TABLE OF CONTENTS
- Blog - 11:31 pm: Round 12: 津村健志 vs. 中村修平
by Keita Mori
- Blog - 10:13 pm: 本日の勝ち組
by Keita Mori
- Blog - 8:02 pm: Round 11: 志村一郎 vs. 中村修平
by Shu Komuro
- Blog - 7:28 pm: Round 11: Andre Mueller vs. 津村健志
by Akira Asahara
- Blog - 4:43 pm: Round 10: Don Smith vs. 中村修平
by Keita Mori
- Blog - 11:55 am: Round 8: Kamiel Cornelissen vs. 藤田修
by Keita Mori
- Blog - 10:38 am: Round 7: 池田剛 vs. 森田雅彦
by Keita Mori
- Blog - 9:55 am: ビートダウンに活路を
by Keita Mori
BLOG
金曜日のBlogでお届けしたフューチャーマッチの多くが、《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》や《木霊の手の内/Kodama's Reach》によるマナブーストからボードコントロールを成し遂げ、最後に大技でフィニッシュするといったようなデッキばかりであった。石田格の《明神》デッキ"KDW"などはその典型で、フランス勢などは《星の揺らぎ/Sway of the Stars》を《激動/Upheaval》ライクにプレイしてからゲームを決めた。彼らにいたっては《春の鼓動/Heartbeat of Spring》というブーストまで搭載されているわけだ。
勝率 | プレイヤー | デッキ | デザイナー |
6勝0敗 | 志村一郎 | 白ウィニー | 志村一郎 |
5勝1敗 | 森田雅彦 | 3色レジェンド | 藤田剛史 |
5勝1敗 | 大澤拓也 | KDW | 石田格 |
5勝1敗 | 海老江邦敬 | 白ウィニー | 海老江邦敬 |
5勝1敗 | 藤田剛史 | 3色レジェンド | 藤田剛史 |
5勝1敗 | 池田剛 | 信コン | 信下淳 |
しかしながら、そんな環境の中で初日全勝者をもっとも多く輩出したアーキタイプは伝統の「白ウィニー」なのである。そう。開幕ターンに《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》からはじまる美しい曲線を、たとえば4手目の《塵を飲み込むもの、放粉痢/Hokori, Dust Drinker》などでバックアップしてやるのだ。
日本勢で5勝1敗以上の成績をあげた6人の中でも2人のプレイヤーがこのアーキタイプをセレクトしており、彼らはベスト8を確実に視界にとらえたポジションからスイスラウンドを折り返すことになる。ここでは、昨日ほとんどふれられなかったビートダウンプレイヤーたちの声をお届けしよう。

