Japanese Coverage of 2008 Grand Prix–Kobe

Posted in Event Coverage on July 30, 2008

By Wizards of the Coast

神戸の地では伝説が生みだされる。

高橋 優太(大阪)は、グランプリ静岡でチャンピオンになったばかりにも関わらず、このグランプリ神戸の地でも、高木 隆之(千葉)との決勝戦を制し新たな伝説の張本人となった。

国内グランプリで二大会連続という、日本人としては初の快挙である。

そう、神戸の地で、また新しい伝説が生まれたのだ。

ローウィン=シャドウムーア・ブロック構築をふりかえると、ローウィンブロックの部族シナジーの存在が重くとらえられていた。シャドウムーア・ブロックのカードで新たなアーキタイプが生まれることは無いだろうと考えられていた。

しかし、その期待はいい意味で裏切られ、たしかにシャドウムーア・ブロックは大きなインパクトを環境に与えていた。

そして、決勝戦の最後の最後にゲームを決定したのも、《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》といカードであった。

だが、どんな環境であっても、マジックである限り変わらない理がある。

それは、研鑽と情熱こそが、素晴らしい歴史を残すということ。

おめでとう、高橋 優太!二大会連続のチャンピオン!


top 8 bracket

Quaterfinals

Masaya Tanahashi

Tsuyoshi Ikeda

Katsuya Ueda

Yuuta Takahashi

Shou Yoshimori

Koutarou Ootsuka

Hirosi Yosida

Takayuki Tagaki

Semi-finals

Masaya Tanahashi, 2-1

Yuuta Takahashi, 2-1

Shou Yoshimori, 2-1

Takayuki Tagaki, 2-1

Finals

Yuuta Takahashi, 2-1

Takayuki Tagaki, 2-0

Champion

Yuuta Takahashi, 2-1

EVENT COVERAGE

  • Photo Essay: GP神戸のサイドイベント
    Keita Mori
  • 決勝: 高橋 優太(東京) vs. 高木 隆之(千葉)
    by Masashiro Kuroda
  • 準決勝: 高橋 優太(東京) vs. 棚橋 雅康(新潟)
    by Daisuke Kawasaki
  • 準々決勝: 棚橋 雅康(新潟) vs. 池田 剛(福岡)
    by Daisuke Kawasaki
  • Info : Top 8 Decklists
    by Event Coverage Staff
  • Info: Top 8 Player Profiles
    by Keita Mori
  • Round 15: トップ8をめぐる戦い
    by Daisuke Kawasaki
  • Info: Day 2 Breakdown
    by Jun’ya Takahashi
  • Round 13: 清水 直樹(東京)vs. 池田 剛(福岡)
    by Keita Mori
  • Round 13: 格付けしあう男たち
    by Daisuke Kawasaki
  • Ask Wizards: 射場本 正巳 & 真木 孝一郎
    by Keita Mori
  • Round 11: 石川 錬(神奈川) VS 塩津 龍馬(愛知)
    by Daisuke Kawasaki
  • Info: Day 1 Undefeated Decklists
    by Event Coverage Staff
  • Round 10: 池田 剛(福岡) VS 植田 勝也(愛知)
    by Daisuke Kawasaki
  • Info : Day 2 Player List
    by Event Coverage Staff
  • Day 1 Blog: Quick Questions, Feature Matches, and More!
    by Event Coverage Staff
  • Info : Day 1 Player List
    by Event Coverage Staff
  • Info: Fact Sheet
    by Event Coverage Staff

INFORMATION

     
1. Yuuta Takahashi $4,000
2. Takayuki Tagaki $3,000
3. Masaya Tanahashi $2,000
4. Shou Yoshimori $2,000
5. Hirosi Yosida $1,500
6. Katsuya Ueda $1,500
7. Koutarou Ootsuka $1,500
8. Tsuyoshi Ikeda $1,500

pairings, results, standings

Pairings

15 14 13 12 11 10

9 8 7 6 5 4 3 2 1

Results

15 14 13 12 11 10

9 8 7 6 5 4 3 2 1

Standings

15 14 13 12 11 10

9 8 7 6 5 4 3 2 1


Round 10: 池田 剛(福岡) VS 植田 勝也(愛知)

By Daisuke Kawasaki

初日全勝の池田「グランプリ神戸、第10ラウンドを開始してください」

と、ヘッドジャッジのアナウンス。

というわけで、グランプリ神戸二日目最初のフィーチャリングマッチでは、初日全勝同士のこのマッチアップをお届けしよう。

植田 勝也(愛知)は、昨年末のThe Limitsでトップ8入賞をはたし、グランプリ静岡でも活躍の兆しを見せていたプレイヤー。今回、前日トライアルからの連勝によって、本格的なブレイクが期待される新鋭である。

使用デックもフェアリーであり、同じデックをシェアした友人の成績も順調というかなり自信のあるチューンナップのようだ。

そんなブレイクもくろむ植田に対して、ボスキャラ然と待ち受けるのは、池田 剛(福岡)。改めて戦績を紹介するまでもないほどの強豪であり、長い日本のマジックの歴史の中でフラグシップをとり続けてきたひとりである。

使用するデックは、藤田 剛史(大阪)謹製の、赤単シャーマン。

この神戸の地で、藤田ブランドの赤単が初日全勝するというだけで、プレイヤーが池田でなくても、なにか壮大な物語が紡がれることを期待したくなってしまう。

ましてや、それが、池田なのならば、なおさらだ。

はたして、唯一の全勝という、中盤のフラグシップへと王手をかけるのは、期待の新鋭か、それとも熟練の古豪か。

Game 1

先手は池田。

《山/Mountain》セットからの《威嚇者の信徒/Intimidator Initiate》キャストから、2ターン目には《煙束ね/Smokebraider》を場に追加する。

この《煙束ね》をターンエンドに《コショウ煙/Peppersmoke》しながら、2ターン目には《苦花/Bitterblossom》を設置する植田。

ここで、1ターン土地が止まった池田は、《難問の鎮め屋/Vexing Shusher》をキャスト、続く第4ターンにはなんとか、3枚目の《山》を手にいれ、事なきを得る。これで、安心して、やっとこさ初手から持つ《炎族の先触れ/Flamekin Harbinger》で《憤怒の鍛冶工/Rage Forger》を積みこめる。

《難問の鎮め屋》へと《名も無き転置/Nameless Inversion》が打ち込まれれば、池田も負けじとフェアリートークンへと《つっかかり/Lash Out》をキャスト。この激突でめくれたのが、《謎めいた命令/Cryptic Command》。しかし、植田は、4枚目にセットした《人里離れた谷間/Secluded Glen》をアンタップでださない。

この動きを気味悪く感じたのか池田は、《憤怒の鍛冶工/Rage Forger》をキャストせずにターンエンド。そこで植田は《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》。この《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》には、2枚目の《つっかかり/Lash Out》を打ち込むが、ここで、またも植田は激突に勝利する。

なかなか思うように、ライフを削れない、池田。

本体に《炎の投げ槍/Flame Javelin》を打ち込み、植田自身の《苦花》リミッターもふくめて、なんとか、ライフを削りきれるプランは無いかを模索するが、《炎族の先触れ/Flamekin Harbinger》でつみこんだ《憤怒の鍛冶工》を打ち消した《砕けた野望/Broken Ambitions》が池田の希望も打ち砕いた。

植田 1-0 池田

池田 「激突2連続で負けたのが痛かった...どっちかでも勝ってればまだ全然勝てたのにね。《憤怒の鍛冶工》積んでて負けるとは思わなかったよ、このラインまでくると、対戦相手の運も帝王クラスやね」

