Bitterblossom》《モグの戦争司令官/Mogg War Marshal》《湿地の飛び回り/Marsh Flitter》《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》などの、トークンを複数生み出す赤黒のカードを詰め込んで、そのまま殴るも良し、《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》の餌にするもよし、《ナントゥーコの鞘虫/Nantuko Husk》で一気に勝負をつけるもよし。と、いうデッキだ。

全体除去に対してリカバリーが効きやすい反面、1枚1枚のカードパワーがあまり高くないこととサイズが小さいという2点で、一度ペースを崩されると脆い一面もある。それをカバーするために《墓穴までの契約/Grave Pact》がメインから取られるタイプもあり、より速攻性を持たせるために《魂魄流/Torrent of Souls》を入れるケースも多い。

以前は《憤怒焚きの巨人/Furystoke Giant》で突然に大量ダメージを叩き出すバージョンもあったが、デッキ全体の構成を軽くする方向に進んだ結果、現在のようなレシピになっている。

緑単ビートダウン/Mono Green Beatdown

ドイツ選手権ベスト8入賞で注目を浴びた、緑単。伝統の「ストンピィ」である。動きは単純明快で、出す、殴る、強化する、以上。加速力においては赤単や白単も上回り、序盤から大量ダメージを叩き込むことが出来る。特に《イラクサの歩哨/Nettle Sentinel》がイーブンタイドから入ったのは大きく、1ターン目から2点のクロックを刻めることでデッキとしての存在意義を確立させた。

ブリンク/Momentary Blink

ヒバリよりも、より《一瞬の瞬き/Momentary Blink》による「場に出た」時の効果を重視する形で、ヒバリと違うのは《裂け目翼の雲間を泳ぐもの/Riftwing Cloudskate》《叫び大口/Shriekmaw》を取っている点だ。より盤面のコントロールにシフトしたタイプで、ヒバリによるゆっくりとしたアドバンテージよりも即仕事をするクリーチャー達で素早い勝利を目指すのがこのブリンクだ。

デッキ自体が非常に「丸い」構成になっているため、ビートダウンともコントロールとも戦える苦手の少ないデッキに仕上がっている。しかし、それはどのデッキに対してもまんべんなく勝ったり負けたりするという意味でもあり、勝ちに行くための一刺しが欲しいところではある。

ストーム/Storm

Pyromancer's Swath

かつては世界を制した《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》も、今大会では使用者はわずか1名となっている。では、残りの3名はというと《紅蓮術士の刈り痕/Pyromancer’s Swath》で《ぶどう弾/Grapeshot》をサポートする形のストームバーンであり、赤単フルバーンという言い方も出来る。

《背骨岩の小山/Spinerock Knoll》に秘匿した、本来なら9マナ必要な《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》を実質2マナで発動させたり、締めの火力を仕込んだりといった使い方で勝負のターンで一気に決めるのが常套手段だ。

かつては、赤青で《手練/Sleight of Hand》《時間の把握/Telling Time》などを使っていたが、現在はドローサポートに全く頼らないナチュラルドローだけで戦わなければならないのがコンボデッキとしては悩みのタネだ。しかし、手持ちの火力だけで足りることもあるので、1つの勝ちパターンだけではないところが逆に強みとも言える。

その他のデッキ/Rogue

黒緑ビッグマナ/Black Green Mana Ramp
黒緑手札破壊/Black Green Hand Destruction
青白コントロール/Blue White Control
黒青コントロール/Black Blue Control
黒緑ビートダウン/Black Green Beatdown
黒単ビートダウン/Mono Black Beatdown
赤白ランデス/Red White Land Destruction

他にも、少数派ではあるがこれだけのアーキタイプを各プレイヤーが持ち込んでいる。後ほど統括編として、デッキリスト付きでいくつか紹介させていただく予定になっている。

Round 11

by Atsushi Ito

日本選手権準優勝の経験もある金 民守3敗ラインからは、スタンダードを象徴する赤単対決をお送りしよう。

もっとも、正確には「ちょっと前のスタンダードを象徴していた」とでも言うべきか。Standard Metagame Breakdownを見ればわかる通り、赤単はその絶対的な支配力を失いつつある。

しかし今ここに両者は全く違う理由で赤単を手に取った。斎藤は「使い慣れた」強いデッキとして、金は「本来のデッキパワーを損なわず、同型への勝率を上げた」強いデッキとして。実際二人のメインボードは一部の固定パーツを除けばかなり顕著な差がある。

斉藤のデッキがオーソドックスな8メイガス(《巻物の大魔術師/Magus of the Scroll》と《月の大魔術師/Magus of the Moon》)なのに対し、金は《月の大魔術師》を抜いてメインに《残忍なレッドキャップ/Murderous Redcap》や《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》まで積んでいる。初日のスタンダードラウンドでは振るわなかったようだが、ここにきて待望の赤単対決。吉と出るか凶と出るか。

戦闘モードに入る前に、二人のリップサービスが飛んだ。

斎藤 「ここ勝ったらトップ8残る自信ある?」

 「そりゃあるよ。今日は大本彩乃さん(Perfumeのメンバーの一人)の二十歳の誕生日なんで」

斎藤 「じゃあここで勝った方が実質トップ8だね」

果たして勝利の女神(Perfumeではないと思うが)はどちらに微笑むのか。

Game 1

ダイスロールで斎藤が先手。《運命の大立者/Figure of Destiny》から《血騎士/Blood Knight》と流れるように展開。《ケルドの巨石/Keldon Megaliths》スタートの金も《血騎士》を出すが即座に《雪崩し/Skred》され、4点クロックが刻まれる。さらにブロッカーとして用意した《ボガートの突撃隊/Boggart Ram-Gang》も《雪崩し》され、テンポよく4/4へと育った《運命の大立者》が金に殴りかかる。金のライフはあっという間に9まで削られてしまう。