まずは、初日全勝という完璧なパフォーマンスを遂げた志村一郎(茨城)。すでにプロツアーシーンでも活躍をおさめている彼は、石田格が製作した"KDW"の出来栄えにかなり魅かれていたというものの、結局は自分のキャラクターでもある「突破力」を重視して白ウィニーに決めたということだ。
『コントロールが増えるなら活路は見出せると思っていました。あと、やはり自分の個性(キャラ)を大事にしているプレイヤーが勝てていると思うんですよね。格さんのデッキはかなり強いので選択肢として考えさせてもらいましたけれど、結局はわが道を行きました』
志村のデッキで注目すべきはリミテッドを席巻する3マナのクリーチャー、《蝋鬣の獏/Waxmane Baku》の存在だ。
『重いんじゃないかという指摘に関しては、実際にプレイしていて気にならないですね。最初は《信心深い従者/Faithful Squire》を考えていたんですけれど、反転しないことが多かったので素直にこちらになりました。たとえば緑系コントロールがチャンプブロックに使いたい《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》をタップさせてやったり、ぽつんと一匹立っているファッティにもききますからね。同系では、《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を牽制できることが大きいですね。こちらの《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》にカウンターを載せながら2点のダメージを確実に通すことも出来ます。2点というのは、つまり《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》が開幕ターンに出たか出ないか、くらい違いますからね』
もう一人の白使い、海老江邦敬(北海道)は今大会唯一となる北海道勢で、最初のデッキアイデアで友人たちの力をかりたものの、ほとんど一人でこのフォーマットと格闘してきたという。
『メタゲーム的な判断もありますけど、デッキを決めた理由のひとつにはシンプルさがあります。おそらくミスしないだろうというのもそうですし、英語が苦手なので《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》でカードの宣言をしたりするのもちょっとどうかなと思ったりもしました(笑) デッキの構成はオーソドックスなほうだと思いますけれど、有田さんのアドバイスでサイドに忍ばせた《狐の守護神/Patron of the Kitsune》はかなり活躍してくれました』
はたして、志村と海老江はパフォーマンスを落とさずに決勝ラウンドまで突き進めるだろうか? 白使いたちの奮闘ぶりも要注目だ。
Saturday, May 7: 10:38 am - Round 7: 池田剛 vs. 森田雅彦
石田たちとはまた違ったチューニングの《春の鼓動/Heartbeat of Spring》入り明神デッキ「信コン(=信下コントロール)」の池田剛がとうとうフューチャーマッチへと招待された。対戦相手は藤田剛史デザインの3色レジェンドデッキを操る森田雅彦だ。二人はともに初日を5勝1敗で勝ち上がっているという期待株同士である。
Game 1
私がフューチャーマッチエリアに到着すると、第一試合の序盤がちょうど終わろうというところだった。緑青赤の森田雅彦が《大蛇の支援者/Orochi Sustainer》と《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》をコントロールしていて残りライフ15点。緑白青の池田剛は《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》と《春の鼓動/Heartbeat of Spring》をコントロールしていて残りライフが18点で、今まさに《緊急時/Time of Need》から《風見明神/Myojin of Seeing Winds》をサーチしてきたところだった。
森田はここへ《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》を召喚して《龍の牙、辰正/Tatsumasa, the Dragon's Fang》を場に出し、これを《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》にまとわせてアタック宣言。この一撃で池田のライフが一気に残り8点にまで削り落とされる。
しかし、何事にも動じない堂々たるプレイスタイルが売り物である池田は《明けの星、陽星》をレッドゾーンに送り込んで森田のライフに5点のダメージを与え(残り10)、盤面を《最後の裁き/Final Judgment》で文字通りに一掃した。ここで《春の鼓動/Heartbeat of Spring》の悪魔的な爆発力を活かして、池田は無人の荒野へと《風見明神/Myojin of Seeing Winds》を放つ。こうしてみるとこの緑色のエンチャントメントは実に強力で、あわせて16マナをたった8枚の土地から供給してくれるのだ。この『屑レア』の評価もこのイベントを境に一変してしまうのかもしれない。

池田は《風見明神/Myojin of Seeing Winds》から12枚のカードをドローし、2枚目の《春の鼓動/Heartbeat of Spring》をおいてから森田の次なる《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》を《最後の裁き/Final Judgment》で凪ぎ払う。そこへ《浄火明神/Myojin of Cleansing Fire》を召喚してから《緊急時/Time of Need》をプレイ。サーチしてくるのはもちろん…2枚目の《風見明神/Myojin of Seeing Winds》だ。
そして、《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》に続く形で召喚されたその《風見明神/Myojin of Seeing Winds》から池田がドローしたカードは…なんと21枚。ここで森田のアップキープに《時間停止/Time Stop》をプレイした上で、池田剛は悠々と勝利を手にしたのだった。
ちなみに、池田の残りライブラリーはたった3枚だ。
池田 1-0 森田
Game 2
第一試合よりも一方的な試合展開となってしまったのがこの二本目だった。森田雅彦は《大蛇の支援者/Orochi Sustainer》スタートからマナを順調に伸ばしていけたのは良かったのだが、問題はマナしか伸びていかないことだった。
そんな中で、数少ない期待の星たちも次々と池田が《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》から引き当ててくる《密の反抗/Hisoka's Defiance》に撃退されてしまう。そう、《北の樹の木霊/Kodama of the North Tree》も《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》もスピリットなのだ。
対照的に池田剛は絶好調で、《けちな贈り物/Gifts Ungiven》で、
《けちな贈り物/Gifts Ungiven》
《密の反抗/Hisoka's Defiance》3枚目
《邪魔/Hinder》
《水面院の翻弄/Minamo's Meddling》

と4枚の青いカードを《直観/Intuition》よろしく森田の前に提示する。
森田は苦しい表情を浮かべながら《邪魔/Hinder》と《水面院の翻弄/Minamo's Meddling》を池田のハンドに送り込み、開き直ってプレイした《思考の猛火/Mindblaze》もしっかりと池田に《邪魔/Hinder》されてしまう。
ここまでのゲームをしっかりとコントロールしてきた池田が《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》を送り出すと、リミテッドで圧倒的な強さを誇るムーンフォークは期待通りの先発完投勝利を飾った。そう、これ一体でゲームは終わってしまったのだ。
池田 2-0 森田
Saturday, May 7: 11:55 am - Round 8: Kamiel Cornelissen vs. 藤田修

