Round 10: 藤田 剛史(大阪) vs. Julien Nuijten(オランダ)

Posted in Event Coverage on December 1, 2005

By Keita Mori

日本マジック史における最重要人物の一人、藤田 剛史

年々歳々花相似たり、年々歳々人同じからず。

プロツアーという競技体系が作り出されてから十年の月日が過ぎ去り、とうとうその歴史を振り返って「殿堂」が設立された。

そんな、「歴史との邂逅」という明確なテーマがブラッシュアップされた2005年度世界選手権であることを思うと、この第10回戦でのベテランの藤田と新星Nuijtenが戦う一戦も…どことなく象徴的で、感慨深い。

大阪に住まう藤田 剛史はいわゆる十年選手で、生涯獲得賞金が130,695ドル、グランプリで決勝ラウンドに残ること12回、プロツアーサンデーも三度経験しているという第一人者である。思えば、日本ではじめてプロツアーの決勝ラウンドに勝ち進んだのは彼で、日本ではじめてプロツアーを優勝したデッキ(使用プレイヤーは黒田 正城)は彼のデザインだった。

かつてのFinkelやBuddeのような絶対的支配者が存在しない今のマジック世界を見渡してみると、藤田は間違いなく有数のコミュニティリーダーであり、言ってしまえば長老のような存在となっている。特にデッキビルダーとしての実績が高く評価されており、マジック・インビテーショナル出場を賭けた投票でも世界中のファンの後押しを得て"Resident Genius"枠の第一位に輝いた。

現在進行形のエクステンデッド・シーズンを席巻する「ボロス・デック・ウィンズ」のデザイナーとしてもクレジットされた藤田は、いまや世界が認める「デッキ構築の天才」なのだ。

一方、「新旧の邂逅」の「新」のカテゴリーのアイコンとも言うべき存在がオランダのJulien Nuijtenだ。何せ彼は、15歳という若さでシーズン新人王と世界王者という二つのタイトルを一年前のサンフランシスコで獲得したプレイヤーなのである。

ちょっと想像してみよう。

マジック:ザ・ギャザリングというゲームのプロ競技化がはじまったとき…一方の藤田青年は二十歳そこそこの若者だったわけだが、なんとNuijten少年は小学校に入学するところだったのだ!

そして今、彼らは対等なライバルとして、同じフィールドで競い合う。

Game 1

Drooling Groodion

「ガンバッテー ヨロシクー」

デッキをシャッフルしてから、屈託の無い笑顔で覚えたての日本語を連呼するNujiten。まだまだ少年の面影が…というか少年そのものである。

そして、苦笑しながらも藤田はNuijtenに新しい日本語を教えた。その単語は「ヤバイ」。

「ヤバイ ヤバイ ヤバイ」

覚えたての言葉をなんとなく連呼しながら喜ぶNuijtenだが、「そもそもヤバイってどういう意味?」と、当たり前の質問を藤田にぶつける。

すると藤田は、

「ヤバイ。…たとえば、いまのオレのデッキとかだな」

と、ちょっと意味ありげな表情を作ってから、第2ターン目に《検分するスプライト/Surveilling Sprite》を召喚した。

後手ながら、この第1ゲームのファーストアクションである。

一方で、先手のNuijtenは3ターン目に《護民官の道探し/Civic Wayfinder》を展開し、デッキが緑黒白のゴルガリ=セレズニア色であることを明らかにした。

ところで、藤田自身は自分のデッキの出来を「ヤバイ」を表現したわけだが、皮肉にも別の意味で「ヤバイ」のがNuijtenのデッキだった。すなわち、《よろめく殻/Shambling Shell》、《ゴルガリの腐れワーム/Golgari Rotwurm》、《禿鷹ゾンビ/Vulturous Zombie》といった超優良カードが連打され、ゴージャスな敵陣があっという間に出来上がってしまう。

対する藤田も、《隠れ潜む密通者/Lurking Informant》や《ヴィダルケンの幻惑者/Vedalken Entrancer》、《破れ翼のドレイク/Tattered Drake》といったクリーチャーを展開してみるのだが、肝心の再生能力つき《ドレイク》を《叫び回るバンシー/Keening Banshee》であっさりと撃墜されてしまうと、ここで息切れとなってしまう。

青いデッキには航空戦でのダメージレースという明確なゲームプランがあるわけだが、いかんせん相手が《禿鷹ゾンビ》や《ゴルガリの腐れワーム》ではどうしようもないのだった。

Julien Nuijten 1-0 藤田 剛史

ジュリエン・ナウテンは素晴らしい勝負強さを見せた。

Game 2

どうやら、ドラフトを終えた段階でのアドバンテージを確実に握っていそうなNuijten。そして、彼の勢いとデッキのパフォーマンスは2戦目もすさまじかった。

先手の藤田は3ターン目に2/2クリーチャーである《土を形作る者/Terraformer》、それに続けて4ターン目にも《狩り立てられた幻/Hunted Phantasm》を展開したのだが、一方でNuijtenは2ターン目の《ゴルガリの印鑑/Golgari Signet》と3ターン目の《護民官の道探し/Civic Wayfinder》というしっかりしたマナブーストから、《棘茨の精霊/Bramble Elemental》に続く形で…

《よだれ垂らしのグルーディオン/Drooling Groodion》召喚!

《グルーディオン》は自軍のクリーチャーを贄として要求する代わりに、盤上に圧倒的なインパクトを与えるゴルガリ=ギルドきってのパワーカードである。そして、その生贄となるのに最適のクリーチャーたち――5体もの1/1トークン――が、藤田の《狩り立てられた幻》によって提供されたというわけだ。

結局、この強力無比なマルチカラークリーチャーが文字通りのボードコントロールを果たし、老獪なる強豪とのアウェーゲームにおける決定打となった。

Julien Nuijten 2-0 藤田 剛史

Tsuyoshi Fujita

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Julien Nuijten

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