金は《残忍なレッドキャップ/Murderous Redcap》で斉藤の《血騎士》を除去し、《運命の大立者》をチャンプブロック。斉藤は《月の大魔術師/Magus of the Moon》を追加してターンエンド。ここで金も3マナを立てて《運命の大立者/Figure of Destiny》を召喚し、ペースがスローダウン。

斎藤は少考ののち《月の大魔術師》をレッドゾーンに送ると、金は1/1《レッドキャップ》と《運命の大立者》で2体ブロック。斎藤は《大立者》に2点を与えて墓地に送ると、戦闘後に手札を使いきりながらも2体目の《の大魔術師/Magus of the Moon》と《血騎士/Blood Knight》を盤面に展開する。

返しで金が5枚目の土地を引き入れ、《復讐の亜神/Demigod of Revenge》を召喚、アタックして完全に攻守が逆転・・・と思いきや、次のターンの斎藤のトップも《復讐の亜神/Demigod of Revenge》!!斎藤の3体フルアタックで7点通って金のライフはわずか2。

結局、金が2体目の《復讐の亜神/Demigod of Revenge》をブロッカーとして召喚せざるをえない返しで、斎藤は《ボガートの突撃隊/Boggart Ram-Gang》をトップデッキして、ブロッカー3体に対し4体でのアタックで金のライフを削りきった。

斎藤 友晴 1-0 金 民守

Game 2

赤単対決は熱を帯びたものとなった金が先攻。《ケルドの巨石/Keldon Megaliths》セットに対し、斎藤は1ターン目に《運命の大立者/Figure of Destiny》をプレイ。金が2ターン目をセットだけでエンドすると、斎藤はすかさずアタック。これは2/2になるのにスタックで《雪崩し/Skred》され、斎藤は仕方なく2体目の《運命の大立者/Figure of Destiny》を召喚する。

金は3ターン目に《ボガートの突撃隊/Boggart Ram-Gang》を召喚してアタック。斎藤は《大立者》で1点アタックしてから突撃隊を《炎の投げ槍/Flame Javelin》で除去。金は4枚目の土地である《ケルドの巨石/Keldon Megaliths》を置いてターンエンド。斎藤は《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》を待機し、《大立者》で1点アタックの後3マナ立ててエンド。金は《残忍なレッドキャップ/Murderous Redcap》で《大立者》を除去し、斎藤のプランを崩す。

墓地に葬られた2枚の《大立者》以外クリーチャーを引けていない斎藤は、クロックを減らすために頑強クリーチャーであるレッドキャップに《炎の投げ槍》を撃つしかない。さらに金も《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》を待機し、二人の構成がサイド後はほぼ鏡打ちであることがはっきりする。斎藤は6枚目の土地を置いてターンを返すのみ。

金は4マナ立てて《運命の大立者/Figure of Destiny》を召喚するが、斎藤はこれを《雪崩し/Skred》して、ライフは斎藤15対金18。しかし金は2体目のレッドキャップをプレイする。火力を使い切った斎藤は2枚目のガルガドンを待機し、8枚目の土地を置いて2枚の《ケルドの巨石/Keldon Megaliths》を立たせてターンを終了。

金のレッドキャップ2体のアタックに対し、2/2のレッドキャップに2点を撃ちこんで頑強させるが、斎藤のライフは11まで減る。次ターンの斎藤のドローは9枚目の土地で、エンドに金が《炎の投げ槍/Flame Javelin》、《火葬/Incinerate》、メインで《炎の投げ槍/Flame Javelin》と本体に撃ちこんで、斎藤のライフはゼロとなった。

斎藤 友晴 1-1 金 民守

昨年度Player of the Year齋藤 友晴Game 3

先攻の斎藤は三たび《運命の大立者/Figure of Destiny》スタート。金も《運命の大立者/Figure of Destiny》を召喚するが、斎藤は1点アタックの後《血騎士/Blood Knight》を召喚。金は仕方なく《大立者》と2マナを立たせてエンド。

斎藤はさらに《ボガートの突撃隊/Boggart Ram-Gang》を召喚し、《血騎士》と合わせて2体でアタック。金は少考して、《雪崩し/Skred》を《血騎士》に撃って《突撃隊》はスルー。金はエンド前に《大立者》を2/2にして、3ターン目は3マナ立たせてエンドを宣言。斎藤は4枚目の土地を置けず、《ボガートの突撃隊/Boggart Ram-Gang》の2体目を出してアタックせずにターンエンドする

金は《残忍なレッドキャップ/Murderous Redcap》で《血騎士》を除去するが、斎藤が《炎の投げ槍/Flame Javelin》で4/4《運命の大立者》を焼いて、《ボガートの突撃隊》2体でアタックすると、2体の3/3萎縮を前に2/2頑強は棒立ちするしかない。金のライフは10まで落ち込む。

金は《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》を待機してエンド。斎藤は《ボガートの突撃隊/Boggart Ram-Gang》2体で再びアタックすると、金は《穿刺破/Puncture Blast》で1体を除去し、もう1体を《レッドキャップ》でブロックしてダメージスタック後《大いなるガルガドン》によるサクリファイスで《レッドキャップ》を頑強してどうにか処理。

斎藤がターンエンドすると、金は5枚目の土地を・・・ただし、《ケルドの巨石/Keldon Megaliths》をセットし、《血騎士/Blood Knight》召喚でエンド。エンド前に斎藤は《炎の投げ槍/Flame Javelin》を本体にプレイする。

手早くアンタップすると、斎藤はゆっくりと祈るように山札に手をかけ・・・一息にドロー!それが待ち望んだ5枚目の土地で、斎藤は《復讐の亜神/Demigod of Revenge》を召喚し、アタックして金のライフは1。金は仕方なく自らも1ターン遅れて《復讐の亜神》を召喚するが、斎藤の握り締めていた残りの手札1枚はしっかり《火葬/Incinerate》なのであった。

斎藤 友晴 2-1 金 民守

Final Results: 斎藤 友晴の勝利!

