Day 2 Blog Archive

Posted in Event Coverage on November 19, 2006

By Wizards of the Coast

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Sunday, Nov 19: 1:01 a.m. - Feature : リッチー・ホーエンの土曜日

by Keita Mori

リミテッドマスター、リッチー・ホーエン

グランプリというイベントそのものがマイナーチャンジし、とうとうシーズンも最終局面を迎えた。こういった様々な要因を足し引きすると、多くの海外勢にとって日本遠征というのは現実的な選択肢となったようだ。

350余名の参加者のうち、英語版ブースターパックの使用希望者が21名。そこにはプロツアー戦線でおなじみのラインナップがズラリと揃っている。世界王者、プロツアー王者、殿堂入りプレイヤーと何でもござれだ。

そんな国際色ゆたかな一角から、悲鳴の声があった。

「…これは強すぎる!!」

プレミアイベントでは、外部からのカード持ち込みなどを防止するためにトーナメントパックとブースターパックから出現したカードを記入しておく「チェック・パック」という作業が最初にある。このチェックを終えてからパックがプレイヤーたちに再配布され、いざデッキ構築となるわけなのだが、どうやら最初のチェックの段階で尋常ならざる強力カード群が出現したようである。

実際のところ、レアリティの上のほうだけを列挙しても、とにかくすごい。

レア
・《特務魔道士ヤヤ・バラード/Jaya Ballard, Task Mage
・《センギアの吸血魔/Sengir Nosferatu
・《センギアの吸血魔/Sengir Nosferatu
・《雨ざらしのボディガード/Weathered Bodyguards
・《肺臓スリヴァー/Pulmonic Sliver
・《均衡の復元/Restore Balance

タイムシフト
・《嵐の束縛/Stormbind
・《サルタリーの僧侶/Soltari Priest
・《スクラーグノス/Scragnoth
・《根の壁/Wall of Roots
・《呆然/Stupor

レアのうち片方がフォイル(箔押し)仕様であったため、本来は名も知れぬコモンカードだったであろう場所が「2枚目の」《センギアの吸血魔/Sengir Nosferatu》に差しかわっているという突然変異。時のらせんからは製品自体が「フォイル出現時はコモンカードであったところを差しかえる」仕様になったため、これはエラーでもなんでもない。

Sengir Nosferatu

おかげさまで通常5枚のはずのレアカードが6枚も存在しており、うち5枚(ズバリ《均衡の復元/Restore Balance》以外)が優秀。そして、タイムシフトカードのほうも5/5の確率で実戦投入レベルときているゴージャスぶりであった。

もっとも、こういった場合は往々にして「カードは強いけど色がバラバラ」だったり、「デッキの根幹をなすべきコモンやアンコモンがおざなり」だったりするのだが……

おそるべきことに、ここ山形の地でPierre Canali(フランス)がチェックしたパックの場合、なぜか脇を固めるラインナップも充実しているのだ。

マナ補正要素だけをあげるとしても、赤に2枚、黒に1枚、白にも1枚のトーテム像が出現しており、色を選ばず実戦投入されるであろう《虹色のレンズ/Search for Tomorrow》も完備されているのだ。

青を見てみればコモン界の空の帝王《遍歴のカゲロウ獣/Celestial Crusader》がサポートする充実ぶり。赤、黒、緑にも現実的なクリーチャーたちが並んでいる。

不戦勝ボーナスラウンドのうちにリッチーチェックを受ける津村

そして、そんなパックを掴み取ったラッキーマンが「リミテッドマスター」Richard Hoaen(カナダ)だ。かつてのMike Turian(アメリカ)、Nicolai Herzog(ノルウェー)のような圧倒的なパフォーマンスで知られているわけでないが、とにかく堅実に結果を残し続けており、若くしていぶし銀の風格を漂わせる名手である。

リッチーは最近の「時のらせん」戦線となってからも、プロツアー神戸で34位入賞、グランプリ・ニュージャージーで準優勝という活躍ぶりで、今をときめく津村 健志(広島)のリミテッドのお師匠様でもあったりする。職業はプロのポーカープレイヤーだ。

そんな彼のドラフティングスタイルをあえて言語化するなら、徹底したリアリズムに支配されたストラテジーを貫く、といったあたりに落ち着くだろう。

リッチー 「こういったカードプールをもらったときの一番の注意は、欲張りになりすぎないことだ。シールド戦はレアゲーになりやすいから爆弾カードをありったけ仕込んだほうが良いという意見が存在することは認めるが、それはオレのやり方ではないね」

パックを手にした彼は、カードプール全体を見渡し、まずは根幹となる色を探した。とりあえず2枚の《センギアの吸血魔/Sengir Nosferatu》擁する黒いカードを10枚レイアウトし、それから2色目を様々にテストしていくことになる。

最初に2色目の候補となったのが赤だ。この色には3マナ域までに相当数のクリーチャーが存在しており、《特務魔道士ヤヤ・バラード/Stormbind》をスプラッシュという組み合わせでカードを並べており、この内容をそのままデッキ登録用紙に書き込もうかという風でさえあった。

しかし、リッチーはここで《嵐の束縛/Lightning Axe》以外の赤いカードをすべて取っ払い、緑色のカードを黒いカードともにレイアウトしはじめた。

リッチー 「結局、安定性が一番なんだよ。少なくともオレにとってはそうだ」

そういってから、リッチーは2枚の《明日への探索/Wall of Roots》を指差した。強固なマナベースというのは、かえがたいものなのだ。

仮に、黒赤で組んだ場合は2マナ域が2枚の《ゴブリンの空切り/Herd Gnarr》も輝きを増す。こういった相乗効果(シナジー)の見込めるカードをいかに効果的にデッキに仕込んでいくかというのもリミテッドにおける腕の見せどころだ。

