Champs Fall, Rookies Rise in Japan!

Posted in Event Coverage on August 31, 2007

By Wizards of the Coast

あの高校選手権から、6年。

北山が《根絶/Extirpate》をかざした時、石川はすべてを悟り、会場はわれんばかりの拍手に包まれた。高校選手権準優勝で将来を有望視された少年が、長い長いトンネルを抜けた瞬間だった。

日本選手権に出場し続けて、6年。激戦区である関東予選を4年連続で突破するほどの実力を持ちながら、大舞台での結果を残すことができなかった。

でも、それでも、マジックをやり続けた。

そして、ついに彼の実力が認められる日が来た。日本王者という最高の形で。

高校選手権にかわって今年は、U-18チャンピオンシップが日本選手権と併催された。
もしかしたら、その中に、未来の日本王者がいるのかもしれない。


top 8 bracket

Quaterfinals

Shuu Komuro

Makoto Nagashima

Yuuta Takahashi

Masaya Kitayama

Ren Ishikawa

Kazuya Mitamura

Naoki Nakada

Takashi Akiyama

Semi-finals

Makoto Nagashima, 3-2

Masaya Kitayama, 3-0

Ren Ishikawa, 3-2

Takashi Akiyama, 3-1

Finals

Masaya Kitayama, 3-1

Ren Ishikawa, 3-0

Champion

Masaya Kitayama, 3-1

観戦記事 ベスト8最終順位
  • Blog - 5:35 p.m.: Photo Essay : 会場写真
    by Staff
  • Blog - 4:20 p.m.: Feature : 2007年度日本代表チーム
    by Daisuke Kawasaki
  • Blog - 3:39 p.m.: 決勝 : 北山 雅也(神奈川)vs. 石川 錬(神奈川)
    by Naoki Shimizu
  • Blog - 3:12 p.m.: 準決勝 : 北山 雅也(神奈川) vs. 長島 誠(山梨)
    by Naoki Kubouchi
  • Blog - 2:48 p.m.: 準決勝 : 秋山 貴志(千葉) vs. 石川 錬(神奈川)
    by Daisuke Kawasaki
  • Blog - 2:22 p.m.: 準々決勝の裁定に関する解説
    by Yoshiya Shindo
  • Blog - 1:40 p.m.: 準々決勝 : 小室 修(東京)vs. 長島 誠(山梨)
    by Naoaki Umesaki
  • Blog - 1:23 p.m.: 準々決勝 : 三田村 和弥(千葉) vs. 石川 錬(神奈川)
    by Naoki Kubouchi
  • Blog - 12:48 p.m.: 準々決勝 : 北山 雅也(神奈川) vs. 高橋 優太(東京)
    by Daisuke Kawasaki
  • Blog - 12:16 p.m.: 準々決勝 : 中田 直樹(愛知)vs. 秋山 貴志(千葉)
    by Naoki Shimizu
  • Blog - 11:21 a.m.: Standard Metagame Breakdown
    by Naoki Kubouchi
  • Blog - 11:03 a.m.: Deck Tech : 《突撃の地鳴り/Seismic Assault》
    by Daisuke Kawasaki
  • Feature: Legends of Five Japanese
    by Keita Mori
  • Blog - 8:55 p.m.: Top 8 Player Profiles
    by Staff
  • Blog - 8:34 p.m.: Decklists: The Top 8 Decks
    by Staff
  • Day 2 Blog Archive: Day 1 Undefeated Decklists, Feature Match Coverage, Draft Reports, and More!
    by Staff
  • Day 1 Blog Archive: Grinders Decklists, Feature Match Coverage, Draft Reports, and More!
    by Staff
  • Info: Fact Sheet
    by Event Coverage Staff
1. Masaya Kitayama $3,000
2. Ren Ishikawa $2,000
3. Takashi Akiyama $1,200
4. Makoto Nagashima $1,000
5. Shuu Komuro $750
6. Naoki Nakada $750
7. Yuuta Takahashi $750
8. Kazuya Mitamura $750
組合 結果 順位
    最終
14
13
12
11
10
9
8
14
13
12
11
10
9
8
14
13
12
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
7
6
5
4
3
2
1
7
6
5
4
3
2
1