TOGIT=オランダ連合軍としてこのプロツアーに挑戦しているプロツアー・シアトル王者(チームVon Dutchとして)のKamiel Cornelissenの白単色デッキと、プロツアー・アムステルダム準優勝者である藤田修の3色レジェンドデッキがフューチャーマッチへと招待された。もちろん、藤田修のデッキは盟友・藤田剛史がデザインしたマスターピースである。
Game 1
先手のCornelissenが《灯籠の神/Lantern Kami》、《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》、3ターン目にこれを装備してのアタック宣言から《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》召喚という立ち上がりを見せ、4ターン目には《脂火玉/Tallowisp》が戦線に追加された。
しかし、後手の藤田修も2ターン目の《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》から3ターン目に《名誉に磨り減った笏/Honor-Worn Shaku》と《今田の旗印/Konda's Banner》を展開し、4ターン目に《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》を召喚という素晴らしい展開を見せる。昨日のCoverageでもご紹介させていただいたが、伝説の装備品(パーマネント)は《名誉に磨り減った笏/Honor-Worn Shaku》をアンタップさせることができるために擬似的なマナソースとして活躍するのである。
Kamiel Cornelissenは《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》がプレイされるのにレスポンスで《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》に載ったカウンターのうちの1つをとりのぞいてゲイン2ライフ。藤田修はやはりライブラリーから《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を展開し…これらが伝説ルールによって対消滅となる。
ここで沈黙してしまうCornelissenとは対照的に、藤田は続くターンにも《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》を展開し、次々とトークンを生み出し始めた。そう、《今田の旗印/Konda's Banner》をまとった《メロク》は4/6飛行クリーチャーとなり、呼び出されるトークンたちも2/2飛行という驚異的なサイズになってしまうのだ!
藤田 1-0 Cornelissen
Game 2
勝負師Kamiel Cornelisenは《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》と《灯籠の神/Lantern Kami》、さらには《輝く群れ/Shining Shoal》が入った《平地/Plains》1枚っきりのハンドをキープして序盤攻勢にすべてをかける。
一方で、後手の藤田修は2ターン目《大蛇の支援者/Orochi Sustainer》から3ターン目に《木霊の手の内/Kodama's Reach》という具合で1マナストップの対戦相手とは対照的なマナベースを確実に構築する。
なんとか4ターン目にを出せるようになったCornelissenは《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》をプレイするのだが、藤田は悠々と4ターン目に《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》を召喚。Cornelissenはもう破壊されたも同然、と言わんばかりに自陣の《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を墓地に置こうとしたが、藤田はそれを制し、《今田の旗印/Konda's Banner》を場においた。
Cornelissenは5ターン目に《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》に《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を装着して全軍でアタック宣言。これが本体にスルーされて《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》には2つのカウンターがのる。
続くターンに藤田は《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》をプレイして対消滅を狙い、Cornelissenはそれにレスポンスで《大蛇の支援者/Orochi Sustainer》を除去。藤田はなんと2枚目の《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を対消滅の直後に展開して、これを《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》の得物としてアタック宣言。Cornelissenはなんとか《輝く群れ/Shining Shoal》で《塵を飲み込むもの、放粉痢/Hokori, Dust Drinker》をリムーブして《山賊の頭、伍堂》の除去には成功するが、藤田は《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》に乗った二つのカウンターを使って敵陣の猟犬を葬った。
第6ターンにCornelissenが出来たのは《薄青幕の侍/Samurai of the Pale Curtain》を追加することだけで、対して藤田は《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》を召喚してさっそくトークンを生産し始めたのだった。

