マジック2013のカード達 パート2

更新日 Daily Deck on 2012年 7月 13日

By Zac Hill

 やあ、みんな! マジック2013のカードその2へようこそ、ここでさまざまな理由で私の目に付いたカードを極めて科学的に選び出し、それについて話そうと思う。なお先週の記事はこちら

 始める前に、一言。私はこの記事を一週ほど早く仕上げた。それはつまり私はコーヒー・ツリーで座ってラテをすすっており、M13は世界中で発売されるまであと12時間弱だ。君がこれを読んでいるとき、もちろんこのセットをプレイしてから一週間経っているだろうし、カードを使ってみてもいるだろう、話や思い出も生まれているだろう、ひどい打撃も食らっただろうし、疑問があったり色々しただろう。 私は現時点で、100%そうなると予想している。セットを初めて世に出す前夜の奇妙な感覚だ。子供を大学とかに送り出すような、そんな気分だ。私と私のチームはその感覚を生み出すのを助けるために1年半前から愛と努力を注いだが、しかしそれは今完了した。我々は今や何もコントロールしていない。我々は君の経験が我々のデザインできた経験に適うぐらいのものになることを望んでいる。我々はその経験をコントロールできず―ただ見ていることしかできない。喜びと懸念と畏怖が入り交じった、一種の無力感のような奇妙なものだ。

 要するに、皆に楽しんで欲しいのだ!

 では進めよう。

 私はずっと《地震》のファンで、そしてそれはとても赤らしい威力を調節できる全体除去で君が大型クリーチャーをコントロールしていればその恩恵にあずかれる。プレインズウォーカーがデビューしてから、直感に反して複数のプレインズウォーカー対処できずに常に不快にさせられた。なぜなら「ルール上」一般の火力呪文ではプレインズウォーカーに唱えているわけではなく、プレイヤーへのダメージを一人のプレインズウォーカーに移し替えることしかできない。これは私の意見からすれば大きくフレーバーを損なっていて、代わりの呪文が求められていると思った。だから私はその多くの問題をはっきりと解決させることにした......直接的な方法で。

 《溶岩震》(とアンコモンの《溶岩噴火》)の恩恵を得るには、専用の赤いデッキをプレイしなければならない――カードを引いたからと言ってシールドデッキのカードプールにタッチで入れることはできないのだ。私がリミテッドにおいて確信していることは、その色の最も強力なカードのほとんどは色を濃くするべきだと言うことだ。そうでなければ、君のデッキには同じような傾向になってしまうだろう。君が《火の玉》をの中速デッキやのコントロールデッキにタッチするように、赤のカードだとは言えなくなってしまう。カラーパイの意義への打撃であり、私の中では問題だ。

 闇の隆盛を開発していた頃に、我々はライブラリー操作のフレーバー的な方法として赤にルーター能力を取り入れることに決めた。ただし、赤はより衝動的にそれを行うだろうという考え方だった。「オレ、コレイラナイ」と言い、そして何が起こるかを見る。これは選択肢を全て考慮し、最も不要なものを捨てるという非常に戦略的な青のやり方とは対照的だ。確かにこれは微妙な差だが、その微妙な差が勝負を分けることはマジックに良くあることだ。

 我々は《信仰無き物あさり》や《危険な賭け》のような呪文から取り掛かった。しかし、我々はクリーチャーをどうするかについては議論を重ねた。結局、多くの点で赤の呪文のスロットを多様化することになった。最終的には、どのセットでも現れる電撃的なスライ型速攻アグロ・デッキ以外の赤デッキを可能にしたので、我々はこいつのプレイパターンを好きになった。もちろん彼はアグレッシブなデッキでも良い動きをする。しかし、彼はゲームが長引いたときにこそ良い動きをするのだ。その受けの広さはマジックのリミテッドに適している。彼のマナ・コストがなのは《マーフォークの物あさり》が一見無害に見えて間違いなくマジック2010で最も環境を支配したコモンだったからだ。《かき回すゴブリン》はより他のカードと関連性のあるクリーチャー・タイプを与えられたので――ありがとう、《武器商人》――(赤の伝統であるように)先にカードを捨てることと、少しばかり重いコストを必要とすることにした。

 マーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterは、およそ12年か13年、このカードをセットに入れようとしている。事実、《粉砕》は常に少しコストが重すぎた。最初に《破壊的脈動》、後に《粉々》のようなカードによって、何度も完全に時代遅れになっていた。しかし、単にコストを1減らしておしまいにするのはずっと居心地が悪かったのだ。剣がスタンダードを支配しており、他の対象として《ルーン唱えの長槍》や《出産の殻》がある今、それらのカードに効率的な除去を提供したかった。

 元々は、これに非常によく似たカードがマジック2012にあった。《悪斬の天使》を先駆者とし、一種の「鏡」として同じポジションで活躍できるドラゴンを作ろうというのだ。しかし、タイタンと3人の新たなプレインズウォーカーによってセットに豊富な燃料がすでにあると我々は感じたので、このドラゴンを後のセットに延期することにした。

 さて、マジック2013がやって来て、そしてタイタンが去り、セットがエキサイティングなものになるためにすごいヤツが求められていると感じた。我々は早くからで5/5の速攻クリーチャーを採用していた、しかし現行版に到達するまでに、我々はおよそ25の能力を考え付いた。マジックのブランド・マネージャー(そして、独創的なティミーでもある)マーク・パーヴィス/ Mark Purvisは「稲妻のドラゴン」を伝統的なファンタジーの従来の火を吐く獣と区別するのに非常に情熱的だった。それで、我々は現在の能力を考え出した。それは(我々に)雷鳴の後に続く雷のパチパチした音を思い浮かべさせた。それが《未練ある魂》のトークンを対策して、《秘密を掘り下げる者》や《グリセルブランド》をどかせるという事実はもちろんすばらしいオマケだ!

 我々は、神話レアは本当に壮大でなければならないと強く感じており、クリーチャー呪文と非クリーチャー呪文のバランスを(相対的に言って)取りたかった。《世界火》のプレイテスト時の名前は「サドンデス・ラウンド」で(《突然の死》は置いとけ)そしてとても「赤らしい」緊張感を与えた。このカードのデザインはホワイトボードに書かれた時から君がパックを開ける時まで変更されていない。

 これは明らかにセットの中でも風変わりな一枚だ。そして明らかに我々の基本セットのトップダウンのファンタジー的な比喩表現を壊している。では、何故これがここにあるのか?

 マジックのセットにおいては、カードごとで見てわかる強さと、実際に使ってみてわかる強さとの間でバランスを取らなければならない。この場合、FFL(開発部の構築プレイ・テスト・チーム)がイニストラード・ブロックで最も危険でもっともパワフルだと信じているのは《瞬唱の魔道士》と《堀葬の儀式》だ。我々は、《墓掘りの檻》のような奴をブロックの全体に入れたが、それらの対策カードの問題は、効果的ではあったものの、それを唱えるときにカードを無駄にしてしまう。しばしば、《瞬唱の魔道士》や《堀葬の儀式》のようなカードを使っている側にしてみると、相手の手札が1枚少なくなってしまうのだから充分だ。それらのデッキの多くは《秘密を掘り下げる者》、《聖トラフトの霊》、《未練ある魂》などの異なる軸によって機能するため、君の対策カードはそれ自身でゲームに勝つわけではない!

 《地の封印》はそれらのカードの基本的な戦略を成立させる間に、それら強力なカードを攻撃することができる。君は全てのデッキにこれを4枚入れて「おう、瞬唱を倒すぞ!」とは言わない。それがポイントではない。道具箱の中のもう一つの道具になるのだ。

 君は恐らくマジック2013が過去の基本セットからの「お約束」を破壊していることに気がつくだろう。特に《火の玉》、《精神の制御》、《踏み荒らし》は全て基本セットから落ちて、代わりに《溶岩噴火》、《どんでん返し》、《捕食者の暴力》と入れ替わった。

 マジック2012で見られた《踏み荒らし》の問題点は、とても強力であるために君が残りの色を開拓する能力を歪めてしまうことだ。コモンスロットに充分すぎる戦力を配置するだけにしてしまう。それは全くもって素晴らしいカードで、マジックのセットにおいての地位を確立している。しかしそのプレイパターンは「お前は死んだ」とほぼ同義で、私の意見では何年も何年もやることではない。「《踏み荒らし》効果」をレアに格上げすることで、我々は色に大幅な多様性を加えることができた。さらに、私が《捕食者の暴力》を好きなのは、君の対戦相手を殺さない場合でも、とても便利なカードだからだ。君は自分のクリーチャーのパワーの合計を対戦相手のクリーチャーのタフネスの合計と比べなくてもいい。時々は、クリーチャーを除去するために唱えることもある。

