Round 10: 隋 金(中国) vs.
長谷川 裕(新潟)

Posted in Event Coverage on June 24, 2012

By Wizards of the Coast

 グランプリ2日目、その初戦。フィーチャーマッチテーブル。とくれば、これしかあるまい。

 全勝対決。

 かたや初日1523人のスタンディングトップを飾った、新潟の長谷川。

 8回戦に続いて同郷の棚橋の言葉を借りるなら、今度は『新潟のライジングスター』らしい。新潟はどれだけ人材が豊富なのか。席につくなり「(自分が)場違いなんですけど」と謙虚な姿勢だが、9-0という誰憚ることない立派な成績を残したからこそ、ここに座っているのだ。

 そして対戦相手の隋は、渡辺 雄也が優勝した今年3月のグランプリ・クアラルンプールの準優勝者にして、ワールド・マジック・カップ中国代表でもある。

R10_Hasegawa_VS_Sui.jpg

 デッキはどちらも青白No-Caw。細かい調整と、そして何よりもプレイング技量によって差がつきそうなマッチアップだ。

 だが、長谷川のデッキは新潟勢5人がシェアし、3人を2日目に送り込んだという珠玉の一品とのことである。

 全勝を維持して幸先の良いスタートを切ることができるのは、どちらの青白だろうか。

ゲーム1

 お互い6枚、隋の先手でゲームがスタートする。

 どちらもリソースが少ないため、静かな序盤になるかと思われたが、長谷川が《海賊の魔除け》で隋の手札を攻め立てると、4枚目の土地を捨てることを選択した隋の土地が3枚で詰まってしまう。対して、長谷川は4ターン目に順調に《天界の列柱》をタップイン。

 ここでエンド前に隋は《瞬唱の魔道士》で仕掛けるが、これには解決後に長谷川が《瞬唱の魔道士》による《海賊の魔除け》フラッシュバックを合わせ、アドバンテージを獲得。ついでに2点クロックを置くことに成功する。あまり見ないカードだが、インスタントで手札破壊に除去と、八面六臂の活躍だ。

 ところで、クロックパーミッションの同型は先にクロックを用意した側の圧倒的有利である。
 互いに『一度着地したクロックを維持する』ことに特化した、すなわち純然たる守りには向かないカード選択がなされているからだ。

 加えてスペル構成がほとんど同一であるため、カウンターや除去など(維持したターンが増えるごとに価値を増加していくパーマネントを除く)防御的なカードを相手よりちょっとでも多く引いてしまうと、途端に逆転することが難しくなってしまうのだ。

 ここで手札にカウンターと除去しかない隋は、まさしくその如何ともしがたい状況に陥ってしまう。

 一方の長谷川の手札は意気軒昂。エンド前の《修復の天使》をおとりにして隋に《マナ漏出》を撃たせると、返すメインで5マナから《聖トラフトの霊》をプレイ。これへの《差し戻し》を《マナ漏出》で弾き、着地させることに成功する。

 こうなってしまうと唯一の手札として打ちどころのない《流刑への道》を抱えた隋には、抵抗らしい抵抗もすることができず。

 『常に相手より高いクロックを維持して殴りきる』という、クロックパーミッションの本道を見せつけた長谷川が、まずは1本を先取した。

隋 0-1 長谷川

ゲーム2

 先手の隋が長谷川の2ターン目のエンド前に《瞬唱の魔道士》をプレイしてクロックを作ろうとする立ち上がり。長谷川も隋のエンド前にこちらも《瞬唱の魔道士》をプレイして一方的な展開を許すまいとするのだが、今度はこの隙に隋の《ヴェンディリオン三人衆》が通ってしまう。

 これにより長谷川の

 という6枚から《ヴェンディリオン三人衆》が抜かれると、1ゲーム目とは逆に長谷川がクロックで先行される展開となる。

 さらに隋は1体目の《瞬唱の魔道士》同士が相打ちになるや、すぐさま2体目を用意。展開がノッてきたか、プレイングは追い切れないほどの速さとなっている。

隋 金

 他方で、ここまで一方的な展開でライフ10まで追い込まれた長谷川だったが、《変わり谷》起動で《瞬唱の魔道士》ブロックからマナを出しての《四肢切断》により、急場をしのぐことに成功する。