Round 11

by Daisuke Kawasaki

どこまで勝つのか? 三原 槙仁ドラフトラウンドがすべて終了し、ついにスタンダード4ラウンドを残すのみとなった。

そして、このラウンドで、なんとドラフト7ラウンド全勝同士のふたりが対戦する。

一方は、以前「ライアンチャンス」継続中で全勝街道まっしぐらの「魔王」三原 槙仁(千葉)。

三原 「ここで仙波さんを倒して、1敗をゼロにしてやりますよ」

そう、三原の対戦相手である仙波 恒太郎(千葉)は、現在唯一の1敗として、三原のライアンチャンスを止める最後の刺客として、三原のメインコミュニティ「魔界」から送り込まれたのだ。

聞けば、すんでいる家も近く、三原が「もっとも家が近いデュエリスト」という必要でもない情報を筆者に教えてくれたが、仙波に関してもっと重要な情報としては、実は木曜日に行われたLCQ(最終予選)で権利を獲得したプレイヤーであるということが挙げられるだろう。

最終予選で権利を獲得し、そのまま、スイスラウンドをひた走っている...といえば、誰もが2004年の津村 健志(広島)を思い出されるが、果たして、仙波は三原のライアンチャンスを阻止しつつ、新たなシンデレラストーリーの主人公となることができるのか。

聞けば、千葉の大会での成績はわずかに仙波が勝っているとのこと。期待して試合の成り行きを見守りたい。

Game 1

先手の仙波がマリガン、たいして三原は余裕のキープ。

1ターン目に《変わり谷/Mutavault》をセットしたものの、2ターン目のドローがタップインの《鮮烈な小川/Vivid Creek》だったため、殴りに行けずに少し残念な三原。とはいえ、続いて《熟考漂い/Mulldrifter》を想起でキャスト。

コレは《霊魂放逐/Remove Soul》で弾き、続いて《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》で地道にクロックを用意する仙波。

そして、三原の《影武者/Body Double》《目覚ましヒバリ/Reveillark》という黄金パターンを2枚目3枚目の《霊魂放逐》でさらにカウンターしていく。

この完全なカウンターの流れにがっくりしながらも、《熟考漂い》を今度は想起無しでキャスト。今度は《謎めいた命令/Cryptic Command》。ここで三原は「今度こそ!」と2枚目の《影武者》を場に送り出す...がなんと4枚目の《霊魂放逐》。

三原「まだ持ってるよー」

《苦花/Bitterblossom》を場に展開した仙波は、刻一刻とクロックを増強していく。

このフェアリートークンの群れを押しとどめるべく三原は《誘惑蒔き/Sower of Temptation》を2連続でキャストするが、今度は2連続の《恐怖》が突き刺さる。

もう勘弁してくれとばかりに三原がキャストした《熟考漂い》が、このゲームではじめて三原がまともに解決した呪文となり、手札を充実させるのだが、仙波が待機している《祖先の幻視/Ancestral Vision》も少し気になる。

三原の3枚目の《誘惑蒔き》を仙波はまたも《謎めいた命令》で退けようとするが、これは三原が2枚の《ルーンのほつれ》で強引に通す。さらに待機があけた《祖先の幻視》へは《否定の契約》と、段々ゲームの主導権を取り戻しはじめる。

仙波は2枚目の《苦花》を追加し、さらに、トークンを《誘惑蒔き》《熟考漂い》でブロックしてきた三原の思惑を崩す《ウーナの末裔》。だが、今度は三原が3枚目の《ルーンのほつれ》できっちりとカウンターする。

まさに、どちらがカウンターを多く引くかの勝負、といってもいいような勝負と相成ってきた。お互いの手札が常に1枚ずつの状態で、奇蹟のようなカウンター合戦が行われる。

だが、先に決定打にたどり着いたのは、《結ばれた奪い取り/Bonded Fetch》をコントロールする三原だった。ついに引き当てた《目覚ましヒバリ》。コレを想起でプレイ。墓地には2枚の《影武者》をはじめ、大量のクリーチャーが並んでいる。

対する、仙波の手札はたったの1枚。

たったの1枚の《謎めいた命令》。

仙波 1-0 三原

Game 2

どこまで勝つのか? 仙波 恒太郎が三原に挑む後手の仙波がマリガンスタートではあるものの、1ターン目から《思考囲い/Thoughtseize》。

三原の手札は《変わり谷/Mutavault》2枚に《冷鉄の心臓/Coldsteel Heart》《影武者》《目覚ましヒバリ》《ルーンのほつれ》。

ここで長考する仙波。

三原 「コレは《苦花》持ってないね。《苦花》持ってたら秒で《ルーンのほつれ》でしょ」

仙波 「《ルーンのほつれ》抜きたくないんだよなぁ」

といいつつも、結果的に《ルーンのほつれ》をディスカードする仙波。そして、2ターン目に《苦花》を設置し、3ターン目には《ウーナの末裔》を場に送り込む。

このフェアリー軍団を全滅させるべく、三原が送り込んだ《隆盛なる勇士クロウヴァクス》を《霊魂放逐》でカウンター。

だが、三原には二の矢《影武者》三の矢《目覚ましヒバリ》が存在する。仙波は果たして、コレを凌ぎきるだけのカードを持っているのか。

《霊魂放逐》

《霧縛りの徒党》

仙波 2-0 三原

こうして、三原のライアンチャンスは終了し、1敗ラインで仙波と三原の名前が並ぶこととなった。

仙波 「これで三原さんとの格付けは済ませた」

Round 12

by Yukio Kozakai

齋藤 友晴齋藤 「いつもモリカツに止められてるからさ」

2005年のワールドで世界王者となった森 勝洋(大阪)が次に目指したタイトルは、日本王者だった。そして、齋藤 友晴(東京)が欲したのも同じタイトルだった。そんな2人は9ヵ月後、2006年日本選手権の準々決勝で直接対決をすることとなる。

