謀叛はすぐそこに

更新日 Feature on 2005年 1月 15日

By John Carter

Translated by Kaoru Yonemura

 神河謀叛のプレビューが始まり、前々から予告していた通り、土曜学校でも謀叛のプレビュー・カードを取り扱います。このカードはあまりに大きいので、詰め込むのにくつべらが必要なほどでした。先に勉強を済ませてしまって、お楽しみはその後に取っておきましょう。

謀叛の前

 

Soilshaper
:私が、《遥か忘れられし御幣/Long-Forgotten Gohei》と《泥穿ち/Soilshaper》、《南の樹の木霊/Kodama of the South Tree》を場に出しています。ここで、もし《忌まわしい笑い》をプレイしたら《泥穿ち》は生き残りますか? つまり、《南の樹の木霊》による強化と《忌まわしい笑い》の解決はどちらが先になるんですか?

:《南の樹の木霊》と《泥穿ち》の能力はいずれも秘儀呪文によって誘発します。従って、それらはスタックにある《忌まわしい笑い》の上に積まれ、先に解決されることになります。《南の樹の木霊》の能力で《泥穿ち》を強化した場合、《泥穿ち》は(《南の樹の木霊》と《遥か忘れられし御幣》のおかげで)生き残ることになります。

:対戦相手の、能力のない大型クリーチャーを小型クリーチャーたくさんと《新参の武士/Bushi Tenderfoot》でブロックしたとします。戦闘ダメージがスタックにのった後、相手は《蝋燭の輝き/Candles' Glow》をプレイしてきてそのダメージを軽減しようとしました。《新参の武士》をなんとかして生き残らせられたとしたら、反転させて《冷酷なる者、謙造/Kenzo the Hardhearted》にすることはできますか?

:《蝋燭の輝き》で軽減する3点をどれにするかは、その《蝋燭の輝き》の影響を受けるクリーチャーのコントローラーが決めます。ですから、通常、《新参の武士》は反転できないでしょう[CR 419.7b]。もちろん、その大型クリーチャーが墓地に行かなければ、誰がダメージを与えたかは関係ありません。

:《新参の武士》2体でブロックした場合、それ以外にも大量のクリーチャーがいて充分なダメージを与えていたとしたら、対戦相手はその2体以外のダメージを軽減し、《新参の武士》2体ともがダメージを与えることにするかもしれません。そうした場合、その大型クリーチャーが死んだとしたら、《新参の武士》は両方とも反転し、2体目が反転して《冷酷なる者、謙造》になったところで状況起因効果によってまとめて除去されることになるでしょう。謙造よりも冷酷ですね。

:例えば《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》のような制限カードを《編直し/Reweave》したとき、他の伝説の土地を場に出せなかったら、ライブラリーは空になりますか? それとも、それでも最後にライブラリーをシャッフルすることはできるんでしょうか?

:《編直し》でライブラリーが空になることはありません。かならずシャッフルが行なわれます。《編直し》の処理を順を追っていくと、まず「生け贄に捧げたパーマネントと同じカード・タイプを共有するカード」−《トレイリアのアカデミー》のタイプは1つだけで「土地」です。「伝説の」は特殊タイプです。従って、《編直し》で伝説の土地を生け贄に捧げた場合、土地が生け贄に捧げられたということになり、土地が公開されるまでカードを公開していくことになります。その後、ライブラリーを全てまとめてシャッフルします。
《囁きの大霊堂/Vault of Whispers》のようなアーティファクト・土地を《編直し》で生け贄に捧げた場合、アーティファクトか土地か、あるいはアーティファクト・土地であるカードが公開されるまでライブラリーのカードを公開します。全てのタイプが一致する必要はなく、1つが一致すればそこで終わります。

:《金之尾師範/Sensei Golden-Tail》の訓練カウンターを使うと、もともと武士道1を持っていたクリーチャーは武士道2を持つことになるんですか?
 そうでなければ、武士道2を持っている侍に《金之尾師範》の能力を使うことで、その侍の武士道能力を1にしてしまうことができるということでしょうか?

