ボロス軍がもたらす大攻勢

更新日 Feature on 2005年 9月 7日

By Zvi Mowshowitz

Translated by Yoshiya Shindo

 今回のラヴニカのプレビューカードに行く前に、ちょっとだけ。このコラムは、これまでのところ興味深い状況に対してQ&A形式で分析を行う形式を取っているけど、このコラムがやろうとしてることはそれで全部ってわけじゃない。このコラム「The Play's the Thing」(“そのプレイングがポイント”)は、全体を覆う大きな傘みたいのもので、その手の内容が君たちが求めているメインディッシュなんだろうけど、たまにはよりプレイングがうまくなるために別なルートをとってみることもある。JMSの「Building on a Budget」(“お手軽デッキ構築”)における“間奏”コラムと同じ感覚だね。スコットは僕に対して時に他の話題のコラムを書くよう言ってくる。例えば、ラヴニカのプレビューの記事なんかだ。

基本でない土地の役割

 基本でない土地の仕事は、君に選択肢を与えることだ。基本土地もその仕事をしてるのは確かだが、その仕事は一つだけに過ぎない。基本でない土地の仕事として一番重要なのは、様々なタイプの二重地形になる。なんらかの代償を払うことで、それは君に2色以上のマナの選択肢を与えてくれるわけだ。そうすることで、2色以上をデッキに入れつつ、デッキのマナ基盤を安定させることができる。これはラヴニカブロックの様々な多色カードによるアドバンテージを得ようと思ったら、非常に重要なことだ。ラヴニカには歴代でも最強の二重地形が入っている。多色のプレイングはラヴニカのなんたるかであり、君もそのための各種の強力なツールを手に入れられるだろう。例え第9版のカードを使わないとしても、数ヶ月前のスタンダードで2色デッキを組むより、新しい環境で3色デッキを組む方がマナ基盤は楽とすら言える。そこに第9版が加わると、可能性は無限大だ。

 マジックにおけるほとんどの事実と同様に、必要とされる以上の色を使いたくなることは無いだろう。色はたくさん要るかもしれないけど、色を生み出すことがそれだけ楽になれば、多色デッキに無色土地が入る余地が再び出てくることになる。二重地形が1枚増えれば、色マナ源が一つ増える。基本土地を二重土地に代えるための代償が十分低ければ、2枚の基本土地を1枚の二重地形と1枚の無色地形に変えて、そこから得られるアドバンテージを求める意義は十分にあるだろう。マナ事故を回避するためにはある程度の土地の枚数は必要だけど、余った分の色マナを使ってゲームにインパクトを与える選択肢は、逆事故に対しての防御ともなりえる。

 事実、能力の起動のコストが重くて効果も強力という土地があれば、それはマナのバランスを取るのに完璧な方法になる。マナが足りなければマナを出してくれるし、マナが多すぎれば、その強力な効果を少しの手間で得ることができるだろう。投資はほんのちょっとで、報酬は非常に大きい。今回お見せするのは、ラヴニカの新たな化け物たちを使おうとしている、クリーチャーデッキ専用に仕立てられた土地カードだ。

 赤と白を組み合わせれば、貧相なゴブリンすら強力な軍団兵になる。は強力だけど、《軍の要塞、サンホーム/ Sunhome, Fortress of the Legion》はそれをさらに強力にする。二段攻撃は、ゲームにおける平均レベルのあらゆる特殊能力を大幅に危険なものにしてしまう。普通に使っても、二段攻撃があればクリーチャーのパワーは実質二倍になるけど、そのクリーチャーが持つあらゆる強さも二倍になるんだ。装備品も二倍になるし、オーラも二倍になるし、《木霊の力/Kodama's Might》といったインスタントも二倍になるし、《栄光の頌歌/Glorious Anthem》といった全体効果も二倍になる。危険に対する防御でも、二段攻撃があれば突進は高くつくことになる。ラヴニカ以前では、《空狩人の散兵/Skyhunter Skirmisher》はコストとあいまって、頭一つ出た最強の二段攻撃クリーチャーだ(《ドラゴンの暴君/Dragon Tyrant》も面白い使い方をされているけど、それを払って出してる人はいない)。例えば、《空狩人の散兵/Skyhunter Skirmisher》を二段攻撃以外は同じカードと比べてみよう。

Suntail Hawk
Skyhunter Skirmisher

 二段攻撃のために払わなくちゃいけないコストは追加ので、このパターンは二段攻撃を与える他のカードにも引き継がれている。《軍の要塞、サンホーム/ Sunhome, Fortress of the Legion》と比べるのに最も近いカード、《炎叫びの杖/Fireshrieker》や《ゴブリンの穴ぐら/Goblin Burrows》と比較してみよう。

Fireshrieker
Goblin Burrows

 《ゴブリンの穴ぐら/Goblin Burrows》は、普通なら赤単デッキに入るから出すのも簡単で起動も楽だが、そこから得られるパワーもその程度だ。《炎叫びの杖/Fireshrieker》は《ヴァルショクの鉄球/Vulshok Morningstar》よりも重いこともあり、実質的な意義は+2/+2から+3/+3といったところか。これは確かに強い効果だけど、二段攻撃はもっと大きな連中と一緒に使うことですさまじいものになる。二段攻撃は君をダメージ呪文から守ってはくれないが、相手を素早くゲームからたたき出す能力は確実に持っている。例えば《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》を例に取ってみよう、こいつに《軍の要塞、サンホーム/ Sunhome, Fortress of the Legion》による二段攻撃がついたら、相手に20点ダメージを与えるのに何の面倒も無くなる。こいつに《龍の牙、辰正/Tatsumasa, the Dragon's Fang》が装備されていたら、ブロッカーを投げ打っても16点ダメージが飛んでくるんだ。

