Quarterfinal

Posted in Event Coverage on March 1, 2009

By Yukio Kozakai

棚橋 雅康(新潟) vs. Luis Scott-Vargas(アメリカ)

規格外のLSVプロツアーサンデーに、ようこそおこしやす。

京都といえば、有名な歌の中に「京都通り数え歌」なるものがある。Luis Scott-Vargas(アメリカ)、通称LSVが昨日までのスイスラウンドで11連勝を飾り、勝利の度に刻んだのが、まさに栄光への数え歌だ。

昨年のプロツアーベルリンと、今年に入ってはグランプリロサンゼルスの優勝で、既にエクステンデッドでの勝負付けは済んだ。昨日のヴィンテージトーナメントでは、自身がプロデュースしたデッキが優勝を果たすなど、マジックにおける「全種目制覇」も、今のLSVならやりかねない。それだけの勢いと実力がある。

昨日は、そのヴィンテージトーナメントを観戦。棚橋とのマッチに備えなくて良いのか? との問いには、

LSV 「え? だって《蔓延/Infest》のないフェアリーでしょ? 練習の必要はないさ!」

と、余裕のコメント。確かに、棚橋 雅康(新潟)のフェアリーは高橋 優太(東京)が使用していたタイプの微調整版とのことで、《蔓延/Infest》は無い。だが、こうなったら是が非でも、日本男児の誇りにかけて、また新たに現れた若武者が一太刀浴びせる痛快なシーンを見てみたいものだ。

初めてのプロツアー参加となった今回、ブレイクのきっかけはあった。昨夏行われたグランプリ神戸で、自身初のプレミアイベントTOP8入賞を果たし、一躍ライジングスターとして脚光を浴びることとなった、実力あるルーキー候補なのだ。そして、ベルリンでの活躍を地元新潟勢は大いに期待したものだが、残念ながら仕事の都合で参加できなかった。

その新潟のマジック普及に尽力している、DCI公認LV3ジャッジの若月 一裕氏が昨日から会場に観戦に訪れ、棚橋の活躍を心から喜んでいたのが印象的だった。

若月「新潟のPTQといえば、関東遠征組に権利を献上するためにあるような向きがあった。けれど、村田君(村田 大輔(新潟)本戦124位)が新潟勢として、新潟で初めてのPT権利を取り、棚橋君も長野で権利を取った時は本当にうれしかったね。確実にプレイヤーの地力が上がっているってことだからね」

若月「彼(棚橋)は、新潟のPTQやGPTでも、スイスラウンド8位で滑り込んで勝っていく印象が強いんだ。だから、今回もやるんじゃないかと期待してるんだよ。LSVとのマッチは厳しいと思うけど、いいジンクスじゃないかな?」

こう語る若月氏は、とても優しい眼をしていた。そして傍らには、氏の生後間もない愛息の姿があった。棚橋をはじめとして、新潟勢の躍進と成長を、まるで我が子のように語る姿に、とても温かみを感じる。若月氏の手によって雪国に蒔かれた種は、確実に芽を出し、葉を広げている。さらに、今年は4年ぶりのGP新潟がすでにプログラムとして発表済である。昨年の千葉のように、今年は新潟が赤丸急上昇コミュニティとなるのだろうか。注目だ。

さぁ、間もなく決勝ラウンドが始まる。スタッフが、プレイヤーに相撲で言うところの「力水」を配っている。と、LSVが、ジャッジに何か物申している。

LSV 「500mlじゃ足りないよ。2Lの無いの?」

LSV、確かに規格外の男だ。

Game 1

新潟の期待を背負う棚橋美味しそうに、2Lの烏龍茶を飲み干したLSVが先攻。

颯爽と2枚の《潮の虚ろの漕ぎ手/Tidehollow Sculler》で棚橋のハンドから《砕けた野望/Broken Ambitions》をかすめ取り、棚橋を無力化したところで《栄光の頌歌/Glorious Anthem》《雲山羊のレインジャー/Cloudgoat Ranger》と連打し、烏龍茶と同じように、あっという間に棚橋まで飲み込んでしまった。

棚橋 -0 LSV -1

Game 2

後手だったから圧敗したという理由は確かにある。先攻のトークン系デッキにブン回られたら仕方ない。と、気を取り直して棚橋が開いたハンドは、《叫び大口/Shriekmaw》《苦悶のねじれ/Agony Warp》《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》と土地が4枚というもの。

あまりありがたくないが、除去重視で考えると始められないこともないのでキープ。すると《思考囲い/Thoughtseize》を引き込み、LSVの展開を伺おうとすると、そこには絶望の荒野が広がっていた。

2枚「ずつ」の、《苦花/Bitterblossom》と《栄光の頌歌/Glorious Anthem》に土地。

どれを抜いても、効果はいまひとつな上に、残ったカードだけでも充分な破壊力である。泣く泣く《苦花/Bitterblossom》の1枚を落とし、LSVは残ったもう1枚の《苦花/Bitterblossom》を設置。棚橋はここで《謎めいた命令/Cryptic Command》を引き当てるが、4マナ目にアンタップ状態でプレイ出来る土地を引き当てられず、打ちたいタイミングで《謎めいた命令/Cryptic Command》が打てない。

これが最後まで尾を引いた。LSVはお構い無しに、事実上「3枚目」の《苦花/Bitterblossom》を出し、棚橋はカラ《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》を返すのみ。

《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》は《フェアリーの集会場/Faerie Conclave》起動からの《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》で弾き、《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》を通す。

LSVからレスポンスの除去は無く、《謎めいた命令/Cryptic Command》でLSVの攻撃を封じ、2枚の《苦花/Bitterblossom》でライフを大きく失っているLSVに対し、返しの総攻撃で逆転するプランを棚橋は作り上げた。達成条件は、

・LSVが「複数」のパーマネントを展開しない。《苦悶のねじれ/Agony Warp》を持っているので、1体なら対処可能
・クリーチャー除去を打たれない

の2点。

しかし、そこはLSV。プレイしたのは《幽体の行列/Spectral Procession》。これで我慢しきれなくなった棚橋がフルタップで《苦悶のねじれ/Agony Warp》した所で、《流刑への道/Path to Exile》が《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》に飛んでくる。

棚橋の逆転へのシナリオを完全に粉砕した上で、LSVが早くも準決勝へリーチをかけた。

棚橋 -0 LSV -2

Game 3

LSV無双LSVは、棚橋の闘争心まで粉砕していた。

棚橋、痛恨のダブルマリガンから無念の1ランドストップから、”Juggernaut”が自身めがけて突進してくるのを見るほかに無かった。

三田村 和弥(千葉)名言集(仮称)」の1つに、「プロツアーは、日曜日まで行ったら勝ち。あとは賞金の倍々ゲームと名誉の勝負」という言葉がある。日曜日までコマを進めただけでも充分な成果なのだ。ひとまずは、棚橋の挑戦にピリオドは打たれた。

LSV 「ホノルルには行くのかい?」
棚橋 「YES!」

と、力強く答えた棚橋の次のステージは、もう始まっている。さらなる高みへの期待は、次回以降にとっておこう。

一方のLSV。準々決勝前とはうってかわって、友人数名を集めてテストプレイを繰り返している。さすがに準決勝ともなると、緊張感が違ってくるものかと思いきや。

......午後から行われるレガシートーナメントで、友人に託すデッキの調整だった。LSVは、本気で全種目制覇するつもりだ。京都もLSVの為にある、のか?

棚橋 -0 LSV -3

LSV advanced to Semifinals !!

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