TABLE OF CONTENTS
- Blog - 9:31 p.m.: Day 1 Undeafeated Decks
by Event Coverage Staff
- Blog - 8:40 p.m.: 全勝対決
by Daisuke Kawasaki
- Blog - 7:23 p.m.: Good Plays of the Week
by Keita Mori
- Blog - 4:57 p.m.: 海外勢たちの活躍
by Daisuke Kawasaki
- Blog - 4:18 p.m.: Round 5 : 北山 雅也(東京) vs. Raphael Levy(フランス)
by Daisuke Kawasaki
- Blog - 3:04 p.m.: Round 4 : オランダ vs. 広島
by Keita Mori
- Blog - 2:20 p.m.: Quick Questions #2
by Keita Mori
- Blog - 1:03 p.m.: 「タイムシフト」してきたプレイヤーたち
by Daisuke Kawasaki
- Blog - 1:00 p.m.: シールドデッキ構築――八十岡 翔太
by Daisuke Kawasaki
- Blog - 11:08 a.m.: Quick Questions with the Pros !
by Keita Mori
BLOG
Saturday, Nov 18: 11:08 a.m. - Quick Questions with the Pros !
時のらせんのシールドデッキを組むとき、あなたがもっとも嫌いな色は?






Saturday, Nov 18: 1:00 p.m. - シールドデッキ構築――八十岡 翔太
先日、900名を越える規模で行われたGPニュージャージー。
ここで、日本人遠征組で唯一トップ8に入り、Player of the Yearレースで大きくリードする事となった八十岡 翔太(神奈川)。
限定戦のグランプリの初日はシールド戦で行なわれるのだが、人数が増えれば、もちろんその分必要な勝ち星も増える厳しい戦いとなる。
一般に、シールドは配られたパック運に左右されやすいというが、浅原 晃(神奈川)は「ドラフトよりもシールドの方が個人の実力が発揮されやすい」という。
たしかに、まわりのプレイヤーの意志や力量で左右されてしまうドラフトに比べれば、シールドは純粋に個人のスキルで戦うレギュレーションだということもできるだろう。
ということで、ここでは900人の激戦をくぐり抜けた八十岡のシールドデッキ構築を追ってみたい。
まず、不正防止の為のパックチェックが行われたあとに、それぞれが実際に使用するパックが配られる。
八十岡が、自身に配られたパックのリストをまず見ると…目に飛び込んできたのは《大火口のカヴー/Firemaw Kavu》と《巻物の大魔術師/Magus of the Scroll》が2枚ずつ。そして、《嵐の束縛/Stormbind》。
これは、と喜び勇んで赤緑でデックを構築しようとする八十岡だったが…今はまだパックチェックの時間。そう、配られたパックと、チェックシートの内容が一致しているかどうかをチェックするための時間なのだ。デック構築にあてていい時間ではない。
実際、この作業を怠ってしまうと、持込の疑いで最悪DQもあるので、非常に重要な作業である。「パックチェックなんてしたことないから」と負け惜しみをいいつつ、「青もつえーなー」などのコメントを交えて八十岡もしぶしぶシートとパックの内容を照らし合わせる。
ちなみに、この時八十岡から「パックがコレクションナンバー通りだとチェックしやすいですね」というコメントがあった。
古の時代には、チェックに時間をかけさせ、まだ見ぬ対戦相手のデック構築の時間を削るという非常に無意味なテクニックもあったというが、やはりお互いのためにもチェックし終わったパックは、再チェックしやすいようにコレクションナンバー通りに並べておきたいものだ。赤と緑の順番がぐちゃぐちゃになっていたのはご愛嬌。
すべてのカードをチェックし終えたらいよいよ構築の時間。
普通のプレイヤーであれば、ここで各色から使用レベルのカードだったり、デックの中核になるカードをピックアップして使用する色を選択したりするものだが、そこは八十岡。すでそんな作業はチェック中に終了させているのか、いきなり赤緑以外のカードをすべて脇によけ、赤緑でデックを構築し始めた。
筆者 「とりあえず各色のチェックしたりしないんですか?」
八十岡 「赤緑で組めるか確認してからだね。レアにあわせるのが基本。」
と、まずは強力レア《嵐の束縛》と2枚の《巻物の大魔術師》を擁する赤緑でデックを構築する方向でプランを練る事にするようだ。
ここで、赤と緑のデックに入るレベルのカードをマナコスト順に並べ、アーティファクトを加えたところでカードの枚数を確認すると、なんとぴったり23枚。
八十岡 「もうできちゃった。いーの?こんな簡単なパックもらっちゃって?」
ということで、このままでは記事としても成立しないので、八十岡に自身のパックの各色で有望なカードをピックアップしてもらう事にした。
赤:《大火口のカヴー》×2 《巻物の大魔術師》×2
黒:《突然の死/Sudden Death》《絞殺の煤/Strangling Soot》《結核/Phthisis》《ベラドンナの暗殺者/Nightshade Assassin》
