Masters ラウンド 2: 藤田剛史 vs. Jelger Wiegersma

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By 森慶太

 Wiegersma (オランダ)。
 なんと発音したものか全く見当のつかない彼、日本勢にはあまり馴染みの無いプレイヤーかもしれないが、彼のたどってきた戦歴はエリートそのものなのだ。

 1999 PTNY でデビュー。いきなり Rookie シーズン中の PT シカゴで見事に 10 位入賞を果たしている。そして昨シーズンの PT バルセロナでも 17 位に入賞し、つい先日の PTNO では見事 Top 8。そう、これによって Masters Train のチケットをも手に入れたのである。まさしく、順調に階段を駆け上がってきた新鋭といった表現が妥当だろうか。

Game 1

 メイン《反論/Gainsay》の同キャラ(《Psychatog / サイカトグ》)キラーというのが Wiegersma のデッキの正体だ。
 つまり、姿形はまるで違えども、志を同じくしたメイン《蛮族》対メイン《反論》という《サイカトグ/Psychatog》メタデッキ同士の対決となったわけである。ちなみに、Wiegersma が Masters緒戦に打ち破ってきたのも《サイカトグ/Psychatog》デッキを選択していた A.B.U.の Chris Benafel だ。そう、思惑通りにミラーマッチを制してきた Wiegersma にとっては、今度は自分がメタられる番となったのである。

Wiegersma は《《塩の湿地/Salt Marsh》連発というスタートを迎えた。
 一方、後手の藤田は《カヴーのタイタン/Kavu Titan》ノンキックというスタートから《獣群の呼び声/Call of the Herd》。Wiegersma はこのトークンを《排撃/Repulse》してクロックサイズを縮小させた。

peek

 本来はノータイムでフラッシュバックなのだろうが、藤田は 4 枚目の土地が置けず、ハンドからもう一枚の《獣群の呼び声/Call of the Herd》。Wiegersma はこれにレスポンスで《のぞき見/Peek》をキャストした。
 そこで藤田がさらけ出すこととなった手の内は...

《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》:2
Raging Kavu / 怒り狂うカヴー》
《ヤヴィマヤの蛮族/Yavimaya Barbarian》!!
Firebolt/ 炎の稲妻》

という 5 枚だった。

 続けて藤田は《Raging Kavu / 怒り狂うカヴー》を召喚するも、ここでまたしてもレスポンス《のぞき見/Peek》。これによって藤田のランドに追加されたカードが《森/Forest》であることを確認し、《排撃/Repulse》で象トークンを除去し、ライフが 11 となった。

 そして、このキャントリップで Wiegersma が引き当てた一枚こそ、待望の《サイカトグ/Psychatog》なのだった。結論を先に述べてしまうなら、藤田剛史は長い長い時間をかけてこのマッチを戦い抜いた挙句、ここで召喚された一匹の《エイトグ》を除去し切れなかったのである。もちろん、敗因もまさしくこのふざけたクリーチャーだった。
 
 藤田《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》を召喚。
 ハンドの《反論/Gainsay》と《塩の湿地/Salt Marsh》を Discard と Remove することで 4/5 にパンプアップしてあっさりとこれに耐えた。そう、元来 1/2 に過ぎないこのクリーチャーにパンプアップを強要し続けることは、すなわち手札・墓地破壊に相当するわけなのだ。藤田剛史はつまりは消耗戦を挑み、間隙を縫って残り 11 点のライフをなんとか削りきってやろうという戦術をとったのだ。当然、お互いのドローに依存するところも大だが、我慢比べに耐え切れなくなった方が負けとなるのである。

 藤田はここで《カヴーのタイタン/Kavu Titan》と《Raging Kavu / 怒り狂うカヴー》でのアタックを敢行するが、《カヴーのタイタン/Kavu Titan》をさらにパンプアップした《サイカトグ/Psychatog》によって葬られ、《Raging Kavu / 怒り狂うカヴー》を《はね返り/Recoil》されてしまったのだった。このとき、Wiegersma はペインランドの使用で 10。
 