初日全勝の植田Game 2

続いて先手の池田。曰く、先手で負けたのははじめてだという。

今度は1ターン目からの《炎族の先触れ》で《煙束ね》を積み込む。これに対して、植田は《名も無き転置》。池田は追加のクロックとして《威嚇者の信徒》を追加する。

ここで、植田、土地が2枚でストップする。池田の《威嚇者の信徒》を2枚目の《名も無き転置》で除去するが、池田も失ったクロックを取り返すべく、《炎族の先触れ》をキャストする。

そして、サーチせずにエンド。そう、池田も土地がストップしてしまったのだ。

この、土地2枚の我慢対決に勝利したのは池田、早速3枚目の土地をセットすると、《憤怒の鍛冶工》で一気に植田のライフを削る。

これで、自身の《苦花》が重荷となってしまった植田。

《憤怒の鍛冶工》を2枚の《コショウ煙》で除去しつつ、ライブラリーを掘り進め、なんとか土地を確保、《霧縛りの徒党》で《苦花》を覇権し、一時しのぐが、池田の2/2になった《炎族の先触れ》のチャンプアタックと、《タール火》で除去されてしまう。

ここにいたり、土地が4枚のままの植田。

なんとか、2体目の《霧縛りの徒党》によって、ついに池田の攻勢を押しとどめることに成功する。

しかし、植田のライフは残り3。ほんのひとつの要素で簡単に削りきられてしまう。

植田は土地が詰まった分芳醇であった手札によって、なんとか池田の攻撃をしのいでいくが、ここで池田はこの状況でベストに近いカードを引き当てる。

その名は、《難問の鎮め屋》。

そして、続くターンの池田のライブラリートップは、《憤怒の鍛冶工》。

植田 1-1 池田

Game 3

《島》2枚連続セットの植田に対して、池田は、2ターン目に《難問の鎮め屋》。

黒マナソースとして、《人里離れた谷間》をセットした植田だったが、この黒マナは《難問の鎮め屋》の除去ではなく、《苦花》の設置に使用する。

そして池田は《炎族の先触れ》から《憤怒の鍛冶工》をキャスト。2体目の《難問の鎮め屋》というおまけ付きだ。

すでに半ば絶望的な表情ながらも、なんとか《憤怒の鍛冶工》を除去する植田だが、池田が開示した手札がすべて火力な事を確認すると、茫然自失と土地を片付けたのだった。

植田 1-2 池田


Undefeated Day 1 decklists

By Event Coverage Staff

Tsuyoshi Ikeda

Download Arena Decklist
 

Masayasu Tanahashi

Download Arena Decklist
Planeswalker (2)
2 Ajani Goldmane
Sorcery (4)
4 Spectral Procession
Instant (6)
4 Unmake 2 Mirrorweave
Tribal instant (2)
2 Surge of Thoughtweft
60 Cards
 

Katsuya Ueda

Download Arena Decklist

Round 11: 石川 錬(神奈川) VS 塩津 龍馬(愛知)

By Daisuke Kawasaki

赤単色の塩津 龍馬構築・リミテッドを問わず数多くのトップ8経験を持つ「自称元リミテッダー」塩津 龍馬(愛知)と、「神」金子 真実(埼玉)や、「鬼神」八十岡 翔太(神奈川)を擁するIR四天王を率いる石川 錬(神奈川)による重量級な戦いを感じさせる一戦。

といっても、この二人が重量級というわけでなく、お互いがお互い別々の色ながらも、この環境では珍しい単色コントロールでの対決という話だ。

シャドウムーアブロックは、混成カードがおおいため、一見多色にみえて、実は単色というデックの構築が可能だ。

例えば、石川のデックの場合は、《運命の大立者/Figure of Destiny》や《損ない/Unmake》、サイドボードの《太陽と月の輪/Wheel of Sun and Moon》といったカードが同じデックの一色のマナベースで構築されているのだ。

そして、この《運命の大立者》が今度は塩津の赤単コントロールにも入っているというのだから、まったくこの混成ブロックというアイディアはいくらでも新しいデックの生まれる可能性を秘めている。

なお、この石川のデックは、「四天王末席」こと八十岡 翔太(神奈川)が自分のデックと別に構築したデックで、中島 主税(神奈川)と石川が使用している。

サブのデックを渡したふたりがかなり順調な成績を残しているのだが、はたして、メインのデックを使用している八十岡の成績は......今、八十岡がガンスリンガーをやっているあたりからお察しいただきたい。

Game 1

3ターン目から《幽体の行列/Spectral Procession》《黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane》《雲山羊のレインジャー/Cloudgoat Ranger》と流れるようなマナカーブで展開する石川。

石川が1ターン目に設置した《風立ての高地/Windbrisk Heights》の誘発条件を満たさないように、《穿刺破/Puncture Blast》や《炎の投げ槍/Flame Javelin》でトークンを除去しつつ、本体を狙って《黄金のたてがみのアジャニ》も除去する塩津。

さらに石川は場に《名誉の御身/Divinity of Pride》を追加。これはたまらないと、塩津は伝家の宝刀である《焼夷の命令/Incendiary Command》で場を一掃しつつ、ガンである《風立ての高地》を破壊。

しかし、石川の猛攻は止まらない。《静月の騎兵/Stillmoon Cavalier》と《メドウグレインの騎士/Knight of Meadowgrain》を場に追加する。

塩津は、手札を石川に公開する。

塩津 「手札真っ黒なんだけど。」

塩津の場には《山/Mountain》しかないが...手札は《復讐の亜神/Demigod of Revenge》。たしかに黒いが、赤マナでもキャスト可能だ。

しかし、塩津の場には、キャストするのに、十分な「点数分の」マナが無かったのだった。

石川 1-0 塩津

Game 2

IRこと石川 錬1ターン目にいきなり赤単殺しの《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender》でゲームをスタートする石川。

続く《メドウグレインの騎士》は《タール火/Tarfire》で除去するものの、ここで土地が止まってしまう塩津。

これぞ好機と、《幽体の行列》《雲山羊のレインジャー》とさらにクリーチャーを並べる石川。

そう、石川のデックは、コントロールといいながらも、その正体は、大量のトークンによるビートダウンなのだ。そして、ビートダウンといえば、土地が事故った対戦相手にはめっぽう強い。

塩津が3枚目の《山》を引いたときには、すでに勝負は決していた。

石川 2-0 塩津


Ask Wizards: 射場本 正巳 & 真木 孝一郎

By Keita Mori
Wizards of the Coast社の真木 孝一郎

かつてトーナメントプレイヤーとして名を馳せた二人の日本人がWizards of the Coast社に入社した。おそらく最近のマジック関連ニュースの話題の中でも、もっとも皆さんに関心を持っていただけるトピックではないだろうか。

そんなわけで、急遽”Ask Wizards”出張版をここ神戸からお届けみよう。

回答してくれるのは、プロツアーで決勝ラウンドに進出した経験もある射場本 正巳氏と、マジック・インビテーショナル出場経験を持つ真木 孝一郎氏の二人だ。まずは真木氏から。

――本日はお時間をいただきましてありがとうございます。まずは現在の業務内容を、差しさわりの無い範囲で教えていただけますか?

真木 「日本市場にとって、こうした方が楽しいよねってことをシアトル本社にインプットし続けるという仕事です。詳しくは言えないんですが、爆発的にマジックがドカーンといけるような仕掛けも考えていて、現在もなんとなく進行中ですので楽しみにしていて下さい。」

――このグランプリ神戸2008をどのようにご覧になっていますか?