:《金之尾師範》の能力は、カウンターとは関係なく、武士道能力を与えます。そして、武士道能力が複数ある場合、それらは累積します(言い換えると、複数の誘発型能力として処理されます)。
 訓練カウンターはよく誤解を招きますが、そのカウンター自体には何の意味もなく、単にどのクリーチャーが《金之尾師範》の訓練を受けたかということを示しているだけに過ぎません。《金之尾師範》が訓練を施すと、クリーチャーは武士道1を得て、侍になります。既に武士道を持つクリーチャーを訓練した場合、武士道を複数個持つクリーチャーになります。ですから、武士道2を持ったクリーチャーは、武士道2と武士道1を持ったクリーチャーになることになります。これによって誘発型能力が2つ誘発し、結果としては+3/+3の修整を得ることになります。

:《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》を《魂の鋳造所/Soul Foundry》に刻印し、そのコピーを2つ作りました。その場合にもレジェンド・ルールが適用されてコピーが墓地に置かれ、対戦相手のクリーチャーを2体奪うことができるのでしょうか?

:はい。トークンであっても、伝説のクリーチャーはカードであるクリーチャーと同じようにレジェンド・ルールに従います。

もうすぐ謀叛

:《最下層民/Pariah》がついた《ジャッカルの仔/Jackal Pup》と《蜘蛛糸の鎧/Spidersilk Armor》、それに《通過の儀式/Rite of Passage》を出している時に、《ジャッカルの仔》が1点のダメージを受けた場合、+1/+1 カウンターを載せるという無限ループになりますか?

:近いことは起こります。《ジャッカルの仔》がダメージを受けた時点で、2つの誘発型能力が誘発します。1つめはあなたにダメージを与えるもの(ただしこのダメージは《最下層民》で《ジャッカルの仔》に移し変えられます)で、もう1つは《通過の儀式》の、+1/+1 カウンターを《ジャッカルの仔》に載せる能力です。ダメージよりも後で《通過の儀式》の能力をスタックに載せることを何度も何度も繰り返す(マジックには「無限」は存在しません)ことができますが、その宣言した回数が終わったら、今度はそれと違う行動を取らなければならず、他の行動として許されるのは「ダメージを後でスタックに積む」ことだけです。すなわち、タフネスが1,000,000で999,999点のダメージを受けている《ジャッカルの仔》が、さらに1点のダメージを受けて致死ダメージを受けたことになり、破壊されます[CR 420]。スタックに残された《通過の儀式》は失敗します。
 他の方法で《ジャッカルの仔》のタフネスをあと1点上げてあれば、終わらないループとなります[CR 421.4]。

 

Dark Triumph
:《暗黒の凱歌/Dark Triumph》をプレイして、その後で直前にプレイしたクリーチャー(例えば《眠れぬ死者/Restless Dead》とか《蠢く骸骨/Drudge Skeletons》とか)を再生することで生け贄に捧げる代わりにすることはできますか?

:できません。生け贄に捧げることを再生で止めることはできません。再生で防げるのは、破壊と書かれているものと致死ダメージによるものだけです。生け贄に捧げることはそれらよりも致命的なのです。

:《寒け/Chill》を出しているときに、相手が《狂暴ウォンバット/Rabid Wombat》のプレイを宣言してきました。その宣言に対応して、マナ・コストを支払うよりも早く、《臨機応変/Sleight of Mind》を使って《寒け》を書き換え、緑の呪文のコストを上げるようにすることはできますか? 409.1の各段階は一気に起こるのか、それともその間に対応することができるのか、どちらでしょうか?

:409.1の内容は、順番に起こりますが、その途中で割り込むことはできません。409.1の間、呪文や能力をプレイするための優先権は、いずれのプレイヤーにもありません(409.1hで、呪文や能力をプレイするプレイヤーはマナ能力を使うことができますが、これは例外です)。呪文や能力の宣言の途中で対応するということは一切できません。対応できるのは、宣言が終わった後ということになります。

:ルール205.4bに「「(基本地形)/basic」という特殊タイプを持った土地は基本地形である。この特殊タイプを持たない土地は基本地形でない土地である。」と書かれていますが、そうしたら、デュアル・ランドは《発展の代価/Price of Progress》などで見る場合には基本地形ではないとして扱われるのでしょうか?