青:《コー追われの物あさり/Looter il-Kor》《水深の予見者/Fathom Seer》《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron》《吸収するウェルク/Draining Whelk》《深海のクラーケン/Deep-Sea Kraken》
白:《時間の孤立/Temporal Isolation》《コロンドールのマンガラ/Mangara of Corondor》
多色:《嵐の束縛/Stormbind》
白は、パワーカードが少ないものの、それはこの環境の白全体にいえること。他にも2マナ3マナ域のクリーチャーがそれなりに揃ってはいる。だが、やはり、青や黒も充実しているこのパックにおいてはちょっと落ちるレベルであるだろう。
特に、《吸収するウェルク》に関しては、「ドラフトに比べてシールドだと神クラス」と高い評価を与えている。
さて、ここまでピックアップしてもらって、最後の緑をピックアップするにあたって八十岡が一言。
八十岡 「緑は《獣たちの女帝ジョルレイル/Jolrael, Empress of Beasts》とあとは…他にいないよ…っていうか緑弱いんだけど!」
と、ここに来て急遽色を変更する事に。といってもまだ構築を開始してからまだ5分。時間は十分にある。
八十岡 「《嵐の束縛》に危うくだまされるとこだった!手拍子で構築するとこだったね。」
まずは、豊富な除去に恵まれた黒と組み合わせるものの、黒はスペルが充実するものの、クリーチャーの量と質が一気に下がると判断、「むしろ青だな」と赤青での構築をスタートする。
八十岡は、マナコスト順に並べる時に変異を持ったクリーチャーは裏返して3マナ域としてカウントするようだ。このテクニックが後に重要な意味を持つこととなるのだが、それはまた別のお話。こうして並べた赤青のカードをみて一言。
八十岡 「2マナ域が全然いない…」
2マナのスロットに並べられたのは《モグの戦争司令官/Mogg War Marshal》と《遍歴のカゲロウ獣》の2枚のみ。「この環境は2マナ域が重要ですから」と語る八十岡にとってこれは重要な問題らしい。重要な問題らしいがとりあえずは「《虹色のレンズ/Prismatic Lens》が2枚あるからいいか」と自己暗示で解決する。
ちなみに、この《虹色のレンズ》。特に色をタッチするのに重要と、最近シールドでの評価が急上昇中だが、例に漏れず八十岡も高い評価を与えているとのこと。
八十岡は、ここまで何度も色を変えてきたが、《嵐の束縛》を抜くことはなかった。
この環境は特に、シールドとドラフトの環境のスピードの差が大きいので、デック全体のカードパワーが重要になり、タッチしてでもデックのパワーをあげることが重要になる。この点を八十岡に聞いてみると
八十岡 「そうですね。タッチはできるならしたい。」
筆者 「できるなら、というと?」
八十岡 「やっぱり、マナサポートは必要。緑なら《緑探し/Greenseeker》や《明日への探索/Search for Tomorrow》。どの色でも使える《虹色のレンズ》はシールドなら是非欲しいね。」
やはり、パワーカードをタッチで使用できるというのが《虹色のレンズ》の偉大なところであろう。
閑話休題。
結局、スペルが全く存在しないという「対抗呪文の化身」としては重大な問題と、なにより一応自己暗示はしたものの、やはり2マナ域のクリーチャーが弱いという理由で本日何度目かの色変えを。
八十岡 「むしろ赤が罠かも。《大火口のカヴー/Firemaw Kavu》だけタッチでもいけるのか…そうだ!」
と今度は、赤をタッチに回し、《紡績スリヴァー/Spinneret Sliver》など、2マナ域のクリーチャーが充実する緑をメインに昇格。青緑で構築することとなる。
とにかく、赤か緑をメインとし、《嵐の束縛/Stormbind》をタッチで使用するということだけは一貫した方針であるようだ。
八十岡 「こうなると、今度は青が弱く見えるんだよなー…」
二転三転四苦八苦しつつデックを構築する八十岡。最初に簡単といっていたのが嘘のようだ。
八十岡 「完全に騙されてましたね。典型的な見掛け倒しパックです。」
といいつつ、緑によって充実したクリーチャーに変わって、3マナ域に5枚も並ぶ変異を1枚裏向きのまま豪快にデックから取り除く八十岡。取り除かれたカードは《珊瑚のペテン師/Coral Trickster》。
八十岡 「2マナ域あるじゃん!!赤青で組めるじゃん!あやうく騙されるところだった!」
相手が《珊瑚のペテン師》だけに…というか、どうみても墓穴にしか見えないのは筆者だけだろうか。
すんでの所で自作の罠をくぐり抜け、なんとか2マナ域の強化された赤青タッチ《嵐の束縛》をくみ上げた八十岡。あとは、土地を入れれば完成だ。
八十岡は、並んだカードを眺めると瞬時に「はち、はち、いちだな」と8枚ずつの《山/Mountain》《島/Island》と1枚の《森/Forest》をデックに投入する。
まるで神通力かという早業。八十岡にデックのマナバランスを決めるコツを聞いてみた。
八十岡 「基本的には全体の色より、3ターン目に欲しいマナを見るんですよ。3ターン目の時点で欲しい色のマナは多めにしますね。」
こうして難産の末にデックを完成させ、リストの記入を済ませた八十岡。
すべての作業が終了だ…と思いきや、八十岡は残った黒と緑のカードを猛烈な勢いでマナコスト順に並べ始めた。なにしてんですか。
八十岡 「本戦で使用するデッキと別に、Bye中とかにみんなと遊ぶデッキを作ってんですよ。デッキの中味がばれないように。」
勝負はすでに始まっている。さすがは八十岡。
Saturday, Nov 18: 1:03 p.m. - 「タイムシフト」してきたプレイヤーたち