藤田は《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》に《今田の旗印/Konda's Banner》と《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を装着してアタック宣言。Conelissenはなんとここで《解呪/Disenchant》感覚で《梅澤の十手》を《天羅至の掌握/Terashi's Grasp》で破壊しようと試みるが、藤田やジャッジから即座に「それソ-サリーだから」とツッコミが入る。
あわててCornelissenは《灯籠の神/Lantern Kami》で《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》をブロックしてから《祝福の息吹/Blessed Breath》を使い、《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》にカウンターが乗るのをなんとか防ぐ始末だ。
Cornelissenは第8ターンメインステップに恥ずかしそうな顔をしながら《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》に《天羅至の掌握/Terashi's Grasp》をプレイし、戦線には《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》を追加した。
しかし、ここで藤田修はタップアウトとなったライバルへとレクイエムを奏でた。すなわち、《氷河の光線/Glacial Ray》に連携で《氷河の光線/Glacial Ray》。ポキリと何かが折れた音がした。
藤田 2-0 Cornelissen
Saturday, May 7: 4:43 pm - Round 10: Don Smith vs. 中村修平
これを含めて残り三回戦。昼休み明けの一戦で中村修平はフューチャーマッチへと招待された。…そして、対戦相手のSmithはこの大事な一戦に遅刻してしまう。

中村 1-0 Smith
…というわけで、おいしく不戦勝で一本先取の状態からスタートすることになった中村は、さらにダイスロールに勝利して2戦目も先攻でスタートという幸運に恵まれた。個人的には(たとえそれが不戦敗であれ)無条件でSmithが先攻を選べるものと思っていたのだが、テーブルジャッジもSmith本人も納得しているので、私の誤認なのだろうか。
さて。今回のCoverageで何度と無く登場している3色レジェンドデッキの中村は2ターン目の《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》から3ターン目に《名誉に磨り減った笏/Honor-Worn Shaku》と《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》をプレイし、第4ターン目にも《大蛇の支援者/Orochi Sustainer》をプレイ。
黒単色のSmithは《困窮/Distress》で《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》を捨てさせることこそ出来たものの、中村はライブラリーのトップから持ってきた《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》によって《龍の牙、辰正/Tatsumasa, the Dragon's Fang》とセットで場に展開という豪腕ぶりを見せ付ける。2体の《竹沼の嫌われ者/Takenuma Bleeder》に続けて《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を出して頑張るSmithであったが、中村が《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》をまわすとそこには《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》の姿が…。
中村 2-0 Smith
まさに快勝だった。
Saturday, May 7: 7:28 pm - Round 11: Andre Mueller vs. 津村健志

Game 1
第1ゲーム、最大の見せ場はいきなり訪れた。
津村の手札の土地は《沼/Swamp》が一枚であるものの、《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》と《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》があるのを確認するとキープ。それに対するMueller, Andreはダブルマリガンとちょっとついてないのだが、ここで彼は驚くべき行動に出る。ダブルマリガン後の5枚を見ずに裏向きに置くと。
Andre「このままでいい」
とキープを宣言。こ、こいつは只者じゃねぇ。
…
5ターン後。
Andreの土地0、墓地3枚。
津村健志 1-0 Andre
Game 2
気を取り直して2本目、両者マリガン無しでスタート。

先攻のAndreは《大蛇の支援者/Orochi Sustainer》から《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》と順調な立ち上がり、に見えたが指定は《風見明神/Myojin of Seeing Winds》。津村は《春の鼓動/Heartbeat of Spring》をサイドアウトする形を採っていた為、もちろん《風見明神/Myojin of Seeing Winds》も無くスカ。
返すように津村も《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》。対象は《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》。津村はさらに《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》で《浄火明神/Myojin of Cleansing Fire》を抜き、着々と相手の戦力を削っていくのに対し、Andreが引くのは使う対象の無い《摩滅/Wear Away》を2枚など、本人も面白くなって来たのかいい顔に。
渾身の《北の樹の木霊/Kodama of the North Tree》も《冒涜する者、夜目/Nighteyes the Desecrator》と《最後の裁き/Final Judgment》によってきっちり対処されると、その後は《夜陰明神/Myojin of Night's Reach》されるわ、時間は止められるわと散々な展開に。
結局、津村の《鬼の下僕、墨目/Ink-Eyes, Servant of Oni》が《塵を飲み込むもの、放粉痢/Hokori, Dust Drinker》を釣り上げたところでゲームセット。
津村 2-0 Andre
11ラウンドの懸賞金1000ドルをゲット!
Saturday, May 7: 8:02 pm - Round 11: 志村一郎 vs. 中村修平