続くターンWiegersma は《選択/Opt》を打ってエンド。
 間断なくプレッシャーをかけ続けなければならない藤田は、2 体目の《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》を召喚。これは《対抗呪文/Counterspell》され、続く《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》は通されたのだった。

 藤田の《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》アタックを Wiegersma は《サイカトグ/Psychatog》でブロックし、《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》の起動とあわせて、これを一方的に除去できるサイズまでパンプした。...ともかく《サイカトグ/Psychatog》がどうしようもなさそうに聞こえるかもしれないがWiegersma もリソースを食いつぶしていることには違いないのだ。

 藤田決死の猛攻によって、Wiegersma を墓地 2 枚、ハンド 2 枚(ノーカウンター)という状況にまで追いつめた藤田。ここでさらなるプレッシャーをかけ続けられれば...

と期待感が高まってきた。
しかし、そんな中で Wiegersma はトップデッキ《嘘か真か/Fact or Fiction》!

 藤田は《野生の雑種犬/Wild Mongrel》を召喚するも、Wiegersma はエンドステップに《嘘か真か/Fact or Fiction》。...しかし、藤田もレスポンスで《Raging Kavu / 怒り狂うカヴー》を召喚。対戦相手の僅かな隙に致命傷を叩き込んでやろうと虎視眈々と機を窺っているのだということを若き Wiegersma に対して無言で警告したのだった。

 ともあれ、藤田はこの《嘘か真か/Fact or Fiction》を、
・《島/Island》3
・《蝕み/Undermine》&《Recoil / はね返り》
...という山に分け、当然のごとく Wiegersma は後者を選択したのだった。ここで手に入れた《はね返り/Recoil》を《野生の雑種犬/Wild Mongrel》に即座に叩き込む。

sylvan might

 返すターン。
藤田は《Raging Kavu / 怒り狂うカヴー》単体での攻撃を宣言した。
 一瞬の静寂の後、《Psychatog / サイカトグ》がこれをブロック。藤田はここで引き当てたカードが《森の力/Sylvan Might》であることを公開した。しかし、肝心のフラッシュバックでの使用が《撹乱/Disrupt》されてしまったのだった...

 そして、Wiegersma は藤田の「奥の手」である《森の力/Sylvan Might》をさばききったことで、流れを完全に自分のものに出来たと確信を抱いたようだった。ハンドに《蝕み/Undermine》と《対抗呪文/Counterspell》をかかえた段階でとうとう《サイカトグ/Psychatog》アタック。藤田はこれを黙って本体にスルーするジェスチャー。

続く藤田の《獣群の呼び声/Call of the Herd》を《撹乱/Disrupt》からの《蝕み/Undermine》でカウンターしてみせ、《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》アタックで藤田10 vs. Wiegersma 10となる。戦闘終了後に藤田がキャストした渾身の一枚、《ヤヴィマヤの蛮族/Yavimaya Barbarian》も《対抗呪文/Counterspell》してみせたのだった...。

 しかし、藤田は最後の最後まで諦めない。
《カヴーのタイタン/Kavu Titan》キッカーを召喚してターンエンド(エルフがアンタップ状態)。そして、Wiegersma はセット《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》からこれを即起動。藤田は《Kavu Titan/カヴーのタイタン》で Wiegersma の操る異形の生物をブロックし、パンプアップを強要した。その上でフラッシュバック《獣群の呼び声/Call of the Herd》。...したのだが、無情にもこれが《蝕み/Undermine》されてライフ差 5(藤田) vs. 9(Wiegersma)。《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》召喚はなんとか成功し、その《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》がチャンプブロックしつつさらに《獣群の呼び声/Call of the Herd》フラッシュバック。このタイミングでカウンターを持っていなかった Wiegersma がスタックして《選択/Opt》したところに《Raging Kavu / 怒り狂うカヴー》をレスポンスし、急襲した。まさしく最期の猛攻だった。

