Feature: 第2ドラフト4番卓、という物語

Posted in Event Coverage on September 2, 2005

By Daisuke Kawasaki

またも激戦区となった第4番卓で、津村 健志(右)に注目したい

さて、これはあくまでも筆者の個人的な感想なのだが、何故かドラフトの第4ポッドというのは不思議と強豪プレイヤーや有名プレイヤーが集まるように出来ているように思われる。その日の最強のプレイヤーが集まるのは当然全勝もしくはそれに準じる成績の集まる第1ポッドなのだが、第4ポッドには華がある。

昨日も、第4ポッドを花形卓として、総力特集を組んでみたのだが、今日も昨日に負けず劣らず華のあるプレイヤーが集まった。

1 藤田 修(京都)
2 oks oliver (神奈川)
3 藤田 憲一(東京)
4 大澤 拓也(神奈川)
5 斉藤 友晴(東京)
6 津村 健志(広島)
7 廣澤 遊太 (大阪)
8 森 勝洋(東京)

どうだろう? 並んでいる名前を見ているだけでもワクワクしてこないだろうか? 
そう、それが華があるという事なのだ。それが第4ポッドの持つ魔力であり魅力なのだ。

それでは、そんな第4ポッドを津村のピックを中心に見ていきたいと思う。

■神河物語

《木霊の力/Kodama's Might
《氷河の光線/Glacial Ray
《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder
《松族のおとり/Matsu-Tribe Decoy
《蛇の皮/Serpent Skin
《緊急時/Time of Need
《九輪杖/Nine-Ringed Bo
《灰色肌のずべら/Ashen-Skin Zubera
《灰色肌のずべら/Ashen-Skin Zubera
《謙虚な武道家/Humble Budoka

緑のユーティリティを中心にピックしている。というか、緑のユーティリティは強力なものが集まっているが、それ以外は皆無といった状態だ。2手目で赤の強力カード《氷河の光線/Glacial Ray》をピックしたものの、その後赤にめぼしいカードは出現せず、8手目で黒への可能性を伸ばすべく《灰色肌のずべら/Ashen-Skin Zubera》に手をかけている。この時、相当長考をしていたのが印象的だ。

ちなみに、この時ずべらに手を伸ばした時の感想を津村に聞いてみた。

津村:んー、一応《氷河の光線/Glacial Ray》はとってみたものの、全く赤が来なかったじゃないですか。なんで、黒の可能性を微妙につくりつつ、謀叛で除去が取れた方の色に寄せようと思ってたんですよね。

さて、そんな津村の謀叛のピックを見てみると…

■神河謀叛

《崩老卑の囁き/Horobi's Whisper
《崩老卑の囁き/Horobi's Whisper
《死蔵の世話人、死零/Shirei, Shizo's Caretaker
《鱗の大男/Scaled Hulk
《竹沼の嫌われ者/Takenuma Bleeder
《桜族の春呼び/Sakura-Tribe Springcaller
《鱗の大男/Scaled Hulk
《骨奪い/Skullsnatcher
《春の先駆け/Harbinger of Spring
《這い回る不浄/Crawling Filth

黒祭開催。
ちなみに、この物語終了時点での卓の色分布は以下の通り。

1 藤田(修) 緑(赤)
2 oliver  赤黒
3 藤田(憲)  赤黒
4 大澤  緑(青赤?)
5 斉藤  白
6 津村  緑(赤or黒)
7 廣澤  白赤
8 森   黒青(赤?)

二席上に座る大澤が緑でなんとか形にしようとしているものの、緑をメインに入れているのは、上流だと藤田 修までいない。可能性として考えた場合、赤中心であるものの、クリーチャーが全く取れていない大澤、上のoliverと二色丸かぶりの藤田(憲)が緑に行く可能性があるが、逆に上下を挟んでいる斉藤と廣澤の二人は白が非常に濃いピックを行っており、特に斉藤など、ほとんど白単で構築している。

つまり、この先しばらく緑は安泰といえるだろう。

緑中心にデックを構築した場合、やはり問題になってくるのが、除去、及び突破力となる。

その事を熟知しているであろう津村は、物語である程度のレベルの緑を確保できると判断した所で、もっとも組み合わせたいであろう二色の両方への可能性を残し、見事に決めたのだ。もしも、2手目の《氷河の光線/Glacial Ray》にこだわっていたら、謀叛の黒祭には対応できなかったかもしれない。

さて、こうして2色目を黒に固定する事に成功した津村だったが、卓の他のプレイヤーはどうだろうか?

