独楽回し

更新日 Card Preview on 2016年 5月 24日

By Jacob Van Lunen

Jacob Van Lunen began playing Magic in 1995. He has participated in organized play at every level of competition and was a member of the winning team at Pro Tour San Diego in 2007, thanks to an innovative draft strategy. As a writer, Van Lunen has had more than three hundred Magic strategy pieces published

 DailyMTG、『エターナルマスターズ』プレビューへようこそ! 本日は、マジック歴代のアーティファクトの中でも至宝のひとつとされる1枚を見ていこう。《Black Lotus》や《Time Vault》ほど派手な効果は持っていないものの、そのカードはデッキ構築のあり方を劇的に変え、プレイヤーたちにまったく新しい戦略を授けたものだ。

 マジックというゲームには本当に様々な技術が必要だ。プレイヤーたちは戦闘の結果や引き込むカード、それからゲーム全体のテンポまで想定しながら、頭の中で複雑な計算をしなければならない。すべてを完璧にこなすのは、ほとんど不可能と言っていいだろう。しかしその上で、あらゆる場面でプレイヤーに再評価を迫るようなカードが絡んだとき、このゲームの複雑さは飛躍的に増大する。

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 《師範の占い独楽》はマジックの歴史を象徴するカードのひとつだ。今回ついに、私たちはこの最も愛された(ときには憎悪を向けられた)カードのひとつを再び新鮮な気持ちでプレイするチャンスを得ることになった――新規アートに彩られたみんなのお気に入りは、より一層風味豊かなものに仕上がっているね。

ゲーム中のゲーム

 《師範の占い独楽》は強力なカードだ。ライブラリーの一番上から3枚を操作するという一見単純な能力は、実は見た目以上に複雑で奥深い。エターナル・フォーマットには、ほとんど何のコストもなしにライブラリーをシャッフルする手段が豊富にある。それらを駆使しながら《師範の占い独楽》を使うことで、また新たに3枚のカードを操作することができる。すると、特定の状況で効果的なカードをいとも簡単に探し出すことができるようになるのだ。その利便性たるや、不測の事態が起こったときに適切なカードを探せるよう、《溢れかえる岸辺》や《沸騰する小湖》のような土地を起動せず置いておくほどだ。

 ライブラリーのシャッフルを行いやすいヴィンテージやレガシーにおいて、《師範の占い独楽》はこれ単体でも強力なカードだが、《相殺》や《終末》の存在がこのカードの力をさらなる高みへ引き上げている。

 エターナル・フォーマットでは、コストの重いカードのほとんどが敬遠される。使用されるカードは0マナ、1マナ、2マナ、そして時々3マナ域の姿が見受けられるくらいで、コストの重いカードは大抵「通ったら勝ち」というほどの勝ち手段だ。そういった環境が、《相殺》と《師範の占い独楽》の組み合わせをレガシーにおいて極めて危険なものに仕立てあげた。環境で使用されるマナ域に合わせてコストの軽いカードでデッキをまとめることで、対戦相手の唱える呪文をすべて打ち消せる状況を作り、ゲーム・プランを崩すことができるのだ。さらに驚くべきことに、1マナの呪文なら《師範の占い独楽》をタップするだけで打ち消せる。《師範の占い独楽》が自身の能力でライブラリーの一番上へ戻り、それから《相殺》の能力を解決することで、実質ノーコストで相手の呪文を打ち消すことができるのだ。

 そして『アヴァシンの帰還』の登場により、《師範の占い独楽》はさらなる力を手に入れた。ライブラリー操作や《相殺》とのコンボに加えて、このカードは「奇跡」メカニズムを最もうまく扱える存在になったのだ。インスタント・タイミングでライブラリーの操作とドローが可能な《師範の占い独楽》を用いることで、《終末》は対戦相手のターンに使用できる1マナの全体除去と化す。また、《天使への願い》は相手の戦闘フェイズ中やターンの終了時に天使の軍勢を生み出し、土地をタップする隙をなくすことができる。《師範の占い独楽》を使うならやはりコントロールだろう。このカードと組み合わせることで《終末》は環境最高の除去呪文となり、しかも《引き裂かれし永劫、エムラクール》のようなカードにも対処できる。そして《天使への願い》は防御にも使える非常に強固な勝ち手段となるのだ。

回してみよう!

 《師範の占い独楽》は、先を読んでゲーム・プランを立てることを使い手に要求する。対戦相手のプランを読むことができれば、絶大な力で応えてくれるのだ。このカードは様々な戦略に対して見事に機能するが、その力を十全に引き出せるのは「独楽回し」に多くの修練を積んだプレイヤーだけだ。

 では、現在のエターナル・フォーマットで《師範の占い独楽》を用いて大きな活躍を見せている強力な戦略をいくつか見てみよう!