結局、リッチーは根幹となる部分を黒と緑のカードで固め、そこに赤をタッチして《嵐の束縛/Lightning Axe》をスプラッシュというのを基本的デザインとした。その上で、シールドデッキに残された最後の2枚をどうするか、入念に検討をはじめた。

赤い《フォライアスのトーテム像/Jaya Ballard, Task Mage》を加えての3色とするのか、4色目に白を加えるか、だ。

もっとも、ここでリッチーが挙げた白いカードは白マナを「必須」とはせず、あくまで白マナが出た場合に「真価を発揮する」という類のものだった。つまり、変異クリーチャーである《雨ざらしのボディガード/Saltcrusted Steppe》によるサポートを受けることも出来る。

リッチー 「より多くの爆弾カードをプレイしたいというのは欲求としてきわめて正常だ。それが可能であれば当然すべきことだし、デッキの全体を底上げは怠ってはならない」

「だが」と、リッチーは続ける。

「3色目にダブルシンボルのカードをもってくることのリスクは、とにかく大きい。オレのやり方ではない。結論として、いつも通りにデッキの安定性を最重要視して構築したつもりだ」

かくて、入念に投入するランドのバランスを計算してから、リッチーは黒緑タッチ赤白デッキを完成させた。

とにかく"Not too greedy"(欲張りになりすぎないこと)という言葉を多用しながらシールド論を聞かせてくれたリッチー。仕上がったデッキは以下のとおりだ。

Main Deck

Download Arena Decklist
 

■Round 4, vs. Kim Minsu

不戦勝明けのリッチー vs. 金 民守

広島 vs. オランダという2カードのFeature Match(注目の対戦)の取材を終えた私がリッチーの試合を見にいってみると、かつて日本選手権で準優勝を飾ったこともある金 民守(東京)と白熱の試合を展開中である。

白熱…と思いきや、

リッチーの側に《センギアの吸血魔/Phantom Wurm》が孤軍奮闘といった情勢。筆者が盤上の情報メモをとりはじめる頃には、金はリッチーに投了していた。

マッチスコア:2-0
トータル:4-0

■Round 5, vs. Jelger Wiegersma

4回戦で大礒 正嗣をくだしてきたJelger Wiegersmaとマッチアップされたリッチー。好勝負となったようだが、要所でWiegersmaの側に登場する《大火口のカヴー/Firemaw Kavu》によって戦線をずたずたにされてしまったというリッチー。

私が見ていた第3ゲームに関して言うなら、土地ばかりを引いてしまうという不運な展開の中を《嵐の束縛/Phyrexian Totem》がトドメとなった。

マッチスコア:1-2
トータル:4-1

■Round 6, vs. Nakaya Shin'ya

まわれば強いパワフルデッキのリッチー。
快勝とのこと。

マッチスコア:2-0
トータル:5-1

■Round 7, vs. Endo Hiroki

第6回戦に続き、「よく覚えてはいないが順調に勝った」。

マッチスコア:2-0
トータル:6-1

■Round 8, vs. Nakajima Chikara

初日最終戦、気持ちよく勝って終わりたかったリッチーの前に立ちはだかるのが、プロツアー・チャールストンでベスト4入賞した中島 主税(神奈川)。

一本目はリッチーが痛恨のマナトラブルをおこしてしまい、そこへ中島の1ターン目《ケルドの矛槍兵/Spinneret Sliver》召喚というロケットスタートが決まった。

二本目ではリッチーが場を制圧することに成功しそうだった。《暗影の蜘蛛/Wall of Roots》とクリーチャーを展開し、対する中島の側には1/1クリーチャーが3体ならんでいるだけという状況である。

中島はおもむろに1/1トークン3体でのアタックを敢行。そして、リッチーはこれを普通に2/4、3/4、0/4の3体でブロック宣言した。いや、してしまった。

Sulfurous Blast

すると、そこで中島が詠唱する《硫黄破/Sulfurous Blast》!

リッチー 「ライフもまだ余裕があるのに、あれはオレのミスだった。ちゃんとその存在について警戒すべきだった…」

かくて思惑通りの戦闘を演出することに成功し、盤上をリセットした中島が《獣たちの女帝ジョルレイル/Jolrael, Empress of Beasts》を引き当てる。そのままこのレジェンドがリッチーを殴り倒すことになった。

マッチスコア:0-2
トータル:7-1

リッチー 「少なくとも時のらせんに関しては、これまでシールドデッキを構築してきた中でもっとも強いカードプールを受け取っていたので、残念な結果だった。やはり自分のミスが悔やまれる」

と、一日を総括するリミテッドマスター。

それでも、二日目に残ってプロポイントを稼ぎ出すという目的の最低ラインはクリアしているわけであるし、得意のドラフトで追い上げていきたいところだろう。

はたして、日曜日はリミテッドマスターの面目躍如となるだろうか?

 

Sunday, Nov 19: 11:12 a.m. - Quick Questions with the Pros !

by Keita Mori
 

今週のmagicthegathering.comは「時のらせん」のレジェンドがテーマでした。あなたが好きな一枚を教えてください。

小倉 陵(初日全勝): Jelger Wiegersma(初日全勝): 齋藤 友晴(初日全勝):

《練達の育種師、エンドレク・サール/Endrek Sahr, Master Breeder》。昨日は活躍してくれましたから

《無慈悲なる者ケアヴェク/Kaervek the Merciless》。これで今(第9回戦)オグラに勝ったからね!