「事実上の決勝戦」と、誰もが固唾を飲んで見届けたマッチに勝利したのは森だった。あの時、キャリアのピークにあった森には、全身から「勝利する者のオーラ」が満ち溢れていた。それはスタッフだけが感じたわけではなく、会場で観戦していたプレイヤーの誰もがそう認め、肌で感じ取ったものだった。

まだ準々決勝を勝ち上がったに過ぎないのに、もう会場には森の優勝を疑わない空気が占めていた。そして、森は本当に日本王者になった。それほどのプレイヤーなのである。

あれから2年。齋藤は、今度こそ森を越えて念願の日本王者となりえるのだろうか。

Game 1

2枚の《祖先の幻視/Ancestral Vision》待機で構える先攻の森。齋藤は《運命の大立者/Figure of Destiny》から《ボガートの突撃隊/Boggart Ram-Gang》とつなげ、森が《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》でブロックを試みつつ齋藤の手札を確認すると、なんと3枚の《復讐の亜神/Demigod of Revenge》が。

結局森は《月の大魔術師/Magus of the Moon》をライブラリーの底へ追いやり、齋藤はドローを進めるが土地が3枚でストップしてしまう。齋藤の手としては《運命の大立者/Figure of Destiny》を大きくするくらいしか出来なくなってしまうが、それすらも《突然の死/Sudden Death》で万事休す。

森は次々と待機の明ける《祖先の幻視》で消耗した手札を補充し、《ウーナの末裔/Scion of Oona》《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》と叩きつけ、攻撃開始。齋藤は未だ土地が3枚のまま、森の《変わり谷/Mutavault》に《火葬/Incinerate》を打ち込むくらいしか抵抗が出来ない。

結局、そのまま森がカウンターでリードを守り切った。

齋藤 「こんなの初めてだよ」

その手には、4枚の《復讐の亜神》が。

森 勝洋 1-0 齋藤 友晴

Game 2

森 勝洋今度も《運命の大立者》と《祖先の幻視》からという両者の立ち上がり。違うのは、齋藤の後続に《血騎士/Blood Knight》がいることだ。

《コショウ煙/Peppersmoke》を《運命の大立者》に打ち込んでカウンターのマナが無くなったところで、齋藤が《月の大魔術師》を繰り出す。黒マナが無くなってしまった森は「沼!」と願いながらドローすると、トップからはその《沼/Swamp》が。ギャラリーが一斉に沸く。これで息を吹き返すと、続くターンに《残忍なレッドキャップ/Murderous Redcap》で《月の大魔術師》を除去する。

齋藤は《血騎士》でビートダウンしつつ、《巻物の大魔術師/Magus of the Scroll》のバックアップで森のライフを削り取りにかかる。《残忍なレッドキャップ》で1枚は失うものの、2枚目の《巻物の大魔術師》が再び齋藤を支える。

森は他に何もパーマネントを出せずにいたが、《祖先の幻視》がドローをもたらし《突然の死》を《血騎士》に。さらに《神秘の指導/Mystical Teachings》で《名も無き転置/Nameless Inversion》を持ち込んで齋藤の攻撃を食い止める。

さらに《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir》を引き当てた森は安全に《雪崩し/Skred》をカウンターし、《神秘の指導》フラッシュバックでフィニッシャーの《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》を加える。

齋藤も地道に《巻物の大魔術師》で森のライフを削っており、ターンがもう1度返ってくれば何とか出来るかもという場。《運命の大立者》のチャンプアタックで《妖精の女王、ウーナ》をあぶり出し、《巻物の大魔術師》と合わせ技で除去するが、これでダメージレースがイーブンになった。

この能力起動で齋藤のハンドに残された1枚が《復讐の亜神》であることを確認した森は、返しのターンでブロッカーを残さずに全軍攻撃。「何か対抗手段がある」と齋藤は覚悟した。

ところが、齋藤が《復讐の亜神》をプレイするとそのまま通る。バウンスもブロッカーの追加も無い。

森 「負けました」

あまりの不可解さにどよめきが起こったが、この理由は後ほど本人の口から語られることになる。

森 勝洋 1-1 齋藤 友晴

森と齋藤の熱戦Game 3

これが豪運のカケラを持つ者同士の戦いなのか。

みたび、《祖先の幻視》と《運命の大立者》の鏡打ち。森は続くターンに《精神石/Mind Stone》をプレイ。フェアリーとしては珍しいマナブーストを持つ構成だが、しっかり齋藤の《月の大魔術師》を《謎めいた命令/Cryptic Command》でキャッチしてゲームメイクする。

しかし、その間にも《運命の大立者》と《血騎士》が森に攻めかかる。さらに《ボガートの突撃隊》を追加する齋藤に森が《ルーンのほつれ/Rune Snag》を突き刺し、《血騎士》は《名も無き転置》。消耗戦を再び《祖先の幻視》でリカバリーした森は、《残忍なレッドキャップ》連打で齋藤のクリーチャーを焼却して攻め始める。