BLOG

 

Komuro Shu

 

Ishikawa Ren

 

Nakada Naoki

 

Takahashi Yuuta

 

Kitayama Masaya

 

Akiyama Takashi

 

Mitamura Kazuya

 

Nagashima Makoto



Top 8 Player profiles

 

■高橋 優太/Yuuta Takahashi

居住地、年齢、ご職業を教えてください。

東京都 21歳 大学生

これまでの主なマジックの戦績を教えてください。

2006年PTロサンゼルスからは、だいたい参加(するだけ)。
サンディエゴはバカヅキでした(準優勝)。

この日本選手権の出場権は、何で獲得されましたか。

PPクラブ

この日本選手権での各形式での成績と、ドラフトは使用した色と採用した戦略(アーキタイプ)も教えてください。

スタンダード 5-1-1
リミテッド 5-2

ドラフト1回目 青白 4-0 テンポもアドバンテージも全部ありました。
ドラフト2回目 緑黒t赤 1-2 ゴミデッキでした。

使用されているスタンダードのデッキと、そのデザイナーを教えてください。

自作の青黒Pickles。 GP京都から使っています。

この日本選手権に向けて練習した仲間、チーム、ショップなどを教えてください。

池袋オーガに来る人達と。

この日本選手権の予選ラウンドでもっとも印象的だった出来事を教えてください。

ライフ1から逆転したゲームが3回もあった。

■小室 修/Shu Komuro

居住地、年齢、ご職業を教えてください。

小室 修 東京都 25歳 プロプレイヤー

これまでの主なマジックの戦績を教えてください。

PT名古屋優勝 GP横浜優勝

この日本選手権の出場権は、何で獲得されましたか。

PPC2+

この日本選手権での各形式での成績と、ドラフトは使用した色と採用した戦略(アーキタイプ)も教えてください。

3-0 4-0 2-1 1-0-3

使用されているスタンダードのデッキと、そのデザイナーを教えてください。

青白緑ブリンク 南アフリカ6位参考

この日本選手権に向けて練習した仲間、チーム、ショップなどを教えてください。

ドラフト MO4回
スタンダード 1時間

栗原(伸豪)さんたちとメッセ調整。
サイドボードはひまんちゅう(野中 健太郎)に教えてもらった。

この日本選手権の予選ラウンドでもっとも印象的だった出来事を教えてください。

《炎異種/Torchling》をフルタップで出して、そこへ飛んできた《心霊破/Psionic Blast》を《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》からのマナではね返して華麗に勝利。

■三田村 和弥/Kazuya Mitamura

居住地、年齢、ご職業を教えてください。

千葉 27歳 学生

これまでの主なマジックの戦績を教えてください。

PT Top 8 が2回

この日本選手権の出場権は、何で獲得されましたか。

PPC

この日本選手権での各形式での成績と、ドラフトは使用した色と採用した戦略(アーキタイプ)も教えてください。

2-1 3-1(白黒) 2-1(白黒) 3-0-1

使用されているスタンダードのデッキと、そのデザイナーを教えてください。

ソーラーフレア 自分

この日本選手権に向けて練習した仲間、チーム、ショップなどを教えてください。

千葉コミュニティと練習 ショップ(G-Remix)