残る日本勢は3人、そして志村と中村の同士討ちが始まる。
志村のデッキはコントロールメタの白ウィニー。中村のデッキはドラゴンいっぱいレジェンドデッキ。
Game 1
先手中村は《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》、《名誉に磨り減った笏/Honor-Worn Shaku》、《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》とまずはマナ基盤を整える。
対する志村は《灯籠の神/Lantern Kami》、《八ツ尾半/Eight-and-a-Half-Tails》、《蝋鬣の獏/Waxmane Baku》とマナカーブどおりに展開し、中村のライフを少しでも削りきりたい。
しかし、4ターン目に高速召還される《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》、《昇る星、珠眼/Jugan, the Rising Star》には手を焼くも《脂火玉/Tallowisp》からの《手の檻/Cage of Hands》ですぐに回答を持ってきてそのまま押し切った。
志村 1-0 中村
Game 2
なんとか巻き返したい中村は《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》、《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》、《木霊の手の内/Kodama's Reach》と最善の展開。
志村は《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》を出したはいいものの土地が1枚で止まる苦しい展開。
その間に中村は《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》から《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を出しやりたい放題。
志村は一応ブロッカーを展開したりお茶を濁してみるものの土地2枚のまま《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》の暴力にやられたい放題いいとこ無し。
中村 1-1 志村
Game 3
先行逃げ切りたい志村は《灯籠の神/Lantern Kami》スタート。
中村は初手こそ《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》が2枚あったりマナブーストなかったりで苦しいハンド。がそこから《木霊の手の内/Kodama's Reach》を引いたりしてマナを伸ばす。
中村が土地基盤を整えている中、志村は《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を装備した《灯籠の神/Lantern Kami》でアタック中。中村が出したメロクも《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》の能力で除去。しかしまた土地が2枚で止まったまま。

しかし十手がつらい中村。2枚目のメロクこそ《今田の旗印/Konda's Banner》で守るも《手の檻/Cage of Hands》をつけられ後手にまわらざるをえない状況。十手にカウンターを載せないようにとトークンを出してはそれに《氷河の光線/Glacial Ray》を打ったり、とにかく《梅澤の十手》のカウンターを使わせるプレイングだ。
しかし十手がある志村が断然有利。《天羅至の掌握/Terashi's Grasp》で《今田の旗印/Konda's Banner》を破壊。
浮かない顔をしていた中村はついにトップデックした《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》を出し《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を破壊。
次ターンには《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》、その次には《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》と連続トップデックし、今度は志村が浮かない顔。対照的に中村には生気が戻ってきた。
そのまま《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》に《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》をつけてアタック。
志村はとりあえずカードを引くも、為す術もないことを知り潔く手を差し伸べた。
中村 2-1 志村
11ラウンドの懸賞金1000ドルをゲット!
Saturday, May 7: 10:13 pm -本日の勝ち組
本日最終戦に生き残ったプレイヤーは9名で、特に2敗ラインの人間たちは文字通りに天国と地獄とを分かたれる最終試練を迎えることになった。

そんな中、日本勢の中村修平と津村健志は血で血を洗う「日本人つぶしあい対決」を強いられてしまうことになったわけだが、彼らを尻目に「Bye(不戦勝)で最終戦に勝利した」プレイヤーがいる。それこそが「本日の勝ち組」弱冠15歳のアメリカ人、プロツアーコロンバスでベスト8に入賞したGadiel Szleifer(ガディエル・シュライファー)少年である。
Szleifer少年は無事に5位でスイス式予選を通過し、おまけに12ラウンドの懸賞金である1500ドルを不戦勝という形で手にすることになった。これこそトリプルエリミネーションゆえの椿事、うっかり勝ち組というヤツである。
How Lucky!
Saturday, May 7: 10:31 pm - Round 12 津村健志 vs. 中村修平