最近のプレミアイベントで、「時のらせん」の魅力に引き寄せられて久々に復帰したプレイヤーたちを「タイムシフト」と称して紹介するのも、もう定番になってきた感もある。
先日のPT神戸でも、「ラストエンペラー」岡本 尋(愛知)といった大物や、GP仙台優勝で知られる荒堀 和明(東京)といった一昔前のプレイヤーには非常に懐かしいプレイヤーたちが「タイムシフト」していた。
そして、今回のここ山形でも多数のプレイヤーたちが「タイムシフト」してきている。
APAC'00においてAPAC2連覇をかけた森 雅也(東京)と決勝戦で熱い戦いを繰り広げた渡辺 仁人(仙台)。そして、藤田 憲一(東京)・真木 孝一郎(東京)という関東を代表する二大巨頭がはるばる山形まで遠征してきているのだ。
そこで、ここでは、1Bye明けのRound 2を「キャラ通り」引き分けた真木のRound 3をダイジェストでお送りしよう。
Game 1を、対戦相手が3体しか引かなかったクリーチャーを2枚の《闇の萎縮/Dark Withering》で除去し一方的にビートダウンした真木だったが、Game 2では、2体の《紡績スリヴァー/Spinneret Sliver》と《肺臓スリヴァー/Pulmonic Sliver》がどうにもならず、今度は一方的にビートダウンされてしまう。
そして、Game 3。
対戦相手は《遍歴の宿命語り/Errant Doomsayers》《アヴナントの癒し手/D'Avenant Healer》で傍線を固めるが、気にせずに《コーの先導/Outrider en-Kor》《聖なる後光の騎士/Knight of the Holy Nimbus》《アイケイシアの触れ役/Icatian Crier》で一気に畳み掛ける。
《聖なる後光の騎士》をブロックした《アヴナントの癒し手/D'Avenant Healer》に《狩りの興奮/Thrill of the Hunt》がフラッシュバック込みでうたれると、《アイケイシアの触れ役》からのマッドネスで《闇の萎縮/Dark Withering》と完全に押せ押せムード。
ブロッカーとして用意された《暗影の蜘蛛/Penumbra Spider》の返しのターンで《センギアの吸血魔/Sengir Nosferatu》がキャストされ、そのままゲームセットとなった。
さて、2勝1分けと順調な滑り出しとなった真木に、山形での豊富を聞いてみた。
真木 「キーワードは米沢牛と温泉。そして、明日2時から予約してあるレンタカー」
どうやら、今日はマジックを、明日は山形を満喫するつもり満々のようだ。
Saturday, Nov 18: 2:20 p.m. - Quick Questions #2
今年のPlayer of the Year Raceを制するのは誰でしょう?






Saturday, Nov 18: 3:07 p.m. - Round 4 : オランダ vs. 広島

不戦勝(Awarded Bye)の恩恵に浴していたプレイヤーたちも戦線にたつことになる第四回戦。すべての競技者たちが出揃い、いよいよ本格的にグランプリ山形の幕が切って落とされることになる。
ここで注目の対戦(Feature Match)席に招待されたのは、オランダと日本を代表する強豪たちだった。はるばるオランダからやってきたのは発音が難しいことでおなじみのJelger Wiegersma(イエルガー・ウィーガーズマ)とBram Snepvangers(ブラム・スネップベンガーズ)。迎え撃つ日本勢は、ともに広島からやってきたスタープレイヤー、津村 健志と大礒 正嗣だ。
大礒 正嗣 vs. Jelger Wiegersma
それでは、さっそく大礒とWiegersmaの「二戦目」をお届けしよう。
なぜ二戦目からか、
というと、大礒が「らしくない」ミスをデッキ登録時に犯してしまい、その誤記に対するペナルティーとしてゲームロス(1本敗北した状態でゲームをはじめる)ということになったのである。歴戦のつわものでもついつい怠ってしまいがちな記入内容のチェック、読者各位にもご注意いただきたいものである。
さて、盤面を見てみると、Wiegersma(赤黒)の《基底スリヴァー/Basal Sliver》と《ヴェンセールのスリヴァー/Venser's Sliver》を大礒(赤黒白)が除去呪文とブロックによる相討ちにしとめたところ。ここからの展開に双方期待がかかるところだったが、Wiegersmaは《菅草スリヴァー/Sedge Sliver》と《霊炎スリヴァー/Ghostflame Sliver》の二体を連続召喚して攻勢に出た。そして、手札に満載された除去呪文でブロッカーをなぎ払い、これだけでゲームを決めてしまったのである。
本来ならここでサイドボーディングをしてから仕切りなおせるわけだが、イージーな書類記入ミスが悔やまれる結末となった。
筆者 「ちなみにデッキにスリヴァーは何枚ですか?」
Wiegersma 「(照れ笑いを浮かべながら)実は全部あわせても5枚しかいないんだよね。かなりラッキーだったかも」
ともあれ、登場したクリーチャー4体すべてがスリヴァーだったというWiegersmaが、大礒を一蹴した。
Jelger Wiegersma 2-0 大礒 正嗣

津村 健志 vs. Bram Snepvangers
他方、もうひとつのテーブルでは「殴り合い」のすえに広島勢が溜飲をさげることとなった。ちなみに、先日のプロツアー神戸でベストエイト入賞を果たした同士のマッチアップでもある。