《深き刻の忍者/Endrek Sahr, Master Breeder》は面白いです。

森田 雅彦(初日全勝): 浅原 晃: Tiago Chan:
《トロウケアの敷石/Flagstones of Trokair》! クリーチャーじゃないけど、伝説は伝説ということで。 背景世界と物語のファンであり、カマールのファンである自分としては、彼の親友である《クローサの英雄、ストーンブラウ/Stonebrow, Krosan Hero》がとうとうカード化したことは喜ばしいですね。三国志でいう張飛的な感じのキャラで、たしかカローナとの戦いの最中に死んでいたような気もするんですが…(以下割愛) 《影魔道士の浸透者/Shadowmage Infiltrator》。少なくともJon Finkelはレジェンドですから。



 

Sunday, Nov 19: 12:33 p.m. - 全勝対決ふたたび

by Keita Mori

イェルガー・ウィーガーズマ(手前) vs. 小倉 陵

森田、齋藤、Wiegersma、小倉。初日全勝プレイヤー四名がそろって注目の対戦(Feature Match)席に招待されたので、その模様を追ってみよう。

Jelger Wiegersama(オランダ) vs. 小倉 陵(愛知)

4枚の《絞殺の煤/Strangling Soot》をピックして、しかも2枚をさらに下流に流しているという驚異的な逸話で語られているのが二日目ファーストドラフトのJelger Wiegersma(オランダ)の赤黒デッキ。「愛知の若虎」小倉 陵の赤白デッキのクリーチャーを端から除去していく展開となったのも、ある意味で当然といえば当然だった。

《絞殺の煤/Assassinate》。手札には《絞殺の煤》がもう一枚。文字通りの殲滅劇が繰り広げられた。

なんとか小倉もWiegersmaの序盤のスリヴァー軍団を除去しきってみせたのだが、土地が並んでから《ファイレクシアのトーテム像/Phyrexian Totem》を起動し始めたWiegersmaを制御しきれなかった。

第2ゲームでもデッキの相性差は覆せず、おまけに《無慈悲なる者ケアヴェク/Kaervek the Merciless》までが登場してWiegersmaが勝ち星を飾ることとなる。

Jelger Wiegersma 2-0 小倉 陵

齋藤 友晴(東京) vs. 森田 雅彦(大阪)

一方そのころ、東西の雄によるもうひとつの全勝対決では齋藤 友晴(緑白黒)が緑使いとしての面目躍如となる素晴らしいビートダウンを見せつけた。ともに、大軍での攻勢によって森田 雅彦(青白)を追い詰め、第1ゲームでは《版図の踏みつけ/Strength in Numbers》が決定打となった。

森田 雅彦(左) vs. 齋藤 友晴

ちなみに、齋藤の判断の鋭さは第2ゲーム初手のマリガニングについてもうかがうことができた。

後手スタートで、《森/Gemhide Sliver》、あとは概ね6マナ以上という手札。

これを逡巡の末にキープし、ここから連続して土地をライブラリのトップから引き当て続けるという力強さを見せたのだ。

齋藤にマリガニングについて聞いてみたところ――

「もちろん、土地が都合よく引けずに、マリガンしなかったことが裏目に出て負けてしまうことも十分ありえると思います。でも、ここで土地を引いて勝つんだ、と強く思って決めました」

やはり、マジック:ザ・ギャザリングも勝負事である。

齋藤 友晴 2-0 森田 雅彦

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Sunday, Nov 19: 1:27 p.m. - Round 10 : 齋藤 友晴(東京) vs. Jelger Wiegersma(オランダ)

by Daisuke Kawasaki

齋藤 友晴(左) vs. イェルガー・ウィーガーズマ

スイスドロー10回戦を経て、ついに全勝は2人となった。

つまり、この対戦で勝利したものが暫定的に単独ポールポジションとなるのである。

対するのは、「ストンピーの貴公子」齋藤 友晴(東京)とオランダの強豪Jelger Wiegersma(オランダ)。奇しくも、今大会で何度も繰り返された日蘭対決の決定戦となった。

Jelgerのデックは卓内どころか、会場内最強とまで目される4枚の《絞殺の煤/Strangling Soot》から始まる除去の束と言い換えても差し支えないような赤黒デックである。

非常に厳しい戦いが予想される。

Game 1

先手はJelger。

1ターン目にJelgerが《祭影師ギルドの魔道士/Durkwood Baloth》待機とお互いに、順当な立ち上がりをみせるが、しかし、《祭影師ギルドの魔道士》によってタフネス1を封殺されてしまっているのは齋藤にとってかなり厳しい。

そして、齋藤が後続として追加していった《紡績スリヴァー/Vhati il-Dal》しか残らない。

一方のJelgerは《肥満死体/Basal Sliver》キャストと場を充実させていく。

なんとかこの場を覆そうと、齋藤は《ヴァティ・イル=ダル》が《基底スリヴァー/Vhati il-Dal》へと。これには齋藤も苦笑するしかない。

待機の明けた《肥満死体》へは《沼》をセットし、手札をゼロにしての《暗殺》で対処するものの、追加された《ヴェク追われの侵入者/Trespasser il-Vec》と《祭影師ギルドの魔道士》のクロックに対処しきることができなかった。

Jelgerのデックの除去の厚さが目立った1本。

Jelger 1-0 齋藤

Game 2

またも《ダークウッドのベイロス》《肥満死体》と待機と、お互いに1ターン目から行動する立ち上がりだが、齋藤がその後《宝革スリヴァー》《スカーウッドのツリーフォーク/Scarwood Treefolk》と展開したのに対して、Jelgerは2体目の《肥満死体》を待機するのみとGame 1とは逆に齋藤が完全にリードする展開。

それもそのはずで、Jelgerは土地が2枚で止まってしまっているのだ。

手札に《暗殺/Scryb Ranger》《基底スリヴァー》と場に追加する。

ここで、念願の3枚目の土地を引いたJelger。まずは、マナベースを確保する事が肝心と《基底スリヴァー》をキャストする。

ここで頭を悩ませる事になる齋藤。結果4体のクリーチャー全部でアタックすることを選択する。

今度はJelgerが頭を悩ませる番である。マナが事故っている今や、自身の展開の要である《基底スリヴァー》を失うわけにはいかない。しかし、唯一《基底スリヴァー》が一方的にブロックできる《宝革スリヴァー/Gemhide Sliver》をブロックする。