真木 「800人を超える多くのプレイヤーの方が、すごく楽しそうに、そして真剣に遊んでいただけている良い大会ですよね。これまで以上に色々な層の方に楽しんでいただけるようにってのをテーマに、いままでのグランプリにはなかったような試みもいくつか直前に仕込んでみたんですが...マジックの祭典としてはまだまだ満足できる水準ではないですね。」

――パックウォーズ(1ブースターシールド)、スーパーグランプリトライアル、縁日(射的)といった、これまでのグランプリではなかなか見られなかったようなイベントが今回は実現していますね。

真木 「もちろん私一人で実現できたわけではなく、時間がないなかで色々なスタッフが頑張ってくれたからなのですが、こういった仕掛けがあった方が楽しいですよね。お祭りですし。このように色々な提案していくのが私の仕事ですね。今回も反省点や改善点が色々見つかっていますので、それを次回に活かしたいと思っています。これからもマジックをよろしくお願いします!」

Wizards of the Coast社の射場本 正巳

続いて射場本氏。

――本日はお時間をいただきましてありがとうございます。まずは現在の業務内容を、差しさわりの無い範囲で教えていただけますか?

射場本 「開発部で日々カードのテストをしたり、将来発売されるセットを面白くするために調整を繰り返しています! 世界でも有数のマジック大国として認められている日本のコミュニティは興味深いものです。今回は日本のマジックユーザーの生の声をシアトルにフィードバックするために、真木さんとは違った開発者の見地からこのグランプリも視察させてもらっています。」

――開発部、いわゆるR&Dですよね!?

射場本 「そうですね。マローをはじめとした個性的なメンバーがぶつかりあうクリエイティブな部門です。私は現在は日本での業務をメインとしていますが、本年度中にシアトルに行って本格的にR&Dでのバトルを開始する予定です。毎日カードに触れて議論を戦わせることができる最高の仕事だと思っています。」

――本当に夢のようなお仕事だと思いますが、射場本さんはどのようにそのドリームジョブをゲットされたのですか?

射場本 「私の場合は幸運な偶然が重なったものだと思っています。長年トーナメントに参加した経験が活かせる素晴らしい巡り会わせに感謝しています。 Wizards社のR&Dは常に新しいアイデアを求めていますし、クリエイティブな人材を募集しています。英語版のウェブサイトをチェックすると求人コーナーがあるので、興味のある方は一度覗いてみください。英語でのやりとりが必要になりますが、情熱をぶつけられる素晴らしい出会いが待っているかもしれません。」


Round 13: 格付けしあう男たち

By Daisuke Kawasaki

さて、この13ラウンドで、ちょうど隣り合う形で、ちょっと因縁めいた対決たちがフィーチャリングエリアに並んだので、ダイジェストに近い形でお伝えしよう。

■三原 槙仁(千葉) vs. 大塚 高太郎(神奈川)

大塚 vs. 三原まずは2006年世界王者の三原と、2007年世界選手権トップ4の大塚のマッチアップ。

さて、ともに世界選手権での日曜日経験をもつ、この二人だが、実は大塚がトップ8入りを決めたその対戦相手が、なんと三原だったのである。

この二人の対決は、レガシーというフォーマットという特殊さもあり、たったの3ターンで2ゲームを大塚が取るという強烈なものであった。

三原 「っていうか、大塚さんに勝ったこと無いんですよ」

三原といえば、「浅原さんにはあたりたくないんですよ」をはじめとした、様々な「あたりたくない相手」を持つプレイヤーとしても一部では有名である。多くの場合、大抵のプレイヤーが、「いやむしろこっちがあたりたくないよ」といいたいかもしれないが、そんな話はとりあえずおいておいて、大塚もそんなプレイヤーのうちのひとりなのである。

そんな三原の使用するデックは、高橋 純也(東京)の作による、多色シャーマンデック。

大塚のフェアリーとの対戦相性は、「ややいい」程度とのことだが、はたして、大塚の「人間力」はその相性差を巻き返すだけのものだったのだろうか。

Game 1

先手の大塚は、2ターン目に《苦花/Bitterblossom》...とは行かなかったが、しかし、3ターン目に《苦花》と、そこそこ順調なスタート。

しかし、三原の場にいきなり秘密兵器が登場する。

その名も《山背骨の発動/Knollspine Invocation》。

この事実上無制限のダメージソースを前に困った様子を見せる大塚だが、《ウーナの末裔/Scion of Oona》をキャストして、ダメージで先に勝利することを目指す。

三原は《炎渦竜巻/Firespout》で一度場をリセットするが、ここで、大塚は、2枚目の《苦花》をおき、そして、三原の《葉冠の古老/Leaf-Crowned Elder》を《誘惑蒔き/Sower of Temptation》で奪い去る。

三原は、大塚のトラウマカードである《雲打ち/Cloudthresher》でさらなるリセットをするのだが、あふれ出るフェアリートークンの前に屈することとなった。

大塚 1-0 三原

Game 2

後手の大塚が、1ターン目から《思考囲い/Thoughtseize》というスタート。

この手札が、《低木林の旗騎士/Bosk Banneret》《名も無き転置/Nameless Inversion》《仮面の称賛者/Masked Admirers》《雲打ち》に土地が2枚。

ここから《低木林の旗騎士》を捨てさせる大塚だったが、三原は2ターン目に悠々と《献身のドルイド/Devoted Druid》をキャストする。そして、《包囲の搭、ドラン/Doran, the Siege Tower》。

2枚目の《思考囲い》で《仮面の称賛者》をディスカードさせた大塚は、1ターンを《謎めいた命令/Cryptic Command》のバウンスで凌いだ大塚は《くぐつ師の徒党/Puppeteer Clique》で《仮面の称賛者》を奪う。

この《くぐつ師の徒党》が《名も無き転置》されて、厳しい大塚。しかし、なんとか《包囲の搭、ドラン》を《蛇変化/Snakeform》で除去することに成功する。

序盤の猛攻さえしのいでしまえば、大塚には必勝の策がある。

大塚の手札には、3枚の《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》。

大塚 2-0 三原

■中島 主税(神奈川) VS 小室 修(東京)

さて、隣のテーブルで、三原が大塚との対戦相性のわるさを声高に語るなか、中島と小室はお互いの対戦成績を確認する。

中島 「あれ?もしかしたら、2-0でオレ勝ってない?」

小室 「これで負けたら、格付け終了か」

人間の勝ちを、格で判断するのもどうだろうかと思うが、そういう意味で、非常に重要な対戦がこちらのテーブルでは開始される。

小室のデックは、二日目人数ナンバーワンのキスキンである。中島のデックは、八十岡 翔太(神奈川)の白単コントロールである。

Game 1

小室の2ターン目の《メドウグレインの騎士/Knight of Meadowgrain》を《今わの際/Last Breath》で除去し、3ターン目に《幽体の行列/Spectral Procession》と、むしろクロックで優先する中島。

小室は2枚目の《メドウグレインの騎士》をキャストし、なんとかダメージレースを好転させようと考えるが、ここで中島は《黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane》をキャストする。

小室は、おもわず「うわぁ」と。

その《黄金のたてがみのアジャニ》は、自身も《黄金のたてがみのアジャニ》をキャストし、対消滅させるのだが、そのまま《静月の騎兵/Stillmoon Cavalier》が2体続くと、小室は、文句を言いながら土地を片付けた。

