
岡本 尋
最後のアジア選手権に優勝したことから「ラストエンペラー」というニックネームで親しまれるようになった岡本尋。もっとも確立された日本人プロの一人として国際的にも知られている彼は2003年の世界選手権では見事準優勝を飾っているプレイヤーで、継続した活躍とゲームぎゃざ誌上での執筆などが印象的な人物だ。また、29歳の岡本はマジック歴が8年強になろうかというベテラン中のベテランで、加藤一貴・塩津龍馬・小倉陵・大塚高太郎・林眞右といった若き東海勢を育て上げたことでも知られている。
ところで、岡本はシールド・デッキのおみくじ的な側面でいつも苦しめられてきたプレイヤーである。それゆえに今回は「願掛け」をしてグランプリ仙台へと臨んだそうだ。その、プロツアーで共闘する池田剛に薦められたという開運グッズが効いてか、岡本は苦手種目のシールド・デッキを7勝1分無敗というすばらしいスコアできる抜けることとなり、そのまま連勝街道をつっきって決勝ラウンド一番乗りをはたした。そんな岡本が決勝ラウンドでドラフトしたいと考えているのは親和デッキで、予選ラウンドで一番お世話になったカードは「象さん」こと《ロクソドンの戦槌/Loxodon Warhammer》。ちなみに、ここ仙台へはフェリーで21時間かけての遠征だったそうで、船中で延々と繰り返されたマネードラフトが良い肩慣らしになったとかならないとか。
はたして、岡本は待望の国内タイトル奪取なるだろうか? もしもそれがかなったなら・・・池田剛の開運グッズもいよいよ本物ということになるのかもしれない。
マジック以外の趣味:食べ歩き。映画鑑賞。旅行。

佐々木 裕介
「ササキユウスケ」はご当地仙台にもいるわけだが(日本代表経験者)、こちらの佐々木は関東の若手のほうだ。19歳の学生である佐々木、実は彼は中学時代から東京渋谷のDCIトーナメントセンターで切磋琢磨してきた筋金入りのプレイヤーで、キャリアは6年にのぼる。今季のグランプリ静岡でベスト8入賞経験もあり、プロツアー参加回数も2回だ。「ガチャ」というニックネームで強豪勢にはとおっているプレイヤーで、実は藤田憲一と並べても見劣りする事がないような巨漢だったりもする。DCIのペナルティーで一年間の出場停止処分を受けた過去をもつ彼だが、いまやマジックの世界へと完全復活を果たしたというわけだ。
佐々木裕介は初日を6勝1敗1分、二日目を4連勝で飾ってから、13回戦には既にベスト8入りをほぼ確実なものとしていた岡本尋とマッチアップされた。そして岡本にここで塩を送られること(投了)によって佐々木は決勝進出を確実にしている。とにもかくにも静岡、仙台というミラディン入りのリミテッド・グランプリ二大会で決勝ラウンドに連続して勝ち上がっているわけだから、佐々木のこのフォーマットへの理解はかなり深いものといえるだろう。
佐々木が予選ラウンドでもっともお世話になったというカードとしてあげたのが《火の玉/Fireball》で、大会に備えての練習では斉藤友晴・金民守・射場本正巳・森勝洋といった面々と精力的にドラフトを重ねてきたそうだ。ちなみに、DCIトーナメントセンターなき今、佐々木が道場がわりにしているのはフォーラムやイグニスといったショップや、射場本家での「合宿」。
マジック以外の趣味:麻雀。

志村 一郎
21歳の大学生という志村は「知る人ぞ知る」系の強豪だ。彼はシカゴ・横浜・神戸とプロツアー三大会に出場をはたしている。今大会にむけては筑波(茨城)のCC(コンコーダントクロスロード)メンバー、浅原連合の面々とともに練習を重ねてきたということだ。
「《心臓追いの短剣/Heartseeker》でパワーがあがるを忘れて負けてしまった」というちょっとウッカリなエピソードを告白してくれてもいる彼が今大会のMVPカードにあげたのは《ロクソドンの戦槌/Loxodon Warhammer》。このハンマーにはシールドとファーストドラフトでお世話になったそうだ。ちなみに、浅原連合とは親交があるもの、志村はれっきとしたチームCCのメンバーだとか。
ところで、志村を知る誰もが彼に関して語るのが「彼は礼儀正しい青年である」ということ。そういわれてみれば、今回Top 8に勝ち上がったメンバーの中で唯一「マジック外の趣味としてアウトドアスポーツをあげている」プレイヤーでもあり、なるほど彼はスポーツマンなのである。知的スポーツを謳うマジックであるだけに、彼のような紳士的プレイヤーが増えてくれることを願うばかりだ。
マジック以外の趣味:バスケットボール。