森のライフはもうたったの3。火力で直接勝負を決められる圏内になった以上、試合を引き伸ばしても不利になるのは自分。齋藤が直接火力を引き込む前に攻め切るしかない。齋藤も5枚目の土地に手早くアクセスして《復讐の亜神》を解き放ちたいが、土地は4枚で止まったままだ。

ドローをし、齋藤は森のハンドを確認する。そして《火葬》を森へ向けて打ち込むと、森はカウンターの無いハンドを公開して投了を宣言した。

森 勝洋 1-2 齋藤 友晴

齋藤 「いつもモリカツに止められてるからさ!」

その森を越えた喜びで、思わず立ち上がった齋藤。それをクールに見届ける森。それにしても、あの第2ゲームの最後。飛行クリーチャーがまだ2体残っていたのに、なぜ全軍攻撃をしかけたのか。

――チャンプブロックで、時間を稼ぐ手段もあったと思うが

齋藤 「ブラフだったんでしょ?」

 「ブロック出来たけど、そうするとクロックが弱まって時間がかかりすぎる。どうせ《復讐の亜神》が通ったら負けだから」

ふと、時計を見ると残り時間はもう無かった。引き分ければ両者ともプレーオフの挑戦権を失う。引き伸ばした2ターンで何かを引く可能性よりも、先攻に戻って3本目を迎えてやり直したほうがいい、そう判断したのだ。森は一度もジャッジに残り時間をたずねることはしていないし、そもそもタイマーに背を向けて座っていた。

テーブルに、ノスタルジックかつスピリチュアルな空気が流れていたのは、偶然ではないだろう。

Final Results: 齋藤 友晴の勝利!

Round 13

by Atsushi Ito

『華麗なる天才』小室 修ほぼ目無し、それでもワンチャンスを狙う4敗ライン。ここで再び『華麗なる天才』にスポットライトを当ててみよう。

練習時間1時間でも勝てる天才は、さすがリミテッドも5-2で丸く収めて、残り2ラウンド連勝して華麗なる滑り込みを狙う。

一方、北の大地、北海道で予選を勝ち上がってきた千葉は、強豪ひしめく本戦でも気後れすることなくここまで奮闘しており、二日目のシャドウムーアドラフトでは三田村 和弥や中島 主税といったプロプレイヤーを倒して三連勝と、勢いに乗っている。

そんな二人が選んだのは奇しくも同じ青白赤《目覚ましヒバリ/Reveillark》。青白バージョンとの違いは、そのコンボデッキとしての性質にある。

《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》を待機してある状態で《影武者/Body Double》と《目覚ましヒバリ》(と《熟考漂い/Mulldrifter》か《結ばれた奪い取り/Bonded Fetch》か《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant》)が揃うと、《ヒバリ》となった《影武者》を《ガルガドン》でサクる→《ヒバリ》の能力が誘発して墓地にある《影武者》とパワー2以下がもう1体場に帰ってくる→《ガルガドン》のカウンターが減る効果を解決せず、戻ってきたパワー2以下と《影武者》をサクる→繰り返し・・・でパワー2以下が永遠に場に出続けてcomes into play能力を好きなだけスタックに積めるので、最終的には相手のパーマネントだけを全て手札に返すことが可能なのである。

《影武者/Body Double》は相手の墓地のクリーチャーにもなれるので、ひとたび相手が《目覚ましヒバリ/Reveillark》を墓地に落としたなら友情無限コンボ完成、ということにもなりかねない。それ故にこの同型対決は見ものである。

勝つのは天才か、はたまた北の新鋭か。

Game 1

先攻は小室。千葉がマリガンするも、《鮮烈な小川/Vivid Creek》→《反射池/Reflecting Pool》→《冷鉄の心臓/Coldsteel Heart》の鏡打ち(指定は小室赤、千葉白)でゲームが幕を開ける。小室は《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》を待機してから《熟考漂い/Mulldrifter》を想起。一方千葉は《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》を召喚してターンエンド。

小室はさらなる《熟考漂い》を想起し、《精神石/Mind Stone》でマナを伸ばしていく。千葉は淡々と《台所の嫌がらせ屋》の2体目を召喚し、ダメージレースを仕掛ける。手札が充実している小室、まずは《誘惑蒔き/Sower of Temptation》で先ほどの2体目の《台所》のコントロールを奪いにいく。千葉は2枚目となる《冷鉄の心臓》を赤で置くだけ。

小室は2体で攻撃後、3枚目となる《熟考漂い》を想起し、《結ばれた奪い取り/Bonded Fetch》を召喚してアドバンテージ差をつけにいく。千葉は《台所の嫌がらせ屋》で果敢にアタックにいき、戦闘後に《残忍なレッドキャップ/Murderous Redcap》を召喚。小室の《誘惑蒔き/Sower of Temptation》が墓地に置かれ、千葉の場に頑強生物が3体並ぶ。

しかし小室が7マナに達すると、ここで満を持して《目覚ましヒバリ/Reveillark》を召喚し、このプレイが通ると《結ばれた奪い取り/Bonded Fetch》の能力で《影武者/Body Double》を墓地に落とすと、墓地の《熟考漂い》で無限コンボが決まったとわかって千葉はカードを片付けた。

小室 修 1-0 千葉 晶生

北の新鋭、千葉 晶生Game 2

先攻の千葉はかなり悩んでキープを宣言。お互い《冷鉄の心臓/Coldsteel Heart》で静かにマナブーストする。

千葉は《虹色のレンズ/Prismatic Lens》を置いた後、《冷鉄の心臓》を自分で「白」と宣言したのにそこから《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》を待機しようとして小室に指摘されるほほえましい場面がありつつ、返しで小室が《大いなるガルガドン》を待機し、3マナ立たせてターンエンド。一方の千葉も6マナから改めて《大いなるガルガドン》を待機してターンを終える。