謀叛終了時の卓の色分布は以下のようになっている。

1 藤田(修) 緑青
2 oliver  赤黒
3 藤田(憲)  赤黒
4 大澤  緑(青赤?)
5 斉藤  白(黒?)
6 津村  緑黒
7 廣澤  白赤
8 森   黒青

大きな変化としては、まず、1番の藤田(修)が、oliverと藤田(憲)の赤黒での意地の張り合いに愛想をつかして赤を見切って青へと手を伸ばしている。

前述のように津村は二色目を黒に固定し、他のプレイヤーはそれぞれ今まで通りの色を主張している。

唯一、大澤だけが、一色目をなんとか緑に固定しようと奔走するものの、藤田(修)・津村ほどの優良カードに恵まれず、かといってサイドカラーにも特に見るべきものの無いという、俗に言う「ぐちゃった」ドラフトになってしまっている。

話を津村のピックに戻そう。

物語で緑のユーティリティ・謀叛の序盤で黒の除去をある程度まとめて確保した津村が次に手に入れたいのはなんだろうか? 言うまでもなく、それは安定した勝ち手段。つまりクリーチャーである。ここで、津村がクリーチャーを入れる為にどう動いたかを補足しておきたいと思う。

まず、4手目にピックしている《鱗の大男/Scaled Hulk》、実はこの順目には津村にとって2枚目となる《死蔵の世話人、死零/Shirei, Shizo's Caretaker》が存在していたのである。津村が既にピックしている《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》《灰色肌のずべら/Ashen-Skin Zubera》と強力なシナジーを形成するが、なにより救済で《生命の咆哮の思念/Shinen of Life's Roar》が取れた時に、無敵モードを発揮する。トリック中心に組まれた津村のデックにおいてはキーカードともなりうるカードである。

しかし、ここで津村は《鱗の大男/Scaled Hulk》をピックしたのである。

津村:まぁ、正直クリーチャーの突破力がなさ過ぎるじゃないですか。救済で《生命の咆哮の思念/Shinen of Life's Roar》をとれるんなら《死蔵の世話人、死零/Shirei, Shizo's Caretaker》でいいんですけど、もし《生命の咆哮の思念/Shinen of Life's Roar》がとれなかったら、自力で突破できるクリーチャーが必要になるなと。あと、《緊急時/Time of Need》も取ってましたしね(笑)

ちなみに、津村のデックには《緊急時/Time of Need》で持ってこれるクリーチャーは《死蔵の世話人、死零/Shirei, Shizo's Caretaker》以外に入っていない。

同じような理由で5手目に《竹沼の嫌われ者/Takenuma Bleeder》をピックした時にも、《そう介の召喚術/Sosuke's Summons》をスルーしている。

こうして着々とデックを完成させていっている津村の救済のピックをみてみよう。

■神河救済

《生命の咆哮の思念/Shinen of Life's Roar
《影麻呂の手中/Kagemaro's Clutch
《生命の咆哮の思念/Shinen of Life's Roar
《夜泥の神/Nightsoil Kami
《荒れ狂う鬼の奴隷/Raving Oni-Slave
《死の否定/Death Denied
《確約の神主/Promised Kannushi
《内静外力/Inner Calm, Outer Strength
《空麻呂の末裔/Descendant of Soramaro
《道三の最古の詠唱/Dosan's Oldest Chant

どうだろう? きっちりと《生命の咆哮の思念/Shinen of Life's Roar》を確保している。それも2枚も。これが物語の力なのか? これが華の持つ力なのだろうか。世界を物語ととらえた場合に、その物語にうまく乗っていける能力を持った人間を華と呼ぶ。

だが、順調に進んでいるように見える津村のデックにもやはり欠点は存在する。

津村:システムは強いんですけど、細いですよね。んー弱いデックではないですけど、がんばって2-1がいいところかなぁ…っていうか2-1しないと目がなくなっちゃうんで、2-1するしかないですけどね…

かくて、強い意志を持って2-1出来るデックを作り上げようとした津村。日本選手権という物語はその津村の意思にどのような結末を与えるつもりなのだろうか?

なお、津村が森 勝洋と戦った第一戦はフィーチャリングマッチとして取り上げられているのでご一読いただきたい。

さて、ドラフトとは、8人全員で一つの物語を作り上げるレギュレーションである。なので、津村ばかりでなく、他のプレイヤーにも目を向けてみよう。

最終的な卓の色分布は以下のようになった。

1 藤田(修) 緑青
2 oliver  赤黒
3 藤田(憲) 赤黒
4 大澤  緑青赤
5 斉藤  白黒
6 津村  緑黒
7 廣澤  白赤
8 森   黒青

花形の第4番卓より

藤田(憲):全然ダメだね

デック構築直後話を聞きに言った筆者に藤田(憲)はこう言い放った。

藤田(憲):上(oliver)が丸かぶりだろ。でも、初手が《肉体の奪取/Rend Flesh》以外取るものが全くなかったからなぁ…

――キャラ的に黒、って言うのはなかったんですか?

