決勝: 三田村 和弥(千葉) vs. Guillaume Wafo-tapa(フランス)

Posted in Event Coverage on April 22, 2007

By Daisuke Kawasaki

準々決勝が始まる前。ふと思いついて、大礒 正嗣(広島)に聞いてみたことがある。

「上手い、じゃなくて強いプレイヤーの条件ってなんだと思いますか?」

大礒は、難しい質問ですね、とつぶやき少し考えてからこう答えた。

大礒 「つみかさね、ですかね。」

本命は白ウィニーではないか、いや赤緑が、大穴で《野生のつがい/Wild Pair》が、と情報がとびかった時のらせんブロック限定構築のメタゲームだったが、最終的に原点回帰とでも言うべきか、二つのタイプの青黒デックがこの決勝のテーブルで相対することとなった。

青黒系多色コントロールを操るのは、Guillaum Wafo-tapa (ギヨム・ワーフォタパ/フランス)。その名を冠した青赤「ワーフォタパ」や、06世界選手権でデビューした青黒「ドラルヌ・ド・ルーブル」などの青系デックで知られるプレイヤーであり、今大会でも、そのデックは「会場でもっとも美しい」と評されている。

一方の三田村 和弥(千葉)が相棒に選んだのは、青黒変異系コントロール、いわゆる「ピクルス」である。藤田 剛史(大阪)、浅原 晃(神奈川)という日本を代表するデックビルダーたちが最終的にたどり着いたのも、多少形が違うとはいえ、この「ピクルス」を投入したデックであり、《ヴェズーヴァの多相の戦士/Vesuvan Shapeshifter》と《塩水の精霊/Brine Elemental》によるバーサーカーソウルは、この環境のソリューションのひとつであった、といっても過言では無いだろう。

Game 1

《島/Island》セットから、《戦慄艦の浅瀬/Dreadship Reef》へのチャージをはさんで、《虹色のレンズ/Prismatic Lens》をキャストという、もはやおなじみの「序盤のマナ加速テクニック」でマナ基盤を充実させるWafo-tapaに対して、3ターン目に《影魔道士の浸透者/Shadowmage Infiltrator》をキャストし、手札の充実をはかる三田村という対照的なスタート。

この《影魔道士の浸透者》が、《滅び/Damnation》で流されると、仲良く《入念な考慮/Careful Consideration》で中盤戦に備える。

ここから、変異を連続でキャストし、プレッシャーをかけていく三田村。《滅び》や《堕落の触手/Tendrils of Corruption》で順々にさばかれてしまうが、ついに、Wafo-tapaの除去が尽き、《ヴェズーヴァの多相の戦士/Vesuvan Shapeshifter》を生き残らせる事に成功する。しかし、ここでWafo-tapaは《消えない賛歌/Haunting Hymn》で三田村の手札をゼロにしてからの《トリスケラバス/Triskelavus》キャスト。

《影魔道士の浸透者》《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir》と、なかなか順調なドローを見せる三田村ではあったが、《トリスケラバス》の鉄壁の守りを突破することができずに、完全に場は膠着してしまう。その間に、Wafo-tapaは《永劫の年代史家/Aeon Chronicler》をX=2で待機し、その待機中をいいことに《滅び》でリセットする。

《神秘の指導/Mystical Teachings》にバックアップされながら、無人の荒野に降り立った《永劫の年代史家》の進撃を食い止めることはできなかった。

Wafo-tapa -1 三田村 -0

Game 2

2ターン目に《ウルザの工廠/Urza's Factory》をセットという、なにやらきな臭いWafo-tapaに対して、三田村は序盤から順調にマナベースを伸ばしていき、3ターン目に《入念な考慮》。

案の定、青マナが2マナそろえられなかったWafo-tapaに対して、三田村は《ザルファーの魔道士、テフェリー》をキャスト。カウンターの隙が無いうちに「ピクルス」を決めてしまうつもりだ。だが、この《ザルファーの魔道士、テフェリー》には、《突然の死/Sudden Death》が即座に打ち込まれてしまう。

手札は充実している三田村、Game 1と同じく、《影魔道士の浸透者》と変異を順々に展開し、Wafo-tapaにプレッシャーをかけようとするのだが、こちらもGame 1と同様に、続けざまに放たれる《滅び》の前に、だんだんと弾切れの様相を呈してくる。

除去よけとしての《意志を曲げる者/Willbender》をお供に《塩水の精霊》を生き残らせることには成功する三田村だが、Wafo-tapaはすでにX=3で《永劫の年代史家》を待機している。《堕落の触手》は予定調和的に《意志を曲げる者》を除去し、《塩水の精霊》でのビートダウンを開始するが、まずは《ヴェズーヴァの多相の戦士》が《根絶/Extirpate》されてしまう。