お互い2マナカウンターを意識しているのか、なかなか大味なアクションは起こさない。小室は《熟考漂い/Mulldrifter》の想起後、《冷鉄の心臓》で6マナ目を確保。小室がフルタップで無防備な、千葉にとってはチャンスなはずのターンだが、千葉は7マナ目を置いてターンを返すだけ。

小室は7マナ目を置いて、2マナ立たせて《影武者/Body Double》をプレイ。これに対し千葉はただ渋い顔で頷くのみ。《影武者》は《熟考漂い/Mulldrifter》になってここぞとばかりにアドバンテージ差をつけていく。

ここでエンド前に千葉が《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir》をプレイするも、小室は待ち構えていたかのように《霊魂放逐/Remove Soul》を突き刺す。千葉は再びセットしてターンを返すのみ。

小室は《変わり谷/Mutavault》2体と《影武者》(《熟考漂い》)で進撃を開始すると、千葉は3ターンほどドローゴーを繰り返した後、手札が土地3枚と《一瞬の瞬き/Momentary Blink》であることを示して投了の意を告げた。

小室 修 2-0 千葉 晶生

Final Results: 小室 修の勝利!

Round 13

by Daisuke Kawasaki

負けられない戦いに挑む齋藤 友晴すでに三原 槙仁(千葉)が圧倒的なパフォーマンスでトップ8入りを決め、また、トップ8にむけて高橋 優太(東京)と仙波 恒太郎(千葉)が握手をする裏で、こちらは、トップ8をかけた3敗同士の負けられない戦いを日本のスター同士が戦う。

「ストンピーの貴公子」斎藤 友晴(東京)は、グランプリ・コペンハーゲンでも愛用した赤単ビートダウンを使用し、このマッチに臨む。やはり斎藤にはビートダウンがよく似合う。

自身のチーム「セクシー・ロブスター」を世界に通用するチームにするという大きな目標のためにも、今年の日本選手権は是非とも入賞し、日本代表として世界選手権に参加したいところだ。

対するのは、「世界のISO」大礒 正嗣(長野)。

近年マジックをできる環境から離れ、十分な練習をできないまま、津村からシェアされた青白ヒバリを使用する大礒だが、しかし、大礒にとって見れば、まずは久々にマジックがプレイできるというだけでも十分に嬉しいことではある。

そして、せっかくならば、もう一日、いや、世界選手権も含めれば、もう5日間マジックをプレイできる日を増やしたいところだ。

どちらも長いキャリアと華々しい実績を持つプレイヤーだけに、日本選手権には思い入れも因縁もある。それだけに勝てばトップ8がほぼ決まるこのマッチは負けられない戦いだろう。

会場に、斎藤がほほを叩く音が大きく響き渡る。

Game 1

先手は斎藤の《血騎士/Blood Knight》がファーストアクション。対して、大礒は2枚の《祖先の幻視/Ancestral Vision》を待機する。

斎藤は3ターン目にも《ボガートの突撃隊/Boggart Ram-Gang》を追加して一気に攻勢を続ける構えだが、大礒も負けずに《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》。

ビートダウン相手に無双の強さを誇る《台所の嫌がらせ屋》だが、しかし、斎藤の場に並ぶクリーチャーは《血騎士》《ボガートの突撃隊》とどちらも《台所の嫌がらせ屋》に耐性があるクリーチャーばかり。

《月の大魔術師/Magus of the Moon》2枚をさらに並べ、クロックをドンドン増加させていく斎藤。《月の大魔術師》のうちの1体を《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant》で手札に戻し、攻撃中の《月の大魔術師》を討ち取ろうとするが、《雪崩し/Skred》でそのプランは打ち崩される。

ここでようやく2枚の《祖先の幻視/Ancestral Vision》の待機があける。

《裂け目翼の雲間を泳ぐもの/Riftwing Cloudskate》を待機しつつターンを返し、《謎めいた命令/Cryptic Command》で時間を稼ぐ大礒。《謎めいた命令》の追加で《月の大魔術師》をまたも手札に戻し、神速かと思われた斎藤の攻撃のスピードをじわりじわりと緩ていく。

だが、斎藤も、《月の大魔術師》を再び召喚するときに余った1マナでさらに《運命の大立者/Figure of Destiny》を追加することで、決して大礒に楽をさせない。さらに、大礒は、《月の大魔術師》のせいで白マナに不足するというかなりフェイタルな状況なのだ。

ここで大礒は《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》を今度はキャストして《月の大魔術師》を手札に戻すと、斎藤のお株を奪うかのごとく、両ほほを強く叩く。

この時点で斎藤の場には、5枚の《冠雪の山/Snow-Covered Mountain》に、《血騎士》《月の大魔術師》《運命の大立者》に《巻物の大魔術師/Magus of the Scroll》。

一方の大礒は、《裂け目翼の雲間を泳ぐの》をコントロールしてり、青1マナを含む2マナを残している状態。ライフは6。

斎藤が《冠雪の山》を持っていれば詰みなのだが、しかし、斎藤の手札は、《火葬》《炎の投げ槍》の2枚の火力。

斎藤は、まずは先ほど手札に戻された2体目の《月の大魔術師》をキャストする。大礒は、コレを許す。長考の末に斎藤は《火葬》をキャスト。コレは《ルーンのほつれ》され、仕方なく1体の《血騎士》でアタックするのみにとどめる。大礒は大事をとって、コレをブロック。