この日本選手権の予選ラウンドでもっとも印象的だった出来事を教えてください。

コムロの独走

■北山 雅也/Masaya Kitayama

居住地、年齢、ご職業を教えてください。

神奈川 22歳

これまでの主なマジックの戦績を教えてください。

高校選手権準優勝

この日本選手権の出場権は、何で獲得されましたか

PPC

この日本選手権での各形式での成績と、ドラフトは使用した色と採用した戦略(アーキタイプ)も教えてください。

3-0 4-0(白黒タッチ赤) 2-1(赤黒) 1-2-1

使用されているスタンダードのデッキと、そのデザイナーを教えてください。

GB GoyfRack

この日本選手権に向けて練習した仲間、チーム、ショップなどを教えてください。

Magic Onlineと浅連の人々

この日本選手権の予選ラウンドでもっとも印象的だった出来事を教えてください。

コムロの独走

■長島 誠/Makoto Nagashima

居住地、年齢、ご職業を教えてください。

山梨県 22歳 会社員

これまでの主なマジックの戦績を教えてください。

PTベニス PT横浜2007出場

この日本選手権の出場権は、何で獲得されましたか。

DCIレーティング

この日本選手権での各形式での成績と、ドラフトは使用した色と採用した戦略(アーキタイプ)も教えてください。

スタンダード 5-1-1
リミテッド 5-2

使用されているスタンダードのデッキと、そのデザイナーを教えてください。

Project X ユン・スハン

この日本選手権に向けて練習した仲間、チーム、ショップなどを教えてください。

ユンと電話のみ。あと、MOでリミテッド。

この日本選手権の予選ラウンドでもっとも印象的だった出来事を教えてください。

ボブが宇宙すぎた(土地引きすぎて負け)

■秋山 貴志/Takashi Akiyama

居住地、年齢、ご職業を教えてください。

千葉 21歳 カリスマ美容師

これまでの主なマジックの戦績を教えてください。

GP横浜Top8

この日本選手権の出場権は、何で獲得されましたか。

千葉予選

この日本選手権での各形式での成績と、ドラフトは使用した色と採用した戦略(アーキタイプ)も教えてください。

RB:4-0 RB:2-1 ペペペストー!

使用されているスタンダードのデッキと、そのデザイナーを教えてください。

ソーラーフレア 自身

この日本選手権に向けて練習した仲間、チーム、ショップなどを教えてください。

千葉のみんな (ショップ)G-remix

この日本選手権の予選ラウンドでもっとも印象的だった出来事を教えてください。

リミテッドバカヅキ

■石川 錬/Ren Ishikawa

お名前、居住地、年齢、ご職業を教えてください。

神奈川県 22歳 大学生

これまでの主なマジックの戦績を教えてください。

GP横浜Best8 GP京都Best8 LoM2位

この日本選手権の出場権は、何で獲得されましたか。

PPC Lv.2

この日本選手権での各形式での成績と、ドラフトは使用した色と採用した戦略(アーキタイプ)も教えてください。

初日スタン 2-1 ドラフト 4-0
二日目ドラフト 2-1 スタン 2-0-2

使用されているスタンダードのデッキと、そのデザイナーを教えてください。

Storm Deck 森 勝洋

この日本選手権に向けて練習した仲間、チーム、ショップなどを教えてください。

道場 リョウタ(チェリー) IR四天王

この日本選手権の予選ラウンドでもっとも印象的だった出来事を教えてください。

コムロさんの慈悲のID

■中田 直樹/Naoki Nakada

居住地、年齢、ご職業を教えてください。

愛知県名古屋市 17歳 学生

これまでの主なマジックの戦績を教えてください。

東海予選通過

この日本選手権の出場権は、何で獲得されましたか。

同上

この日本選手権での各形式での成績と、ドラフトは使用した色と採用した戦略(アーキタイプ)も教えてください。

ドラフト 初日 2-2(赤青) 二日目 3-0(赤緑)
スタン 初日 3-0 二日目 2-0-2

使用されているスタンダードのデッキと、そのデザイナーを教えてください。

GoyfRack 自分

この日本選手権に向けて練習した仲間、チーム、ショップなどを教えてください。

愛知県のショップのマジックプレイヤーのみなさん

この日本選手権の予選ラウンドでもっとも印象的だった出来事を教えてください

初めて使ったデッキですが、とてもよく動いてくれました。

Sunday, Sept 2: 11:03 a.m. - Deck Tech : 《突撃の地鳴り/Seismic Assault》

by Daisuke Kawasaki
 
Seismic Assault

熱戦の繰り広げられた日本選手権のスタンダードラウンド。

日本選手権のメタゲームは、予選シーズンを経て完全に煮詰まった状態でスタートするのが、通年の例だ。カードセットが出揃った状態で大規模なトーナメントが何度も行われるのだ。それによってメタゲームが固まらないほうがおかしい。