試合が始まる前、すでにベスト8入りを確実にしているOlivier Ruel(フランス)がテーブルへとやってきて、これまで彼らフランス勢がかぶっていたピンク色の帽子を津村に手渡した。この帽子は某少年誌に連載されている漫画に出てくるキャラクターのトレードマークとなっているもので、そもそもは笹川知秀(山梨)が「罰ゲームとしてかぶる予定」で持参したものだそうだ。Ruel兄弟が一目見るなりこの帽子を気に入ったとのことで、結局、笹川の代わりにフランス人たちが交代でこの帽子をかぶってフューチャーマッチに登場することになっていたわけだった。
ところで、Ruelはピンクの帽子だけでなく…二つのニュースを届けに来たようだ。いわく、『計算上、このマッチの勝者は確実にベスト8に勝ちあがれるけど、敗者はかなり高い確率で9位になってしまうよ』。さらに、『残念ながら、君たちと同じ2敗ラインにいたGadiel Szleiferが不戦勝(Bye)で決勝進出と1500ドルを勝ち取ったみたいだよ…』
津村「…不条理だ…」
中村「…ないわぁ……」
Game 1
先手をとった津村の圧倒的なスピードでのマナ加速が印象的な立ち上がりとなった。なんと、彼は3枚の《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》と《木霊の手の内/Kodama's Reach》によって第4ターン目にして8枚もの土地をプレイグラウンドに展開して見せたのだ。
しかし、一方の中村もさるもので、2ターン目に《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》というスタートで、3ターン目に《名誉に磨り減った笏/Honor-Worn Shaku》、《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》、《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》の神器3点セットを設置。そこから第4ターンに蒼き《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》を召喚するというスピーディな猛攻を見せた。
それでも、驚異のマナ展開力を見せた津村健志は、あわてず騒がず《けちな贈り物/Gifts Ungiven》をプレイ。手札に《夜陰明神/Myojin of Night's Reach》と《木霊の手の内/Kodama's Reach》が加わり、《崩老卑の囁き/Horobi's Whisper》と《春の鼓動/Heartbeat of Spring》が墓地へと送り込まれた。津村は早速《木霊の手の内/Kodama's Reach》をプレイして「8枚だった土地を10枚に増やして」ターンを終えた。くどいようだが、これはまだ開幕から5ターン目のアクションである。
戦前からマッチアップ的な不利を漏らしていた中村修平はビートダウンを急ぎ、《梅澤の十手》を纏わせて《京河》でアタック(残り15)。しかし、津村はわずか6ターン目にして《風見明神/Myojin of Seeing Winds》を普通にハンドから召喚するという偉業を達成してしまう。すさまじい。
中村は苦虫を噛み潰したような表情でドラゴンを再度レッドゾーンに送り込んで津村の残りライフを10点にまで削り落とし、《木霊の手の内/Kodama's Reach》をプレイして…祈るようにデッキをシャッフルする。
しかし、7ターン目に《明神》から神性カウンターを取り除いた津村は12枚ものカードを一気にドローし、《最後の裁き/Final Judgment》で敵陣を壊滅させてから《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》を置いてさらなるマナの成長を期した。ここで中村は《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》を召喚してターンエンドという動きだが、津村は《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》でアドバンテージの体現者たる《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》を根こそぎにした上で…2発目の《最後の裁き/Final Judgment》を詠唱する。
それでも中村は《昇る星、珠眼/Jugan, the Rising Star》を戦線に送り込む意地を見せ、津村は《緊急時/Time of Need》で《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》をサーチする。中村は《昇る星、珠眼》をレッドゾーンに送り込み、津村は豊富な土地を手札に戻して《メロク》の「空民能力」を起動し、トークンの群れと碧龍とを相討ちにとった。
続いて津村は《夜陰明神/Myojin of Night's Reach》を召喚し、中村はこれに対して《梅澤の十手》のカウンターを消費して即応した。中村は次なる脅威として《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》を送り込むが、津村は《時間停止/Time Stop》で応じる。
しかし、粘り腰の中村が送り込んできたもう一匹の《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》はカウンターされることなくプレイマットへと着地し、これは津村が用意した1/1トークンのチャンプブロックを呼び込んだ。ただ、策士中村はここで自分の《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》によって自陣の蒼龍を「自殺」させ、津村の守護神となっている《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》を奪いにかかる。
しかし、津村にとってはこのトリックもまったく問題とならなかったようだ。涼しい顔で凄まじい量のマナをタップして…《木霊の手の内/Kodama's Reach》に《忌まわしい笑い/Hideous Laughter》と《忌まわしい笑い/Hideous Laughter》の2枚を連携。-4/-4の嵐が吹き荒れる。こんな連携を見たのは…私ははじめてだ。
それならば、と中村は再度《昇る星、珠眼/Jugan, the Rising Star》を送り込み、津村は《最後の裁き/Final Judgment》を詠唱。津村は2枚目の《春の鼓動/Heartbeat of Spring》をエンチャントして…必要とあれば51マナまで出せる状況を作り上げた。繰り返すが、51マナ域だ。
そして、しばらく双方とも決め手らしい決め手を引けないままに、時間ばかりが経過していく展開となる。
中村の《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》《忌まわしい笑い/Hideous Laughter》に連携された《忌まわしい笑い/Hideous Laughter》で除去され、次の《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》には《最後の裁き/Final Judgment》が炸裂。津村健志は《大蛇の支援者/Orochi Sustainer》にさえ《忌まわしい笑い/Hideous Laughter》を見舞うという具合で、75分の試合時間のうち40数分がすでに過ぎ去っていた。
そして、残り時間を計算してか、津村が《魂無き蘇生/Soulless Revival》から《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》という動きを見せ始めたところで…中村は投了を宣言した。
対戦後に投了のタイミングについて聞いたところ、
『サイドボード後にバーンデッキ的なニュアンスになることを考えても…15分×2試合という計算で30分は必要だろうと思ったんですよね』
という判断だったのだとか。
津村 1-0 中村