状況を整理する。

藤田:《獣群の呼び声/Call of the Herd》トークン、《Raging Kavu / 怒り狂うカヴー》、《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》。ライフ 5。

Wiegersma:《サイカトグ/Psychatog》。ライフ4。

 両者にとって最終局面とさえいって過言ではない展開だ。

ここで Wiegersma は《Raging Kavu / 怒り狂うカヴー》を《はね返り/Recoil》で除去し、《エイトグ》でアタック。これをトークンがブロックし、ルーチンワークのように Wiegersma はこれを 3/4 にパンプアップする。そして、藤田はスラッシュバック《獣群の呼び声/Call of the Herd》ふたたび。
...まだ堤防は決壊していないかに見えたのだが...

Wiegersma とうとう 2 体目の《サイカトグ/Psychatog》をトップデッキ!

藤田の最後の望みであった《ウルザの激怒/Urza's Rage》もここで《方向転換/Divert》され、ゲームエンド。
大きなため息をついた両者は、すぐさまサイドボーディングに突入した。

所要時間 1時間近い我慢比べ。
本当に長い戦いだった。

Wiegersma 1-0

Game 2

blurred mongoose

 窮鼠となった藤田剛史。
先攻 3 ターン目に《疾風のマングース/Blurred Mongoose》召喚という立ち上がりで、4 ターン目にも《Raging Kavu / 怒り狂うカヴー》キャストを試みて、これも成就。《Raging Kavu / 怒り狂うカヴー》は《殺戮/Slay》され、ここで藤田は《十二足獣/Dodecapod》召喚。

 しかしながら、Wiegersma が《サイカトグ/Psychatog》をトップデッキ!
 その場にいた誰もが、先ほどの悪夢を思い起こしたことだろう。

 藤田はフルアタックし、Wiegersma は《十二足獣/Dodecapod》をこれでブロック。藤田もここでフルタップ状態の《サイカトグ/Psychatog》に《ウルザの激怒/Urza's Rage》をたたきこむが、やはりこれはリソースの消費を強制するいわば手札・墓地破壊スペルとしてしか機能しなかった。藤田、《獣群の呼び声/Call of the Herd》。続く《獣群の呼び声/Call of the Herd》フラッシュバックは《蝕み/Undermine》。一気果敢に攻め立てる藤田だったが、次の《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》も《対抗呪文/Counterspell》。
 ...またも我慢比べだ。

藤田、続くターンにも《獣群の呼び声/Call of the Herd》キャスト。
...通った!
...ならば、と《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》2 号機を続ける。スタックで《選択/Opt》を連発したWiegersma だったが...これも通る!

勢いづいた藤田は《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》と 3/3 トークンでアタック。Wiegersma もここで打開策を求めての《嘘か真か/Fact or Fiction》。
...これが凄まじい。

・《撹乱/Disrupt》《嘘か真か/Fact or Fiction
・《サイカトグ/Psychatog》《のぞき見/Peek》《塩の湿地/Salt Marsh

persuasion

当然後者を選択した彼は、ノータイムで《のぞき見/Peek》。そしてそのキャントリップがこれまたミラーマッチにも効果的なサイドカードである《説得/Persuasion》だった。

覗かれた藤田のハンドは《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》だったが、場には《蛮族のリング/Barbarian Ring》がある。Wiegersma はここで《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》をブロックしつつ残りライフ 5 となったが、藤田はフラッシュバック《獣群の呼び声/Call of the Herd》。ちなみに藤田のライフは 15 だ。

《サイカトグ/Psychatog》をコントロールしつつも窮地に立たされた Wiegersma。ランド 5 枚(うち《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》1 枚)という状態でドローが《殺戮/Slay》⇒トークン。そして、そのキャントリップも《Persuasion / 説得 》。...重い。
 
