宝物実験

更新日 Beyond the Basics on 2017年 11月 9日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

 通常、マナは時間が経てば増えていくものだ。

 毎ターン土地をプレイするだけでなく、《マナリス》のようなアーティファクト・マナや《不屈の自然》のようなランプ(訳注1)呪文を利用して加速することもあるだろう。いずれにせよいったん6マナに到達したら、それが減少するということはほとんどないはずだ。

(訳注1:ランプ/マナを伸ばす行動)

 しかし『イクサラン』では新しい趣向が加わる。それは臨時のマナ――あるいはわかりやすい言い方をすれば、宝物だ。

https://media.wizards.com/2017/images/daily/D8087R7Y4I.png

 宝物は興味深いジレンマを生む。このマナは今使ったほうがいいだろうか? それとも後のほうがいいだろうか? これは新たな難問だ――しかも、ゲームの結果に大きな違いを生み出すこともある。

 しかし、いつ使うのが適切なのだろうか?

 使いどころが明快な状況もいくつかあるだろう。例えば、出している土地が5枚で、手札に《巨大な戦慄大口》があるとする。それを諦めるほどの何かが他に存在しないなら、宝箱を開けなければならないだろう。

 それ以外の状況となると、もう少し分かりづらい。ドラフトで直面するであろう様々な状況から、ちょっと取り上げてみよう。

 あなたはドラフトで赤緑恐竜デッキをプレイしていて、2ターン目に《ずる賢いゴブリン》を出したところだ。対戦相手のターン、相手は2枚目の《》を出すだけで、何もしてこなかった。

 あなたは3ターン目に《》を出し、これで土地が3枚、宝物が1つとなった。手札の残りは何枚かの土地と、この3枚だ。

 このターンに宝物を使うだろうか? あるいはどこか先のターンで放出したほうが良いと思うだろうか?

 考えてみよう。結論を出すまでの間、いくつかの役に立つ経験則について話すこととしよう。

先を読む

 この問題の肝となるのは、要するに先を読むということだ。このクリーチャーを今プレイしたいのか、それとも後で強力なクリーチャーを早く出したいのだろうか?

 なんというか、マシュマロ実験を思い出してしまうよ。

https://media.wizards.com/2017/images/daily/BB20171109_Mallow.png

 スタンフォード大学でのマシュマロ実験は、このような心理学実験だった。子どもの前にマシュマロを1個用意し、研究員が戻るまで食べるのを我慢すればもう1個あげるよ、と伝えるのだ。

 そして研究員は部屋を出る。後は子ども次第だ。今すぐ1つのマシュマロを食べて即座の満足を得るのか、それとも後で2つのマシュマロを得られるという純粋な価値を得るのか?

 この実験の研究結果は興味深いものだ。もし詳しい内容を知りたければ、これについて調べてみるといいだろう。

 いやまあ、今回の話とはちょっと違うことかもしれない。得ようとしているマシュマロは1つだ。それでも、いつまで宝物を取っておくかによって、そのマシュマロの味わいは異なるものとなる。計画を立ててどうするべきか判断することが重要だが、待つことが正しいのか否かは手札の残りによって変わってくる。

 ああ、それから、宝物は確かにおいしいトークンだけど、食べないようにね。

 では、どれくらい使用を待つべきだろうか? すべては先を読むことだ。

 宝物があると、この後どうするかを頭の中でいくつか検討することになる。今すぐ使うと、次のターンにはどんな影響があるだろうか? このターン使わないならどうなるのか? さまざまなことを予測したうえで行動計画を定めなければならない。

 次は、先を読む上で考慮すべきいくつかの要素について話そう。

影響力の差

 核となるのは、宝物はテンポを取るもの、という点だ。一時的なマナ優位を得るためにリソース(訳注2)を消費し、そのターンだけ本来よりも前進する。

(訳注2:リソース/資源。ゲームの中で他の要素のために消費・交換できるもの)