そして、続くドローも土地ではない。手札には除去が溢れてはいるが、どの除去をどのクリーチャーにうつかも難問だ。なにしろ、続くターンには《ダークウッドのベイロス》が場に現れることが予告されているのだ。結果、《暗殺》は《ダークウッドのベイロス》に撃つ事にし、《基底スリヴァー》でチャンプブロック後にサクリファイスからの《堕落の触手》キャストというプランを選択する。

そんなJelgerのプランを打ち崩す《岩石樹の祈り/Stonewood Invocation》。

Jelger 1-1 齋藤

Game 3

Kaervek the Merciless

この山形に期するものの多い齋藤。これは是非とも勝って単独首位に立ちたいところ。

両手で頬を打つ、お馴染みの方法で気合を入れる齋藤 友晴。

しかし、齋藤は悩んだ末にキープした初手から、つまり2枚目以上の土地を引けなかった。

次々とディスカードを繰り返す齋藤。そんな齋藤の前にあらわれる《菅草スリヴァー/Ghostflame Sliver》。

なんとか3枚目の土地を引き込んだ齋藤は2枚続けて《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad》をキャストし、マナベースを充実させるが、除去溢れるJelgerはアタックを繰り返し、ライフは2までおちこんでしまう。

そんな齋藤の前にあらわれたのは、文字通りの《無慈悲なる者ケアヴェク/Kaervek the Merciless》。

Jelger 2-1 齋藤



 

Sunday, Nov 19: 1:49 p.m. - Draft Report : 第1ドラフト―5番卓

by Daisuke Kawasaki

二日目を迎えたGP山形。

Players of the Year候補ひしめく5番卓

タイトルの行方も気になるところだが、微差に日本人5人がひしめくPlayer of the Year争いで、それぞれのプレイヤーたちがここで何点を稼ぐかも気になるところ。

途中経過としては、齋藤 友晴(東京)が初日全勝で一歩リードというところだが、しかし、途中経過は途中経過。勝負は水物、まだまだどうなるかはわからないというのが正直なところだ。

さて、そんな注目のPoYレースではあるが、なんと5人のうち3人までもがここで同じ卓になるという異常事態が発生してしまった。

そこで、本来であれば全勝4人を含む1番卓のピックを追いたいところではあるが、ここではあえて、期せずして「PoY争い直接対決」となった5番卓を追いかける事にしたいと思う。

異常事態には異常事態が重なるのか、それともできれば全員のピックを追いたいという筆者の思いが天に届いたのか、3人がRichard Hoaen(カナダ)を挟んで一列に並ぶという幸運に恵まれた。

「スノーマスター」中村 修平(大阪)
「PT神戸Top8」津村 健志(広島)
「対抗呪文、改めカットの化身」八十岡 翔太(神奈川)

いずれ劣らぬリミテッド巧者ばかりである。

そして、もちろん、Richard Hoaen(以下リッチー)は世界屈指のリミテッダー。

国内グランプリはもとより、プロツアーですらでここまで濃いラインができる事は稀だと思う。せっかくなので、ここでは4人まとめて一気にピックを追って見ることにしよう。

ちなみに、席順は、中村→八十岡→リッチー→津村という流れである。

■Pack 1

  中村 八十岡 Hoaen 津村
1 Amrou Seekers Disintegrate Draining Whelk Careful Consideration
2 Premature Burial Triskelavus Strangling Soot Penumbra Spider
3 Might Sliver Yavimaya Dryad Careful Consideration Fathom Seer
4 Amrou Scout Herd Gnarr Feebleness Weatherseed Totem
5 《Hunting Moa》 Keldon Halberdier Trespasser il-Vec Durkwood Tracker
6 Coal Stoker Goblin Skycutter Mana Skimmer Deathspore Thallid
7 Goblin Skycutter Herd Gnarr Drudge Reavers Scarwood Treefolk
8 Gemhide Sliver Bogardan Rager Uncle Istvan Savage Thallid

《分解》の八十岡、《吸収するウェルク》のリッチーとパワーカードからのスタートに対して、中村は《アムローの求道者》という非常に地味なファーストピック。

しかし、そのパックを受け取っている八十岡の2手目を見ていただければわかるように、実は中村は自身のパックで《トリスケラバス》というパワーカードを引き当てているのである。この点について中村に聞いてみた。

中村 「序盤に色固定したかったというのもありますが、やはり、重いカードより軽いカードとりたかったですね。」
筆者 「やはり環境がテンポ重視だからという事ですか?」
中村 「それもありますが、この卓でトップを狙うとしたらリッチーとの対戦は避けられないと思いましたので。」

PT神戸で真木がリッチーのドラフトを追った記事でも明示されているが、リッチーといえばストイックにテンポデックをピックすることでも有名である。そのリッチー戦を視野にいれた場合、《トリスケラバス》では間に合わないということだ。

しかし、「点数でいえばそこまでかわりませんしね」と中村自身も言っているように、《アムローの求道者》も、特に枚数を集められれば、勝負を決めるのに十分なパワーを持ったクリーチャーであると言えるだろう。

実際に、Round 9で中村は、対戦相手に黒い《変異種/Morphling》こと《センギアの吸血魔/Sengir Nosferatu》を出されたものの、2体の《アムローの求道者》で殴りきって勝利したと後に語っていた。「あれが《トリスケラバス》だったら負けていた」とも。