:アルファ版からリバイスドまでの間に存在した、デュアル・ランドと呼ばれている土地は基本地形タイプを持っていますが、「(基本地形)」という特殊タイプを持ってはいません。ですから、それらは基本地形ではありません。《発展の代価》は《バイユー/Bayou》や《火山島/Volcanic Island》などを数えることになります。

:《Aysen Crusader》を使ったデッキを組もうと思っていますが、彼女の能力が及ぶのはどのカードだかわかりません。《Soraya the Falconer》は全ての「ファルコン/Falcon」に影響を及ぼすと書かれていましたが、クリーチャー・タイプがファルコンのカードはもう一枚もありません。《Aysen Crusader》の効果は《剛胆な勇士/Intrepid Hero》や《生まれ変わった勇士/Reborn Hero》に影響を及ぼすのか、それとも《Kjeldoran Warrior》のようにクリーチャー・タイプが「勇士/Hero」のカードにだけ影響を及ぼすのか、どちらか教えてください。

:《Aysen Crusader》は、クリーチャー・タイプが勇士のカードにだけ影響を及ぼします。勇士であるカードは4枚しか存在しません(《分数ジャクソン/Fraction Jackson》だけに3と1/2枚というべきかもしれませんが、まあ、それは置いておきましょう)
 一方、《Soraya the Falconer》は第6版の時に非常に強化されました。鳥類のクリーチャー・タイプは全て「鳥/Bird」に統合され、それに伴って《Soraya the Falconer》が影響を及ぼすクリーチャー・タイプはファルコンではなく鳥になったのです。「Soraya the Birder」という名前ではないのですが、それはともかく、翼と鋭い嘴のある94種類もの仲間たちが彼女を助けてくれるようになりました。

分数問題

 

Fat Ass
:相手が《デブの驢馬尻/Fat Ass》を使ってきたので、《精神隷属器/Mindslaver》を生け贄に捧げて相手の次のターンを奪おうとしました。この場合、彼の次のターンを奪って、飯を食わせずに飢え死にさせることはできますか?

:いいえ。《精神隷属器》を使っても、飢え死にさせることはできません。

:多人数で遊んでいる時に、《小包爆弾/Letter Bomb》を使ったあとで死んだらどうなりますか? 私の家でやっていて、私はどこにも行くつもりはありません。つまり、その場合、既に負けている私が誰かを殺せるチャンスだと思うんですが、その辺はどうでしょうか?

:多人数プレイのルール(まもなく公開!)で定められているのですが、そうはなりません。もちろん、あなたがあなたの家でやっていて、あなたとあなたの友達が認めたなら、銀枠世界で楽しむのは自由です。

:《市場調査部によればプレイヤーは本当に長い名前が好きなのでこのカードを間違いなく歴代最長の名前にしてみた精霊/Our Market Research Shows That Players Like Really Long Card Names So We Made this Card to Have the Absolute Longest Card Name Ever Elemental》と《言葉帷子/Wordmail》を組み合わせると、{1}{G}{G}{W}で27/27クリーチャーができちゃうんですけど……。

:はい、できます。

:《モックス・ロータス/Mox Lotus》と《グリーマックス/Gleemax》が出ている時に、《ブースターの教示者/Booster Tutor》をプレイして、呪文の対象を「封をされたままのマジックのブースターパック」から私のカードファイルにして、《キヅタの精霊/Ivy Elemental》のようなクリーチャーを出してパワーやタフネスを無限大にすることはできますか?

:《ブースターの教示者》は対象を取っていないので、不可能です。もし「ブースター・パック1つを対象とする」と書いてあったとしても、《グリーマックス》でできるのは対象の選択をすることだけであり、カードファイルはブースターではありません。オデッセイのブースターを開けて、出ることを祈ることはできます。

:なお、《キヅタの精霊》を狙うより、テンペストで《クラキリン/Krakilin》を狙うほうがいいでしょう。そうすれば《とどろく雷鳴/Rolling Thunder》を引く可能性もありますし。それに、テンペストには《モックス・ロータス》や《ブースターの教示者》と相性のいい、アレがありますよ……そう、バイバックが。

:《頭と頭/Head to Head》で、対戦相手が「はい」か「いいえ」(もちろん「ああ」とか「うん」とかは認められませんよね)で回答することを求められた時、《聖なる言葉の守り手/Keeper of the Sacred Word》と組み合わせると面白いことになると思うんですが、どうなんでしょうか?