 そうするときに大きな問題となるのは、それまでに展開されてきたカードとの相対的な影響力の差だ。

 《葉を食む鞭尾》のサイズが2/2だと仮定しよう。(その場合、なぜこれがあなたのデッキに入っているのかは分からないが――まあ、あなたの自由だからね!)5/5の《突進するモンストロサウルス》が1ターン早い4ターン目に攻撃する場合、戦場に与える影響はとんでもないものになるだろう。1ターン早く2/2を出す場合の影響力とは比較にならない。であれば、宝物を使うのは待つべきだ。

 非常に強く、高い影響力を持つカードを本来よりも早い段階で盤面に出せるようにする、というのが宝物を温存する大きな理由となる。

 最初に提示した状況における大きな問題は、マナを最もうまく使える順番はどういうものか、そして最も強力なカードを本来より早く出すにはどうすればいいか、というものだ。それらの影響力の差を考えることが、方針を導き出す役に立つだろう。

同マナ域

 手札の土地のうち1枚が、4マナか5マナか6マナのクリーチャーだったことにすると、この問題はもっと簡単になる。

 より重いマナ・コストを持つクリーチャーほど、唱えたときにより強力なものとなるだろう。(常にそうだとは言えないが、前提としては妥当なものだ。)

 1ターン分先んじつつもそれら2枚を続けざまに出すことができるとすれば、マナを最大限に活用しつつ戦場に最高の脅威を展開できる。加えて、このプレイ計画であれば、各ターンを無為にせず確実に行動できることも保証してくれるわけだ。

 例えば、《葉を食む鞭尾》の枚数が2枚だったとしよう。そうすればこのターンに宝物を使って1枚目を出し、次のターンに土地を置いて2枚目を出せる。さらに次のターンに5マナ、その次に6マナと綺麗に展開することが可能だ。

 それはカードを展開する上で最もマナ効率の良い手順であり、最も脅威的な展開の仕方でもある。提示されている状況の最終的な目標は、カードを最も効率的に、そして可能な限り影響力を高めて展開したい、というものだ。

 手札に3マナ域があればさらに話は簡単になる。宝物を使わず3マナ域を出して、次のターンで5マナに飛んでもいいし、あるいはその次のターンで6マナに手をかけてもいい。

色の安定

 宝物の利点の1つは、色を安定させてメインではない色のカードを簡単に利用できるところにもある。宝物・トークンを重視したデッキが他の色のカードをタッチで採用するのは、珍しいことではない。

 最初の例の《焼熱の太陽の化身》を《秘宝探究者、ヴラスカ》に変更すれば、宝物が何をするのかは明白だろう。

 マナを整える方法が他にないのであれば、タッチ色である黒を含んだ6マナ域を出せるようになるまで宝物を残すだろう。他の事に宝物・トークンを使ってしまえば、《秘宝探究者、ヴラスカ》が手札で使えずに残ってしまう可能性が高いからだ。

 さて、この考えは、その使いたいカードがすでに手札にある、という状況に当てはめたものだ。そして、デッキからタッチしたカードを引くかもしれないので宝物を温存する、という考えは、あまり賢明な判断ではないかもしれない。

 ああ、後からタッチしたカードを引くかもしれない――しかしあるいは引かないかもしれない。私としてはそれよりも、今ある手札をどう展開するかということに集中したい。手札のカードはそこにあり、確実に使うことができる。一方で、デッキの中にあるタッチ・カードはいつ引くのか分からないし、引いた時にまだこの宝物が必要なマナ状況のままなのかどうかもわからない。

 必要かどうかの判断がきわどい場合は、この先引くであろうタッチ色のカードを唱えるために温存することは考えなくてよいと思う。(かなりの枚数タッチしていて、それを高い頻度で引くのでもない限りね。もっともその場合、あまりタッチとは言えないと思うし……たぶんその色の土地も多いはずだ!)