中島 「ブン回りすぎちゃってごめんなさい」

中島 1-0 小室

Game 2

初手を見て、小室がひと言。

小室 「ちくしょー、おやじ(中島)やりやがった」

小室の初手は土地が1枚。

仕方なくマリガンした小室の初手は、《風立ての高地》に《メドウグレインの騎士》《幽体の行列》という満足なもの。これを喜んでキープ。

小室 「これぞ私のハイパイですな」

中島 「うわ、調子よさそー」

お互いが2ターン目に《メドウグレインの騎士》をおくスタートだが、先に優位にたったのは小室。《幽体の行列》キャストの後に、《皺だらけの主/Wizened Cenn》キャストでアタックし、《風立ての高地》から、2枚目の《幽体の行列》。

中島も《黄金のたてがみのアジャニ》で《メドウグレインの騎士》を強化するのだが、この《黄金のたてがみのアジャニ》は当然余裕でスピリットトークンに蹂躙されてしまう。

小室の3枚目の《幽体の行列》を間接的に《幽体の行列》で打ち消し、《雲山羊のレインジャー》でパーマネントの数では優位をとりにいく中島だが、序盤のダメージと、なにより、スピリットトークンが飛行という点で決して有利であるとは言えない。

《質素な命令》で一度は場をリセットするものの、小室は《雲山羊のレインジャー》で一気に戦線を取り戻す。しかし、中島も負けずにキスキンキラーの《静月の騎兵》。

しかし、小室も場に《静月の騎兵》を追加。マナに優位で急速でライフを削っていった中島だが、序盤のリードを小室は守りきったのだった。

中島 1-1 小室

Game 3

後手、小室の《運命の大立者》スタートに対して、中島のファーストアクションは《メドウグレインの騎士》。しかし、小室は、ここで、追加の土地が2枚連続の《風立ての高地》であり、十分な展開が出来ない。

この隙に中島は《忘却の輪》で《運命の大立者》を除去しつつ、果敢にアタック。

小室が《風立ての高地》2枚のトリガーとなりうる《幽体の行列》をキャストしても、気にせず《名誉の御身》をキャストして、ボードの優位を保つ。

小室はこの《名誉の御身》を《損ない》で除去すると、スピリットトークンアタックから、《静月の騎兵》キャスト。

とにかく、《風立ての高地》を使わせてしまいたかった中島は、この辺が潮時と《神聖なる埋葬》。

お互いが自身の陣容を《雲山羊のレインジャー》で急速に立て直し、小室がフルアタックで《風立ての高地》から《雲山羊のレインジャー》を追加することで、一方的な盤面とする。

小室 「モリカツがあらわれるまでは、私が天才と呼ばれていたんだ。その呼び名を今、引き戻す」

小室はだめ押しの《黄金のたてがみのアジャニ》。

中島 1-2 小室

小室、すんでの所で格を守り、ベスト8へのわずかな希望を残す。


Round 13 : 清水 直樹(東京)vs. 池田 剛(福岡)

By Keita Mori

池田 剛(右) vs. 清水 直樹環境における先手後手の重要性を熱く語り合う二人。

池田 「先手だったら勝ってたっていう展開、逆に、後手じゃなければ負けないのにっていう展開とかあるからね。ダイスロールは本当に重要だよ」

試合前のトラッシュトークは白熱し、清水と池田はイニシアティブを決定するためのランダム判定方法をフリゴマ(将棋の駒)にするかロール(サイコロ)にするかということで真剣に討議しはじめた。

結局はダイスということに落ちついて、池田が待望の先手を獲得した! (ガッツポーズ)

デッキ選択は、池田が藤田 剛史謹製の赤単色、清水は「青緑をふくむ(本人が強調)」エレメンタルだ。

Game 1

先手池田の猛攻でゲームは幕を開ける。

1ターン目に《炎族の先触れ/Flamekin Harbinger》から《憤怒の鍛冶工/Rage Forger》サーチ、2ターン目に《難問の鎮め屋/Vexing Shusher》と動き出す先手の池田。清水は《叫び大口/Shriekmaw》想起で《難問の鎮め屋》を除去。池田は予告先発していた《憤怒の鍛冶工》登板から、2/2に強化された《炎族の先触れ》でレッドゾーンをストライク。

清水は《外身の交換/Crib Swap》で《憤怒の鍛冶工》を除去するが、池田の怒涛の攻勢はとまらない。フルアタックから《炎の投げ槍/Flame Javelin》を本体に。さらに池田は《雷叫び/Thunderblust》を召喚してアタック宣言。戦闘中に清水は《その場しのぎの人形/Makeshift Mannequin》で《叫び大口》を拾い上げて《雷叫び》を倒す。しかし、「頑強」によって最新鋭の《焦熱の火猫/Blistering Firecat》は再び盤上ににらみをきかせるのだ。

ここで清水は《煙束ね/Smokebraider》を召喚し、続く《炎族の先触れ/Flamekin Harbinger》でチューターするカードをじっくりと考えた。

池田 「...すっごいエレメンタルでもはいってるの?」

清水 (無言で《名も無き転置/Nameless Inversion》を提示)

池田 「普通や!」

池田は《変わり谷/Mutavault》を起動し、-1/-1カウンターの載った《雷叫び/Thunderblust》と《炎族の先触れ/Flamekin Harbinger》との3体でアタック。とどめに《炎の投げ槍/Flame Javelin》を本体に投げつけてゲームを決めた。

池田 1-0 清水

池田 剛は第1ゲームを見事なビートダウンとバーンで勝利したGame 2

清水 「さっきの先手だったらな...」

池田 「そんなマッチ、数限りなくあったよ!」

ますます先手後手論議が過熱する中、清水は2ターン目《煙束ね/Smokebraider》から3ターン目《概念の群れ/Horde of Notions》というエレメンタルの必殺技パターンを見せ、さらに後続として《カメレオンの巨像/Chameleon Colossus》を展開するという勇猛さを見せた。

先ほどとは一転して守勢のゲーム展開を余儀なくされる池田は、2ターン目の《難問の鎮め屋/Vexing Shusher》。《炎族の先触れ/Flamekin Harbinger》から《恨み唸り/Spitebellows》をサーチした。

清水は後続として《カメレオンの巨像/Chameleon Colossus》を展開し、さらに《花を手入れする者/Bloom Tender》を召喚。池田はライブラリトップの《恨み唸り》を想起して《概念の群れ/Horde of Notions》を除去。しかしながら、大量のマナに裏打ちされた《カメレオンの巨像》が頭痛の種として残っており、頑強もちブロッカーという動きしか出来ない池田の《雷叫び/Thunderblust》。

清水 「(カメレオンの巨像を眺めながら)ドラゴンですね」

池田 「人間でもある。いや、むしろアウフじゃねーの?」

清水と池田はそれぞれ後続を展開しては除去という攻防を応酬するが、《カメレオンの巨像/Chameleon Colossus》のアタックをとにかくチャンプブロックするしかない池田陣営の消耗が激しく、《その場しのぎの人形/Makeshift Mannequin》で《概念の群れ/Horde of Notions》を清水が吊り上げての勝利を飾った。

池田 1-1 清水

自分のデッキを青緑入りエレメンタルと言い張る清水 直樹Game 3

先手池田勝利、先手清水勝利、とくれば、やはり先手の池田が第3ゲームの主導権を握る可能性は大きなものだったかもしれない。しかし、池田の潜在的優位性を覆してしまう別の要素がマジックには存在した。そう、マリガンだ。

先手ながらマリガンの池田は最初の2ターンに《山》を並べることしか出来ず、3ターン目にただの2/2クリーチャーとして《憤怒の鍛冶工/Rage Forger》を展開するという凡庸なスタート。