 上手くプレイすれば《踏み荒らし》のように効果を発揮するが、使い方は充分に異なっている。

 あと、絵とかも要注意だ。

 ああ、ああ。

 私が真剣にトーナメントに参加し始めたのはスタンダードがテンペスト―ウルザ環境の時だった。そして、《怨恨》は私がクリーチャーデッキをプレイするのに戸惑い以外の何かを感じさせたカードの一枚だった。エクステンデッドのプロツアー予選シーズンの時、私はスリーデュースと呼ばれるデッキをプレイしており、それは《エルフの吟遊詩人》や《ドワーフ鉱夫》のような有用なクリーチャーに頼った環境を支配する最もパワフルな戦略だった。そして《怨恨》はそれらの、攻撃するには頼りないクリーチャーをいっぱしの脅威に仕立て上げた。私はずっと《怨恨》をマジックに戻したがっていた、といえば充分だろう。

 元々はこれをマジック2011で収録する予定だったが、そのセットはミラディンの傷跡の前に発売されるものだったので、我々は《怨恨》と感染が環境に及ぼすインパクトを心配していた。もしデッキが圧倒的な物に仕上がれば、一年の間使われ続けることになる。なので我々はこれをセットから外し、起こりうる事態を回避することに決めた。

 実際のところ、スタンダードが感染に支配されることは無かったので、我々は《怨恨》を3ヶ月の間感染に与えても大丈夫だと感じた。それは確実に爆発的な可能性を秘めている、しかし《はらわた撃ち》のようなカードが全てのデッキに強力な対策を提供した。第一の利益は言うまでもなく感染デッキではなく、より伝統的な緑ベースの中速でアグレッシブなデッキのマナカーブの穴に対して《怨恨》でてこ入れできることだ。

 私はカードが環境に与える影響を、本当に楽しみにしている。

 このちょっと変な奴は、私にとってどうやっていろんな文がこびりついたカードを使わずにリミテッドのデッキタイプを仕立てるかの例として重要だ。

 我々はマジック2013でドラフトしたときに可能な各2色の組み合わせで2つのはっきりと分かるデッキタイプを求めていた。それらのタイプのうち一つは緑白賛美で、白の壁と緑のデカブツが地上から一体で毎ターン攻撃する。《とげのベイロス》はごく普通の4マナ4/2のトランプル持ちで、このデッキタイプの成立を助けてくれるカードのうちの一つだ。基本的に、この手のクリーチャーの悪いところはこれよりもマナ・コストの小さいクリーチャーと相打ちになってしまうところだ。しかしながら賛美で援護されると、彼を回避することは困難だと分かり、また彼は多くのブロッカーとの戦いを、優秀な白と緑のコンバットトリックでも使えば生き残ることができる。

 もちろん、これは大地を揺るがすほどではないが、文章の少ないカードでゲーム上の多くの価値を作り出すことができる方法の例だ。


 長い間、我々はラッキーチャーム(《ドラゴンの爪》やその仲間)を少しの間欠場させたいと思っていた。代わりに何を入れるか、どうやって弱すぎると笑われないようなアーティファクトをデザインするかということが課題だった。

 我々は新しいプレイヤーに分かりやすい戦略を実行できる、単色デッキを支援するカードを求めていた。我々は全体のプレイ・パターンで満足の行く「成長」を――つまり、カードをプレイして何かを大きくするという事実に根付いた勝ちと楽しみを形成することを望んでいた。我々はそれらをイカしたカードにしたいと思っていた。それは、間抜けな人のおもちゃにするためではないが、それらがどのように上手く行ったかを見ることができたので。

 《雷口のヘルカイト》のように、我々が「正解」と思うものになるまでにこれらの指輪は多くのデザインとコストを重ねた。全てのクリーチャーに色の効果を与えるが、「正しい」色のクリーチャーが装備したときにこそ真価を発揮するようにしたのだ。これによって、クリーチャーにカウンターをのせたいなら、その色のクリーチャーをできるだけ多くプレイするように促すことになる。