しかし、今年の日本選手権は話が違う。予選シーズンは第9版環境で行われたが、本戦は基本セットの入れ替わりをはさんだ第10版環境で行われたのだ。

ウルザトロンの脱落をはじめ、大きくセットの内容が入れ替わって、環境が激変しないはずがない。

今年の日本選手権は話が違う。はずなのだが。

たしかに、トロン系のデックは完全に姿をけし、一方で抑圧されていた、いわゆる《印鑑》系デック、具体的にはソーラーフレアやトリコロールが台頭しそれを中心としたメタゲームが繰り広げられるという変化はあった。

それに伴って、様々なデックタイプが出揃いバラエティ豊かな環境になった。

しかし、デックテック的な視点で見れば、それらのデックは第9版時代のデックタイプから第10版への移行に伴ってカードを入れ替えただけ、とも言える内容でもある。

では、第10版で新たに採録されたカードを中核に据えたデックはないのだろうか?そう考えながらリストを調べると、あるカードに注目した二つのデックリストに目がとまった。

そのカードとは《突撃の地鳴り》。

昨年度世界王者である三原 槙仁(千葉)が、GP北九州に持ち込み、その年のエクステンデッドシーズンを席巻したデックとなったCAL。《突撃の地鳴り》は、《壌土からの生命》との組み合わせで、このデックのメインエンジンとなっていたカードである。

現スタンダードでは、ラヴニカブロックが現役であるため、《壌土からの生命》とセットで使用できる。たしかに、サイクリングランドがない為、CALのように《壌土からの生命》をドローエンジンとして使用したコンボデックとしては構築できない。しかしエンジン自体のポテンシャルは十分に高い以上、ユニット的に何らかのデックに組み込むことはできないのだろうか?

そんな命題に、ふたりのデックビルダーが立ち向かったのである。

■高橋 純也(東京)の場合

Dredge Assault Loam // Takahashi Jun'ya

 

高橋 「結局、この環境は最高の攻撃力を求めるか、最高の防御力を求めるかなんですよ」

と語るのは、「ラッシュ」こと高橋 純也(東京)。デックビルダーとして、また、最近ではプレイング理論や草の根トーナメントでのカバレッジといった文筆活動で、「シミックの王子」清水 直樹(神奈川)と並ぶ、新世代を代表するプレイヤーのひとりだ。

GP京都での《ズアーの運命支配/Zur's Weirding》《炎まといの天使/Firemane Angel》とハイブリッドした発掘デックは、あの他人のデックを使いたがらないことで有名な浅原 晃(神奈川)をして「今回ばかりはラッシュのデッキを使うべきだったかもしれない」と言わしめるほどの完成度であった。

その後、発掘をメインエンジンとしたナルコブリッジも未来予知発売直後の早い段階から研究を進めており、関東近縁では「発掘の権威」として知られるほどだった。

そんな高橋が今回新しく「発掘」してきたデックテックが、《突撃の地鳴り》と《壌土からの生命》のエンジンなのである。

高橋 「別に、発掘デッキにこだわったわけじゃないんです。今回は先に《突撃の地鳴り》のエンジンがあったんです」

-それはなぜですか?

高橋 「現環境での最強の攻撃力を持ったエンジンだと判断したからですね。《突撃の地鳴り》と《壌土からの生命》は5マナあれば、2ターンで20点を削りきれるんですよ。」

《突撃の地鳴り》に目をつけた高橋が、最初に構築したのは、赤緑白のビートダウン+《突撃の地鳴り》、エクステンデッドでいう所のアグロローム系のデックだったという。

Goblin Lore

高橋 「当然、《突撃の地鳴り》さえだせれば最強の攻撃力を発揮してくれるんです。でも、その《突撃の地鳴り》にアクセスする手段が不足していたのと、《突撃の地鳴り》以外の勝ち手段が弱くて、全体的なデッキパワーとしては低いものだったんですよね」