一本目は先手のSnepvangersが1ターン目に《明日への探索/Search for Tomorrow》を「待機」、2ターン目に2/2《紡績スリヴァー/Spinneret Sliver》という滑り出しで、一方の津村が「瞬速」で1/1飛行《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger》をプレイ。続くSnepvangersの3/2《ナントゥーコのシャーマン/Nantuko Shaman》は、津村が《ワーム呼び/Wurmcalling》の3/3トークンで相討ちにとった。
ここでSnepvangerが《死せざる怒り/Undying Rage》をスリヴァーにエンチャントして(4/4)ビートダウンを加速させると、津村も4/4《クローサの英雄、ストーンブラウ/Stonebrow, Krosan Hero》を呼び出してこれに応じた。両雄ともにノーガード状態がしばらく続き、ライフトータルはみるみるうちに危険水域へと近づいていく。
そんな中、2/2《サリッドの発芽者/Thallid Germinator》と4/4《ストーンブラウ》による津村のアタックに対して、Snepvangersが「瞬速」での5/6トランプル《ヘイヴンウッドのワーム/Havenwood Wurm》召喚で呼応し、戦闘による一方的な勝利を目論んだ。緑同士のミラーマッチである場合、この手のプレイが勝利を引き寄せるという展開は実に多い。
しかし、ここでSnepvangersが《サリッドの発芽者》の方をブロック宣言したため、機をうかがっていた津村の《岩石樹の祈り/Stonewood Invocation》が《ストーンブラウ》を強化し、この一撃によってタイトなダメージレースに終止符がうたれた。
津村 健志 1-0 Bram Snepvangers
オランダが誇る古豪、「ブッディ・スレイヤー」は気を取り直して2/2《紡績スリヴァー/Spinneret Sliver》と3/1《ワームウッドのドライアド/Wormwood Dryad》をテンポよく召喚。今度は悪くない展開でゲームをスタートしたBram Snepvangersだったが、すぐさま津村 健志が《獣群の呼び声/Call of the Herd》で応じてきたため、渋い表情を作った。なんせ、ビートダウンとカードアドバンテージを両立してしまうという脅威のタイムシフトカードなのである。
それでも、Snepvangersは3/1《ドライアド》でアタックしてから輝く(文字通りにフォイルの)《秘教の処罰者/Mystic Enforcer》を呼び出してゲームを先に進める。愚直に殴るのが彼のデッキ赤緑白デッキなのだ。
しかし、ここで津村は《突然のショック/Sudden Shock》とストームつきの《ぶどう弾/Grapeshot》によって3/3《処罰者》と3/1《ドライアド》を難なく撃墜し、盤上をコントロールすることに成功。そして、墓地に《獣群の呼び声》を温存した上で、5/2《凶暴なサリッド/Savage Thallid》を呼び出してプレッシャーをかけ、津村は大きなリードを作った。
結局、数回のアタックと二発目の《ぶどう弾/Grapeshot》によってSnepvangersは窮地に追い込まれ、そこへ「瞬速」の《ボガーダンの憤怒獣/Bogardan Rager》がトドメをさすという結末が用意されていた。
津村 健志 2-0 Bram Snepvangers
日欄対決、かくて1勝1敗。
Saturday, Nov 18: 4:18 p.m. - Round 5 : 北山 雅也(東京) vs. Raphael Levy(フランス)

昨年12月に横浜で行われた世界選手権のオープニングセレモニーを覚えているだろうか。
長いマジックの歴史と伝統の象徴として選ばれた、5人の殿堂プレイヤーたち。5人が5人ともトーナメントマジックに重要な足跡を残したプレイヤーたちであり、私事で申し訳ないが、5人立ち並ぶ姿を見た筆者は興奮をおさえきれなかった記憶がある。
そして、今年もまた、5人の殿堂プレイヤーが選ばれ、今月末からパリで行なわれる世界選手権において表彰される予定である。
そんな「今年度の」殿堂プレイヤーの中から、フランスのRaphael Levyが参戦している。
Raphael Levyはフランスの伝説的なプレイヤーであり、「プロツアーがアメリカ勢に支配されていた時代」に活躍していたヨーロッパ勢のひとりである。LLL(リージョン・ランド・ロス)と名付けられた《アーナム・ジン/Erhnam Djinn》入りの緑単色土地破壊デックのデザイナーといえば、わかる人にはわかるだろうか。
ここ数年は目立った活躍がなかったのだが、ここで「Ask Pro」にえらばれたことをきっかけにモチベーションがアップ、さらに追い風に殿堂入りが決まり、本格的なプロ活動を行なうことにしたとのことだ。
その「生きる伝説」と対するのは、北山 雅也(神奈川)。
今シーズンからプロツアー参戦をスタートさせ、Rookie of the Year資格も有する北山ではあるが、「期待の新鋭」と呼ぶには少し抵抗がある。
前述の「プロツアーがアメリカ勢に支配されていた時代」のアメリカの代表的なチームといえば、「Your Move Games」こと、YMGであるが、同時代に、浅原をして「日本のYMG(YoMoGi)」と称させる神奈川の高校生チーム「チーム蓬」で活躍し、4年連続で日本選手権・Finalsの激戦区関東予選を突破するという驚異的な記録を持つプレイヤーである。
現在Player of the Yearレースのトップを独走する八十岡と、浅原とともに「Stardust Crusaders」としてGP浜松に参加した時には、ふたりが口をそろえて「エースは北山さんですから」と言うほど確かな実力を持ったプレイヤーである。