 それから、《金屑化》がこのセットに収録されたのは比較的後のほうで、シールドデッキでのこのサイクルへの対策のためだった。

 私は、自分が変わった勝利条件に飛びついてしまうと言わざるを得ない。デリック・シーツ/Derrick Sheetsはありえないとあちこちで騒ぎ立てているが、《死体のダンス》と《合成ゴーレム》をベースにした何かのエクステンデッドのデッキで、ライフを得るデッキに対するサイドボードのプランとして《ゴブリンの溶接工》で《空虚への扉》を出し、そして2回《合成ゴーレム》を起動して勝とうとしたことをはっきりと思い出せる。

 それだけ私がこの計画に必死だったってことさ。

 とにかく、私は、マイク・マイケリアン/Mike Mikaelianがシールドのプレイテストでこのカードと《金粉の水蓮》、《適合の宝石》、《遥か見》2枚の入ったデッキでで2-1したことを宣言しておこう。あり得ない話なんかじゃないんだ。

 ファイルで一番議論を呼ぶカード、ジェイムデーをアンコモンに入れたことについて、最初、トム・ラピル/Tom LaPilleマックス・マッコール/Max McCallは鼻で笑った。私にとって重要なのは、全ての色に、マナ・フラッドを緩和するとともにカードアドバンテージを得る手段が低いレアリティにあることだ。私はさらに、秘本の後ろには強い芳醇さと郷愁があるのみならず、全く素晴らしいイラストがあると考えた。反論としては、カードアドバンテージにつながる戦略をあまりにも簡単に可能にしたと言うことがあった。

 結局、我々はマジック2013のリミテッドには早いデッキへの充分な支援が含まれていると決定し、の先行投資のコストを費やし、さらにカードを循環させるための別ので実質的なリスクを負わせた。我々はそれらのデッキがアドバンテージの継続的な流れで払う余裕があると感じた。


 ああ、うん。私は恐らく他の何よりこれらのカードに関するフィードバックを得ている。これが収録されたのが4回目だと言うのは紛れも無い事実で、それがどのようにプレイされるかも知っている。そして、そろそろすこし変革されるべき時期だ。

 私見では、これもまた、リード・デベロッパーとして、カードの見た目での簡潔さと実際にプレイした時の楽しさの間でバランスを取らなければならないという状況である。この場合は、私は自信をもって言えるが、ラヴニカへの回帰とこれらの土地を組み合わせるのはイカした話で、この以前からのカードをスタンダードでもう1年使えるようにするだけの価値がある。

 問題ないからといって自動的にこの土地に戻すべきではない、という諸君の意見は絶対的に正しい。我々はきわめて慎重にこの土地がスタンダードでいつまで使えるかを判断し、そして我々にできる最も素晴らしい方法でメタゲームが進化する機会を伺っている。

 フレイバーのデザインはマジック2013のリード・デザイナーのダグ・ベイヤー/Doug Beyerによるもので、私はプレイすればするほど、るつぼを好きになった。付加価値のある土地を巧く作るということは、非常に大きな挑戦だ。なぜなら、基本地形よりわずかにアドバンテージがあるだけで、実際に見てどれだけ強力かに関わらず使われるからだ。我々は長い時間数値を変えて実験した:蓄積する能力のコストはいくらにするべきか? 何回内圧カウンターを置くようにするべきか? 最後に火口が破裂すると何が起こるか? 最終的に、我々はこの能力とこの数に決め、そして私の意見では、このカードはぱっと見たときに思うよりもパワフルになった。そう、《蒸気の絡みつき》がトークンカードの価値をわずかに押さえつけているが、それらは単に《蒸気の絡みつき》の対象を増やすだけのことに過ぎない。

 私は《戦の大聖堂》と《ヘリオンのるつぼ》の両方がうまくいってとても幸せだ、そして個人的にはこれらのような「強化された土地」を少量だけ含める機会をできる限り探している。君は全ての土地がわずかなアドバンテージを生み出すことは望まないだろう―マジックは結局のところ、呪文を唱えるものだ―しかし、君がマナフラッドの時には、それらはとても良い物になるだろう。


 よし。そろそろ時間切れ、文字数切れだ。そして、最後まで読んでくれてありがとう! 2ヶ月間のプレビュー状態が永遠のように感じられた。私は振り返り、そして開発について大まかに少しの間話せて興奮できた。とはいえ、私はセットに関する君の質問に対してとても答えたいのだ。いつでも恥ずかしがらずに私にフォーラムやメール、もしくはツイッターで思ってることを言って欲しい。

Zac (@zdch)


(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)


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