:そうはいきません。回答が誠実であれば、「はい」「いいえ」でなくても構いません。例えば、《ゴブリン・パントマイム役者/Goblin Mime》が場にあるときには、親指を立てたり下にむけたりするだけでも充分です。

トーナメントにて

:この間トーナメントで、金枠の世界選手権カードを使うことができると聞きました。もしそれが本当なら、実際のカードが傷つくのを防ぐために金枠のカードを使うことができるんですよね。それとも、聞いた話が間違いだったんでしょうか?

:世界選手権デッキはDCI認定のトーナメントでは使用できません[DCIマジック・フロアルール 102節]。どのようなスリーブを使っているか、あるいはあなたがそのカードの現物を持っているかどうかに関らず、使用することはできません。

:この間、Donato Giancola(ドナート・ジャンコラ)のサイン入りの《破壊的脈動/Shattering Pulse》を買ったんですが、これを認定トーナメントで使うことはできますか?

:もちろん使えます。カードが何であるか識別できるかぎり、芸術上の編集やアーティストのサインは問題ありません[DCI汎用トーナメント・ルール 28節]。プロツアーやグランプリでは、マジック世界のイメージを作り上げてきたアーティストを迎えて、ファンとの交流も行なわれています。

:1996年の著作権表記がある、白枠のカードが手元にあるのですが、これが何なのかわかりません。どうすれば調べることができるのでしょうか? 年が1995年なら第4版、1997年なら第5版なのですが、その間に発行されたということになりますよね?

:通常、この類の質問にはお答えしないのですが、マジックの歴史の中から「1996年の白枠カード」というのが少なくとも1種類、もしかしたら2種類ある(ウィザーズのオフィスにおいても、10年近く前の商品に関する調査は難しいのです)ということを忘れ去らせたくはないのでお答えします。まず1つめの可能性は、1996年に発売された「Rivals Quick Start Set」です。このセットのカードや、そのスキャンしたデータを見つけることはできませんでした。一方、スキャンしたデータがあったものとして、ヨーロッパやアジア圏で発売した2人用の導入セットがありました。このいずれかでしょう。

いよいよ謀叛

 

Fumiko the Lowblood
:《卑血の芙巳子/Fumiko the Lowblood》だけで攻撃した後、ブロックされて武士道で +1/+1 されて、4/3 になりますよね。その後、もう1回攻撃してブロックされたら、2回ブロックされたので +2/+2 されて 6/5 になるんでしょうか?

:いいえ。《卑血の芙巳子》はそれぞれの戦闘で +1/+1 の修整を受け、合計で +2/+2 になります。それぞれの戦闘ごとに武士道1を持っていることになります。2回目の戦闘でも武士道1を持ち、適用された修整はそのまま加算されますが、武士道の値はその攻撃に参加したクリーチャーの数によって変動するだけです。

:《侍の御大将、武野/Takeno, Samurai General》には「あなたがコントロールする他の侍は、それぞれの武士道の点数1点につき+1/+1の修整を受ける。」という能力があります。
 《卑血の芙巳子》と《侍の御大将、武野》をコントロールしていた場合、最初は《卑血の芙巳子》は 3/2 のまま(武士道0)です。この2体で攻撃した場合、《卑血の芙巳子》は武士道2を持つことになり、《侍の御大将、武野》の能力で《卑血の芙巳子》は 5/4 になります。《卑血の芙巳子》がブロックされた場合、(両方とも生きているとすると)彼女の武士道によって彼女はさらに +2/+2 され、結果として 7/6 になります。戦闘が終わると、彼女の武士道は0になり、彼女は 5/4(3/2+《侍の御大将、武野》の修整 +0/+0 + 武士道の解決による +2/+2)になります。その後、2回目の戦闘に《卑血の芙巳子》だけで参加した場合、彼女は武士道3ではなく武士道1を持つことになります。ブロックされた場合、武士道によってさらに +1/+1 を得る(合計すると、武士道から +3/+3 を得ている)ことになります。その戦闘の間、彼女は《侍の御大将、武野》の能力もあって、7/6 ということになります。戦闘終了後、クリンナップ・ステップまでの間、彼女は再び武士道0となり、6/5 になります。

