Feature: Player of the Year 2005 津村 健志(広島)

Posted in Event Coverage on December 3, 2005

By Keita Mori

歴史的な「最強チーム」ということが証明された2004年度日本代表

2004年10月からはじまった14ヶ月間の死闘の果て、19歳の若者が日本人として初の栄冠を勝ち取ることになった。一年間を通じてもっとも活躍したプレイヤーを表彰するシーズンMVP、「2005年度プレイヤー・オヴ・ジ・イヤー」に津村 健志(広島)が輝いたのだ。これは、F-1で言うところのドライバーポイント最多獲得者、つまりワールドチャンピオンにも相当する快挙である。

それにしても…ほんの一年前まで、津村は日本選手権の出場権を前日予選に頼らなくてはならないような一介の高校生だったということは強調しておかなければならないだろう。

彼は「親和」デッキによって「駆け込み」で2004年の日本選手権の出場権を獲得し、その大会で見事に準優勝。藤田 剛史(大阪)と中村 修平(大阪)をチームメイトとした日本代表チームの選手として、世界選手権サンフランシスコ大会に出場を果たした。そして、世界最高峰の舞台では苦い経験 をさせられながらも、この2005シーズンに本格的な国際派プロプレイヤーとしての活動を開始したばかりなのだ。

ちなみに、サンフランシスコで津村にとっての「因縁の相手」となったのがGeoffrey Siron(ベルギー)。彼もこの2005シーズンに大ブレイクを成し遂げており、7月にはプロツアー・ロンドンでチャンピオンに輝いた。それだけに、津村とSironという若い二人の強豪のリマッチも興味深いトピックとなることだろう。

また、藤田 剛史(王者)、津村 健志(準優勝)、中村 修平(補欠繰り上がり)という2004年度の日本代表メンバーが揃ってこのシーズンでは活躍したことも付け加えておかなくてはならない。

藤田が2回(ロンドンとロサンゼルス)、津村が3回(アトランタ、フィラデルフィア、ロサンゼルス)、中村が2回(コロンバス、世界選手権)という具合に「3人で7回のプロツアーサンデー進出」を果たしているのだ。これはもう、異常なパフォーマンスとしか言いようが無い。

さて。

津村 健志という偉大なるプレイヤーの足跡をご紹介するインタビューを始めるにあたって、まずはシーズン通算のパフォーマンス一覧表を見ていただこうか。


■津村 健志、2005年の歩み

日時イベント順位賞金(ドル)累計賞金PTP累計PTPDeckDesigner
10/2004PTコロンバス (Extended)212250225077Black Desire森 勝洋
11/2004GP横浜 (Booster Draft)4200225007
1/2005GP大阪 (Team Limited)4667291729
1/2005PT名古屋 (Rochester Draft)17702917211
2/2005GPボストン (Extended)272503167112Scepter Chant自作
3/2005GPシアトル (Extended)6203167012Black Desire森 勝洋
3/2005PTアトランタ (Team Limited)4540085671224
3/2005GPシンガポール (Extended)5400024Black Desire森 勝洋
5/2005PTフィラデルフィア (Kamigawa Block)212275208422044Myojin石田 格
5/2005GP松山 (Booster Draft)1925021092145
7/2005PTロンドン (Booster Draft)160021092247
7/2005GP新潟 (Kamigawa Block)680021892350Godo Gift森 勝洋
8/2005GP台北 (Kamigawa Block)1450022392252Godo Gift森 勝洋
8/2005GPソルトレイクシティ (Kamigawa Block)3120023592456Godo Gift森 勝洋
10/2005PTロサンゼルス (Extended)315000385921672Dredge-a-Tog石田 格
11/2005GP北九州 (Extended)1250039092274Scepter Chant森 勝洋
11/2005GP北京 (Extended)880039892377Dredge-a-Tog石田 格
12/2005世界選手権(Standard/Draft/Extended)21225042142784WG Glare (STD)Internet
Dredge-a-Tog (EXT)石田 格
12/20052005 Player of the Year Prize !11200054142784

津村 「とにかく、みなさんのおかげですよ。特にかっちん(森 勝洋)とイタルさん(石田 格)に完全に頼り切っているというか、単純に強いデッキをいつも提供していただけてるんで、ホントありがたいです。それにつきます。」

2005 Player of the Year

この14ヶ月で津村はプレミアイベントに18回出場しており、そのうちの7回で決勝ラウンドに勝ち進んでいる。成功をおさめた7回のイベントの内訳をフォーマット別に分析すると、

・チームリミテッド 2回
・神河ブロック構築 3回
・エクステンデッド 2回

と、確かに構築フォーマットにおける驚異的な勝ちっぷりが目に付く。

そして、それらはすべて森 勝洋(東京)と石田 格(東京)という素晴らしいデッキビルダーの名前がクレジットされた「ブランドもの」だ。

津村 「かっちんと知りあえたのが、ちょうどこのシーズンの最初、コロンバスだったんですよね。同じ広島のイソさん(大礒 正嗣)と仲が良いってことで紹介してもらって、そこで初めてモリカツデッキを使わせてもらいました。すごい使い心地が良かったし、プレイするのが本当に面白いんですよね。思えば、あれが(今年の大躍進の)キッカケかもしれないです」

モリカツブランド初体験となったコロンバスで、津村は見事に21位というマネーフィニッシュを果たしている。そして、ここで得た2250ドルという賞金によって「少なくとも渡航費をペイできるようになった」ということは、津村が2005シーズンを戦い抜いていく上での大きな大きな自信となり、本気でカードゲーム・プロとして打ち込みたいという熱意を両親に伝えるにあたっての説得材料にもなった。「採算性」というのは、いかなるジャンルであってもプロフェッショナルを名乗る以上は重大なファクターだ。

