Round 18: 津村 健志(広島) vs. Javier Domingues(スペイン)

Posted in Event Coverage on December 2, 2005

By Yusuke Yoshikawa

我等がシーズンMVP、津村 健志

男子三日会わざれば刮目して見よ、という。

2004年の日本選手権で、前日のオープン予選から一気に準優勝まで駆け上がり、シンデレラボーイとして注目されたのは、たった1年ほど前のこと。

津村 健志(広島)は、既にこのラウンドと決勝トーナメントの結果に関わらず、年間最優秀プロプレイヤーのタイトルを獲得することを決めている。

Pro Player of the Year。年間を通して、世界中で最も活躍したプレイヤーの証。一昔前には考えもしなかったタイトルが、弱冠19歳の青年の手で日本に渡ろうとしているのだ。

しかしトーナメントは終わったわけではない。わずかな望みながら、彼には勝利してTop8に残ってダブルタイトル、という可能性が残っている。まずはその戦いにご注目いただこう。

対する相手のJavier Dominguesはスペインのプレイヤー。2003年PTニューオーリンズをキャリアの起点に、最近ではプロプレイヤークラブレベル3の仲間入りとなる21点のプロポイントを獲得している。これがプロツアー7回目の参加という伸び盛りのプレイヤーだ。

相手に不足はない。もはやシンデレラボーイではない、真の最強プレイヤーへ。その姿を、刮目して見よ。

Game 1

先攻を決めるダイスロールで20面体の20を出した津村。ダイスもタイトル獲得を祝福しているかのようだ。

《汚染された三角州/Polluted Delta》スタートの津村に、《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》から《森/Forest》をフェッチして《極楽鳥/Birds of Paradise》のスタート。これを津村はペイ3から《湿った墓/Watery Grave》、《暗黒破/Darkblast》の立ち上がりとなった。

双方良い集中状態でゲームを迎えているようで、テンポよくゲームが進む。

第2ターンの《強迫/Duress》を《対抗呪文/Counterspell》、《永遠の証人/Eternal Witness》も《対抗呪文》とテンポよく弾いていき、今後のために《破滅的な行為/Pernicious Deed》を置くが、第5ターンにプレイされた《起源/Genesis》が津村に重くのしかかる。
このクリーチャー自体は《魔力の乱れ/Force Spike》で退けるのだが、その院カーネーション能力が非常に厄介だ。

毎ターン戻ってくる《永遠の証人》をカウンターしながら、早く《サイカトグ/Psychatog》が欲しい津村。

Dominguesも《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》をクロックに残しながら、《陰謀団式療法/Cabal Therapy》で絡め技をかけてくる。指定は《けちな贈り物/Gifts Ungiven》だが、これはなし。

しかし、津村も直後のターンに《けちな贈り物》を手に入れる腕力を見せ付ける。

Dominguesはこのタイミングで《桜族の長老》を土地に切り替え、《永遠の証人》回収を経て《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》をプレイ。この終了フェイズに、当然津村は《けちな贈り物》、導いたのは《起源》《壌土からの生命/Life from the Loam》と《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》《孤立した砂州/Lonely Sandbar》で、前者が手札へ、後者が墓地へ。津村は自らのターンに《起源》をプレイして終了とする。アンタップの土地は《湿った墓》1枚だ。

Dominguesは続くターン、《起源》を使わずにマナを温存し、こちらも《けちな贈り物》を使ってきた。土地はこのターンまだ未プレイで8枚、導いたのは《化膿/Putrefy》《生ける願い/Living Wish》のユーティリティカードと《萎縮した卑劣漢/Withered Wretch》《消えないこだま/Haunting Echoes》という墓地エンジンに致命的なカードだ。

津村は悩みながらも、《萎縮した卑劣漢》と《化膿》を手札に送ることとした。Dominguesはすぐさま《化膿》を《起源/Genesis》に使用し、《ロクソドンの教主》での攻撃を続行。フェッチランドや《桜族の長老》で削られてきた津村のライフはもはや6だ。