YaTree - 「奇跡コントロール」

Magic Online Legacy Constructed League 5勝0敗 / レガシー
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クリーチャー (4)
1 Emrakul, the Aeons Torn 3 Snapcaster Mage
ソーサリー (9)
1 Entreat the Angels 4 Ponder 4 Terminus
アーティファクト (5)
1 Engineered Explosives 4 Sensei's Divining Top
エンチャント (4)
4 Counterbalance
61 カード

 レガシーの「奇跡」デッキは、このフォーマットにおけるベスト・デッキとして幾度となく君臨している。YaTreeが用いたものは打ち消し呪文と《相殺》でコンボ・デッキを戒め、同時に《終末》や《剣を鍬に》と《瞬唱の魔道士》の力で、クリーチャー・デッキにも対応できるようになっている。また、Magic Onlineのレガシー・リーグで5戦全勝を果たしたこのデッキには、新たな勝ち手段として《先駆ける者、ナヒリ》と《引き裂かれし永劫、エムラクール》の組み合わせが採用されている。それから、サイドボード後のゲームで除去を抜いた相手に対しては《僧院の導師》が突き刺さるだろう。《師範の占い独楽》2枚を揃えてライブラリーと戦場を何度も行き来させることで、果敢を持つクリーチャーたちを容易に強化できるのだ。

 《渦まく知識》に《師範の占い独楽》も擁するこのデッキでは、特定のサイド・カードの数はぐっと減らせる。ゲーム全体を通して、多くのカードを掘り進めることができるからだ。「エルフ」デッキ用に1枚挿しされた《イゼットの静電術師》を通常のドローだけで引き込むことを期待するのは過信というものだが、多くのカードを見る手段が備わっているなら、そういったサイド・カードを探し出して有効に使うことも難しくないだろう。このデッキは対戦相手のプランを遅らせることに長けているため、決定打になり得るサイド・カードを探す時間は十分に確保できるのだ。

Utley26 - 「ダク・ウェルダー」

Magic Online Vintage Premier Event トップ8 / ヴィンテージ
Download Arena Decklist

 ヴィンテージはゲーム・スピードが早く、《相殺》と《師範の占い独楽》を揃えるのは難しいとされている。だがそれでも《師範の占い独楽》はドロー操作の手段として優れており、多く使われている。Utley26は、《Time Vault》と《通電式キー》で無限ターンを得るコンボを狙う強力な戦略「ダク・ウェルダー」(《ダク・フェイデン》+《ゴブリンの溶接工》)を用いて、最近ヴィンテージで行われたプレミア・イベントにてトップ8入賞を果たした。

 《Time Vault》ほどではないものの、《師範の占い独楽》も《通電式キー》との相性は抜群だ。《師範の占い独楽》のふたつ目の能力の起動後、それに対応して《通電式キー》で《師範の占い独楽》をアンタップしてやれば、もう一度カードを引く能力が使える。カードを引いて《師範の占い独楽》がライブラリーの一番上へ戻ったところで2回目に起動した能力が解決されるため、すぐに《師範の占い独楽》を引き込むことができ、強力なカード・アドバンテージ・エンジンとして機能するのだ。《トレイリアのアカデミー》によって生み出される大量のマナを活かし、《師範の占い独楽》の能力で《Timetwister》や《Wheel of Fortune》、《時のらせん》などを探してライブラリーを力強く回し、勝利への鍵を見つけ出そう。

 《師範の占い独楽》は、私たちの精神的な強さも試してくる。私は、レガシーのグランプリで初めてこのカードを使用したその瞬間、マジックの持つ複雑さが跳ね上がったのを感じた。このカードを使いこなすには精神的な消耗も激しいが、それに打ち勝つ才能あるマジック・プレイヤーたちにこそ、対戦相手を浮足立たせるほどの強力な相互作用で応えてくれるのだ。

 『エターナルマスターズ』の発売は6月10日。ぜひマジックの歴史の一部となるチャンスを逃さないでくれ。『モダンマスターズ』では、比較的近年のカードを用いた最高のドラフト体験が生み出された。そして『エターナルマスターズ』では、太古の遺産を用いた最高のドラフト体験ができることをお約束しよう。《意志の力》や《不毛の大地》のような強力なカードが出てくる可能性がある新しいパックを開封するのは、この上ない体験になるはずだ。

 さあ、独楽を回そう。占いの示す先に何があるのかは、誰にもわからない。

(Tr. Tetsuya Yabuki)

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