Antoine Ruel
24歳の大学生であるAntoineは世界選手権3位入賞という実績で知られるフランスの強豪で、弟の"Oli"vierやイングランドのSam Gomersallと一緒にアジア周遊グランプリ遠征にやってきている。グランプリマドリード~プロツアー神戸~グランプリ香港~グランプリ~仙台という道中を旅してきた彼らは、来週イングランドで行われるグランプリバーミンガムへと出場するためにようやく欧州へと戻れるらしい。まったくもって、かつてのAlex Shvartsmanをほうふつとさせるような大遠征である。
ちなみに、Antioneが今回の成功の第一にあげたのが家族の理解とスポンサードしてくれる Hobby Oneのサポートで、「弟の"Oli"が香港で決勝ラウンドに勝ち進んでいるだけに、それにあやかりたかったね」と微笑んだ。発音は「あんとわん」。私は今日の今日までOlivierを兄だと思い込んでいて、これまで読者のみなさんに何度もあやまった紹介をしてきてしまったことをここでお詫びしつつ、訂正させていただきたい。
マジック以外の趣味:マジックオンライン(大真面目に「これはマジック外だ!」と力説)、日本の漫画

安富 浩人
19歳のフリーターであるという安富。彼にとって、このグランプリ仙台はわすれえぬイベントとなるだろう。《清純な天使/Pristine Angel》をMVPカードにあげている彼は予選シールドラウンドを8戦全勝で飾り、二日目も3勝2敗1分と無難にまとめてアマチュアプレイヤーながら決勝ラウンド進出をきめてしまったのである。
マジック歴は3年くらいという彼は「実はダークスティールいりの8人でのドラフトはこれがはじめてでした」とのこと。普段は池袋イグニスを活動の中心にしており、田中久也や尹スハンといったプレイヤーに胸を借りて切磋琢磨しているということだ。今や安富は荒堀和明に続く二人目の仙台アマチュアチャンピオンの座を狙っている。
マジック以外の趣味:麻雀

山中 稔久
ニュ-スサイト上でプロツアー・サンディエゴ参戦ツアーのコンダクターを名乗り出たことでアマチュアプレイヤーながらにわかに注目の存在だった山中。29歳で、実際に旅行関係の仕事についているそうだ。ともあれ、PTQを既に突破していることがフロックではないことを証明するかのように見事な決勝進出をここ仙台で果たした。
彼が決勝でドラフトしたいデッキとあげているのは赤白で、マジック歴は5年。予選ラウンドでは《立ちはだかる空護り/Looming Hoverguard》に助けられたそうで、今大会にむけては「チームメイトの三木君と自宅で練習しました」。
マジック以外の趣味:競馬

曽我部 一平
22歳の大学生、曽我部は何度となくPTQではTop 8に勝ち上がっている強豪である。マジック歴はネメシスからで、友達が後ろに回って観戦し始めた瞬間に鮮烈なトップデッキをすることができたことを今大会の印象に残るエピソードにあげている。二日目のドラフトを5勝1敗で切り抜けてきているプレイヤーであるだけに、その腕前が確かなものであることは疑いの余地なし。
ところで、曽我部が決勝でドラフトしたいデッキタイプとあげているのは「ガベックス」(ガベエンジン)なるアーキタイプだそうで、つまるところ彼独自のシークレットテクを確立しているのかもしれない。決勝ラウンドで・・・はたして曽我部はどんな「ガベ」デッキを作り上げてくれるのだろうか? 是非とも注目していただきたい。
ちなみに、彼とともに今大会への練習に取り組んできたメンバーの中には志岐和政や三原槇仁の名前があがっており、やはり素晴らしい練習環境を持っているプレイヤーであればアマチュアであろうとプロであろうと関係ないということなのだろう。ちなみに、練習に良く使っているプレイスペースはイエローサブマリンの天神店。アンケートを読むだに・・・ファイアボールは出入禁止だとか。
マジック以外の趣味:麻雀

森田 雅彦
決勝ラウンドへ勝ち進んだ最後の一人は、大阪の森田雅彦だ。チームPS2としてマスターズ・ヴェニスに優勝したことでも知られている森田だが、最近の(彼の基準からしたら)揮わない成績に悩んでいたところであったそうなので、今大会での決勝進出は待望の勝利そのものだったに違いない。たしかに、若手というと大礒や志岐の活躍ぶりのほうが最近では印象的だったかもしれないし、「シルバーコレクター」という称号に関しても藤田修に冠されることが多い昨今ではあったことも否めない。そんな中で・・・森田雅彦ここにありき、を強くアピールしてみせたわけだ。
その森田が今回のイベントでもっとも活躍したカードとあげたのが《物読み/Thoughtcast》で、決勝でもやはり親和デッキを作り上げたいと彼は考えているようだ。ちなみに、もっとも印象的(ショッキング)だったエピソードは「・・・阿南剛が負けてしまったこと・・・」だとか。
"Anan Go is the best player"
マジック以外の趣味:マジック一途です