第八版の参入によって変貌をとげたフォーマットを探る上で、世界選手権で使用されたデッキの分布を参照するというのは大きな意味をもつことでしょう。
Wake – 79
Blue-Green – 73
そして、第二勢力となったのは...あまり準備に時間を割きたくなかったプレイヤーには打ってつけの、あのお馴染みのデッキタイプでした。第八版の参入によって失ったものも少なく、ぎこちないマナベースもそのままの青緑というわけです。一括りにここでは青緑と大別してありますが、もちろんデザインには様々なバージョンがあって、お手本のようなマッドネスもあればフランス勢のようなスレッショルドタイプも存在しています。結局ベルリンでも《野生の雑種犬/Wild Mongrel》を使うだろうと思われていたAntonio DeRosa、Jeff Cuuingham、Cole Swannack、Raphael Levyといったプレイヤーたちがこのデッキタイプを選択しています。青緑はWakeデッキが増えたことによってより引き立てられるだろうとも考えられていたようですが、残念ながらそうはならなかったようですね。
Goblin Bidding – 32
グランプリ・タイペイを席巻した日本勢(訳注:藤田剛史)のデザインがこの第八版環境でのこのデッキタイプを考える上でのテンプレートと言えるでしょう。《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》と《硫黄泉/Sulfurous Springs》が使えなくなったことによって死滅したとも思われたかもしれませんが、依然として魅力的なデッキであるということがここベルリンで実際に証明されています(訳注:初日全勝が1名)。そう、《スカークの探鉱者/Skirk Prospector》、《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》、《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》といったカードとのシナジーによって《総帥の召集/Patriarch's Bidding》のテキストは「ゲームに勝利する」という明快な文句になるということです。もちろん、《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》あってのことですけれども。ともあれ、ゴブリンたちによる速攻と劇的なフィニッシュブローとを兼ね備えたこのデッキが赤緑ステロイド以上に魅力的なビートダウンの選択肢となったのだ、ということも...もはや驚くに値しないでしょうか。
Red-Green – 28
Reanimator – 22
マジック・オンラインが導入され、そしてシカゴ・マスターズの予選があった頃から比べてもあまり大きな変化のないデッキタイプです。やはり、環境で最強クラスのクリーチャーを第4ターンに速攻つきでプレイできる能力を持つデッキを否定することはできないでしょうね。《燃え立つ願い/Burning Wish》がある以上、サイドボードとメインデッキも一体ですし。
Slide – 15
対戦相手の半数を青緑のようなクリーチャーデッキと想定するなら、クリーチャーデッキをメタることにもなるでしょう。オンスロート・ブロック構築で土台が確立されたこのデッキを世界選手権対応のスタンダード版に直すと、《燃え立つ願い/Burning Wish》というカードの助けを得ることができるのです。
Goblins – 14
Tog – 8
ああ、とうとうこの言葉を口に出来るようになりました。そう、「《サイカトグ/Psychatog》は死んだ」のです。《対抗呪文/Counterspell》、《魔力の乱れ/Force Spike》を失ったことにより、環境を代表したコントロールデッキがとうとう控え選手となってしまいました。もちろん、勇敢にも《サイカトグ/Psychatog》での天下とりを狙った者たちもいましたが...
Zombies - 6
《強迫/Duress》と《堕落/Corrupt》を失ったことは黒単色にとって大きな痛手といえますが、それでもゾンビでのビートダウンはたしかに方法論として残されていることも事実です。Gabriel Nassifがユニークなデザインを披露してくれています。
White-Black Control – 5
White-Green Control – 5
卓上を大量破壊呪文で一掃しつつ《ナントゥーコの僧院/Nantuko Monastery》がビートダウンして勝利をつかもうなんてデッキが生き残っているとは、ちょっと不可解な感さえあります。中には《クローサの境界/Krosan Verge》を採用しているものもいましたが、やはりパワーカードそのものである《クローサの大牙獣/Krosan Tusker》を使うのが一般的であるようですね。
Clerics – 4
《熟練の薬剤師/Master Apothecary》の強さを中核としたウィニー然としたデッキで、多数派は白単色で《栄光の頌歌/Glorious Anthem》を採用していたようです。可愛そうな《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》はパーティーには混ぜてもらえませんでしたとさ。
その他もろもろ– 20
誇り高き少数派たち。いわゆる「Burning-Bridge」、白黒ビートダウン、白緑のマッドネス、ビーストデッキ、黒緑の《定員過剰の墓地/Oversold Cemetery》デッキ、エルフデッキ、エンチャントレスデッキ、青白コントロール...などなどだ。