Game 2
二戦目をマリガンスタートとなった中村は…なんと2ターン目に土地をおけないという暗雲垂れ込める展開を迎えてしまう。しかし、なんとか第3ターンに《氷の橋、天戸/Tendo Ice Bridge》を引き当てて《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》を召喚し、最悪のパターンだけは回避することに成功したようだった。
一方で、津村も《島/Island》2枚で序盤の土地がとまってしまうというピンチを迎えるが、安心品質の《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》のおかげで《氷の橋、天戸/Tendo Ice Bridge》にアクセスし、やはりここから《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》へとアクセスして事なきをえる。
4ターン目に二人は揃って《木霊の手の内/Kodama's Reach》を詠唱するという仲の良いところを見せ、中村は先手5ターン目に《北の樹の木霊/Kodama of the North Tree》を召喚して…序盤の事故を帳消しにしてのイーブン・パーとした。対する津村は《最後の裁き/Final Judgment》をここではプレイせず、《木霊の手の内/Kodama's Reach》の2枚目をプレイ。求道者のごとく、ひたすらマナ域の拡大を模索する第5ターン目を選択する。
バーンデッキにスイッチしている中村は勇躍して6点のアタック。津村はこの返しで《最後の裁き/Final Judgment》をプレイし、ライフを14点という水準で維持する。
中村の次なる一手は《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》からの《龍の牙、辰正/Tatsumasa, the Dragon's Fang》という王道アドバンテージ。しかしながら津村は《摩滅/Wear Away》と《最後の裁き/Final Judgment》という100点満点の回答で出題者を沈黙させた。
ここからしばらく、中村修平は《名誉に磨り減った笏/Honor-Worn Shaku》を置きながらマナを拡張するだけという、攻め手に欠けるターンを迎えてしまう。しかし、ここぞと動いてきた津村健志の《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》を《密の反抗/Hisoka's Defiance》で退けられたために…両者痛みわけといった感じの静かな時間帯になった。ちなみに、津村は《墓場の騒乱/Stir the Grave》から《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》をリアニメイトという小さなアクションを起こしてもいる。
そんな中、急に突風が吹きつけたのが中村の10ターン目だった。勢いよく中村は《思考の猛火/Mindblaze》を詠唱し、見事に津村のライブラリーに眠る《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》の枚数を的中させて8点のダメージを与えた。津村の残りライフは14点から6点に、つまり《思考の猛火/Mindblaze》的には射程圏内に引きずりおろされたのだ。
こうなっては…と、津村も意を決して1/1《長老》をレッドゾーンに送り込み、忍術発動で《鬼の下僕、墨目/Ink-Eyes, Servant of Oni》に変化させて5点のダメージをあたえる。そして、この黒い忍者は墓場からもう一体の《桜族の長老》を戦陣に呼び込んだ。津村も重い腰をあげてダメージクロックをとうとう設置し、中村に制限時間を設定したのだ。
津村はそこから淡々とアタックを繰り返して、《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》を詠唱。中村はそこにレスポンスして《氷河の光線/Glacial Ray》を叩き込んで津村のライフを残り4点にまで削る。バーンデッキの意地だ。
しかし、津村がここで《思考の猛火/Mindblaze》を指名すると…文字通りにこれをもって中村修平のプロツアー・フィラデルフィアは閉幕となってしまった。
津村 2-0 中村

津村健志は12ラウンドの懸賞金1500ドルを獲得するとともに、2大会連続してのプロツアーサンデー進出という快挙を達成した!