Draft Report: 日本代表 vs. スロバキア代表

Posted in Event Coverage on December 3, 2005

By Daisuke Kawasaki

日本対スロバキア

日本チーム
A:志村 一郎
B:諸藤 拓馬
C:大礒 正嗣

スロバキアチーム
A:Ivan Floch
B:Robert Jurkovic
C:Marian Takac

さて、Round 20の記事では日本代表チームを「ツインタワー」タイプという表現をしたのだが、実際のところ諸藤は2人の合議におとなしくしたがってただ指定されたカードをピックする、というわけではなく、かなり積極的に自分の希望のピックを主張している。

もちろん最終決定は大礒・志村による合議によって決められるのだが、諸藤は自身と対戦相手のピックをその関係に対しては常に意識を集中しており(というよりかは、諸藤がそうできるように両端の2人が気を払ったと言うべきか)、2人が気づいていないようなポイント…例えば自身のデックのクリーチャー枚数や、対戦相手に劇的に有効なカードを指摘する場面も少なくなかった。

諸藤が社会人であるという事情や、住んでいる地域がかなり離れている事からも、十分な練習量で国別対抗戦に臨むことの出来なかった日本チームではあったが、さすがに「Wトップ8チーム」ポルトガルや「アメリカンドリーム」アメリカといった強豪チームとの対戦という経験を積んでいき、最初はギクシャクしていたチーム間のコミュニケーションも、段々とこなれていくようになった。

具体的に言うと、最初は比較的遠慮しあって意見の交換をしていたのが、お互いがお互いの言いたい意見を前面に押し出して主張できるようになっていったのだ。

これにより、日本チームは、当初からあった「真ん中も高いツインタワー」という傾向をより強め、3人のディスカッションが通常よりも多いタイプのチームとなった。

当然、もっともチームリミテッドの経験が少なく、また「時間がかかるのでほとんど練習できなかった」と自らこの環境のドラフトでの練習不足を明言している諸藤ではあるので、両端の二人に意見を否定されたり却下される事も少なくなかった。

また、一方で、大礒が提示したよりパワーの高いカードよりも、諸藤がとりたがったカードを志村が優先させるという場面も存在した。だが、これによって一方的に諸藤に日本チームの勝ち目を下げられた、というわけではない。

「例えば、自分で全員のデッキをピックする事だって可能ではあるんですよ。ただ、そうした場合、僕の価値観で構築されたデックが3つできるだけじゃないですか。結局、デッキが勝てるかっていうのはそのデッキに勝てるヴィジョンがあるかっていう事なんですけど、それを使うプレイヤーが勝てるかっていうと、やはり同じようにそのプレイヤーの中に勝てるヴィジョンが構築されてないと、ダメなんですよね。」

石田 格に、チームロチェスターでの日本チームの立ち振る舞いについて聞いてみた所、上記の様な意見がもらえた。

例えば、石田は「ドラフトウィザード」と呼ばれ、司令塔としてピックをすべてコントロールするかのようなイメージがあるが、実際のところは、何枚かのカードを提示してその中から選んでもらったり、逆に欲しいカードを提示してもらって、その上でカットとどちらを優先するかを判断する、というように「相手に自分のデック構築への判断をゆだねる」部分を作ることも多いという。なぜなら、「プレイヤーの中に勝てるビジョンを構築」させるためだ。

そう考えると、カードを提示することと、否定する事によってお互いの価値観を擦りあわせたり、本人が望むカードを単純なカードパワーより優先させる事が、諸藤の勝率を上げる事に貢献していると言うのは否定できないだろう。

さて、石田が属してきたチームがそれぞれ(多少形は違えども)「ワントップチーム」である事は周知の事実であろうと思われるが、今回のラウンドでの対戦相手であるスロバキアチームは石田が言うところの「表彰台型」という変形ワントップチームだ。