そんな北山の現在のプロポイントは、16点。
このGP山形は、世界選手権への出場資格をもたない北山に残された最後のプロポイント獲得のチャンスである。レベル3に必要なプロポイントはあと4点。つまり、ここでトップ8入りをしなければならない。史上稀に見るほど濃いメンバーによる激戦をくぐり抜けてトップ8に入るというのは至難の業ではある。
しかし、プロツアー参加を目標にし、それを今シーズン達成した北山の次の目標は、「グレービートレイン」レベル3。そして、その目標はもう目の前なのである。ここでの結果が来年の北山のプロキャリアを決めるといっても過言ではない。
あらたな歴史への第一歩を踏み出し始めた北山の前に「歴史と伝統」の厚い壁が立ちはだかる。

Game 1
先攻はLevy。
双方ともに、白緑をメインにタッチカラーを加えたデックでのミラーマッチ風の戦い。まずは、Levyの《紡績スリヴァー/Spinneret Sliver》を北山の《遍歴の宿命語り/Errant Doomsayers》がタップし続けるという静かな序盤。
その均衡を打ち破ったのが、Levyのキャストした《城の猛禽/Castle Raptors》。そして、続いて《ヘイヴンウッドのワーム/Havenwood Wurm》。対する北山の場には《ちらつくスピリット/Flickering Spirit》《ナントゥーコのシャーマン/Nantuko Shaman》と完全に差をつけられてしまう。
《ヘイヴンウッドのワーム》を、瞬速で登場した《ボガーダンの憤怒獣/Bogardan Rager》がブロックしたところで、Levyの手札から《一瞬の瞬き/Momentary Blink》が。
Levy 1-0 北山
Game 2
またしても2ターン目にキャストされる《紡績スリヴァー》。北山もなんとか食い止めるべく《暗影の蜘蛛/Penumbra Spider》をキャストするが、続いてキャストされる《秘教の処罰者/Mystic Enforcer》をみて渋い顔。
そして、気合を込めて引いたカードは《森/Forest》。そう、北山は、色マナの事故を起こしてしまっているのだ。場にある緑マナ以外を出せる土地は《石灰の池/Calciform Pools》しかない。そして手札は真っ白。
なんとかカウンターを貯めて、白マナを確保し《遍歴の宿命語り》を場に出し、《暗影の蜘蛛》へと《グリフィンの導き/Griffin Guide》をエンチャントすることで場を均衡させようと試みるが、Levyも《コカトリス/Cockatrice》をキャストし、攻勢を緩めない。
なんとか回答を求めるものの、北山のドローは土地ばかり。《五制術の聖騎士/Pentarch Paladin》がキャストされ、白が指定されると、北山は首をうなだれた。
Levy 2-0 北山
「歴史と伝統」の壁は、あまりにも高すぎた。
だが、崖っぷちとなった北山ではあるが、だが全勝しばりではあるものの、二日目への道が、そして「グレービートレイン」への道が閉ざされたわけではない。
Saturday, Nov 18: 4:57 p.m. - 海外勢たちの活躍

さて、この山形の地に多くの海外の強豪が遠征してきているというのは、すでにお伝えしたトピックではあるが、やはりというかなんというか彼らの多くがこのRound 5終了後に好位置につけている。
そこで、ここではRound 6でフィーチャリングされた海外強豪のふたつのマッチをダイジェストでお伝えしよう。
Quentin Martin(イギリス) vs Antoine Ruel(フランス)
まずは、全勝卓からイギリス勢一押しのQuentin Martin(イギリス)と、ご存知Ruel兄ことAntoine Ruel(フランス)の一戦を。Round 5でフィーチャリングされたRaphael Levyが古きフランスの象徴とすれば、Antoine Ruelは現在のフランスの象徴と言えるだろう。
Game 1
1ターン目に《ヴィセリッドの深み歩き/Viscerid Deepwalker》、3ターン目に《深海のクラーケン/Deep-Sea Kraken》と順調に待機を繰り返すAntoine。
一方のQuentinも《珊瑚のペテン師/Coral Trickster》を変異、《胞子撒きのサリッド/Sporesower Thallid》キャストと場にだし、主導権を奪おうとするが、Antoineも《歪んだ爪の変成者/Crookclaw Transmuter》を場に追加し、主導権を渡さない。
そして、待機が明けた《ヴィセリッドの深み歩き》を《胞子撒きのサリッド》でブロックすると、Antoineの手札から《数の力/Strength in Numbers》が。
この序盤の場の劣勢をQuentinはとりかえそうと《クローサの英雄、ストーンブラウ/Stonebrow, Krosan Hero》をキャスト、待機を明けた《深海のクラーケン/Deep-Sea Kraken》を《裂け目翼の雲間を泳ぐもの/Riftwing Cloudskate》でバウンスと手を尽くすが、最後の数点を《古きクローサの力/Might of Old Krosa》によって削りきられてしまう。
Antoine 1-0 Quentin
Game 2
今度は、《ダークウッドのベイロス/Durkwood Baloth》《遍歴のカゲロウ獣》《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》と連続で待機させ、序盤の主導権を握るQuentin。
