PS2

黒田 正城(大阪)
森 勝洋(東京)
森田 雅彦(大阪)
決勝ラウンド一番乗りを果たしたのはディフェンディング・チャンピオンであるPS2だった。2002年5月のグランプリ名古屋を制している彼らはマスターズ・ヴェニスのチャンピオンでもあり、今大会でもっとも注目を集めたチームの一つである。
森田 雅彦は今大会の快進撃によってグランプリの決勝ラウンドに進出すること12回目。正真正銘の「グランプリ・キング」として日本を代表する存在になった。黒田 正城はご存知のとおり「日本ではじめてのプロツアー・チャンピオン」に輝いた男で、今度は二人の相棒とともに、「チーム・グランプリ連覇」という高みを目指すことになる。2000-2001シーズンの新人王である森 勝洋も、久々の檜舞台へと辿りついた。
そんなこのチームの行方を占う上でのキーポイントとなるのは・・・おそらく森 勝洋だろう。堅実なプレイスタイルの黒田と森田のどちらかに白星を期待することは難しい注文ではないだけに、好不調の波がやや大きいと言われる森で白星を計算できる場合、彼らの連覇は現実味を帯びたものになる・・・というわけだ。そして、今大会のここまでのパフォーマンスを見る限り、森 勝洋のエンジンは十分に温まっている。
兎にも角にも、狙うは前人未到の大記録。チーム・グランプリの連覇だ。
Gatos Brilhantes

笹川 知秀(山梨) 読みは ○ささがわ ×ささかわ
小室 修(東京)
志村 一郎(茨城)
10回戦にPS2とマッチアップされ、そこで塩を送られる形(PS2が投了)での決勝進出を果たしたのがGatos Brilhantesだ。彼らは浅原 晃(神奈川)を慕う有志が結集する「浅原連合」のメンバーで、グランプリチャンピオンでもある小室とプロツアー・シアトルでベスト4になった志村が「笹川の強さを皆にわかってもらうため」にチームアップしたというユニットだ。笹川はプロツアー東京で高校生ながらベスト16入賞という偉業を達成している人物で、しかしながら、最近はいまひとつ奮わないという現状ではあったのだった。
このチームでは、笹川に緑、志村に白、小室には青という具合に「各自の担当色」が決まっており、それを活かしながらのロチェスターで連勝を果たしている。受けの広い緑で対戦相手のカットを視野に入れる笹川。白黒ないし白赤のきびきびとしたビートダウンを果たしてきたのが志村。小室は「あまった色ですから(笑)」と謙遜しながらも巧みに青いデッキをドラフトしてきている。彼らのドラフト戦略は「各自のカラーを先に主張したいから、先行をとってアグレッシヴにシグナルを出していきます」とのことだ。
「まあ、とにかく仲良しトリオですから。そういう部分ではきっと負けないと思いますよ」
小室は破顔一笑。
www.shopfireball-pros.com

石田 格(東京)
岡本 尋(愛知)
池田 剛(福岡)
もはや伝説。チームフォーマットにおける石田 格という名前には、なにか神聖なのもが宿っているようにさえ感じられる。
「格(いたる)はさ、ロチェスターを一人で仕切ってくれてさ、シールドも完全におまかせだった。それで、(その中から)俺たちに好きなデッキを渡してくれているのに、なのに、格はここまで・・・全勝なんだよ」
苦笑しながら、池田 剛は偉大なるチームメイトのことを讃え、岡本も静かに、そしてにっこりと頷く。ともあれ、彼らの長すぎるプロフィールを整理しておこう。
石田は、百瀬 和之(東京)と安藤 玲二(東京)を率いてのPanzer Hunterというユニットでマスターズ二大会連続準優勝という大偉業を成し遂げ、このフォーマットにおける日本の先駆けとなった人材だ。そんな彼が、岡本 尋(愛知)と池田 剛(福岡)をパートナーとしてこのチームを結成し、2004年のプロツアー・シアトルで準優勝を果たした。石田を支える両翼も国内屈指のスタープレイヤーで、岡本 尋は世界選手権ベルリン大会で準優勝という愛知勢。ニックネームである「ラストエンペラー」というのは最後のアジア選手権を制したことによるものだ。池田 剛もゲームショップFireballを展開している人物で、プロツアー横浜でベスト4に入賞という素晴らしい実績がある。
言うなれば優勝候補の最右翼。堂々の大本命がベスト4に勝ち上がった。
One Spin

鍛冶 友浩(埼玉)
斉藤 友晴(東京)
津村 健志(広島)
海外遠征、プロツアーシーンで共闘するうちに芽生えた友情から生まれたチームという意味では、One SpinもFireballチックに結成されたチームということになるだろう。
鍛冶 友浩と斉藤 友晴はずっと一緒にマジックを練習しているというパートナー同士で、ファイナルズ2004での斉藤のデッキにも「調整パートナー」として鍛冶の名前がクレジットされていたし、鍛冶がグランプリ横浜で準優勝を果たしたときのプロフィール紹介にも「斉藤君と練習してきた」と書いてある。
二人は、このチームフォーマットに関しても、それぞれを対戦相手として「三つずつのデッキをそれぞれが一人でロチェスターする」という練習を重ねてきた。つまり、一人でワンチームをまるまる担当するというやり方でのマンツーマンだ。
ちなみに、斉藤と鍛冶は「プロツアーの直前最終予選(=ラストチャンス・クオリファイア)」に参加するためだけに渡米してしまうほどの豪傑。そう、マジックへかける情熱は誰にも負けない。そんな彼らだけに、第三のメンバーとして迎え入れたのは「彼らに勝るとも劣らない情熱を持つ男」だった。広島に住まう18歳の津村 健志。彼はこのイベントに備えるために上京して練習三昧の日々を送った。彼らは言う。
「権利を取ってプロツアーにドタキャンで行けなくなるような事態は回避したかったから、ともかくモチベーションの高さを重視して、プロツアーの仲間で組んだんです」
津村 健志は2004年度の日本代表選手(選手権準優勝)で、白いデッキを得意とするドラフターである。それゆえに「意思の疎通が完璧な鍛冶 友浩と斉藤 友晴が連繋をとりあってデッキを組み上げ、津村には白いビートダウン路線をまっしぐらに進ませる」というのが彼らの勝利の方程式だ。
「津村君に白、という以外ではこっちが相手に対応することが出来るので、ドラフティングでは後手のほうがやりやすい感はありますね」と鍛冶。
果たして、情熱に燃える彼らは準決勝で勝利をおさめられるだろうか?