C席のTakacとB席のJurkovicによる多少のディスカッションもあるのだが、基本的には全てのピックの決定権をスロバキア・チャンピオンでもあるJurkovicが持っており、逆にFlochはほとんど意見を出さずに、指示に従ってピックするだけだ。

実際、日本チームがピックしてる間はディスカッションなどをしていても、自分のチームのピックになった瞬間に、順にカードを指し示していくJurkovicの姿にはちょっとした威圧感を感じるくらいだ。

このタイプのチームの場合、一人のデックを決めれば、残りの2人はかなり自由度の高い構築ができるため、スロバキアチームのデックの色はラウンド2で紹介したような基本的な色分担とはかなり変わっている。

CのFlochに速攻型のボロスが割り振られ、Jurkovicがゴルガリ・Takacが緑中心の4色となっている。メインで青を使ってるプレイヤーはおらず、Takacがタッチで使っているのだが、それだけでなくJurkovicも結構な数の青のカードをピックしている。大礒など「全員タッチ青までありうる」といっていたぐらいだ。

一方の日本チームはおなじみの、

大礒:ディミーア
諸藤:ボロス
志村:ゴルガリ・セレズニア連合軍

という標準構成を貫いた。

Razia, Boros Archangel

ところで、この3人、前述のようにお互いの意志をかなりはっきりと提示する場面が多かった。ここまで多くのディスカッションをしていたチームはあまり見ない。というわけで、日本チームの特色のひとつとして、彼らのディスカッションをいくつか紹介したいと思う。

ちなみに、ここまであえていっていなかったがチームロチェスター中はチーム間で声を出すことは禁止されている。つまり、全てはジェスチャーによって示されているのだが、部分によっては勝手に翻訳させてもらっていることをご了承願いたい。

8パック目。相手チームがさきに3人ピックするこのパックで登場した《感電の弧炎/Galvanic Arc》に対して諸藤がピックしたいと主張。その意見には頷いた大礒だったが、そのまま対戦相手のボロス担当であるFlochを指し示す。諸藤は至極納得した表情。

13パック目の諸藤のパック。この時点ですでに諸藤は2枚の《感電の弧炎/Galvanic Arc》を手に入れていたのだが、ここからもまた《感電の弧炎/Galvanic Arc》が登場。しかしカードを並べていくとレアポケットは《ボロスの大天使、ラジア/Razia, Boros Archangel》。

ぜひともこのクリーチャーを取りたいと主張する諸藤だったが、大礒・志村ともに《感電の弧炎/Galvanic Arc》を主張。なかなか折れない諸藤に志村が両手を縦に横にと何度も広げ、やっとこさ「重たいデックが重たくなるから、やめた方がいい」という主張が通り、諸藤は3枚目の《感電の弧炎/Galvanic Arc》ゲット。

日本対スロバキア

続いて14パック目。基本的に選択肢が1つでもお互いの意思確認をする志村と大礒なので、大礒のパックからでた《叫び回るバンシー/Keening Banshee》を一応ピック候補として確認する志村。それに対して「当然さ」とばかりにゆっくりと親指をあげ、Goodのサインを指し示す大礒。そこで、レアの《エンチャント複製/Copy Enchantment》に興味を示した諸藤が指を差した瞬間、2人同時に両手を交差させてNGのサイン。君たちはチャンバラトリオか。

さて、そんなチャンバラトリオ、もとい日本代表チームだが、ここまで3連勝と絶好調である。予選ラウンドではなかなか成績がふるわず、4日目開始時点では上位に少し離された8位だったが、団体戦での大躍進により一気にその順位を上げ、アメリカチームが負けても勝利すれば、また、アメリカチームが勝った場合は引き分け以上でプレイオフへの出場権を手に入れることとなる。

ちなみに、スロバキアチームは、諸藤・大礒に勝利して2-1すると予想しているが、ぜひとも予想を覆して日本チーム初のプレイオフ出場を果たしてもらいたい。そしてぜひとも、彼らのディスカッションを披露してもらいたい。

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