《入念な考慮》からも、《ファイレクシアのトーテム像》以外に後続を用意できない三田村。《ファイレクシアのトーテム像》と《塩水の精霊》でのアタックが《永劫の年代史家》によってさばかれると、Wafo-tapaが《ザルファーの魔道士、テフェリー》をキャストしようとするのを、三田村はジェスチャーで制止したのだった。

Wafo-tapa -2 三田村 -0

Game 3

冒頭の大礒への質問と同じことを、石田 格(神奈川)に聞いてみたところ、こんな返事が返ってきた。

石田 「押す所で押せて、引く所で引けるプレイヤーが、「強い」ですね」

7枚が土地という初手を少考の後にキープを宣言する三田村。

《陰鬱な失敗/Dismal Failure》《影魔道士の浸透者》と順当にスペルを引き、Wafo-tapaの《入念な考慮》をきっちりと《陰鬱な失敗》してみせる。

そして、三度繰り返される三田村の《影魔道士の浸透者》変異によるプレッシャーと、それを跳ね除ける除去との組み手。

だが、今回こそ土地の伸びに問題が発生したWafo-tapa。マナベースに差ができることがもっとも危険なことのひとつであるというこの環境のストラテジーからすれば、三田村の土地7枚キープが功をそうしたというべきだろうか。なんとか、5枚目のマナソースを手に入れてのWafo-tapaの《ザルファーの魔道士、テフェリー》を、三田村は《滅び》で退け、《ファイレクシアのトーテム像》でのビートダウンを決行する。《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》を対消滅させ、《堕落の触手》でのライフ回復の芽をつぶしつつアタックを繰り返す三田村。

しかし、Wafo-tapaの除去は半端な量ではない。《ザルファーの魔道士、テフェリー》でのブロック後の《突然の死/Sudden Death》は、《意志を曲げる者》でよけられてしまうものの、《神秘の指導》で《解呪/Disenchant》をサーチ。Wafo-tapaは、目下の懸念材料であった《ファイレクシアのトーテム像》を破壊するのに成功する。

そして、《トリスケラバス》で場の制圧を試みるWafo-tapaだったが、《塩水の精霊》から、《ヴェズーヴァの多相の戦士》と展開し、ついに「ピクルス」を完成させる。数少ないマナで、《トリスケラバス》のトークンを生み出し、それをアップキープに《ヴェズーヴァの多相の戦士》と飛ばして悪あがきをするWafo-tapaだったが、ここで三田村は冷静に、「《塩水の精霊》のまま」アタックを続けたのだった。

Wafo-tapa -2 三田村 -1

Game 4

津村 健志(広島)も、きっと大礒と同じ事を考えているのだろう。

津村 「グランプリに出るのが一番の練習。実践を積めば積むほど強くなれる。負ければ負けるほど強くなる」

十分な土地があったハンドをキープした三田村だったが、ここで3ターンに渡り5枚目の土地をセットできないという事故に見まわれてしまう。《影魔道士の浸透者》がことごとく除去され続け、なかなか土地にアクセスできない三田村。やっと、5枚目の土地にたどり着いた時には、すでにWafo-tapaの《永劫の年代史家》の待機が明ける直前であった。

三田村の変異達をソーサリータイミングで処理していたWafo-tapa。この時点でおきている土地は、貯蓄ランド2枚を含めた4枚の土地。三田村のターンエンドにカウンターを載せようと土地に手をかけて、そして一瞬とまった。そして、《ザルファーの魔道士、テフェリー》を警戒して、カウンターを載せないプレイングを選択する。いったんは《ザルファーの魔道士、テフェリー》に手をかけた三田村だったが、つられるように、手を止める。

そして、Wafo-tapaのアップキープ、《永劫の年代史家》の待機が明けるのにかぶせる形で《ザルファーの魔道士、テフェリー》をキャストする三田村。そこに突き刺さる《吸収するウェルク/Draining Whelk》!

この時、Wafo-tapaの手札には、実は《吸収するウェルク》以外のカウンターが無かった。つまり、自身のターンのエンドに《ザルファーの魔道士、テフェリー》をキャストしていれば、《永劫の年代史家》と《吸収するウェルク》の2体にビートダウンされることも無かったのだ。

これは結果論かもしれない。だが、三田村自身の、決勝終了後のセリフが全てを明示しているともいえるのではないだろうか。

三田村 「ミス、多すぎましたね」

そして、こう続けた「ミスしたから負けたんですよ。ミスらないと負けないゲームですから、マジックは」

Wafo-tapa -3 三田村 -1

こうして、プロツアー横浜はWafo-tapaの優勝で幕を閉じた。

惜しくも決勝は敗れた三田村だったが、自身の敗北を運などのランダム要素ではなく、自身のプレイの中に見つけ出し、真摯に受け止めた三田村の姿勢は、賞賛されるべきものでは無いだろうか。

このつみかさねこそが、プレイヤーを強くしていく。明日の自分は今日の自分よりきっと強い。

ひとりひとりの歴史がひとりひとりの力となる、誰もが皆、自分自身の《永劫の年代史家》なのだ。

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