 

 

Umezawa's Jitte
 赤白という色の組み合わせは、君に軽くて強力なクリーチャーをもたらしてくれる。これまでは白だけだったが、新たなクリーチャーは両方の色だ。この手のカードの入るデッキは自然と装備品を使う方向になる。特に《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》が欲しいだろう。カウンターが2個しかなくても、《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》は貧相な《陽光尾の鷹/Suntail Hawk》を5/5に変え、さらに《軍の要塞、サンホーム/ Sunhome, Fortress of the Legion》がそれを実質10/5に強化すると、相手のライフは何も無いところから半分まで落ちてしまう。《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》のカウンターを後に取っておけば、4個以上を一回の《軍の要塞、サンホーム/ Sunhome, Fortress of the Legion》の起動で倍にできる計算だ。

 このカードが《尖塔の源獣/Genju of the Spires》と一緒に出て、両方が起動できるマナが揃ったしよう。プレイヤーに通すと、こいつは12点ダメージだ。ブロックすると、先制攻撃が6点与えられて、さらに通常の6点ダメージが入る……しかも、どうにかして《尖塔の源獣/Genju of the Spires》を殺しても、そいつは他の山にくっついて帰ってくるんだ。除去が無ければ、枚ターン捨てブロックを投げ出す以外に選択肢は無いだろう。確かに起動には実質8マナが必要だけど、それはほとんど余計なコストを必要とせずに、恐るべき終盤戦を進めることができるんだ。《尖塔の源獣/Genju of the Spires》は山が十分入っているデッキにとっては素晴らしい攻撃カードで、《軍の要塞、サンホーム/ Sunhome, Fortress of the Legion》は他にも数多くの使い方がある。つまり、対戦相手はカチカチ鳴る時限爆弾の恐怖に怯えながらゲーム全体を乗り切らなくちゃいけないってことだ。

 インスタントを使うことも可能だろう。赤や白にもパワーを強化する呪文はあるけど、新しい土地を足して緑入りの3色デッキにする手もある。エクステンデッドだと、《ゴブリンのそり乗り/Goblin Sledder》といったカードでクリーチャー1体を大きくしてとどめにすることもできる。《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》があれば、こいつはもっと自然になるだろう。この能力や、さらにサイドボードの白のカードまで考えると、ダメージランドや白マナ源を入れて、《軍の要塞、サンホーム/ Sunhome, Fortress of the Legion》を投入するのはありえる考えになる。《Plateau》が入るとこれはレガシーになるけど、そこじゃデッキの色選択が実質自由になっているからね。

 まあ、ここまでのやり方で《軍の要塞、サンホーム/ Sunhome, Fortress of the Legion》を使わないにしても、《軍の要塞、サンホーム/ Sunhome, Fortress of the Legion》自身がゲームにおける脅威なのは間違いない。君が相手に突っ込んでいくとき、彼は君が《軍の要塞、サンホーム/ Sunhome, Fortress of the Legion》をどれに使ってくるかを考えなくちゃいけない。《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》あたりのちっぽけなクリーチャーだってブロックが面倒になるだろう。相手がタフネスが2以下のクリーチャーでブロックしてきたら、君はそれを相打ちにするか、代わりにマナで処理するかを選ぶことができる。もっと大きいのでブロックしてきたら、君の1マナクリーチャーと相手の3マナなり4マナなりのクリーチャーを相打ちさせることが可能だ。で、戦闘が終わったら、にっこりしながら呪文を唱えて、次の相手のブロックの選択肢をまた厄介なことにしてやる……そして、時間が経てば経つほどクリーチャーは大きくなるしマナも増えるから、《軍の要塞、サンホーム/ Sunhome, Fortress of the Legion》はより厄介な問題になるんだ。相手がゲームを長引かせた責任は、たった1枚の土地が負わせてくれる。

 白赤のほかのカードがどんなものかはまだ明かされていないけど、《軍の要塞、サンホーム/ Sunhome, Fortress of the Legion》は明らかにギルドにとって素晴らしい一枚だ。ギルドのほかのカードを見せびらかすわけには行かないけど、それもなかなかだよ。《軍の要塞、サンホーム/ Sunhome, Fortress of the Legion》は、少ない代償でデッキが歴史的に抱えていた様々な問題を解決してくれる。それは爆発的な破壊力を持ち、序盤に使えないカードを用いずに、長期戦を支えてくれる。すでに長期戦を狙っているデッキであれば、《軍の要塞、サンホーム/ Sunhome, Fortress of the Legion》があることでとどめのターンは少なくとも1ターン早まるだろう。二段攻撃は簡単に手に入るものじゃないけど、そのコスト以上の価値はある。それは小さな雑兵を恐るべき戦士に変え、恐るべき戦士を物語の主役にするんだ。

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