そこで、高橋は、まず《突撃の地鳴り》へのアクセス手段として、これまた第10版での再録カードである《ゴブリンの知識/Goblin Lore》を採用することにした。

高橋 「そうすると、このカード自体と相性のいいシステムとして発掘が浮上してきたんですよ。このカードによって、赤緑での発掘デッキの速度が実用レベルまで引き上がられたんです」

《突撃の地鳴り》が手に入らなかった場合、もしくはサイドボード後の《真髄の針/Pithing Needle》などで、《突撃の地鳴り》が封じられてしまった場合のサブの勝ち手段を模索していた高橋にとって、この《ゴブリンの知識》の採用は一石二鳥だったという。

高橋 「一点に尖った山があったり、その横に少し小さな山があるだけじゃ満足できなかったんです。対処できないほど尖った山が二つあるデッキ、それが理想だったんです」

また、《迫害/Persecute》の退場、トロンによる爆発的な大量マナ獲得が不可能になったこと、これらの要因で大量手札破壊に対して、環境全体のマークが甘くなっているとも高橋は分析していた。

高橋 「だから、《狂乱病のもつれ/Delirium Skeins》とどちらのエンジンも相性がよかったのは大きかったですね。このカードだけで勝てるマッチアップもありますから」

デックの強い部分だけを把握しても、その理解度は50%にも満たないだろう。最後に、このデックの弱点についても語ってもらった。

高橋 「普通の発掘デッキ同様、マナが揃わないうちに殴り負けるのと、手札を増やしたいが発掘もし続けなければならないという状況に追い込まれてしまうのが典型的な負けパターンですね。これには、サイドボードで対応しています。《根の壁/Wall of Roots》と《闇の腹心/Dark Confidant》ですね。ただ、《一瞬の瞬き/Momentary Blink》系のフレアだけは本当につらいですね。マナソースを土地だけに頼っているせいでパーマネントが少ないのに、そのパーマネント一つ一つが重いカードで構成されていますから」

自身のデックの評価を「80点」といいつつも、相当の自信をもって望んだ今回の日本選手権。残念ながらドラフトでの成績が揮わなかったため大活躍とはいかなかったが、今後も注目されるようなデックを生み出し続けてもらいたい。

■浅原 晃(神奈川)の場合

Oh My Grow ! // Asahara Akira

 

浅原 「単に結果だけを見たら、《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》と《タルモゴイフ/Tarmogoyf》の他にもいくつかは上に来るんじゃない? でも、《殴打蔦の葛/Vinelasher Kudzu》は伸び盛りで、まだ失速の気配もない。今より情報が少なくても、多分《殴打蔦の葛》をその辺に置くんじゃないかな。《クウィリーオンのドライアド/Quirion Dryad》も良いような気がするけど、まだよくわからない部分があるね。もうちょっと長い間トップグループにいたら、また評価できるようになるんじゃないかなぁ」

と、リッチー・ホーエンばりに語るのは「歴史と伝統の男」浅原 晃(神奈川)。

浅原の今回のデック構築は、未来予知発売後の選手権予選シーズンにまでさかのぼる。

浅原 「《タルモゴイフ》は強い。でも、緑の低コストであともう一種類強烈なアタッカーが必要なんです」

藤田 憲一(東京)に渡すデックを用意するべく黒緑メガハンデス、いわゆるGoyfRackを調整中だったときの浅原の言葉である。

いまでこそ「《樹上の村/Treetop Village》のおかげでこのデッキは完成形になった」と八十岡 翔太(神奈川)が評価するように、パズルの最後の1ピースを見つけ出し、結果として今大会でもTop8に2名を輩出し、海の向こうのドイツ選手権のTop8デックリストにも名を連ねるようになった。

だが、当時のこのデックは、ダメージのほとんどを《タルモゴイフ》と《拷問台/The Rack》に頼り切っており、「リソースを回復されるまでに殴りきれるだけのパワーが足りなかった」のである。

