準決勝 : 三田村 和弥(千葉) vs. 齋藤 友晴(東京)

Posted in Event Coverage on April 22, 2007

By Yukio Kozakai

三田村 和弥

出来れば、この対戦は決勝戦で実現して欲しかった。どちらにとっても、個人戦初となるビッグタイトル奪取の大チャンスだ。準々決勝までに、彼らのエピソードの多くは語られていると思うので、ここでは割愛させて頂くとする。

間も無くゲームが始まろうという瞬間をお届けしているわけなのだが、見ていると、両者のモチベーションの上げ方が両極端なのだ。

まるでこのマッチの当事者ではなく、あたかも観戦者であるかのようにマッチの展開予想を話しながら、のらりくらりと楽しげにデッキをシャッフルしている、三田村 和弥(千葉)。そして、もう定番となった顔をバンバン叩いて気合を注入する「儀式」を終え、真剣そのものの表情で戦闘モードに入る齋藤 友晴(東京)

三田村は、大舞台でも平常心でいるために「普段着」を貫き。
齋藤は、大一番で120%のパフォーマンスを発揮出来るように、自らを高める。

各々の確固たる目標に向けて、準決勝が始まる。

Game 1

三田村は1マリガン。先攻の齋藤が《巻物の大魔術師/Magus of the Scroll》をプレイするところからゲームが始まり、三田村が出した変異にはすぐに《癇しゃく/Fiery Temper》。さらに戦闘要員として《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》を送り込むと、三田村がまとめて《滅び/Damnation》。

このタップアウトのスキを齋藤が見逃すはずも無く、《ティンバーメア/Timbermare》が走る。さらに走る。またまた走る。なんとなんと3連打だ。

1枚は《取り消し/Cancel》を浴びるが、エコーコストを支払えるところまで齋藤の土地が伸びてしまっては2枚目の《滅び》に手をかけるしかなく、三田村のモーションが大きくなるタイミングを待って、満を持してプレイしたのが《嵐の束縛/Stormbind》。

まずは、赤緑のお手本のような展開で齋藤が1本目を先取した。

三田村 -0 齋藤 -1

Game 2

齋藤 友晴

齋藤が再び「儀式」をとり行う。ここで2本連取すれば、完全に三田村を呑んで戦える。メンタル面での強化を施して、齋藤は兜の緒を締めなおす。

しかし、三田村はメンタル面ではなく、デジタル面で頭脳をフル回転させていた。齋藤が取りうるサイドボードパターンを何度もシミュレーションしてきたという三田村は、齋藤がフルバーンモードにシェイプチェンジしてくるのではないかと予想した。

これにはチャールストンで齋藤と戦った際の反省も生かされていると、三田村は語る。最初から2本目は「対バーンシフト」にすると決めていたのだという。その結果《滅び》を全てサイドアウトするという大胆な作戦を決行した。1本取られている状況で、なかなかこれだけ思い切れるものではない。

ゲームは、再び三田村がマリガンスタート。齋藤の《血騎士/Blood Knight》を《応じ返し/Snapback》し、続くターンには《取り消し》して序盤の時間稼ぎは成功。《影魔道士の浸透者/Shadowmage Infiltrator》を召喚してアドバンテージの基盤を築く。齋藤も負けじと必殺の《嵐の束縛》を4ターン目にして早くも設置し、焼殺モードに入る。

しかし、三田村は《嵐の束縛》を相手にしたこの展開でも勝ち上がってきた要因として、「《塩水の精霊/Brine Elemental》表向きプレイ」を挙げた。その通り、5/4というファッティは無視するには大き過ぎる代物だ。さすがに火力をこれに向けざるを得ない状況を作り出し、齋藤の手札を浪費させる。これに対し、齋藤は《怒鳴りつけ/Browbeat》をプレイ。どちらにしてもダメージに替わるのは確実なので泣く泣く5点のライフを支払う三田村。

だが、今度は齋藤の大きなモーションに三田村が付け込む。自分のメインフェイズにマナを使った齋藤に向けて、大量のマナのバックアップを受けて《塩水の精霊》を変異→フェイスアップして強引に塩漬けモードに入り、続くターンに引き当てていた《ヴェズーヴァの多相の戦士/Vesuvan Shapeshifter》を変異からすぐに表向けに。

三田村のライフは残り3。齋藤は3点火力を引ければ勝利出来るが……ドローしたカードにそれは見当たらなかった。

三田村 -1 齋藤 -1

Game 3

齋藤 vs. 三田村

三田村 「マリガン多いなー」

と、ぼやくように、今度はダブルマリガンスタートとなってしまった三田村。齋藤が《モグの戦争司令官/Mogg War Marshal》をプレイするのを見るや、迷わず《意志を曲げる者/Willbender》を「表で」プレイ。「《従者/Squire》!」と、三田村。

しかし、この《従者》が守りの姿勢を徹底する三田村の大きな防御壁となる。続くターンに変異をプレイし、齋藤が《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》をプレイするまでの間、攻撃を許さなかった。これが後々効いてくる。

齋藤は《裂け目の稲妻/Rift Bolt》を変異に撃ち込み、攻撃を開始。3枚から土地が伸びない三田村は再び避雷針に変異をプレイ。そうすると、齋藤は《血騎士》を2体並べてプレッシャーをかけて、《怒鳴りつけ》を連打。1枚目にはライフを支払った三田村だったが、さすがに2枚目は無理で、齋藤の手札は回復した。