続く大礒のターンに大礒は土地を置いてターンを終了。

斎藤のターン。ドロー後に《謎めいた命令》で《月の大魔術師》を手札に戻しつつ、すべてのクリーチャーをタップする。斎藤は三度《月の大魔術師》をキャストするが、今度は《霊魂放逐/Remove Soul》。

そして、ついに待機の解ける《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》。

ここで大礒は2体目の《月の大魔術師》を手札に戻し、ついに白マナを確保することに成功する。

長い間手札でくすぶり続けて苛《目覚ましヒバリ》を満を持して想起でキャストする。墓地から戻る《熟考漂い》と《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》。この《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》で《血騎士》を戻し《熟考漂い》でドローした《台所の嫌がらせ屋》をキャストすることで、ついに大礒が完全に場の優位を掌握する。

斎藤は《血騎士》《月の大魔術師》と場に呼びもどすものの、大礒もついに《平地/Plains》を引き当てており、2体目の《目覚ましヒバリ》をキャスト。

斎藤は、手札の2枚の《炎の投げ槍》を見ながら考える。

結果、2体目の《血騎士》を場に追加しつつ、3マナを残してターンを終了する。勢いよくアンタップする大礒。手札に《一瞬の瞬き/Momentary Blink》を抱える大礒には白マナを回復させたい十分な理由がある。

大礒は《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》2体でアタックしつつ、3体目の《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》をキャストし、《血騎士》をまたも手札に戻す。これで、斎藤のライフも8になり、続くターンの攻撃をしのげるか否かといった所になる。

ターン終了時に、斎藤は大礒に《炎の投げ槍》をキャスト。大礒は、虎の子の《一瞬の瞬き》で《目覚ましヒバリ》をいったんリムーブし、それによって《造物の学者、ヴェンセール》を墓地から戻し《炎の投げ槍》を手札に戻して解決をさせない。

前述のように手札には2枚の《炎の投げ槍》がある斎藤。気合いを入れてドロー。

そのカードからはマナは生みだされなかった。

大礒 1-0 斎藤

気合十分、大礒 正嗣Game 2

先手の斎藤がマリガンの後に、衝動が3ターン目の《ボガートの突撃隊》というなかなか厳しいスタート。

対して大礒は、2ターン目に《虹色のレンズ/Prismatic Lens》をキャストしてマナをのばしつつ、3ターン目にはきっちりと《台所の嫌がらせ屋》。

斎藤は《月の大魔術師》をキャストするものの、大礒の《虹色のレンズ》はキチリと白マナも供給してくれるうえに、4ターン目に《熟考漂い》で2枚ドローすることも可能にしてくれるという素晴らしいカード。

斎藤は《火葬》《炎の投げ槍》と2枚のカードを使用して《熟考漂い》《台所の嫌がらせ屋》を盤面から排除しつつ《ボガートの突撃隊》を守ることに成功するのだが、続いてキャストされたのは《目覚ましヒバリ》。

この《目覚ましヒバリ》を超えられるプロテクション白を持つ《血騎士》を場に送り出し、じわじわとダメージを与え続けるものの、《運命の大立者》は《謎めいた命令》されてしまう。

そして、この《血騎士》の前にも《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir》が登場する。《雪崩し》で《ザルファーの魔道士、テフェリー》そのものは排除したが、しかし《血騎士》を失ってしまったのはかなり厳しい。大礒のライフは17もあるのだ。

ターンエンドに《火葬》を斎藤打ち込むと、大礒は《造物の学者、ヴェンセール》で《目覚ましヒバリ/Reveillark》を手札に戻し、《熟考漂い/Mulldrifter》を場に戻す。

圧倒的なリソース差を前に、斎藤は大礒に手を差し出した。

大礒 2-0 斎藤

Final Results: 大礒 正嗣 2-0 齋藤 友晴

Round 14

by Daisuke Kawasaki

金子 真実序盤の三原 槙仁(千葉)の圧倒的なパフォーマンスの反動か、このラウンド14を待たずして、トップ8のすべてのプレイヤーが確定し、このラウンドにトップ8を賭けたマッチアップは行われないこととなった。

しかし、多くのプレイヤーがトップ8を、そして日本チャンピオンを目指して日本選手権に参加しているのはもちろんだが、しかし、最終的にトップ8の可能性が無くなってしまったからといって、日本選手権のすべてが終わってしまうわけではない。

今シーズンからの日本選手権では、12位以内には2点、16位以内でも1点のプロポイントが入るのだから、4敗ラインのプレイヤーにとっても、この最終ラウンドの勝敗は非常に重要な勝負となる。

そんな4敗のラインの中でも「神」こと金子 真実(埼玉)は鼻息が荒い。シャドウムーアドラフトで痛恨の3連敗をしてしまったことで、一気にトップ8の可能性が無くなってしまった金子だが、しかし、この最終戦を勝ち上がることで、スタンダード全勝を達成することができるのだ。

個人的には、ここで金子が勝利し、オポーネントマッチパーセンテージの奇蹟が発生し9位にでもなってくれればとも思うが、そんなことはとりあえずどうでもいい。

金子の使用するデックは青黒フェアリーである。

そんな金子の前に立ちはだかるのが「帝王」森 勝洋(大阪)。

森の使用するデックは「KTO(大塚 高太郎)に借りたフェアリーをちょっと変えただけ」とのことだが、森のちょっとが常人のレベルではないことはご存じの通りである。

果たして、金子がスタンダード全勝を果たすことが可能なのだろうか、それとも、森の秘密兵器が炸裂するのか。

Game 1

後手の金子がマリガン。

金子は《苦花/Bitterblossom》を見せながら《人里離れた谷間/Secluded Glen》をセットし《祖先の幻視/Ancestral Vision》を待機。