Antoineは、《ダークウッドのベイロス》を《ヤヴィマヤのドライアド》と《ナントゥーコのシャーマン/Nantuko Shaman》でダブルブロックして除去。《鋸刃の矢/Serrated Arrows》をキャストすると《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》へと射撃する。
そして、場には変異を追加したものの、ついに《遍歴のカゲロウ獣》も待機が明け、圧倒的なビートダウンが始まってしまう。
このまま、今度はAntoineが序盤の優位を巻き返せずに敗北か、と思われたが、アタックした変異が、実は《塩水の精霊/Brine Elemental》。
《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》が《鋸刃の矢》で除去され、アンタップを飛ばされた返しに《裂け目の稲妻/Rift Bolt》とのあわせ技で《遍歴のカゲロウ獣》も除去されてしまう。
そして、その出涸らしとなった《鋸刃の矢》が《夢で忍び寄るもの/Dream Stalker》で手札に戻されると、Quentinは手を差し出した。
Antoineの鮮やかな逆転劇。
Antoine 2-0 Quentin
Pierre Canali(フランス) vs 鈴木 貴大(東京)

一方のテーブルで対戦するのは、PTコロンバスで優勝し、そのままの勢いで昨年度のRookie of the Yearを獲得したPierre Canali(フランス)。
対するは、PT神戸でトップ8入りを果たし、Rookie of the Yearレースで、トップと3点差の2位につけている鈴木 貴大(東京)。
せっかくRoYとの対戦なのだからと、「鈴木にRookieになるためのアドバイスはないか?」とPierreに質問してみた。
Canali 「鈴木はうまいから教えることはないよ。」
もはや、鈴木の実力世界が認めるものとなっているようだ。
Game 1
Pierre "Janken!"
と、じゃんけんをしようと主張するPierreだったが、鈴木は「最初はグー」の概念をうまく伝える事ができず、結局ダイスロールが行なわれ、先攻は鈴木。
マリガンするものの、1ターン目に《ヴィセリッドの深み歩き》待機と順調な滑り出しをするPierreだったが、《ファイレクシアのトーテム像/Phyrexian Totem》でのマナ加速からの《センギアの吸血魔/Sengir Nosferatu》に頭を抱える。
ブロッカーとして用意した《城の猛禽/Castle Raptors》も《虚弱/Feebleness》で対処されてしまうと、《ファイレクシアのトーテム像》との猛攻へのさらなる回答をPierreは用意することができなかった。
鈴木 1-0 Pierre
Game 2
鈴木の《ワームウッドのドライアド/Wormwood Dryad》が《虚弱》され、Pierreの《コー追われの物あさり/Looter il-Kor》と《萎縮した卑劣漢/Withered Wretch》へは2枚の《裂け目の稲妻》という除去の嵐によって、まっさらになった場にPierreが送り出したのは3枚サイドインした《アーボーグの邪眼/Evil Eye of Urborg》。
圧倒的かつ厳しいクロックをかけられることとなった鈴木。逆に自身のクロックである《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》で手札に返され、一気に厳しい展開となる。
しかし、ここで鈴木を救ったのが、《センギアの吸血魔》。
なんとか《神秘の指導/Mystical Teachings》で《絞殺の煤/Strangling Soot》をサーチし、鈴木のブロッカーを排除して活路を見出そうとするPierreではあったが、吸血鬼の姿でアタック、コウモリの姿でブロックと、まさに文字通り「変幻自在」の活躍を《センギアの吸血魔》がみせる。
最後に《アーボーグの吸魂魔道士/Urborg Syphon-Mage》が2回タップされると、Pierreは鈴木に右手を差し出した。
鈴木 2-0 Pierre
ここでトップ8になると、一気にRoYレースの首位に立つ事になる鈴木。今シーズン非常に勢いがあるだけに、期待するなという方が無理な話だろう。
Saturday, Nov 18: 7:23 p.m. - Good Plays of the Week
・1枚のカード
九州の強豪、池田 剛はまさしく瀕死の状態だった。
タイトなライフレースの中、先ほどのアタックで中村 修平が《ヘイヴンウッドのワーム/Havenwood Wurm》に《岩石樹の祈り/Stonewood Invocation》をプレイしたため、池田の地上戦線は文字通りの壊滅に追いこまれたところだったからだ。素人目にも、中村の目から見ても、次なる全軍突撃によってライフレースは間違いなく終わりそうだ。中村の陣営には4/4飛行、3/3飛行、5/6トランプル。
しかし、孤軍奮闘状態の《コー追われの物あさり/Looter il-Kor》によって池田が引き当てていた1枚のサイドボードカードがすべてをかえた。その冷静な判断力で国際的な評価を得ている中村 修平でさえ「…エッ!?」と大きな声をあげることになったほどだ。
その一枚とは《カメレオンのぼやかし/Chameleon Blur》である。
この重たい《濃霧/Fog》は池田に1ターンの猶予を与えた。
そして、池田は《物あさり》に《不安定性突然変異/Unstable Mutation》をエンチャントし、注目の対戦(Feature Match)で見事な勝利を飾ったのだ!