:「ブロックされていない攻撃クリーチャー」というのは、いつからいつまでのことを言うんでしょうか? ブロック・クリーチャー宣言ステップの間に決定するのか、それともブロック・クリーチャー宣言ステップが終わった後で決定するんでしょうか? クリーチャーが戦闘ダメージを与えたら終わりですか、それとも戦闘フェイズの最後までそうなんでしょうか? 忍術能力を考えると、先制攻撃のダメージを与えた後で「ブロックされていない攻撃クリーチャー」を手札に戻すことはできますか? もしできるとしたらその後で忍者は通常の戦闘ダメージを与えることができるんでしょうか?

:ブロック・クリーチャーが宣言された瞬間から、戦闘フェイズが終わるまで(あるいは何らかの方法で戦闘から取り除かれるまで)の間、クリーチャーは「ブロックされていない」といいます。ステップで言えば、ブロック・クリーチャー宣言ステップ、戦闘ダメージ・ステップ、戦闘終了ステップということになります。
 先制攻撃のクリーチャーを先制攻撃の戦闘ダメージがスタックにある間に手札に戻したとしても、戦闘ダメージは割り振られたまま与えられます。そして、その後で、忍者は通常通り、通常の戦闘ダメージ・ステップの間に戦闘ダメージを与えることになります。

:つまり、《静風の日暮/Higure, the Still Wind》に先制攻撃をつけることで、まず《静風の日暮》の先制攻撃のダメージを与えた後で忍者を探す能力をプレイし、忍者の忍術でブロックされていないクリーチャーと入れ代わり、そしてダメージを与える、ということが可能になります。
 プレリリースでは、ブロック・クリーチャー指定前に攻撃クリーチャーを殺すことをお薦めします(さもないと、忍者の技に引っかかってしまいますよ)。

今日の献身

 以前に、この土曜学校でこっそりプレビュー・カードを公開したことがあります。とりわけ守護神、そしてその献身能力について取り上げるのは、どこでとりあげてもあまりにも大きな内容であり、困難な問題を伴います。まず、守護神とは何でしょうか? この名前は既に神河謀叛についての記事の中でご覧になっているかもしれません。ここに一枚の守護神のカードがあります。じっくりご覧ください。

 これについての戦略的考察は専門外なのであなたご自身、あるいは他の執筆者に任せるとして、ここではこの献身能力が呪文のプレイにどのような影響をもたらすのかについて説明しましょう。

:え、あ、え??

:献身能力がどう働くのかを聞きたいのでしょうか?
 呪文をプレイするのは、複数のステップに分けて処理されます。そして、献身能力はこの一部を別の方法で処理させるわけです。関連する場所だけ取り上げると、以下のようになります。
* 呪文のプレイを宣言し、呪文をスタックに置く[CR 409.1a]。以前はこのステップで行なうのはこれだけでしたが、献身能力を使う場合、この時点でカードに書かれているパーマネントを生け贄に捧げます。
* 総コストが決定された時点で、それは「固定」される。[CR 409.1f]。この、総コストの決定に際しては、「マナ・コスト+追加コスト−コスト減少 = 総コスト」という数式を思い出してください。献身はコストを減少させる能力です。減少させる量は、生け贄に捧げられたパーマネントのマナ・コストに従います。その減少を考慮して、足りない分だけを支払うことになります。なお、このマナ・コストには色が含まれます。もう少し詳細に見ていきましょう。

献身能力のタイミングについて:

:対戦相手のターンに献身能力をプレイすることはできますか?