そこで浅原が目をつけたのが《殴打蔦の葛》だった。

Vinelasher Kudzu

奇しくもちょうど《タルモゴイフ》を活用した白緑スレッショルドが時のらせん限定構築を席巻していたこの時期。浅原は、このクリーチャーを有効活用するべく《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》と《トロウケアの敷石/Flagstones of Trokair》《秋の際/Edge of Autumn》と相性がよいこのクリーチャーを採用して、スレッショルドとGoyfRackのハイブリッドを試みたのである。

浅原 「アラン・カマーへのリスペクトの気持ち? なかったわけないじゃないですか」

歴史と伝統を愛する浅原は、ゼロックスシステム(デック内の土地比率を下げ、代わりに低マナコストのキャントリップを連打して手札の質を上げるシステム。アラン・カマーによって提唱された)を使用しないGrowの構築に夢中になったという。一時は、ワーフォタパばりに複数枚の《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》でバックアップして《黒き剣の継承者コーラシュ/Korlash, Heir to Blackblade》の投入も検討したとかしなかったとか。

-で、《殴打蔦の葛》と《壌土からの生命》の相性から《突撃の地鳴り》へとたどりついたと。

浅原 「シナジーを追求して構築するのがスタイルなんで、結果としてはそうなんですけど、《突撃の地鳴り》《壌土からの生命》のエンジン自体はもともと注目していたんですよね」

-それは、どのような理由でですか?

浅原 「理由?ないですね。おりてきた系です。」

と、またよくわからない発言で煙に巻こうとする浅原だが、たまには食い下がって理由を問いただしてみた。

浅原 「カードパワーが高いのはわかっているんです。でも、(CALがあったから)みんなその存在は知っているのに、実際にデッキを作ってる人がほとんどいなかったじゃないですか。だから、なんとか使ってみようと」

デックビルダーになるための資質は「負けず嫌い」と「天邪鬼」であると常々語っている浅原。負けず嫌いで天邪鬼な浅原としては、なんとかこのエンジンを使いこなしてやろうと考えたのだという。

そして、ちょうど当時調整していた「なんたるGrow」とのシナジーにたどり着き、ハイブリッドしたのだという。

肝心の成績のほうは…

浅原 「…山頂に陣をはってしまった感じです」

どうやら、思わしくはなかったようだ。


Sunday, Sept 2: 11:21 a.m. - Standard Metagame Breakdown

by Naoki Kubouchi
 
Tarmogoyf

今年の日本選手権の決勝ラウンドには、6種類のデッキアーキタイプが存在します。まずは、地区予選からの推移を振り返っていきたいと思います。

第9版環境だった地区予選前半では、長らく環境を支配していた「ウルザトロン」、そして対抗馬に「ソーラーフレア」、昨年の世界選手権を制した「ドラゴンストーム」などが、メタの中心に位置していました。

未来予知発売後には、強力な発掘エンジンを搭載した「ナルコ=ブリッジ」が登場。そして、それらの強力なデッキたちに対抗するべく、発売当初あまりその力が認識されていなかった、環境最強生物と謳われる《タルモゴイフ/Tarmogoyf》を中心としたビートダウンデッキが台頭し始め、メタ環境は混迷を極めてきました。

■グルール・ビート 29人(主な使用者:斎藤 友晴、藤田 剛史、藤田 修、廣澤 遊太

第10版で「赤」が大幅に強化されたこともあり、時のらせんブロック構築でも活躍した《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》《モグの戦争司令官/Mogg War Marshal》を中心とした赤単の流れを汲んだこのデッキが、2007年度日本選手権の最大勢力となりました。

また、同じ流れを汲む、U.S.選手権で大きな勢力だったラクドス・ビートは使用者6人と、日本人との好みの違いが見えてきます。

しかし、この最大勢力だったはずのグルール・ビート、今回の決勝ラウンドには残ることができなかったのは何故でしょう?