三田村は、ようやく5枚目の土地を置くことが出来、ターンを返す。齋藤は《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir》を警戒して攻撃を仕掛けず、予定調和的に齋藤のエンドに《ザルファーの魔道士、テフェリー》。重ねて齋藤が《硫黄の精霊》をプレイする。

ここから6マナ目を引き当てた三田村は、齋藤のエンド時や戦闘中など、邪魔を受けないタイミングで次々に《塩水の精霊》(表)をプレイし、《怒鳴りつけ》以降のドローが土地ばかりの齋藤にも助けられて、ボードを捌き切ったのだ。あとの問題は残りライフだ。なにしろ、たったの4しかない。

7マナを並べた齋藤が《嵐の束縛》をプレイする。通したら負ける三田村はタップアウトして《吸収するウェルク/Draining Whelk》でカウンター。そして4枚の土地を倒して《ティンバーメア》をプレイ。自身を除く全てのクリーチャーはタップし、勝利を確信してレッドゾーンへ突入する。

だが、そこに待っていたのは齋藤の勝利ではなく、三田村に残された2枚の手札から放たれたピッチの《応じ返し》!

生きてターンが返ってきた三田村。齋藤のクリーチャーは全て横たわっている。三田村が自陣に並んだ戦力を数えてみると……

・2体の《塩水の精霊》 10点
・変異(《塩水の精霊》) 2点
・《吸収するウェルク》(+1/+1カウンター3つ) 4点
・《ザルファーの魔道士、テフェリー》 3点

・《従者》(《意志を曲げる者》) 1点!

合計20点!!

三田村 -2 齋藤 -1

Game 4

Stormbind

奇跡の逆転勝利を飾った三田村は、今度はマリガンなし。しかし2枚しか土地の無いハンドをキープしたのが裏目に出て、3枚で土地がストップする。

齋藤は《血騎士》《嵐の束縛》《モグの戦争司令官》と素晴らしいスタートを決めており、三田村は先ほどと同じく《意志を曲げる者》を《従者》のように守りに使い、《ヴェズーヴァの多相の戦士》を変異召喚して《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven》の対象を捻じ曲げるなどして小技を駆使するが、《血騎士》が全く止まらないまま残ライフは10を切ろうとしていた。

そして、やはり《嵐の束縛》の威力が物凄い。三田村は、やっと土地を並べて《ザルファーの魔道士、テフェリー》をプレイするが、プレインズウォーカーの力をもってしても、カードの「能力」まで食い止めることは出来なかった。

三田村 -2 齋藤 -2

Game 5

齋藤が《モグの戦争司令官》から《裂け目の稲妻》待機とつなげる。三田村は、土地ばかりの手札にわずかに見える《絞殺の煤/Strangling Soot》でトークンを処理し、《戦慄艦の浅瀬/Dreadship Reef》にカウンターを貯める。

齋藤のハンドには《嵐の束縛》に2枚の《癇しゃく》《死亡+退場/Dead+Gone》と火力に満ち溢れてはいるが、《山/Mountain》しか引き込めていない。《癇しゃく》を生かすには《嵐の束縛》が必要だ。「バーンモードで勝てるハンドだったから(緑マナが無かったが)キープした」と、齋藤。その為に、三田村に強いクロックを刻めずにいた。

ドローゴーを繰り返し、《戦慄艦の浅瀬》にカウンターを貯める余裕を得た三田村は、5ターン目にして《塩水の精霊》を「表で」プレイ。すると、次のターンには《ヴェズーヴァの多相の戦士》の変異→フェイスアップと6ターン目にしてピクルスが始まったのだ。3ターン目まで《絞殺の煤》しか持っていないところから、ドローサポート無しにもかかわらず、強烈な引き。

齋藤はようやく引き当てた《森/Forest》で《嵐の束縛》を置き、《死亡/Dead》と《嵐の束縛》で《ヴェズーヴァの多相の戦士》を除去。フルタップにはなったが、これで次のターンにはアンタップを迎え、反撃モードに入れる。それは三田村も覚悟の上で、《死亡+退場》が本当にキツイと話していた。やはり土地しかハンドに残っていない三田村は、今後のプランを考えなければならない。

三田村 「あ」

ターンが返ってきてドローした三田村は思わず声を上げ、引いたカードをそのまま盤上にポトリと落として齋藤に公開した。齋藤はそれを見るや、「それを引かれたら仕方がない」といった諦めたような表情で言い放った。

齋藤 「……(テレビマッチでの)せっかくのトップデッキなんだからさ、もっとカッコ良くプレイしてよ!!」

と、笑顔で三田村に力強く握手を求めたのだ!!

三田村が語っていた。「《永劫の年代史家/Aeon Chronicler》ではゆっくりアドバンテージを取るだけで勝てないが、《塩水の精霊》(ピクルスによるロックアップ)はトップデッキして勝てる。だから強い」と。

その通りに、今まさに究極のトップデッキと言えるカードがその顔を見せた。時には相手の力を利用し、時には伝説と共に闇に消え、時には時間の支配者の腹心となり……そして、使い手に素早い勝利をもたらす《ヴェズーヴァの多相の戦士》。まさに、多相たる環境最強の戦士だ!

日本中の期待を背に受けてタイトル取りへ挑むのは、三田村 和弥!!

三田村 -3 齋藤 -2

三田村 和弥が決勝戦進出!!

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