:もちろん。献身能力は2つの効果があります。1つは、呪文をプレイするために必要な総コストの減少。そしてもう一つは、インスタントがプレイできるときならいつでもそのカードをプレイできるようにするということです。

 

Abeyance
:そのターンに、対戦相手が《中断/Abeyance》をプレイしていたらどうなりますか?

:それでも守護神の献身能力を使うことができます。《中断》が禁止するのはインスタント(など)のプレイですが、「インスタントがプレイできるとき」はやはり存在します。言い換えると、あなたが優先権を持っているときならいつでも、誰のターンであるか、そしてスタックがカラであるかどうかに関らず、献身能力を使うことができる、ということです。

:《オアリムの詠唱/Orim's Chant》で献身能力は止まりますか?

:《オアリムの詠唱》の解決後なら、献身があろうがなかろうが、呪文のプレイは宣言できません。しかし、《オアリムの詠唱》がプレイされた時に守護神が手札にあるのなら、《オアリムの詠唱》に対応して献身能力を使い、守護神をプレイすることが可能です。

:献身能力のついている呪文を、通常の呪文としてプレイすることはできますか?

:はい。献身能力のあるカードのコストをそのまま支払うつもりなら、その種の呪文が本来プレイされるタイミングでその呪文をプレイすることは可能です。

:献身能力でプレイされた呪文を《緊急阻止/Flash Counter》で止められますか?

:いいえ。しかし、守護神はクリーチャーなので、《霊魂放逐/Remove Soul》で止めることは可能です。呪文のタイプを見る類の打ち消し呪文や能力は、その呪文がいつプレイされたかには関係なく、その呪文のタイプだけを見ます。

:対戦相手が献身能力でプレイしようとした呪文を打ち消すために、その生け贄に捧げようとしたクリーチャーを殺すことはできますか?

:いいえ。守護神を献身能力で出そうとしたことをあなたが知る時点では、既にそのクリーチャーは生け贄に捧げられています。逆に、あなたがクリーチャーを殺そうとして呪文をプレイしたのに対応して、そのクリーチャーを生け贄に捧げて献身能力を使う、ということさえも可能です。

コストについて:

:適正なタイプでないパーマネントを生け贄に捧げたり、何も生け贄に捧げなかったりすることはできますか?

:まあまあ落ち着いて。守護神に献身しようと思うのなら、適正な生け贄が必要っていうことですよ。つまり、そんなことはできません。

:《不自然な淘汰/Unnatural Selection》を使って《ダークスティールの巨像/Darksteel Colossus》を蛇にし、それを《大蛇の守護神/Patron of the Orochi》の献身能力で生け贄に捧げることはできますか?

:はい。献身(蛇)は、そのパーマネントがその時点で蛇であるかどうかだけを見ます。そして、破壊されないというのは、蛇化した《ダークスティールの巨像》を生け贄にささげることができないということではありません。生け贄に捧げるのは破壊ではないので、破壊されないものも生け贄に捧げることは可能です。なお、マナ・コストには色も含まれるということを忘れないようにしてください。

:マナ・コストには色も含まれる、ということはそんなに重要ですか?

:献身能力は、今までのコスト減少効果と比べて特別な部分があります。テンペストの大メダルや《境を歩む者》のような、今までのコスト減少効果とはまったく異なります。つまり、献身能力は不特定マナだけでなく色マナも総コストから減らすことができるのです。もう一つの特徴は、色のあわない部分も無駄にならないということです。それらのマナ・コストは、守護神の不特定マナ・コストとして換算されることになります。

例:《大蛇の守護神/Patron of the Orochi》をプレイしようとして、《不自然な淘汰/Unnatural Selection》を使い、以下のクリーチャーを蛇にします。
《力の化身/Avatar of Might》:{6}{G}{G} - {6}{G}{G} = 0
《ダークスティールの巨像/Darksteel Colossus》:{6}{G}{G} - {11} = {G}{G}(不特定マナ・コストは不特定マナ・コストにしか適用されず、過剰分は何も効果を持たない)
《キヅタの精霊/Ivy Elemental》:{6}{G}{G} - {X}{G}(場にある時のXは0) = {6}{G}
《緑の夜明けの運び手/Bringer of the Green Dawn》:{6}{G}{G} - {7}{G}{G} = -1(支払うマナは0。他の追加コストがあれば)
《板金鎧の金屑ワーム/Plated Slagwurm》:{6}{G}{G} - {4}{G}{G}{G} = {1} (《板金鎧の金屑ワーム》の過剰の{G}は不特定マナ・コストを減らす効果を持つ)
《煽動するものリース/Rith, the Awakener》:{6}{G}{G} - {3}{R}{G}{W} = {1}{G}({3}{R}{W}{G} は {3}{1}{1}{G}と同じ。マナ・コストに含まれる{R}や{W}は色があわないので、守護神をプレイするに際しての不特定マナ・コスト部分を減少させる)

