コストの分割

Posted in Latest Developments on May 20, 2013

By Sam Stoddard

Sam Stoddard came to Wizards of the Coast as an intern in May 2012. He is currently a game designer working on final design and development for Magic: The Gathering.

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 マナ・コストはマジックの興味深く絶妙な部分であり、私が思うにデザインとデベロップの両方にとって最も難しい部分の1つです。問題は素晴らしい変更が1マナにきっちり見合うところになく、また1マナ分の調整をしてしまうとそれは使い物にならなかったりします。1/1にちょっとした有利な能力がついたクリーチャーを作るとそのマナ・コストは普通です。カードを1枚引くカードはです。2点のダメージを与えるカードは普通はです。対戦相手に1枚手札を捨てさせるカードは普通です。もし我々が1マナだけのゲームをするなら物事は簡単でしょうが、カードをより大きくし始めたとき、マナ・コストはより複雑になる傾向にあります。


 コストと効果を強化することは単純な追加ではありません。もしそうならば、火力呪文はあっという間に手がつけられなくなるでしょう。で4点ダメージ? そのカードは強すぎるでしょうね。通常、3点目のダメージはコストを1マナ増加させます。4点目のためには何が必要でしょうか? それまでと違い、3マナに加えて欠点があるか対象に制限があるかのどちらかになります。そして5点の場合は? さらに険しくなります。毎回あなたが手札からカードをプレイするたび、効果のコストを計算するときそのカードもリソースとして考えられます。ですから、「カードを1枚引く」のコストはなのに、「カードを2枚引く」のコストは普通になるのです。さらに、カード3枚を引く時には、普通少なくとも4、大抵は5マナ払うことになるでしょう。その一方で、クリーチャーのパワーとタフネスは上手く拡大されます。2/2プラス能力があるクリーチャーが2マナで、3/3は3マナ、そして4/4は4マナというのも珍しくなく、そして時々それよりも優秀なものも得られるでしょう。シンプルな効果がついたカードの拡大縮小は容易ですが、《死儀礼のシャーマン》、《復活の声》やプレインズウォーカーのような複雑なカードの場合はもっと難しくなります。

 初期のマジックではこれが必ずしも真実だったわけではありませんが、今ではスタンダードで「もう1マナ多くてもメインデッキに入る」というようなカードが発見されることが珍しくなったぐらいには我々は適切にコストを設定するのが上手くなりました。《聖トラフトの霊》、《瞬唱の魔道士》、《スラーグ牙》、《スフィンクスの啓示》のようなトーナメントのトップ・カードは1マナ重くなるとかなり見劣りするでしょう…可能性の範囲を出る話ではありませんが、支配する力はそれらにないでしょう。もしスタンダードで優秀なカードだけを選び、そして他の全てのカードに1マナを加えるとするなら話は簡単でしょうが、それは我々の目標ではありません。

瞬唱の魔道士スフィンクスの啓示

 私が以前の記事で言及したとおり、スタンダードでバランスの取れたカードを作るという我々の目標は、つまり多くの事柄を行うのに十分な大きさの環境を作ることであり、またメタゲームを進化させ続けるのに十分な可能性を持たせることです。デベロップにおける課題は、適正なマナ・コストを決めた後でカードパワーに満足する場所を得るためにカードを変更できる何かを見付けることです。この部分の過程には楽しく興味深いカードを作る余地が多くあります。カードを強化する新しいテキストが追加のマナを正当化する場合、この時期にもコストはまだ変更される可能性があります。

 コストの問題の別の部分、そして我々が拡張する余地を多く持っている部分は汎用性です。プレイヤーはいつも汎用性のためにコストを払います。マジックには長年、生のパワーであふれているが用途の狭いカードと、対して少し強さに欠けますますが使い方に幅のあるカードとの間の対立が存在します。一般的に、カードがインスタントとして使える場合、ソーサリーである場合よりも少し重いか、少し弱くなります。火力呪文は対象がクリーチャーかプレイヤーの片方しか取れない場合は両方取れるものよりもコスト比が良くなります。X呪文はほぼ必ずマナ・カーブ上のどこで唱えても「損な取引」ですが、他の呪文にはないダメージ、ドロー、もしくはライフ獲得での無限の選択肢をもたらすのでその損を補なって余りある利点があります。今はデッキをカードパワーで満たすのが適切な時か、もしくは汎用性の時かを決定して、そして適切な中間の構成を決定することは、マジックのデッキ構築で最も人を惹きつける部分の1つであり、フォーマットを進化させ続けるものです。

中略オレリアの憤怒

 マジックの興味深い部分の1つはそのリソースのシステムが完全に離散的であることです。そしてそれは制限が創造性を育てるという自明の理へと導きます。常識の変化したバージョンのマジックは、小数点以下のリソースを貯めて3.1/3.6のクリーチャーを作ったり、もしくは小数点のダメージを与えることができるかもしれませんが、Unhinged以外では2マナと3マナの間でふらついているカードがある場合、それらのカードをどちらに寄せるか決めるのがデベロップの仕事です。そのうちいくつかはコストをからの間で動かすことで作り出され、時には金色にする選択肢で唱えづらくしてカードパワーを補う改善案を見つけ出します。しかしながら結局は、デベロップの仕事の多くはデザインを通して作られたカードを仕上げることと、それらのコストと効果が整数により良く適合するような調整が必要な場合にあれこれ考えることです。パワーとタフネスには無数の選択肢がありますが、それは別の記事で話すことになるでしょう。