 「うそ、それ??」

と、金子のデックが早くもばれる。

森は2ターン目に《精神石/Mind Stone》をセットし、金子も予定通りに《苦花》をキャストする。

金子の3ターン目のターンエンドに森は《神秘の指導/Mystical Teachings》で《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir》をサーチ。

だが、金子も負けじと、森のターンエンドに《ウーナの末裔/Scion of Oona》をキャストする。森は少考の後に《変わり谷/Mutavault》を覇権しながらの《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》。

金子は続いて森のアップキープに《霧縛りの徒党》キャストと、森の楽な展開を決して用意しない。森は、金子の覇権に対応してマナをだし、ドロー後に《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》をキャストし、金子の手札の《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》をライブラリーの底へと送り込む。

ダラダラと勝負が長引いてしまえば、先に窮するのは《苦花》を設置している金子の方である。

金子は《霧縛りの徒党》へと《恐怖/Terror》を打ち込み、強烈なパンチを森にお見舞いする。

しかし、続くターンに森は《ヴェンディリオン三人衆》で《霧縛りの徒党》をブロックしし、ダメージスタック後に《霧縛りの徒党》をキャストし、この《ヴェンディリオン三人衆》を派遣してしまおうともくろむ。

その目論見は、金子の《呪文づまりのスプライト》が打ち砕く。

金子 1-0 森

森 勝洋Game 2

後手の金子がダブルマリガンでのスタート。

お互いに土地を黙々とおきあう展開。ファーストアクションは森の金子のターンエンドにキャストした《神秘の指導》だが、コレは《謎めいた命令》で打ち消されてしまう。

そのまままたも土地の置きあいのゲームが進み、次にアクションがあったのは、金子の6ターン目。

金子は4マナを残して《苦花》をキャストする。

これに対して、森は2体の《呪文づまりのスプライト》をキャストし、2体目でカウンターをしようと試みる。金子は4マナ残しているだけに、当然の《謎めいた命令》。だが森の《ルーンのほつれ》で結局《苦花》は墓地へ。

金子のフルタップの隙に森はメインターンに《神秘の指導》フラッシュバックで新しい《神秘の指導》をサーチする。

すでにアドバンテージもクロックも確保してしまった森。

金子の決死の《変わり谷》アタックを、《呪文づまりのスプライト》のうちの1体でブロックすると、ターン終了時に《コショウ煙/Peppersmoke》で除去。コレを回避するために金子のキャストした《霧縛りの徒党》を《神秘の指導》でサーチしてきた《霊魂放逐/Remove Soul》でカウンターする。

森はさらに《思考囲い/Thoughtseize》をキャストし、金子の《突然の死/Sudden Death》をディスカードさせるが、金子も対応して《霧縛りの徒党》を場にだし、希望を残す。

だが、森はフラッシュバックの《神秘の指導》で《謎めいた命令》をサーチしてから、金子の《祖先の幻視》の待機があけるのにあわせて《霧縛りの徒党》キャスト。

金子は仕方なくマナを出して土地をタップし《祖先の幻視》を解決しようとする。

ドローする金子を制して、森は《インプの悪戯/Imp’s Mischief》をキャスト。

金子 「まけたー」

金子 1-1 森

Game 3

両雄、睨み合いここまで金子がマリガンし続けてきたこのゲームだが、今度はついに森がマリガンをする。

金子、森ともに1ターン目に《祖先の幻視》を待機するスタート。ここで森は《人里離れた谷間》のために《霧縛りの徒党》をみせなければ行けない分不利か。

などと考える暇もなく、金子の《思考囲い》で森の手札は丸裸になる。

森の手札は《ルーンのほつれ》《霧縛りの徒党》《謎めいた命令》《祖先の幻視》であり、そこから《ルーンのほつれ》をディスカードさせる。

返されたターンの森のアクションは《苦花》キャスト。

金子 「きちー」

金子は《影魔道士の浸透者/Shadowmage Infiltrator》をキャストするものの、たしかにコレは精神的にもきついかもしれない。

先手分、先に《祖先の幻視》の待機があける金子。森の数少ない土地が《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven》であるため、是非とも《ペンデルヘイヴン》を引きたかった金子だが、ひけないものは仕方ない。おとなしく、《思考囲い》をキャスト。

開示された森の手札は《霧縛りの徒党》×2と《謎めいた命令》。

金子 「まけたー」

とはいっても、ここであきらめるわけにはいかない金子。「土地を引かないことに賭けるしかないか」と、《霧縛りの徒党》をディスカードさせる。

だが、当然森もこのターンに《祖先の幻視》の待機があけるわけで、通常含めた4枚のドローに土地が無いわけがない。森は土地をセットすると、金子のターンエンドに《霧縛りの徒党》をキャストする。

この《霧縛りの徒党》に金子は《ルーンのほつれ》で対応するのだが、お互いが2枚目に待機していた《祖先の幻視》を金子だけ《インプの悪戯》されてしまうことで、一気に手札の枚数に大きな差が出る。

なんとか粘りを見せようとする金子だが、森は《神秘の指導》のフラッシュバックで《ザルファーの魔道士、テフェリー》をサーチする。

これを通すために森は《霧縛りの徒党》をキャストするが、これは覇権前に《突然の死/Sudden Death》されてしまう。森は続けて、《ザルファーの魔道士、テフェリー》。金子の《謎めいた命令》。

森のプレイングのスピードが上がっている。

金子の《謎めいた命令》が墓地に行くかいかないか、というのは比喩だが、それくらいのスピードでフェアリートークンたちが金子のライフをけずりはじめる。

金子が最後のあがきとしてキャストした《謎めいた命令》をきっちりと打ち消すと、金子の全勝の夢も森は打ち消したのだった。

金子 1-2 森

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