 献身の正式なルールは以下のとおり。

502.42. 献身

502.42a 「献身/Offering」はそのカードをプレイできる領域にある間に働く常在型能力である。「献身([文章])/[Text] offering」は「あなたはこのカードを、あなたがインスタントをプレイできるときならいつでも[文章]であるパーマネントを生け贄に捧げることでプレイできる。そうした場合、このカードをプレイするためのコストは生け贄に捧げられたパーマネントのマナ・コスト分だけ減少する」ということを意味する。

502.42b パーマネントは、呪文のプレイを宣言するのと同時に生け贄に捧げられる(rule 409.1a 参照)。呪文の総コストは、生け贄に捧げられたパーマネントのマナ・コスト分だけ減少する(rule 409.1f 参照)。

502.42c 生け贄に捧げられたパーマネントのマナ・コストに含まれる不特定マナは、献身能力でプレイされるカードの総コストに含まれる不特定マナを減少させる。生け贄に捧げられたパーマネントのマナ・コストに含まれる色つきのマナは、献身能力でプレイされるカードの総コストに含まれるその色のマナを減少させる。生け贄に捧げられたパーマネントのマナ・コストに含まれる色マナで、献身能力でプレイされるカードの総コストの色マナと一致しない、あるいはその色マナよりも多い部分は、総コストの不特定マナを減少させる。

:《境を歩む者/Edgewalker》との違いがわかりません。

:《境を歩む者》は、呪文の不特定マナ・コストには影響を及ぼしませんでした。《境を歩む者》の文章には、「あなたがクレリック呪文をプレイするコストは、本来のコストより{W}{B}少なくなる。この効果は、色マナとして支払われる分しか少なくならない。」という記述がありました。つまり、過剰分や色のあわない分は無視するということです。献身能力では、過剰分や色のあわない分に関しては、不特定マナを減らすという効果を持ちます。

:《三なる宝球/Trinisphere》との関連ではどうなりますか?

:《三なる宝球》は、総コストの計算の一番最後に処理され、実際に3マナ以上を支払ったかどうかを見ます。コストが3未満になっていた場合、3マナを支払わなければなりません。例えば、蛇にした《板金鎧の金屑ワーム》を使ってプレイした場合、総コストは{1}になりますが、《三なる宝球》の効果で{3}になります。蛇にした《煽動するものリース》であれば総コストは{1}{G}ですが、《三なる宝球》があると{2}{G}ということになります。

:つまり、結局のところ、どうなるんですか?

:《清められし者、せし郎/Seshiro the Anointed》があって、《大蛇の守護神/Patron of the Orochi》をプレイするとしましょう。
1) 優先権があるなら、《大蛇の守護神》のプレイを宣言し、スタックに置き、《清められし者、せし郎》を生け贄に捧げます。
2) 総コストの計算を行ない、{6}{G}{G} - {4}{G}{G} で {2} と固定します。
3) 土地をタップしてマナを出します。
4) {2}を支払います。これで《大蛇の守護神》はプレイされたことになります。
5) 呪文をプレイし終わったので、優先権を得ます。私がパスをして相手もパスをしたら、《大蛇の守護神》が解決され、場に出ることになります。

 こうして、巨大クリーチャーが手札から飛び出してくることになります。忍者も襲ってきますから、注意が必要です。これは謀叛のほんの入り口にすぎません。 プレリリース・トーナメントでの、あなたの幸運をお祈りします。

 今日の授業は以上です。

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