その中村は、2手目で《早すぎる埋葬》をピックしたものの、3手目での《増力スリヴァー》ピックから、白緑に方向性を定めている。

さて、ここで話題に上がったリッチーだが、中村の予想とは裏腹に、2手目《絞殺の煤》3手目《入念な考慮》と青黒系の除去&アドバンテージ系のデックをピックしている。

津村は、3手目で《水深の予見者》をピックして青緑を見据えているが、《死胞子のサリッド》が遅めの順目で多くピックできたことを受けて、黒緑の可能性も考慮してる。

■Pack 2

  中村 八十岡 Hoaen 津村
1 Rift Bolt Spike Tiller Rift Bolt Strangling Soot
2 Sporesower Thallid Magus of the Scroll Firemaw Kavu Tromp the Domains
3 Amrou Seekers Spiketail Drakeling Corpulent Corpse Nantuko Shaman
4 Amrou Scout Search for Tomorrow Fledgling Mawcor Thallid Germinator
5 Magus of the Disk Pendelhaven Elder Terramorphic Expanse Nantuko Shaman
6 Essence Sliver Durkwood Tracker Spiketail Drakeling Thallid
7 Cloudchaser Kestrel Slipstream Serpent Temporal Eddy Deathspore Thallid
8 Spirit Loop Aether Web Tolarian Sentinel Assassinate

青緑か黒緑かは2パック目次第といった風情の津村だったが、ここでの初手で《絞殺の煤》をピックできたことを受けて、黒緑にほぼ決定したようだ。

リッチーと津村が並ぶ

結果、《巣立つ大口獣》や《トゲ尾の仔ドレイク》といった青の優良カードをリッチーが少し遅いの順目で手に入れることに成功する。

津村 「多分上のリッチーかナックさん(中村)が結構強い青だと思うんですよね…」

といったように、津村も自身のピック自体は成功だったものの、Pack 2後半での青の流れに対しては強く印象に残っているようだ。

そのリッチー。初手《裂け目の稲妻/Firemaw Kavu》とタッチの予定だった赤が濃いピックとなり、黒赤も見えてきたところでの、津村からの青い贈り物という流れから、3色デックを組むことがほぼ確実になったようで、5手目では比較的重要なパーツである《アーボーグの吸魂魔道士》を流しての《広漠なる変幻地》ピックとなった。

このあたりは、カードパワーでは無くデック全体の安定度を重視したピックに定評のあるリッチーの面目躍如といったところか。

中村は、初手に《裂け目の稲妻/Rift Bolt》をピックしたものの、その後は安定して白緑のピックを続けている。特に、この段階で《アムローの求道者》《アムローの偵察兵》の2枚目をピックできているのは今後のプランを構築する上で大きいだろう。

さて、ここまで全く触れてこなかった八十岡だが、Pack 1で2枚の《獣群のナール》をピックし、ある程度の待機カードもピックと非常に順調に赤緑、それも《巣穴からの総出/Empty the Warrens》ストーム系のアーキタイプの必要カードを順調に集めている。

八十岡自身もそれを強く意識しているようで、4手目では《なだれ乗り》を押しのけて1マナ待機であり、3ターン目でのストームという理想系も見える《明日への探索》をピックしている。

ちなみに、初手で、これも重要なキーパーツである《胞子撒きのサリッド》を流していることに関しては。

八十岡 「《スパイクの耕し手》と《胞子撒きのサリッド》が並んだ場合は《スパイク》をピックするのがセオリーです。ただつよいですから。」

と、さすがのリアリストなコメントを残している。

しかし、肝心の《巣穴からの総出》も《数の力》もまったく姿をみせないのが気がかりではある。

■Pack 3

  中村 八十岡 Hoaen 津村
1 Squall Line Firemaw Kavu Cancel Corpulent Corpse
2 Icatian Crier Durkwood Baloth Dark Withering Havenwood Wurm
3 Cavalry Master Search for Tomorrow Prodigal Sorcerer Rift Bolt
4 Viscerid Deepwalker Subterranean Shambler Molten Slagheap Deathspore Thallid
5 Bonesplitter Sliver Corpulent Corpse Chromatic Star Corpulent Corpse
6 Urza's Factory Penumbra Spider Evil Eye of Urborg Trespasser il-Vec
7 Pentarch Ward Ashcoat Bear Tendrils of Corruption Molder
8 Terramorphic Expanse Goblin Skycutter Magus of the Mirror Skulking Knight

まずはリッチー。

2手目に是非欲しかった《闇の萎縮》、3手目に《放蕩魔術師》にピックすると、もうカードパワーは十分と、4手目には《肥満死体》《葬送の魔除け》をスルーしての《溶鉄の金屑場》ピック、5手目には《ヴェク追われの侵入者》をスルーしての《彩色の星》ピックとひたすらマナベースの確保に走っているあたりがさすがというべきか。

やはり「カードパワーをあげて勝てる可能性より、事故で負ける可能性が上がったら意味がないから」という事らしい。

中村 「《断骨スリヴァー》がミスでしたね。」

5手目でのピック。この時点で中村は「一周まわってくると思っていましたから」という《針刺スリヴァー》《火跡スリヴァー》をすでに確認しており、スリヴァー系のアーキタイプも視野に入れていたという。

しかし、結果、構築時点でスリヴァーをいれた赤緑白は「ぱっとしなかった」とのことで、結局スリヴァーを諦めたデックとなった。

続いて津村。

八十岡 「卓にひとり、すごい強い黒緑がいる可能性がある。多分津村。」

と、流したカードから八十岡が予想するように、なかなかにまとまった黒緑が構築されている。

ちなみに、最終的にできあがった津村のデックには、なぜか《水深の予見者/Fathom Seer》の姿が。

津村 「まぁ、ダミーモーフなんですけど、この色(黒緑)の場合、変異は《セロン教の隠遁者/Soul Collector》みたいなやばいのが多いので、除去をひきつけられる可能性が高いんですよ。」

中村のPack 1の初手でも感じたことだが、津村や中村のレベルの場合、純粋なカードパワーやデックの全体像以上の視野でピックや構築していることが実感させられる場面が非常に多い。

さて最後の八十岡だが…

八十岡 「ストームつくってたのに、1枚も《巣穴からの総出/Empty the Warrens》でなかったよ!」

と、アーキタイプを重視したピックをした場合の罠に見事にはまってしまったようだ。

とはいえ、カードパワーも高くそれなりに強そうな赤緑に見えるのだが。

八十岡 「初手が強くても運がよかっただけで意味ない。ドラフトとしては失敗。」

とかなり不満足な様子。視野が広いというのもなかなか大変なようだ。



 

Sunday, Nov 19: 3:03 p.m. - More Quick Questions

by Keita Mori
 

二人チーム方式、双頭巨人戦で行われる来期のプロツアー・サンディエゴ、誰と組んで出場する予定ですか? あるいは、誰と組んでみたいですか?