 引く可能性のある(あるいはない)カードについて言うなら……

ドローで補う

 最初の例で難しいところの1つは、この3ターン目に4マナのカードを使った場合、4ターン目に何もしないことになる、という点だ。

 ただし何もしないかどうかは、そこで引くカードで決まる。

 この後、4枚目の土地を置くまでに1度ドロー・ステップがあるので、理論上は4マナ以下のカードを引くことが可能だ。

選択》 アート:Craig J Spearing

 色の補助が将来必要かどうかの判断と同じく、これはかなりきわどい判断が求められる。うまくいくためには、次に引くカードが4マナ以下でなければならない。

 可能性がかなり高い場合もある。デッキに低マナ域が十分含まれていれば、30~40%の確率で引ける状況すらありうるだろう。しかしそれでも50%以上は失敗する。それは単に悪いプレイでしかなく、そのターンは無駄になるわけだ。

 引く可能性を考慮し選択肢として検討するのは素晴らしいことだが、それ頼りで決めてしまわないようにね。

攻撃の算段

 さて、ここまでの話を踏まえたうえで考えてみよう。記事の最初に提示した状況ではどうするべきだろうか?

 答えは決まったかな?

 ここで取れる行動のほとんどは、自分のデッキの中身と対戦相手について知っている情報次第で、どれも妥当なものとなりうる。

 私の答えは次の通りだ。

 このターンは攻撃だけして終わる。次のターン、対戦相手が《焼熱の太陽の化身》で除去できるクリーチャーを出してきていた場合は、《葉を食む鞭尾》を出して宝物・トークンは残しておく。何もしてこなければ、《突進するモンストロサウルス》のために宝物を使う。

 こうするのは以下のような理由による。

 3ターン目に宝物を使って《葉を食む鞭尾》を出したくはない。次のターンに何もできなくなるからだ。それに、このターンに何もしないのは良いことではないものの、5~6マナ域を素早く展開するために宝物を温存することで得られる影響は、ここで消費した場合よりもずっと大きい。

 対戦相手が3点火力で除去可能なクリーチャーを出してきた場合(このターンに出してくるとすればほぼ間違いなく3マナ域だろう)、4ターン目は、《焼熱の太陽の化身》のために宝物を温存するだろう。相手のクリーチャーを除去した後、6ターン目に《突進するモンストロサウルス》を叩きつけて合計パワー14点で攻撃することができる!

 相手が何もしなければ、4ターン目は5/5で攻撃を仕掛けて先手を取りたい。1枚で《突進するモンストロサウルス》に対処できるものを4ターン目に使われる可能性はほとんどないので、少なくとも10点分のダメージは期待できるだろう。(相手が4ターン目にクリーチャーを出してきた場合は、さらに次のターンにクリーチャーを出してきて、ダブルブロックで相打ちを取られる可能性はある。)

 脅威の展開を重視するだけでなく、宝物はなるべく効率的に用いたいところだ!

 3ターン目に相手が3点火力で除去できるクリーチャーをプレイしてこず、4ターン目に出してくるクリーチャーも《焼熱の太陽の化身》で除去できない、という場合があるかもしれない。その時は5ターン目に宝物を使って《焼熱の太陽の化身》を出すのではなく、《突進するモンストロサウルス》を唱えるだろう。宝物は加速の役には立たなかったことになる。相手がクリーチャーを出してこないというこの流れなら、4ターン目に宝物を使って《突進するモンストロサウルス》を出す選択肢が残っているのも、こう行動する理由の1つだ。

 考えなければならないことはいくらでもある――そして『イクサラン』のドラフトを何度もやるなら、このような状況に遭遇する可能性はかなり高いだろう。

 さて、あなたはどう思っただろうか? 私の考えと同じ? それとも違う? 何か気づいたことはあるだろうか? どんどん私に教えてくれ! TwitterTumblrでいつでもコメントを受け付けているし、BeyondBasicsMagic@gmail.comに(すまないが英語で)メールしてくれてもいいよ。

 望んだマシュマロがいつでも手に入るといいね。

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight / beyondbasicsmagic@gmail.com

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)

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