津村は、こちらも《起源》の能力で《曇り鏡のメロク》を回収し、《壌土からの生命》では《汚染された三角州》2枚と《孤立した砂州》を回収してターンを終える。

続く《ロクソドンの教主》の攻撃で津村のライフは2。終了フェイズに《汚染された三角州》を使用してついに1だ。しかし、ここから。《孤立した砂州》をサイクリングして打開策を求める。

再び《メロク》を回収し、ぎりぎり4マナを《破滅的な行為》用に残してターンを返す。
しかし、Dominguesも的確な攻撃で津村を追い詰める。まずは手札の《永遠の証人》プレイで《強迫》を回収し、これをコストに《陰謀団式療法》をフラッシュバック。《メロク》を墓地へ出戻りさせ、津村の手札の《燻し/Smother》2枚を確認する。

そして《ロクソドンの教主》で攻撃して《破滅的な行為》を使わせた上で、《萎縮した卑劣漢》をプレイ。津村もわかっているので、自分の墓地を差し出す。Dominguesはわずかに微笑し、墓地の《起源》と《壌土からの生命》の両システムを、津村の希望を取り除いた。
2体のクリーチャーを前にして、ライフは1。ドローが土地だった津村は、無言で土地を片付けた。

津村 –0 Domingues –1

Domingues

Game 2

《島/Island》《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》というスタンダードライクな開幕の津村、《森/Forest》《極楽鳥/Birds of Paradise》からのDomingues。

第2ターンにDominguesがプレイした《陰謀団式療法/Cabal Therapy》(指定は《対抗呪文/Counterspell》)では、《けちな贈り物/Gifts Ungiven》《サイカトグ/Psychatog》《孤立した砂州/Lonely Sandbar》《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》《湿った墓/Watery Grave》という手札が公開されるにとどまった。

第3ターンの津村、《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》からアンタップで《草むした墓/Overgrown Tomb》をフェッチし、さらに手札から《湿った墓》をプレイ、さらにペイ2ライフでフルタップの《サイカトグ》。「Wow」と一言漏らすDomingues。

思い切った行動がどう出るかだが、Dominguesは《永遠の証人/Eternal Witness》プレイから《陰謀団式療法》を回収し、これをプレイして《けちな贈り物》を捨てさせるにとどまった。

《師範の占い独楽》起動を経た津村が、ここで《強迫/Duress》をプレイすると、Dominguesの手札には《けちな贈り物》《起源》に加え《化膿》が見える。プレイできるけど、《サイカトグ》を除去できるけど、あえてしなかった。焦らずの構えのDominguesは、どこか余裕めいた微笑。津村は《セファリッドの円形競技場》をプレイ、青マナ2つを立ててターンを返した。

Dominguesは《起源》をプレイし、続けて《極楽鳥》をコストに《陰謀団式療法》フラッシュバック。これには、引いてきていた《対抗呪文》を重ねる津村。

ここで値千金の《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》を引いてきた津村は、まずは2枚目の《強迫》で《化膿》を落としてから、これを場に送り出す。一方、2度にわたる《起源》の攻撃と《セファリッドの円形競技場》の使用により、津村のライフは5になっていった。

アンタップしてトークンを出す行動を経て、《壌土からの生命》で土地を3枚回収する津村。《サイカトグ》の食料として、手札に土地を温存する。

Dominguesは最後の手札から《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》、これはそのまま場へ。一方、《起源》はトークンでチャンプブロックしながら、《メロク》とトークンで増えたライフを徐々に攻めていく津村。

続いて攻撃してきた《ロクソドンの教主》を《サイカトグ》で退け、《起源》は殺さないようにチャンプブロック。その後《萎縮した卑劣漢/Withered Wretch》が現れ、《壌土からの生命》を含む墓地が失われるが、土地はすでにあらかた回収済み。