小倉 陵(初日全勝): Jelger Wiegersma(初日全勝): 齋藤 友晴(初日全勝):

大澤(拓也)に誘われているので、たぶん一緒に組むだろうと思ってます。

Richard Hoaen と組むことが決まっています。

もちろん(と、鍛冶 友浩を指差す)

森田 雅彦(初日全勝): 浅原 晃: Tiago Chan:
ゴウ・アナン ! いつかは、尊敬するマーク・ジャスティスさんか佐々木 将人さんと組んでみたいですね。いっそのこと、ジャスティス&佐々木とか実現したらファンタジーなんですが。さすがに無理ですかね? 多くのプロたちからオファーをもらっていますが、こう言って返事を保留しています。私がレベル5に到達できたら、最近勝ち星に恵まれていない友人であるFrederico Bastosを招待したいのでお断りすることになります。しかし、それがかなわなかった場合はご一緒できるかもしれません。





 

Sunday, Nov 19: 4:20 p.m. - Round 12 ダイジェスト

by Daisuke Kawasaki

ラファエル・レヴィ

連勝街道をひた走るJelgerが第2ドラフトを待たずにトップ8を確定させた。

しかし、大部分のプレイヤーにとっては、ここからの3戦がトップ8をかけた最も厳しい戦いとなるのである。

ここでは、そんなRound 12をダイジェストで紹介しよう。

Raphael Levy(フランス) vs. 村上 祐樹(仙台)

Levyは昨日のRound 5でもお伝えしたとおり、今年度の殿堂入りを決めたフランスの古豪。一方の村上は、久方ぶりにグランプリのかえってきた地元東北勢である。

Game 1

先攻は村上。

2ターン目《モグの戦争司令官/Mogg War Marshal》がファーストアクション。

Levyの《アーボーグの吸魂魔道士/Errant Ephemeron》が場に登場する。

この時点で村上が展開できたのは、《奈落の守り手/Swamp》1枚を含む3枚しか土地がないのだ。

非常に厳しい状況に追い詰められたかに見えた村上だったが、ついに念願の土地、《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》をドロー。《ダウスィーの殺害者》をキャストし、《遍歴のカゲロウ獣》には《暗殺》と一気に攻勢にでる。

そして、《ダウスィーの殺害者》に《突然の死/Fury Sliver》。

これは、フラッシュバックでの《神秘の指導/Dark Withering》で予定通り除去されるのだが、これによりついにLevyの除去がつきる。

《堕落の触手/Ib Halfheart, Goblin Tactician》への対抗策を最後まで用意することができなかった。

村上 1-0 Levy

村上祐樹

Game 2

Game 1とかわり、今度はLevyが土地事故に見舞われる事となる。

2枚の《島》で必死に《珊瑚のペテン師》《遍歴のカゲロウ獣》待機と動くLevyに対して、村上は《アーボーグの吸魂魔道士》《半心臓のイッブ》《肥満死体》と攻勢を緩めない。

そして、やっと、3枚目の《島》《水深の予見者》《ファイレクシアのトーテム像》と展開し、場を持ち応えようとするLevyに突き刺さったのは、《病的な出来事/Psychotic Episode》。

村上 2-0 Levy

金 民守(神奈川) vs. 鈴木 貴大(東京)

PT神戸でもトップ8を筆頭に最近絶好調の鈴木の前に立ちはだかるのは、日本選手権準優勝経験もある金 民守(神奈川)。

鈴木といえば、今勢いのあるプレイヤーの代名詞のような存在だが、金もまた、先日の神奈川選手権での優勝を筆頭にここ最近で非常に勢いがついてきており、第1ドラフトでも、3-0をきめている。

Game 1

お互いに1ターン目に金が《明日への探索/Mindstab》を待機というもはやこの環境ではおなじみとなったスタート。

鈴木が《アーボーグの吸魂魔道士》をキャストしている間に、金は《ヤヴィマヤのドライアド/Savage Thallid》を場に送り出す。

胞子がたまり、苗木を生み出しながら再生するようになっては厄介と、鈴木は《アーボーグの吸魂魔道士》でブロックをするが、ここで金は《芽吹き/Sprout》によって苗木を確保して再生というスーパープレイ。

しかし、鈴木もマッドネス系のデックのキーである《アーボーグの吸魂魔道士》を無計画にブロックに差し出したわけでなく《一瞬の瞬き/Momentary Blink》という安全策を確保していた。

ここで、攻勢を緩められては相手のペースになってしまうため、攻め手を止めたくない金ではあるが、しかし、《歪んだ爪の変成者/Crookclaw Transmuter》に《ヤヴィマヤのドライアド》を処理され徐々に相手に防衛線を構築されていってしまう。

だが、金も攻勢を緩めることなく、相手の場を掃除していく。鈴木の盤面をひっくり返しうる1手である《イクシドロン/Strength in Numbers》で強引に処理し、ダメージを叩き込んでいく。