対する清水は《炎族の先触れ/Flamekin Harbinger》から《熟考漂い/Mulldrifter》をサーチするという素晴らしい立ち上がりを見せ、《叫び大口》想起で《憤怒の鍛冶工》を排除してから1/1《先触れ》で果敢なアタックを繰り出すという展開になる。

そこからしばらく双方がクリーチャーを展開しては除去、展開しては除去、という消耗戦の様相を呈する。しかし、マリガンの差、および《熟考漂い》によるドローの差もあって、清水が先に決定打へと到達する。とうとうアドバンテージの権化ともいうべき《目覚ましヒバリ/Reveillark》が展開された。

第2ゲームの決定打となった《カメレオンの巨像/Chameleon Colossus》こそ想起の《恨み唸り/Spitebellows》で打破できた池田だったが、《目覚ましヒバリ》の横暴に対する回答が見出せない。

清水の《誘惑蒔き/Sower of Temptation》が池田の《憤怒の鍛冶工/Rage Forger》を奪うと、池田は盤面を片付けることになった。

池田 1-2 清水


Round 15: トップ8をめぐる戦い

By Daisuke Kawasaki

最終ラウンド!

というわけで、負ければ確定でトップ8の可能性が無くなる、いわゆるバブルマッチばかりを4席ここでフィーチャーしよう。

■長岡 崇之(京都) VS 鈴木 延佳(愛知)

長岡 崇之(京都) VS 鈴木 延佳(愛知)

マッチの準備をしている最中に、後ろで観戦していた信下 淳(岐阜)が声をかけてくる。

信下 「鈴木さん、うちの店(ファイアボール岐阜店)の常連さんなんだけど、マジックはじめてからまだ3週間なんですよ」

なんという、驚きの情報。

よくよく聞けば、鈴木は、某カードゲームの世界では「将軍」と呼ばれるほどの強豪だそうで、そういう意味では、素養はあったのだろう。

しかし、それでも、たったの3週間でグランプリトップ8間近のラインまで進出するというのは並大抵のことではないだろう。本人の実力と練習の出来る環境があってこその賜物か。

そんな鈴木の最後の壁となるのは、長岡 崇之。

「教祖」と呼びあがめられる個性派デックビルダーで知られる長岡。ちなみに《暁の君主/Sunrise Sovereign》は使用しないのかと尋ねたところ、「《鏡編み/Mirrorweave》あるでしょ?」と一蹴。

デックは、《レンの地の克服者/Wren’s Run Vanquisher》と《傲慢な完全者/Imperious Perfect》というエルフのエッセンスをハイブリッドした《包囲の搭、ドラン/Doran, the Siege Tower》系デックである。

して、肝心のマッチ内容だが...Game 1は《幽体の行列/Spectral Procession》と《雲山羊のレインジャー/Cloudgoat Ranger》によるビートダウンで、そしてGame 2は長岡のマナスクリューであっさりと決着がついてしまった。

「将軍」の今後の活躍に期待しよう。

鈴木 2-0 長岡

■棚橋 雅康(新潟) VS 小室 修(東京)

棚橋 雅康(新潟) VS 小室 修(東京)

そう、この環境は、不思議と土地事故とブン回りで決着がつくゲームが多いのだ。

たとえば、「スイッチがはいっちゃった」と誰彼無くいわれはじめ、突如猛連勝をはじめた小室、「誰か小室を止めろ!」といわれた小室を止めたのは、初日全勝の勢いをキープした棚橋であった。

小室 「決まり手は、マナフラッドとマナスクリューでしたね」

棚橋 2-0 小室

■長島 誠(山梨) vs 栗原 伸豪(東京)

長島 誠(山梨) vs 栗原 伸豪(東京)

破竹の進撃を繰り広げていた栗原も、気づけば勢いを失ってこの順位。

栗原の前に立ちはだかるのは、長島 誠。

渡辺 雄也(神奈川)の家でのこのグランプリ神戸にむけての強化合宿を経て共同開発した《苦花/Bitterblossom》入りのマーフォークである。

栗原の勢いが勝つか、長島の練習量が勝つか。

Game 1

お互いが、《石ころ川の旗騎士/Stonybrook Banneret》と《煙束ね/Smokebraider》でマナ加速するスタート。

しかし、2体目の《石ころ川の旗騎士》を長島が場にだしたところで、栗原は、一度《炎渦竜巻》で場をリセットする。そして、栗原は、自分だけ《煙束ね》。栗原らしい。

しかし、そんな栗原の横暴を長島は許さない。栗原の《カメレオンの巨像/Chameleon Colossus》にたいして、《メロウの騎兵/Merrow Reejerey》《誘惑蒔き/Sower of Temptation》で対処する。

栗原の決死の《炎渦竜巻》を、長島が《賢人の消火/Sage’s Dousing》したところでゲームセット。

長島 1-0 栗原

Game 2

長島の《石ころ川の旗騎士》を、栗原が《叫び大口/Shriekmaw》で除去し、《思考囲い/Thoughtseize》で《謎めいた命令/Cryptic Command》をディスカードさせる。

そして、《アッシェンムーアの抉り出し/Ashenmoor Gouger》でビートダウン。この《アッシェンムーアの抉り出し》は《名も無き転置》と《コショウ煙/Peppersmoke》の合わせ技で除去されてしまうものの、キーカードとも言える《花を手入れする者/Bloom Tender》を場に追加し、その上で、《熟考漂い/Mulldrifter》をキャスト。

これには、《謎めいた命令》が突き刺さる。続くターンの《思考囲い》も《謎めいた命令》。

この《謎めいた命令》にスタックして、《その場しのぎの人形/Makeshift Mannequin》で《熟考漂い》を取り戻しアドバンテージを獲得しようと考える栗原だが、さらに《賢人の消火》。

そして、この《熟考漂い》が《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》で奪われてしまう。

そしてこの後、栗原のキャストするスペルが解決されることは無かった。

長島 2-0 栗原

■竹林 友(大阪) VS 清水 直樹(東京)

竹林 友(大阪) VS 清水 直樹(東京)

最後に取り上げるこの清水と竹林のエレメンタルとフェアリーの対戦も、またGame 1とGame 2ともに、事故によって、お互いが星を分け合うゲームだった。

しかし、最後のGame3では清水のデックテックが勝負をわけることとなった。

清水が《雲打ち/Cloudthresher》を対象にキャストした《その場しのぎの人形》。当然こんなスペルを通すわけにはいかない竹林は、《謎めいた命令》を撃つ。

そこに突き刺さったのが《耳障りな反応/Guttural Response》。

結果、清水の《雲打ち》が竹林のライフを削りきったのだった。

清水 2-0 竹林


準々決勝 : 棚橋 雅康(新潟) vs. 池田 剛(福岡)

By Daisuke Kawasaki

Shop Fireball総帥、池田 剛この神戸の地での対戦を記すときに、日本のトーナメントマジックの歴史について触れる機会が多かったと思う。

そこで、この準々決勝の観戦記事を記す前に、もうひとつ日本のトーナメントマジックの歴史について触れることを許していただきたい。

ファイアボールプロというチームがあった。

いや、チームという言葉には語弊がある。

ファイアボールプロという団体があった。

これは、日本初の本格的なマジックプロ集団として記録に残される名前である。

それまでにも、例えば、独自の契約で「日本初のマジックプロ」と呼ばれた、石田 格(東京)のような前例はあったし、それこそ、「チームブーム」と呼ばれるように、多くのプレイヤーが勝つためにチームとして修練をしていたことが大きく取り上げられていた時期もあった。