そして、両親と家族の理解とバックアップを得た津村は、大礒 正嗣(広島)という最高の相棒とともに北米グランプリ巡業をスタートする。今までの日本のプレイヤーたちのキャリアを考えると、海外のグランプリに参加するために武者修行の旅へ出るというのは、身近なアジア圏を別にすれば考えられないことだった。

津村 「関西の皆さんやイソさんと一緒にアメリカをまわれたのは、世界選手権でSironに植えつけられた苦手意識を克服するのに大きく役立ちました。あと、友達がたくさん出来たのも嬉しいですね」

GP新潟では津村と大礒が準々決勝で直接対決を行った

海外遠征によって精神的な強さを見につけた津村は、ほどなく国際舞台でのブレイクを果たすことになる。そう、グランプリ横浜でベスト4入りを果たした"One Spin"として、斉藤 友晴(東京)と鍛冶 友浩(埼玉)とともにプロツアー・アトランタの決勝ラウンドへと勝ち進んだのだ。

津村 「PTアトランタで勝てたのも、GP大阪で勝てたのも、ほとんど、正直KJ(鍛冶)と友晴さんのおかげですね。環境で巧くいく方法(=ストラテジー)を二人に作り出してもらって、ずっと僕は青白という役割だけに専念しましたから。プレイスキルという意味では、やっぱり身近にイソさんという凄いプレイヤーがいてくれるので、彼から勉強させてもらってます。正直、運良くプレイヤー・オヴ・ジ・イヤーは僕が取れましたけど、イソさんは学業でPTフィラデルフィアをパスしてますから。ほんと、実力面ではぜんぜん足元にもまだって感じです。特にリミテッドは、もう…」

かつてのこの世界を支配したKai Budde(ドイツ)のルームメイトだったPatrick Mello(ドイツ)もまた強豪であった。偉大なる帝王たちの先例のように、津村は同郷の大礒から多くを吸収し、津村が伸びた分だけ大礒もまたフィードバックを得ているという…実に素晴らしい共生関係が広島の地では実現していると言えるのではないだろうか。

ところで、大礒がPTフィラデルフィアの参戦を見送らざるをえなかったということは、同時に津村は地元広島では満足のいくプレイテストを送れなかったことを意味している。それゆえに、練習相手をもとめて津村は上京し、そこで浅原連合のメンバーをはじめとする関東勢との交流を深めることになった。そして、津村は石田 格(東京)の知遇をえるようになり、石田のデザインした明神デッキ"KDW"をシェアされ…プロツアー2大会連続での決勝進出を果たすのである。


Kenji Tsumura

Download Arena Decklist

津村 「イタルさんは本当に尊敬しています。イタルさん、かっちん、ローリーさん(藤田 剛史)、AA(浅原 晃)さん…この四人のデッキ構築力は凄いレベルです。単純に、構築イベントで日本勢が勝っているのは、そういう人たちの作った素晴らしいデッキが日本勢みんなにシェアされているだけじゃないですかね。中でも、僕がイタルさんとモリカツのデッキが好きなのは、本当に使って面白いっていうのがあります。強い、面白い、奥が深い。ほんと、そういうデッキを使わせてもらえているっていうだけなんです。」

なるほど。

津村はデザイナーでもマルチタイプでもなく、純粋な「プレイヤー」というキャラクターを明確に持っているようだ。そして、一流のパイロットが最高のマシンを手に入れることが出来る環境にある以上、津村が驚異的なパフォーマンスをレースで見せ続けたのは必然的なことだったのかもしれない。魚は、水を得たのだから。

津村 「こうして一年を振り返ってみると、単純に神河ブロックという環境が僕にあっていたのかもしれませんね。《けちな贈り物/Gifts Ungiven》っていうのは僕が一番大好きなカードですし、エクステンデッドの発掘サイカトグでも、フィラデルフィアでの明神デッキでも、ゴドウ=ギフトでも、とにかく僕は《けち》を撃っていますからね」

たしかに、この一年間に津村 健志が《贈り物》をプレイしたことで得たものは、

PTフィラデルフィア準優勝 (明神)
GP新潟6位 (ゴドウ=ギフト)
GPソルトレイクシティ3位 (ゴドウ=ギフト)
PTロサンゼンルズ3位 (発掘サイカトグ)
GP北京8位。 (発掘サイカトグ)

と、絢爛たる戦果の数々。

実際、世界でたった一人しか得ることの出来ない《豪華な贈り物》をも津村は手にしてしまったわけだから…まさしく津村は《けちな贈り物/Gifts Ungiven》とともにある存在と言えよう。

石田 格のアドバイスは、津村のプロツアー準優勝に大きく貢献した

津村 「なんにしても、僕はまだまだ全然というプレイヤーですよ。構築力はさっき挙げたような人たちの足元にも及ばないし、そもそもリミテッドともなるとプレミアイベントの初日突破すら難しい状態ですから。イソさんや森田(雅彦)さんのプレイを見るたびに、自分もああいうレベルに近づきたいと思っています。あと、心配なのは…全然ラヴニカの環境がつかめないんですよね。ギルドだらけで多色化しすぎっていうか、正直、これからもっともっと練習していかないと」

栄冠を手にした若者は、驚くほどストイックで、決して奢らない。来年も海外へ武者修行の旅に繰り出すという津村。間違いなく、まだまだ強くなっていくことだろう。

津村 「これだけは言っておかないといけないと思うんです。桧垣(貴生)さん、上野(一樹)さんをはじめとした、広島の皆さんが練習につきあってくれた『勝てない時代』があったからこそ、今の自分があると思います。本当にありがとうございました。これからも宜しくお願いします 」

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