しかし、続いて鈴木の場には《悲哀の化身/Avatar of Woe》が降臨した。

鈴木 1-0 金

鈴木(左) vs. 金

Game 2

金は、3ターン目に《アーボーグの吸魂魔道士/Durkwood Baloth》と綺麗なマナカーブで展開する。

が、しかし、鈴木も《歪んだ爪の変成者》《ゴルゴンの世捨て》《闇の萎縮》とすべてに回答を用意し、金の場にパーマネントが並ぶ事を許さない。

こうなってしまうと、鈴木が1ターン目に待機した《精神攪乱》とクロックとして機能し始める《歪んだ爪の変成者》のアドバンテージ分厳しい戦いとなってしまう。

そして、ライフが7となった金の前に、今度は《センギアの吸血魔》が降臨したのだった。

鈴木 2-0 金



 

Sunday, Nov 19: 4:51 p.m. - Round 13 : 鈴木 貴大(東京) vs. Jelger Wiegersma(オランダ)

by Keita Mori

今季新人王(Rookie of the Year)レースで好位置につけている鈴木 貴大(東京)とMVP(Player of the Year)レースで奮闘しているJelger Wiegersma(オランダ)が第13回戦でマッチアップされた。ここまで12連勝を果たしてすでにベストエイト入りを確定させているWiegersmaは海外遠征組の友人のためにも日本人選手を蹴落としておきたいところで、他方の鈴木もあと一勝でベストエイト入りが確定するため、是が非でも勝ちたいところ。

ラッキーマン鈴木

いざ勝負、

…と、思いきや。ここへジャッジがやってきて鈴木にゲームロス裁定をくだそうとする。どうやらデッキリスト記入に不備があったらしく、40枚必要なところを39枚しか埋まっていないとかいう話である。鈴木はここにきて痛恨のハンデを負ってしまうことになりそうだ。

…と、思いきや。これはジャッジうっかり。裁定がくだされる直前に念のための再確認がなされたところ、リストは正しかった。鈴木は命びろいだ。

さあ、気を取り直して勝負、

…と思いきや、今度は対戦相手のWiegersmaもアタフタしはじめた。

Wiegersma 「すいません。オレが第1ドラフトのときのデッキで戦おうとしてました…」

…え。

当然、誤ったデッキで試合を開始したWiegersmaに対してゲームロス裁定が下される。これにて、1-0でリードした状態で鈴木はゲームをはじめられることになった。数分前とはえらい違いである。

それどころか、

Wiegersma 「もういいや、投了、投了。気分転換してきます…」

な、なんだって!

鈴木 貴大 2-1 Jelger Wiegersma

鈴木、戦わずしてベストエイトをほぼ確実に。



 

Sunday, Nov 19: 5:16 p.m. - Round 13: ダイジェスト

by Daisuke Kawasaki

小倉 陵(愛知) vs. 小澤 毅(岩手)

小澤 毅

さて、Round 12では、東北勢代表として村上を紹介したが、おなじ東北勢として小澤 毅が、このRound 13で、小倉をマッドネスとサリッドのハイブリッドの黒緑で2-0し、33点と、Top 8に王手をかけている。

Quentin Martin(イギリス) vs. 森 勝洋(東京)

ここまで全くフィーチャリングされなかったものの、常に好位置につけていた「日本王者」森 勝洋(東京)を、本人も「このマッチはいいね」となっとくのペアリングでフィーチャリング。

まさに、世界レベルの強豪対決だけに、好勝負が期待される。

Game 1

後手のQuentinの1ターン目《明日への探索/Opaline Sliver》を場に追加する。

Quentinが《明日への探索》によるジャンプアップによって場に送り出した《胞子撒きのサリッド/Sporesower Thallid》も、《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》によってバウンスし、一気に攻勢をかける。

ここで待ったをかけるかのように、《炎の刃のアスカーリ/Ovinomancer》を場に出す。

このまま一気に森のペースかと思われたが、Quentinが《羊術師》のテキストを確認してからの《大火口のカヴー/Firemaw Kavu》が森を悩ますことになる。

結果的に、この《大火口のカヴー》は羊トークンへと姿を変える事となるのだが、それまでに3回のアタックを通してしまった森は、本体への《裂け目の稲妻/Errant Ephemeron》もチャンプブロッカーに回さざるをえなくなってしまうのだった。

Quentin 1-0 森

Quentin Martin vs. 森 勝洋

Game 2

ペースを作る事を得意とする森が、逆にペースにのまれる形でGame 1を落してしまう。さらに、不幸なことに2枚で1回、3枚で1回、そして4枚でもまた1回と土地が止まってしまう。

だが、森のプレイングのスピードは段々と速くなってくる。
森のプレイを間近で見る経験の多い筆者ではあるが、ひとつ確信している事がある。

それは、勝つ時の森のプレイングは、加速していくという事だ。

《遍歴のカゲロウ獣/Temporal Isolation》をエンチャントする。

ここで、《硫黄破/Clockwork Hydra》をキャストする。

この《機械仕掛けのハイドラ/Griffin Guide》がエンチャントされると、Quentinは土地を片付けた。

Quentin 1-1 森

Game 3

森のシャッフルはさらに早くなる。

3ターン目にQuentinがファーストアクションとして《炎の刃のアスカーリ/Ith, High Arcanist》を待機させる。

緑マナが必要なQuentinは、森を対象に《オークの連続砲撃/Forest》を引き当て、《殴打/Battery》で象トークンを追加する。

しかし、森は、このトークンに《応じ返し/Jedit's Dragoons》でライフを回復する。

《大火口のカヴー/Ith, High Arcanist》が登場してしまう。

Quentinの手札にも、《稲妻の斧/Clockwork Hydra》を除去する事を選択する。

しかし、《裂け目の稲妻/Errant Ephemeron》へ対応できない。

《硫黄破/Snapback》であった。

Quentin 1-2 森



 