しかし、これらの「チーム」とファイアボールプロが決定的に違ったのは、ファイアボールプロは明確にプロモーションを意識した文字通りの「プロ」団体だったのである。

そのバックボーンとなったのが、カードショップチェーン「FIREBALL」であり、そのオーナーが、池田 剛(福岡)である。

そして、池田がオーナーである、という一点で、ファイアボールプロは、他のいわゆる店舗と契約するプロと明確に差別化されている。

なぜなら、池田自身が、ファイアボールプロを代表するトッププロであり、コミュニティリーダーであったからだ。

Game 1

先手をとった棚橋がマリガン。

1ターン目に《ゴールドメドウの重鎮/Goldmeadow Stalwart》をキャストし、手札の《運命の大立者/Figure of Destiny》をみせるスタート。そして、2ターン目には《運命の大立者》をキャストする。

対して、池田は、《タール火/Tarfire》で《ゴールドメドウの重鎮》を除去した後に、マナを残してターンを終了する。

池田は手札に《つっかかり/Lash Out》をもっているのだが、これを打ち込むタイミングを慎重にはかる。池田が除去を持ってマナを残しているであろうことは、棚橋も理解しているので、お互いにマナを残し続けるプレイ。

結果、池田は《つっかかり》と《タール火》の両方を使用して《運命の大立者》を除去、棚橋の1ターンと手札を1枚交換した形になる。

池田は《煙束ね/Smokebraider》をキャストと、返しに棚橋も《雲山羊のレインジャー/Cloudgoat Ranger》を場に送り出し、盤面を掌握しようとするのだが、この《雲山羊のレインジャー》には《つっかかり》が。

そして、《難問の鎮め屋/Vexing Shusher》《威嚇者の信徒/Intimidator Initiate》と展開した後に、《憤怒の鍛冶工/Rage Forger》をキャストする。

《威嚇者の信徒》を前に、ブロッカーも役に立たず、棚橋のライフはただ削られるままとなった。

池田 1-0 棚橋

Game 2

棚橋の2ターン目の《皺だらけの主/Wizened Cenn》を池田が《タール火》で除去...するものの、池田は続く土地を引けない。

そして、棚橋が4ターン目にキャストした《黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane》がアバタートークンを生みだすまで、池田の場に2枚目の土地が並ぶことはなかったのだった。

池田 「だって、土地さえ引けば勝てる手札だったんだもん」

池田 1-1 棚橋

棚橋 雅康Game 3

池田は1ターン目に《炎族の先触れ/Flamekin Harbinger》で《煙束ね》を積み込み、即キャスト。

しかし、棚橋は1ターン目に《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender》をキャストする。

これで、一度はまったりとしたゲーム展開に。

しかし、この《ブレンタンの炉の世話人》を、池田が《ツキノテブクロのエキス/Moonglove Extract》で除去したことから、ゲームは急展開をみせる。

まず、棚橋が《黄金のたてがみのアジャニ》をキャストし、忠誠カウンターを上に載せる。

返しのターンで、池田は、《黄金のたてがみのアジャニ》ではなく、本体へとダメージを与え、一気にライフをけずりるべく戦線を拡大。

このタイミングで棚橋は《神聖なる埋葬/Hallowed Burial》で盤面をリセットし、《黄金のたてがみのアジャニ》の上のカウンターを6個に。

このままでは、アバタートークンが降臨してしまうので、池田は《変わり谷/Mutavault》で忠誠カウンターを減らしつつ、《難問の鎮め屋》をキャスト。

棚橋は、ここで《黄金のたてがみのアジャニ》の上のカウンターを使っていく方向へ方針をチェンジ。《運命の大立者》をキャストし、場の2枚の《変わり谷》をクリーチャー化して、池田の本体を狙いつつ、自身の防御を厚くする。

池田は、さらに《雷叫び/Thunderblust》で棚橋の本体へとダメージを与え続けるが、棚橋の《黄金のたてがみのアジャニ》にバックアップされた眠らない攻勢のまえに、ダメージレースはいつしか逆転していたのだった。

池田 2-1 棚橋

ファイアボールプロという団体は今はすでの存在していないといってもいいだろう。

しかし、池田がファイアボールプロを通して、残してきたものは、今も明確に残っている。そう、例えば、このグランプリ神戸だけをみてもそうだ。

今やファイアボール名古屋店の主人である「ラストエンペラー」岡本 尋(愛知)が、会場のサイドイベントである「パックウォーズ」でガンスリンガーをするといえば、そこには長蛇の列ができる。表舞台から一線を引いたとはいえ、今だ岡本の名前には、求心力がある。

ファイアボール岐阜店の主人である信下 淳(岐阜)は、今大会に向け、「新たな刺激がほしい」という鈴木 延佳(愛知)にこのマジック:ザ・ギャザリングというゲーを教え込み、トップ8まであと一歩というところまで育て上げた。新しいコミュニティを信下が今構築している。

そして、ファイアボール福岡店の店長であり、グループのオーナーである池田 剛は、トーナメントシーンの第一線に、その名を残し続けている。


準決勝: 高橋 優太(東京) vs. 棚橋 雅康(新潟)

By Daisuke Kawasaki

新潟組の対決、まずは棚橋 雅康棚橋 「僕と高橋、同郷なんですよ。なんか、因縁めいてません?」

準決勝に向けての心意気を尋ねると、棚橋 雅康(新潟)は、はにかみながらこう答えた、かどうかは定かではないが、同じようなニュアンスのことを伝えてきた。本人ではなく、棚橋のまわりにいるプレイヤーたちが。

スイスラウンドの途中、今は関東第3世代のひとりとして認識されているが、新潟出身である「傍観者」こと庄山 洋平が、筆者に語りかけてきた。

庄山 「昨日全勝していた棚橋、新潟を代表するプレイヤーなので、チェックしておいてくださいよ」

トップ8入りをほぼ確定させた棚橋に、この庄山の言を伝えると、棚橋は「そんなことありませんよー」と、わずかにオーバーアクション気味に答えた。しかし、まわりにいた友人たちは、庄山の棚橋にたいする評価が決してぶれたものではないと筆者に伝えた。

新潟出身の高橋が静岡でブレイクしましたけど、新潟本土の強さをみせてやりますよ、と。

Game 1

先手の棚橋がマリガン。

そして、マリガン後の、土地が4枚に《メドウグレインの騎士/Knight of Meadowgrain》《皺だらけの主/Wizened Cenn》というハンドを苦渋の表情でキープする。

高橋は、マリガン無しから、2ターン目に《苦花/Bitterblossom》という、圧倒的な立ち上がり。

しかし、棚橋は、3ターン目に《皺だらけの主》をキャストすると、《変わり谷/Mutavault》を場にセットして終了する。高橋が場を掌握する前に、ゲームを決めてしまうプランだ。

続く棚橋の《変わり谷》も含めた8点分のアタックに対して、高橋は、少考の後に、駿速で《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》を場にだし、フェアリートークンとあわせて《皺だらけの主》をブロックする。

だが、なおも棚橋の《メドウグレインの騎士》は勇猛果敢に攻撃の手をゆるめない。高橋は、ブロックしたフェアリートークンにたいして、先制攻撃のダメージをスタックにのせたあとに、《霧縛りの徒党》の覇権でライフ回復を防ごうと考えるが、棚橋はこの《霧縛りの徒党》に《損ない/Unmake》を打ち込み、このプランを成就させない。