津村がDominguesの終了フェイズに《独楽》を使用すると、《対抗呪文/Counterspell》と《魔力の乱れ/Force Spike》が見える。が、なぜか津村は《魔力の乱れ》を上に置いて、引いた。《メロク》を起こし、トークンとともに攻撃。だがまだ先は長い。

《起源》をトークン生成からチャンプで退け、エンドに《独楽》を動かしたところで、Dominguesはトップデッキの《化膿》。ターゲットはもちろん《メロク》で、津村は忘れ形見を1つ残して《メロク》を墓地に置いた。

しかし直後のターンに《サイカトグ》の2枚目を引き、これを出す。土地は置かずに3枚フルタップとする。

Dominguesは引いてきた《陰謀団式療法》をプレイ。指定は《対抗呪文》でこれは津村の手札に「今は」ない。悩みながらも《起源》で攻撃し、津村はトークンの一方でチャンプブロックした。

続く津村のターン。

手札は6枚、場には、《独楽》。そしてDominguesのライフは12点。《サイカトグ》は2体、うち1体がブロックされ、他に1/1飛行トークンが1体。

サイカ算の時間だ。もちろん、津村にはお手のもの。

答えは、これでギリギリ届いている。

…言い換えれば、あの時《対抗呪文》を上に積んで引いていたのなら、届いていないのだ。余分な土地を置いても届いていない。

この計算をさらりとやってのけるのが、PoYたる所以なのかもしれない。

津村 –1 Domingues -1

Game 3

運命の最終ゲームはDominguesの先攻から。「キープ」と告げる津村の声は、心なしか凄みを増しているようだ。

しかし、ここまで覇を競ってきたのは津村だけではないことが、この後で示されることになる。

Dominguesは《極楽鳥/Birds of Paradise》から第2ターンの《強迫/Duress》。津村の手札から《けちな贈り物/Gifts Ungiven》2枚、《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》、《消えないこだま/Haunting Echoes》に土地2枚が晒され、ともにあった《魔力の乱れ/Force Spike》が指定された。

津村 健志とドミンゲス

続けて第3ターンには《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》をプレイ、ビートダウンを開始するDomingues。津村は前述の重い手札ゆえ、対処をできずターンを返す。

第4ターンには手札から2枚目の《陰謀団式療法》。指定は、手札を分かっているはずなのに《対抗呪文/Counterspell》。これで安全確認をすると、《永遠の証人/Eternal Witness》が現れ、《陰謀団式療法》を回収し、三度の《陰謀団式療法》で《けちな贈り物/Gifts Ungiven》を捨てさせる。

続くターンにはきっちりとフラッシュバック《陰謀団式療法》から《曇り鏡のメロク》を宣言し、一分の隙もなく津村を追い詰めるDomingues。最強プレイヤーを向こうに回して、この男も只者ではない。

どうすることもできない津村は、せめてとばかりに《消えないこだま》を放つが…、それを圧倒するかのように、トップデッキ《けちな贈り物》から《永遠の証人》《起源》《破滅的な行為/Pernicious Deed》《生ける願い/Living Wish》を示すDomingues。

ギャラリーから、確かにため息が聞こえた。

津村 –1 Domingues -2

今大会は惜しくも21位に終わったが、タイトルはOlivier Ruel(フランス)大礒 正嗣(広島)を僅差で抑えて獲得ということになった。これは日本人プレイヤー初の快挙であり、津村 健志は歴史に名を残す存在になったのだ。

しかし、物足りない点があるとすれば、彼がプロツアー級のイベントで優勝トロフィーを掲げている姿を、まだ我々は目にしていないことだろう。

もちろん、年間通してのコンスタントな活躍は為しがたいことであり、素晴らしい。それでも、今や彼はトロフィーの方から待望される存在であるはずだ。

ひとつの物語が幕を閉じ、新たな挑戦が始まる。
彼にはまだまだ、これから成し遂げるべきことがあるから。

Kenji Tsumura Snow Smile / Worlds 2005

Kenji Tsumura

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Javier Dominguez

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