『エターナルマスターズ』のデベロップ

更新日 Card Preview on 2016年 5月 24日

By Adam Prosak

From Friday Night Magic to the Pro Tour, Adam Prosak loves all types of tournament Magic. Currently, Adam is working in R&D as a developer.

 やあ、マジック仲間のみんな!

 僕はアダム・プロサック/Adam Prosak。マジック開発部で働いていて、『エターナルマスターズ』のリード・デベロッパーを務めたんだ。ほとんどのセットでは、デザイン・チームとデベロップ・チームが存在している。デザイン・チームは基本的にそのセットの展望を決め、初期のカード・ファイルを作るんだ。そして、デベロップ・チームはそのカード・ファイルを受け取り、それに磨きをかけて、誰もが楽しめる経験をつくり上げるのさ。

 マーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterは彼の記事で『エターナルマスターズ』のデザイン・チームを紹介している。そしてデザイン・チームはこのセットの骨組みを作るという素晴らしい仕事をしてくれたと思う。彼らに課せられた最大の課題の1つが、どんなカードプールを使うかを決めることだったんだ。一般に、僕たちは再録元のセットを絞ることにしているんだ。そうすることで商品ごとの雰囲気を変えることができるからね。デザイン・チームの最初の直感は、モダンの範囲外からに絞るというものだった。とはいえ、(「Magic Online」の)『Vintage Masters』は既にその制約を使っていて、もし今回もそうするのなら『エターナルマスターズ』が『Vintage Masters』に似すぎてしまうことになる。最終的に決めたルールは、厳密な規定ではなく、ガイドラインという形になった。

  • 他では味わえない独特の経験が生まれるよう、モダンの範囲内・範囲外両方のカードが必要なリミテッドのアーキタイプを作る。
  • カードを選ぶに際して、モダン範囲外のカードを選ぶことを心がける。戦略上の穴を埋めるためにモダン範囲内のカードを使う。

 『Vintage Masters』や『モダンマスターズ』と同じにしたくはなかったので、これらのガイドラインは『エターナルマスターズ』の独自性を生み出すカードをデザイン・チームやデベロップ・チームが選ぶ上で助けになったんだ。

デベロップ・チーム

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アダム・プロサック/Adam Prosak

 僕だよ! 僕はデベロップ・チームで、主にフューチャー・フューチャー・リーグ(将来のスタンダードのテストプレイをするところ)で働いていたんだ。これまで、僕は『Vintage Masters』や『モダンマスターズ 2015年版』に関わっていて、マスターズ・セットに関わるのが大好きなのさ。僕は昔のカードの新しい遊び方を見つけるのが好きなんだ。僕はほとんど無限の組み合わせがあることがマジックの強みの1つだと思うんだけど、マスターズ・セットは僕の好きなマジックのその部分に光を当ててくれるんだ。

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ブライアン・ホーリー/Bryan Hawley

 僕と同じく、ブライアンもこのデベロップ・チームの一員だ。彼の主な仕事は、FFLとマジック・デュエルズで、この後発売される『異界月』でもデベロップ・チームに所属しているよ。ブライアンは『エターナルマスターズ』のデザイン・チームから続けて参加しているので、デザインの展望を維持する上ですごく助けになったんだ。

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サム・ストッダード/Sam Stoddard

 サムは「Latest Developments」の記事を書いているけど、それだけじゃないよ。僕は彼のことが世界で一番好きなんだ。彼は『エターナルマスターズ』のデベロップ・チームにいる中で一番経験豊富で、『マジック・オリジン』や『異界月』ではリード・デベロッパーも務めたんだ。

バランスのためのバランス

 デベロップ・チームにとって最も重要な仕事の1つが、1つの戦略が他の戦略を圧倒したりしないようにセットのバランスを取ることだ。

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 ああ、そうそう、プレビュー・カード! 《天秤》は白史上最大の象徴といえる1枚だね。セットを作るとき、デザイン・チームもデベロップ・チームも大量の象徴的カードを入れて、それからそれを中心にした環境を作ろうとするんだ。『エターナルマスターズ』を作るときは、《天秤》や《意志の力》、《不毛の大地》といったカードは真っ先に入ったよ。

 《天秤》に関して唯一不幸だったことは、《天秤》は……釣り合ってなかったんだ。マジック史上最強のカードの1枚で、リミテッド環境を一気に楽しくないものにしてしまう可能性があった。でも、神話レアなら、登場することも少なくなって白全体のカードパワーにはそれほど影響を与えなくて済む。それに、《天秤》はマジック史上にも珍しい派手な効果を持っていて、いかにも神話レアだって言えたんだ。

 『エターナルマスターズ』のようなセットで神話レアを探すのは、難しいものなんだ。だって、再録元のセットには神話レアなんてなかったんだから。リミテッドでのカードパワーが高くて効果も派手だというなら神話レアにふさわしいから、《天秤》のようなカードはまだ簡単なんだ。

天秤》 アート:Kev Walker

リミテッドのためのバランス

 『エターナルマスターズ』をデベロップしているとき、僕たちは大半のセットでするようにそれぞれの色のペアごとの戦略を立たせたかったんだ。だから、『エターナルマスターズ』の緑白にはエンチャントが、青黒にはリアニメイトが、10個の主な戦略の2つとして与えられている。でも、戦略の重なりも欲しいと思った。つまり、重なることがありうるような戦略を見つけなければならないってことさ。青黒をリアニメイトにしたいなら、緑青はスレッショルドになる。こうすれば、墓地を肥やす青のカードは複数の戦略で使えて、他のこともできるようになるんだ。

 もう1つのいい例が、共通点の少ないように見える戦略間の橋渡しをするためにカードを使うということだ。緑白エンチャントと赤緑高速アグロにはあまり共通点があるようには見えないけれど、強力なオーラで小型クリーチャーを強化すれば、赤緑では突破口を開けられて、緑白ではエンチャントを使うことのメリットを受け取ることができるんだ。

 こういった重なりのクールな利点は他にもあって、ドラフトに柔軟性が出てくるってことさ。2つの戦略を両方狙ってもいいし、意図している色に存在しない戦略を狙うこともできる。赤緑スレッショルド・デッキを組んだり、白黒リアニメイト・デッキを組んだりできるんだ。ドラフトというフォーマットはまだ10個の色のペアを軸にしているけれど、掘り下げる余地はまだまだあるということさ。

 充分な重なりのある戦略を探すのは難しかったけれど、『エターナルマスターズ』を手掛ける上で一番やりがいのある部分だった。これらの課題の1つが、このセットに適切な量の部族を探すことだった。部族戦略は本当にクールで、「エターナル」のカードと「モダン」のカードをつなぐ最高の方法の1つなんだ。ただし、部族戦略同士をつなぎ合わせるのは難しい。最初の『モダンマスターズ』は多相で繋いだけど、それをもう一度やりたくはなかった。デザインからのファイルには大量の部族戦略が入っていたけれど、最終的にはエルフだけが残ることになったのさ。エターナル・フォーマットで比較的エルフが結果を残していたから、残すという決定につながったんだ。

 全体として、僕は『エターナルマスターズ』が素晴らしいセットだと思ってる。懐かしさとすごいゲームプレイ、それにエキサイティングなカードがぎっしりつめ込まれてる。友達と、あるいはカードショップで、あるいは「Magic Online」で、『エターナルマスターズ』のドラフトに触れてみてほしいな。

アダム

(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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