しかし、この最大のガンである《メドウグレインの騎士》を高橋が《叫び大口/Shriekmaw》で除去したことで流れが変わる。

そう、なんと、棚橋は続くターンに後続を場に追加できなかった、もっといえば、棚橋は、初手から追加のクリーチャーを手に入れていなかったのだった。

この隙を高橋が見逃すわけはない。

ライフレースは、26対8とトリプルスコアのうえに、《苦花》というリミッターがついているが、それも《霧縛りの徒党》で覇権してしまえば関係ない。

結果、2連続の《霧縛りの徒党》が、棚橋がやっと引き当てた後続を展開することすら許さないのであった。

高橋 1-0 棚橋

またも、庄山の話になる。何故か庄山は筆者に棚橋の情報をものすごく多く伝えてきたのだ。久しぶりの新潟出身者のブレイクだと。いや、まさに高橋がいるだろ、と心の中でつっこみながら、庄山の言葉に耳を傾ける。

庄山 「棚橋、今回キスキンを使ってるんですけど、彼のキスキンをデザインしたヤツって、本当昔から白ウィニーを使い続けている筋金入りの白ウィニー使いなんですよ」

棚橋 「今、新潟で遠征してまでトーナメントマジックを続けているヤツってほとんどいないんですよ、僕と、僕のデザインしたデッキをつくったヤツくらいかもしれません。だからこそ、勝ちたいですね」

射場本 「上京したばっかのころ知ってると、あの、あんちゃんがねぇ...ってびっくりするよ」

高橋が上京してきたばかりのころの状況をよく知る、射場本のコメントが端的によくあらわしていることだが、高橋がトーナメントシーンで話題にあがるとき、それは、新潟出身者として、ではなく、東京コミュニティの一員としての比重があまりにも大きい。

そう、トーナメントシーンの表舞台で知られる高橋の姿は、鍛冶と出会い、山本と出会い、その他多くの仲間との経験を積んだ「後の」高橋なのである。

だからこそ、新潟発のプレイヤーコミュニティは、「まだ新潟のプレイヤーがブレイクしたわけではない」という意識が残ってしまうのかもしれない。

棚橋と並んで新潟から遠征してきたデックデザイナーの斎藤 鷹也(新潟)の話になると、そこには「白ウィニーへの愛着」という、半ばキャラ付けされた特徴が必ず付加される。関東で「キスキンキャラ」としてキャラ立てされている伊藤 敦と固い握手を交わしたというどうでもいいような話まで、庄山は熱く語る。

庄山の言葉が熱を帯びているのは、自分の故郷への愛着故か。

たしかに愛着は、時に大きな力となる。

ひとつのデックを使い続けてきた人間が、そのデックのポテンシャルを最大限に引き出せるということは、歴史が証明してきている。

新潟組の対決、今は東京在住の高橋 優太Game 2

お互い2枚の土地というオープニングハンド。

棚橋は悠々と、高橋は渋々とこのハンドをキープ。

またもこの環境特有の事故ゲームか...とおもったが、しかし、お互いに順調に土地を引き続ける展開。

序盤の展開力に勝る棚橋ではあるが、しかし、高橋のキャストした《静月の騎兵/Stillmoon Cavalier》によってピタリと、まではいわずともわずかに手がゆるむ。

しかし《静月の騎兵》が怖くてキスキンは使っていられない。棚橋は、場に《ゴールドメドウの重鎮》《皺だらけの主》《運命の大立者》《薄れ馬》と並べると、《皺だらけの主》を除いた3体のクリーチャーでアタック。

高橋は《静月の騎兵》で《運命の大立者》をブロック。ダメージのスタック後に棚橋は《運命の大立者》を一段階大きくする。これで《皺だらけの主》の修正とあわせて3/3になるため《運命の大立者》は破壊されない。

そして《風立ての高地》から《雲山羊のレインジャー/Cloudgoat Ranger》をキャストする。

ここで、突き刺さるのが、高橋の《謎めいた命令/Cryptic Command》。

《雲山羊のレインジャー》の打ち消しと、もうひとつの効果は...《皺だらけの主》のバウンス。

これによって、すでに2点のダメージを受けている《運命の大立者》は破壊されてしまう。

その後、さらに2枚の《風立ての高地》を場に追加した棚橋だったが...その誘発条件をみたすことは無かった。

高橋 2-0 棚橋

高橋の使用するフェアリーは、いわゆる一般的なフェアリーと比べて、メインボードで大きく異なっている。

特に、大きな違いは、《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》が2枚採用されている点だ。多くのプレイヤーが、フェアリーはモーニングタイドまででほぼ完結したアーキタイプであると認識している中、これだけ大きく動きが変わるカードをシャドウムーアブロックから採用している例は珍しい。

高橋 「テストしてみたら、ほとんどの場合で相性を劇的に変えるので、メインボードに採用したんですよ」

そして、事実、準々決勝で植田 勝也(愛知)とのタイトなフェアリー同型対決を《妖精の女王、ウーナ》によって制している。

高橋は、直前まで、フェアリーとキスキンのふたつのアーキタイプでデック選択を悩んでいた。そして、結果としてフェアリーを選択したのだ。

フェアリーを選択した理由として、高橋は、きちんと論理的な理由を提示してくれた。

しかし、高橋が最後に付け加えたひと言こそが本音なのだと筆者は思う。

高橋 「でも、やっぱ、キャラですね。フェアリー使わないと僕じゃないじゃないですか」

ひとつのデックを使い続けてきた人間が、そのデックのポテンシャルを最大限に引き出せるということを、歴史が、そして目の前の事実が証明している。


決勝: 高橋 優太(東京) vs. 高木 隆之(千葉)

By Masashiro Kuroda

決勝 : 高橋 優太(東京) vs. 高木 隆之(千葉)最強の座を争うのはフェアリーとドラン。

フェアリーはもはや説明不要なほど有名なデッキであり、その力も各地のPTQやGPTで実証されている。イーブンタイドで強化された点はあまり無いのだが、それでもこれだけの実績を残すことができるあたりはさすがの一言だ。

そして、そのフェアリーを操るのは高橋 優太(東京)。今一番勢いに乗っているプレイヤーである。「グランプリ連覇」という偉業を成し遂げることができるかどうか、目が離せないところだ。

一方のドランは、フェアリー、キスキンの台頭後に生まれたデッキである。今でこそメジャーなデッキのひとつとして知られているが、急速に広まったのは、PTQベルリン 大阪大会で藤田 剛史(大阪)が優勝してからだろう。「PTQを抜けるほど強いデッキ」、そして「あのローリーさんが作ったデッキ」という相乗効果もあり、大阪の次に開催された広島ではドランの数が爆発的に増えた。構築戦、特に限定構築における、藤田ブランドの力を見せ付けられた思いがしたものだ。

ドランを駆るのは高木 隆之(千葉)。三田村の台頭から始まる千葉勢の活躍ぶりには目を見張るものがある。高橋の連覇を阻み、念願の初タイトルを手にすることができるだろうか。

Game 1

ダイスロールにて高木が先攻。

高木は《レンの地の克服者/Wren’s Run Vanquisher》、《狼骨のシャーマン/Wolf-Skull Shaman》と連打できるハンドをキープ。順調にランドが伸びるかどうかが不安要素だが、《カメレオンの巨像/Chameleon Colossus》も控えておりまずまずのハンドと言えるだろう。

一方高橋も、その展開に対応できる《名も無き転置/Nameless Inversion》2枚、《ウーナの末裔/Scion of Oona》、《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》を抱えており理想的である。高木が展開するクリーチャーを、高橋が順番に除去していく展開が想像された。