藤田(憲):いや、勿論あったよ。あったけどさぁ…っていうかパックが弱すぎるんだよ!途中で緑に流れればよかったんだろうけど、気がついた時には手遅れだったよ。

――ちなみに、予想される結果は?

藤田(憲): (胸を張って)0-3

0-3と豪語する藤田(憲)だが、藤田(憲)には、唯一の10年連続出場選手、そして古豪の復活という物語がバックに控えている。物語の力に乗り切れれば…と思う暇も無く、よりによって対戦相手は上で丸かぶりのoliver。

一本目を勝利した時には、自分でも信じられないといった顔で筆者の方を見ていた藤田(憲)だったが、その後結局二本取られて、筆者に「予定通りだよ」と苦笑いをしていた。

ドラフト最終戦の10回戦をからくも勝利し、ギリギリ望みを繋いだ今、我々に「10年目の日本選手権」をいう物語を見せてもらいたいと、個人的には期待している。

藤田(修):っていうか、パック全体的に弱いでしょ?

廣澤との勝負に負けた藤田(修)はこう語る。

藤田(修):自信?ないよ!もうね、1-2が限界。終了かな?

今回の第4ポッドで話を聞いたプレイヤー全員がそう答える。「今回のデックはかなりやばい。2勝もできなそう」と。

藤田(修):もう、なんとか緑を決めたものの、どうしようもなかった。上(森)が青やってるのわかってたけど、もう青に逃げるしかなかったしね。

下の二人(oliver・藤田(憲))が赤黒をやっている以上、逆周りの謀叛では赤も黒も期待できない。

藤田(修):二枚目が流れてきたの《ゆらめく玻璃凧/Shimmering Glasskite》でやっと青に行こうと思ったよ。今思えばアレが失敗だったね。1枚目から青に行っておくべきだった。

そんな藤田(修)に卓全体の感想を聞いてみた。

藤田(修):一番デックがまとまってるのは廣澤なんじゃないかな。もしくは津村。

津村のデックは上で詳しく解説している通りだが、廣澤のデックは、これもまたかなり良くまとまった白赤だ。初手《氷河の光線/Glacial Ray》、2手目《蛾乗りの侍/Mothrider Samurai》から白赤にまっすぐ進んだ廣澤はポジション取りに大きく成功し、かなりのポテンシャルを持つデックに仕上げている。

藤田(修)との1戦目を危なげなく勝利した廣澤は、森との2戦目もからくも勝利し、3-0を賭けてフィーチャリングテーブルへと呼び出される事になる。

卓の中でもっともまとまったデックを持った廣澤の対戦相手となるのは誰か?

藤田(憲)との赤黒マッチを上家の優位で押し切り、デックとしてもかなり強力な赤黒を組み上げているoliverだろうか?

もしくは、廣澤と同様に白をピック。初手《兜蛾/Kabuto Moth》から、ほぼ白単色に組み上げ、タッチで黒を足した、これもよくまとまったデックである斉藤だろうか?

それでは、第八回戦(セカンドドラフト1回戦)を終えた斉藤の話を聞いてみよう。

斉藤:いや、相当強いデックに仕上がった自信がありますよ。卓の中で一番強いかもしれない。

白が上に全くいない状況で作り上げた白単タッチ黒、斉藤が自信を持つのも当然だろう。

斉藤:…のはずだったんだけどなぁ…

と言葉を濁す斉藤。

斉藤:1戦目はトリプルマリガンから事故ってボロ負け。2戦目は相手が事故りまくりで楽勝。3戦目は土地しか引きませんでしたよ。

そんな斉藤に勝利した相手は……なんと大澤である。
津村のピックを紹介する中でも、大澤のピックのグチャリ具合については少し触れたが、最終的に出来上がったデックも相当に弱い。0-3を自己申告している藤田(憲)のデックと五分か、それ以下まである。

そんな感じで、無理矢理纏め上げたものの、かなり無理が出てきてるデックを使用する大澤だが、2戦目の対戦相手であるoliverにも2本連取してしまった。

大澤:1本目は相手が色事故。2本目は(ライブラリーの)トップが常に最強。

そう語る大澤。大澤が運だけで勝ちあがるようなプレイヤーではないことはみなさんもご存知だろうと思うが、それにしても今回の大澤の全開っぷりはすさまじい。

――今回はきてる?
大澤:相当キてますね。

師匠である浅原同様、大澤のもとにも神が降臨してきたようだ。G.O.D.(God Of the Drafting)が。

そして、第10回戦フィーチャリングテーブルで、もっともまとまったデックを用意した廣澤と、もっともぐちゃったデックを用意した大澤との対決がはじまる。

果たして、花形の第4ポッドを制するのはどちらか。

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