・刹那の出来事
一方で、藤田 修(大阪)と対戦していた小倉 陵(愛知)は、この環境ならではのトリッキーなルールを利用して対戦相手を出し抜いている。
盤面状況としては、藤田の側に4/4飛行の《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron》が展開されていて、さらに6/6アンブロッカブルの《深海のクラーケン/Deep-Sea Kraken》が「待機」1の状態で控えている。
ここで、小倉は《遍歴のカゲロウ獣》に向けて「刹那」をもった除去呪文、《突然の死/Sudden Death》をプレイした。
すると、せっかく「待機」状態を解除された《クラーケン》も「プレイできない」ルール下ゆえに次元の狭間に消えていくことになり、その上で《カゲロウ獣》も墓場へと送られていくこととなる。《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir》が出ていたりすると頻発する事態なので、「刹那」や「待機」のからむトリックというのは読者各位にも是非覚えておいていただきたい。
かくも奇妙で美しい二対一交換を決め、小倉 陵は勝利をおさめた次第である。
Saturday, Nov 18: 8:40 p.m. - 全勝対決

激戦繰り広げられたGP山形もこれが最終戦。最終戦では、3卓ある全勝対決の中から2卓をダイジェストでお送りしよう。
小倉 陵(愛知) vs. 高橋 純也(神奈川)
まずは、「愛知の若虎」こと小倉 陵と、「ラッシュ」高橋 純也の赤黒同士のミラーマッチ。
ここで小倉がフィーチャリングテーブルではおなじみとなった「タペストリー」を装着。
小倉 「新調してきましたから」
高橋 「背負うものができたか…」
Game 1
先攻は高橋。
3ターン目に《炎の刃のアスカーリ/Blazing Blade Askari》から、4ターン目に《石炭焚き/Coal Stoker》《玄武岩のガーゴイル/Basalt Gargoyle》と、たたみかけるような速攻。
返しのターンで小倉が《ファイレクシアのトーテム像/Phyrexian Totem》でのマナ加速から《練達の育種師、エンドレク・サール/Endrek Sahr, Master Breeder》をキャストするが、これには《暗殺/Assassinate》。
ビートダウンプレイヤーとして定評のある高橋がまずは先行する。
高橋 1-0 小倉
Game 2
ここで小倉は後手を選択する。
1ターン目に《明日への探索/Search for Tomorrow》。2ターン目には《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》を待機しつつ《緑探し/Greenseeker》と流れるような展開。一方の高橋は、3枚続けて《山/Mountain》を置くのみ。
そして《明日への探索》の待機明けによってストームを稼いだ《巣穴からの総出/Empty the Warrens》がキャストされる。
《胞子撒きのサリッド/Sporesower Thallid》《モグの戦争司令官/Mogg War Marshal》と展開されると、高橋は場のすべてのパーマネントである5枚の土地を片付けた。
高橋 1-1 小倉

Game 3
3ターン目に場に《玄武岩のガーゴイル》を送り出す高橋に対して、小倉が置いた3枚目の土地は《島/Island》。
高橋 「青!?」
そして小倉は変異をキャストする。
小倉が《玄武岩のガーゴイル》を《絞殺の煤/Strangling Soot》で除去し、高橋が《蠢く肉裂き/Drudge Reavers》をキャストすると、お互い延々と土地を置き続ける淡々とした場が続く。
明らかにお互いが《硫黄破/Sulfurous Blast》を意識した展開。
小倉がそれを誘うべく《鉄爪のノスリ乗り/Ironclaw Buzzardiers》をキャスト。そのエンドに高橋が予定調和的に《硫黄破》をキャストする。表がえった変異は《塩水の精霊/Brine Elemental》。高橋は1ターンの休み。《塩水の精霊》によるアタックを許す事となってしまう。
ここで、満を持して小倉が《練達の育種師、エンドレク・サール》《モグの戦争司令官》《宝革スリヴァー/Gemhide Sliver》と手札の脅威を展開していくが、これに対して待ってましたとばかりに高橋2枚目の《硫黄破》。
このキープレイにより、一気に勝負は決したかと思われたが、しかし小倉のデックもここまで全勝してきたデック。さらに《胞子撒きのサリッド》《水深の予見者/Fathom Seer》と手札から放たれる脅威が止まらない。
高橋も《石炭焚き》《ゴブリンの空切り/Goblin Skycutter》《ゴルゴンの世捨て/Gorgon Recluse》と場に一気に展開し、巻き返しをはかるが、序盤の攻勢と自身の《硫黄破》によって残り少なくなっていた高橋のライフを《数の力/Strength in Numbers》が削りきった。