Fujita Tsuyoshi

 

■トリコロール 14人(主な使用者:中村 修平、渡辺 雄也、八朔 人平

藤田 剛史が「今のスタンダードは平たすぎる。メタられたら勝てんわ」と、Day2のラウンドの合間にこう語っていたように、下馬評通りのグルール・ビートに続く勢力であったトリコロールもまた、決勝ラウンドに進むことができませんでした。

今回の日本選手権でのトリコロールは、多くの使用者が《神の怒り/Wrath of God》をサイドに移し、《糾弾/Condemn》や《溶鉄の災難/Molten Disaster》といったカードを投入しているのが特徴的です。

オープン予選では11人中4人もの通過者を輩出したこのアーキタイプもメタに飲み込まれた形となったようです。

■ゴイフ=ラック 15人(主な使用者:北山 雅也、中田 直樹、塩津 龍馬、野瀬 恒二

《拷問台/The Rack》《惑乱の死霊/Hypnotic Specter》《Hymn to Tourach》といった強力な手札破壊があった古えの時代のアーキタイプが、再び現在へタイムシフトしてきた形になりました。

強さの質は全く違ったものではありますが、当時のプレイヤーが味わった絶望感は現在のゴイフ=ラックにも確実に受け継がれています。

■発掘 15人(主な使用者:小倉 陵、高橋 純也、中野 圭貴

メタが一周して、再び浮上してきた発掘系デッキ。従来の青を中心としたナルコ=ブリッジだけでなく、発掘好きで知られる高橋 純也が《ゴブリンの知識/Goblin Lore》と《突撃の地鳴り/Seismic Assault》+《壌土からの生命/Life from the Loam》エンジンを組み込んだオリジナルデッキを持ち込んできています。

■ブリンク 14人(主な使用者:小室 修、有田 隆一、片山 英典

日本選手権のスタンダードラウンドを無敗で駆け抜けた小室 修が使用したのがこのデッキ。《一瞬の瞬き/Momentary Blink》は緑青白、青白赤、青白黒と様々な使われ方がされており、今回の日本選手権では緑タイプが10人、赤タイプが4人、黒タイプは0人となっています。

Grim Harvest

■プロジェクトX 14人(主な使用者:長島 誠、三原 槙仁、彌永 淳也、尹 壽漢

第10版に再録された《モグの狂信者/Mogg Fanatic》やメタの移り変わりによって、以前までの《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》+《墓所の勇者/Crypt Champion》による無限コンボを狙いにいくタイプから、《円盤の大魔術師/Magus of the Disk》《オルゾフの司教/Orzhov Pontiff》《オルゾヴァの幽霊議員/Ghost Council of Orzhova》など《召喚の調べ/Chord of Calling》から状況にあったクリーチャーを呼び出す形に変わっているようです。

また今回新たに注目され始めた、《無残な収穫/Grim Harvest》が様々なデッキに投入されており。

■ソーラーフレア 10人(主な使用者:三田村 和弥、秋山 貴志
■青黒コントロール系 10人(主な使用者:高橋 優太、東 太陽

根強い人気を誇るコントロール系デッキ。《否定の契約/Pact of Negation》が入ったことで、比較的大きなアクションを起こすことが可能となっています。今回もそれぞれ、ソーラーフレアから2人、青黒ピクルスから1人が決勝ラウンドへ駒を進めています。

■ストーム 9人(主な使用者:石川 錬、津村 健志、森田 雅彦

昨年度チャンピオンの森 勝洋が今回、日本選手権に出場する仲間のために三日三晩寝ずにオンラインで調製していたという話が噂されるこのデッキ。さすがと言いますか、実際に決勝ラウンドにも勝ち進んでいます。

今回の日本選手権では彼を見ることはできませんが、マジックに対する情熱を受け継いだこのデッキが決勝ラウンドに姿を現すこととなりました。

また、石田 格が持ち込んだ長岡 崇之制作の赤単ストームも大変興味深いので是非とも手に取ってもらいたいデッキの一つです。

Ishida Itaru

 

■セレズニア・ビート系 9人
■ボロス・ビート 5人
■緑単ビート 3人
■黒単ビート 2人

最後に、その他にも注目しておきたいデッキとして、平林 和哉制作の白青黒《砂の殉教者/Martyr of Sands》+《再誕の宣言/Proclamation of Rebirth》ライフゲインエンジンを搭載したコントロールデッキを紹介しておきます。

Hirabayashi Kazuya