 最後の数点を削りきるべく藤田はトークンと《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》でアタック。
 ...ここで Wiegersma 長考。
 やはりトークンをブロック(除去)し、《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》が通って4点。

 そしてWiegersma はここで《サイカトグ/Psychatog》でアタック!
その後に《説得/Persuasion》で《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》のコントロールを奪った。藤田のアタッカーである《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》を奪い取ってやるわけだから、確かに《エイトグ》は殴りにいきたい気持ちもわからないでもない。

しかし、ここでのタップアウト(《円形競技場》のみアンタップ)を狙い済まして藤田は《Raging Kavu / 怒り狂うカヴー》を召喚。慢心したタップアウト状態の《エイトグ》を嘲笑うかのようにアタックし、ライフ差 1(Wiegersma) vs. 13(藤田)。ここで藤田はさらに《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》を召喚してターンエンド。

Wiegersma はここで状況をじっくりと再確認し、投了を宣言した。

...そう、藤田の墓地は次の《サイカトグ/Psychatog》を《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》がチャンプブロックしたこと瞬間にちょうど 7 枚になり、《蛮族のリング/Barbarian Ring》がまさにその真価を発揮しようとしていたのである。そうでない手段(《Recoil / はね返り》など)でこのブロッカーを実力排除したにせよ、このランドにスレッショルドという起動条件を与えてしまうことだけは確かなのだった。

 藤田、起死回生。

藤田 1-1

Game 3

そして、苦しい試合運びを強いられてきた藤田剛史に、祝祭のときが訪れた。
そう、Wiegersma が色マナ事故を起こしたのである!

wild mongrel

後手の藤田が《野生の雑種犬/Wild Mongrel》召喚というスタート。続く《獣群の呼び声/Call of the Herd》も通る。Wiegersmaには黒マナがなく、せっかくのオープニングハンドに恵まれた《サイカトグ/Psychatog》が召喚できない!

...《嘘か真か/Fact or Fiction》するも、

・《島/Island》《地底の大河/Underground River
・《島/Island》《蝕み/Undermine》《対抗呪文/Counterspell

という二つの山から前者を選択せざるをえない状態で、ともかく黒マナが来ないのだった。

Wiegersma は《説得/Persuasion》でトークンを奪い、次の藤田の総攻撃でこのトークン同士が相打ち。この段階で Wiegersma は 9 ライフ。藤田はハンドからさらなる《獣群の呼び声/Call of the Herd》をキャストし、大攻勢。

5 マナ、墓地 5 枚、ハンド満タン。Jelger Wiegersma は自分の置かれた状況を再確認した。その上で、《殺戮/Slay》でトークンを除去し、セットランドしてターンエンド。《Psychatog / サイカトグ》は温存というか、この《殺戮/Slay》のキャントリップで黒マナを引き当ててサモンすることが最低条件だったのだ...。

藤田《野生の雑種犬/Wild Mongrel》でアタック。
これがパンプして、 Wiegersma 3。
藤田はフラッシュバック《獣群の呼び声/Call of the Herd》!

 黒マナは《地底の大河/Underground River》のみ。《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》も使いたくない。絶体絶命の Wiegersma。

 ...それでも、意を決して《サイカトグ/Psychatog》を召喚。
ペインランドの使用で残り 2。

compost

武士の情け。
一思いに介錯を...と、藤田は《たい肥/Compost》をキャストした。そう、《サイカトグ/Psychatog》はパンプアップすることさえままならなくなったのである。

ゆっくり深呼吸した Wiegersma。
沈黙の中、二人の視線が交錯する。
...喧騒の真っ只中である Pro Tour Area の中で、ここだけ時が止まったかのような一瞬の静寂だった。

そして、Jelger Wiegersma は大きく息を吐き出しながら、緊張を解いた。彼は藤田に右手をさしだして、"Good Luck"と告げたのだった。

Final Result:藤田剛史 2-1 Jelger Wiegersma

Tsuyoshi Fujita

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Jelger Wiegersma

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