高橋 1-2 小倉

青木 良輔(東京) vs. 齋藤 友晴(東京)
こちらのテーブルに座るのは、PT神戸でトップ8入りを決めたことにより、一気にPlayer of the Year争いに食い込んできた「ストンピーの貴公子」齋藤 友晴。「風邪気味で微妙に頭がまわらないんですよ…」と言いつつもここまで全勝なのはさすがの一言。
対する青木 良輔は、渋谷Forumを中心に活動するプレイヤーであり、これからのブレイクが期待されるプレイヤーのひとり。ブレイクするにはなにかしらのきっかけが必要とはよく言われる話だが、ここで一気に初日全勝を決めて、ブレイクへのきっかけとしたいところである。
Game 1
《深海のクラーケン/Deep-Sea Kraken》を待機している青木に対して、齋藤の場には《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger》《精油スリヴァー/Essence Sliver》《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad》。そして一気にクロックを跳ね上げる《断骨スリヴァー/Bonesplitter Sliver》を場に送り出す。
これに対して、手札は赤い対抗策で溢れているものの、《山》が1枚しかない青木は、とりあえずクロックを緩めるべく《燃焼/Conflagrate》を《断骨スリヴァー》へ。
《深海のクラーケン》の待機が明ける前に情勢を決してしまいたい齋藤は、手札を0にしての《アイケイシアの触れ役/Icatian Crier》キャスト。
しかし、当然青木は《深海のクラーケン/Deep-Sea Kraken》の待機が明けるまで持ちこたえたい。この《アイケイシアの触れ役》を《大火口のカヴー/Firemaw Kavu》で除去し、齋藤のアタックを牽制して貴重な時間を稼ぐ。
齋藤のライブラリーのトップは2枚目の《アイケイシアの触れ役》。
いまだ《山》が1枚しかない青木。墓地の《燃焼》のフラッシュバックのためには更なる赤マナが必要。エコーをはらわなかった《大火口のカヴー》によって《精油スリヴァー/Essence Sliver》を除去すると、ドロー。
ライブラリーのトップは《山》ではなく青いカード。
しかし、それは《珊瑚のペテン師/Coral Trickster》。この能力により、青木は赤マナを2つ確保しつつ、ブロッカーを用意するという理想の状況を作り出す。手札を2枚ディスカードして、《アイケイシアの触れ役》と《スクリブのレインジャー》を除去する。
ここで、お互いの手札がゼロになり、ライブラリーのトップのめくりあいとなる。青木は待機している《深海のクラーケン/Deep-Sea Kraken》の分、優位だが、しかし、ライフが3点しかない。
続く青木のドローは《巨大カキ/Giant Oyster》。一気に場の優位を確保したかに見えたが、しかし、そのエンドに明かされた齋藤の1枚の手札は《天界の十字軍/Celestial Crusader》。これによりライフが1となってしまう。
《深海のクラーケン》の待機があけ、《天界の十字軍》は《巨大カキ》で対処したものの、齋藤はさらにライブラリーのトップから《宝革スリヴァー/Gemhide Sliver》をキャスト。十分に土地の並んだ現状ではただの1/1でしかないが、しかし、場のアタッカーが1枚でも上回った瞬間に敗北してしまう青木にとっては致命的なライブラリートップである。
《巨大カキ》の能力で《天界の十字軍》が墓地に置かれる。そう、次のターンから《巨大カキ》が動き出せば、一気に《深海のクラーケン》で勝負を決められるのだ。この1ターンを持ちこたえられるドローを、そんな青木の気持ちに応えたのか、青木のライブラリーのトップは《トレイリアの歩哨/Tolarian Sentinel》。青木は《深海のクラーケン》でのアタックを決行する。
しかし、齋藤がライブラリートップから力強く場にたたきつけたカードは…《版図の踏みつけ/Tromp the Domains》。
齋藤 1-0 青木
Game 2
1ターンの奪い合いとライブラリーのめくりあいとなったGame 1で敗北した青木だったが、続くGame 2では2ターン目《ジョイラの時虫/Jhoira's Timebug》3ターン目《深海のクラーケン》と主導権を握る。
一方の齋藤は、2ターン目に《宝革スリヴァー》でマナを加速したものの、そのまま土地が2枚でストップ。仕方なく《ヤヴィマヤのドライアド》で《森》をサーチする。
しかし、土地が事故っていたのは齋藤だけでなかった。青木も3枚で土地が止まってしまったのだ。
《ジョイラの時虫》の力で《深海のクラーケン》は場に出したのだが、しかし、齋藤は《断骨スリヴァー》によってクロックを強化し、《肺臓スリヴァー/Pulmonic Sliver》によって《深海のクラーケン》の頭上を飛び越えてクロックを刻み続けたのだった。
齋藤 2-0 青木