 そしてここぞとばかりに4枚で止まっている隋の土地を《地盤の際》で攻め立てつつ、《天界の列柱》を置いてマナ差をつけようとする…のだったが、隋の勢いは止まらない。返しで《永岩城》を引き入れると、長谷川の場に2マナしか残っていないこのタイミングで、《呪文嵌め》のバックアップを得て《聖トラフトの霊》を着地させる。

 長谷川もどうにか《修復の天使》をブロッカーに立たせるが、さらに隋はこちらも《修復の天使》プレイにより、天使・トークンの4点を素通ししつつクロックを維持することに成功する。

 残りライフ2点となってしまい、どうやっても盤面を逆転できないことを悟った長谷川は、3ゲーム目への突入を決断したのだった。

隋 1-1 長谷川

ゲーム3

 先手は長谷川。3ターン目までお互い静かに土地を置きあったことで、あるいはこのままゆっくりドローゴーで進行するのでは、とも思われたが、クロックパーミッション同士の対戦ではそんなはずもなく、後手3ターン目の隋が3マナフルオープンの長谷川に対しサイドカードの《火と氷の剣》を果敢にプレイしたことによって、ゲームは一気に加速していく。

 ここで《マナ漏出》を持っていた長谷川はカウンターするか少し考えるが、手札と相談した結果、スルーした上で装備品を機能させる前に決着をつけることを選択。すなわち、エンド前に自分を対象とした《ヴェンディリオン三人衆》で4枚目の土地を探しにいくと、これを無事引き込みつつ《聖トラフトの霊》を送り出す。確かにこれなら殴りきることもできそうだ。

 だが、隋は慌てずに《変わり谷》《変わり谷》《平地》《神聖なる泉》の4マナから《四肢切断》+《聖トラフトの霊》相殺で綺麗に対処。これには長谷川も若干目算が狂ったか。

 それでも長谷川は5枚目の土地を置くと、今度はメインで《修復の天使》をプレイ。対して隋はこちらも5枚目の土地となる、3枚目の《変わり谷》を置き、即座に《流刑への道》で対処すると、《変わり谷》に《火と氷の剣》装備させて一撃で攻守を逆転させようとする。が、長谷川もこれは《四肢切断》でかわし、互いにわずか1マナさえも無駄にはしない、まさしく一進一退の攻防が続く。ライフは隋12に対して長谷川15。

 返すターンに《流刑への道》によって6マナに伸びた長谷川は、さらに7枚目の土地である《地盤の際》を置くと、《天界の列柱》を起動してアタックしつつ、《地盤の際》を構える好プレイ。一方で土地が4枚に後退した隋は、さすがにこのマナ差で無理に攻めることはせず、《変わり谷》で2点アタックの後、《天界の列柱》を置いて2マナを立たせてエンド。

長谷川 裕

 これを勝機と捉えたか。

 長谷川はノータイムで再び《天界の列柱》アタックに行くのだが、これにはしっかり隋の《流刑への道》が飛ぶ。一応《マナ漏出》を持っている長谷川だが、隋の場には《神聖なる泉》1枚が立っており、《呪文嵌め》されると一気に形勢不利となるため、ここは対応して《地盤の際》を隋の《変わり谷》の1枚に起動して、《火と氷の剣》を少しでも運用しづらくするプランをとる。

 その長谷川の目論見通りに土地4枚で再び詰まってしまった隋だったが、それでも《変わり谷》に《火と氷の剣》装備アタックで6点を通し、長谷川を残り7まで追い詰める。他方の長谷川も返しで2枚目の《変わり谷》をトップすると、もう片方の《変わり谷》のアタックで隋のライフを6まで削る。いよいよ大詰めだ。

 しかし、序盤から攻勢を維持し続けてきた結果、ここにきて手札の尽きてしまった長谷川。それとは対照的にマナスクリュー気味で潤沢な手札を持つ隋。加えて隋の盤面には常にプレッシャーを放ち続ける《火と氷の剣》。どちらが優勢かは明らかだった。

 そしてついに隋の手札から、《聖トラフトの霊》が降臨する。

 長谷川も何とかライフ1点を残して《聖トラフトの霊》を相殺する粘りを見せたりはしたものの。

 それでリソースの尽きた長谷川に対し、隋が溢れんばかりの手札からなおも《修復の天使》をキャストすると、《火と氷の剣》のプロテクションにより《天界の列柱》ではこれを止められない長谷川は、追加ターンに入ったところでついに膝を屈したのだった。

隋 2-1 長谷川


By Atsushi Ito

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