Sunday, Nov 19: 5:59 p.m. - Round 14 : 森 勝洋(東京) vs. 鍛冶 友浩(埼玉)

by Daisuke Kawasaki

鍛冶 友浩

今年度の日本王者である森 勝洋(東京)と、森を王者へと導いた「ストラクチャーアンドフォース」のデザイナーである鍛冶 友浩(埼玉)が、最後のマッチであたることとなる。

森はTop8に勝利条件だが、鍛冶もここで勝利する事でOp%差でワンチャンスTop8の可能性がある。

ともに切磋琢磨する友でありライバルであるふたりのうち、Top8に残れるのはどちらかひとりなのである。

鍛冶 「ふたりが残る可能性は…さすがにないよねー」

Game 1

2ターン目に《高位の秘儀術師、イス/Rift Bolt》。

《断骨スリヴァー/Griffin Guide》をエンチャントし、「いけいけー」と強引なビートダウンを選択する。

鍛冶は、残り1個となった、《高位の秘儀術師、イス》の時間カウンターを眺めながら長考。

鍛冶 「ここで勝負が決まると思うんですよね」

結果、鍛冶は最初のプラン通り《断骨スリヴァー》をキャスト。お互いが正面からの殴り合いとなる。

しかし、ダメージレースとなったら《高位の秘儀術師、イス》を擁する森の方が圧倒的に優位である。

鍛冶は手札に《突然の死/Assassinate》と除去を抱えているものの、《高位の秘儀術師、イス》を除去するに十分な土地は用意することができなかった。

森 勝洋

Game 2

鍛冶 「先行で。」

鍛冶が力強く宣言する。

Game 1で、もし鍛冶が先行であった場合、変異に《裂け目の稲妻》をうつ必要もなかったし、先にビートの体勢を整えていたのも鍛冶だったはずだ。

森 「正直、ダイスロールで勝負決まってたよね。」
鍛冶 「まぁ、マジック、運ゲーだからね。」
森 「そうだね、先手ゲーだね。」

そして、その言葉の通りに、今度は先手の鍛冶が1ターン目に《肥満死体/Corpulent Corpse》待機と先行する。

森も、2ターン目に《遍歴のカゲロウ獣》を待機させるのだが、このままだと、先手の分と手札の《突然の死》の分で森が不利である。

しかし、ここで、鍛冶は手札が2枚の《断骨スリヴァー》をはじめとする赤いカードのみで構成されているのに対して、土地がすべて《沼/Swamp》という、いわゆるマナスクリューをおこしてしまう。

結果、《肥満死体》の待機が明けるまでクロックを用意できないという、先手のアドバンテージを失いかねない展開となってしまう。

しかし、鍛冶にとって幸運だったのは、森のファーストアクションもまた、待機明けの《遍歴のカゲロウ獣》であったという事である。まだ、先手の優位は残っている。あとは《山》を、《山》さえひければ。

予定通り、《遍歴のカゲロウ獣》は《突然の死》で除去する鍛冶だったが、《肥満死体》は《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》でバウンスされてしまう。

だが、ここで待望の《広漠なる変幻地》をドロー。

鍛冶 「3パック目の初手だったんですよね、《広漠なる変幻地》。本来は《沼》のスロットだったはずなんで、これのお陰で《山》ひけましたよ。」

と、試合後に鍛冶は振り返る。手札の赤いカード達が今か今かと出番を待っている。鍛冶は《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》を《絞殺の煤》で除去し、《山》をサーチ。

しかし、ここで森は待機なしで《遍歴のカゲロウ獣》をキャストする。

だが、未だ場で不利なのは森。森らしからぬ長考の末に《グリフィンの導き》を《遍歴のカゲロウ獣》をエンチャント。Game 1を決めたこのエンチャントでクロック勝負に持ち込む。

《断骨スリヴァー》に追加して《吸血スリヴァー》も用意している鍛冶。なおもダメージクロックでは優位ではあるものの、できれば優位を固定したい。

そう考えてか、鍛冶は、《遍歴のカゲロウ獣》への回答として、まずは《ゴブリンの空切り》をキャスト。続いて《ヴェク追われの侵入者》をキャストする。

しかし、ここで、森が我慢に我慢を重ねた《取り消し/Cancel》が突き刺さる。そして、返しのターンで場に森が送り出したクリーチャーは《機械仕掛けのハイドラ》。

場を一度整理しよう。

ライフは双方8。

森の場にはタップ状態の《遍歴のカゲロウ獣》(《グリフィンの導き》付き)と、前のターンにキャストされた《機械仕掛けのハイドラ》。アンタップ状態の土地は《平地》《山》《島》の3枚。手札は2。

一方の鍛冶の場には、《吸血スリヴァー》《肥満死体》《ゴブリンの空切り》の3体のクリーチャーと待機状態の《肥満死体》(時間カウンターは2個)。土地は5枚あるものの、鍛冶は2枚目の《山》をひけていない。

鍛冶はフルアタックを決行する。

森は《吸血スリヴァー》を《機械仕掛けのハイドラ》でブロック。能力で《ゴブリンの空切り》へと1点のダメージを。

だが、ここまでは当然鍛冶の想定の範囲内である。

鍛冶の手札には、《裂け目の稲妻》。そう、森が《肥満死体》への対抗策を持っていなければ、鍛冶が今度は先手の利を得て先にダメージを削りきれるのだ。

しかし、森は序盤の猛攻の中、《取り消し》だけでなく《応じ返し》も我慢していたのだった。

森 2-0 鍛冶

鍛冶 「デッキ強かったんですけどね…やっぱマジック、運ですね。」

確かに最後にゲームを決めたのは、「運」だったのかもしれない。

しかし、対戦相手が森 勝洋でなければ、そしてその席に座っていたのが鍛冶 友浩でなければ、「運」の勝負にまで持ち込めていなかったという事は忘れてはいけない。

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