しかし異変が起こる。

高橋の土地が《島/Island》、《沼/Swamp》の2枚でストップし、途中から完全にサンドバック状態となってしまう。第2ターンの《レンの地の克服者》は《名も無き転置》で、第3ターンの《狼骨のシャーマン》は引いてきた《叫び大口/Shriekmaw》で除去するものの、続く《カメレオンの巨像》、《包囲の搭、ドラン/Doran, the Siege Tower》に対しては手も足も出ず。高橋はあっさり投了に追い込まれてしまった。

ここまで1分にも満たない、超高速ゲームである。

高橋 0-1 高木

高橋は緑のビートダウンに対して非常に有効な《夢への委託/Consign to Dream》を4枚
投入し、《ウーナの末裔》4枚をサイドアウト。

高木は《雲打ち/Cloudthresher》3枚、《外身の交換/Crib Swap》2枚、《薄れ馬/Wispmare》2枚を投入し、《叫び大口》1枚、《不敬の命令/Profane Command》3枚、《ツリーフォークの先触れ/Treefolk Harbinger》1枚、《包囲の搭、ドラン》1枚、《カメレオンの巨像》1枚をサイドアウト。

高橋 優太はグランプリ二大会連続連続優勝という快挙へと挑むGame 2

高橋は初手に《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》が2枚現れた上に、色マナの出る土地もなくマリガン。先ほどの土地事故もあり非常にいやなムードが漂う。
マリガン後のハンドは《島》3枚、《沼》1枚、《名も無き転置》、《謎めいた命令/Cryptic Command》。可もなく不可もなくと言ったところだが、やむなくこれをキープ。

一方の高木は《ツリーフォークの先触れ》から《レンの地の克服者》、《狼骨のシャーマン》、《包囲の搭、ドラン》、《萎れ葉の騎兵/Wilt-Leaf Cavaliers》と展開できる内容でまたしても好調。今回は土地も十分にあり、何の不満もなくキープ。

初動は後手の高木。《ツリーフォークの先触れ》で《つぶやき林/Murmuring Bosk》をサーチして《包囲の搭、ドラン》への道を作る。続く第2ターンにプレイした《狼骨のシャーマン》は、高橋が初手に抱えていた《名も無き転置》で墓地送りに。

高橋は静かに《島》を置き、3マナ立ててターンを返す。ここまで希望となるカードを引けておらず、思わしくない。

しかし、ここで運命の分かれ目が訪れる...

高木がプレイした《包囲の搭、ドラン》に対してのカウンターはなく、無事に戦場へ追加された。ここで《ドラン》は間違いなくカウンターされると思っていた高木は、驚きのあまり《ツリーフォークの先触れ》でのアタックを忘れてしまう。高橋にターンが移ったところで、あっと声を漏らす高木だが時すでに遅し。

高橋は《島》を置き、《謎めいた命令》の準備を整える。手札には《誘惑蒔き》があるが、高木が《つぶやき林/Murmuring Bosk》をセットした際に《名も無き転置》を公開しているのでプレイすることができない。

高木は《ドラン》と《ツリーフォークの先触れ》でアタック後、増援部隊の《萎れ葉の騎兵》をプレイ。これを《謎めいた命令》でカウンターする高橋だが、打開策を求めるため《ドラン》をバウンスせずに追加のカードを求めることに。そしてこの判断は大正解となった。高橋は自ターンのドローで《思考囲い/Thoughtseize》を引き当てる!

まさに最高のタイミングでもたらされた《思考囲い》が、高木の手から《名も無き転置》を奪い去る。残りのハンドは《萎れ葉の騎兵》と《レンの地の克服者》のみであり、除去がないことを確認できた高橋は《誘惑蒔き》で《ドラン》を自軍の配下にすることで状況を一変させる。

高木は先ほど公開した2枚のクリーチャーを吐き出し、《先触れ》でのアタックを継続。高橋のライフは7に。

高橋は《誘惑蒔き》でアタックしてから、少し考えて《苦花/Bitterblossom》をプレイ。高木の《レンの地の克服者》、《ツリーフォークの先触れ》、《萎れ葉の騎兵》を迎え撃つブロッカーは《ドラン》のみだが、《名も無き転置》で《レンの地の克服者》を除去することでライフを4残す。

高橋は《苦花》でトークンを生み出し残りライフは3。
だがここで高橋の右手が光り、《妖精の女王、ウーナ》をトップデック! 場にはちょうど6マナあり、これをたたき付けるようにプレイしてターンエンド。

高木は《外身の交換/Crib Swap》で《誘惑蒔き》を除去し、《ドラン》をようやく取り返すことができたが、このターンに《雲打ち》を引くことができなかった時点で勝敗あり。

プレイミスによって失われた3点のダメージ。
ゲーム終了時の高橋のライフは2。

高橋 1-1 高木

高木 隆之は思わず天を仰ぐ。Game 3

後手に回る高橋は《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》を減らすか悩むも、最終的には変更なし。
高木は1ターン目の行動を増やすべく《ツリーフォークの先触れ》をメインデッキに戻し、《萎れ葉の騎兵》をサイドアウトした。

高木の初手は土地4枚、《狼骨のシャーマン》、《炎渦竜巻》、《外身の交換》でキープを宣言。お世辞にも良いハンドとは言えないのだが...マリガン地獄に陥るのを嫌ったのだろうか。

しかし、1ターン目に高橋が放った《思考囲い》が、高木の攻め手であった《狼骨のシャーマン》に突き刺さる。これが高木にとっては致命的であり、4ターン目になってもただ土地を並べるだけの展開となってしまった。

高橋は第2ターンに《苦花》をプレイし、《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》を2枚抱えるという必勝パターンを準備している。高木の第5ターン、アップキープにまず1号機が登場。これを《外身の交換》で討ち取り、《レンの地の克服者》を戦場に送り込む高木だったが、続く第6ターンにプレイされた2体目には回答なく、マナを奪われてしまう。

高橋は《霧縛りの徒党》と《苦花》トークンで6点アタックを続ける一方で、《レンの地の克服者》の反撃はトークンでいなし、高木のライフが一方的に落ち込んでいく。

そして、女王が光臨した。

高木には初手から抱えていた《炎渦竜巻》があるため、《雲打ち》か2枚目の《炎渦竜巻》を引ければ大逆転もありえたが...願いはかなわず。
高橋は最後のターンにオーバーキル気味の《霧縛りの徒党》を引きあて、その力を十二分に見せ付けたのであった。

ここに、グランプリ連覇という新しい伝説を作ったプレイヤーが誕生した!

高橋 2-1 高木

-あのミスで決勝は負けたな、と思いました-
高木は試合後にそう語る。

観戦していたギャラリーからも「あそこでアタックしていれば...」というつぶやきが聞こえてきたし、私もそう思ったからこそ上記のような記事を書いた。

しかし、高橋はそうではなかった。
「あの3点食らっていても勝つ方法」をじっと模索し、実際にそれを証明して見せてくれたのである。

-ライフが7のあの場で、《苦花》を出さずに《誘惑蒔き》を立ててエンドし、《レンの地の克服者》を《ドラン》で、《萎れ葉の騎兵》を《誘惑蒔き》でブロックします。《萎れ葉の騎兵》に《名も無き転置》を打てば6/1になりますから一方的に《誘惑蒔き》が勝ち、場をリセットして《妖精の女王、ウーナ》を引くまでこらえることができたと思います-

Grandprix Kobe 2008 Champion !

800人超の大会を制した直後に、これだけの検討ができる。
彼がグランプリ連覇という大偉業をなしとげたのも、なんら不思議はない。

Yuuta Takahashi is the Grandprix Kobe 2008 Champion !

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