 話の筋から外れますが、私は分割カードについてと、この問題と関係するものについて話したいと思います。分割カードがデベロップされていた当初はそのルールを考慮に入れて、他の方法であなたが普通に支払うよりも0.5マナ分性能が低い傾向にありました。古い分割カードの《暴行+殴打》を見てみると、《殴打》はあなたが3/3トークンに一般的に支払うよりも1マナ重く、そして《暴行》はソーサリー速度の《ショック》で、当時の他の選択肢よりも一般的に劣っていました。しかしながらあなたが赤緑デッキをプレイしているなら、《暴行+殴打》のもたらす汎用性はあなたがこれをデッキに入れるのにより満足のいくものになるでしょう。最初の分割カード群の中でも《火+氷》ほど突出したものは他にはなく、分割のどちらもが十分にトーナメント級とは言えないこれがとても多くのトーナメントで見られたのはその素晴らしい汎用性によるもので、時には2ターン目に対戦相手の動きを止めたり攻撃クリーチャーを遅らせたりしながらカードを引き、時にはクリーチャーを殺します。


 融合は分割カードと我々がそれを作り出す方法に新たな興味深いねじれを与えました。カード名は昔も関連のある名前をつけていましたが、効果はそうではありませんでした。どちらか片方しか唱えないので、《罪+罰》の間にはどんな種類の興味深い相互作用も必要ありませんでした。融合を得て新しい何かを与えられて「ドラゴンの迷路」に帰ってきた分割カードでは、カードの半分同士の間の相互作用はデザインにとって重要なことでした。それぞれの半分は単体で成立している必要がありましたが、融合で唱えられた場合はそれ自身で2枚コンボを作り出す必要がありました。これは簡単な仕事ではありませんでしたが、楽しく興味深いカードを見つけるためのすべての仕事は、その努力に見合ったものであると私は信じています。

 融合で唱えられたときにより強力になるようにデザインされたので、これらのカードをデベロップするときには3つのモードが適切なコストであるようにするための多くの作業をしなければなりませんでした。実際に、先に述べたとおりに汎用性を考慮したコスト付けが、特性の付加と同じようにカードに組み込まれました。《遠隔+不在》の各半分はあなたがバウンスや生け贄に捧げさせる効果に求めるコストよりも重くなっていますが、合計は2マナ重いものではなく、ほぼ1マナ重いだけです。融合のコストには実際に我々がその効果に払うよりも恐らくちょっと安いものもいくつかあったので、従って「振り出しにもどる」時もいくつかありました。正しいコストを見つけることだけでなく、融合で唱えた場合の挙動が適切かつ面白く興味深いものであることも重要でした。

 こんな分割カードをを作ったところを想像してみて下さい。

〈Draw+Burn/引く+焼く〉
/
ソーサリー/ソーサリー
カードを1枚引く。/クリーチャー1体を対象とし、2点のダメージを与える。

 このカードは実につまらないものです。何か理由か、よいシナジーがない限り、でカードを引く効果を我々は作らないので(例えば《思考掃き》や《霧中の到達》)、従ってこのカードは存在しなかったでしょう。逆の半分は旧バージョンの分割カードなら存在できたでしょうが、融合で唱えることによって急に、現在我々が一般に印刷するものよりも強くなります。このカードを融合カードとして機能させるには、我々は多分コストを/ぐらいにしなければならないでしょう。そんな調整をしたところで、我々が融合のために見ていた基準に全く適合していませんでした。

 《変化+点火》はとても難しい方向へ向かい、そしてそれぞれの半分が簡単なカードであろうとする代わりに、2つの効果が組み合わさって1つの強力な効果になり、そして時にはカード2枚分の価値があることを見つけました。戦闘フェイズにあなたは対戦相手の《炎樹族の使者》を《点火》して《スラーグ牙》を効果的にブロックするために《変化》させることができますが、その価値のためにあなたはいろいろせねばならず、そしてそれは融合がどのように働くかが全てです。強いカードを使うことは楽しいものですが、それを得るためにいくつかの輪に飛び込む必要がある場合、それは単に与えられる場合よりもより楽しくなります。できれば、あなたが《変化+点火》を大きなクリーチャーを除去するために対象1つに融合で唱えたときに、もったいないと思って欲しくはありません。あなたはただ与えられた価値を得て、正しい方法でそれを使っただけなのですから。


 私は、我々が考え出した融合カードの選択が、それらを作り始めたときから持っていた目標を達成することを望んでいます――マジックをより興味深いゲームにするための、楽しく、用途の広いカードになることを。私は自分でプレイしてきた中で、《変化+点火》で2対1をとる企みがとても楽しいこと、そして《遠隔+不在》で自分のクリーチャーをバウンスするのもとても楽しいことを知っていますが、一方で《摩耗》を単独で使うときよりも、対戦相手がエンチャントを唱えて《損耗》が唱えられるまで我慢するときを評価します。私はこれらのカードの使いどころの判断がマジックを興味深いものにし続けると信じており、将来もっとそうしたものを提供したいと思っています。


(Tr.Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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